JP2014073948A - 超伝導化合物とその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】銅酸化物系、鉄系等に代表される高温超伝導体ではTcは高いものの、結晶の異方性が大きく、粒界弱結合により大きなJcを持つ線材を作製することが難しい。金属や合金系材料では線材化は比較的容易であるが、低いTcのものしか得られていない。そこで、等方的な結晶構造を持ち、高いTcを有する化合物系超伝導体の開発が課題となっている。
【解決手段】化学式IrxCh2〔ここで、Chはカルコゲン元素(Se、Te)の少なくとも一種である。〕で表されるイリジウムカルコゲン化物において、xが0.75超、0.94以下の範囲であるIr欠損を持つ化合物か、この化合物のIrの一部をRhで置換した化合物からなり、パイライト(FeS2)型(空間群Pa−3)の結晶構造を有する
超伝導化合物。該超伝導化合物は、目的組成に合致した重量比に出発原料粉末を混合し、1GPa以上の高圧下において800℃以上で加熱することにより製造できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、パイライト構造を有する超伝導化合物及びその製造方法に関する。
1911年に水銀において超伝導現象が発見されて以来、数多くの金属(例えばPbやNb)、合金(例えばNb−Ti)、あるいは化合物(例えばNb3GeやMgB2)で超伝導現象が見出されてきた。この現象は現在、超伝導磁石や磁気センサ(SQUID)などとして実用化されている。また、高温超伝導体(ペロブスカイト層を持つ銅酸化物)が発見されて(非特許文献1)以来、より高い超伝導転移温度(Tc)を持つ物質の研究開発が活発に展開され、Tcが100Kを超える超伝導化合物も見出されてきた(非特許文献2、3)。
銅酸化物以外の物質についても、研究が活発に行われており、MgB2(Tc=39K
)(非特許文献4、特許文献1)、Na0.3CoO2・1.3H2O(Tc=5K)(非特
許文献5、特許文献2,3)などが見出されている。
本発明者らは、LaFeAsOが適切な元素置換により高温超伝導体となることを見出し、特許出願した(特許文献4)。これは現在、鉄系超伝導体(最も高いTcはGd0.7
Th0.3FeAsOの56K(非特許文献6))として総称されている一連の超伝導体の
先駆けとなった。
銅酸化物系、鉄系などの超伝導体群は強相関電子系化合物と呼ばれる伝導電子間の相互作用が大きな物質であり、d電子の数が特定の値の場合に高いTcを持つ超伝導体となる可能性が高いことが知られている。また強相関電子系は、遷移金属イオンを骨格構造に有する層状化合物で実現されている。
一方、銅酸化物系、鉄系などの高温超伝導体は、層状構造という異方性が強い結晶構造を持つため、粒界に超伝導弱結合が生じやすく、これが、高いTcという有利な特性にもかかわらず、実用化が進んでいない原因の一つとなっている。
実用化の面からは等方的な結晶構造を持ち、延性に富む金属や合金系が有利であるが、超電導磁石用コイルとして実用化されているNb−Ti合金でもTcは10Kであり、より高いTcを持ち、等方的結晶構造を持つ超伝導体が望まれている。
超伝導を示し、等方的結晶構造を持つ化合物としてはCuS2(Tc=1.5K)、C
uSe2(Tc=2.4K)、CuTe2(Tc=1.3K)のような立方晶パイライト構造を持つ材料が知られている(特許文献5、非特許文献7、8)。CuX2(X=S,S
e,Te:カルコゲン元素)に関する詳しい電子エネルギー解析によれば、伝導を担うフェルミエネルギー付近のバンドはアニオンであるカルコゲン元素のp軌道により形成され、イオン結合性が強く表れている(非特許文献9)。
パイライト構造はFeS2(鉱物名:パイライト)が持つ結晶構造を意味し、図1に示
されるように、金属元素(M、図1ではIrと表記している)が立方晶の面心及び頂点の位置を占め、カルコゲン元素(Ch)がCh2という分子状2量体を作って体心及び各陵
の中央位置を2量体の中心が占める。したがって、構造に対する組成式はMCh2となる
。一般的な場合、イオン価数はM2+−(Ch22-となる。
超伝導を発現するにはイオン結合性よりも共有結合性が強い物質が有利と考えられる。具体的にはRu,Rh、OsやIrのように、最外殻が3d軌道により構成されているCuやFe等よりも大きな原子番号を持ち、4d軌道や5d軌道により最外殻が構成されている遷移金属カルコゲン化物が有利と考えられる。これらのパイライト構造を持つTMX2(TM=Ru,Rh,Os,Ir)ではRh−Se系とRh−Te系及びIr−Te系
で超伝導が報告されている。
Rh−Se系では、Rh0.8Se2からRh1.25Se2の組成範囲においてパイライト構
造が見られ、Rh1.14Se2において最高の超電導転移温度Tc=6Kが報告されている
。またRh−Teでは化学量論組成であるRhTe2において、Tc=1.51Kが報告
されている(非特許文献10)。
Ir−Te系ではパイライト構造における化学量論組成MX2に比べて金属元素が不足
しているIr0.67Te2という物質がパイライト構造を持ちTc=1.13Kで超電導を
示すという報告がある。またこれよりは欠損量が少ないIr0.75Te2では超伝導が観測
されていない(非特許文献11)。またIr0.75Te2以上に欠損量が少ない組成では常
圧においてCdI2構造となり、パイライト構造を持つIr-Te系物質を製造することができない。
IrTe2についてはPtを添加したIr1-xPtxTe2がx=0.035においてTc=3.1Kを示すとの報告があるが、この物質は層状構造であるCdI2型結晶構造を持
ち、等方的ではない(非特許文献12,13,14)。
また、パイライト構造を持つIrTe2は20GPaの超高圧下においてCdI2構造を持つIrTe2をレーザ加熱することにより生じることが報告されているが詳細な加熱条
件や圧力条件はわかっていない(非特許文献15)。また、パイライト構造を持つIrTe2の物性も測られていない。
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大規模な超伝導送電、超伝導磁石などに用いられる超伝導線材の実用化を進めるには、高いTcだけでなく、大きな臨界電流(Jc)が得られるような超伝導材料が望まれている。銅酸化物系、鉄系等に代表される高温超伝導体ではTcは高いものの、結晶の異方性が大きく、粒界弱結合により大きなJcを持つ線材を作製することが難しい。金属や合金系材料では線材化は比較的容易であるが、低いTcのものしか得られていない。そこで、等方的な結晶構造を持ち、高いTcを有する化合物系超伝導体の開発が課題となっている。
上記課題を解決するため、本発明者らは等方的な立方晶系に属するパイライト型構造を有する化合物に注目し、物質探索を精力的に行った。パイライト型構造を有する超伝導体としてはCuX2(Ch=S,Se又はTe)がすでに知られているが、CuX2はイオン結合性が強い物質である。本発明者らはこれまでの超伝導体に関する開発研究の知見により、共有結合性がより強い化合物において、高いTcを実現できると考えた。共有結合は
原子容が大きな原子、具体的には3d軌道より外側の4dや5d軌道を最外殻とする遷移金属元素、で実現できるため、これら元素のカルコゲン化物を中心に探索を行った。
パイライト構造を有する遷移金属カルコゲン化物はMnと周期律表の8族より右側の遷移金属において見出されており、具体的には、常圧合成によりMn,Fe,Co,Ni,Cu,Zn,Ru,Rh,Cd,Os,Irにおいてパイライト構造が見出されている。ただし、IrにおいてはIr欠損を定比組成に対して25原子%以上含む組成でのみパイライト構造が確認されている。これ未満のIr欠損量の化合物は常圧合成でパイライト型結晶を製造することができず、CdI2型と呼ばれる層状構造を呈する結晶となる。
[背景技術]の項に記載したように、Rh−Se系、Rh−Te系及びIr−Te系において超伝導が報告されている。Ir−Te系における超伝導はIr欠損を多量に含むIr0.67Te2において見出されている。一方、これよりIr欠損量が少ないIr0.75Te2では超伝導体とならず半導体となる点から、本発明者らはIr0.75Te2が超伝導体母物質
である可能性があると考えた。ここで超電導母物質とはそれ自身は超伝導性を持たない、あるいは低いTcしか示さないものの、適切な処理(元素置換や添加、又は欠損や過剰原子の導入)により超伝導を発現することができる物質を意味する。そこで、従来パイライト構造が特殊条件(高圧下でのレーザ加熱)でしか得られていないIr0.75Te2よりも
Ir欠損量が少ない組成において、パイライト構造を実現する合成方法を探索した。
種々の実験の結果、1GPa以上の高圧下において800℃以上で加熱することにより、Ir0.95Ch2までの組成で、パイライト構造を実現でき、Tcは最高で7.2K(I
0.93Se2)であった。また、Irの一部をRhに置換することにより、(Ir0.58
0.36Se2)において最高でTc=9.6Kを得た。
すなわち、本発明は、(1)化学式IrxCh2〔ここで、Chはカルコゲン元素(Se、Te)の少なくとも一種である。〕で表されるイリジウムカルコゲン化物において、xが0.75超、0.94以下の範囲であるIr欠損を持つ化合物からなり、パイライト(FeS2)型(空間群Pa−3)の結晶構造を有することを特徴とする超伝導化合物であ
る。
また、本発明は、(2)化学式(Ir1-yRhyxCh2〔ここで、Chはカルコゲン元素(Se、Te)の少なくとも一種である。〕で表されるイリジウムカルコゲン化物においてxが0.75超、0.94以下、yが0.95以下の範囲であるIr欠損を持つ化合物からなり、パイライト(FeS2)型(空間群Pa−3)の結晶構造を有することを特
徴とする超伝導化合物、である。
また、本発明は、(3)上記(1)及び(2)項に記載される超伝導化合物の製造において目的組成に合致した重量比に出発原料粉末を混合し、1GPa以上の高圧下において800℃以上で加熱することを特徴とする、該超伝導化合物の製造方法、である。
Ir0.75Ch2は半導体であり、ここに含まれるIr欠損量を減少させることにより、
温度上昇とともに抵抗が増加する金属的電導体となる。これに伴い、超伝導を発生させることができる。得られたIr欠損を含むパイライト型超伝導化合物IrxCh2のIrの一部をRhに置換し、前記の化学式(Ir1-yRhyxCh2に示す化合物を合成することにより、Tcを変化させることができる。これによりTcを9.6Kまで上昇させることができる。
図1に、パイライト型IrCh2の結晶構造を示している。この構造では、Irが立方
晶の面心及び頂点の位置を占め、ChがCh2という分子状2量体を作って体心及び各陵
の中央位置を2量体の中心が占める。Tcは2量体の結合距離と相関しており、欠損量及び添加物が2量体の結合距離を制御して超伝導発現を導くとも推測できる。
本発明の超伝導化合物は、公知の超伝導化合物とは異なり、比較的高いTcを持つ上に、等方的結晶構造を有することにより実用に有利なものである。
IrCh2の結晶構造を示す構造模型である。 実施例1において得られたIrxSe2のxに対するTcとSe−Se結合距離の関係を表す図である。 実施例2において得られたIrxTe2のxに対するTcとTe−Te結合距離の関係を表す図である。 実施例3において得られた(Ir1-yRhy0.94Se2の0.94yに対するTcとSe-Se結合距離の関係を表す図である。
化合物の製造には純度99.9%以上のIr、Rh、Os、Ru、Se、Teの各粉末を出発原料とした。いずれの試薬も純度は高いほど望ましい。粉末の大きさは限定されないが、平均粒径50マイクロメートル以下のものが好ましい。
化学式IrxCh2、又は(Ir1-yRhyxCh2において目的組成に合致した重量比に出発原料粉末を混合し、六方晶窒化ホウ素焼結体(h-BN)により作製したカプセル内
にこの混合粉末を充填した。
本発明の化合物は、高圧合成装置を用いて、混合粉末を800℃以上の温度において、1GPa以上の圧力下で、20分以上3時間以下の加熱を行うことにより、目的化合物を得ることができる。 所定の温度、圧力での加熱が可能であれば、高圧合成装置の種類(ベルト式、マルチアンビル式など)は限定されない。
圧力が高ければ加熱温度は低くても不純物が少ない目的化合物を得ることができる。4GPa以上9GPa以下では1300℃以上の温度での加熱が不純物を減じるために好ましく、10GPa以上の圧力下では900〜1000℃での加熱で不純物を含まない目的化合物を得ることができる。4GPa未満では1500℃に温度を上げても不純物を減じることができなかった。加熱時間は20分未満では不純物が多く存在し、3時間以上の加熱は結晶相の構成、不純物量、合成物の特性に変化を与えることはなかった。ここで不純物は主にCdI2型のIrCh2及び未反応のIrである。
合成したIrxCh2及び(Ir1-yRhyxCh2はち密な多結晶体であった。得られた化合物は大気中で安定であり、切断、研磨などの作業を大気中で行うことが可能である。Ir0.75Ch2は温度上昇に伴い抵抗減少する半導体的伝導挙動を示し、これ以外の合成
した化合物は全て金属的伝導挙動と、低温において超伝導現象の発現が見られた。本発明における超電導現象の発現を評価するうえで重要なファクターとなったSe−Se又はTe−Te結合距離はX線回折測定結果を、リートベルト解析することにより得た。また組成はEPMAにより測定した。
次に実施例により本発明を詳細に説明する。
<IrxSe2の合成と超伝導>
純度99.9%、平均粒径30マイクロメートルのIr粉末と、純度99.9%(高純
度化学株式会社製)、平均粒径10マイクロメートルのSe粉末(高純度化学株式会社製)を化学式IrxSe2で示される所定比(Ir含有量xは、図2に示す)に混合し、この混合粉末をh-BN製カプセル(ベルト式用は内径6mm、川井式用は内径3mm)に充
填した。
該カプセルをベルト式高圧装置に設置し、5GPaの超高圧下で、1400℃で2時間加熱した。また、該カプセルを川井式マルチアンビル高圧装置に設置し、14GPaの超高圧下で900℃にて30分間加熱した。
得られた化合物はち密な多結晶体であり、これを1×1×3mmに加工し、4端子法により抵抗率を測定した。測定にはQuantum Design製PPMSを用い、300−3Kの範囲で測定を行った。Tcは、超電導転移により、抵抗率が減少を始める温度を採った。
図2に得られた化合物のTcとSe−Se結合距離を示す。xが大きいほど、すなわち、Ir欠損量が少ないほどTcは高く、Se−Se結合距離は長くなった。最高のTcは川井式マルチアンビル装置(14GPa、900℃、30分間加熱)で作成した、x=0.93において7.2Kであった。本製造条件ではx=0.94超の組成での単相化合物を得ることはできなかった。
<IrxTe2の合成と超伝導>
純度99.9%、平均粒径30マイクロメートルのIr粉末(高純度化学株式会社製)と、純度99.9%、平均粒径40マイクロメートルのTe粉末(高純度化学株式会社製)を化学式IrxTe2で示される所定比(Ir含有量xは、図3に示す)に混合し、この混合粉末をh-BN製カプセル(内径6mm)に充填した。
該カプセルをベルト式高圧装置に設置し、5GPaの超高圧下で、1400℃で2時間加熱した。
得られた化合物はち密な焼結体であり、これを1×1×3mmに加工し、4端子法により抵抗率を測定した。測定にはQuantum Design製PPMSを用い、300−3Kの範囲で測定を行った。Tcは、超電導転移により、抵抗率が減少を始める温度を採った。
図3に得られた化合物のTcとTe−Te結合距離を示す。xが大きいほど、すなわち、Ir欠損量が少ないほどTcは高く、Te−Te結合距離は長くなった。最高のTcはx=0.93において4.6Kであった。本製造条件ではx=0.94超の組成での単相化合物を得ることはできなかった。
<(Ir1-yRhy0.94Se2の合成と超伝導>
純度99.9%、平均粒径30マイクロメートルのIr粉末(高純度化学株式会社製)と純度99.9%、平均粒径30マイクロメートルのRh粉末(高純度化学株式会社製)及び純度99.9%平均粒径10マイクロメートルのSe粉末(高純度化学株式会社製)を化学式(Ir1-yRhy0.94Se2で示される組成において、y=0,0.10,0.
13,0.19,0.32,0.38,0.53,0.60,0.67,0.79,1.00になるように所定比に混合し、この混合粉末をh-BN製カプセル(内径6mm)に
詰めた。
該カプセルをベルト式高圧装置に設置し、5GPaの超高圧下で、1400℃で2時間加熱した。
得られた化合物はち密な焼結体であり、これを1×1×3mmに加工し、4端子法により抵抗率を測定した。測定にはQuantum Design製PPMSを用い、300−3Kの範囲で測定を行った。Tcは、超電導転移により、抵抗率が減少を始める温度を採った。
図4に得られた化合物のTcとSe−Se結合距離を示す。Tcはyの全領域において観測され、Rh含有量が0.36において最高値Tc=9.6Kを観測した。Se−Se結合距離はTcが高いものほど長く、これは、本発明における超伝導体のTcがIr欠損量やRhの置換量という以上に、Ch2二量体の結合距離に依存することを意味する。
本発明で新たに見出されたパイライト型結晶構造を持つイリジウムカルコゲン化物超伝導体及びイリジウムロジウムカルコゲン化物は、結晶構造から確認できる等方的物性を持つとともに、比較的高いTcを有する。このことから、超伝導線材への展開が期待できる。

Claims (3)

  1. 化学式IrxCh2〔ここで、Chはカルコゲン元素(Se、Te)の少なくとも一種である。〕で表されるイリジウムカルコゲン化物において、xが0.75超、0.94以下の範囲であるIr欠損を持つ化合物からなり、パイライト(FeS2)型(空間群Pa−3
    )の結晶構造を有することを特徴とする超伝導化合物。
  2. 化学式(Ir1-yRhyxCh2〔ここで、Chはカルコゲン元素(Se、Te)の少なくとも一種である。〕で表されるイリジウムカルコゲン化物において、xが0.75超、0.94以下、yが0.95以下の範囲であるIr欠損を持つ化合物からなり、パイライト(FeS2)型(空間群Pa−3)の結晶構造を有することを特徴とする超伝導化合物。
  3. 請求項1又は2に記載される超伝導化合物の製造において、目的組成に合致した重量比に出発原料粉末を混合し、1GPa以上の高圧下において800℃以上で加熱することを特徴とする、該超伝導化合物の製造方法。
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