JP2014074679A - 液膜観察装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】所望の自立液膜を容易に形成し、その液膜の経時変化を横方向から観察することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
【解決手段】液を供給するステージ2と上下に動く引き上げ用バー3とを有し、引き上げ用バー3を降下させてステージ2上の液面9と接触させ、しかる後引き上げ用バー3を上に引き上げることで液膜を形成し、その液膜を側面から観察できるようにしたことを特徴とする液膜観察装置であって、前記液供給ステージ2が、表面エネルギーが高く濡れ性が良い凹み部分と、凹み部分の周囲に表面エネルギーが低く濡れ性の悪い部分とを備える液膜観察装置である。
【選択図】図1
【解決手段】液を供給するステージ2と上下に動く引き上げ用バー3とを有し、引き上げ用バー3を降下させてステージ2上の液面9と接触させ、しかる後引き上げ用バー3を上に引き上げることで液膜を形成し、その液膜を側面から観察できるようにしたことを特徴とする液膜観察装置であって、前記液供給ステージ2が、表面エネルギーが高く濡れ性が良い凹み部分と、凹み部分の周囲に表面エネルギーが低く濡れ性の悪い部分とを備える液膜観察装置である。
【選択図】図1
Description
本発明は、自立しているとみなせる液膜を横方向から観察する装置に関するものである。
基板などに塗布された液膜について、その物性や蒸発特性を測定することは非常に重要である。例えば、塗布・乾燥時の液膜の物性や蒸発速度を知ることで、液膜内部の流動状態がどう変化していくかを知ることが可能となる。液膜内部が温度対流を起こしているかどうかはレイリー数という無次元数から見積もることが可能だが、この無次元数を算出すには、液膜の粘度や厚みが必要である。
また、蒸発特性によっては、液膜が不均一になる、液膜深さ方向に濃度分布が出来ることで蒸発が抑制される、などの問題が発生する。特定条件下での液膜の蒸発特性を正しく知ることで、乾燥プロセス上での問題を正しく把握でき、改善していくことが可能となる。
また、特に液膜が非常に薄い薄膜である場合、バルクと特性が異なる場合が多く、バルクでの測定を前提とした一般的な物性測定装置では、薄膜が形成されている際の正確な物性と異なる可能性がある。そのため、薄膜が形成されている時の物性を直接測る物性測定方法が提案されている。
例えば、特許文献1では、インクジェットで微小液滴を吐出し、液滴の質量もしくは体積を測定することで蒸発特性を測定する方法が開示されている。
また、特許文献2では、ノズルヘッドから吐出した液滴で振動板上に液膜を形成し、振動板の共振特性の変化量を測定することで液膜界面の粘性特性を測定する方法が開示されている。
しかし、測定対象となる液膜について、所望の膜厚を迅速に形成し詳細に観察することは困難であった。ダイコーターやバーコーターなどを用いて塗布する場合、有る程度成り行きとなってしまうため正確に所望の膜厚とすることは困難であり、吐出で液膜を形成する場合でも、液膜形成に使用する吐出前の液量を制御することは出来るが、吐出してから着弾するまでの乾燥を正確に把握することが難しいためである。
基板などに塗布される液膜は、用途に応じて厚みが異なり、さらに乾燥に応じて厚みも変化していくため、特定の厚みの時の物性や乾燥特性を知ることが重要であるが、液膜が数十μm程度といった薄い膜である場合、塗布した膜の厚みが本当に所望の膜厚となっているかを確認することは難しい。塗布された液膜の重量から平均厚みを算出することは可能だが、薄膜であるために塗布される液量自体が少なく、大面積を塗布しなければ正確な重量は測り難いが、逆に大面積を塗布してしまうと、塗布する液膜が大面積内で均一とな
っているかが問題となる。また、塗布面の側面から観察しようとした場合でも、液滴であれば基材と液滴の区別は容易に付き観察は行いやすいが、全面に綺麗に塗布された液膜は基材と液膜の区別も付き難く正確なその時の膜厚が分かりにくい。さらに、基材との濡れ性によって形状の異なるメニスカスが端部に形成される影響や、塗布される基材に不均一性があればそれも強く反映されてしまう、などの要因があるため、側面からの撮影で正確に測定が出来ているか判断することは難しい。
っているかが問題となる。また、塗布面の側面から観察しようとした場合でも、液滴であれば基材と液滴の区別は容易に付き観察は行いやすいが、全面に綺麗に塗布された液膜は基材と液膜の区別も付き難く正確なその時の膜厚が分かりにくい。さらに、基材との濡れ性によって形状の異なるメニスカスが端部に形成される影響や、塗布される基材に不均一性があればそれも強く反映されてしまう、などの要因があるため、側面からの撮影で正確に測定が出来ているか判断することは難しい。
さらに、数十μm程度の厚みの薄膜が乾燥していくのに伴う物性の変化を見る場合、乾燥量が非常に微小な重量であるために正確に測ることは難しく、この結果を膜厚に結び付けることは難しい。さらに、塗布する基材との濡れ性によっては、乾燥中に部分的に基材が露出してしまうこともある。そのため、所望の膜厚になった瞬間を狙って物性を測定することや、得られたデータを正しく解釈することが難しい。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、所望の自立液膜を容易に形成し、その液膜の経時変化を横方向から観察することが可能な測定装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、液を供給するステージと上下に動く引き上げ用バーとを有し、引き上げ用バーを降下させてステージ上の液面と接触させ、しかる後引き上げ用バーを上に引き上げることで液膜を形成し、その液膜を観察できるようにしたことを特徴とする液膜観察装置としたものである。
また、請求項2に記載の発明は、前記液膜を側面から観察し撮影できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液膜観察装置としたものである。
また、請求項3に記載の発明は、前記液供給ステージが、表面エネルギーが高く濡れ性が良い凹み部分と、凹み部分の周囲に表面エネルギーが低く濡れ性の悪い部分とを備えることを特徴とする請求項1に記載の液膜観察装置としたものである。
また、請求項4に記載の発明は、前記液膜を形成した後、液膜を変形させるために、引き上げ用バーを上下方向に振動させる機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液膜観察装置としたものである。
従来の液膜が何らかの支持基材と接触しているのに対して、請求項1に記載の発明によれば、支持基材とは無関係な位置に液の表面張力のみで自存する液膜を作り出しており、射影で見たときの膜厚や形状が間違いなく液膜そのものであることが保証される。それにより、支持基材の不均一性に左右されずに液膜の膜厚や形状が分かるため、条件と結果の紐付けが容易であり、再現実験なども容易に行うことができる。
さらに、本装置では引き上げ用バーを上下に移動することで薄膜を形成するため非常に短時間で薄膜を形成することが可能である。したがって、普通に薄膜を塗布してしまっては塗布している最中に大きく乾燥してしまう液膜についても、その観察が可能である。
さらにまた、本装置では引き上げ用バーを自由に上下移動させることができるため、液膜が乾燥して液量が減ってきた場合には、引き上げ用バーを下方に移動させることで膜厚を回復できるので、膜厚を一定に保ちながら観察をすることができる。そのため、支持基材に塗布したときのような膜切れが起きずに測定することができる。
請求項2に記載の発明によれば、液膜を側面方向から且つ膜形成時点から観察が可能であり、シャッタースピードが速い高速度カメラを用いることで、乾燥の極めて速い液体でも乾燥の様子を測定することができる。
請求項3に記載の発明によれば、液膜を作成するための液供給ステージが、表面エネルギーが高く濡れ性が良い凹み部分と、凹み部分の周辺に表面エネルギーが低く濡れ性の悪い部分とを持つことを特徴とする。
上記の構成を持つことにより、安定した液膜を短時間で作成することが出来る。上記のような構成ではない、例えば液供給ステージが濡れ性の良い平板である場合、平板側で液が濡れ広がったまま液膜を形成しようとしてしまうため、引き上げ用バーの液接触面とステージ面の間では表面張力により湾曲した形状が現れてしまう。濡れ性が他の部分と比べて良い凹み部分を作ることで、液供給ステージ側での濡れ広がりが抑制され、引き上げ用バーの接触面と凹み部分を結ぶような湾曲の少ない液膜が形成される。
上記の構成を持つことにより、安定した液膜を短時間で作成することが出来る。上記のような構成ではない、例えば液供給ステージが濡れ性の良い平板である場合、平板側で液が濡れ広がったまま液膜を形成しようとしてしまうため、引き上げ用バーの液接触面とステージ面の間では表面張力により湾曲した形状が現れてしまう。濡れ性が他の部分と比べて良い凹み部分を作ることで、液供給ステージ側での濡れ広がりが抑制され、引き上げ用バーの接触面と凹み部分を結ぶような湾曲の少ない液膜が形成される。
請求項4に記載の発明によれば、液膜を形成した後、引き上げ用バーを上下に運動させることで液膜を変形させ、液膜の変形の様子を高速度カメラで撮影することができるので、変形に関る緩和時間の測定ができる。
市販されている粘度計や表面張力計などはバルクの物性を測るためのものであり、薄膜の状態での物性を直接測ることは不可能であるが、本測定方法では引き上げ用バーを上下させたときの液の変形速度が液の表面張力や粘度に依存することを利用し、変形の緩和時間から薄膜の物性を直接求めることが可能である。
市販されている粘度計や表面張力計などはバルクの物性を測るためのものであり、薄膜の状態での物性を直接測ることは不可能であるが、本測定方法では引き上げ用バーを上下させたときの液の変形速度が液の表面張力や粘度に依存することを利用し、変形の緩和時間から薄膜の物性を直接求めることが可能である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明に係る物性測定装置の構成を示す模式図である。図1において、物性測定装置1は、液を供給するステージ2と、ステージ2の液膜と接触させて液膜を引き上げ用バー3と、ステージ3を上下に動かすための駆動機構4と、引き上げ用バー3の上下の移動を制御するための引き上げ用バー動作制御パネル5と、引き上げられた液を観察するカメラ6と、カメラで撮影した結果を保存するためのストレージ7と、カメラでの撮影を行うために必要な光源8とを備えている。さらに、液を供給するステージ2上に、測定対象となる液9が貯留されている。
図1は本発明に係る物性測定装置の構成を示す模式図である。図1において、物性測定装置1は、液を供給するステージ2と、ステージ2の液膜と接触させて液膜を引き上げ用バー3と、ステージ3を上下に動かすための駆動機構4と、引き上げ用バー3の上下の移動を制御するための引き上げ用バー動作制御パネル5と、引き上げられた液を観察するカメラ6と、カメラで撮影した結果を保存するためのストレージ7と、カメラでの撮影を行うために必要な光源8とを備えている。さらに、液を供給するステージ2上に、測定対象となる液9が貯留されている。
図2は、本発明の物性測定装置1に用いられる、インキを供給するステージ2と、ステージ2の液面と接触させて液膜を形成する引き上げ用バー3とで、引き上げ用バー3を上下動させることで液膜を形成する工程を示した模式図である。引き上げ用バー3が下に移動することでステージ3の凸部に液が付着し、引き上げ用バー3が上に移動することで、ステージ2と引き上げ用バー3の間に液膜10が形成される。
図3は、物性測定装置1に用いられる、インキを供給するステージ2の構成について示した模式図である。液膜を形成する際に湾曲したメニスカスを発生させないため、表面エネルギーが高く濡れ性の良くなる凹み部分11と、表面エネルギーが低く濡れ性の悪くなる部分12とに分かれている。これにより、引き上げ用バー3を上下動させたときに濡れ
性の悪い12部分に液が残らないため湾曲した液面が形成されず、引き上げ用バー3と凹み部分11とで所望の液膜が形成される。
性の悪い12部分に液が残らないため湾曲した液面が形成されず、引き上げ用バー3と凹み部分11とで所望の液膜が形成される。
図4は、実際に形成された液膜を高速度カメラを用いて撮影した画像であり、L1が150μm、L2が45μmの引き上げ用バーを用いている。インキを供給するステージ2と引き上げ用バー3の間で液膜10が形成されている。ただし、インキを供給するステージ2が鏡面であるため、ステージ2には液膜10と引き上げ用バー3が映し出され上下対象の図となっている。
[物性測定方法]
次に、この装置1を用いた液体材料の物性測定方法の例として、表面張力が既知の場合の粘度を測定する方法について説明する。
次に、この装置1を用いた液体材料の物性測定方法の例として、表面張力が既知の場合の粘度を測定する方法について説明する。
本方法では、液膜の形状を時系列に沿って高速度カメラで観察できるため、引き上げ用バーを上下させて液膜に変形を与えた後、液膜の変形が落ち着いて元の変形のない垂直に伸びた液膜に戻るまでの時定数を見ることで、物性を測定することが出来る。
液膜に与える変形は任意のもので良いが、例えば一定の速度での上下動を繰り返し、液膜に一定振幅の定在波を与えた場合を考える。このとき、この波の振幅が1/eとなる時間を表す時定数τは、以下のように与えられる。τ=3ηλ4/(γe0 3)
ただし、ここでηは粘度、λは波の波長、γは表面張力、e0は膜厚である。
本測定方法では液膜の様子を直接観察できるため、τ、λ、e0は測定により取得できる。液膜の表面張力γが既知とすれば、上式を用いて粘度ηが算出できる。
但し、測定中の液膜の乾燥は少ないものとする。
ただし、ここでηは粘度、λは波の波長、γは表面張力、e0は膜厚である。
本測定方法では液膜の様子を直接観察できるため、τ、λ、e0は測定により取得できる。液膜の表面張力γが既知とすれば、上式を用いて粘度ηが算出できる。
但し、測定中の液膜の乾燥は少ないものとする。
詳細は省略するが、本装置では、液膜の蒸発過程、特に液膜が減少していく様子を観察でき、且つ乾燥して液量が減ってくる場合、引き上げ用バーを下方に移動させることで膜厚が回復できる。したがって、同じ膜厚で濃度が変わったときの液膜特性について評価ができる可能性がある。一回の実験で複数濃度での結果を得ることが出来る。さらに液膜の生成が瞬時に行え、そのまま観察が可能であるため、蒸発が早く通常では塗布後の観察が難しい液でも、高速度カメラなどを用いて微少時間の観察が可能な環境を整えれば、容易に測定を行うことが可能となる。
図5は、蒸発の速いトルエン溶媒を用いて液膜が減少していく様子を高速度カメラで撮影した結果である。液膜10が蒸発していき、徐々に細くなっていく様子を観察することができた。
1…液膜観察装置
2…液供給ステージ
3…引き上げ用バー
4…引き上げ用バー動作機構
5…ステージ動作制御パネル
6…カメラ
7…ストレージ
8…光源
9…測定液
10…液膜
11…凹み部
12…濡れ性が悪い面
L1…引き上げ用バーの幅
L2…引き上げ用バーの高さ
2…液供給ステージ
3…引き上げ用バー
4…引き上げ用バー動作機構
5…ステージ動作制御パネル
6…カメラ
7…ストレージ
8…光源
9…測定液
10…液膜
11…凹み部
12…濡れ性が悪い面
L1…引き上げ用バーの幅
L2…引き上げ用バーの高さ
Claims (4)
- 液を供給するステージと上下に動く引き上げ用バーとを有し、引き上げ用バーを降下させてステージ上の液面と接触させ、しかる後引き上げ用バーを上に引き上げることで液膜を形成し、その液膜を観察できるようにしたことを特徴とする液膜観察装置。
- 前記液膜を側面から観察し撮影できるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の液膜観察装置。
- 前記液供給ステージが、表面エネルギーが高く濡れ性が良い凹み部分と、凹み部分の周囲に表面エネルギーが低く濡れ性の悪い部分とを備えることを特徴とする請求項1に記載の液膜観察装置。
- 前記液膜を形成した後、液膜を変形させるために、引き上げ用バーを上下方向に振動させる機構を備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の液膜観察装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012222869A JP2014074679A (ja) | 2012-10-05 | 2012-10-05 | 液膜観察装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publication Number | Publication Date |
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JP2014074679A true JP2014074679A (ja) | 2014-04-24 |
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JP2012222869A Pending JP2014074679A (ja) | 2012-10-05 | 2012-10-05 | 液膜観察装置 |
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JP (1) | JP2014074679A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110132796A (zh) * | 2019-05-22 | 2019-08-16 | 中国石油大学(北京) | 页岩三维接触角及润湿非均质性评价系统 |
-
2012
- 2012-10-05 JP JP2012222869A patent/JP2014074679A/ja active Pending
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