「第1実施形態」
本発明に係る第1実施形態を図1〜図7を参照して以下に説明する。第1実施形態のディスクブレーキは、二輪車や四輪車等の車両用、具体的には自動二輪車用のディスクブレーキである。
図1〜図4に示すように、このディスクブレーキ1は、ディスク2と、ディスク2の軸線方向の一側に配置されるキャリア3と、ディスク2を跨ぐようにキャリア3に支持されるキャリパ4とを有している。また、このディスクブレーキ1は、図3,図4に示すように二枚の摩擦パッド5,6を有しており、伸縮自在のブーツ12,13を有している。なお、図1,図2,図4,図5に示す矢印Rは、車両の前進時のディスク2の回転方向を示しており、この回転方向における入口側(図1,図4の左側、図2,図5の右側)をディスク回入側、出口側をディスク回出側として以下説明を行う。また、ディスク2の軸線方向をディスク軸方向、ディスク2の径方向をディスク径方向、ディスク2の回転方向をディスク回転方向とする。
ディスク2は円板状をなしており、ディスクブレーキ1の制動対象である車両の図示略の車輪に設けられて、車輪の中心軸線と同心の回転中心軸線Oを中心に車輪と一体に回転する。
キャリア3は、車両の非回転部に固定されるもので、図1に示すように、ブラケット15と、いずれもブラケット15に一体的に固定されるスライドピン16,17とを有している。スライドピン16,17はキャリパ4のディスク軸方向の移動を案内するものである。
ブラケット15は、本実施形態においては、アルミニウム合金で一体成形されており、図3に示すように、主としてディスク2の一面側であるアウタ側(図3の右側であって車輪とは反対側)に配置されて、車両のディスク2の近傍の非回転部に固定されるものである。なお、ブラケット15の材質は、アルミニウム合金に限らず、鋳鉄等を用いて形成してもよい。
ブラケット15は、図5および図6にも示すように、基板部21と、基板部21の長さ方向の一側の幅方向の一側に形成されたボス部22と、基板部21の長さ方向のボス部22と同側であって幅方向のボス部22とは反対側に形成された腕部23とを有している。また、ブラケット15は、基板部21の長さ方向のボス部22とは反対側であって幅方向のボス部22と同側に形成された係止部24と、基板部21の長さ方向の係止部24と同側であって幅方向の係止部24とは反対側に形成された腕部25とを有している。さらに、ブラケット15は、腕部25の腕部23側の近接位置にあって基板部21の厚さ方向一側に突出するパッド支持部(支持部)26を有している。
基板部21、ボス部22、腕部23、係止部24および腕部25は、ディスク2のアウタ側に配置され、パッド支持部26は、図4に示すようにディスク2のインナ側(図4の上側)まで延出している。パッド支持部26には、そのディスク軸方向の中間位置に、ディスク2を配置するための図示略の配置溝がディスク径方向に沿って内側から形成されており、よって、パッド支持部26は、ディスク2を跨ぐように配置される。
図5に示すように、ブラケット15のボス部22には、基板部21の厚さ方向に沿って貫通穴28が形成されている。ブラケット15は、この貫通穴28内に図示略の車軸が配置され、腕部23がディスク径方向の中間位置にてディスク回入側かつディスク径方向外側に斜めに延出し、腕部25がディスク径方向外端位置にてディスク回入側かつディスク径方向外側に斜めに延出する状態で、車両の非回転部に取り付けられる。
図6にも示すように、ブラケット15には、腕部23の延出先端に内側ピン取付孔30が貫通穴28と平行に形成されており、腕部25の延出先端に外側ピン取付孔31が貫通穴28と平行に形成されている。内側ピン取付孔30には、内周部にメネジ32が形成されており、外側ピン取付孔31にも、内周部にメネジ33が形成されている。
図3に示すように、スライドピン16は、ボルト部材36とカラー37とからなっている。ボルト部材36は、工具が係合可能な六角柱形状の頭部38と軸部39とを有している。軸部39は、頭部38とは反対側の所定範囲の外周部にオネジ40が形成されており、このオネジ40を除く部分が円柱状の嵌合部41となっている。カラー37は、円筒状をなしていて、ボルト部材36の嵌合部41を嵌合させることになり、この嵌合部41を覆うことになる。
ボルト部材36は、カラー37に嵌合部41を嵌合させた状態で、ブラケット15の内側ピン取付孔30のメネジ32にオネジ40において螺合されることになる。このようにネジ止めされたボルト部材36は、その頭部38がブラケット15とでカラー37を挟持することになり、その結果、カラー37とともにブラケット15に固定される。ボルト部材36およびカラー37からなるスライドピン16は、このようにしてブラケット15に取り付けられることになり、この状態で、全体的に、ディスク軸方向に沿う姿勢でブラケット15からディスク2とは反対側(アウタ側)に延出する。スライドピン16は、カラー37がブーツ13内に嵌合されており、カラー37の外周面がブーツ13で覆われている。スライドピン16は、このブーツ13を介してキャリパ4をディスク軸方向に移動可能に支持する。
図4に示すように、スライドピン17は、工具が係合可能な六角柱形状の頭部43と軸部44とを有している。軸部44には、頭部43側の所定範囲の外周部にオネジ45が形成されており、このオネジ45を除く部分が円柱状のガイド部46となっている。スライドピン17は、ブラケット15の外側ピン取付孔31のメネジ33にオネジ45において螺合されることになり、ガイド部46においてキャリパ4をディスク軸方向に移動可能に支持する。
キャリパ4は、図4に示すスライドピン17のガイド部46と、図3に示すスライドピン16のカラー37とで、ディスク軸方向に摺動可能となるようにキャリア3に支持されており、いわゆるピンスライド型のキャリパとなっている。キャリパ4は、図1に示すように、キャリパボディ50とピストン51とパッドピン52とを有している。
キャリパボディ50は、アルミニウム合金等から鋳造により一体成形された後、切削加工されることで形成される。キャリパボディ50は、図3,図4に示すようにディスク2を跨いだ状態で、キャリア3の図4に示すスライドピン17のガイド部46および図3に示すスライドピン16に摺動可能に取り付けられている。キャリパボディ50は、ディスク2のアウタ側に配置されるシリンダ部55と、シリンダ部55のディスク径方向外側からディスク2の径方向外側を越えるようにインナ側に延出するブリッジ部56と、ブリッジ部56のインナ側の端部からシリンダ部55に対向するようにディスク径方向内側に延出する爪部57とを有している。
図1に示すように、キャリパボディ50には、シリンダ部55のディスク回転方向の中間位置からディスク径方向内方かつディスク回入側に斜めに突出するようにして摺動案内部60が形成されており、また、ブリッジ部56からディスク回出側に突出するようにして摺動案内部61が形成されている。図3に示すように、摺動案内部60には、ブーツ保持穴62がディスク軸方向に貫通して形成されている。このブーツ保持穴62には、ブーツ13が嵌合されており、摺動案内部60は、このブーツ13とともにスライドピン16のカラー37に摺動可能に支持される。図4に示すように、摺動案内部61には、ディスク軸方向のシリンダ部55側からディスク軸方向の途中位置までピン摺接穴63が形成されている。このピン摺接穴63には、スライドピン17のガイド部46が嵌合されており、摺動案内部61は、このガイド部46に摺動可能に支持される。
ブーツ12は、ゴム製であり、スライドピン17のガイド部46のキャリア3とキャリパ4との間部分を覆う。ブーツ12は、キャリパ4の摺動案内部61のスライドピン17に対する移動時に伸縮するように蛇腹状をなしており、一端部がキャリパ4の摺動案内部61に係止され、他端部がキャリア3の腕部25に係止されている。
図3に示すブーツ13も、ゴム製であり、スライドピン16のカラー37を覆う。ブーツ13は、円筒状の中間部分が、摺動案内部60とともにカラー37上を摺動するように摺動案内部60のブーツ保持穴62内に嵌合されており、その両側部分が伸縮可能に蛇腹状をなしている。ブーツ13は、一端部がスライドピン16のカラー37の一端側の外周部に係止され、他端部がカラー37の他端側の外周部に係止されている。
シリンダ部55には、図1に示すように有底のボア65が形成されている。ボア65は、図2に示す爪部57側に向かって開口するようにディスク軸方向に沿って形成されており、図1に示すピストン51は、シリンダ部55のボア65に摺動可能に嵌合されている。
図3および図4に示すように、シリンダ部55のディスク径方向外側かつディスク回入側には、ディスク回入側に突出する突出部67が形成されており、爪部57のディスク回入側にも、ディスク回入側に突出する突出部68が形成されている。
図4に示すように、パッドピン52は、キャリパボディ50の突出部67に形成されたディスク軸方向に延びる貫通孔69および突出部68に形成されたディスク軸方向に延びる貫通孔70に嵌合されるものであり、この嵌合状態で突出部67および突出部68を結ぶように延在している。パッドピン52は、ディスク軸方向に沿っており、ディスク2よりもディスク径方向外側かつブリッジ部56および爪部57よりもディスク回入側において、ディスク2を跨ぐように配置されている。
図3に示すように、摩擦パッド5は、ディスク2の一面とピストン51およびシリンダ部55との間に配置されるアウタ側の摩擦パッドであり、摩擦パッド6は、ディスク2の他面と爪部57との間に配置されるインナ側の摩擦パッドである。摩擦パッド5,6は、同形状の図1および図2に示す裏板75と、裏板75に貼付される同形状の図3に示す摩擦材76とからなっており、裏板75に対する摩擦材76の貼付面が表裏逆向きになっている。つまり、摩擦パッド5,6は、鏡面対称形状をなしている。
摩擦パッド5,6は、摩擦材76においてディスク2に当接することになり、図5に摩擦パッド6を示すように、摩擦材76の中心(重心、図心)を通り、摩擦材76の厚さ方向に沿う軸線が押圧中心軸線Xとなる。なお、摩擦材76の押圧中心軸線Xは、ディスク軸方向に沿うことになり、図1に示すピストン51の中心軸線と一致するように配置される。ここでは、ピストン51が一つであるため、摩擦材76の押圧中心軸線Xがピストン51の中心軸線と一致するように配置されることになるが、ピストン51がディスク回転方向に間隔をあけて複数設けられる場合、すべてのピストンの中心軸線の中心が摩擦材76の押圧中心軸線Xと一致するように配置される。
裏板75は、一枚の板材から形成されるもので、図7に示すように、摩擦材76が貼付される主板部78と、主板部78の長さ方向一側の幅方向一側から斜め外方に延出する腕部79と、主板部78の長さ方向中間部の幅方向一側から幅方向に沿って外方に突出する突起部80と、主板部78の長さ方向他側に形成されたキャリア当接部(当接部)81とを有している。腕部79には、裏板75の厚さ方向に沿って貫通孔82が形成されている。
図3に示すように、アウタ側の摩擦パッド5は、摩擦材76をディスク2側に裏板75をシリンダ部55側に配置した状態とされ、この状態で、裏板75の貫通孔82にキャリパ4のパッドピン52を挿通させ、図1に示すように裏板75のディスク回出側の端部のキャリア当接部81においてキャリア3のパッド支持部26に当接する。これにより、摩擦パッド5は、図3に示す腕部79がパッドピン52に、図1に示すキャリア当接部81がパッド支持部26に、それぞれディスク軸方向に摺動可能に支持される。
図3に示すように、インナ側の摩擦パッド6は、摩擦材76をディスク2側に裏板75を爪部57側に配置した状態とされ、この状態で、摩擦パッド5と同様に、裏板75の貫通孔82にキャリパ4のパッドピン52を挿通させ、図2に示すように裏板75のディスク回出側の端部のキャリア当接部81においてキャリア3のパッド支持部26に当接する。これにより、摩擦パッド6も、図3に示す腕部79がパッドピン52に、図2に示すキャリア当接部81がパッド支持部26に、それぞれディスク軸方向に摺動可能に支持される。
キャリパ4は、図1に示すシリンダ部55のボア65にブレーキ液が導入されると、図3に示すピストン51がシリンダ部55に対しディスク軸方向に沿ってディスク2の方向に前進しアウタ側の摩擦パッド5をディスク2に向けて押圧することになる。すると、摩擦パッド5がディスク2の一面に摩擦材76において当接する。また、これにより生じる反力で、キャリパ4は、摺動案内部60においてブーツ13とともにキャリア3のスライドピン16上を摺動し、図4に示す摺動案内部61においてピン摺接穴63に嵌合されたスライドピン17上を摺動して、シリンダ部55をディスク2から離間させる方向に移動する。すると、爪部57が他方の摩擦パッド6の摩擦材76をディスク2の他面に当接させる。このようにして、キャリパ4は、爪部57とピストン51とによって摩擦パッド5,6を両側から挟んでディスク2に押圧することにより、ディスク2つまり車輪の回転にブレーキをかける。
以上により、摩擦パッド5,6は、ディスク2の両面側に配置され、キャリア3のブラケット15のディスク回出側のパッド支持部26とキャリパ4のディスク回入側のパッドピン52とに摺動可能に支持されて、キャリパ4によりディスク2に押圧される。
本実施形態において、図5に示すように、ブラケット15のパッド支持部26には、ディスク径方向内側にあってディスク回転方向(具体的にはディスク回入側)に向く面部90と、ディスク径方向外側にあってディスク回転方向(具体的にはディスク回入側)に向く面部91と、ディスク径方向外端部にあって、ディスク径方向外方に向く面部92とを有している。面部90,91は隣り合っており、面部91,92も隣り合っている。
面部90は、ディスク軸方向に平行をなしており、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを通りディスク径方向に延在する基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾いている。言い換えれば、面部90は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部91は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾いている。言い換えれば、面部91は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部90,91の上記形状により、パッド支持部26の面部90,91で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線X側に向けて先細の凸形状をなす凸状部94となっている。なお、面部90,91のなす角度は鈍角であり、面部90の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α1と面部91の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α2とは同じとなっている。
摩擦材76の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの延在方向において、パッド支持部26の面部90,91の範囲内に配置されている。より具体的に、摩擦材76の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの延在方向における位置を、面部90,91の交差部つまり凸状部94の頂部95と一致させている。
面部92は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して直交する平面内に配置されている。面部91,92は、鈍角をなして交差している。
以上により、2つの面部90,91は、基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材76の押圧中心軸線Xが、基準ディスク径方向線Yの延在方向におけるパッド支持部26の面部90,91の範囲内に存在しており、具体的に、基準ディスク径方向線Yの延在方向の位置を、面部90,91の交わる交点(頂部95)と一致させている。また、2つの面部90,91は、基準ディスク径方向線Yとのなす角度α1,α2が略同角度となっている。さらに、パッド支持部26の2つの面部90,91で形成される部位が、摩擦材76の押圧中心軸線Xに向かう凸形状となっている。
上記したキャリア3のパッド支持部26の形状に合うように、裏板75のキャリア当接部81が形成されている。キャリア当接部81には、ディスク径方向内側にあってディスク回転方向(具体的にはディスク回出側)に向く面部100と、ディスク径方向外側にあってディスク回転方向(具体的にはディスク回出側)に向く面部101と、ディスク径方向外端部にあって、ディスク径方向内方に向く面部102とを有している。面部100,101は隣り合っており、面部101,102も隣り合っている。
面部100は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾いている。言い換えれば、面部100は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部101は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾いている。言い変えれば、面部101は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部100,101の上記形状により、キャリア当接部81の面部100,101で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線X側に向けて凹む凹形状をなす凹状部104となっている。なお、面部100の基準ディスク径方向線Yとのなす角度は、面部90と同じ角度α1となっており、面部101の基準ディスク径方向線Yとのなす角度も、面部91と同じ角度α2となっている。
摩擦材76の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向において、キャリア当接部81の面部100,101の範囲内に配置されている。より具体的に、摩擦材76の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向における位置を、面部100,101の交差部つまり凹状部104の最深部105と一致させている。
面部102は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して直交する平面内に配置されている。面部101,102のなす角度は、面部91,92のなす角度と同等になっている。
キャリア当接部81は、面部100がパッド支持部26の面部90に当接し、面部101がパッド支持部26の面部91に当接し、面部102がパッド支持部26の面部92に当接する。キャリア当接部81は、パッド支持部26の2つの面部90,91の両方に同時に当接可能に形成されている。なお、摩擦パッド5,6は、キャリア当接部81以外の部分ではキャリア3に当接することはなく、言い換えれば、キャリア3はパッド支持部26以外の部分では摩擦パッド5,6に当接することはない。
以上により、2つの面部100,101は、基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材76の押圧中心軸線Xが、基準ディスク径方向線Yの延在方向におけるキャリア当接部81の面部100,101の範囲内に存在しており、具体的に、基準ディスク径方向線Yの延在方向の位置を、面部100,101の交わる交点(最深部105)と一致させている。また、2つの面部100,101は、基準ディスク径方向線Yとのなす角度α1,α2が略同角度となっている。さらに、キャリア当接部81の2つの面部100,101で形成される部位が、摩擦材76の押圧中心軸線Xに向かう凹形状となっている。
上記した特許文献1に記載のディスクブレーキでは、摩擦パッドの平面からの制動トルクをキャリアの平面にて受ける形状となっているため、摩擦パッドがキャリアに対してディスク径方向に振動しやすい。このため、ブレーキ鳴きを生じやすくブレーキ鳴き抑制の点から改善の余地がある。
これに対して、以上に述べた第1実施形態のディスクブレーキ1によれば、キャリア3のパッド支持部26が、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦パッド5,6の摩擦材76の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yに対して傾く2つの面部90,91を有し、摩擦パッド5,6の裏板75のキャリア当接部81が、パッド支持部26の2つの面部90,91の両方に当接可能に形成されているため、摩擦パッド5,6がキャリア3に対してディスク径方向に振動することを抑制でき、耐振性を向上できる。したがって、ブレーキ鳴きを抑制することができる。特に、制動中に摩擦パッド5,6に生じる、車体前後軸に対する回転方向、ディスク回転方向およびディスク径方向の各方向の振動を抑制することができ、これらに起因するブレーキ鳴きを抑制できる。
また、摩擦材76の押圧中心軸線Xが、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦パッド5,6の摩擦材76の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yの延在方向におけるキャリア当接部81の範囲内に存在するため、ディスクブレーキ1をコンパクトできる。
また、パッド支持部26の2つの面部90,91で形成される部位が、摩擦材76の押圧中心軸線Xに向かう凸形状の凸状部94となるため、キャリア3の強度を高めることができる。これにより、キャリア3を靭性の低いアルミニウム合金で形成し、裏板75を靭性の高い鋼材で形成しても、キャリア3に生じる損傷を抑制することができる。
また、2つの面部90,91の交わる交点が、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yの延在方向の位置を摩擦材76の押圧中心軸線Xと一致させているため、摩擦パッド5,6がキャリア3に対してディスク径方向に振動することを効果的に抑制できる。したがって、ブレーキ鳴きを効果的に抑制することができる。つまり、2つの面部90,91で制動力を受けたときにディスク径方向の分力を平均化できるため、ディスク径方向およびディスク回転方向の摩擦材76の振動を抑制することができる。
また、2つの面部90,91は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yとのなす角度が略同角度となっているため、この基準ディスク径方向線Yに沿う両方向の振動を効果的に抑制できる。したがって、ブレーキ鳴きを効果的に抑制することができる。つまり、2つの面部90,91で制動力を受けたときにディスク径方向の分力を平均化できるため、ディスク径方向およびディスク回転方向の摩擦材76の振動を抑制することができる。
キャリア3が角度をもった2つの面部90,91で制動力を受けることで制動力が分散(分力)されるため、耐強度部品を削減することができる。したがって、コストを低減することができる。
キャリア3が角度をもった2つの面部90,91で摩擦パッド5,6の振動を抑制するため、摩擦パッド5,6の耐振性を向上させるスプリングを廃止または薄板化することができる。したがって、コストを低減することができる。
キャリア3が角度をもった2つの面部90,91で摩擦パッド5,6を保持するため、ディスク径方向の位置決めだけのための構造が不要となる。したがって、コストを低減することができる。
「第2実施形態」
次に、第2実施形態を主に図8に基づいて第1実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第2実施形態の摩擦パッド110は、ディスク2に当接する摩擦材111と、摩擦材111が貼付されるディスク回転方向中央の主板部112およびディスク回転方向両端部のキャリア当接部113,113を有する裏板114とを有している。
第2実施形態のキャリア118には、ディスク回転方向に離間して一対のパッド支持部120,120が互いに対向するように形成されている。パッド支持部120,120は、それぞれ、ディスク径方向外側に向く面部121と、この面部121のディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側の端縁部からディスク径方向内側に延出して押圧中心軸線Xとは反対側に向く面部122と、この面部122のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に延出してディスク径方向外側に向く面部123とを有している。
また、パッド支持部120,120は、それぞれ、面部123のディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側の端縁部からディスク径方向外側に延出して押圧中心軸線X側に向く面部124と、面部124のディスク径方向外側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線X側に延出してディスク径方向内側に向く面部125と、この面部125のディスク回転方向の押圧中心軸線X側の端縁部からディスク径方向内側に延出して押圧中心軸線Xとは反対側に向く面部126と、この面部126のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線X側に延出してディスク径方向内側に向く面部127とを有している。
面部124は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに平行をなしている。言い換えれば、面部124は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行をなしている。
面部121,123,125,127は、それぞれ、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに直交する平面内に配置されている。
面部122は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部122は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部126は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部126は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部122,126の上記形状により、パッド支持部120の面部122,126で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に向けて先細の凸形状をなしている。なお、面部122,126のなす角度は鈍角であり、面部122の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α11と面部126の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α12とは同じとなっている。
摩擦材111の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向において、面部122,126を含むパッド支持部120の範囲内に配置されている。より具体的に、摩擦材111の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向における位置を、面部122,126を延長して交わる延長交差線と一致させている。
以上により、2つの面部122,126は、基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材111の押圧中心軸線Xが、基準ディスク径方向線Yの延在方向における面部122,126を含むパッド支持部120の範囲内に存在しており、具体的に、基準ディスク径方向線Yの延在方向の位置を、面部122,126を延長して交わる延長交点と一致させている。また、2つの面部122,126は、基準ディスク径方向線Yとのなす角度α11,α12が略同角度となっている。さらに、パッド支持部120の2つの面部122,126で形成される部位が、摩擦材111の押圧中心軸線Xとは反対側に向かう凸形状となっている。
上記したキャリア118のパッド支持部120,120の形状に合うように、摩擦パッド110の裏板114の主板部112からディスク回転方向両側に突出するキャリア当接部113,113が形成されている。
キャリア当接部113,113は、それぞれ、ディスク径方向内側に向く面部131と、この面部131のディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側の端縁部からディスク径方向内側に延出して押圧中心軸線X側に向く面部132と、この面部132のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に延出してディスク径方向内側に向く面部133とを有している。
また、キャリア当接部113,113は、それぞれ、面部133のディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側の端縁部からディスク径方向外側に延出して押圧中心軸線Xとは反対側に向く面部134と、面部134のディスク径方向外側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線X側に延出してディスク径方向外側に向く面部135と、この面部135のディスク回転方向の押圧中心軸線X側の端縁部からディスク径方向内側に延出して押圧中心軸線X側に向く面部136と、この面部136のディスク径方向内側の端縁部からディスク回転方向の押圧中心軸線X側に延出してディスク径方向外側に向く面部137とを有している。
面部134は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに平行をなしている。言い換えれば、面部134は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行をなしている。
面部131,133,135,137は、それぞれ、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに直交する平面内に配置されている。
面部132は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部132は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部136は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部136は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材76の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部132,136の上記形状により、キャリア当接部113,113の面部132,136で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に向けて先細の凹形状をなしている。なお、面部132,136のなす角度は鈍角であり、面部132の基準ディスク径方向線Yとのなす角度は、面部122の基準ディスク径方向線Yとのなす角度と同じ角度α11であり、面部136の基準ディスク径方向線Yとのなす角度は、面部126の基準ディスク径方向線Yとのなす角度と同じ角度α12となっている。
摩擦材111の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向において、面部132,136を含むキャリア当接部113の範囲内に配置されている。より具体的に、摩擦材111の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yにおける位置を、面部132,136を延長して交わる延長交差線と一致させている。
そして、両側のキャリア当接部113,113は、それぞれ、面部132がパッド支持部120の面部122に当接し、面部136がパッド支持部120の面部126に当接し、面部131がパッド支持部120の面部121に当接し、面部137がパッド支持部120の面部127に当接する。キャリア当接部113,113は、パッド支持部120の2つの面部122,126の両方に同時に当接可能に形成されている。
以上により、2つの面部132,136は、基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材111の押圧中心軸線Xが、基準ディスク径方向線Yの延在方向における面部132,136を含むキャリア当接部113の範囲内に存在しており、具体的に、基準ディスク径方向線Yの延在方向の位置を、面部132,136を延長して交わる延長交点と一致させている。また、2つの面部132,136は、基準ディスク径方向線Yとのなす角度α11,α12が略同角度となっている。さらに、キャリア当接部113の2つの面部132,136で形成される部位が、摩擦材111の押圧中心軸線Xとは反対側に向かう凹形状となっている。
第2実施形態によれば、パッド支持部120,120およびキャリア当接部113,113をディスク回転方向に対して対称に形成し、摩擦パッド110の4つの面部132,132,136,136を、キャリア118の4つの面部122,122,126,126で保持する。このため、モーメントの発生を抑制することができ、引張方向で制動トルクを受けることができる、したがって、耐振性を向上できて、ブレーキ鳴きをさらに抑制することができる。その上、パッドピンが不要となるとともに、キャリア118および摩擦パッド110がいずれも鏡面対称形状となり、コストを低減することができる。
「第3実施形態」
次に、第3実施形態を主に図9に基づいて第1,第2実施形態との相違部分を中心に説明する。なお、第1,第2実施形態と共通する部位については、同一称呼、同一の符号で表す。
第3実施形態の摩擦パッド150は、ディスク2に当接する摩擦材151と、摩擦材151が貼付されるディスク回転方向中央の主板部152およびディスク回転方向の両端部のキャリア当接部153,153を有する裏板154とを有している。
第3実施形態のキャリア158には、ディスク回転方向に離間して一対のパッド支持部159,159が互いに対向するように形成されている。パッド支持部159,159には、それぞれ、ディスク径方向内側にあってディスク回転方向の押圧中心軸線Xに向く面部160と、ディスク径方向外側にあってディスク回転方向の押圧中心軸線X側に向く面部161とを有している。面部160,161は隣り合っている。
面部160は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部160は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部161は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対して、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部161は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部160,161の上記形状により、パッド支持部159の面部160,161で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に向けて先細の凹形状をなす凹状部164となっている。なお、面部160,161のなす角度は鈍角であり、面部160の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α21と、面部161の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α22とは、α21<α22となっている。摩擦材151の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向において、パッド支持部159の面部160,161の範囲内に配置されている。
以上により、2つの面部160,161は、基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材151の押圧中心軸線Xが、基準ディスク径方向線Yの延在方向におけるパッド支持部159の面部160,161の範囲内に存在している。さらに、パッド支持部159,159それぞれの2つの面部160,161で形成される部位が、摩擦材151の押圧中心軸線Xに対し反対に向かう凹形状となっている。
上記したキャリア158のパッド支持部159,159の形状に合うように、摩擦パッド150の裏板154のキャリア当接部153,153が形成されている。キャリア当接部153,153には、ディスク径方向内側にあってディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対に向く面部170と、ディスク径方向外側にあってディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対に向くに向く面部171とを有している。面部170,171は隣り合っている。
面部170は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対し、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Yとは反対側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部170は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面とは反対側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部171は、ディスク軸方向に平行をなしており、基準ディスク径方向線Yに対し、ディスク径方向外側ほど基準ディスク径方向線Y側に位置するように傾斜している。言い換えれば、面部171は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを含む基準平面に平行な面を、ディスク軸方向に平行な状態を維持しつつディスク径方向外側ほど基準平面側に位置するように傾斜させた平面となっている。
面部170,171の上記形状により、キャリア当接部153の面部170,171で形成される部位がディスク回転方向の押圧中心軸線Xとは反対側に向けて凸形状をなす凸状部174となっている。なお、面部170,171のなす角度は鈍角であり、面部170の基準ディスク径方向線Yとのなす角度は面部160の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α21と同じとなっており、面部171の基準ディスク径方向線Yとのなす角度は面部161の基準ディスク径方向線Yとのなす角度α22と同じとなっている。摩擦材151の押圧中心軸線Xは、基準ディスク径方向線Yの方向において、キャリア当接部153の面部170,171の範囲内に配置されている。
キャリア当接部153,153は、それぞれ、面部170がパッド支持部159の面部160に当接し、面部171がパッド支持部159の面部161に当接する。キャリア当接部153,153は、それぞれ、2つの面部160,161の両方に同時に当接可能に形成されている。なお、摩擦パッド150は、キャリア当接部153,153以外の部分ではキャリア158に当接することはなく、言い換えれば、キャリア158はパッド支持部159,159以外の部分では摩擦パッド150に当接することはない。
以上により、2つの面部170,171は、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yに対して傾いている。また、摩擦材151の押圧中心軸線Xが、ディスク2の回転中心軸線Oと摩擦材151の押圧中心軸線Xとを通る基準ディスク径方向線Yの延在方向におけるキャリア当接部153の面部170,171の範囲内に存在している。また、キャリア当接部153,153それぞれの2つの面部170,171で形成される部位が、摩擦材151の押圧中心軸線Xとは反対側に向かう凸形状となっている。
上記実施形態は、ディスクの両面側でキャリアに摺動可能に支持されキャリパにより前記ディスクに押圧される摩擦パッドを備え、該摩擦パッドが、前記ディスクに当接する摩擦材と、該摩擦材が貼付されディスク回転方向の端部の当接部により前記キャリアの支持部に支持される裏板とを有するディスクブレーキにおいて、前記支持部は、前記ディスクの回転中心と前記摩擦材の押圧中心とを通るディスク径方向線に対して傾く2つの面部を有し、前記当接部は、前記2つの面部の両方に当接可能に形成され、前記摩擦材の押圧中心が、前記ディスク径方向線の延在方向における前記当接部の範囲内に存在することを特徴とする。これにより、摩擦パッドがキャリアに対してディスク径方向に振動することを抑制できるため、ブレーキ鳴きを抑制することができる。また、ディスクブレーキをコンパクトできる。
また、前記2つの面部の交わる交点または前記2つの面部を延長して交わる延長交点が、前記ディスク径方向線の延在方向の位置を前記摩擦材の押圧中心と一致させているため、摩擦パッドがキャリアに対してディスク径方向に振動することを効果的に抑制できることになり、ブレーキ鳴きを効果的に抑制することができる。
また、前記2つの面部は、前記ディスク径方向線とのなす角度が略同角度となっているため、摩擦パッドがキャリアに対してディスク径方向に振動することを効果的に抑制できることになり、ブレーキ鳴きを効果的に抑制することができる。
また、前記支持部の前記2つの面部で形成される部位が、前記摩擦材の押圧中心に向かう凸形状となっているため、キャリアの剛性を高めることができる。
また、ディスクの両面側でキャリアに摺動可能に支持されキャリパにより前記ディスクに押圧される摩擦パッドを備え、該摩擦パッドが、前記ディスクに当接する摩擦材と、該摩擦材が貼付されディスク回転方向の端部の当接部により前記キャリアの支持部に支持される裏板とを有するディスクブレーキにおいて、前記支持部は、前記ディスクの回転中心と前記摩擦材の押圧中心とを通るディスク径方向線に対して傾く2つの面部を有し、前記当接部は、前記2つの面部の両方に当接可能に形成され、前記支持部の前記2つの面部で形成される部位が、前記摩擦材の押圧中心に向かう凸形状となっていることを特徴とする。これにより、摩擦パッドがキャリアに対してディスク径方向に振動することを抑制できるため、ブレーキ鳴きを抑制することができる。また、キャリアの剛性を高めることができる。