JP2014073649A - 液滴吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに、インクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】正確な温度を検出でき、小型化ができコストアップせず、さらに信頼性を確保することが可能な液滴吐出ヘッドおよびこれを備えたインクジェット記録装置等を提供する。
【解決手段】複数のノズル2を有するノズルプレート1と、長手方向に配列された複数の個別液室3、個別液室3の上面に配置された振動板13、この振動板13を変形させ個別液室3に圧力を発生させる複数の圧電素子12を有する個別液室基板8と、インク供給ポート19と、測温抵抗体14とを有する液滴吐出ヘッドにおいて、インク供給ポート19を長手方向の中央に配置し、測温抵抗体14を個別液室基板8上の接続パッド23に近く、かつ、冷却源であるインク供給ポート19から離れた位置に配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ノズル孔等の穴部からインク液滴等の液体を吐出する液滴吐出ヘッド、その製造方法、この液滴吐出ヘッドを有するインクジェット記録装置に関する。
プリンタ、ファクシミリ、複写装置、プロッタ等の画像形成装置として、インク液滴を吐出する液滴吐出ヘッドを備えたインクジェット記録装置が知られている。このような液滴吐出ヘッドとして、ノズル孔と連通する個別液室に圧力変動を発生させることで、ノズル孔からインクを液滴させる方式があり、この方式では複数のものが実用化され、製品化されている。一例としては、個別液室内にヒータを設置することで液体を気化させ、圧力変動を利用するサーマルインクジェット方式、個別液室(圧力液室)にアクチュエータを設置する方式が挙げられる。また、アクチュエータを用いる手法としては、例えば、アクチュエータの種類により圧電素子方式、静電方式などが挙げられる。
アクチュエータを用いた方式では、幅広い物性のインクに対応可能である反面、液室配列の高密度化や記録ヘッドの小型化が困難とされていた。しかし、近年では、いわゆるMEMSプロセスを用いることで、高密度化する技術が確立されてきている。すなわち、個別液室に薄膜形成技術を用いて振動板、電極、圧電体等を積層したユニモルフ型アクチュエータとすることで、半導体デバイス製造プロセス(フォトリソグラフィ)を用いて個別の圧電素子と電極および配線とをパターニングする。この方式により、液室配列を高密度化することができる。
ここで、インクの吐出は温度によって、大きな影響を受けることが知られている。すなわち、温度が高いと同一の駆動条件下でもインクの粘度が低くなり、インクが飛び出しやすくなって、ノズルから吐出するインクの量が増加する。一方、温度が低いとインクの粘度が高くなり、上記と逆の現象が発生する。以上のことから、温度の変化に起因する画質変化を抑制するためには、記録ヘッドの温度を検出し、温度に対応した駆動エネルギーを記録ヘッドに供給する必要がある。
この温度を検出する手段として、熱電対、サーミスタ、測温抵抗体、ダイオードなど、市販されている温度センサを接着剤などでヘッドに組み付ける方法や、上記のような温度センサを記録ヘッド基板に作り込む方法などが知られている。このうち、コスト面や組み付けの工数、インクに近い場所を検出することなどを考慮すると、基板上に作りこむ方法が好ましい。すなわち、インクの温度を正確に検出するためには、記録ヘッド内の温度分布(場所による温度の違いのこと)を考慮する必要がある。これを考慮すると、記録ヘッドの構造上の制約があるため、市販の温度センサを記録ヘッドに組み付ける方法よりも、記録ヘッドの基板上にセンサを作り込む方法が好適である。また、このような温度センサを設けて製品化するにあたり、コストはできるだけ抑えたいという要望があるとともに、上記のように小型化が要求されることから、大型化するのは避けたいという要望もある。
ここで、記録ヘッド内の温度分布を小さくすることを目的として、ヒータで基板を加熱する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ヒータを設けた分、大型化は避けられないという問題がある。さらに、インク温度低い場合は温度分布の調整にはヒータによる加熱が有効であるが、逆にインク温度が高温である場合等は、ヒータによる温度分布の改善にも限度がある。また、温度分布がある場合には、温度センサをできるだけ多く配置する方法がある。しかし、この場合は、外部回路と駆動IC間が非常に複雑になり、例えば、記録ヘッドの基板上における外部回路との電気接続パッド数が増えるために、ヘッドが大型化してしまうという問題がある。
また、記録ヘッドと外部回路との接続パッドが、該記録ヘッドの長手方向の一端にある場合、記録ヘッドに投入される全電流が通過するために、接続パッドは相当な発熱をする。発熱源のひとつである接続パッドが、このように記録ヘッドの長手方向の一端にあるため、記録ヘッドは、接続パッド付近の温度が高くなりやすい。また、インクを外部から記録ヘッドに供給するために、記録ヘッドのフレーム部材には、インク供給ポートが貫通している。このインク供給ポートは、共通液室部材および保持基板に開口した共通液室に連通している。ここで、この供給ポートは共通液室の長手方向の中央にあるのが好ましい。
その理由としては、共通液室内での圧力損失を考慮すると、1つの共通液室に対してポートが1つの場合は中央にある場合が最もインク充填性が高くなるためである。そして、共通液室の長手方向中央にインク供給ポートがあると、常にこのインク供給ポートにはインクが供給されるため、付近では熱のやりとりが盛んになる。すなわち、接続パッド以外の発熱源である駆動ICや圧電素子が発熱しても、インク供給ポート付近はインクによって排熱が常に行われるため、温度が高くなりにくい。また、個別液室の基板上に温度センサを設けることを考えると、大型化を避けるためには温度センサは1つであることが好ましい。
しかしながら、上記のように発熱源が記録ヘッドの長手方向の一端にあること、長手方向中央に冷却源のインク供給ポートがあること、といった理由のため、基板上ではどうしても温度分布ができてしまう。温度分布がある場合、どのような駆動条件下でも記録ヘッド内の温度分布の中心値を検出できることが、理想的な温度検出である。すなわち、中心値以外を検出すると、検出温度と吐出されるインクとの温度差が大きくなってしまう。そのような場合に検出温度を補正することで中心値に近づけることも一般的に行われる。上述のような補正は、温度が定常状態では問題ないが、例えばプリンタ立ち上がり時や立下り時のような非定常時に誤差となってしまう。特に、1つの温度センサを配置する場合、通常は記録ヘッドの中央に配置することを考える。しかし、上述したように、中央は駆動条件によらず温度が高くなりにくいため、補正値が大きくなり、やはり非定常時は誤差が生じてしまう。そのため、単純に温度センサを1つにするだけでは、液滴吐出ヘッドの小型化を実現する困難である。
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、より正確に温度を検出することが可能で、温度センサ等の部品点数を低減して、小型化および低コスト化が可能な液滴吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに、液滴吐出ヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本願に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出する複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに連通し、複数配列された個別液室、および、各個別液室に圧力変動を発生させる複数の圧力発生手段を有する個別液室基板と、個別液室基板上の長手方向の一端に配置され、外部回路と接続される接続パッドと、個別液室に連通して該個別液室に液体を供給する供給ポートと、個別液室基板上に設けられた温度検出手段と、を備えた液滴吐出ヘッドであって、供給ポートは、複数の個別液室の配列方向の中央に設けられ、温度検出手段は、複数の個別液室の配列方向の中央と接続パッドとの間であって、個別液室の配列方向の中央よりも接続パッドに近い位置に配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、接続パッドが個別液室基板の長手方向の一端にあり、インク等の液体の供給ポートが長手方向の中央付近にある構成で、定常時であっても、プリンタ立ち上がり時や立下り時等の非定常時であっても、温度検出をより正確に行うことができる液滴吐出ヘッドおよびその製造方法、並びに、液滴吐出ヘッドを備えたインクジェットプリンタを提供することができる。その結果、小型高密度化及び高速化に対応することができる。
本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドの全体を表す斜視図である。 本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドからフレーム部材を取り除いた全体を表す斜視図であるある。 本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドの図1のX−X’線における拡大断面図である。 本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドの個別液室基板の保持基板側の面における上面図である。 本願の第1実施例の液滴吐出ヘッドを備えた一実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。 本願の第1実施例の液滴吐出ヘッドを備えた一実施形態の画像形成装置の要部の概略平面図である。 本願の第1実施例の液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置の変形例の全体構成を示す概略図である。
以下、本願に係る液滴吐出ヘッドの実施形態について説明する。本願に係る液滴突出ヘッドは、複数のノズルを有するノズルプレートと、ノズルに連通し、複数配列された個別液室、および、各個別液室に圧力変動を発生させる複数の圧力発生手段を有する個別液室基板と、個別液室基板上の長手方向の一端に配置され、外部回路と接続される接続パッドと、個別液室に連通し、該個別液室に液体を供給する供給ポートと、個別液室基板上に設けられた温度検出手段と、を備えて構成されている。そして、供給ポートは、複数の個別液室の配列方向の中央に設けられ、温度検出手段は、複数の個別液室の配列方向の中央と接続パッドとの間であって、個別液室の配列方向の中央よりも接続パッドに近い位置に配置されている。
以上のような構成により、温度検出手段によって、液滴吐出ヘッドの温度分布の中央値に近い値を検出することが可能となる。そのため、定常時でも、装置の立ち上がり時、立下り時等の非定常時でも、温度検出をより正確に行うことが可能となる。また、この正確な温度検出結果を用いることで、より正確な温度制御が可能となる。また、温度検出手段を設けるための専用のエリアを必要とせず、液滴吐出ヘッドの小型高密度化及び高速化にも対応することができる。
また、本願に係る液滴吐出ヘッドにおいて、温度検出手段は、複数の個別液室よりも、接続パッドに近い位置に配置されていることが望ましい。この構成により、供給ポートだけでなく個別液室内のインク等の液体によっても、温度検出手段が冷却されるのを良好に防ぐことができる。そのため、より正確な温度検出が可能となる。また、液滴吐出ヘッドの大型化も、より効果的に抑制することができる。
また、本願に係る液滴吐出ヘッドにおいて、温度検出手段は、何れのものを用いてもよいが、測温抵抗体であることが望ましい。測温抵抗体は、金属の電気抵抗率が温度に比例して変わることを利用したものであるため、液滴吐出ヘッドに組み込むことで、正確な温度検出を実現することができる。
また、本願に係る液滴吐出ヘッドは、温度検出手段で取得した温度検出結果に基づいて、圧力発生手段を制御する制御手段を、さらに備えていることが望ましい。この構成により、温度検出手段で検出した正確な温度検出結果を用いて、制御手段にて正確な温度制御が可能となる。そのため、より高品位印字が可能な液滴吐出ヘッドを提供することができる。
また、本願に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、複数のノズルを有するノズルプレートを形成する工程と、ノズルに連通する複数の個別液室を配列し、各個別液室に圧力変動を発生させる複数の圧力発生手段を設けて個別液室基板を形成する工程と、個別液室基板上の長手方向の一端に配置され、外部回路と接続される接続パッドを形成する工程と、個別液室に連通し、該個別液室に液体を供給する供給ポートを、複数の個別液室の配列方向の中央に形成する工程と、個別液室基板上の複数の個別液室の配列方向の中央と接続パッドとの間であって、個別液室の配列方向の中央よりも接続パッドに近い位置に温度検出手段を形成する工程と、等を有している。また、温度検出手段は、圧力発生手段の形成時と同時に形成することが望ましい。例えば、圧力発生手段として上部電極と圧電体と下部電極とからなる圧電素子を用いた場合、下部電極または上部電極のいずれかを個別液室基板上に形成する際に、これらと同時に温度検出手段を形成する。このように、温度検出手段を個別液室基板上に作り込むことで、より正確な温度検出が可能となる。また、温度検出手段を形成するための専用の部材やプロセスを必要とせず、コストアップも抑制することができる。
また、本願に係るインクジェット装置は、上述のような液滴吐出ヘッドを有して構成され、液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を被着媒体上に着弾させるものである。このような構成により、正確な温度検出、コスト抑制、大型化の抑制、正確な温度制御が実現可能なインクジェット装置を提供することができる。
また、本願に係るインクジェット装置は、液滴として画像形成用インクが用いられ、被着媒体として記録媒体が用いられるものであってもよい。この構成により、正確な温度検出、コスト抑制、大型化の抑制、正確な温度制御が実現可能で、より高品位印字が可能なインクジェット装置を提供することができる。
(第1実施例)
以下、本願の第1実施例について、図面を参照して説明する。図1は、本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドの全体を表す斜視図であり、図2は、図1からフレーム部材を取り除いた液滴吐出ヘッドの全体を表す斜視図であり、図3は、液滴吐出ヘッドの図1のX−X’線における拡大断面図である。なお、本実施例では、個別液室配列を4列設けているが、この図3では4列のうちの1列のみを表示している。図4は、個別液室基板の保持基板側の面の上面図である。また、本明細書では、図3の紙面上方向を上部、紙面下方向を下部、紙面左方向を左側、紙面右方向を右側とし、図3の方向に対応して、他の図の方向を示すものとする。
<液滴吐出ヘッドの全体構成>
図1〜4に示すように、本願の液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドは、振動板13と、圧電素子12と、電極配線20と、温度検出手段としての測温抵抗体14と、駆動回路部材としての駆動IC7とを上部に積層した個別液室基板8の下面にノズルプレート1を接合し、この個別液室基板8の上部に、保持基板6と、共通液室基板16と、フレーム部材17とを積層して、インク流路を形成することにより構成されている。液滴となるインクは、インクタンク(図示せず)と連通し、インク供給ポート19および共通液室18を介して、個別液室基板8に開口するインク供給口5と、流体抵抗部4と、個別液室3とに供給される。そして、個別液室3の振動板13上に形成される圧力発生手段としての圧電素子12を駆動することで生じる圧力により、個別液室3に連通するノズル2からインクが外部に吐出される。共通液室18は、共通液室基板16および、保持基板6から構成されている。また、圧電素子12は、圧電体10と、この圧電体10の上下に配置された上部電極11および下部電極9と、によって構成されている(図4参照)。また、圧電素子12は、保持基板6上の駆動IC7の両側に形成された空間(保持基板凹部6b)に配置されている。この圧電素子12の駆動は、上部電極11および下部電極9から、それぞれ配線(21,22等)を用いて接続された駆動IC7によって行われる(図4参照)。
<ノズルプレートの構成>
ノズルプレート1は、インク吐出用のノズル2が配列されている基板である。ノズルプレート1の材料としては、必要な剛性や加工性に見合った任意のものを使用することが可能である。好ましい材料として、例えば、ステンレスやニッケル等の金属、合金、シリコン、セラミックス等の無機材料、ポリイミド等の樹脂材料等が挙げられる。ノズル2の加工方法としては、材料の特性と要求される精度や加工性から任意の方法を選ぶことができる。好ましい加工方法として、例えば、電鋳めっき法、エッチング法、プレス加工法、レーザ加工法、フォトリソグラフィ法等が挙げられる。ノズル2の開口径、配列数、配列密度としては、液滴吐出ヘッドに要求される仕様に合わせて、最適な組み合わせを設定することができる。
<個別液室基板の構成>
個別液室基板8には、個別液室3、流体抵抗部4、および、インク供給口5が形成されている。個別液室基板8の材料としては、加工性や物性から任意のものを用いることができるが、300dpi(約85μmピッチ)以上の解像度とするには、フォトリソグラフィ法を適用可能なシリコン基板を用いることが好ましい。個別液室3の加工方法としては、任意の方法を適用可能であるが、フォトリソグラフィ法を適用する場合にはウェットエッチング法、ドライエッチング法の何れかを適用できる。何れの方法でも振動板13の個別液室3側を二酸化シリコン膜等とすることにより、エッチングストップ層を構成できるため、個別液室3の高さを高精度に制御することができる。
個別液室3は、インクに圧力を加えてノズル2から液滴として吐出させる機能を有している。個別液室3の上部には振動板13が設けられ、振動板13の上部には、下部電極9、圧電体10、および、上部電極11が積層された圧電素子12が形成されている。振動板13としては、任意のものを用いることができるが、例えば、シリコンや窒化物、酸化物、炭化物等の剛性の高い材料を用いることが好ましい。または、これらの材料の積層構造(積層膜)を採用してもよい。積層膜とする場合には、各材料の内部応力を考慮して、残留応力が少ない構成とすることが好ましい。例えば、SiとSiOとの積層の場合には、引張応力となるSiと、圧縮応力となるSiOとを交互に積層して、応力緩和する構成が好適に挙げられる。
振動板13の厚さは、所望の特性に応じて選択できるが、概ね0.5〜10μmの範囲が好ましく、1.0〜5.0μmの範囲がさらに好ましい。振動板13が薄すぎる場合にはクラック等により振動板13が破損し易くなり、厚すぎる場合には変位量が小さくなって吐出効率が低下してしまう。また、薄すぎる場合には振動板13の固有振動数が低下して駆動周波数を高めるのが困難となる。
圧電素子12の下部電極9および上部電極11としては、導電性を有する任意の材料を用いることができる。具体的には、例えば、金属、合金、導電性化合物等が挙げられる。また、これらの材料の単層膜でもよいし、積層膜でもよい。また、圧電体10と反応したり、拡散したりしない材料を選定する必要があるために、安定性の高い材料を選定する必要がある。また、必要に応じて、圧電体10や振動板13との密着性を考慮して、密着層を形成してもよい。下部電極9および上部電極11の材料としては、例えば、白金、イリジウム、イリジウム酸化物、パラジウム、パラジウム酸化物が、安定性の高いものとして挙げられる。また、振動板13との密着層としては、例えば、チタン、タンタル、タングステン、クロム等が挙げられる。
圧電体10の材料としては、圧電性を示す強誘電体材料を適用することができる。具体的には、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウム等が一般的に用いられる。圧電体10の成膜方法としては任意の方法が適用可能である。例えば、スパッタリング法やゾルゲル法等が挙げられるが、成膜温度の低さからゾルゲル法が好ましい。上部電極11および圧電体10は、個別液室3ごとにパターニングする必要があり、パターニングは通常のフォトリソグラフィ法が適用可能である。また、圧電体10の成膜をゾルゲル法にて行う場合には、スピンコーティング法や印刷法を用いることもできる。
上述の圧電体10と上下各電極9,11から構成される圧電素子12は、振動板13を変形させて個別液室3に圧力を発生させるため、個別液室3の上部に形成される必要がある。仮に、隣接する個別液室3を互いに区画する隔壁(図示せず)上に圧電素子12を形成すると、振動板13の変形を阻害してしまう。その結果、ノズル2からのインクの吐出効率の低下や、応力集中による圧電素子12の破損等の原因となる。
個別液室基板8には、個別液室3に連通する流体抵抗部4が形成されている。流体抵抗部4は、共通液室18から個別液室3にインクを供給する機能を有するとともに、圧電素子12を駆動することで個別液室3に発生する圧力により、インクの逆流を防止しつつ、ノズル2からインクを吐出させる機能を有する。そのため、個別液室3のインク流動方向の断面積を小さくして流体抵抗を高くする必要がある。個別液室基板8としてシリコンを用い、個別液室3と流体抵抗部4とをフォトリソグラフィ法(+エッチング)を用いて形成した場合には、個別液室3と同一の条件で加工できるというメリットがある。また、流体抵抗部4は、振動板13が開口するインク供給口5を通じて共通液室18に連通する。
個別液室3は、隔壁(図示せず)によって互いに区画されており、それぞれに対応する圧電素子12が形成される。個別液室3の高さはヘッド特性から任意に設定可能であるが、20〜100μmの範囲とすることが好ましい。また、個別液室3間の隔壁の幅は、配列密度に合わせて任意に設定可能であるが、10〜30μmとすることが好ましい。隔壁の幅が狭い場合には、隣接する個別液室3の圧電素子12を駆動した場合に隣接液室間の相互干渉が発生して吐出ばらつきが大きくなる。隔壁の幅を狭くする場合には、個別液室3の高さを低くすることによって対応する。
<電極配線の構成>
電極配線20は、圧電素子12に駆動信号を入力するために、図4に示すように、上部電極11から個別配線21を引き出し、下部電極9から配線22を引き出す構成を採用している。この電極配線20において、図4のように配列された上部電極11からは、配線層の一部である個別配線21を介して、個別配線パッド(図示せず)まで配線(図示せず)が引き出され、この配線が駆動IC7と接続され、駆動IC7からさらに配線22を介して接続パッド23まで引き出されている。また、下部電極9からは、配線22が接続パッド23まで引き出されている。また、測温抵抗体14からは、配線22が接続パッド23まで引き出され、接続パッド23からヘッド外部回路(図示せず)に電気的に接続される。
配線(21,22等)は、同一材料、同一工程で形成することが望ましい。配線材料としては、抵抗値の低い金属、合金、導電性材料が適用可能である。また、上部電極11および下部電極9とコンタクト抵抗の低い材料を用いることが必要である。具体的には、配線材料として、例えば、アルミニウム、金、銀、パラジウム、イリジウム、タングステン、チタン、タンタル、銅、クロム等が挙げられる。コンタクト抵抗を低減するために、これらの材料の積層構造としてもよい。コンタクト抵抗を下げる材料としては、任意の導電性化合物を用いてもよく、例えば、Ta、TiO、ZnO、In、SnO等の酸化物、窒化物、および、その複合化合物が挙げられる。膜厚は任意に設定可能であるが、3μm以下とすることが好ましい。また、成膜には真空成膜法等の膜厚均一性が高い成膜方法を採用することが好ましい。これらの配線は、後述の保持基板6との接合面にもなるため、高さ均一性を確保できる膜厚や成膜方法を採用する必要がある。
<保持基板の構成>
上述したように個別液室基板8は、厚みが20〜100μmと薄いため、個別液室基板8の剛性を確保するために、保持基板6をノズルプレート1と対向する側に接合している。保持基板6の材料としては、任意のものを用いることができるが、個別液室基板8の反りを防止するために、熱膨張係数が個別液室基板8と近いものを選定する必要がある。したがって、例えば、ガラス、シリコン、SiO、ZrO、Al等のセラミックス材料を用いるのが好ましい。
図3に示すように、保持基板6には、インク供給口5の一部を形成する開口部(保持基板開口部6a)と、駆動IC7を配置するための開口部(保持基板開口部6c)とが設けられ、さらに、個別液室3に対向する領域に保持基板凹部6bを形成して、圧電素子12を駆動したときに振動板13が変位可能となる空間を確保している。そして、図示はしないが、保持基板凹部6bは、個別液室3ごとに区画され、個別液室3の隔壁上で接合されることが好ましい。この構成により、板厚の薄い個別液室基板8の剛性を高めることが可能となり、圧電素子12を駆動した際の隣接する個別液室3間の相互干渉を低減することができる。そのためには、保持基板6は樹脂等の低剛性材料ではなく、シリコン等の高剛性材料で形成するのが好ましい。また、このように保持基板6の保持基板凹部6bは、個別液室3ごとに区画されるため、高密度化のためには高度な加工精度が要求され、300dpiヘッドにおいては隔壁の幅を5〜20μmとすることが望ましい。
<測温抵抗体の構成>
測温抵抗体14は、個別液室3のインクにより近い温度を検出するために、個別液室基板8上に形成されている。さらに、発熱源の一つである接続パッド23に近く、冷却源であるインク供給ポート19から離れた位置、すなわちインク供給ポート19と接続パッド23との間に配置されている。接続パッド23は発熱量が多く、記録ヘッドへの全電流が通過する。このように、記録ヘッドへの入力エネルギーを反映しているので、接続パッド23は、記録ヘッドの熱的な状態をよく表すことができる。また、測温抵抗体14をインク供給ポート19から離れた位置に配置することで、インクによって冷却されにくくなる。結果として、記録ヘッドの温度分布の中央値に近い値を検出することが可能となる。したがって、定常時でも非定常時でも、正確な温度検出および正確な温度制御が可能となる。なお、測温抵抗体14は、個別液室3と接続パッド23との間に配置するのがより好ましい。この配置により、測温抵抗体14は、個別液室3の配列方向中央に設けられたインク供給ポート19からより離れた位置であって、接続パッド23により近い位置に配置されることとなり、温度検出および温度制御を、より正確に行うことが可能となる。
また、測温抵抗体14の層構成としては、個別液室3を加圧する圧電素子12と同じ積層構成としている。具体的には、圧電素子12を形成するプロセスにおいて、測温抵抗体14を、圧電素子12の上部電極11と同時に形成するか、または、下部電極9と同時に形成する。これにより、測温抵抗体14専用の材料やプロセスを追加する必要がないため、コストアップとなるのを良好に抑制することができる。さらに、専用のエリアも必要ないため、記録ヘッドが大型化することも防止することができる。また、上部電極11または下部電極9に定電流を与えたときの電圧値から、温度を推定することができる。上部電極11または下部電極9の材料としては、上述では白金、イリジウム、イリジウム酸化物、パラジウム、パラジウム酸化物等を挙げたが、測温抵抗体14としては、白金が最も好ましい。白金製の測温抵抗体14は、国際温度目盛の標準温度計に採用されているなど、測温抵抗体14としては精度が最も高く、線形成が高いことや耐腐食性および経時安定性に優れるなど、温度センサとして最適である。測温抵抗体14で検出した温度情報は、後述の制御手段(図示せず)に出力され、制御手段による圧電素子12の駆動制御に用いられる。
<制御手段>
制御手段は、測温抵抗体14で取得した温度検出結果に基づいて、圧電素子12の駆動を制御する。制御手段は、測温抵抗体14に配線22および接続パッド23を介して電気的に接続された外部回路に組み込まれている。そして、制御手段は、測温抵抗体14から入手した温度検出結果に基づいて、接続パッド23および配線22を介して接続する駆動IC7に、温度に対応した駆動エネルギー信号を出力する。この信号に応じて、駆動IC7は、配線22を介して駆動信号を圧電素子12に入力することで、圧電素子12の駆動を制御する。すなわち、検出温度が高い場合はインクの粘度が低いため、駆動IC7に出力する駆動エネルギーを小さくして、圧電素子12による圧力発生を抑制する。逆に、検出温度が低い場合はインクの粘度が高いため、駆動IC7に出力する駆動エネルギーを大きくして、圧電素子12による圧力発生を促進する。このような温度制御により、インク温度に影響されることなく、より高品位印字が可能な記録ヘッドを得ることができる。なお、制御手段は、上記に限定されることはなく、検出温度に応じて駆動IC7の制御が可能であれば、何れの手段を用いてもよい。
<第1実施例の記録ヘッドの製造工程>
以下、第1実施例の記録ヘッドの具体的な製造工程について説明する。直径6インチ、厚さ600μmのシリコンウェハ上にSiO0.6μm、Si1.5μm、および、SiO0.4μmを積層することで、3層構造の振動板13を形成した。その後、下部電極9として、チタン20nm、白金200nmをスパッタリング法で成膜した。次いで、下部電極9上にチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を、有機金属溶液に用いたゾルゲル法で厚さ2μmを成膜した後、700℃で焼成してPZTの圧電体膜を形成した。その後、圧電体膜上に白金を200nmスパッタリング法で成膜して上部電極11とした。
上部電極11の形成後に、上部電極11、圧電体10、下部電極9、および、測温抵抗体14をドライエッチング法でパターニングすることにより、図3および図4に示すような配列の個別液室3に対応した圧電素子12と測温抵抗体14とを形成した。圧電素子12の配列ピッチは85μmとし、圧電体10の幅は40μmとし、圧電素子12の長手方向の長さは1,000μmとした。圧電素子12の配列数は300個であり、図4に示すように、4列に配置した。測温抵抗体14については、図4に示すように、個別液室基板8の長手方向(個別液室3の配列方向)において、接続パッド23に最も近い個別液室3と接続パッド23との間であって、この個別液室3よりも接続パッド23に近い位置に形成した。
また、個別液室3の隔壁上の部分は、該隔壁上で振動板13の可動部にかからないように構成した。これにより、個別液室3に対応した振動板13の変形が阻害されるのを防止することができる。次に、プラズマCVD法により層間絶縁膜を成膜し、上部電極11上および下部電極9上の層間絶縁膜に、配線用のコンタクトホール(図示せず)を形成した。その後、チタン50nmとアルミニウム2μmとを順次積層してドライエッチングすることで、配線層を形成した。その後、図4に示すインク供給口5に相当する部分の振動板13をドライエッチング法で除去し、個別液室基板8にインク供給口5を形成することで、個別液室基板8が完成する。
次に、保持基板凹部6bおよび保持基板開口部6a,6cを有する保持基板6を、直径6インチのシリコンウェハを用いて形成した。まず、ウェハを厚さ400μmに研磨して、個別液室基板8側に酸化膜等を形成する。その後、この酸化膜をフォトリソパターニングして保持基板凹部6bおよび保持基板開口部6a,6cを開口する。そして、さらにその上にレジストを形成し、保持基板開口部6a,6cだけが開口するように、該レジストをフォトリソパターニングする。次に、ICPエッチングで個別液室基板8側から開口部を貫通形成した後、個別液室基板8側のレジストのみを除去して始めにパターニングした酸化膜パターンをマスクとして、個別液室基板8側をICPエッチングでハーフエッチングする。最後に、酸化膜を除去するとことにより、保持基板6の個別液室基板8側に保持基板凹部6bを形成し、保持基板6を貫通して保持基板開口部6a,6cを形成することができる。
そして、作成した保持基板6の接合面に、フレキソ印刷機にてエポキシ系接着剤を膜厚2μmで塗布し、この保持基板6の接合面を個別液室基板8の接合面に接合した後に、接着剤を硬化させることで、保持基板6と個別液室基板8とを接合した。その後、600μmの個別液室基板8を80μmまで研磨した後、個別液室3および流体抵抗部4をICPドライエッチング法で形成した。個別液室3の幅は60μm、流体抵抗部4の幅は30μmとし、長さは300μmとした。流体抵抗部4および個別液室3のエッチングは振動板13に到達するまで行い、同一の高さとした。また、保持基板6には保持基板開口部6a,6cを形成し、個別液室基板8ではインク供給口5部分の振動板13を事前にエッチングしているため、個別液室基板8および保持基板6にインク供給口5を形成することができる。
次に、ウェハをダイシングによりチップに切り出した後、保持基板6と個別液室基板8との接合と同様の手法でノズルプレート1と個別液室基板8とを接合した。ノズルプレート1は、厚さ30μmのステンレス材に、プレス加工で直径20μmのノズル2を85μmピッチで形成したものを用いた。また、保持基板6上にステンレス製の共通液室基板16およびフレーム部材17を接合し、これをインクタンク(図示せず)と接続する。そして、個別配線パッドに、ACF(異方性導電フィルム)接合やワイヤーボンディングにて、駆動IC7を実装したTABを接合し、同様の手法で、接続パッド23に、外部回路へ接続されるFPC(フレキシブルプリント基板)を接合することで、第1実施例の液滴吐出ヘッドを構成することができる。
以上のように作成した第1実施例の液滴吐出ヘッドの一使用例として、各ノズル2から吐出される液滴1滴の体積を10plとした。また、この液滴吐出ヘッドにおいて、例えば、20kHzで4列×300個の全ノズル2から液滴を吐出する際に、消費する電力を1Wとした。このような条件で液滴吐出ヘッドで画像を印字したところ、温度検出と温度制御とがより正確に行われていることから、良好な画像を得ることができた。
<画像形成装置>
次に、本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドを備える画像形成装置の実施形態の一例を、図5および図6を参照して説明する。図5は画像形成装置の機構部の全体構成を示す概略図であり、図6は同機構部の要部の概略平面図である。
図5および図6に示す画像形成装置200はシリアル型画像形成装置であり、図6に示すように、装置本体201の左右の側板221A,221Bに横架したガイド部材である主従のガイドロッド231,232で、キャリッジ233を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(図示せず)によってタイミングベルト(図示せず)を介して、Aで示す矢印方向であるキャリッジ主走査方向に移動走査する。このキャリッジ233には、イエロ(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の各色のインク滴を吐出するための本願に係る液滴吐出ヘッドである記録ヘッド234が装着されている。この記録ヘッド234のキャリッジ233への装着は、複数のノズル2(図3参照)からなるノズル列(図示せず)を、主走査方向と直交する副走査方向に配列するよう行われていることで、インク滴吐出方向が下方に向いている。また、記録ヘッド234は、それぞれ2つのノズル列を有する液滴吐出ヘッドとしての記録ヘッド234(234a,234b)を1つのベース部材(図示せず)に取り付けて構成されている。一方の記録ヘッド234aの一方のノズル列はブラック(K)の液滴を吐出し、他方のノズル列はシアン(C)の液滴を吐出する。また、他方の記録ヘッド234bの一方のノズル列はマゼンタ(M)の液滴を吐出し、他方のノズル列はイエロ(Y)の液滴を吐出する。以下、記録ヘッド234a,234bに対応して設けられた部材を、色で区別する場合には、符号の末尾にそれぞれa(ブラック、シアン用),b(マゼンタ、イエロ用)を付して表わす。なお、本実施例では2ヘッド構成で4色の液滴を吐出する構成としているが、他の異なる実施形態として、各色の液滴吐出ヘッドを備える構成としてもよい。また、キャリッジ233には、記録ヘッド234(234a,234b)のノズル列に対応して、各色のインクを供給するためのサブタンク235(235a,235b)が搭載されている。このサブタンク235には、各色のインク供給チューブ236を介して、供給ユニット224によって各色のインクカートリッジ210から、各色のインクが補充供給される。このインクカートリッジ210は、図6に示すように、ブラック用:210k、シアン用:210c、マゼンタ用:210m、イエロ用:210yの順に色別に配置されている。
一方、図5に示すように、装置本体201は、給紙トレイ202の圧板からなる用紙積載部241上に、記録媒体である用紙242を積載している。この用紙242を給紙するための給紙部として、用紙積載部241から用紙242を1枚ずつ分離給送する半月形状の給紙コロ243と、給紙コロ243に対向配置され摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド244とを備えている。この分離パッド244は、バネなどの付勢手段により給紙コロ243側に付勢されている。また、画像形成装置200は、このような給紙コロ243および分離パッド244からなる給紙部より給送された用紙242を記録ヘッド234の下方へと送り込むため、用紙242を案内するガイド部材245、カウンタローラ246、搬送ガイド部材247、先端加圧コロ249を有する押さえ部材248、および、給送された用紙242を静電吸着して記録ヘッド234に対向する位置で搬送する搬送手段である搬送ベルト251等を備えている。搬送ベルト251は、無端状ベルトであり、搬送ローラ252とテンションローラ253との間に掛け渡されて、図6にBで示す矢印方向、すなわち副走査方向であるベルト搬送方向に走行駆動されるよう構成されている。
また、画像形成装置200は、搬送ベルト251の表面を帯電させる帯電手段である帯電ローラ256を備えている。この帯電ローラ256は、搬送ベルト251の表層に接触して搬送ベルト251の走行に従動して回転するように構成されている。また、この搬送ベルト251は、副走査モータ(図示せず)によって所定のタイミングを介して搬送ローラ252が回転駆動されることにより走行駆動される。さらに、記録ヘッド234で記録された用紙242を排紙するための排紙部として、搬送ベルト251から用紙242を分離するための分離爪261と、排紙ローラ262および排紙コロ263とを備え、排紙ローラ262の下方に排紙トレイ203を有している。
画像形成装置200の装置本体201の背面部には、両面ユニット271が着脱自在に配設されている。この両面ユニット271は、搬送ベルト251の逆回転で戻される用紙242を取り込み、反転させて再度カウンタローラ246と搬送ベルト251との間に給紙する。また、この両面ユニット271の上面は、手差しトレイ272として機能する。さらに、キャリッジ233の走査方向一方側の非印字領域には、記録ヘッド234のノズルの状態を維持させると共に回復させる維持回復機構281が配置されている。維持回復機構281には、記録ヘッド234(234a,234b)の各ノズル面をキャッピングするためのキャップ282(282a,282b)、ノズル面をワイピングするためのワイパブレード283、および、増粘したインクを排出するために記録に寄与しない液滴を吐出させる空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け284、等が設けられている。また、キャリッジ233の走査方向他方側の非印字領域には、空吐出を行うときの液滴を受ける空吐出受け288が設けられ、空吐出受け288には記録ヘッド234のノズル列方向に沿った開口部289が設けられている。
上述のように構成された画像形成装置200においては、給紙トレイ202から用紙242が1枚ずつ分離給送され、ほぼ鉛直上方に給紙された用紙242はガイド部材245で案内されて、搬送ベルト251とカウンタローラ246との間に挟まれて搬送される。その後、用紙242はさらに先端を搬送ガイド部材247で案内されて先端加圧コロ249で搬送ベルト251に押し付けられ、その搬送方向をほぼ90°転換される。
このとき、帯電ローラ256に対して、プラス出力とマイナス出力とが交互に繰り返すように交番電圧が印加され、搬送ベルト251が交番する帯電電圧パターン、すなわちベルト搬送方向である副走査方向に、プラスとマイナスとが所定の幅で帯状に交互に帯電されたものとなる。このプラスとマイナスとが交互に帯電した搬送ベルト251上に用紙242が給送されると、用紙242が搬送ベルト251に吸着されて搬送ベルト251の走行移動によって用紙242が副走査方向に搬送される。
そこで、キャリッジ233を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド234を駆動することにより、停止している用紙242にインク液滴を吐出して1行分を記録し、用紙242を所定量搬送後に次の行の記録を行う。そして、記録終了信号または用紙242の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して用紙242を排紙トレイ203上に排出する。このように、この画像形成装置200では、本願の第1実施例の液滴吐出ヘッドを記録ヘッド234として備えているので、より正確な温度検出と温度制御を行って、信頼性の高い安定した液滴吐出を行うことができるとともに、高速で高画質の画像形成を行うことができる。
<画像形成装置の変形例>
次に、本発明に係る液滴吐出ヘッドを備えた画像形成装置の第1の実施形態の変形例について、機構部全体の概略構成図である図7を参照して説明する。図7に示すように、変形例に係る画像形成装置400は、ライン型画像形成装置であり、装置本体401の内部に画像形成部402を有し、装置本体410の下方に多数枚の記録媒体である用紙403を積載可能な給紙トレイ404を備えている。そして、給紙トレイ404から給送される用紙403を取り込んで搬送機構405によって用紙403を搬送しつつ、画像形成部402によって所望の画像を記録した後、装置本体401の側方に設けられた排紙トレイ406に用紙403を排出する。また、装置本体401に対して着脱自在な両面ユニット407を備え、両面印刷時には一面(表面)の画像形成終了後に搬送機構405によって用紙403を逆方向に搬送しつつ両面ユニット407内に取り込む。そして、反転後に用紙403の他面(裏面)を画像形成可能面として再度搬送機構405に送り込み、他面(裏面)の画像形成終了後に用紙403を排紙トレイ406に排出する。
ここで、画像形成部402は、例えばブラック、シアン、マゼンタ、イエロの各色の液滴を吐出する、フルライン型の4個の本願の第1実施例に係る液滴吐出ヘッドからなる記録ヘッド411を備えている。この記録ヘッド411は、図7に示すように、ブラック用:411k、シアン用:411c、マゼンタ用:411m、イエロ用:411yの順に色別に配置されている。各記録ヘッド411k,411c,411m,411yは、液滴を吐出するノズルを形成したノズル面を下方に向けて、ヘッドホルダ413に装着されている。
また、各記録ヘッド411に対応してヘッドの性能を維持回復するための維持回復機構412を備えている。この維持回復機構412は、図7に示すように、ブラック用:412k、シアン用:412c、マゼンタ用:412m、イエロ用:412yの順に色別に配置されている。そして、パージ処理、ワイピング処理等のヘッド性能維持動作時には、記録ヘッド411と維持回復機構412とを相対的に移動させて、記録ヘッド411のノズル面に維持回復機構412が有するキャッピング部材(図示せず)等を対向させる。ここでは、記録ヘッド411は用紙搬送方向上流側からブラック(B)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロ(Y)の順に各色の液滴を吐出する配置としているが、配置および色数はこれに限定されるものではない。また、ライン型ヘッドとしては、各色の液滴を吐出する複数のノズル列を所定間隔で設けた1または複数のヘッドを用いてもよいし、ヘッドとこのヘッドにインクを供給する記録液カートリッジとを一体としても別体としてもよい。
給紙トレイ404上の用紙403は、給紙コロ(半月コロ)421と分離パッド(図示せず)とにより、1枚ずつに分離されて装置本体401内に給紙され、搬送ガイド部材423のガイド面423aに沿って給送される。そして、レジストローラ425の駆動により所定のタイミングで第1のガイド部材426を介して搬送機構405の搬送ベルト433に給送される。搬送ガイド部材423には、両面ユニット407から送り出される用紙403を案内するガイド面423bが設けられている。第1のガイド部材426の上方には、両面印刷時に搬送機構405から戻される用紙403を両面ユニット407に案内する第2のガイド部材427が配設されている。
搬送機構405は、駆動ローラである搬送ローラ431と従動ローラ432との間に掛け渡した無端状の搬送ベルト433と、この搬送ベルト433を帯電させる帯電ローラ434と、画像形成部402に対向する部分で搬送ベルト433の平面性を維持するプラテン部材435と、搬送ベルト433から送り出す用紙403を搬送ローラ431側に押し付ける押さえコロ436と、その他図示はしないが搬送ベルト433に付着したインクを除去する多孔質体等からなるクリーニングローラと、等を有している。また、搬送機構405の用紙搬送方向下流側には、画像が記録された用紙403を排紙トレイ406に送り出すための排紙ローラ438と拍車439とが設けられている。
上述のように構成された画像形成装置400において、搬送ベルト433は図7に示す矢印方向に走行移動し、高電位の印加電圧が印加される帯電ローラ434と接触することで帯電される。この高電位に帯電した搬送ベルト433上に、用紙403が給送されると、用紙403は搬送ベルト433に静電的に吸着される。このようにして搬送ベルト433によって強力に吸着された用紙403は、反りや凹凸が校正され、硬度に平滑な面が形成される。そして、搬送ベルト433を走行させて用紙403を移動させつつ、記録ヘッド411から液滴を吐出することにより、用紙403上に所望の画像が形成される。この画像が記録された用紙403は、排紙ローラ438によって排紙トレイ406上に排出される。変形例の画像形成装置400でも、本願の第1実施例の液滴吐出ヘッドを記録ヘッド411として備えているので、より正確な温度検出と温度制御を行って、信頼性の高い安定した液滴吐出を行うことができるとともに、高速で高画質の画像形成を行うことができる。
以上説明した実施形態は一例であって、本願がこれらの実施形態に限定されるものではない。正確な温度検出や温度制御が可能な構成であれば、本願の課題を解決できるものである。また、上記各実施形態では、本願に係る液滴吐出ヘッドとしてインクジェットヘッドを示したが、液滴吐出ヘッドとしてはこれに限定されず、インク以外の液体、例えばパターニング用の液体レジストを吐出する液滴吐出ヘッド、遺伝子分析試料を吐出する液滴吐出ヘッド等に適用してもよい。また、本願に係るインクジェット記録装置についても、画像形成装置(プリンタ)に限られず、ファクシミリ、複写装置、プロッタ、これ等の複合機にも適用可能である。
1 ノズルプレート 2 ノズル 3 個別液室 8 個別液室基板
12 圧電素子(圧力発生手段) 14 測温抵抗体(温度検出手段)
16 共通液室基板 19 インク供給ポート(供給ポート)
23 接続パッド
234,411 記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
242,403 用紙(記録媒体、被着媒体)
200,400 画像形成装置(インクジェット記録装置)
特許第4573973号(特開2002−79671号)公報

Claims (8)

  1. 液滴を吐出する複数のノズルを有するノズルプレートと、
    前記ノズルに連通し、複数配列された個別液室、および、各個別液室に圧力変動を発生させる複数の圧力発生手段を有する個別液室基板と、
    前記個別液室基板上の長手方向の一端に配置され、外部回路と接続される接続パッドと、
    前記個別液室に連通して該個別液室に液体を供給する供給ポートと、
    前記個別液室基板上に設けられた温度検出手段と、を備えた液滴吐出ヘッドであって、
    前記供給ポートは、前記複数の個別液室の配列方向の中央に設けられ、
    前記温度検出手段は、前記複数の個別液室の配列方向の中央と前記接続パッドとの間であって、前記個別液室の配列方向の中央よりも前記接続パッドに近い位置に配置されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記温度検出手段は、前記複数の個別液室よりも、前記接続パッドに近い位置に配置されている請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記温度検出手段は、測温抵抗体からなる請求項1または2に記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 前記温度検出手段で取得した温度検出結果に基づいて、前記圧力発生手段を制御する制御手段を、さらに備えている請求項1〜3の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法であって、
    複数のノズルを有するノズルプレートを形成する工程と、
    前記ノズルに連通する複数の個別液室を配列し、各個別液室に圧力変動を発生させる複数の圧力発生手段を設けて個別液室基板を形成する工程と、
    前記個別液室基板上の長手方向の一端に配置され、外部回路と接続される接続パッドを形成する工程と、
    前記個別液室に連通し、該個別液室に液体を供給する供給ポートを、前記複数の個別液室の配列方向の中央に形成する工程と、
    前記個別液室基板上の前記複数の個別液室の配列方向の中央と前記接続パッドとの間であって、前記個別液室の配列方向の中央よりも前記接続パッドに近い位置に温度検出手段を形成する工程と、を有していることを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記温度検出手段は、前記個別液室基板上に、前記圧力発生手段と同時に形成される請求項5に記載の液滴吐出ヘッドの製造方法。
  7. 請求項1〜4の何れか一項に記載の液滴吐出ヘッドを有し、前記液滴吐出ヘッドから吐出した液滴を被着媒体上に着弾させることを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 前記液滴として画像形成用インクが用いられ、前記被着媒体として記録媒体が用いられる請求項7に記載のインクジェット記録装置。
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