JP2014072961A - ワイヤレス給電装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】電力の効率的な伝達を確保しつつ、機器の大型化を招かないワイヤレス給電装置を提供する。
【解決手段】末端モジュール13の受電コイル41は送電コイル21からの電力を受け取る受電コイルとして機能するとともに、中間モジュール12の受電コイル31は送電コイル21から電力を受け取るだけでなくレピータとしても機能する。これら受電コイル31、41には、それぞれ実負荷35、45が直接接続している。そのため、受電コイル31と実負荷35との間、および受電コイル41と実負荷45との間には、電力を変換するための変換手段を必要としない。その結果、受電コイル31を含む中間モジュール12、および受電コイル41を含む末端モジュール13の大型化が招くことがない。また、電力変換手段が不要なので、電力の変換にともなうエネルギーの減衰が抑えられ、大型化を招くことなく電力の効率的な伝達が確保される。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワイヤレス給電装置に関する。
近年、無線給電として、磁界共鳴を利用したワイヤレス給電が提案されている。このワイヤレス給電は、送電コイルと受電コイルとの間で磁界共鳴を生じさせることにより電力の供給を実現している(特許文献1参照)。このような磁界共鳴を利用したワイヤレス給電では、送電コイルと受電コイルとの間に受電コイルと同一の共振周波数を有するレピータコイルを中継として挿入することにより、送電コイルから受電コイルまでの給電距離を延長できることが知られている。
しかしながら、特許文献1の場合、磁界共鳴を構成するコイルは、共鳴現象を発生する受電コイルに相当する共鳴コイルと電力授受を行なう励磁コイルとによって構成されている。そのため、送電コイルとの間の電力の伝達は共鳴コイルによって行い、負荷で利用される電力は共鳴コイルと励磁コイルとの間のトランスなどを用いた一般的な電磁結合によるエネルギー授受を利用している。この電磁結合を利用して電力を取り出す場合、共鳴コイルと電力変換用の励磁コイルとの間の伝達効率は約50%程度と低い。そのため、共鳴コイルに接続された負荷で十分な電力を得るためには、送電コイルおよび共鳴コイルの大型化を招くという問題がある。また、共鳴コイルおよび電力変換用の励磁コイルの双方を必要とするため、全体として大型化するという問題がある。特に、近年、ワイヤレス給電装置は、工場設備への設置、および産業用のロボットへの内蔵が求められている。このような場合、ワイヤレス給電装置の大型化は、導入の大きな障害となる。
米国特許第7,825,543号明細書
そこで、本発明は、電力の効率的な伝達を確保しつつ、機器の大型化を招かないワイヤレス給電装置を提供することにある。
請求項1記載の発明では、受電コイルは、末端にあるとき末端の受電コイルとして機能し、送電コイルと末端コイルとの間に挿入されたときレピータとして機能する。この受電コイルは、実負荷と直接接続されている。すなわち、実負荷は、受電コイルで受け取った電力によって直接駆動される。そのため、受電コイルと実負荷との間には、例えばトランスなどのように電力を変換するための変換手段を必要としない。したがって、受電コイルの大型化を招くことがない。また、電力の変換手段を必要としないので電力の変換にともなうエネルギーの減衰が抑えられ、電力の効率的な伝達を確保することができる。さらに、電力の効率的な伝達によって送電側の電力供給部および送電コイルも電気的な容量が低減される。したがって、小型化を促進することができ、工場設備やロボットへの導入を容易にすることができる。
ところで、受電コイルと実負荷とを直接接続する場合、受電コイルと実負荷との間は閉じた回路すなわち閉ループを常に形成するとは限らない。例えば実負荷の電源がオフ、つまり実負荷が駆動していないとき、受電コイルと実負荷とを接続する回路は途中で開放状態となり、電力の供給が遮断される。受電コイルをレピータとして機能させる場合、受電コイルを中心とした閉ループを形成する必要がある。しかし、上述のように受電コイルと実負荷とを直接接続すると、実負荷の駆動状態によって受電コイルのレピータとしての機能が損なわれるおそれがある。
そこで、請求項1記載の発明では、受電コイルおよび実負荷と並列に補助負荷を挿入している。仮に受電コイルと実負荷との間が開放状態となっても、受電コイルは補助負荷との間で閉ループを形成する。そのため、受電コイルは、実負荷の駆動状態に関わらず、安定してレピータとしての機能が確保される。したがって、受電コイルと実負荷とを直接接続する場合でも、給電距離を延長することができるとともに、安定した給電を図ることができる。また、請求項1記載の発明では、受電コイルは、接続している実負荷が稼働しているとき実負荷によって閉じた電気回路を形成するとともに、この実負荷が稼働していないとき補助負荷によって閉じた電気回路を形成する。そのため、受電コイルは、末端または中継のいずれのコイルであっても、給電コイルから常に電力を受け取る。そして、受電コイルと実負荷とを直接接続することにより、電力の変換が不要となり、電力の変換にともなうエネルギーの減衰が低減される。したがって、電力の効率的な伝達が図られ、従来のワイヤレス給電装置と比較して給電コイルおよび受電コイルをはじめとする機器の小型化を図ることができる。
請求項2記載の発明では、実負荷取得手段は、実負荷の負荷を取得する。すなわち、実負荷取得手段は、実負荷の負荷状態を常に監視する。そして、負荷変更手段は、実負荷取得手段で取得した実負荷の負荷に応じて、補助負荷の負荷を変更する。補助負荷は、可変負荷である。磁界共鳴を利用して給電する場合、送電コイルとレピータを含む受電コイルとの間の給電効率は、実負荷の負荷状況に応じて変化する。すなわち、実負荷と補助負荷との負荷の総和を給電効率の高い値に維持することが好ましい。そこで、負荷変更手段は、実負荷の負荷状況に応じて可変負荷である補助負荷の負荷を変更することにより、実負荷と補助負荷との負荷の総和を一定値に維持する。したがって、受電コイルに接続された実負荷の負荷が変化する場合でも、給電効率および給電の安定性を高めることができる。
第1実施形態によるワイヤレス給電装置を示す概略的なブロック図 第1実施形態によるワイヤレス給電装置において送電モジュールを示す概略図 第1実施形態によるワイヤレス給電装置において中間モジュールを示す概略図 中間モジュールの実負荷へ供給される電流と末端モジュールが受け取る電力との関係を示す概略図 中間モジュールのデューティ比と末端モジュールが受け取る電力との関係を示す概略図 中間モジュールの負荷と末端モジュールが受け取る電力との関係を示す概略図 第1実施形態によるワイヤレス給電装置においてアクティブ状態からスリープ状態への移行の流れを示す概略図 第1実施形態によるワイヤレス給電装置においてスリープ状態からアクティブ状態への復帰の流れを示す概略図 第2実施形態によるワイヤレス給電装置において中間モジュールを示す概略的なブロック図 ワイヤレス給電装置を適用したロボットを示す模式図
以下、ワイヤレス給電装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部位には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
図1に示すように第1実施形態によるワイヤレス給電装置10は、送電モジュール11、中間モジュール12および末端モジュール13を備える。第1実施形態の場合、ワイヤレス給電装置10は、例えば工場などの設備において送電モジュール11から中間モジュール12および末端モジュール13へ電力をワイヤレスすなわち無線で供給する。工場などの設備にワイヤレス給電装置10を適用する場合、電力は、送電モジュール11から中間モジュール12および末端モジュール13へ無線によって供給される。
送電モジュール11は、送電コイル21および電力供給部22を有している。電力供給部22は、図2に示すように交流の電源23、スイッチング素子24、25およびゲートドライバ26などを有する電気回路で構成されている。スイッチング素子24、25は,例えばFET(Field Effect Transistor)などで構成されている。これにより、電力供給部22は、数MHzから数十MHzの高周波を送電コイル21へ供給する。送電コイル21は、例えば図示しない平面状の基板の表面にコイルを形成した平面コイルを有している。
図1に示すように中間モジュール12は、受電コイル31、整流器32、電力制御部33、平滑器34、実負荷35および補助負荷36を有している。受電コイル31は、送電コイル21と同様に図示しない平面状の基板の表面にコイルを形成した平面コイルを有している。受電コイル31は、送電コイル21との間で磁界共鳴を利用して非接触で電力を受け取る。送電コイル21に高周波を供給すると、送電コイル21と受電コイル31との間では磁界共鳴によって電力が伝達される。中間モジュール12の受電コイル31は、この送電コイル21から出力された電力を受け取る。
整流器32は、いわゆるAC/DCコンバータであり、例えば図3に示すようにダイオードブリッジ321やコンデンサ322などを有している。整流器32は、受電コイル31で受け取った電力を高周波の交流から直流へ整流する。電力制御部33は、例えばCPU331およびFETなどのスイッチング素子332、333などを有しており、整流器32で整流された電力の実負荷35側への出力を制御する。CPU331は、パルス幅変調(PWM)が施されたPWM信号を出力端334から出力する。スイッチング素子332、333は、CPU331から出力されたPWM信号により駆動される。これにより、電力制御部33は、実負荷35へ出力する電力を制御る。実負荷35へ供給される電力量は、CPU331から出力されるPWM信号のデューティ比によって変更される。CPU331は、AD入力部335の電圧ADinに基づいてPWM変調におけるPWMデューティ比を算出し、算出したPWMディーティ比にしたがうパルス幅の信号を出力する。平滑器34は、抵抗341およびコンデンサ342などから構成され、電力制御部33から出力された信号および電力を平滑化する。
末端モジュール13は、受電コイル41、整流器42、電力制御部43、平滑器44および実負荷45を有している。これら末端モジュール13を構成する受電コイル41、整流器42、電力制御部43、平滑器44は、中間モジュール12の該当する部分と同一の構成であるので説明を省略する。このように末端モジュール13は、補助負荷36を有していない点が中間モジュール12と異なる。末端モジュール13の受電コイル41は、中間モジュール12の受電コイル31を経由して送電コイル21から非接触で電力を受け取る。すなわち、送電モジュール11の送電コイル21から供給される電力は、中間モジュール12の受電コイル31を中継して末端モジュール13へ伝達される。このとき、中間モジュール12は、送電コイル21から伝達された電力の一部を実負荷35または補助負荷36の少なくともいずれかで消費する。
このように、送電コイル21から伝達される電力は、中間モジュール12を中継として末端モジュール13へ伝達される。そして、送電コイル21から出力された電力の一部は、中間モジュール12で消費され、残部が末端モジュール13で消費される。中間モジュール12の受電コイル31は、送電コイル21から電力を受け取るだけでなく、末端モジュール13の受電コイル41へ電力を中継する中継コイルつまりレピータとしても機能する。
中間モジュール12の実負荷35および末端モジュール13の実負荷45は、各種の機能を発揮する機能部品である。これらの機能部品は、例えばモータ、アクチュエータあるいはヒータのように電気的なエネルギーを機械的なエネルギーや熱的なエネルギーに変換する部品や素子を有している。また、機能部品は、例えばカメラなどのように画像を記録するものや音声を記録するものであってもよい。このように、中間モジュール12の実負荷35および末端モジュール13の実負荷45は、受電コイル31または受電コイル41で受け取った電力によって駆動される。
次に、中間モジュール12についてさらに詳しく説明する。
中間モジュール12は、実負荷35に加えて補助負荷36を有している。補助負荷36は、受電コイル31と実負荷35との間に実負荷35と並列に挿入されている。中間モジュール12の実負荷35は、駆動のオンまたはオフによって、電力の供給が断続される。実負荷35への電力の供給が停止されると、受電コイル31と実負荷35との間は、電気的な回路が途中で遮断された開放状態となる。補助負荷36は、実負荷35と並列に挿入されていることから、このように中間モジュール12の実負荷35がオフとなり、中間モジュール12の電気的な回路が開放状態となったとき、受電コイル31との間で閉鎖した回路を形成する。これにより、受電コイル31で受電した電力は、補助負荷36を経由する閉回路を流れることになる。
第1実施形態のように送電モジュール11と末端モジュール13との間に中間モジュール12を挿入する場合、送電モジュール11から出力された電力は中間モジュール12を中継として末端モジュール13へ伝達される。このように中間モジュール12を挿入すると、送電モジュール11から末端モジュール13までの電力の伝達距離を延長することができる。すなわち、送電モジュール11と末端モジュール13との間に中継として中間モジュール12を挿入することにより、送電モジュール11から末端モジュール13までの電力の伝達距離は延長される。
一方、この電力伝達の中継となる中間モジュール12は、受電コイル31を含む閉回路を形成していないとき、受電コイル31に電流が流れず、レピータとして電力の中継を行なうことができない。例えば、中間モジュール12に実負荷35が直接接続されていなければ、受電コイル31を含む単純な閉回路を形成することにより、中間モジュール12の受電コイル31はレピータとして機能させることができる。しかし、第1実施形態のように中間モジュール12に実負荷35を直接接続し、受電コイル31で受け取った電力の一部を実負荷35で利用する場合、実負荷35が駆動していないとき、すなわち実負荷35がオフのとき、中間モジュール12の受電コイル31を含む電気回路は開放された回路となる。その結果、実負荷35がオフのとき、受電コイル31に電流が流れず、中間モジュール12の受電コイル31はレピータとして機能できない。
そこで、第1実施形態では、中間モジュール12において、受電コイル31と実負荷35との間に補助負荷36を並列に挿入している。このように、補助負荷36を並列に挿入することにより、実負荷35が駆動していないときでも、受電コイル31は補助負荷36との間で閉鎖された閉回路を形成する。これにより、中間モジュール12の受電コイル31は、レピータとして機能することができ、送電モジュール11から末端モジュール13への電力の伝達を中継する。その結果、中間モジュール12に実負荷35を直接接続する場合でも、中間モジュール12の実負荷35の作動状況に関わらず、送電モジュール11から末端モジュール13までの電力の伝達距離を延長することができる。本実施形態の場合、補助負荷36は、例えばインダクタなどで構成されている。
次に、上記の構成によるワイヤレス給電装置10の作用について説明する。
図4は、中間モジュール12で消費される電力すなわち実負荷35に流れる電流と末端モジュール13が受け取る電力との関係を示している。図4に示す場合、送電モジュール11は、一定の電力を出力している。図4に示すように、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が小さいとき、末端モジュール13が受け取る電力は小さくなる。これは、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が小さいとき、中間モジュール12を流れる電流が少なくなり、受電コイル31を含む電気的な回路を流れる電流も減少し、レピータとしての機能が低下するからである。このように、受電コイル31を流れる電流が減少すると、受電コイル31で発生する磁界が弱まり、中間モジュール12を中継とする送電モジュール11と末端モジュール13との間で磁界共鳴による電力の供給が成立しなくなる。
一方、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が大きくなると、末端モジュール13が受け取る電力は大きくなる。これは、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が小さいときとは逆に、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が大きくなると、中間モジュール12を流れる電流が増加し、受電コイル31を含む電気的な回路を流れる電流も増加するからである。このように、受電コイル31を流れる電流が増加するにつれて、受電コイル31で発生する磁界が強まり、中間モジュール12を中継とする送電モジュール11と末端モジュール13との間の電力の供給が達成される。すなわち、中間モジュール12の受電コイル31は、レピータとして機能する。
さらに、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が過大になると、末端モジュール13が受け取る電力は減少する。これは、中間モジュール12の実負荷35で消費される電力が過大になると、送電モジュール11から出力された電力の大部分が中間モジュール12の実負荷35で消費されるからである。このように、送電モジュール11から出力された電力の大部分が中間モジュール12の実負荷35で消費されると、中間モジュール12を中継として送電モジュール11から末端モジュール13へ提供できる電力が減少する。その結果、末端モジュール13が受け取る電力は減少することになる。
このように、中間モジュール12の受電コイル31をレピータとして機能させるためには、中間モジュール12で一定量の電力を消費する必要がある。一方、実負荷35は、機能がオフされると、電力の消費を停止する。そこで、第1実施形態では、実負荷35と並列に補助負荷36を挿入することにより、実負荷35がオフされて電力の消費が停止されても、補助負荷36で電力を消費する構成としている。すなわち、実負荷35がオフされたとき、補助負荷36に電流が流れる。このとき、補助負荷36に流れる電流は、中間モジュール12の受電コイル31をレピータとして機能させるための十分な大きさに設定される。その結果、中間モジュール12の受電コイル31は、実負荷35の作動状態に関わらずレピータとして機能する。
また、図5は、末端モジュール13の電力制御部43が制御するPWMデューティ比と末端モジュール13が受電する電力との関係を示している。具体的には、図5は、末端モジュール13におけるPWMデューティ比と受電電力との関係が中間モジュール12の負荷によってどのように変化するかを示している。
図5に示すように、末端モジュール13で受け取り可能な電力が最大となるPWMデューティ比は、中間モジュール12における負荷によって異なる。そのため、負荷が小さな中間モジュール12を前提にPWMデューティ比を固定的に設定すると、中間モジュール12の実負荷の負荷が大きくなったとき、最も伝達効率の高いPWMデューティ比を利用することができない。第1実施形態の場合、末端モジュール13の電力制御部43において出力するPWMデューティ比を変更することにより、末端モジュール13が受け取り可能な電力は、中間モジュール12の負荷状態に応じて変更される。したがって、末端モジュール13におけるPWMデューティ比は常に最適な値に制御することができる。例えば、末端モジュール13の電力制御部43は、中間モジュール12の負荷が大きくなると、図5に示すようにデューティ比を大きくなる側へ変更する。これにより、末端モジュール13が受け取り可能な電力は増加し、電力の伝達効率が向上する。
図6は、中間モジュール12の実負荷35における負荷すなわち実負荷35の消費電力と、末端モジュール13で受け取り可能な電力との関係を示している。第1実施形態の場合、図5で説明したように末端モジュール13の電力制御部43においてPWMディーティ比を制御することにより、末端モジュール13が受け取り可能な電力は中間モジュール12の負荷に関わらず変化が小さい。一方、末端モジュール13の電力制御部43においてPWMデューティ比を制御しない比較例の場合、末端モジュール13が受け取り可能な電力は中間モジュール12の負荷に応じて変化する。具体的には、比較例の場合、中間モジュール12の負荷が増大すると、末端モジュール13が受け取り可能な電力は減少する。このことからも、中間モジュール12の実負荷35の負荷状態に応じて第1実施形態のように末端モジュール13におけるPWMデューティ比を変化させることにより、末端モジュール13で受け取り可能な電力が安定することが分かる。したがって、第1実施形態では、中間モジュール12に実負荷35を接続する場合でも、送電モジュール11から出力された電力を末端モジュール13で有効に利用することができる。
次に、上記の構成による中間モジュール12の電力制御部33の作動の流れについて説明する。
中間モジュール12は、アクティブ状態またはスリープ状態のいずれかの状態で機能する。アクティブ状態は、受電コイル31がレピータとして機能している状態である。一方、スリープ状態は、例えば中間モジュール12が送電モジュール11と末端モジュール13とを中継する位置からずれ、中間モジュール12の受電コイル31がレピータとして機能していない状態である。電力制御部33は、このように受電コイル31の状態に応じて中間モジュール12の機能をアクティブ状態またはスリープ状態に切り換える。
中間モジュール12がアクティブ状態にあるとき、図7に示すようにCPU331は、AD入力における電圧ADinを取得する(S101)。ここで、電圧ADinは、AD入力部335において検出する電圧であり、整流器32からの入力電圧に相当する。CPU331は、S101で取得した電圧ADinにPID処理を施し、測定した電圧ADinに基づくPWMにおけるデューティ比PWM_dutyを設定する(S102)。すなわち、CPU331は、電圧ADinが実負荷35へ出力する目標となる出力値となるようにデューティ比PWM_dutyを設定する。なお、S102では、CPU331がPID処理を施す例を挙げたが、他の処理を施してもよい。
S102においてデューティ比PWM_dutyが設定されると、CPU331は、設定したデューティ比PWM_dutyが予め設定された最大値PWM_max以上であるか否かを判断する(S103)。最大値PWM_maxは、デューティ比の80%程度の値として予め設定されている。この最大値PWM_maxは、実負荷35の負荷の大きさに応じて任意に設定することができる。CPU331は、実負荷35へ供給される電流が減少し、電圧ADinが低下すると、デューティ比PWM_dutyを大きくし、実負荷35へ供給される電流を維持する。一方、実負荷35へ供給される電流が過小になると、デューティ比PWM_dutyは最大値PWM_max以上になる。CPU331は、S102で設定したデューティ比PWM_dutyが最大値PWM_max以上であると判断すると(S103:Yes)、電圧ADinが限界電圧Vより小さいか否かを判断する(S104)。限界電圧Vは、実負荷35に印加する電圧の下限値である。
CPU331は、S103においてデューティ比PWM_dutyが最大値PWM_maxより小さいと判断したとき(S103:No)、実負荷35に供給される電流が適切であると判断する。したがって、CPU331は、シャットダウンカウンタのカウントOverCをリセットする(S105)。また、CPU331は、S104において電圧ADinが限界電圧V以上であると判断したとき(S104:No)、S105に移行し、シャットダウンカウンタのカウントOverCをリセットする。すなわち、CPU331は、電圧ADinが限界電圧V以上であると判断したとき、実負荷35への電力の供給が可能と判断する。CPU331は、S105においてシャットダウンカウンタのカウントOverCをリセットすると、S101へリターンして処理を継続する。シャットダウンカウンタは、中間モジュール12をアクティブ状態からスリープ状態へ移行するか否かを判断するための期間を測定する。
CPU331は、S104において電圧ADinが限界電圧Vより小さいと判断すると(S104:Yes)、シャットダウンカウンタのカウントOverCをカウントアップする(S106)。すなわち、CPU331は、電圧ADinが限界電圧Vより小さいとき、実負荷35に印加される電圧が過小になっていると判断する。そのため、CPU331は、中間モジュール12をアクティブ状態からスリープ状態へ以降するためのシャットダウンカウンタのカウントOverCを進める。
CPU331は、S106において、シャットダウンカウンタのカウントOverCがカウントアップされると、このカウントOverCが上限値Cmax1を超えたか否かを判断する(S107)。CPU331は、シャットダウンカウンタのカウントOverCが上限値Cmax1を超えたと判断すると(S107:Yes)、PWMの出力を最小にするとともに(S108)、スリープ状態へ移行する(S109)。このように、CPU331は、デューティ比PWM_dutyが最大値PWM_max以上となり、かつ電圧ADinが限界電圧Vより小さな状態が連続して上限値Cmax1に達すると、中間モジュール12をスリープ状態へ移行させる。
例えば中間モジュール12の位置のずれなどによって、中間モジュール12の受電コイル31で送電モジュール11から受け取る電力が低下し、その状態が一定期間継続すると、シャットダウンカウンタのカウントOverCは、上限値Cmax1に到達する。このように中間モジュール12の受電コイル31が送電モジュール11から受け取る電力が急激に低下すると、磁界共鳴の不成立によって中間モジュール12の電気的な回路には逆起電力が生じる。そして、生じた逆起電力は、中間モジュール12の電気的な回路を構成する素子の破壊を招くおそれがある。そこで、CPU331は、中間モジュール12の位置のずれなどによって磁界共鳴が停止すると、スリープ状態へ移行して、逆起電力による素子の破壊を防止する。
一方、中間モジュール12がスリープ状態にあるとき、CPU331は、図8に示す流れにしたがってスリープ状態からの復帰の可否を判断する。具体的には、CPU331は、スリープ状態にあるとき、インターバルタイマによって、一定の時間毎に一時的に中間モジュール12をスリープ状態からアクティブ状態へ移行する(S201)。すなわち、CPU331は、スリープ状態へ移行してから、予め設定した期間が経過すると、定期的に中間モジュール12をスリープ状態からアクティブ状態へ一時的に移行する。これにより、CPU331は、S108においてPWMの出力を最小にする設定を解除する。そして、CPU331は、AD入力部335における電圧ADinを取得する(S202)。
CPU331は、S202で取得した電圧ADinが限界電圧V以上であるかを判断する(S203)。CPU331は、電圧ADinが限界電圧V以上であると判断すると(S203:Yes)、ウェークアップカウンタのカウントWakeCをカウントアップする(S204)。すなわち、CPU331は、電圧ADinが限界電圧V以上であるとき、実負荷35に十分な電圧が印加されていると判断する。そのため、CPU331は、中間モジュール12をスリープ状態からアクティブ状態へ移行するためのウェークアップカウンタのカウントWakeCを進める。
CPU331は、S204において、ウェークアップカウンタのカウントWakeCのカウントアップされると、このカウントWakeCが上限値Cmax2を超えたか否かを判断する(S205)。CPU331は、ウェークアップカウンタのカウントWakeCが上限値Cmax2を超えたと判断すると(S205:Yes)、アクティブ状態へ移行する(S206)。すなわち、CPU331は、ウェークアップカウンタのカウントWakeCが上限値Cmax2を超えると、実負荷35に供給される電力が十分に回復したと判断する。
一方、CPU331は、S203において電圧ADinが限界電圧Vより小さいと判断(S203:No)、およびS205においてカウントWakeCが上限値Cmax2以下であると判断すると(S205:No)、中間モジュール12をスリープ状態に維持したままS201へリターンする。すなわち、CPU331は、これらの条件では実負荷35に供給される電力が不十分であるとして電気回路を保護するためにスリープ状態を維持する。
このように、中間モジュール12のCPU331は、中間モジュール12をアクティブ状態またはスリープ状態に切り換える。これにより、中間モジュール12受電コイル31がレピータとして電力を中継しているか否かに基づいて、中間モジュール12を構成する各素子の破壊を防止している。
以上説明した第1実施形態では、末端モジュール13の受電コイル41は、送電コイル21からの電力を受け取る受電コイルとして機能する。また、中間モジュール12の受電コイル31は、送電コイル21から電力を受け取るだけでなくレピータとしても機能する。これらの受電コイル31は実負荷35が接続され、受電コイル41は実負荷45が直接接続されている。すなわち、実負荷35は受電コイル31で受け取った電力によって駆動され、実負荷45は受電コイル41で受け取った電力によって駆動される。そのため、受電コイル31と実負荷35との間、および受電コイル41と実負荷45との間には、例えばトランスなどの電力を変換するための変換手段を必要としない。すなわち、受電コイル31と実負荷35との間、および受電コイル41と実負荷45との間は、トランスなどの電力変換手段を経由することなく直接電気的に接続される。したがって、受電コイル31を含む中間モジュール12、および受電コイル41を含む末端モジュール13の大型化を招くことがない。また、第1実施形態では、電力変換手段を必要としないので、電力の変換にともなうエネルギーの減衰が抑えられ、機器の大型化を招くことなく、電力の効率的な伝達を確保することができる。さらに、第1実施形態では、電力の効率的な伝達によって送電側の電力供給部22および送電コイル21も電気的な容量が低減される。したがって、小型化を促進することができ、工場設備やロボットへの導入を容易にすることができる。
また、第1実施形態では、中間モジュール12において受電コイル31および実負荷35と並列に補助負荷36を挿入している。これにより、仮に受電コイル31と実負荷35との間が電気的に遮断された開放状態となっても、受電コイル31は補助負荷36との間で閉回路を形成する。そのため、受電コイル31は、実負荷35の駆動状態に関わらず、安定してレピータとしての機能が確保される。したがって、受電コイル31と実負荷35とを直接接続する場合でも、給電距離を延長することができるとともに、送電モジュール11から末端モジュール13へ安定した給電を図ることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態の場合、図9に示すようにワイヤレス給電装置10の中間モジュール12は、実負荷取得部336および負荷変更部337を備えている。具体的には、中間モジュール12は、CPU331においてコンピュータプログラムを実行することにより、実負荷取得部336および負荷変更部337をソフトウェア的に実現している。なお、実負荷取得部336および負荷変更部337は、CPU331の一体の電気回路としてハードウェア的に実現してもよく、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現してもよい。
第2実施形態の場合、補助負荷50は、負荷の大きさを変更可能な可変負荷である。補助負荷50は、例えば可変コイルや可変コンデンサなどで構成されている。実負荷取得部336は、中間モジュール12の実負荷35における消費電力、印加される電圧または実負荷に流れる電流などの少なくともいずれかを実負荷から取得する。このように、実負荷取得部336は、中間モジュール12の実負荷35における負荷の大きさを取得する。負荷変更部337は、実負荷取得部336で取得した実負荷35の負荷に基づいて、補助負荷50の負荷を変更する。すなわち、負荷変更部337は、実負荷35の負荷の大きさに基づいて、補助負荷50の負荷の大きさを変更する。
上述の第1実施形態でも説明したように、実負荷35の停止などにより受電コイル31を含む電気的な回路が開放されると、中間モジュール12の受電コイル31はレピータとしての機能を十分に果たすことができない。そのため、中間モジュール12は、受電コイル31を含む電気的な回路をレピータとして機能させるために補助負荷50を挿入している。一方、末端モジュール13において受電可能な電力は、上述の図4で説明したように中間モジュール12の受電コイル31を流れる電流によって変化する。中間モジュール12の受電コイル31に実負荷35を直接接続する場合、この中間モジュール12の受電コイル31を流れる電流は、実負荷35の負荷の大きさによって変化する。すなわち、実負荷35が接続された中間モジュール12を中継して磁界共鳴によって給電する場合、送電モジュール11の送電コイル21と末端モジュール13の受電コイル41との間の給電効率は、中間モジュール12における実負荷35の負荷状況に応じて変化する。そのため、中間モジュール12の実負荷35と補助負荷50との負荷の総和は、送電モジュール11から末端モジュール13への給電効率が高い値となるように維持することが好ましい。
そこで、第2実施形態では、実負荷取得部336が実負荷35の負荷を取得し、取得した負荷の大きさに基づいて負荷変更部337は補助負荷50の負荷の大きさを変更する。そして、負荷変更部337は、中間モジュール12の実負荷35と補助負荷50との負荷の総和を一定値に維持する。これにより、中間モジュール12の受電コイル31に流れる電流は、実負荷35の負荷の変化に関わらず、一定に維持される。この場合、負荷変更部337は、補助負荷50の負荷を変更することにより、受電コイル31を流れる電流を制御する。そして、この受電コイル31における電流は、末端モジュール13に供給する電力の伝達効率が一定水準以上となるように制御される。
このように第2実施形態では、負荷変更部337は、実負荷35の負荷状態を常に監視する。そして、この負荷変更部337は、取得した実負荷35の負荷に応じて、補助負荷50の負荷を変更する。したがって、中間モジュール12の受電コイル31に接続された実負荷35の負荷が変化する場合でも、給電効率および給電の安定性を高めることができる。また、ワイヤレス給電装置10の全体における給電効率も高めることができる。
なお、第2実施形態では、中間モジュール12の補助負荷50を例に説明した。しかし、末端モジュール13に補助負荷を設け、この末端モジュール13の補助負荷の負荷の大きさを変更する構成としてもよい。このように末端モジュール13においても補助負荷の負荷を変更することにより、末端モジュール13において電力を受け取る効率をより高めることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態では、図10に示すように上述した複数の実施形態によるワイヤレス給電装置10を多関節型の産業用ロボット(以下、単に「ロボット」という。)60に応用した例を示している。
ロボット60は、複数の軸を中心に回転可能なアームを有している。図10は、ロボット60の簡略化した例として、第一アーム61、第二アーム62および台座部63を有する例を示している。第一アーム61は、設備に固定された台座部63に対し中心軸を中心に相対的に旋回可能に設けられている。第一アーム61と第二アーム62とは、関節部64を支点として相互に旋回可能である。この第二アーム62は、先端すなわち第一アーム61と反対側の端部に機能部65を有している。機能部65は、例えばマニピュレータやカメラなどの各種の機能を実現する部位である。
このようなロボット60の場合、送電モジュール11は、台座部63に設けられる。この送電モジュール11の送電コイル21から出力された電力は、最終的に第二アーム62の先端に設けられている機能部65において動力源として用いられる。そのため、末端モジュール13は、第二アーム62の先端の機能部65に設けられる。
ロボット60の場合、台座部63から機能部65へ至る経路は、途中に関節部64が位置する。そのため、レピータを用いることなく台座部63に設けられている送電モジュール11から機能部65が設けられている末端モジュール13へ電力を直接伝達することは難しい。そこで、ロボット60に適用する場合、レピータとして機能する中間モジュール12の受電コイル31は、関節部64に設けられる。一方、この関節部64は、第一アーム61と第二アーム62とが互いに旋回する。この旋回のための駆動力としてモータが用いられる。このモータは、中間モジュール12で受け取った電力によって駆動される。すなわち、モータは、中間モジュール12の実負荷35に相当し、中間モジュール12の受電コイル31で受け取った電力によって作動する。そして、送電モジュール11から出力された電力は、一部が関節部64のモータなどの実負荷35によって消費されるとともに、末端モジュール13の実負荷45に相当する機能部65によっても利用される。この場合、関節部64のモータは、常に作動して電力を消費するのではなく、第一アーム61と第二アーム62との旋回時において間欠的に電力を消費する。すなわち、中間モジュール12における実負荷35に相当するモータの負荷は、電気的な断続を繰り返しながら変化する。
そこで、第1実施形態または第2実施形態のワイヤレス給電装置10を適用することにより、末端モジュール13に接続した機能部65は、中間モジュール12に接続したモータの作動状態に関わらず、安定した電力の供給を受けることができる。また、ワイヤレス給電装置10は、実負荷35および実負荷45が直接接続されている。そのため、ワイヤレス給電装置10は、小型化が図られ、容易にロボット60へ内蔵することができる。ワイヤレス給電装置10を応用することにより、ロボット60は、台座部63から関節部64、および関節部64から機能部65へ電力を供給するためのケーブルなどを必要としない。これらのケーブルを省略することにより、ケーブルやこれを保護するための部材を必要とせず、これらを収容する空間も不要となる。また、各部の旋回などによるケーブルと他の部品との接触、およびこれらの接触にともなう騒音や損傷も低減される。その結果、ロボット60の構造を簡略化することができるとともに、静音化および寿命の延長も図ることができる。
(その他の実施形態)
以上説明した本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
上述の複数の実施形態では、送電モジュール11と末端モジュール13との間に一つの中間モジュール12を挿入する例について説明した。しかし、中間モジュール12は、一つに限らず、二つ以上を挿入することができる。例えば、六軸の多関節型ロボットにワイヤレス給電装置10を適用する場合、三つ以上の中間モジュール12を挿入し、台座部63に設けた末端モジュール13から先端の機能部65まで電力を供給する構成とすることができる。
図面中、10はワイヤレス給電装置、21は送電コイル、22は電力供給部、31、41は受電コイル、35、45は実負荷、36、50は補助負荷、336は実負荷取得部(実負荷取得手段)、337は負荷変更部(負荷変更手段)を示す。

Claims (2)

  1. 電力供給部から電力が供給される送電コイルと、
    前記送電コイルから磁界共鳴によって前記送電コイルと非接触で電力を受け、電力の伝達を中継するレピータとして機能する受電コイルと、
    前記受電コイルに接続され、前記送電コイルから受け取った電力で駆動する実負荷と、
    前記受電コイルおよび前記実負荷と並列に挿入され、前記実負荷への電力の供給が遮断された開放状態のとき、前記受電コイルとの間で閉鎖した回路を形成する補助負荷と、
    を備えるワイヤレス給電装置。
  2. 前記実負荷の負荷を取得する実負荷取得手段と、
    前記実負荷取得手段で取得した前記実負荷の負荷に基づいて、前記補助負荷の負荷を変更する負荷変更手段と、
    をさらに備える請求項1記載のワイヤレス給電装置。
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