JP2014069357A - 耐熱性建材 - Google Patents

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Hiroyuki Fujii
寛之 藤井
Soji Oyama
創史 大山
Tomoaki Morikawa
智章 森川
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Abstract

【課題】可視光応答性が良好な耐熱性建材、特に耐熱性建材の製造において実施される焼成工程を経ても良好な可視光応答性を有する耐熱性建材を提供する。
【解決手段】耐熱基材と、前記耐熱基材の表面に、光触媒粒子と銅化合物とを少なくとも備えてなる耐熱性建材であって、前記光触媒粒子が、ブルッカイト型の光触媒性酸化チタン粒子であり、前記銅化合物が、1価の銅を含むものであり、前記銅化合物は粒径が10nm以下の粒子、非粒子、またはそれらが混在する形態であって、かつ前記銅化合物と前記光触媒粒子とは接触している。
【選択図】なし

Description

本発明は、光触媒の可視光応答性が改善された光触媒性耐熱性建材に関する。
酸化チタンなどの光触媒が、近年広く利用されている。光触媒の光エネルギーにより励起された活性を利用して、種々の有害物質を分解したり、あるいは光触媒粒子を含む表面層が形成された部材表面を親水化して、表面に付着した汚れを容易に水で洗い流したりすることが可能となる。また、酸化チタンなどの光触媒の利用により、NOxなどの種々の有害物質、さらには細菌、ウイルス等を分解することも行われている。
例えば、特開2011−153163号公報(特許文献1)の実施例3には、一価銅化合物(CuO粒子)を有効成分として含むウイルス不活化剤と、Cu(II)を担持した光触媒粒子とを組み合わせた組成物の開示がある。また、銅イオンは殺菌作用を有することから、光触媒と銅化合物との組み合わせは先行技術に開示がある。例えば、特許第3852284号公報(特許文献2)および特開平2−6333号公報(特許文献3)は、そのような組み合わせを開示している。
また、光触媒を励起するための光として、可視光を効率よく利用する試みがなされている。可視光の利用は、屋外のみならず、室内における光触媒の利用範囲を広げることができ極めて有利である。可視光応答性の光触媒としては、例えば、窒素原子をドープした二酸化チタン粒子が特開2003−221230号公報(特許文献4)、特開2004−988号公報(特許文献5)等に開示されている。さらに、非特許文献1には、1価および2価の酸化銅をルチル型酸化チタン粒子に担持した可視光応答性光触媒が開示されている。
特開2011−153163号公報 特許第3852284号公報 特開平2−6333号公報 特開2003−221230号公報 特開2004−988号公報
Qiu et al, ACSNANO, Vol. 6, No. 2, pp.1609-1618, 2012
本発明者らは、今般、ブルッカイト型の光触媒性酸化チタン粒子と、1価の銅を含む、特定粒径の銅化合物とを組み合わせることで、光触媒の可視光応答性を、耐熱性建材の製造において実施される焼成工程を経ても維持されるとの知見を得た。本発明はこれら知見に基づくものである。
従って、本発明は、可視光応答性が良好な耐熱性建材の提供をその目的としている。
そして、本発明による耐熱性建材は、
耐熱基材と、前記耐熱基材の表面に、光触媒粒子と銅化合物とを少なくとも備えてなる耐熱性建材であって、
前記光触媒粒子が、ブルッカイト型の光触媒性酸化チタン粒子であり、
前記銅化合物が、1価の銅を含むものであり、
前記銅化合物は、粒径が10nm以下の粒子、非粒子、またはそれらが混在する形態であり、かつ前記銅化合物と前記光触媒粒子とは接触していることを特徴とする。
本発明によれば、光触媒の可視光応答性が改善された耐熱性建材が提供される。この可視光応答性は、耐熱性建材の製造において実施される焼成工程,例えば200℃以上の焼成工程を経ても必要な活性を保持するとの利点が得られる。
実施例においてコーティング組成物3から得た試料について行った、X線光電子分光(XPS)のスペクトルである。
耐熱基材
本発明による耐熱性建材を構成する基材は、200℃、より好ましくは300℃、さらに好ましくは400℃の温度でも熱劣化しない基材をいう。例えば、無機材料、金属、これらの複合体などからなる基材が好適に利用できる。耐熱基材の好ましい例としては、セラミックタイル、陶磁器板、金属板、天然石、セメント板、ガラス等が挙げられる。より具体的な例としては、無機材料からなる基材として、タイル、大型陶磁器パネル等の陶磁器、天然石、琺瑯、セラミック、ガラス、およびコンクリートからなる群から選ばれる材料からなる基材が挙げられる。また、陶磁器基材としては、陶器質基材、せっ器質基材、および磁器質基材が挙げられ、これらは施釉品でも無釉品であってもよい。金属基材からなる基材としては、鋼板、ステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅合金等からなる基材が挙げられる。基材の形状、用途も特に限定されるものではなく、例えば、建材、インテリア、エクステリア、窓、便器、洗面器、流し台、システムキッチン、墓石、橋桁、橋梁、碍子、陶磁器プラグ等に好適に利用できる。
光触媒粒子
本発明において用いられる光触媒粒子は、ブルッカイト型の結晶構造を有する光触媒性酸化チタンの粒子である。本発明において、ブルッカイト型結晶を含んでいれば、他の酸化チタン、例えば含水酸化チタン、水酸化チタン、チタン酸、アモルファス、アナターゼ型結晶やルチル型結晶等の内、少なくとも一種が混在していても良い。
また、本発明において光触媒粒子は、上記酸化チタンと共に、他の光触媒性物質を含むものであってもよい。他の光触媒性物質の例としては、ZnO、SrTiO3、BaTiO3、BaTiO4、BaTi49、K2NbO3、Nb25、Fe23、Ta25、K3Ta3Si23、WO3、SnO2、Bi23、BiVO4、NiO、Cu2O、RuO2、CeO2等が挙げられる。さらに、Ti、Nb、Ta、Vから選ばれた少なくとも1種の元素を有する層状酸化物(例えば、特開昭62−74452号公報、特開平2−172535号公報、特開平7−24329号公報、特開平8−89799号公報、特開平8−89800号公報、特開平8−89804号公報、特開平8−198061号公報、特開平9−248465号公報、特開平10−99694号公報、特開平10−244165号公報等参照)を含むものであってもよい。
銅化合物
本発明において、銅化合物は1価の銅を含むものであり、好ましくは、1価および2価の銅を含むものである。ここで、「銅化合物は1価および2価の銅を含む」との表現は、1価の銅を含む化合物と2価の銅を含む化合物との混合物、および1価の銅と2価の銅とを含む化合物のいずれも含む意味に用いるものとする。
1価の銅を含む化合物および2価の銅を含む化合物の具体例としては、塩化第一銅、ヨウ化第一銅、臭化第一銅、ロダン化第一銅、硫化第一銅、リン酸第二銅、シュウ酸第二銅、硫化第二銅、酸化第一銅、シアン化第一銅、酸化第二銅、塩化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、臭化第二銅、酢酸第一銅、酢酸第二銅、塩素酸第二銅、硝酸第二銅、ロダン化第二銅などが挙げられる。1価の銅と2価の銅とを含む化合物としては、共有結合性の高い化合物、例えば、CuO、CuS(ただし、1<x<2)で表される酸化銅や硫化銅などが挙げられる。本発明の他の好ましい態様において、銅化合物は、さらに、0価の銅または2価の銅塩を含んでもよい。
本発明の耐熱性建材は、その表面のX線光電子分光(XPS)で、1価の銅に相当する933.1eVにピーク中心を持つ波形強度が、2価の銅に相当する934.7eVにピーク中心を持つ波形強度よりも大きいという特性を備えていることが、優れた可視光応答性が得られる点で好ましい。XPSは実施例にて後述する測定条件で評価する。
本発明において、銅化合物は、銅化合物は10nm以下の粒子の形態、非粒子の形態、またはそれらが混在するものである。好ましくは、その粒径が10nm以下の粒子の形態で存在する。粒径は好ましくは8nm以下であり、また好ましくは粒径は1nm以上である。ここで、銅化合物の粒径は、透過型電子顕微鏡により100万倍の倍率で観察して、任意の100個の粒子の長さを測定した個数平均値として求めることができる。また、透過型電子顕微鏡により100万倍の倍率での観察とEDXで銅化合物の粒子が観察されない状態を非粒子とする。
本発明において、銅化合物と、光触媒粒子とは接触している。ここで接触しているとは、物理的に接触していることを意味する。具体的には、同一の層中に光触媒粒子と銅化合物とともに存在している態様、層を形成するものではなくとも、耐熱基材の表面において部分的に膜状または島状に存在する塊と見なされる形態の物の中に共存している態様であってよい。
本発明の好ましい態様によれば、銅化合物は、金属銅換算で、前記光触媒性酸化チタン粒子に対して1質量%以上10質量%以下の量とされる。この銅化合物の量は、より好ましくは2質量%以上であり、またより好ましくは7質量%以下である。銅化合物の量が上記範囲にあることで、光触媒の良好な可視光応答性が得られ、さらに焼成時の変色も抑制されるとの利点が得られる。
本発明の一つの態様によれば、銅化合物で予め修飾した酸化チタンとして、酸化チタン粒子および銅化合物が提供されてよい。この態様において、銅化合物が粒子の場合、粒子経は、修飾酸化チタン粒子の粒子経よりも小さいことが、可視光の吸収と応答性に優れた材料を提供する上では好ましい。
銅化合物で修飾した酸化チタン粒子は、1価および2価の銅を含む銅化合物を酸化チタン上で分解又は酸化するなどの化学反応あるいは析出などの物理化学的変化により調製される。具体的には、銅修飾酸化チタンは、例えば公知の方法にて作製した酸化チタンのゾルまたはスラリーに、銅イオン種を含有する水溶液を混合して酸化チタンの表面修飾を行う工程により製造することができる。
上述の酸化チタンの表面修飾を行う工程は、例えば80〜95℃の範囲、好ましくは90〜95℃の範囲で行うことにより効率よく銅イオン種を酸化チタンの表面に修飾することができる。銅イオン種の修飾は、例えば会報光触媒, 28, pp.4, 2009に記載されている方法、具体的には光触媒粒子と塩化銅とを媒液中で加熱下に混合した後に水洗して回収する方法、又は光触媒粒子と塩化銅とを媒媒液中で加熱下に混合した後に、蒸発乾固して回収する方法などにより行うことができる。他の好適な方法としては、光触媒粒子と水溶性銅(II)化合物とを含む水性分散液に、塩基と還元剤を添加した後加熱することで、1価の銅化合物を表面修飾した光触媒を調製する方法が挙げられる。
結着剤
本発明の一つの好ましい態様において、光触媒粒子と銅化合物の粒子、さらにこれら粒子と基材表面とが結着剤により結合されてなる。好ましい結着剤としては、無機系のバインダーが挙げられ、具体的には、Si、Al、Zr、Tiの化合物であり、これら金属元素を含む酸化物や有機金属化合物が挙げられる。より好ましい例としてはシリカ、アルキルシリケート、アルカリシリケート、Si成分を含有する釉薬、Si成分を含有するガラス等が珪素酸化物が挙げられる。このような結着剤の利用により、耐擦性、耐久性に優れた耐熱性建材が、限定された加熱量によっても実現できる。また、結着剤の利用により、焼成工程が光触媒活性に与える影響を抑えることが出来るとの利点も得られる。
好ましい態様によれば、結着剤として、アルカリシリケート、シリカ、および釉薬からなる群から選択される少なくとも一種の珪素酸化物であることが好ましい。これらの利用により、より耐擦性、親水性に優れる耐熱性建材が得られる。
製造方法
本発明による耐熱性建材は、好ましくは上述の基材に、上述の成分を含むコーティング組成物を適用し、その後必要に応じて焼成して調製することができる。この方法に用いられるコーティング組成物は、上記成分と、これら成分を安定に組成物として保持する溶媒およびそのための助剤を含んでなる。溶媒の好ましい例としては、水、または有機溶媒、例えばエタノールが好ましい。また、本発明の光触媒コーティング液の固形分濃度は特に限定されないが、0.01〜10質量%程度とするのが塗布し易さにおいて好ましく、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
コーティング組成物が適用された基材は、焼成処理に付す。この焼成処理は少なくとも基材表面に熱が到達する方法であればいずれの方法も利用可能である。すなわち、基材全体を加熱しても、基材表面を部分的に加熱してもよい。
本発明において、コーティング組成物の基材への適用の前に、基材表面を予備加熱してもよい。予備加熱は、基材の表面を20℃〜200℃に加熱することにより行われる。加熱された基材表面に塗布された光触媒コーティング組成物は、均一に広がり、むらのない塗膜が得られるので有利である。
コーティング組成物の基材への適用後、その表面の温度が200℃以上1000℃未満、好ましくは250℃以上800℃以下、最も好ましくは300℃以上600℃以下となるように基材を焼成する。このような温度は、電気炉、ガス炉で徐々に昇温してその温度に達するようにして実現されてもよく、また高エネルギーを1秒〜1分程度瞬間的に基材表面に照射して表面付近のみ、より好ましくは基材表面が200℃以上1000℃未満、好ましくは250℃以上800℃以下、最も好ましくは300℃以上600℃以下となるよう加熱してもよい。後者の方法は基材の耐熱性が比較的低い無機材料基材、例えば、天然石、コンクリートなどの場合に有利である。
コーティング組成物の調製
コーティング組成物1
ブルッカイト型TiOと、その表面に担持された1価の銅(Cu(I))と2価の銅(Cu(I))をともに含んでなる銅化合物とからなり、銅化合物がブルッカイト型TiOに対して金属銅換算で3wt%とされた光触媒材料と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%濃度のコーティング組成物を調製した。この組成物において、銅化合物におけるCu(I)とCu(I)の物質量比は等量であり、光触媒材料とアルカリ金属シリケートの質量比は1:2とした。
コーティング組成物2
ブルッカイト型TiOと、その表面に担持されたCu(I)とCu(II)をともに含んでなるCu化合物とからなり、銅がブルッカイト型TiOに対して金属銅換算で3wt%とされた光触媒材料と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%濃度のコーティング組成物を調製した。この組成物において、Cu化合物におけるCu(I)とCu(II)の物質量はCu(I)の方が多いものであり、光触媒材料とアルカリ金属シリケートの質量比は1:2とした。
コーティング組成物3
ブルッカイト型TiOと、その表面に担持されたCu(I)とCu(II)をともに含んでなるCu化合物とからなり、銅がブルッカイト型TiOに対して金属銅換算で5wt%とされた光触媒材料と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%濃度のコーティング組成物を調製した。この組成物において、Cu化合物におけるCu(I)とCu(II)の物質量比は等量であり、光触媒材料とアルカリ金属シリケートの質量比は1:2とした。
コーティング組成物4
ルチル型TiOと、その表面に担持されたCu(I)とCu(II)をともに含んでなるCu化合物とからなり、銅がルチル型TiOに対して金属銅換算で5wt%とされた光触媒材料と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%濃度のコーティング組成物を調製した。この組成物において、Cu化合物におけるCu(I)とCu(II)の物質量比は等量であり、光触媒材料とアルカリ金属シリケートの質量比は1:2とした。
コーティング組成物5
アナターゼ型TiOと、その表面に担持されたCu(II)のみからなるCu化合物とからなり、銅がアナターゼ型TiOに対して金属銅換算で5wt%とされた光触媒材料と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%濃度のコーティング組成物を調製した。この組成物において、光触媒材料とアルカリ金属シリケートの質量比は1:2とした。
コーティング組成物6
Cu(II)のみからなるCu化合物がブルッカイト型TiOに対して金属銅換算で0.1wt%単持された光触媒材料と、乳鉢で粉砕したCuO粉末と、アルカリ金属シリケートとを、イオン交換水に溶解・分散して、固形分0.8wt%のコーティング組成物を調整した。この組成物において、光触媒材料とCuO粉末とアルカリ金属シリケートの質量比は17:1:36とした。
製膜
あらかじめ表面温度100℃に加熱した施釉タイル表面に、上で得たコーティング組成物を、その塗布量が25g/m2となるようにスプレー噴霧した。その後、続けて急速加熱装置に投入した。炉内雰囲気温度は950℃であり、熱源熱量は約1600MJ/m2hrとされ、タイルはこの炉内に10sec存在させ、その後タイルを取り出し、可視光応答性の耐熱性建材を得た。コーティング組成物1〜3を使用して得られた耐熱性建材をそれぞれ実施例1〜3とし、コーティング組成物4〜6を使用して得られた耐熱性建材をそれぞれ比較例1〜3とした。
耐熱性建材の評価
得られた耐熱性建材の表面について、JIS R 1702に準じた下記方法により、抗ウイルス性および抗菌性の評価を行なった。
抗ウイルス性評価
大腸菌(NBRC13965)をカルシウム添加LB培地に白金耳移植し、37度18時間培養したものを、再度カルシウム添加LB培地に1/1000量移植し、37度で1×109個/mlまで培養し、大腸菌培養液とした。-80度に冷凍したQβファージ(NBRC20012)を、Tween20添加PBS液で感染価が1〜3×109pfu/mlに調製し、試験ファージ液とした。試験片は、アルコール消毒、または殺菌灯15分照射し清浄化した。滅菌済ろ紙、滅菌水5mL、ガラス管を順に入れた滅菌済シャーレに、清浄化した試験片を光触媒加工面を上にして置いた。試験片に試験ファージ液を0.1mL接種し、滅菌済OHPフィルムを被せ、可視光照射シャーレは、シャーレ蓋の代わりに透過率85%以上のガラス板を載せ、暗所保管シャーレはシャーレ蓋をした。光照射は、25±2度に維持した暗幕内で実施し、他の影響を排除した。明所は、照度1000Lx、N113アクリルフィルターを用いた可視光照射、暗所は同じ暗幕内で光があたらないように保管した。4時間の光照射または保管後、試験片上のファージ液がこぼれないようにOHPフィルムをはがし、SCDLP培地10mLでサンプル表面上、OHPフィルム上の試験ファージ液を洗い流した。
回収したSCDLP培地10mLを9mLのペプトン加生理食塩水で適宜希釈した。回収したSCDLP培地または各希釈液1ml、45度のカルシウム添加LB軟寒天培地2mL、大腸菌培養液0.1mlを混ぜ、37度に温めておいたカルシウム添加LB寒天平板培地に重層し、固化後、37度18時間で培養した。培養後、30〜300pfuのプラークが現れた希釈系列のシャーレのプラーク数を測定し、試験片あたりのバクテリオファージ感染価を求めた。光触媒の抗ウイルス活性値を下記計算式より算出した。
抗ウイルス活性値R = Log10(N0/N)
N0:4時間光照射後のコントロール(ソーダガラス)あたりのバクテリオファージ感染価
N:4時間光照射後の光触媒加工試験片あたりのバクテリオファージ感染価
光照射による効果ΔR = R−Log10(D0/D)
D0:4時間光照射後のコントロール(ソーダガラス)あたりのバクテリオファージ感染価
D:4時間光照射後の光触媒加工試験片あたりのバクテリオファージ感染価
抗菌性評価
ニュートリエント寒天培地、37度、20時間の条件で2回培養した試験菌(大腸菌:NBRC3972)を1/500濃度普通ブイヨン培地で1〜2×106個/mLに調整し、試験菌液を作製した。試験片は、アルコール消毒、または殺菌灯15分照射し清浄化した。滅菌済ろ紙、滅菌水5mL、ガラス管を順に入れた滅菌済シャーレに清浄化した試験片を光触媒加工面を上にして置いた。試験片に試験菌液を0.1mL接種し、滅菌済OHPフィルムを被せ、可視光照射シャーレは、シャーレ蓋の代わりに透過率85%以上のガラス板を載せ、暗所保管シャーレはシャーレ蓋をした。光照射は、25±2度に維持した暗幕内で実施し、他の影響を排除した。明所は、照度1000Lx、N113アクリルフィルターを用いた可視光照射、暗所は同じ暗幕内で光があたらないように保管した。4時間の光照射または保管後、試験片上の菌液がこぼれないようにOHPフィルムをはがし、SCDLP培地10mLでサンプル表面上、OHPフィルム上の試験液を洗い流した。
回収したSCDLP培地10mLを9mLの生理食塩水で適宜希釈し、ニュートリエント寒天培地で混釈した。固化後、37度で48時間培養した。培養後、30〜300個のコロニーが現れた希釈系列のシャーレのコロニー数を測定し、試験片あたりの生菌数を求めた。光触媒の抗菌活性値を下記計算式より算出した。
抗菌活性値R = Log10(N0/N)
N0:4時間光照射後のコントロール(ソーダガラス)あたりの生菌数
N:4時間光照射後の光触媒加工試験片あたりの生菌数
光照射による効果ΔR = R−Log10(D0/D)
D0:4時間光照射後のコントロール(ソーダガラス)あたりの生菌数
D:4時間光照射後の光触媒加工試験片あたりの生菌数
結果
結果は表1に示されるとおりであった。実施例1〜3の耐熱性建材は、大腸菌およびQβファージのいずれも、明時活性R≧2かつ明暗の活性差ΔR≧0.3の良好な性能を示した。
Figure 2014069357
銅化合物の解析(参考例)
コーティング組成物3に用いた光触媒材料を施釉タイル表面に塗布後、上記加熱条件で焼成した試料について、X線光電子分光(XPS)による光電子スペクトルから波形分離を行い、銅化合物の銅の価数およびその量比について解析を行なった。XPS測定条件は以下の通りとした。
装置(メーカー) AXIS-HS(島津Kratos)
X線源 Monochromated Al-Kα 15kV-10mA
測定エリア 約0.7mm×0.3mm(楕円)
Pass Energy survey scan:80eV、narrow scan:40eV
step survey scan :1eV、narrow scan:0.1eV
中和銃 On
帯電補正 C 1s(285eV)
XPSにて試料のサーベイスペクトル(1100〜0eV)ナロースペクトル(950〜925eV)をスキャンし、帯電補正285eV(C 1s)に補正した。XPSスペクトルは図1に示されるとおりであった。1価の銅に相当する、バインディングエネルギー933.1eVにピーク中心を持つ波形強度は、2価の銅に相当する、バインディングエネルギー934.7eVにピーク中心を持つ波形強度よりも大きかった。

Claims (7)

  1. 耐熱基材と、前記耐熱基材の表面に、光触媒粒子と銅化合物とを少なくとも備えてなる耐熱性建材であって、
    前記光触媒粒子が、ブルッカイト型の光触媒性酸化チタン粒子であり、
    前記銅化合物が、1価の銅を含むものであり、
    前記銅化合物は粒径が10nm以下の粒子、非粒子、またはそれらが混在する形態であり、かつ前記銅化合物と前記光触媒粒子とは接触していることを特徴とする、耐熱性建材。
  2. 前記光触媒粒子および前記銅化合物の粒子並びにこれら粒子と基材表面とが結着剤により結合されてなる、請求項1に記載の耐熱性建材。
  3. 前記結着剤が、アルカリシリケート、シリカ、および釉薬からなる群から選択される少なくとも一種の珪素酸化物である、請求項2に記載の耐熱性建材。
  4. 前記銅化合物が、さらに2価の銅を含むものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の耐熱性建材。
  5. 前記耐熱性建材は、その表面のX線光電子分光(XPS)で、1価の銅に相当する933.1eVにピーク中心を持つ波形強度が、2価の銅に相当する934.7eVにピーク中心を持つ波形強度よりも大きいことを特徴とする、請求項4に記載の耐熱性建材。
  6. 前記銅化合物が、金属銅換算で、前記光触媒性酸化チタン粒子に対して1質量%以上10質量%以下の量とされてなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の耐熱性建材。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の耐熱性建材の製造方法であって、
    光触媒粒子と銅化合物とを少なくとも含んでなるコーティング組成物を耐熱基材に適用する工程を少なくとも含んでなり、
    ここで、前記光触媒粒子が、ブルッカイト型の光触媒性酸化チタン粒子であり、
    前記銅化合物が、1価の銅を含むものであり、
    前記銅化合物は粒径が10nm以下の粒子、非粒子、またはそれらが混在する形態であって、かつ前記銅化合物と前記光触媒粒子とは接触していることを特徴とする、方法。

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