JP2014074659A - 異常検出前処理装置および方法ならびにプログラム、それを備えた異常検出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正常時に測定された所定期間内の2変数以上に関する分布データが、正規分布に従った分布になるか否かを判定する判定部1と、正規分布に従う分布でないと判定された場合に、分布データをフィッティングさせる複数の仮の非線形モデルと、それぞれの仮の非線形モデルの回帰分析の結果とに基づいて、分布データを補正する補正項を算出する補正項算出部2と、補正項で補正した分布データが最も正規分布に従う分布をもたらす仮の非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、異常検出モデルに基づいて算出された補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する選定部3とを具備する。
【選択図】図3
Description
例えば、信号値を足し合わせて平均を取るなどの処理を行えば、データは中心極限定理から正規分布に近づくので、異常検知の目的に沿わせることに拘らなければ、正規分布に近づける方法はある。しかしながらその場合には、判定すべき異常信号までもが正規分布に近づくこととなり、異常信号が有している特徴が変わってしまい、異常検知の目的には沿わず、上記問題を解決できなかった。
本発明は、正常時に測定された所定期間内の2変数以上に関する分布データが、正規分布に従った分布になるか否かを判定する判定手段と、正規分布に従う分布でないと判定された場合に、前記分布データをフィッティングさせる複数の仮の非線形モデルと、それぞれの仮の前記非線形モデルの回帰分析の結果とに基づいて、前記分布データを補正する補正項を算出する補正項算出手段と、前記補正項で補正した前記分布データが、最も正規分布に従う分布をもたらす仮の前記非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、該異常検出モデルに基づいて算出された前記補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する選定手段とを具備する異常検出前処理装置を提供する。
このように、正常データの正規分布性を定量的に評価し、正規分布でないと判定された場合に、それを正規分布に従うように補正することにより、正常時から外れたデータ(つまり、異常データ)を精度よく検出することができる。また、正常時に測定されたデータのみを用いるので、正常データと異常データとを利用する方法と比較して、簡便である。
また、従来のように、例えば信号値を加算して平均値を求める等の操作をして正規分布に従わせる場合とは異なり、本発明は、非線形モデルを線形モデルに回帰させることによって、正規分布に従うか否かを判定するので、元となる分布データの特徴が失われることがない。
これにより、仮の非線形モデルにフィッティングさせる時間を低減できる。
また、本実施形態では、異常検出前処理装置10を、ガスタービンを監視する監視センターに設け、ガスタービンの異常の検出に用いる場合を想定して説明するが、本発明はこれに限定されない。
図2に示すように、本実施形態に係る異常検出装置20は、コンピュータシステム(計算機システム)であり、CPU(中央演算処理装置)11、RAM(Random Access Memory)等の主記憶装置12、補助記憶装置13、キーボードやマウスなどの入力装置14、及びディスプレイやプリンタなどの出力装置15、外部の機器と通信を行うことにより情報の授受を行う通信装置16などを備えている。
補助記憶装置13は、コンピュータ読取可能な記録媒体であり、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等である。この補助記憶装置13には、各種プログラム(例えば、異常検出前処理プログラム)が格納されており、CPU11が補助記憶装置13から主記憶装置12にプログラムを読み出し、実行することにより種々の処理を実現させる。
記憶部4は、ガスタービン設備31の複数箇所に設けられる計測器から得られた所定期間内の測定データ(運転データ)が記憶されている。測定データには、例えば、ガスタービンの起動時など、正常データが特にバラつく非定常的な状態で測定された所定期間内の運転データと、ガスタービン設備の正常異常の判定対象となる運転データとが含まれる。また、本実施形態においては、ガスタービン設備の複数箇所とは、例えば、燃焼器、圧縮機等であり、測定データは、それら複数箇所から得られる温度や圧力値等の情報である。
具体的には、補正項算出部2は、仮の非線形モデルと、仮の非線形モデルの回帰直線との差を補正項として算出する。
図4は、2次関数y=fN(x)と、この2次関数の回帰直線y=fL(x)=ax+bとを示している。補正項算出部2は2次関数と回帰直線との偏差を下記(1)式により算出する。
Δyi=fN(xi)−(axi+b) (1)
分布データ(xi,yi)を補正する場合には、上記(1)式により決定されたΔyiを補正項とし、以下(2)式のように補正してyi(new)に変換する。
yi(new)=yi−Δyi (2)
選定部3は、補正項で補正した分布データが、最も正規分布に従う分布をもたらす仮の非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、異常検出モデルに基づいて算出された補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する。換言すると、選定部3は、仮の非線形モデル毎に算出された補正項によって補正した分布データの正規分布性をそれぞれ比較し、最も正規分布性を持つ仮の非線形モデルとその仮の非線形モデルから算出された補正項とを、異常検出に用いる非線形モデルおよび補正項として選定する。
異常検出部21は、記憶部4から判定データを読み出し、異常検出前処理装置10の選定部3によって選定された異常検出補正項に基づいて判定データを補正した補正判定データを算出し、補正判定データをマハラノビス距離に基づいて異常か否かを判定する。また、異常検出部21は、マハラノビス距離に閾値を設け、閾値以下であれば正常とし、閾値より大きい場合には異常として判定する。
ガスタービン設備31からガスタービンの運転に関する運転データが所定のタイミングで遠隔地の監視センター30に出力され、監視センター30の異常検出装置20によって運転データが取得される。異常検出装置20は、取得した運転データを記憶部4に記憶させる(図5のステップSA1)。
異常検出装置20の異常検出部21は、記憶部4から判定データを読み出し、選定部3から取得した異常検出補正項に基づいて判定データを補正した補正判定データが算出される。補正判定データがマハラノビス距離の所定閾値と比較され、閾値以下であれば正常とし、閾値より大きい場合には異常として判定される。
図6(a)に、記憶部4から読み出された正常時の分布データ(図示略)の、正規確率プロットによる正規分布性が示されている。正規分布に従う分布であるか否かの判定により、正規分布に従った分布でないと判定された場合に、記憶部4から読み出された正常時の分布データのうち所定数のデータを、2次元モデルでフィッティングしたのが図6(b)である。
図7(a)は、分布データ補正前の正規確率プロットであり、図7(d)は三角関数モデルで分布データ補正後の正規確率プロットを示している。これにおいても、図7(a)より図7(d)の方が、正規分布らしさが向上していることがわかる。
また、正常データが正規分布から離れていると判定されても、異常データの特徴を変えることなく、正常データを正規分布に従わせるように補正できる。
また、異常検出前処理装置10により補正項がひとたび選定されると、異常検出装置20は、その補正項を用いて判定データを変換し、所定の2変数に対する判定データの正常異常を判定することができるので、時間経過に伴うそこからの多少の変化や、判定データの判別そのものには大きな計算負荷がかからず、簡便に処理できる。
また、上記実施形態においては、監視員により選定された2変数に関して正規分布に従うか否かの判定と補正項算出を開始していたが、これに限定されず、記憶部4に記憶されている複数箇所(例えば、200箇所)から収集した測定データを全通りの組み合わせの2次元ペアずつ正規分布性の判定と補正項の算出を行う処理を予め行い、その結果を記憶部4に記憶させ、結果だけを適宜読み出すこととしてもよい。
a,bはn次元ベクトルとし、tは直線の1次元パラメータとし、回帰直線をx=at+bとする。f(x)=0の中心cN、at+bの中心b(t=0)をデータ群の中心近傍に取ることとする。f(x)=0をcNから単位長さのベクトル{df/ds_i}で、折れ線近似する。ここで、sは曲線の1次元パラメータであり、プラス側およびマイナス側に動くものとする。
このように、本発明は、分布データが何次元のパターンであっても、簡便に補正項を求めて正規分布に従う分布とし、マハラノビス距離の判定に馴染みのよい分布が得られる。
2 補正項算出部
3 選定部
4 記憶部
10 異常検出前処理装置
20 異常検出装置
21 異常検出部
100 監視システム
Claims (6)
- 正常時に測定された所定期間内の2変数以上に関するに関する分布データが、正規分布に従った分布になるか否かを判定する判定手段と、
正規分布に従う分布でないと判定された場合に、前記分布データをフィッティングさせる複数の仮の非線形モデルと、それぞれの仮の前記非線形モデルの回帰分析の結果とに基づいて、前記分布データを補正する補正項を算出する補正項算出手段と、
前記補正項で補正した前記分布データが、最も正規分布に従う分布をもたらす仮の前記非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、該異常検出モデルに基づいて算出された前記補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する選定手段と
を具備する異常検出前処理装置。 - 前記補正項算出手段は、仮の前記非線形モデルと、仮の前記非線形モデルの回帰直線との差を前記補正項として算出する請求項1に記載の異常検出前処理装置。
- 前記補正項算出手段は、正規分布に従う分布でないと判定された前記分布データのうち、所定数選定された前記分布データを複数の仮の前記非線形モデルにフィッティングさせる請求項1または請求項2に記載の異常検出前処理装置。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の異常検出前処理装置と、
前記異常検出前処理装置の前記選定手段によって選定された前記異常検出補正項に基づいて、正常異常の判定対象となる測定データである判定データを補正した補正判定データを算出し、前記補正判定データをマハラノビス距離に基づいて、異常か否かを判定する異常検出手段と
を具備する異常検出装置。 - 正常時に測定された所定期間内の2変数以上に関する分布データが、正規分布に従った分布になるか否かを判定する第1過程と、
正規分布に従う分布でないと判定された場合に、前記分布データをフィッティングさせる複数の仮の非線形モデルと、それぞれの仮の前記非線形モデルの回帰分析の結果とに基づいて、前記分布データを補正する補正項を算出する第2過程と、
前記補正項で補正した前記分布データが、最も正規分布に従う分布をもたらす仮の前記非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、該異常検出モデルに基づいて算出された前記補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する第3過程と
を有する異常検出前処理方法。 - 正常時に測定された所定期間内の2変数以上に関する分布データが、正規分布に従った分布になるか否かを判定する第1処理と、
正規分布に従う分布でないと判定された場合に、前記分布データをフィッティングさせる複数の仮の非線形モデルと、それぞれの仮の前記非線形モデルの回帰分析の結果とに基づいて、前記分布データを補正する補正項を算出する第2処理と、
前記補正項で補正した前記分布データが、最も正規分布に従う分布をもたらす仮の前記非線形モデルを、異常検出で使用する場合の異常検出モデルとして選定し、該異常検出モデルに基づいて算出された前記補正項を異常検出に用いる異常検出補正項として選定する第3処理と
をコンピュータに実行させるための異常検出前処理プログラム。
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