JP2014069590A - 空気入りタイヤ - Google Patents

空気入りタイヤ Download PDF

Info

Publication number
JP2014069590A
JP2014069590A JP2012214637A JP2012214637A JP2014069590A JP 2014069590 A JP2014069590 A JP 2014069590A JP 2012214637 A JP2012214637 A JP 2012214637A JP 2012214637 A JP2012214637 A JP 2012214637A JP 2014069590 A JP2014069590 A JP 2014069590A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reinforcing layer
tire
carcass ply
bead
pneumatic tire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012214637A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6038574B2 (ja
Inventor
Akihiro Koike
明大 小池
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyo Tire Corp
Original Assignee
Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyo Tire and Rubber Co Ltd filed Critical Toyo Tire and Rubber Co Ltd
Priority to JP2012214637A priority Critical patent/JP6038574B2/ja
Publication of JP2014069590A publication Critical patent/JP2014069590A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6038574B2 publication Critical patent/JP6038574B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Tires In General (AREA)

Abstract

【課題】乗り心地への影響を小さく抑えながら、上下1次モードに対する横曲げ3次モードの固有値差を大きくして、車内音を低減する。
【解決手段】トレッド部16からバットレス部18及びサイドウォール部14を経てビード部12にて係止されたカーカスプライ20を備える空気入りタイヤ10において、タイヤ周方向Aに配向した繊維材を含む第1補強層36を、バットレス部18においてカーカスプライの本体部分20Aの外側に設けるとともに、タイヤ子午線方向Cに配向した繊維材を含む第2補強層40を、ビード部12からサイドウォール部14までの領域内においてカーカスプライの本体部分20Aの外側に設け、第1補強層36と第2補強層40をタイヤ子午線方向Cにおいて隙間44をあけて配置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関するものである。
乗り心地や車内騒音を改善するための手法として、タイヤ構造における補強材やその配置の検討がなされている。例えば、下記特許文献1や特許文献2には、タイヤ周方向に配向させた有機繊維コードを、タイヤのバットレス部に配設することが提案されている。
一方、車内騒音に関する技術ではないが、下記特許文献3には、フラットスポットの発生を防止するために、ビード部からサイドウォール部にかけて有機繊維コード補強層を設けることが開示されている。また、下記特許文献4には、操縦安定性を向上するために、タイヤ周方向に配向した有機繊維コードを、サイドウォール部のタイヤ最大幅位置を含む部分に配設することが開示されている。
ところで、車両の振動・騒音性能の向上には、タイヤから車軸に伝える力の抑制が重要である。タイヤの持つ各振動モードは、車両の前後、左右、上下方向への力の伝達に寄与し、また、サスペンションにも、各方向への入力に対する車室内への伝え方の周波数特性を持つ。この点に着目し、下記非特許文献1では、サスペンションの特性と対応したタイヤ各モードの固有値をコントロールすることで車内音を低減する試みがなされている。
特開2010−274812号公報 特開平6−24214号公報 特開平10−297223号公報 特開2001−277820号公報
三山栄仁ほか、「ロードノイズスペクトル適正化のためのタイヤ固有値コントロール技術開発」、200−20095194、社団法人自動車技術会 学術講演会前刷集No.41−09、17−22頁、2009年5月
車内音を低減するためにタイヤの各モードの固有値をコントロールする場合、タイヤの横曲げ3次モードでは固有値を上げ、上下1次モードでは下げることが望ましい。ここで、タイヤ横曲げモードとは、トレッド部がタイヤ横方向(幅方向)に倒れ込むように変形するモードであり、その3次モードはタイヤの周上3箇所で横方向に変形するモードである。また、タイヤ上下モードとは、タイヤが上下方向に撓むように変形するモードである。
しかしながら、例えば、カーカスプライの剛性を上げることでタイヤ全体の剛性を上げる手段では、横曲げ3次モードの固有値だけでなく、上下1次モードを含む他の固有値も追従して上昇してしまう。そのため、横曲げ3次モードの固有値を重視して効率よくコントロールするためには、横曲げモード変形に関連深い部位の剛性を補強によりコントロールすることが望ましい。また、補強による固有値操作では、タイヤ剛性の上昇により、乗り心地の悪化を引き起こすおそれがある。
そこで、本発明は、乗り心地への影響を小さく抑えながら、固有値操作により車内音を低減することができる空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明に係る空気入りタイヤは、トレッド部からバットレス部及びサイドウォール部を経てビード部にて係止されたカーカスプライと、前記トレッド部において前記カーカスプライの外周側に配されたベルトを備える空気入りタイヤにおいて、タイヤ周方向に配向した繊維材を含む第1補強層が、前記バットレス部において前記カーカスプライの本体部分の外側に設けられるとともに、タイヤ子午線方向に配向した繊維材を含む第2補強層が、前記ビード部から前記サイドウォール部までの領域内において前記カーカスプライの本体部分の外側に設けられ、前記第1補強層と前記第2補強層がタイヤ子午線方向において隙間をあけて配置されたものである。
本発明によれば、乗り心地への影響を小さく抑えながら、上下1次モードに対する横曲げ3次モードの固有値差を大きくして、車内音を低減することができる。
実施形態に係る空気入りタイヤの半断面図である。 該空気入りタイヤにおける補強層の構成を示した側面概略図である。
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係る空気入りタイヤ10の構造を、タイヤ軸を含む子午線断面で切断した右側半断面図である。ここでは、左右対称のタイヤであるため、左側半分は図示を省略している。
図1の空気入りタイヤ10は、左右一対のビード部12と、ビード部12から半径方向外方に延びる左右一対のサイドウォール部14と、接地面を構成するトレッド部16と、トレッド部16の幅方向両側でサイドウォール部14との間を繋ぐ左右一対のバットレス部18とを備えてなる。ここで、バットレス部18は、トレッド部16とサイドウォール部14との境界領域であり、トレッド部16とサイドウォール部14との間に設けられている。
空気入りタイヤ10は、一対のビード部12間にトロイダル状に架け渡して設けられたカーカスプライ20を備える。一対のビード部12には、それぞれリング状のビードコア22が埋設されている。カーカスプライ20は、トレッド部16からバットレス部18及びサイドウォール部14を経て、ビード部12にてビードコア22により係止されており、上記各部12,14,16,18を補強する。カーカスプライ20は、この例では、両端部がビードコア22の周りをタイヤ幅方向内側から外側に折り返すことにより係止されている。そのため、カーカスプライ20は、タイヤ内面のインナーライナー24に沿ってトロイダル状に架け渡された本体部分20Aと、両端部の折り返し部分20Bとからなる。
カーカスプライ20は、有機繊維コードをタイヤ周方向に対して70°〜90°の角度で配列し、トッピングゴムで被覆してなる少なくとも1枚のプライからなり、この例では1プライで構成されている。カーカスプライ20を構成するコードとしては、例えば、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アラミド繊維、ナイロン繊維等の有機繊維コードが好ましく用いられる。
トレッド部16におけるカーカスプライ20の外周側にはベルト26が配設されている。すなわち、ベルト26は、トレッド部16においてカーカスプライ20とトレッドゴム28との間に設けられている。ベルト26は、ベルトコードをタイヤ周方向に対して10°〜35°の角度で配列した、少なくとも2枚の交差ベルトプライからなる。ベルトコードとしては、スチールコードや高張力を有する有機繊維コードが用いられる。ベルト26は、この例では、タイヤ径方向内側に配された第1ベルト26Aと、その外周側に配された第2ベルト26Bとの2層構造であり、第1ベルト26Aが、最も幅の広い最大幅ベルトである。
バットレス部18において、ベルト26の幅方向端部におけるタイヤ半径方向内側には、ベルト下パッド30と称されるゴム部材が設けられている。ベルト下パッド30は、第1ベルト26Aの幅方向端部26A1とカーカスプライ20の本体部分20Aとの隙間に配されており、断面略三角形状をなしている。サイドウォール部14においてカーカスプライ20の外側(即ち、タイヤ外面側)にはサイドウォールゴム32が設けられている。また、ビード部12において、ビードコア22の外周側には、カーカスプライ20の本体部分20Aと折り返し部分20Bとの間に、タイヤ半径方向外側に向かって先細状に延びる硬質ゴム材よりなるビードフィラー34が配されている。
図1に示されたように、バットレス部18には、カーカスプライ20の本体部分20Aの外側(即ち、タイヤ外面側)に、高剛性部材としての第1補強層36が設けられている。第1補強層36は、タイヤ周方向A(図2参照)に配向した繊維材を含むことで、タイヤ周方向Aに高い剛性を有する補強層である。詳細には、第1補強層36は、該繊維材としてタイヤ周方向Aに配向した有機繊維コード38(図2参照)を備え、該有機繊維コード38を所定間隔にて配列してなる。図示しないが、有機繊維コード38は、通常、トッピングゴムにより被覆される。
第1補強層36において、繊維材、詳細には有機繊維コード38の配向方向は、必ずしも厳密にタイヤ周方向Aに平行な場合には限定されず、タイヤ周方向Aに対して若干傾斜しているものも、タイヤ周方向Aに配向したものとする。第1補強層36においてタイヤ周方向Aに配向した有機繊維コード38の角度は、タイヤ周方向Aに対する角度の絶対値で15°以下(即ち、0°〜15°)であることが好ましく、より好ましくは0°〜10°である。
第1補強層36は、第1ベルト26Aの幅方向端部26A1からサイドウォール部14に向けて設けられている。この例では、第1補強層36の上端36Aは、第1ベルト26Aの幅方向端部26A1にかかるように、該幅方向端部26A1のタイヤ外面側に被せられている。第1補強層36は、該幅方向端部26A1から、ベルト下パッド30とカーカスプライ20の本体部分20Aの外側に隣接させて設けられている。第1補強層36の下端36Bは、後述する第2補強層40との間でタイヤ子午線方向Cにおいて隙間44をあけて配置されるように、例えば、タイヤ断面高さHの55〜75%の位置にあること、即ち、ビードヒールEから下端36Bまでの高さH1がタイヤ断面高さHの55〜75%であることが好ましい。
第1補強層36は、例えば、複数本の有機繊維コードを所定のエンド数(打ち込み本数)で引き揃えて、その両側をトッピングゴムで被覆してトッピング反に加工し、これをコードがタイヤ周方向Aに配向するように、タイヤ周方向Aの全周にわたって設置することで形成してもよい。また、特にタイヤ周方向Aに対して実質的に0°に配向する第1補強層36は、例えば、1本もしくは複数の引き揃えコードを、タイヤ軸周りにらせん状に巻回することにより形成してもよい。
ビード部12からサイドウォール部14までの領域内には、カーカスプライ20の本体部分20Aの外側(即ち、タイヤ外面側)に、高剛性部材としての第2補強層40が設けられている。第2補強層40は、タイヤ子午線方向Cに配向した繊維材を含むことで、タイヤ子午線方向Cないし半径方向Bに高い剛性を有する補強層である。詳細には、第2補強層40は、該繊維材としてタイヤ子午線方向Cに配向した有機繊維コード42(図2参照)を備え、該有機繊維コード42を所定間隔にて配列してなる。図示しないが、有機繊維コード42は、通常、トッピングゴムにより被覆されている。
第2補強層40において、繊維材、詳細には有機繊維コード42の配向方向は、必ずしも厳密にタイヤ子午線方向Cに平行な場合には限定されず、タイヤ子午線方向Cに対して若干傾斜しているものも、タイヤ子午線方向Cに配向したものとする。第2補強層40においてタイヤ子午線方向Cに配向した有機繊維コード42の角度は、タイヤ周方向Aに対する角度の絶対値で75〜90°であることが好ましく、より好ましくは80°〜90°である。
第2補強層40は、ビード部12からサイドウォール部14にかけて設けられている。第2補強層40は、ビードフィラー34とカーカスプライ20の折り返し部分20Bとの間に配置されており、ビードフィラー34の外側面と折り返し部分20Bの内側面との間に挟持されている。この例では、第2補強層40の下端40Bは、ビードコア22とビードフィラー34の境界面近傍に位置している。第2補強層40は、ビードフィラー34の下端からビードフィラー34の外側面に沿って上方に延び、ビードフィラー34の上端(半径方向外端)を越えてから、カーカスプライ20の本体部分20Aの外側に隣接させて設けられている。これにより、ビード部12からサイドウォール部14にかけて補強している。
第2補強層40の上端40Aは、タイヤ断面高さHの40〜60%の位置にあり、即ち、ビードヒールEから上端40Aまでの高さH2がタイヤ断面高さHの40〜60%に設定されている。この高さH2をタイヤ断面高さHの40%以上とすることにより、第2補強層40による補強効果を高めることができる。高さH2がタイヤ断面高さHの60%以下とすることにより、第1補強層36との間で隙間44を十分に確保して、乗り心地の悪化を小さく抑えることが容易となる。
第2補強層40は、例えば、複数本の有機繊維コードを所定のエンド数(打ち込み本数)で引き揃えて、その両側をトッピングゴムで被覆してトッピング反に加工し、これをコードがタイヤ子午線方向Cに配向するように、タイヤ周方向Aの全周にわたって設置することで形成してもよい。
第1補強層36と第2補強層40は、タイヤ子午線方向Cにおいて隙間44をあけて配置されている。詳細には、第1補強層36の下端36Bと第2補強層40の上端40Aとの隙間44は、タイヤ半径方向Bにおける高さ(隙間量)Sが、タイヤ断面高さHの10〜20%に設定されている。隙間量Sは10%以上であることが、乗り心地への影響を小さくする上で有利である。また、隙間量Sは20%以下であることにより、第1補強層36や第2補強層40の大きさを確保して車室音の低減効果を高めることができる。
本実施形態における上記各寸法値は、タイヤを正規リムに装着して正規内圧を充填した無負荷の正規状態でのものである。正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim"、或いはETRTOであれば "Measuring Rim" とする。また、正規内圧とは、該規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表 "TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES" に記載の最大値、ETRTOであれば "INFLATION PRESSURE" とする。また、タイヤ断面高さHは、ビードヒールEからトレッド踏面までの垂直高さであり、タイヤ外径とリム径との差の1/2である。
第1補強層36と第2補強層40を構成する繊維材としては、例えば、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、又はこれらの2種以上の複合体が挙げられる。好ましくは、カーカスプライ20よりも高強力な有機繊維を用いることであり、例えば、アラミド繊維、ポリエチレンナフタレート繊維、又はこれらの複合体を用いることが好ましい。
本実施形態において、第1補強層36と第2補強層40は、カーカスプライ20よりも引張剛性が高く設定されている。第1補強層36と第2補強層40については、第1補強層36の引張剛性を、第2補強層40の引張剛性と同等以上に設定することが好ましく、より好ましくは第1補強層36が第2補強層40よりも引張剛性が高いことである。
ここで、引張剛性とは、カーカスプライ20、第1補強層36及び第2補強層40の各プライとしてのコード配向方向における2%伸張時モジュラスのことであり、コードの2%伸張時モジュラスにエンド数を乗じて算出することができる、各プライの所定幅当たりの2%伸張時モジュラスである。コードの2%伸張時モジュラスは、JIS L1017に準拠した引張試験を常温でしたときにおける2%伸長時の荷重をよみとることにより得られる値(LASE2%)である。
このように引張剛性を設定する手段としては、構成する繊維材として高強力な有機繊維を用いることの他、各プライにおける有機繊維コードの繊度やエンド数により調整してもよい。例えば、第1補強層36の引張剛性を第2補強層40の引張剛性と同等以上にするため、これらの補強層36,40を構成する有機繊維コード38,42の繊度とエンド数を次のように設定することができる。すなわち、第1補強層36における有機繊維コード38のエンド数を、第2補強層40における有機繊維コード42のエンド数以上とすること、また、第1補強層36における有機繊維コード38の繊度を、第2補強層40における有機繊維コード42の繊度以上とすることである。
第1補強層36と第2補強層40を構成する有機繊維コード38,42のエンド数と繊度としては、特に限定しないが、エンド数が15〜38本/25mmであることが好ましく、繊度が2000〜6700dtexであることが好ましく、これらの範囲から上記大小関係を満たすように選定することが好ましい。エンド数を15本/25mm以上とすることにより、補強効果を高めることができる。なお、エンド数は、各補強層を有機繊維コードの長手方向に垂直に切断した断面において確認される有機繊維コードの25mm幅あたりの断面数である。ここで、第2補強層40のエンド数は、第2補強層40の高さ方向の中間位置で測定されるエンド数である。また、カーカスプライ20のエンド数は、ビード部周辺で測定されるエンド数である。また、繊度は、公称繊度(表示繊度とも称される)である。
次に、本実施形態に係る空気入りタイヤの作用について説明する。
タイヤ横曲げモードは、ビード部12においてリムで固定されたタイヤのトレッド部16がタイヤ横方向(幅方向)Dに倒れ込むように変形するモードである。そのため、横曲げモードの変形の特徴としては、(a)トレッド部16がタイヤ周方向Aにおいて波打つような運動をし、そのためバットレス部18の周長が大きく変化すること、及び、(b)トレッド部16がタイヤ幅方向Dに倒れ込むような運動をするため、バットレス部18がサイドウォール部14からビード部12までの領域(以下、サイド−ビード間部という)を引張り・圧縮する運動をすることが挙げられる。
本実施形態によれば、上記(a)の現象に対しては、第1補強層36により、バットレス部18の周方向剛性が高められるので、バットレス部18の周長の変化を低減することができる。また、上記(b)の現象に対しては、第2補強層40により、サイド−ビード間部のタイヤ半径方向剛性が高められるので、この部分の引張り・圧縮する運動を低減することができる。このように横曲げモードに特化した補強がなされるので、横曲げ3次モードの固有値を効率よく上昇させることができる。また、第1補強層36と第2補強層40とが重なっておらず、タイヤ子午線方向Cに隙間44が設けられており、タイヤサイド部の全体で剛性を向上するものではないので、上下方向の撓み変形による上下1次モードの固有値の上昇を抑えることができる。また、この上下1次モードは、トレッド周長の変化しない偏心運動を行うため、カーカスプライ20の剛性を低くすることで上下1次モードの固有値を下げることもできる。これらより、上下1次モードと横曲げ3次モードの固有値をバランスさせることが可能であり、横曲げ3次モードの固有値を効率よく上げることができる。
また、本実施形態によれば、第1補強層36と第2補強層40との間に設けた隙間44により、タイヤ縦剛性の増加を抑えることができるので、乗り心地の悪化を低減することができる。以上より、乗り心地への影響を抑えながら、上下1次モードに対する横曲げ3次モードの固有値差を大きくして、車室内の騒音を低減することができる。
本実施形態では、また、第2補強層40が、ビードフィラー34とカーカスプライ20の折り返し部分20Bとの間に配置されている。このように第2補強層40をビードフィラー34に対して外側に配置したことにより、タイヤ断面内の面内曲げ剛性を確保することができる。すなわち、ビードフィラー34の内側にはカーカスプライ20の本体部分20Aが存在するため、本体部分20Aと第2補強層40でビードフィラー34を挟み込むことで、曲げ剛性を向上させることができる。そのため、横曲げモードに対する補強効果をより高めることができる。なお、本発明において、第2補強層40は、カーカスプライ20の本体部分20Aとビードフィラー34との間に配置してもよく、あるいはまた、カーカスプライ20の折り返し部分20Bの外側に添わして配置してもよい。
本実施形態では、また、第1補強層36は、最大幅ベルトである第1ベルト26Aの幅方向端部26A1にかかるように設けられているので、上記(a)の現象に対する補強効果をより高めることができる。
本実施形態では、ビード部12からサイドウォール部14にかけて設けた第2補強層40をタイヤ子午線方向Cに配向させているので、タイヤ縦剛性の増加から乗り心地の悪化を引き起こす傾向がある。一方で、バットレス部18に設けた第1補強層36については、タイヤ周方向Aに配向させているので、タイヤ縦剛性への影響は小さい。そのため、第1補強層36の引張剛性を、第2補強層40の引張剛性よりも大きくすることにより、乗り心地への影響を少なくしながら、横曲げモード変形に関連深い部位の剛性を効果的に向上して、横曲げ3次モードの固有値を効率よく上げることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明はかかる実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。
タイヤサイズ:225/50R18の空気入りラジアルタイヤについて、従来例として第1及び第2補強層を具備しないものをコントールタイヤとし、該コントロールタイヤに対して、表1に示す仕様に従い、上記の図1に示す第1補強層36及び/又は第2補強層40を設けた実施例及び比較例の各タイヤについて、FEMによる固有値解析を実施するとともに、試作タイヤについて音圧評価と乗り心地評価を行った。なお、表1中の第1及び第2補強層についてのコード角度は、タイヤ周方向Aに対する有機繊維コードの角度であり、繊度は有機繊維コードの繊度である。また、アラミドはアラミド繊維を、PENはポリエチレンナフタレート繊維を意味する。
従来例、実施例及び比較例の各タイヤにおいて、カーカスプライについては、2350dtexのポリエステル繊維コード(PET繊維コード)を、エンド数:28本/25mmにて配列した、引張剛性が25Nのものを用いた。
第1補強層36については、いずれも、その上端36Aの位置を、図1に示す第1ベルト26Aの幅方向端部26A1とした。第2補強層40については、いずれも、その下端40Bの位置を、図1に示すビードコア22とビードフィラー34の境界面近傍とした。そして、第2補強層40の上端40Aの高さH2と、第1補強層36と第2補強層40との隙間44のタイヤ半径方向Bにおける高さである隙間量Sを、表1に示す通り変更した(表中の値は、タイヤ断面高さHに対する比率)。
FEMによる固有値解析では、リムサイズ:18×7.5JJ、空気圧:230kPa、荷重:4.5kNの条件として、横曲げ3次モードと上下1次モードの固有値をそれぞれ算出し、両者の差を、従来例を100とした指数で表示した。
音圧評価については、リムサイズ:18×7.5JJ及び空気圧:230kPaとして、排気量3000ccの後輪駆動車セダンに装着し、時速60kmで試験路面を走行し、運転席の耳位置に取り付けたマイクロフォンにより、音圧を測定した。音圧計測結果は、1/3オクターブバンド解析を行い、125〜200Hzのパワースペクトルを評価した。評価は、測定値の逆数を用い、従来例の結果を100として指数化し、数値が大きいほど中周波での音圧エネルギーが低く、車室音の低減効果に優れることを示す。
乗り心地評価については、音圧評価と同様に試験路面を走行したときの、実車走行によるフィーリング評価を行い、従来例の乗り心地を基準として、同等のものを「±0」とし、劣るものをマイナス(−)で評価した。マイナスの値の場合、その絶対値が大きいほど、乗り心地の悪化が大きいことを意味し、−0.5にて若干の変化があることを示し、−1.0を超える場合が、要改善レベルである。
結果は、表1に示す通りである。従来例に対して、第1補強層のみを設けた比較例1では、上下1次モードに対する横曲げ3次モードの固有値の差を十分に大きくすることができず、音圧エネルギーの低減効果が小さく、車室音の低減効果に劣っていた。また、第2補強層のみを設けた比較例2では、比較例1よりも固有値の差が大きくなったが、十分であるとはいえず、車室音の低減効果に劣っていた。また、第1補強層と第2補強層の双方を設けたものの、両者を隙間無く一部重ねて設けた比較例3では、固有値差が大きく、車内音の低減効果に優れていたものの、乗り心地が大幅に悪化していた。
これに対し、第1補強層と第2補強層の双方を設けた上で、両者間に隙間を設けた実施例のタイヤでは、上下1次モードに対する横曲げ3次モードの固有値の差が大きく、音圧エネルギーの低減効果が大きくて、車室音の低減効果に優れていた。また、比較例3に対して乗り心地への影響も抑えることができた。
詳細には、実施例2では、実施例1に対して、第2補強層のコード材質をアラミドからPENに変更したことにより、騒音低減効果は若干下がったが、乗り心地の低下を抑えることができた。実施例3では、実施例1に対して、第1補強層のエンド数を多くし、第2補強層のエンド数を少なくしたことで、第2補強層よりも第1補強層の方が引張剛性が高くなったことにより、乗り心地の低下を抑えながら、車内音の低減効果を更に向上させることができた。
実施例4,5では、実施例1に対し、第1補強層のコード角度を変更しており、タイヤ周方向に対して角度をつけることにより、車内音の低減効果は若干下がるが、乗り心地の低下も若干少なくなった。実施例6では、実施例1に対し、第2補強層のコード角度を変更しており、タイヤ子午線方向に対して角度を付けることにより、車内音の低減効果に若干の低下が見られた。
実施例7では、実施例1に対し、補強層間の隙間量Sを小さくしたことで、第1補強層の量が増え、車室音の低減効果が若干向上したが、乗り心地は低下した。実施例8では、実施例1に対し、補強層間の隙間量Sを大きくしたことで、第1補強層の量が減り、車室音の低減効果が若干下がったが、乗り心地は改善された。
Figure 2014069590
本発明は、各種の空気入りタイヤに用いることができ、特には、乗用車用空気入りタイヤに適用することが好適である。
10…空気入りタイヤ 12…ビード部 14…サイドウォール部
16…トレッド部 18…バットレス部 20…カーカスプライ
20A…本体部分 20B…折り返し部 22…ビードコア
26…ベルト 26A…第1ベルト 34…ビードフィラー
36…第1補強層 38…有機繊維コード 40…第2補強層
42…有機繊維コード 44…隙間
A…タイヤ周方向 B…タイヤ半径方向 C…タイヤ子午線方向
H…タイヤ断面高さ

Claims (6)

  1. トレッド部からバットレス部及びサイドウォール部を経てビード部にて係止されたカーカスプライと、前記トレッド部において前記カーカスプライの外周側に配されたベルトを備える空気入りタイヤにおいて、
    タイヤ周方向に配向した繊維材を含む第1補強層が、前記バットレス部において前記カーカスプライの本体部分の外側に設けられるとともに、タイヤ子午線方向に配向した繊維材を含む第2補強層が、前記ビード部から前記サイドウォール部までの領域内において前記カーカスプライの本体部分の外側に設けられ、前記第1補強層と前記第2補強層がタイヤ子午線方向において隙間をあけて配置された
    ことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記カーカスプライは、前記ビード部に埋設されたビードコアの周りを内側から外側に折り返すことで係止され、前記ビード部には、前記ビードコアの外周側で前記カーカスプライの本体部分と折り返し部分との間にビードフィラーが配されており、前記第2補強層が、前記ビードフィラーと前記折り返し部分の間に配置された
    ことを特徴とする請求項1記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第2補強層は、前記ビード部から前記サイドウォール部にかけて設けられて、該第2補強層の上端がタイヤ断面高さの40〜60%の位置にあり、前記第1補強層は、最大幅ベルトの幅方向端部から前記サイドウォール部に向けて設けられて、該第1補強層の下端と前記第2補強層の上端との前記隙間がタイヤ半径方向においてタイヤ断面高さの10〜20%に設定された
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1補強層と前記第2補強層は前記カーカスプライよりも引張剛性が高い
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記第1補強層は前記第2補強層よりも引張剛性が高い
    ことを特徴とする請求項4記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記第1補強層は、前記繊維材としてタイヤ周方向に配向した有機繊維コードを含み、該有機繊維コードのタイヤ周方向に対する角度の絶対値が15°以下であり、
    前記第2補強層は、前記繊維材としてタイヤ子午線方向に配向した有機繊維コードを含み、該有機繊維コードのタイヤ周方向に対する角度の絶対値が75°〜90°である
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
JP2012214637A 2012-09-27 2012-09-27 空気入りタイヤ Active JP6038574B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012214637A JP6038574B2 (ja) 2012-09-27 2012-09-27 空気入りタイヤ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012214637A JP6038574B2 (ja) 2012-09-27 2012-09-27 空気入りタイヤ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014069590A true JP2014069590A (ja) 2014-04-21
JP6038574B2 JP6038574B2 (ja) 2016-12-07

Family

ID=50745233

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012214637A Active JP6038574B2 (ja) 2012-09-27 2012-09-27 空気入りタイヤ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6038574B2 (ja)

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0558119A (ja) * 1991-09-06 1993-03-09 Bridgestone Corp 重荷重用空気入りラジアルタイヤ
JPH061127A (ja) * 1992-06-19 1994-01-11 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JPH0624214A (ja) * 1992-07-08 1994-02-01 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りラジアルタイヤ
JPH10109505A (ja) * 1996-10-08 1998-04-28 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2003237322A (ja) * 2002-02-15 2003-08-27 Sumitomo Rubber Ind Ltd 空気入りタイヤ
JP2011016400A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Sumitomo Rubber Ind Ltd 空気入りタイヤ

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0558119A (ja) * 1991-09-06 1993-03-09 Bridgestone Corp 重荷重用空気入りラジアルタイヤ
JPH061127A (ja) * 1992-06-19 1994-01-11 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りタイヤ
JPH0624214A (ja) * 1992-07-08 1994-02-01 Yokohama Rubber Co Ltd:The 空気入りラジアルタイヤ
JPH10109505A (ja) * 1996-10-08 1998-04-28 Bridgestone Corp 空気入りタイヤ
JP2003237322A (ja) * 2002-02-15 2003-08-27 Sumitomo Rubber Ind Ltd 空気入りタイヤ
JP2011016400A (ja) * 2009-07-07 2011-01-27 Sumitomo Rubber Ind Ltd 空気入りタイヤ

Also Published As

Publication number Publication date
JP6038574B2 (ja) 2016-12-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4621091B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6241920B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2009035229A (ja) 空気入りタイヤ
JP7083741B2 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP5277928B2 (ja) 空気入りタイヤ
KR20110060805A (ko) 공기 타이어
JP2022173595A (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP2020093716A (ja) 空気入りタイヤ
JP6078949B2 (ja) 空気入りラジアルタイヤ
JP2013039851A (ja) 空気入りタイヤ
JP5437699B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6819379B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2022164930A (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP6038574B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP6143636B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7329106B2 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP5964052B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP7198071B2 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP5964019B2 (ja) 空気入りタイヤ
WO2020121570A1 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
WO2020121571A1 (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP2010030477A (ja) ランフラットタイヤ
JP6756163B2 (ja) 空気入りタイヤ
JP2020093679A (ja) 乗用車用空気入りラジアルタイヤ
JP2018177065A (ja) ランフラットタイヤ

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150617

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160415

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160426

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160524

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161025

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6038574

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250