JP2014074778A - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents

光学積層体、偏光板及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ハードコート層が単層構造で、反射防止性能に優れるとともに、耐ブロッキング性にも優れた光学積層体を提供する。
【解決手段】光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、上記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有し、上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記ハードコート層の上層に偏在しており、該立方体中空シリカ微粒子の一部が上記ハードコート層の表面から突出していることを特徴とする光学積層体。
【選択図】なし

Description

本発明は、光学積層体、偏光板及び画像表示装置に関する。
陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、タッチパネル、電子ペーパー、タブレットPC等の画像表示装置における画像表示面は、外部光源から照射された光線による反射を少なくし、その視認性を高めることが要求される。これに対して、光透過性基材に、反射防止層を形成した光学積層体を利用することにより、画像表示装置の画像表示面の反射を低減させ、視認性を向上させることが一般的に行われている。
反射防止層を有する光学積層体としては、例えば、光透過性基材よりも屈折率の低い低屈折率層を最表面に設けた構造が知られている。
このような低屈折率層には、光学積層体の反射防止性能を高めるために低屈折率であるこが求められ、例えば、特許文献1には、中空状シリカ微粒子、フッ素原子含有ポリマー等を含有する低屈折率層を有する光学積層体(反射防止フィルム)が開示されている。
一般に光学積層体は成形加工時に、生産性向上の観点より、巻き取ってロールとされる。ところが、従来の低屈折率層を備えた光学積層体は、巻取ロールにしたときに、重なったフィルム同士がくっついてしまう現象(いわゆるブロッキング)が発生してしまうという問題があった。ブロッキングが発生すると、ロールからフィルムを滑らかに繰り出すことができなくなり、次工程において、フィルムにシワが発生したり、フィルムが蛇行したりする要因となる。また、ひどいブロッキングの場合は、ブロッキングした所にムラができて製造した光学積層体の透明性やヘイズ、更には光学的均一性を損なう結果となることもあった。
このようなブロッキングの問題に対して、例えば、低屈折率層に含まれる中空状シリカ微粒子の一部を低屈折率層の表面から突出させる方法が考えられる。しかしながら、従来の低屈折率層に用いられる中空状シリカ微粒子は球状であったため、低屈折率層の表面から突出した中空状シリカ微粒子が存在していると、該中空状シリカ微粒子の脱落が生じやすく、また、耐擦り傷性に劣るという問題があった。
更に、低屈折率層を有する光学積層体として、光透過性基材、ハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層された構造の光学積層体も従来から知られている。ところが、このような構造の光学積層体は、製造時にハードコート層及び低屈折率層を形成する工程がそれぞれ必要となることから製造コストの面で不利であり、また、ハードコート層と低屈折率層との密着性が問題となることもあった。
更にまた、ブロッキング防止を目的として、球状のシリカ(ナノサイズシリカ)をハードコート層に含有させた光学積層体も知られているが、このようなハードコート層を有する光学積層体では反射率を低下させることができず、反射防止には効果がなかった。
特開2007−301970号公報
本発明は、上記現状に鑑み、ハードコート層が単層構造で、反射防止性能に優れるとともに、耐ブロッキング性にも優れた光学積層体、該光学積層体を用いてなる偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とするものである。
本発明は、光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、上記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有し、上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記ハードコート層の上層に偏在しており、該立方体中空シリカ微粒子の一部が上記ハードコート層の表面から突出していることを特徴とする光学積層体である。
本発明の光学積層体において、上記立方体状中空シリカ微粒子は、1次粒子の一辺が30〜200nmであり、外郭の厚みが3〜15nmであることが好ましい。
また、本発明の光学積層体は、上記ハードコート層の光透過性基材と反対側界面から、該ハードコート層の厚みの3分の1までの領域に、上記立方体状中空シリカ微粒子の70〜100%が含有されていることが好ましい。
また、上記ハードコート層中の立方体状中空シリカ微粒子の含有量が、上記ハードコート層を構成する樹脂成分と上記立方体状中空シリカ微粒子との合計100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましい。
また、上記立方体状中空シリカ微粒子は、ハードコート層の表面から角部分が10〜200nmの範囲で突出していることが好ましい。
本発明はまた、偏光素子を備えてなる偏光板であって、上記偏光板は、上記偏光素子表面に上述の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板でもある。
本発明はまた、上述の光学積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の光学積層体は、光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する。
上記ハードコート層とは、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で2H以上の硬度を示すものをいう。上記硬度は、3H以上であることがより好ましい。また、上記ハードコート層の膜厚(硬化時)としては0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmである。
上記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有する。
上記立方体状中空シリカ微粒子は、その形状が立方体状形態を有する中空状のシリカ微粒子である。ここで、「立方体状形態」とは、6つの面で囲まれた形状であって、立方体に近似した形状を含み、完全な立方体に限られるものではない。すなわち、上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記6つの面が同一面積である必要はなく、また、6つの面の間が曲面で構成されていてもよい。また、「中空シリカ微粒子」とは、内部に気体が充填された構造であり、シリカ微粒子本来の屈折率に比べて気体の占有率に反比例して屈折率が低下するシリカ微粒子を意味する。
本発明の光学積層体において、上記立方体状中空シリカ微粒子は、ハードコート層の上層に偏在している。なお、上記ハードコート層の上層とは、該ハードコート層の光透過性基材と反対側界面から厚み方向に3分の1までの領域を意味する。
このように立方体状中空シリカ微粒子がハードコート層中で偏在していることで、上記ハードコート層は、その上層部分の屈折率が立方体状中空シリカ微粒子の偏在していない部分と比較してより低くなり、当該上層部分が低屈折率層と同様の役割を果たすものとなる。すなわち、本発明の光学積層体における上記ハードコート層は、単層構造でハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層された従来の複層構造の光学積層体と同様の効果を奏することができる。
また、上記ハードコート層は、屈折率が1.43以下であることが好ましい。1.43を超えると、本発明の光学積層体の反射防止性能が不充分となり、近年の画像表示装置の高レベルな表示品質に対応することができないことがある。上記ハードコート層の屈折率のより好ましい上限は1.41である。
なお、上記ハードコート層の屈折率とは、上記立方体状中空シリカ微粒子及び後述する樹脂成分等ハードコート層を構成する材料の屈折率と配合比とにより算出される計算値である。
上記ハードコート層中の立方体状中空シリカ微粒子は、単分散状態であってもよく、凝集体を形成していてもよい。上記立方体状中空シリカ微粒子が凝集体を形成している場合、平均2次粒子径で、2μm以下であることが好ましい。上記凝集体の平均2次粒子径が2μmを超えると、上記ハードコート層のヘイズが悪化することがある。なお、上記立方体状中空シリカ微粒子の平均2次粒子径は、上記ハードコート層の断面をTEMやSTEM等の電子顕微鏡観察することで測定することができる。
また、上記立方体状中空シリカ微粒子は、その一部が上記ハードコート層の表面から突出している。
上記立方体状中空シリカ微粒子の一部がハードコート層の表面から突出していることで、本発明の光学積層体は、ブロッキング性に優れたものとなる。
ここで、上述のように、ハードコート層に球状微粒子を含有させるとともに該球状微粒子の一部を表面から突出させてブロッキング性能を向上させる技術は従来からよく知られている。しかしながら、ハードコート層の表面に球状微粒子を突出させた場合、該球状微粒子が容易に脱落するという問題があった。これに対して、本発明の光学積層体における上記立方体状中空シリカ微粒子は、主としてその角部分が上記ハードコート層の表面から突出した状態となるため、球状微粒子の場合と比較して上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落は格段に起こりにくくなる。
更に、上記立方体状中空シリカ微粒子は中空状であるため、上記ハードコート層の屈折率を好適に減少させることができ、その結果、該ハードコート層表面での反射率を充分に低下させることもできる。
ここで、上記「角部分が上記ハードコート層の表面から突出した状態」とは、上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分が直接上記ハードコート層の表面から突出している場合のほか、該立方体状中空シリカ微粒子の角部分が上記ハードコート層を構成する樹脂成分の薄膜で覆われた状態で上記ハードコート層の表面から突出している場合を含む。上記薄膜としては、例えば、厚みが1000nm未満のナノメートルオーダーの層が挙げられる。
また、本発明の光学積層体は、上記ハードコート層の表面から上記立方体状中空シリカ微粒子の角部が突出していることで、該ハードコート層表面に接触した際の接触面積が減少するため、耐擦り傷性が優れたものとなる。更に、上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分がハードコート層の表面から突出していることで、球状微粒子を含有する場合と比較して鉛筆硬度も良化するものと推測される。
上記ハードコート層は、光透過性基材と反対側界面から、該ハードコート層の厚みの3分の1までの領域に、上記立方体状中空シリカ微粒子の70〜100%が含有されていることが好ましく、より好ましい下限は80%である。70%未満であると、ハードコート層の表面から突出する立方体状中空シリカ微粒子が減少し、充分なブロッキング防止性能が得られないことがある。
なお、上記ハードコート層における立方体状中空シリカ微粒子の存在量は、上記ハードコート層の厚み方向の断面を、SEM等の電子顕微鏡観察することで測定することができる。
上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記ハードコート層の表面から角部分が10〜200nmの範囲で突出していることが好ましい。
なお、本明細書において、上記「ハードコート層の表面」とは、上記立方体状中空シリカ微粒子が突出した側の面であって、該立方体状中空シリカ微粒子が突出した部分以外で平坦な面を意味する。
上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分の上記ハードコート層の表面からの突出が10nm未満であると、充分なブロッキング防止性能を得ることができないことがあり、200nmを超えると、上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落が生じたり、突出した立方体状中空シリカ微粒子によるハードコート層表面での反射光の散乱量が多くなってヘイズの上昇が生じたりすることがある。上記立方体状中空シリカ微粒子のハードコート層表面からの突出のより好ましい下限は15nm、より好ましい上限は150nmである。
なお、上記ハードコート層の表面からの立方体状中空シリカ微粒子の突出距離は、ハードコート層の表面から立方体状中空シリカ微粒子が突出していない表面から、ハードコート層の表面から突出した立方体状中空シリカ微粒子の角部分までの垂直距離である。具体的には、電子顕微鏡観察により上記垂直距離を10点測定した平均値として求められる。
上記立方体状中空シリカ微粒子は、1次粒子の一辺が30〜200nmであり、外郭の厚みが3〜15nmであることが好ましい。
上記1次粒子の一辺が30nm未満であると、ハードコート層の表面から立方体状中空シリカ微粒子を充分に突出させることができず、ブロッキング性能が劣ることがある。一方、200nmを超えると、ヘイズの上昇や上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落が生じてしまうことがある。上記1次粒子の一辺のより好ましい下限は90nm、より好ましい上限は110nmである。
また、上記1次粒子の外郭の厚みが3nm未満であると、立方体状中空シリカ微粒子の強度が不充分となることがあり、また、上記立方体状中空シリカ微粒子自体の製造が難しい。15nmを超えると、ハードコート層の上層部分を充分に低屈折率化できないことがある。上記1次粒子の外郭のより好ましい下限は8nmであり、より好ましい上限は10nmである。
なお、上記立方体状中空シリカ微粒子の1次粒子の一辺の長さ及び外郭の厚みは、上記ハードコート層の断面をTEMやSTEM等の電子顕微鏡観察することで測定することができる。
このような立方体状中空シリカ微粒子は、例えば、シリコンアルコキシドに塩基性化合物を作用させて上記シリコンアルコキシドの加水分解、縮重合反応を進行させ、外殻となるシリカを生成させて立方体状形態の芯粒子の表面を覆う。その後、上記芯粒子を溶解除去することによって製造することができる。
上記シリコンアルコキシドとしては、例えば、シランカップリング剤等ケイ素のアルコキシドであれば特に限定されず、例えば、テトラメトキシシラン、トリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。なかでも、テトラエトキシシランが好適に用いられる。
また、上記シリコンアルコキシドとしては市販品を用いることもでき、例えば、多摩化学工業株式会社製のエチルシリケート(製品名「高純度正珪酸エチル」:テトラエトキシシラン)、信越化学工業株式会社製のアルコキシシラン(製品名「KBE−04」:テトラエトキシシラン)等が挙げられる。
また、上記シリコンアルコキシドは、分子内に紫外線反応性官能基を有するシランカップリング剤であってもよく、このようなシリコンアルコキシドの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKBM503、KBM502、KBE503(何れも紫外線反応性官能基としてメタクリレート基含有)、KBM5103(紫外線反応性官能基としてアクリレート基含有)等が挙げられる。
また、上記塩基性化合物としては、例えば、アンモニア(NH)、アミン、アミド、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)、水酸化カルシウム(Ca(OH))等が挙げられる。
また、上記立方体状中空シリカ微粒子の製造においては、上記塩基性化合物を塩基性化合物前駆体物質に触媒を作用させて徐々に発生させることが好ましい。
上記塩基性化合物前駆体物質としては、例えば、触媒の作用によってアンモニアを発生する尿素((NHCO)等が挙げられる。また、上記触媒としては、例えば、ウレアーゼ(尿素分解酵素)が挙げられる。
上記立方体状形態の芯粒子としては、炭酸カルシウム微粒子であることが好ましい。炭酸カルシウムの結晶はカルサイトであり六方晶系であるが、合成条件を制御することにより、立方晶系のような形状、すなわち、「立方体状形態」に成長させることができる。
上記炭酸カルシウム微粒子の結晶を成長させる方法としては特に限定されず、例えば、水酸化カルシウムのスラリーに炭酸ガスを導入して炭酸カルシウムを沈殿させる方法、塩化カルシウム等の可溶性カルシウム塩の水溶液に炭酸ナトリウム等の可溶性炭酸塩を添加して炭酸カルシウムを沈殿させる方法等が挙げられる。
上記芯粒子は、外径が8〜160nmの範囲内であることが好ましい。このような外径を有する芯粒子を用いることで、上述したサイズの立方体状中空シリカ微粒子を製造することができる。
なお、上記外径の炭酸カルシウム微粒子を得る方法としては、比較的低温でかつ炭酸カルシウムの沈殿反応の速度を速めることが好ましい。具体的には、例えば、上記炭酸カルシウム微粒子の結晶を成長させる方法として、水酸化カルシウムスラリーに炭酸ガスを導入する方法の場合、炭酸ガスを導入する際の液温を30℃以下、炭酸ガスを導入する速度を、水酸化カルシウム100g当り、1.0L/min以上とすることが好ましい。
なお、上記外径を有する炭酸カルシウム微粒子としては市販品を用いてもよく、例えば、林化成社製の微粒子炭酸カルシウムや、白石工業社製の合成炭酸カルシウム等を用いることができる。
上記立方体状中空シリカ微粒子を製造するより具体的な方法としては、まず、芯粒子のコロイド分散液又は乾燥粉体を水やアルコール等の溶媒と混合し、超音波照射等により分散させた分散液を調製し、ここに、シリコンアルコキシドを所定の濃度で混合して反応液を調製する。
得られた反応液を攪拌装置等の反応容器に投入し、攪拌又は循環させ、塩基性化合物を添加し、シリコンアルコキシドの加水分解、縮重合反応による芯粒子表面へのシリカの被覆を行う。上記塩基性化合物に代えて塩基性化合物前駆体を上記反応液に添加した場合、次いで触媒を添加して塩基性化合物前駆体を分解し塩基性化合物を順次発生させて、シリコンアルコキシドの加水分解、縮重合反応による芯粒子表面へのシリカの被覆を行う。
そして、シリカで被覆された芯粒子を、反応容器から回収し乾燥後溶媒に再分散させ、塩酸等の酸を添加することで芯粒子を溶解除去することで立方体状中空シリカ微粒子を製造することができる。
上記ハードコート層において、上記立方体状中空シリカ微粒子の含有量は、該ハードコート層を構成する樹脂成分と上記立方体状中空シリカ微粒子との合計100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましい。0.5質量部未満であると、ハードコート層の上層部分の充分な低屈折率化が図れないだけでなく、本発明の光学積層体のブロッキング防止性能に劣ることがあり、20質量部を超えると、ハードコート層の硬度が不充分となることがある。上記立方体状中空シリカ微粒子の含有量のより好ましい下限は2質量部であり、より好ましい上限は15質量部である。
上記ハードコート層を構成する樹脂成分としては、紫外線若しくは電子線により硬化する樹脂である電離放射線硬化型樹脂、電離放射線硬化型樹脂と溶剤乾燥型樹脂(塗工時に固形分を調整するために添加した溶剤を乾燥させるだけで、被膜となるような樹脂)との混合物、又は、熱硬化型樹脂等が挙げられ、好ましくは電離放射線硬化型樹脂が挙げられる。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、又は、上記多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記化合物のほかに、不飽和二重結合を有する比較的低分子量のポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等も上記電離放射線硬化型樹脂として使用することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂を紫外線硬化型樹脂として使用する場合には、光重合開始剤を用いることが好ましい。
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
上記電離放射線硬化型樹脂に混合して使用される溶剤乾燥型樹脂としては、主として熱可塑性樹脂が挙げられ、該熱可塑性樹脂としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。上記溶剤乾燥型樹脂の添加により、塗布面の塗膜欠陥を有効に防止することができる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、後述する光透過性基材の材料がセルローストリアセテート等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、セルロース誘導体、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
上記熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アミノアルキッド樹脂、メラミン−尿素共縮合樹脂、ケイ素樹脂、ポリシロキサン樹脂等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を更に添加して使用することができる。
上記ハードコート層は、上述した立方体状中空シリカ微粒子及び樹脂成分等の各材料を混合することで調製したハードコート層用組成物を、光透過性基材上に塗布して形成した塗膜を、必要に応じて乾燥し、電離放射線照射又は加熱等により硬化させることで形成することができる。
上記立方体状中空シリカ微粒子及び樹脂成分等の各材料を混合する方法としては特に限定されず、例えば、ペイントシェーカー又はビーズミル等の公知の方法が挙げられる。
ここで、調製直後のハードコート層用組成物における上記立方体状中空シリカ微粒子は、均一に分散している。しかしながら、該立方体状中空シリカ微粒子は、比重が樹脂成分よりも軽いため、上記塗膜を形成すると該塗膜中で光透過性基材の反対側に移動し、塗膜の上方に偏在した状態となる。そして、このような塗膜を硬化させることで、上述したような立方体状中空シリカ微粒子が上層に偏在したハードコート層を形成することができる。
上記立方体状中空シリカ微粒子をより上層に偏在させるには、上記ハードコート層用組成物における樹脂成分として粘度が低いモノマーを用いることが好ましく、形成するハードコート層の硬度の面からも考慮すれば、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを用いることが好ましい。
上記ハードコート層用組成物を光透過性基材上に塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、ダイドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ピードコーター法等の各種方法が挙げられる。
また、上記塗膜の乾燥方法、電離放射線照射方法及び加熱方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。
また、上記塗膜の乾燥をして後述する溶剤を除去した後、硬化させる前に熱をかけ該塗膜に含まれる樹脂成分の粘度を下げることにより流動性を上げることで、上記立方体状中空シリカ微粒子を塗膜の上層により好適に偏在させることができる。
上記ハードコート層用組成物は溶剤を含有することが好ましい。
上記溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、PGMEA等のエステル;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等のアミド;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテルアルコール等が挙げられる。なかでも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、PGME、PGMEAが好ましい。
上記ハードコート層用組成物は、必要に応じて、上述した材料以外のその他の成分を含んでいてもよい。
上記その他の成分としては、例えば、レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、帯電防止剤、高屈折率剤、コロイダルシリカ等の高硬度・低カール材料、上述した以外の樹脂等が挙げられる。
本発明の光学積層体は、光透過性基材を有する。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
上記光透過性基材は、上記熱可塑性樹脂を柔軟性に富んだフィルム状体として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板を使用することも可能であり、又は、ガラス板の板状体のものを使用してもよい。
その他、上記光透過性基材としては、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムを挙げられる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン社製のゼオネックスやゼオノア(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト社製のスミライトFS−1700、JSR社製のアートン(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学社製のアペル(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製のTopas(環状オレフィン共重合体)、日立化成社製のオプトレッツOZ−1000シリーズ(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記光透過性基材の厚さはとしては、5〜300μmであることが好ましく、より好ましくは下限が20μmであり、上限が200μmである。光透過性基材が板状体の場合には、これらの厚さを超える厚さであってもよい。上記光透過性基材は、その上に上記ハードコート層等を形成するのに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、大気圧プラズマ処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤又はプライマーと呼ばれる塗料の塗布が予め行われていてもよい。上記光透過性基材を形成する材料がトリアセチルセルロースの場合、アルカリ処理(ケン化処理)等の化学処理が予め行われていてもよい。
本発明の光学積層体は、上記光透過性基材の一方の面上に上述したハードコート層が積層された構成であるが、上記光透過性基材とハードコート層との間に、公知の帯電防止剤とバインダー樹脂とからなる帯電防止層が形成された構造であってもよい。
本発明の光学積層体の全光線透過率は、90%以上であることが好ましい。90%未満であると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性や視認性を損なうおそれがある。上記全光線透過率は、95%以上であることがより好ましく、96%以上であることが更に好ましい。
また、本発明の光学積層体は、ヘイズが1.0%未満であることが好ましく、0.5%未満であることがより好ましい。1.0%を超えると、ディスプレイ表面に装着した場合において、色再現性や視認性を損なうおそれがある他、所望のコントラストが得られないおそれがある。
上記ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に準拠した方法により測定することができる。
本発明の光学積層体は、硬度が、JIS K5600−5−4(1999)による鉛筆硬度試験(荷重4.9N)において、2H以上であることが好ましく、3H以上であることがより好ましい。
また、本発明の光学積層体は、表面を、スチールウール #0000番(商品名:BON STAR、日本スチールウール社製)を用いて、摩擦荷重500g/cmで10往復摩擦した後に上記表面を観察した場合、上記表面の塗膜の剥がれが見られないことが好ましく、700g/cmで同様に10往復摩擦した後に、表面塗膜の剥がれが見られないことがより好ましい。最も好ましくは1000g/cm以上で同様に10往復摩擦して表面塗膜の剥がれが見られないことである。
本発明の光学積層体の製造方法は、光透過性基材上に、上述したハードコート層用組成物を塗布してハードコート層を形成する工程を有する方法が挙げられる。
上記ハードコート層を形成する方法としては、上述した通りである。
本発明の光学積層体は、偏光素子の表面に、本発明による光学積層体を該光学積層体におけるハードコート層が存在する面と反対の面に設けることによって、偏光板とすることができる。このような偏光板も、本発明の1つである。
上記偏光素子としては特に限定されず、例えば、ヨウ素等により染色し、延伸したポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン−酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等が挙げられる。
上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(好ましくは、トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
本発明は、上記光学積層体又は上記偏光板を備えてなる画像表示装置でもある。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
上記の代表的な例であるLCDは、透過性表示体と、上記透過性表示体を背面から照射する光源装置とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がLCDである場合、この透過性表示体の表面に、本発明の光学積層体又は本発明の偏光板が形成されてなるものである。
本発明が上記光学積層体を有する液晶表示装置の場合、光源装置の光源は光学積層体の下側から照射される。なお、液晶表示素子と偏光板との間に、位相差板が挿入されてよい。この液晶表示装置の各層間には必要に応じて接着剤層が設けられてよい。
上記画像表示装置であるPDPは、表面ガラス基板(表面に電極を形成)と当該表面ガラス基板に対向して間に放電ガスが封入されて配置された背面ガラス基板(電極及び微小な溝を表面に形成し、溝内に赤、緑、青の蛍光体層を形成)とを備えてなるものである。本発明の画像表示装置がPDPである場合、上記表面ガラス基板の表面、又はその前面板(ガラス基板又はフィルム基板)に上述した光学積層体を備えるものでもある。
上記画像表示装置は、電圧をかけると発光する硫化亜鉛、ジアミン類物質:発光体をガラス基板に蒸着し、基板にかける電圧を制御して表示を行うELD装置、又は、電気信号を光に変換し、人間の目に見える像を発生させるCRTなどの画像表示装置であってもよい。この場合、上記のような各表示装置の最表面又はその前面板の表面に上述した光学積層体を備えるものである。
本発明の画像表示装置は、いずれの場合も、テレビジョン、コンピュータ、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPCなどのディスプレイ表示に使用することができる。特に、CRT、液晶パネル、PDP、ELD、FED、タッチパネルなどの高精細画像用ディスプレイの表面に好適に使用することができる。
本発明の光学積層体は、ハードコート層が単層構造で、反射防止性能に優れるとともに、耐ブロッキング性にも優れたものとなる。
このため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPC等に好適に適用することができる。
本発明の内容を下記の実施例により説明するが、本発明の内容はこれらの実施態様に限定して解釈されるものではない。特別に断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム;富士写真フィルム社製、TF60UL)を準備し、該光透過性基材の片面に、以下のハードコート層用組成物を塗布して塗膜を形成した。次いで、温度70℃の熱オーブン中で30秒間乾燥(無風乾燥)し、さらに温度100℃の熱オーブン中で30秒間加熱して塗膜中の溶剤を蒸発させ、ドライ膜厚7μmとなるようにし、その後、紫外線を積算光量が200mJ/cmとなるように照射して塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、光学積層体を製造した。
(ハードコート層用組成物)
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬社製;PET30)
90質量部
立方体状中空シリカ微粒子(一辺100nm、外郭の厚み7nm) 10質量部
光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製) 4質量部
溶剤(MEK) 100質量部
レベリング剤(F477、DIC社製、F系レベリング剤) 0.1重量部
なお、立方体状中空シリカ微粒子は、以下の方法で得た。
芯粒子としての炭酸カルシウム微粒子を、エタノール蒸留水に混合して分散させ、ここにテトラエトキシシラン、尿素及びウレアーゼを添加して振とう攪拌し、テトラエトキシシランを加水分解及び脱水、縮合重合させて芯粒子表面にシリカを被覆させた。その後、エタノールで洗浄して余分なテトラエトキシシラン、尿素及びウレアーゼを洗い流し、乾燥させることによって、シリカで被覆された炭酸カルシウム微粒子を得て、この微粒子を、蒸留水に再分散させて、希塩酸(3mol/L)を添加する酸処理を行うことによって、芯粒子である炭酸カルシウム微粒子を溶解、除去して、シリカを外郭とする立方体状中空シリカ微粒子を得た。
なお、立方体状中空シリカ微粒子の一辺の大きさ及び外郭の厚みは、使用する芯粒子の大きさ、及び、該芯粒子をシリカで被覆する際の処理の条件を適宜調整することで、任意に制御することがきた。
(実施例2)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺80nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例3)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺120nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例4)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺50nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例5)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺180nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例6)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺100nm、外郭の厚み5nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例7)
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺100nm、外郭の厚み13nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例8)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を80質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例9)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を5質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を95質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例10)
ハードコート層用組成物におけるペンタエリスリトールトリアクリレートに代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製;DPHA)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例11)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を70質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例12)
塗膜の乾燥温度を100℃とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(実施例13)
塗膜の乾燥温度を50℃とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(比較例1)
塗膜の乾燥条件を、風を当てながら100℃で30秒乾燥させた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(比較例2)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中実シリカ微粒子(日産化学社製、直径12nm、商品名:MIBKSD)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(比較例3)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中実シリカ微粒子(CIKナノテック社製、直径250nm 商品名:E65)を用い、球状中実シリカ微粒子の配合量を30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を70質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(参考例1)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中空シリカ微粒子(直径55nm、外郭の厚み7nm)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(参考例2)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を50質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を50質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
(参考例3)
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を1質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を99質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
実施例、比較例及び参考例に係る光学積層体について、以下の評価を行った。その結果を表1に示した。
(偏在割合)
各光学積層体をハードコート層の厚み方向に切断し、ハードコート層の断面電子顕微鏡観察を行い、ハードコート層の断面に現れたシリカ微粒子のうち、光透過性基材と反対側界面からハードコート層の厚みの3分の1μmでの領域に含まれるシリカ微粒子の割合を算出した。
(ハードコート層表面からの突出距離)
各光学積層体のハードコート層の表面から突出したシリカ微粒子の距離を、電子顕微鏡観察にて10点測定した平均値として求めた。
(耐擦傷性)
各光学積層体のハードコート層表面を、#0000番のスチールウール(商品名:BON STAR、日本スチールウール社製)を用いて、摩擦荷重を変化させ、10往復摩擦し、その後の塗膜の傷、剥がれの有無を目視し下記の基準にて評価した。
○:500g/cmで傷なし
×:500g/cmで傷又は塗膜の剥がれがあった
(反射率)
測定側である、各光学積層体のハードコート層を設けた側とは反対側に、黒ビニールテープ(ヤマトビニールテープNo 200−38−21 38mm幅を貼った後、反射率測定装置(V7100型VAR−7010 日本分光社製)を用いて、光学積層体の表面への5°正反射率(%)を測定した。
(耐ブロッキング性)
実施例、比較例及び参考例に係る光学積層体を、1330mm幅の光透過性基材を用い、クリーンルーム室内(室温25度、湿度50%の環境内で、3900m/分でハードコート層用組成物を塗工)で製造し、巻き取った。
巻取り後、同じくクリーンルーム内で、24時間経過後に、巻返して、ロール内部の貼り付きの状況を評価した。
○:貼り付き発生なし
×:貼り付き発生あり
(全光線透過率)
各光学積層体の全光線透過率について、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361(全光線透過率)に準拠した方法により測定し、以下の基準にて評価した。
○:全光線透過率が90%以上
×:全光線透過率が90%未満
(ヘイズ)
各光学積層体のヘイズを、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM−150)を用いて、JIS K−7361に準拠して測定した。
Figure 2014074778
表1に示したように、実施例に係る光学積層体は、いずれの評価にも優れていた。
一方、立方体状中空シリカ微粒子がハードコート層中で偏在していなかった比較例1に係る光学積層体、及び、直径が12nmの球状中空シリカ微粒子を用いた比較例2に係る光学積層体は、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
また、直径が250nmの球状中実シリカ微粒子を用いた比較例3に係る光学積層体は、耐擦傷性、反射率、全光線透過率及びヘイズの各評価に劣っていた。
また、参考例1に係る光学積層体は、立方体状中空シリカ微粒子の一辺の大きさが小さすぎたため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
また、参考例2に係る光学積層体は、ハードコート層のおける立方体状中空シリカ微粒子の配合量が多かったため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が大きく突出しており、耐擦傷性、透過率及びヘイズの各評価に劣っていた。
また、参考例3に係る光学積層体は、ハードコート層のおける立方体状中空シリカ微粒子の配合量が少なかったため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
本発明の光学積層体は、上述した構成からなるため、ハードコート層が単層構造で、反射防止性能に優れるとともに、耐ブロッキング性にも優れたものとなる。そのため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPC等に好適に適用することができる。

Claims (7)

  1. 光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、
    前記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有し、
    前記立方体状中空シリカ微粒子は、前記ハードコート層の上層に偏在しており、該立方体中空シリカ微粒子の一部が前記ハードコート層の表面から突出している
    ことを特徴とする光学積層体。
  2. 立方体状中空シリカ微粒子は、1次粒子の一辺が30〜200nmであり、外郭の厚みが3〜15nmである請求項1記載の光学積層体。
  3. ハードコート層の光透過性基材と反対側界面から、該ハードコート層の厚みの3分の1までの領域に、立方体状中空シリカ微粒子の70〜100%が含有されている請求項1又は2記載の光学積層体。
  4. ハードコート層中の立方体状中空シリカ微粒子の含有量が、前記ハードコート層を構成する樹脂成分と前記立方体状中空シリカ微粒子との合計100質量部に対し、0.5〜20質量部である請求項1、2又は3記載の光学積層体。
  5. 立方体状中空シリカ微粒子は、ハードコート層の表面から角部分が10〜200nmの範囲で突出している請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
  6. 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
    前記偏光板は、前記偏光素子表面に請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板。
  7. 請求項1、2、3、4若しくは5記載の光学積層体、又は、請求項6記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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