JP2014074778A - 光学積層体、偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、上記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有し、上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記ハードコート層の上層に偏在しており、該立方体中空シリカ微粒子の一部が上記ハードコート層の表面から突出していることを特徴とする光学積層体。
【選択図】なし
Description
このような低屈折率層には、光学積層体の反射防止性能を高めるために低屈折率であるこが求められ、例えば、特許文献1には、中空状シリカ微粒子、フッ素原子含有ポリマー等を含有する低屈折率層を有する光学積層体(反射防止フィルム)が開示されている。
更にまた、ブロッキング防止を目的として、球状のシリカ(ナノサイズシリカ)をハードコート層に含有させた光学積層体も知られているが、このようなハードコート層を有する光学積層体では反射率を低下させることができず、反射防止には効果がなかった。
また、本発明の光学積層体は、上記ハードコート層の光透過性基材と反対側界面から、該ハードコート層の厚みの3分の1までの領域に、上記立方体状中空シリカ微粒子の70〜100%が含有されていることが好ましい。
また、上記ハードコート層中の立方体状中空シリカ微粒子の含有量が、上記ハードコート層を構成する樹脂成分と上記立方体状中空シリカ微粒子との合計100質量部に対し、0.5〜20質量部であることが好ましい。
また、上記立方体状中空シリカ微粒子は、ハードコート層の表面から角部分が10〜200nmの範囲で突出していることが好ましい。
本発明はまた、上述の光学積層体、又は、上述の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置でもある。
以下に、本発明を詳細に説明する。
上記ハードコート層とは、JIS K5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で2H以上の硬度を示すものをいう。上記硬度は、3H以上であることがより好ましい。また、上記ハードコート層の膜厚(硬化時)としては0.1〜100μm、好ましくは0.8〜20μmである。
上記立方体状中空シリカ微粒子は、その形状が立方体状形態を有する中空状のシリカ微粒子である。ここで、「立方体状形態」とは、6つの面で囲まれた形状であって、立方体に近似した形状を含み、完全な立方体に限られるものではない。すなわち、上記立方体状中空シリカ微粒子は、上記6つの面が同一面積である必要はなく、また、6つの面の間が曲面で構成されていてもよい。また、「中空シリカ微粒子」とは、内部に気体が充填された構造であり、シリカ微粒子本来の屈折率に比べて気体の占有率に反比例して屈折率が低下するシリカ微粒子を意味する。
このように立方体状中空シリカ微粒子がハードコート層中で偏在していることで、上記ハードコート層は、その上層部分の屈折率が立方体状中空シリカ微粒子の偏在していない部分と比較してより低くなり、当該上層部分が低屈折率層と同様の役割を果たすものとなる。すなわち、本発明の光学積層体における上記ハードコート層は、単層構造でハードコート層及び低屈折率層がこの順に積層された従来の複層構造の光学積層体と同様の効果を奏することができる。
なお、上記ハードコート層の屈折率とは、上記立方体状中空シリカ微粒子及び後述する樹脂成分等ハードコート層を構成する材料の屈折率と配合比とにより算出される計算値である。
上記立方体状中空シリカ微粒子の一部がハードコート層の表面から突出していることで、本発明の光学積層体は、ブロッキング性に優れたものとなる。
ここで、上述のように、ハードコート層に球状微粒子を含有させるとともに該球状微粒子の一部を表面から突出させてブロッキング性能を向上させる技術は従来からよく知られている。しかしながら、ハードコート層の表面に球状微粒子を突出させた場合、該球状微粒子が容易に脱落するという問題があった。これに対して、本発明の光学積層体における上記立方体状中空シリカ微粒子は、主としてその角部分が上記ハードコート層の表面から突出した状態となるため、球状微粒子の場合と比較して上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落は格段に起こりにくくなる。
更に、上記立方体状中空シリカ微粒子は中空状であるため、上記ハードコート層の屈折率を好適に減少させることができ、その結果、該ハードコート層表面での反射率を充分に低下させることもできる。
ここで、上記「角部分が上記ハードコート層の表面から突出した状態」とは、上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分が直接上記ハードコート層の表面から突出している場合のほか、該立方体状中空シリカ微粒子の角部分が上記ハードコート層を構成する樹脂成分の薄膜で覆われた状態で上記ハードコート層の表面から突出している場合を含む。上記薄膜としては、例えば、厚みが1000nm未満のナノメートルオーダーの層が挙げられる。
また、本発明の光学積層体は、上記ハードコート層の表面から上記立方体状中空シリカ微粒子の角部が突出していることで、該ハードコート層表面に接触した際の接触面積が減少するため、耐擦り傷性が優れたものとなる。更に、上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分がハードコート層の表面から突出していることで、球状微粒子を含有する場合と比較して鉛筆硬度も良化するものと推測される。
なお、上記ハードコート層における立方体状中空シリカ微粒子の存在量は、上記ハードコート層の厚み方向の断面を、SEM等の電子顕微鏡観察することで測定することができる。
なお、本明細書において、上記「ハードコート層の表面」とは、上記立方体状中空シリカ微粒子が突出した側の面であって、該立方体状中空シリカ微粒子が突出した部分以外で平坦な面を意味する。
上記立方体状中空シリカ微粒子の角部分の上記ハードコート層の表面からの突出が10nm未満であると、充分なブロッキング防止性能を得ることができないことがあり、200nmを超えると、上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落が生じたり、突出した立方体状中空シリカ微粒子によるハードコート層表面での反射光の散乱量が多くなってヘイズの上昇が生じたりすることがある。上記立方体状中空シリカ微粒子のハードコート層表面からの突出のより好ましい下限は15nm、より好ましい上限は150nmである。
なお、上記ハードコート層の表面からの立方体状中空シリカ微粒子の突出距離は、ハードコート層の表面から立方体状中空シリカ微粒子が突出していない表面から、ハードコート層の表面から突出した立方体状中空シリカ微粒子の角部分までの垂直距離である。具体的には、電子顕微鏡観察により上記垂直距離を10点測定した平均値として求められる。
上記1次粒子の一辺が30nm未満であると、ハードコート層の表面から立方体状中空シリカ微粒子を充分に突出させることができず、ブロッキング性能が劣ることがある。一方、200nmを超えると、ヘイズの上昇や上記立方体状中空シリカ微粒子の脱落が生じてしまうことがある。上記1次粒子の一辺のより好ましい下限は90nm、より好ましい上限は110nmである。
また、上記1次粒子の外郭の厚みが3nm未満であると、立方体状中空シリカ微粒子の強度が不充分となることがあり、また、上記立方体状中空シリカ微粒子自体の製造が難しい。15nmを超えると、ハードコート層の上層部分を充分に低屈折率化できないことがある。上記1次粒子の外郭のより好ましい下限は8nmであり、より好ましい上限は10nmである。
なお、上記立方体状中空シリカ微粒子の1次粒子の一辺の長さ及び外郭の厚みは、上記ハードコート層の断面をTEMやSTEM等の電子顕微鏡観察することで測定することができる。
また、上記シリコンアルコキシドとしては市販品を用いることもでき、例えば、多摩化学工業株式会社製のエチルシリケート(製品名「高純度正珪酸エチル」:テトラエトキシシラン)、信越化学工業株式会社製のアルコキシシラン(製品名「KBE−04」:テトラエトキシシラン)等が挙げられる。
また、上記シリコンアルコキシドは、分子内に紫外線反応性官能基を有するシランカップリング剤であってもよく、このようなシリコンアルコキシドの市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製のKBM503、KBM502、KBE503(何れも紫外線反応性官能基としてメタクリレート基含有)、KBM5103(紫外線反応性官能基としてアクリレート基含有)等が挙げられる。
また、上記立方体状中空シリカ微粒子の製造においては、上記塩基性化合物を塩基性化合物前駆体物質に触媒を作用させて徐々に発生させることが好ましい。
上記塩基性化合物前駆体物質としては、例えば、触媒の作用によってアンモニアを発生する尿素((NH2)2CO)等が挙げられる。また、上記触媒としては、例えば、ウレアーゼ(尿素分解酵素)が挙げられる。
上記炭酸カルシウム微粒子の結晶を成長させる方法としては特に限定されず、例えば、水酸化カルシウムのスラリーに炭酸ガスを導入して炭酸カルシウムを沈殿させる方法、塩化カルシウム等の可溶性カルシウム塩の水溶液に炭酸ナトリウム等の可溶性炭酸塩を添加して炭酸カルシウムを沈殿させる方法等が挙げられる。
なお、上記外径の炭酸カルシウム微粒子を得る方法としては、比較的低温でかつ炭酸カルシウムの沈殿反応の速度を速めることが好ましい。具体的には、例えば、上記炭酸カルシウム微粒子の結晶を成長させる方法として、水酸化カルシウムスラリーに炭酸ガスを導入する方法の場合、炭酸ガスを導入する際の液温を30℃以下、炭酸ガスを導入する速度を、水酸化カルシウム100g当り、1.0L/min以上とすることが好ましい。
なお、上記外径を有する炭酸カルシウム微粒子としては市販品を用いてもよく、例えば、林化成社製の微粒子炭酸カルシウムや、白石工業社製の合成炭酸カルシウム等を用いることができる。
得られた反応液を攪拌装置等の反応容器に投入し、攪拌又は循環させ、塩基性化合物を添加し、シリコンアルコキシドの加水分解、縮重合反応による芯粒子表面へのシリカの被覆を行う。上記塩基性化合物に代えて塩基性化合物前駆体を上記反応液に添加した場合、次いで触媒を添加して塩基性化合物前駆体を分解し塩基性化合物を順次発生させて、シリコンアルコキシドの加水分解、縮重合反応による芯粒子表面へのシリカの被覆を行う。
そして、シリカで被覆された芯粒子を、反応容器から回収し乾燥後溶媒に再分散させ、塩酸等の酸を添加することで芯粒子を溶解除去することで立方体状中空シリカ微粒子を製造することができる。
上記電離放射線硬化型樹脂としては、例えば、アクリレート系の官能基を有する化合物等の1又は2以上の不飽和結合を有する化合物が挙げられる。1の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、メチルスチレン、N−ビニルピロリドン等を挙げることができる。2以上の不飽和結合を有する化合物としては、例えば、ポリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能化合物、又は、上記多官能化合物と(メタ)アクリレート等の反応生成物(例えば多価アルコールのポリ(メタ)アクリレートエステル)等が挙げられる。なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを指すものである。
上記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミヒラーベンゾイルベンゾエート、α−アミロキシムエステル、テトラメチルチュウラムモノサルファイド、チオキサントン類等が挙げられる。
また、光増感剤を混合して用いることが好ましく、その具体例としては、例えば、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、ポリ−n−ブチルホソフィン等が挙げられる。
上記熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂及びゴム又はエラストマー等が挙げられる。上記熱可塑性樹脂は、非結晶性で、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶であることが好ましい。特に、製膜性、透明性や耐候性の観点から、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体等が好ましい。
本発明の好ましい態様によれば、後述する光透過性基材の材料がセルローストリアセテート等のセルロース系樹脂の場合、熱可塑性樹脂の好ましい具体例としては、セルロース誘導体、例えば、ニトロセルロース、アセチルセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、エチルヒドロキシエチルセルロース等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂を用いる場合、必要に応じて、架橋剤、重合開始剤等の硬化剤、重合促進剤、溶剤、粘度調整剤等を更に添加して使用することができる。
ここで、調製直後のハードコート層用組成物における上記立方体状中空シリカ微粒子は、均一に分散している。しかしながら、該立方体状中空シリカ微粒子は、比重が樹脂成分よりも軽いため、上記塗膜を形成すると該塗膜中で光透過性基材の反対側に移動し、塗膜の上方に偏在した状態となる。そして、このような塗膜を硬化させることで、上述したような立方体状中空シリカ微粒子が上層に偏在したハードコート層を形成することができる。
上記立方体状中空シリカ微粒子をより上層に偏在させるには、上記ハードコート層用組成物における樹脂成分として粘度が低いモノマーを用いることが好ましく、形成するハードコート層の硬度の面からも考慮すれば、例えば、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレートを用いることが好ましい。
また、上記塗膜の乾燥方法、電離放射線照射方法及び加熱方法としては特に限定されず、従来公知の方法が挙げられる。
また、上記塗膜の乾燥をして後述する溶剤を除去した後、硬化させる前に熱をかけ該塗膜に含まれる樹脂成分の粘度を下げることにより流動性を上げることで、上記立方体状中空シリカ微粒子を塗膜の上層により好適に偏在させることができる。
上記溶剤としては特に限定されず、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、ベンジルアルコール、PGME等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘプタノン、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル、PGMEA等のエステル;ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン等のアミド;ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル;1−メトキシ−2−プロパノール等のエーテルアルコール等が挙げられる。なかでも、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン、イソプロピルアルコール(IPA)、n−ブタノール、s−ブタノール、t−ブタノール、PGME、PGMEAが好ましい。
上記その他の成分としては、例えば、レベリング剤、架橋剤、硬化剤、重合促進剤、粘度調整剤、帯電防止剤、高屈折率剤、コロイダルシリカ等の高硬度・低カール材料、上述した以外の樹脂等が挙げられる。
上記光透過性基材は、平滑性、耐熱性を備え、機械的強度に優れたものが好ましい。光透過性基材を形成する材料の具体例としては、例えば、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートブチレート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボネート、又は、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、セルローストリアセテートが挙げられる。
また、トリアセチルセルロースの代替基材として旭化成ケミカルズ社製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
上記ヘイズは、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7136に準拠した方法により測定することができる。
上記ハードコート層を形成する方法としては、上述した通りである。
上記偏光素子と本発明の光学積層体とのラミネート処理においては、光透過性基材(好ましくは、トリアセチルセルロースフィルム)にケン化処理を行うことが好ましい。ケン化処理によって、接着性が良好になり帯電防止効果も得ることができる。
上記画像表示装置は、LCD、PDP、FED、ELD(有機EL、無機EL)、CRT、タブレットPC、タッチパネル、電子ペーパー等の画像表示装置であってもよい。
このため、本発明の光学積層体は、陰極線管表示装置(CRT)、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、電子ペーパー、タッチパネル、タブレットPC等に好適に適用することができる。
透過性基材(厚み60μmトリアセチルセルロース樹脂フィルム;富士写真フィルム社製、TF60UL)を準備し、該光透過性基材の片面に、以下のハードコート層用組成物を塗布して塗膜を形成した。次いで、温度70℃の熱オーブン中で30秒間乾燥(無風乾燥)し、さらに温度100℃の熱オーブン中で30秒間加熱して塗膜中の溶剤を蒸発させ、ドライ膜厚7μmとなるようにし、その後、紫外線を積算光量が200mJ/cm2となるように照射して塗膜を硬化させてハードコート層を形成し、光学積層体を製造した。
ペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)(日本化薬社製;PET30)
90質量部
立方体状中空シリカ微粒子(一辺100nm、外郭の厚み7nm) 10質量部
光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製) 4質量部
溶剤(MEK) 100質量部
レベリング剤(F477、DIC社製、F系レベリング剤) 0.1重量部
芯粒子としての炭酸カルシウム微粒子を、エタノール蒸留水に混合して分散させ、ここにテトラエトキシシラン、尿素及びウレアーゼを添加して振とう攪拌し、テトラエトキシシランを加水分解及び脱水、縮合重合させて芯粒子表面にシリカを被覆させた。その後、エタノールで洗浄して余分なテトラエトキシシラン、尿素及びウレアーゼを洗い流し、乾燥させることによって、シリカで被覆された炭酸カルシウム微粒子を得て、この微粒子を、蒸留水に再分散させて、希塩酸(3mol/L)を添加する酸処理を行うことによって、芯粒子である炭酸カルシウム微粒子を溶解、除去して、シリカを外郭とする立方体状中空シリカ微粒子を得た。
なお、立方体状中空シリカ微粒子の一辺の大きさ及び外郭の厚みは、使用する芯粒子の大きさ、及び、該芯粒子をシリカで被覆する際の処理の条件を適宜調整することで、任意に制御することがきた。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺80nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺120nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺50nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺180nm、外郭の厚み7nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺100nm、外郭の厚み5nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物における立方体状中空シリカ微粒子として、一辺100nm、外郭の厚み13nmのものを用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を20質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を80質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を5質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を95質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物におけるペンタエリスリトールトリアクリレートに代えて、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製;DPHA)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を70質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
塗膜の乾燥温度を100℃とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
塗膜の乾燥温度を50℃とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
塗膜の乾燥条件を、風を当てながら100℃で30秒乾燥させた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中実シリカ微粒子(日産化学社製、直径12nm、商品名:MIBKSD)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中実シリカ微粒子(CIKナノテック社製、直径250nm 商品名:E65)を用い、球状中実シリカ微粒子の配合量を30質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を70質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子に代えて、球状中空シリカ微粒子(直径55nm、外郭の厚み7nm)を用いた以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を50質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を50質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
ハードコート層用組成物において、立方体状中空シリカ微粒子の配合量を1質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレートの配合量を99質量部とした以外、実施例1と同様にしてハードコート層を光透過性基材上に形成し、光学積層体を製造した。
各光学積層体をハードコート層の厚み方向に切断し、ハードコート層の断面電子顕微鏡観察を行い、ハードコート層の断面に現れたシリカ微粒子のうち、光透過性基材と反対側界面からハードコート層の厚みの3分の1μmでの領域に含まれるシリカ微粒子の割合を算出した。
各光学積層体のハードコート層の表面から突出したシリカ微粒子の距離を、電子顕微鏡観察にて10点測定した平均値として求めた。
各光学積層体のハードコート層表面を、#0000番のスチールウール(商品名:BON STAR、日本スチールウール社製)を用いて、摩擦荷重を変化させ、10往復摩擦し、その後の塗膜の傷、剥がれの有無を目視し下記の基準にて評価した。
○:500g/cm2で傷なし
×:500g/cm2で傷又は塗膜の剥がれがあった
測定側である、各光学積層体のハードコート層を設けた側とは反対側に、黒ビニールテープ(ヤマトビニールテープNo 200−38−21 38mm幅を貼った後、反射率測定装置(V7100型VAR−7010 日本分光社製)を用いて、光学積層体の表面への5°正反射率(%)を測定した。
実施例、比較例及び参考例に係る光学積層体を、1330mm幅の光透過性基材を用い、クリーンルーム室内(室温25度、湿度50%の環境内で、3900m/分でハードコート層用組成物を塗工)で製造し、巻き取った。
巻取り後、同じくクリーンルーム内で、24時間経過後に、巻返して、ロール内部の貼り付きの状況を評価した。
○:貼り付き発生なし
×:貼り付き発生あり
各光学積層体の全光線透過率について、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号;HM−150)を用いてJIS K−7361(全光線透過率)に準拠した方法により測定し、以下の基準にて評価した。
○:全光線透過率が90%以上
×:全光線透過率が90%未満
各光学積層体のヘイズを、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所製、製品番号:HM−150)を用いて、JIS K−7361に準拠して測定した。
一方、立方体状中空シリカ微粒子がハードコート層中で偏在していなかった比較例1に係る光学積層体、及び、直径が12nmの球状中空シリカ微粒子を用いた比較例2に係る光学積層体は、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
また、直径が250nmの球状中実シリカ微粒子を用いた比較例3に係る光学積層体は、耐擦傷性、反射率、全光線透過率及びヘイズの各評価に劣っていた。
また、参考例1に係る光学積層体は、立方体状中空シリカ微粒子の一辺の大きさが小さすぎたため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
また、参考例2に係る光学積層体は、ハードコート層のおける立方体状中空シリカ微粒子の配合量が多かったため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が大きく突出しており、耐擦傷性、透過率及びヘイズの各評価に劣っていた。
また、参考例3に係る光学積層体は、ハードコート層のおける立方体状中空シリカ微粒子の配合量が少なかったため、ハードコート層表面から該球状中空シリカ微粒子が殆ど突出しておらず、耐擦傷性、反射率及び耐ブロッキング性の各評価に劣っていた。
Claims (7)
- 光透過性基材の一方の面上に、ハードコート層を有する光学積層体であって、
前記ハードコート層は、立方体状中空シリカ微粒子を含有し、
前記立方体状中空シリカ微粒子は、前記ハードコート層の上層に偏在しており、該立方体中空シリカ微粒子の一部が前記ハードコート層の表面から突出している
ことを特徴とする光学積層体。 - 立方体状中空シリカ微粒子は、1次粒子の一辺が30〜200nmであり、外郭の厚みが3〜15nmである請求項1記載の光学積層体。
- ハードコート層の光透過性基材と反対側界面から、該ハードコート層の厚みの3分の1までの領域に、立方体状中空シリカ微粒子の70〜100%が含有されている請求項1又は2記載の光学積層体。
- ハードコート層中の立方体状中空シリカ微粒子の含有量が、前記ハードコート層を構成する樹脂成分と前記立方体状中空シリカ微粒子との合計100質量部に対し、0.5〜20質量部である請求項1、2又は3記載の光学積層体。
- 立方体状中空シリカ微粒子は、ハードコート層の表面から角部分が10〜200nmの範囲で突出している請求項1、2、3又は4記載の光学積層体。
- 偏光素子を備えてなる偏光板であって、
前記偏光板は、前記偏光素子表面に請求項1、2、3、4又は5記載の光学積層体を備えることを特徴とする偏光板。 - 請求項1、2、3、4若しくは5記載の光学積層体、又は、請求項6記載の偏光板を備えることを特徴とする画像表示装置。
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