JP2014070437A - 建築用接合金具及びその接合構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】梁を、該梁と交差する柱又は梁である支持材に接合させるにあたり、施工が容易で、作業効率も高い建築用接合金具及びその接合構造を提供することを課題とする。
【解決手段】梁7の端部に凹設された差込溝12に差込み挿入される差込プレート部17と、支持材に接合させる前記梁7方向に該支持材を貫通する挿通孔11の端部を拡大させる挿入スペース16に嵌合挿入されて差込プレート部17の差込溝12から露出する端部に一体的に形成されたボス部18とを備え、挿入スペース16の内周面とボス部18の外周面とに跨る規制穴22の一部を構成する規制溝18bをボス部18に形成し、挿通孔11に挿入されたボルト13用のネジ穴18aをボス部18の端面側に形成し、規制穴22に規制ピン23を挿入することによって、ボス部18の回転又は回動が規制されることを特徴とする。
【選択図】図4
【解決手段】梁7の端部に凹設された差込溝12に差込み挿入される差込プレート部17と、支持材に接合させる前記梁7方向に該支持材を貫通する挿通孔11の端部を拡大させる挿入スペース16に嵌合挿入されて差込プレート部17の差込溝12から露出する端部に一体的に形成されたボス部18とを備え、挿入スペース16の内周面とボス部18の外周面とに跨る規制穴22の一部を構成する規制溝18bをボス部18に形成し、挿通孔11に挿入されたボルト13用のネジ穴18aをボス部18の端面側に形成し、規制穴22に規制ピン23を挿入することによって、ボス部18の回転又は回動が規制されることを特徴とする。
【選択図】図4
Description
梁を、該梁と交差する柱又は梁である支持材に接合させる建築用接合金具及びその接合構造に関する。
梁を、該梁と交差する柱又は梁である支持材に接合させるために、梁の端部に凹設された差込溝に差込み挿入される差込プレート部と、支持材に接合される梁の方向に貫通する挿通孔の端部を拡大させる挿入スペースに嵌合挿入されて差込プレート部の差込溝から露出する端部に一体的に形成されたボス部とを備え、挿通孔に挿入されたボルトをネジ係合させるネジ孔をボス部の端面側に穿設した建築用接合金具及びその接合構造が公知になっている(例えば、特許文献1参照。)。
上記文献の建築用接合金具及びその接合構造では、ボス部のネジ孔に挿通孔内のボルトがネジ係合されるように該ボス部を挿通孔の挿入スペース内の嵌合挿入して締着固定し、このようにして支持材から突出した状態で固定された差込プレート部を、差込溝に差込み挿入させて固定すれば、梁が支持材に高強度で固定できるので、施工が容易になる。
しかし、支持材に梁を取付支持する作業の途中で、ボス部が自身の軸回りに回動すると、差込プレート部が梁の差込溝に対してずれて差込溝に挿入できなくなるため、施工時の作業効率が低下する場合がある。
しかし、支持材に梁を取付支持する作業の途中で、ボス部が自身の軸回りに回動すると、差込プレート部が梁の差込溝に対してずれて差込溝に挿入できなくなるため、施工時の作業効率が低下する場合がある。
本発明は、梁を、該梁と交差する柱又は梁である支持材に接合させるにあたり、施工が容易で、作業効率も高い建築用接合金具及びその接合構造を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、第1に、梁7を、該梁7と交差する柱4又は梁6である支持材に接合させる建築用接合金具であって、梁7の端部に凹設された差込溝12に差込み挿入される差込プレート部17と、支持材に接合させる前記梁7の方向に該支持材を貫通する挿通孔11の端部を拡大させる挿入スペース16に嵌合挿入されて差込プレート部17の差込溝12から露出する端部に一体的に形成されたボス部18とを備え、挿入スペース16の内周面とボス部18の外周面とに跨る規制穴22の一部を構成する規制溝18bをボス部18に形成し、挿通孔11に挿入されたボルト13用のネジ穴18aをボス部18の端面側に形成し、規制穴22に規制ピン23を挿入することによって、ボス部18の回転又は回動が規制されることを特徴とする。
第2に、規制溝22を、ボス部18の周面に複数形成したことを特徴とする。
第3に、複数の規制溝22を、ボス部18の軸心Sを境に対称配置したことを特徴とする。
第4に、梁7を、該梁7と交差する柱4又は梁6である支持材に接合させる建築用接合構造であって、梁7の端部に差込溝12を凹設し、支持材に接合させる梁7方向に該支持材を貫通する挿通孔11を設け、該挿通孔11の端部に挿入スペース16を拡大させて設け、差込溝12に差込み挿入される差込プレート部17と、該差込プレート部17の差込溝12から露出する端部に一体的に形成されて挿入スペース16に嵌合して挿入されるボス部18とを有する接合金具14を備え、挿入スペース16の内周面とボス部18の外周面とに跨る規制穴22を構成する一対の規制溝16a,18bをボス部18の外周及び挿入スペース16の内周にそれぞれ形成し、挿通孔11に挿入されたボルト13用のネジ孔18aをボス部18の端面側に形成し、規制穴22への規制ピン23の挿入によって、ボス部18の軸回り回転又は回動が規制されることを特徴とする。
第5に、複数の規制穴22を、ボス部18の軸回りに所定間隔毎に形成したことを特徴とする。
第6に、前記複数の規制穴22を、ボス部18の軸心Sを境に対称配置したことを特徴とする。
第7に、規制ピン23に差込プレート部17側が開放されたネジ孔23aを穿設したことを特徴とする。
挿入スペースの内周面とボス部の外周面とに跨る規制穴の一部を構成する規制溝をボス部に形成し、規制穴に規制ピンを挿入することによって、挿入スペースに嵌合挿入されたボス部の軸回りの回転又は回動が規制され、差込プレート部が差込溝に対してずれることが防止されるため、支持材側に固定された差込プレート部を差込溝に差込み挿入して梁を支持材に取付支持する施行容易な組立作業を、作業効率を低下させることなく迅速に行うことが可能になる。
図1は、本発明の建築用接合構造を適用した構造物の正面図である。図示する構造物1は、上下方向の鉄筋2(図9参照)にコンクリートを打設することにより構成された基礎3に木製の構造柱(柱)4の下端部を固定し、この構造柱4を一対並べて設け、この一対の構造柱4,4の間に木製の構造梁(梁)6を架設することにより構成されたゲート状のラーメン構造(骨組)である。
図示する例では、構造梁6が一対の構造柱4,4の上端面に載置されており、この構造梁6の一端部からは、該構造梁6に対して交差方向(直交方向)に突出した水平な一対の木製の梁7が接合固定されるとともに、上方に向かって木製の柱8が突設されている。この構造柱4と構造梁6の接合部分及び構造梁6と梁7との接合部分について以下に詳述する。
まず、図2〜図7に基づき、構造梁6を、該構造梁6と交差する梁7に接合する接合構造について説明する。
図2乃至図4は、本発明を適用した接合構造の構成を示す正面図、側面図及び平面図であり、図5(A)乃至(C)は梁接合金具の側面図、背面図及び斜視図である。図示する接合構造は、前後方向に厚みを有する厚板状をなして水平方向(具体的には左右方向)に延びる構造梁6を、梁7の延長線方向(具体的には前後方向)に構造梁6を貫通する水平な挿通孔11と、構造梁6に対して垂直な方向に延びる梁7の該構造梁6側の端面に凹設された上下方向の差込溝12と、挿通孔11内に嵌合収容された状態で挿入される固定ボルト(ボルト)13と、梁接合金具(梁接合金具)14とを備えている。
上記挿通孔11は前後方向に一直線状に成形され、この挿通孔11の両端部には、自身の中途部に対して径を拡大させるように円柱状に刳り貫き形成された挿入スペース16がそれぞれ設けられている。
上記差込溝12は、深さが梁7の全長方向に凹状に刳り貫かれ、上下方向に延びており、この差込溝12の構造梁6側及び全長方向両側が開放されている。また、この差込溝12は、幅狭で、深さのある切込み状に形成されている。
上記固定ボルト13は両ネジボルトであって、この固定ボルト13の両端側のネジ形成部分がそれぞれ上述した挿入スペース16に臨んだ状態になる。また、この固定ボルト13の中途部には、挿通孔11内での該固定ボルト13の意図しない軸回り回転又は回動や軸方向への移動を規制する凹凸状の規制部13aが形成されている。
上記梁接合金具14は、切込み状の差込溝12に嵌合状態で差込み挿入される差込プレート部17と、差込溝12に差込まれた状態で差込溝12内から構造梁6側に露出する差込プレート部17の端部に一体成形された円筒状のボス部18とを有している。
ボス部18は、上述した差込スペース16に嵌合挿入可能なように上記挿通孔11の軸方向に形成され、このボス部18の差込プレート部17と反対側の端面には、該端面側が開放されてボス部18の軸方向に延びるネジ孔18aが凹設され、このネジ孔18aには、上述した固定ボルト13の端部がネジ係合された状態で挿脱自在に挿入される。ちなみに、このボス部18と、該ボス部18に凹設されたネジ孔18aとは同一軸心となる。
差込プレート部17は、自身の厚み方向中心がボス部18の軸心Sに位置している。この差込プレート部17には、自身の厚み方向に形成された固定ピン(ドリフトピン)19を挿通させる固定挿通部21A,21Bが複数形成されている。この固定挿入部21A,21Bには、周端面から凹設された固定挿通溝21Bと、固定挿通孔21Aの2種類がある。
そして、差込プレート部17自体が、上述したボス部18の軸心Sに対して対称形状に成形され、これに伴って、固定挿通溝21B及び固定挿通孔21Aも、ボス部18の軸心Sを境に対称配置され、該軸心Sを跨ぐ固定挿通部21A,21Bはこの軸心Sに対して左右対称形状に成形される。
さらに、この差込プレート部17には、ボス部18の軸心Sを跨ぎ且つ該軸心Sに対して対称形状をなす把持孔17aが穿設され、この把持孔17aを介して作業者が梁整合金具14を把持し易くなる。この他、この把持孔17aに近い側に固定挿通孔21Aが配置形成され、遠い側に固定挿通溝21Bが凹設されている。ちなみに、この把持孔17aの周囲は、両面側において厚み方向に一段窪んだ凹部17bの中央側に配置形成されている。
まず、挿通孔11内に固定ボルト13を挿入して収容し、続いて、一対の梁接合金具14を、ボス部18を構造梁6側に向けた状態で、挿通孔11の両端側にそれぞれ各別に配置し、各梁接合金具14のボス部18を近い側の挿入スペース16内に嵌合して挿入しつつ、各ボス部18のネジ孔18aに固定ボルト13の端部をネジ係合させて挿入させる。すなわち、梁接合金具14(差込プレート部17)をボス部18の軸回りに回転させながら、ボス部18を挿通孔11の挿入スペース16内に嵌合挿入させていく。
そして、差込プレート部17が梁7の差込溝12に沿う(具体的には、差込プレート部17の厚み方向が差込溝12の幅方向と平行または略平行になる)ようにして、固定ボルト13の両端部をそれぞれ対応するボス部18のネジ孔18aにネジ係合させて最大限締付けると、各ボス部18の略全体が対応する挿入スペース16内に嵌合収容されて、一対の梁接合金具14がそれぞれ構造梁6の両面側に一体的に締着固定され、一対の差込プレート部17,17が構造梁6から両側に突出した状態になる。
続いて、この構造梁6から突出した各差込プレート部17に取付対象となる梁7の差込溝12がスライド挿入されるように、該梁7の端面を構造梁6の接合側の面に近接又は接触させた状態で、上下動させるか、或いは、前記梁7を軸方向に移動させて、差込溝12内に差込プレート部17を差込み挿入させる。そして、この状態で、上述した固定ピン19を、梁7の側面側から該梁7自体及び固定挿通部21A,21Bに挿通させて固定することにより、この梁7が差込プレート部17に固定され、これによって、梁7が構造梁6に支持固定される。
構造梁6の梁接合金具14への荷重を、該構造梁6に交差する方向に延びる固定ピン19全体及び差込プレート部17の板形成方向で受止めるとともに、梁接合金具14の構造梁6への荷重を、固定ボルト13全体で受止めるため、高い強度が確保できる。
ところで、梁接合金具14を構造梁6に締着固定させた際に、差込プレート部17への作業者の接触等によって、差込プレート部17がボス部18の軸回りに回転または回動されると、上記差込溝12に対して該差込プレート部17がずれて、差込プレート部17が差込溝12に挿入できない状態になり、作業効率が低下する。これを防止するため、この接合構造には、梁接合金具14(差込プレート部17)がボス部18の軸回りに回転又は回動することを規制する規制手段が設けられている。
この規制手段は、挿入スペース16の内周と該挿入スペース16に嵌合挿入されるボス部18の外周とに跨る規制穴22と、規制穴22に嵌合挿入される規制ピン23とを備えている。
具体的には、挿入スペース16の内周には、ボス部18の軸方向に沿って延びる断面視円弧状の規制溝(固定側規制溝)16aが凹設されるとともに、ボス部18の外周には、ボス部18の軸方向に沿って延びる断面視円弧状の規制溝(可動側固定溝)18bが凹設され、この2つの規制溝16a,18bの位置を、ボス部18の軸回りで一致させることにより、断面視円形をなす前述の規制穴22が形成されている。
この規制穴22に円柱状の規制ピン23を嵌合して挿入することにより、ボス部18の挿入スペース16内での軸回り回動または回転が規制された状態になる。
この規制穴22はボス部18の軸回りに複数(図示する例では2つ)設けられ、さらに具体的には、複数の規制穴22がボス部18の軸心を境に対称配置されている。
また、規制ピン23は、挿入端と反対側の端部(規制穴22への挿入時における差込プレート部17側の端部)側が開放されたネジ穴23aが、自身の軸方向に形成されており、規制穴22に嵌合されて、抜け難くなった規制ピン23のネジ穴23aに、先端側外周にネジが形成された棒状部材(図示しない)等をネジ係合させて挿入し、この棒状部材ごと規制ピン23を引抜きことにより、規制ピン23を規制穴22から取出すことができる。
また、ボス部18を挿入スペース16から引抜く際は、上述した把持孔17a内に指を通して、梁接合金具14を把持した状態で、この梁接合金具14の引抜き作業を行う。
以上のように構成される規制手段によれば、規制手段によって、差込プレート部17がボス部18の軸回りに回転又は回動されることが規制されるため、該回動によって、差込プレート部17が差込溝12に対してずれて、組立作業に支障をきたすことが防止される。
また、固定挿通部21A,21Bがボス部18の軸心を境に対称配置されているため、梁7に予め固定ピン19用のピン孔を形成した場合において、ボス部18を挿入スペース16内で半周分回動させた状態での各固定挿通部21A,21Bの位置と、回動させる前の状態での各固定挿入部21A,21Bの位置とが同一になるため、梁接合金具14におけるボス部18の軸回りの回転量に対する軸方向の移動量を厳密に設定する必要性が低くなり、設計が容易になる。
また、複数の規制孔22を、ボス部18の軸回りに所定間隔(半周毎に等間隔)毎に形成しているため、上記回動又は回転がさらに効率的に規制でき、さらには、複数の規制穴22がボス部18の軸心を境に対称配置されているため、さらに効率的にボス部18の軸回り回転又は回動が高強度で規制できる。ちなみに、規制穴22は、構造梁6を貫通した規制孔としてもよい。
図6は、梁接合金具を用いた接合構造の他例を示す構成図である。上述した例では、梁7を取付材とし、該梁7に垂直な構造梁6を支持材として、支持材6の両面側に取付材7,7を接合する接合構造について説明したが、図6に示すように、上下方向に延びる構造柱4の片側の面に梁7の端面を接合させて固定させもよい。言換えると、構造柱4を支持材とし、梁7を取付材とする。
具体的には、取付材である梁7の形成方向に延びる挿入スペース16付の挿通孔11を、構造柱4に穿設し、挿通孔11内の固定ボルト13の一端部を、ボス部18のネジ孔18aにネジ係合させた状態で、該ボス部18を挿入スペース16内に嵌合挿入させて、構造柱4に梁接合金具14を一体的に固定させている。この際、固定ボルト13の他端部には、円盤状の垂直なボルトヘッド24が溶接され、このボルトヘッド24は構造柱4に穿設されて挿通孔11と連通する凹部26内に収容されている。
図7は、梁接合金具の他例の構成を示す構成図である。上述した例では、一対の固定挿通孔21Aを、把持孔17a寄り位置において、ボス部18の軸心Sを境にそれぞれ対称配置するとともに、一対の固定挿通溝21Bを、固定挿通孔21Aよりも把持孔17aから遠い側に配置して、ボス部18の軸心Sを境にそれぞれ対称配置したが、図7では、対称配置された固定挿通溝21B,21Bの間に、ボス部18の軸心S上に位置し且つ軸心Sに対して対称形状をなす単一の固定挿通孔21Aをさらに穿設した例につき示している。
次に、図1〜図4及び図8〜図10に基づき、構造柱4に構造梁6を接合する接合金具(具体的には後述するジョイントボックス31)及びそれを用いた接合構造について説明する。
図8(A)乃至(D)はジョイントボックスの正面図、側面図、平断面図及び斜視図である。この接合構造は、構造柱4と構造梁6の接合部分の一方又は両方(図示する例では、構造柱4側)に切欠き状に形成された収容スペース27と、構造柱4の断面内から互いを接合させる方向(図2に示す例では上下方向)に延びて収容スペース27側に突出する接合ボルト(ボルト)28と、構造梁6の断面内から上記接合方向に延びて収容スペース27内に突出する接合ボルト(ボルト)29と、収容スペース27に嵌合収容されて上記2つの連結ボルト28,29の端部同士を、収容スペース27内でジョイントして締着固定させる中空状且つ直方体状のジョイントボックス31とを備えている。
上記収容スペース27は、全長方向の端部を接合させる側の部材である端部接合部材(ここでは、構造柱4)の該接合端の両サイドがそれぞれ外側側方及び接合側で切離されるようにL字に切欠き状成形された形状を有し、これを言換えると、この収容スペース27は、厚板状に成形された該端部接合部材の接合端側と、幅方向外側と、厚み方向両側とが開放された状態になる。このため、この端部接合部材である構造柱4を、構造梁6に接合させた状態では、収容スペース27の幅方向外側及び厚み方向両側が開放された状態になる。
また、端部接合部材である構造柱4が接合される部材である構造梁6は、端部以外の部分で、該構造柱4と接合される非端部接合部材であり、この非端部接合部材は該構造柱4と同様に厚板状に成形され、この構造梁6と構造柱4は厚みが略同一に設定され且つ厚み方向も一方向である水平方向(図示する例では前後方向)を向いた状態になる。
ちなみに、柱の上端部に柱の下端面と接合させる場合や、同一方向を向いて隣合う一対の梁の端部同士を接合させる場合等、全長方向の端部同士を接合させる場合には、接合させる両部材が端部接合部材となる。
上記2つの接合ボルト28,29は、端部接合部材である構造柱4の形成方向に軸心がそれぞれ向けられ、互いに同一軸心となった状態で、構造柱4及び構造梁6にそれぞれ挿入固定され、接合ボルト28,29は端部接合部材のサイド寄りに配されているので、両接合ボルト28、29における端部同士が互いに向かい合った状態で収容スペース27内に突出している。この収容スペース27内に突出する各接合ボルト28,29の突出端部の外周には、ネジ28a、29aが形成されている。
ちなみに、各接合ボルト28、29は、具体的には、構造柱4及び構造梁6のボルト挿入部32,33に挿入され、このボルト挿入部32,33に挿入された接合ボルト28、29に、構造柱4及び構造梁6へ厚み方向から挿入される固定ピン(ドラフトピン)34,36が貫通して、該接合ボルト28、29が構造柱4と構造梁6の断面内に固定される。
また、上述した固定ボルト13も、この接合ボルト29を構造梁6に固定する固定ピン13として機能している。言換えると、接合ボルト13が接合ボルト29を直交方向から貫通している。
上記ジョイントボックス31は、一面が開放された直方体状に成形され、この開放端が収容スペース27の接合側以外の開放端側(図示する例では、端部接合部材である構造柱4の幅方向外側)を向いた姿勢で、該ジョイントボックス31が収容スペース27内に嵌合収容されている。
このジョイントボックス31は、収容スペース27内において、接合部材である構造柱4及び構造梁6の一方側と他方側のそれぞれに接当又は近接して対向する一対の対向壁(壁部)37と、開放側の反対側に位置して上記対向壁37,37同士を底側で連接する底壁(底部)38と、上記接合ボルト28,29の軸方向に沿って(さらに具体的には平行に)延びて対向壁37,37同士を連接するように互いに向かい合う一対の側壁(壁部)39,39とから構成されている。
一対の対向壁37,37の上記接合ボルト28,29の軸心上には、この一対の接合ボルト28,29の端部をそれぞれ挿通させる孔状又は溝状(図示する例では孔状)のボルト挿通部37a,37aが穿設されている。このボルト挿通部37aに挿通された各接合ボルト28,29の端部に接合ナット41,42をネジ係合させて締付けると、ジョイントボックス31内で、一対の接合ボルト28,29の端部側が締着固定され、構造柱4と構造梁6が接合固定される。ちなみに、接合ナット41,42と、該接合ナット41,42に近い側の対向壁37,37との間には、一又は複数のワッシャー43が介挿され、接合ナット42,42の緩みが防止される。
接合ボルト28,29に沿う一対の側壁39,39は、接合ボルト28,29を挟んで対向しており、この各側壁39,39の開放端は、一方の対向壁37から他方に対向壁37に至る全長方向の全体に亘り、切欠き状に形成されて、この切欠かれた部分に作業スペース39aが形成され、この切欠き状に形成された各側壁39の開放端よりも底壁38寄りに上述したボルト挿通部(接合ボルト28,29)が位置している。
この作業スペース39aによって、接合ボルト28,29の軸回りスペースがより広くなり、接合ナット41,42を締着固定する際に用いるスパナ等の締付工具44の回動スペースが広く確保され、ジョイントボックス31による構造柱4と構造梁6の接合固定の作業を効率的に行うことが可能になる。
底壁38は、その一部を開放する開口部38aが形成され、この開口部38aを介して、ジョイントボックス31内の状態を目視することが可能になる。
該構成のジョイントボックス31によれば、梁又は柱である取付材(ここでは構造梁6)を、柱又は梁からなる支持材(ここでは構造柱4)に接合して固定する際におけるネジ締め作業を、ジョイントボックス31の開放端側の作業スペース39aを利用して、効率的に行うことが可能である。
また、この接合構造は、図2に示すように端部接合部材(ここでは構造柱4)の幅方向両側に設けるため、バランス良く、高強度で、支持材に取付材を固定できる。
なお、構造梁6に挿入された接合ボルト29は、図2及び図3に示すように、構造梁6を貫通させてもよい。この構造梁6から貫通させた接合ボルト29の端部を、該構造梁6の上面に下端が支持される柱8の該下端部に挿入し、直交方向に接合ボルト29を貫通する固定ピン46によって、該柱8の断面内で固定してもよい。
また、構造梁6に挿通させた接合ボルト29に垂直方向に形成された円盤状の接当プレート47をネジで締着固定して締付けることにより、構造梁6が幅方向で両側から押圧される状態になるため、構造梁6の軸方向に沿った裂け目が生じることを効率的に防止できる。ちなみに、図示する例では、構造梁6の上面側に、該接当プレート47を収容する凹部48が形成されている。
なお、ジョイントボックス31内に突出させた接合ボルト28,29の端部に接合ナット41,42をネジ係合させるのではなく、ボルトヘッドを一体形成してもよい。この場合には、接合ボルト28,29同士の締着固定時に各接合ボルト28,29を軸回りに回転させる必要があるため、固定ピン35,36,46を設けず、各接合ボルト28,29の接合側と反対側の端部にナット等をネジ係合させて両端側から締着固定させる必要がある。
図9(A)はジョイントボックスによる接合構造の他例を示す側面図であり、(B)は(A)に示すジョイントボックスの斜視図である。図1及び図9に示すように、この接合構造は、基礎3の上面と、構造柱4の下端とを接合にも用いることが可能である。この場合には、両部材とも端部接合部材になるが、構造柱4が木材であり、収容スペース27を容易に切欠き形成可能であるため、構造柱4側に収容スペース27が切欠き形成される。
また、基礎3の断面内には、上下方向の鉄筋2が配設されているが、この鉄筋2における基礎3の上面から突出する上端部の外周にネジ2aが形成され、この鉄筋2をボルトとして機能させ、鉄筋2の上端部と、構造柱4の接合ボルト29の下端部とを収容スペース27内のジョイントボックス31内に突出させ、両者を上述の通り締着固定する。
また、この際に用いるジョイントボックス31は、木材同士を接合させるジョイントボックス31のように対向する一対のボルト挿通部37aの径が同一ではなく、コンクリートよりなる基礎3側のボルト挿通孔37aの径が、木材からなる構造柱4側のボルト挿通孔37aの径に対して大きく形成されており、この大径のボルト挿通孔37aの周面と、鉄筋2の上端側外周との間には、隙間が形成される。
なお、このネジ2aにネジ係合されるナット41と、対向壁37との間には、複数(図示する例では2つ)のワッシャ43が介在し、このワッシャ43の内径側を、他の部分のワッシャ43と比べて大径、或いは長孔状に成形してもよい。
図10は、ジョイントボックスによる接合構造のさらなる他例を示す側面図である。同図に示す通り、構造柱4を非端部接合部材とし、梁7を端部接合部材として、ジョイントボックス31を用いた接合構造を適用してもよい。
図11は、図1に示す構造物1の他例を示す正面図である。同図に示す構造物1は、ラーメン構造の上にさらに設置している。具体的には、構造6の左右の各端部の上面に、構造柱4の下端部を固定している。この固定には、ジョイントボックス31を用いた接合構造を適用している。
3 基礎(支持材)
4 構造柱(柱,支持材,取付材)
6 構造梁(梁,支持材)
7 梁
11 挿通孔
12 差込溝
13 固定ボルト(ボルト)
14 梁接合金具(接合金具)
16 挿入スペース
16a 固定側規制溝(規制溝)
17 差込プレート部
18 ボス部
18a ネジ穴
18b 可動側規制溝(規制溝)
22 規制穴(規制孔)
23 規制ピン
23a ネジ孔
S 軸心
4 構造柱(柱,支持材,取付材)
6 構造梁(梁,支持材)
7 梁
11 挿通孔
12 差込溝
13 固定ボルト(ボルト)
14 梁接合金具(接合金具)
16 挿入スペース
16a 固定側規制溝(規制溝)
17 差込プレート部
18 ボス部
18a ネジ穴
18b 可動側規制溝(規制溝)
22 規制穴(規制孔)
23 規制ピン
23a ネジ孔
S 軸心
Claims (7)
- 梁(7)を、該梁(7)と交差する柱(4)又は梁(6)である支持材に接合させる建築用接合金具であって、梁(7)の端部に凹設された差込溝(12)に差込み挿入される差込プレート部(17)と、支持材に接合させる前記梁(7)の方向に該支持材を貫通する挿通孔(11)の端部を拡大させる挿入スペース(16)に嵌合挿入されて差込プレート部(17)の差込溝(12)から露出する端部に一体的に形成されたボス部(18)とを備え、挿入スペース(16)の内周面とボス部(18)の外周面とに跨る規制穴(22)の一部を構成する規制溝(18b)をボス部(18)に形成し、挿通孔(11)に挿入されたボルト(13)用のネジ穴(18a)をボス部(18)の端面側に形成し、規制穴(22)に規制ピン(23)を挿入することによって、ボス部(18)の回転又は回動が規制される建築用接合金具。
- 規制溝(22)を、ボス部(18)の周面に複数形成した請求項1に記載の建築用接合金具。
- 複数の規制溝(22)を、ボス部(18)の軸心(S)を境に対称配置した請求項2に記載の建築用接合金具。
- 梁(7)を、該梁(7)と交差する柱(4)又は梁(6)である支持材に接合させる建築用接合構造であって、梁(7)の端部に差込溝(12)を凹設し、支持材に接合させる梁(7)方向に該支持材を貫通する挿通孔(11)を設け、該挿通孔(11)の端部に挿入スペース(16)を拡大させて設け、差込溝(12)に差込み挿入される差込プレート部(17)と、該差込プレート部(17)の差込溝(12)から露出する端部に一体的に形成されて挿入スペース(16)に嵌合して挿入されるボス部(18)とを有する接合金具(14)を備え、挿入スペース(16)の内周面とボス部(18)の外周面とに跨る規制穴(22)を構成する一対の規制溝(16a,18b)をボス部(18)の外周及び挿入スペース(16)の内周にそれぞれ形成し、挿通孔(11)に挿入されたボルト(13)用のネジ孔(18a)をボス部(18)の端面側に形成し、規制穴(22)への規制ピン(23)の挿入によって、ボス部(18)の軸回り回転又は回動が規制される建築用接合構造。
- 複数の規制穴(22)を、ボス部(18)の軸回りに所定間隔毎に形成した請求項4に記載の建築用接合構造。
- 前記複数の規制穴(22)を、ボス部(18)の軸心(S)を境に対称配置した請求項5に記載の建築用接合金具。
- 規制ピン(23)に差込プレート部(17)側が開放されたネジ孔(23a)を穿設した請求項4乃至6の何れかに記載の建築用接合構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012217932A JP2014070437A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 建築用接合金具及びその接合構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012217932A JP2014070437A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 建築用接合金具及びその接合構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014070437A true JP2014070437A (ja) | 2014-04-21 |
Family
ID=50745914
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012217932A Pending JP2014070437A (ja) | 2012-09-28 | 2012-09-28 | 建築用接合金具及びその接合構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014070437A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020084500A (ja) * | 2018-11-21 | 2020-06-04 | 株式会社スクリムテックジャパン | 建築部材の接合構造及び接合金具 |
JP7089822B1 (ja) * | 2022-03-07 | 2022-06-23 | 株式会社アクト | 接合金物及び接合方法 |
-
2012
- 2012-09-28 JP JP2012217932A patent/JP2014070437A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2020084500A (ja) * | 2018-11-21 | 2020-06-04 | 株式会社スクリムテックジャパン | 建築部材の接合構造及び接合金具 |
JP7193127B2 (ja) | 2018-11-21 | 2022-12-20 | 株式会社スクリムテックジャパン | 建築部材の接合構造及び接合金具 |
JP7089822B1 (ja) * | 2022-03-07 | 2022-06-23 | 株式会社アクト | 接合金物及び接合方法 |
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