JP2014065828A - 防振部材用熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた防振部材 - Google Patents

防振部材用熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた防振部材 Download PDF

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Abstract

【課題】高モジュラス、耐環境性、耐へたり性に優れた防振部材用熱可塑性エラストマー組成物の提供を目的とする。
【解決手段】下記(A)を主成分とし、これに下記(B)および(C)を含有し、下記(B)が下記(A)の架橋剤となりうる防振部材用熱可塑性エラストマー組成物である。
(A)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基を有する熱可塑性エラストマー。
(B)二重結合を有する化合物。
(C)カーボンブラック。
【選択図】なし

Description

本発明は、自動車等の車両用の防振部材(例えば、トルクロッドやブッシュ等)等に使用される防振部材用熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた防振部材に関するものである。
従来から、自動車等の車両には、加速や減速時にエンジンや駆動輪の車軸等に発生する振動を抑制するために、トルクロッドなる防振部品が使用されている。このトルクロッドは、外筒および内筒とこれらの間に介在してなる、天然ゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、ブチルゴム等の加硫ゴム弾性体とを両端に各1個ずつ有している。さらに、これら2つを連結する樹脂製の連結部を備えており、互いに直角をなすように配向され連結部にて連結されている。そして、各内筒が鉄やアルミニウム等からなる金属にて形成され、各外筒およびこれらを連結する連結部がポリアミド樹脂等の樹脂の一体成形品にて構成された樹脂製トルクロッドが使用されている(特許文献1参照)。
上記構造の樹脂製トルクロッドは、例えば、つぎのようにして製造される。すなわち、予め、2個の金属製の内筒の外周に大小2つの上記加硫ゴム弾性体を組み付けてなるゴム成形品を準備し、これらゴム成形品をトルクロッド本体の成形用キャビティを有する成形金型に設置して、キャビティ内に樹脂材料を注入して、トルクロッド本体(連結部を含む)を成形すると同時に、上記ゴム成形品をそれぞれトルクロッド本体に固着して一体化することにより製造される。この際、内筒と加硫ゴム弾性体、および、加硫ゴム弾性体と樹脂製の連結部を含む各構成部材間の接着性の向上を図る目的から、上記2個の金属製の内筒の外周面およびゴム成形品の外周面には、それぞれ有機溶剤系の接着剤を塗布して接着処理している。そして、金属製の内筒とゴム成形品は加硫時の熱により、接着剤の接着反応を生起させている。また、樹脂製連結部と加硫ゴム弾性体とは、上記キャビティ内に樹脂材料を注入してトルクロッド本体を成形する際に発生する成形熱によって接着剤の接着反応を生起させている。
特開2005−265122号公報
上記構成の樹脂製トルクロッドでは、予め、上記大小2つの加硫ゴム弾性体を作製するが、上記加硫ゴム弾性体を作製する際に加熱加硫を行なう必要があり、製造工程の簡略化、さらには樹脂製のトルクロッド本体との接着性という観点から、ゴム特性(引張、静特性、動特性)に類似する特性を備えるという点に基づき、ゴム材料に代えて熱可塑性エラストマーを用いることも提案されている。しかしながら、上記熱可塑性エラストマーは、ゴムと樹脂との中間の性質を有するため、熱可塑性エラストマーを用いてなる防振部材は、従来の天然ゴム等のゴム材料を用いた防振部材に比べて、材料特性としては、(低い)モジュラス、耐環境性、へたり性等に劣り、製品性能としては耐久性に劣るという難点がある。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、高モジュラス、耐環境性、耐へたり性等の耐久性に優れた防振部材用熱可塑性エラストマー組成物およびそれを用いた防振部材の提供をその目的とする。
本発明者らは、高モジュラス、耐環境性、耐へたり性に優れた防振部材を得ることのできる熱可塑性エラストマー組成物を得るべく、鋭意研究を重ねた。そして、熱可塑性エラストマーの特性を生かしながら、従来では得られなかった耐久性の向上を図るために、ゴム特性に類似する特性を有するという優れた物性を生かしつつ、かつ熱可塑性エラストマーの有する欠点を補うことを技術的課題としてさらなる研究を重ねた。その結果、上記諸物性の低下を補うために、熱可塑性エラストマーの架橋剤となる、二重結合を有する化合物(B)を添加するとともにカーボンブラック(C)を配合し、かつ熱可塑性エラストマーとして上記カーボンブラック(C)が有する官能基と反応する官能基を備えた熱可塑性エラストマー(A)を用いると、その成形時において、上記熱可塑性エラストマー(A)の分子鎖が開裂して、二重結合を有する化合物(B)と反応することにより新たな結合(架橋)が形成されるとともに、反応に寄与せず残った上記二重結合を有する化合物(B)は可塑剤として作用することから、物性に悪影響を及ぼすことがなく、しかも熱可塑性エラストマー(A)とカーボンブラック(C)との反応による相互作用と相俟って、耐久性が向上することを見出し、本発明に到達した。
〈発明の要旨〉
すなわち、本発明は、下記(A)を主成分とし、これに下記(B)および(C)を含有し、下記(B)が下記(A)の架橋剤となりうる防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を第1の要旨とする。
(A)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基を有する熱可塑性エラストマー。
(B)二重結合を有する化合物。
(C)カーボンブラック。
そして、本発明は、上記防振部材用熱可塑性エラストマー組成物の架橋体からなる防振部材を第2の要旨とする。
このように、本発明の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物は、(A)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基を有する熱可塑性エラストマーを主成分とし、これに(B)二重結合を有する化合物、および、(C)カーボンブラックを含有し、上記(B)が上記(A)の架橋剤となりうるものである。このため、上記(A)熱可塑性エラストマーの分子鎖が開裂して、二重結合を有する化合物と反応することにより新たな結合(架橋)が形成されるとともに、(A)熱可塑性エラストマーと(C)カーボンブラックとが反応し結合することから、防振部材の耐久性が向上する。
また、上記(C)カーボンブラックの含有量が、(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して26〜45重量部であると、耐久性がさらに向上するようになる。
さらに、上記(B)二重結合を有する化合物の含有量が、(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜25重量部であると、耐久性がさらに向上するようになる。
そして、上記(B)二重結合を有する化合物が、アクリレート系多官能モノマー,液状ブタジエンゴムおよび液状ブチルゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物であると、(A)熱可塑性エラストマーに対する反応性が向上し、結果、耐久性がさらに向上するようになる。
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
本発明の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物は、(A)特定の熱可塑性エラストマーを主成分とし、これに(B)二重結合を有する化合物、および、(C)カーボンブラックを含有してなるものである。なお、本発明において、主成分とは、防振部材の特性に大きな影響を与える成分の意味であり、その成分の含有量は、通常、防振部材用熱可塑性エラストマー組成物全体の50重量%以上である。
まず、本発明の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を構成する各成分について説明する。
《(A)特定の熱可塑性エラストマー》
上記(A)特定の熱可塑性エラストマーは、後述の(C)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基を有するものである。
上記(C)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基としては、例えば、カルボキシル基、ラクトン基、およびフェノール性水酸基等があげられる。
上記特定の熱可塑性エラストマー(TPE)としては、例えば、熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPU)、熱可塑性ポリスチレン系エラストマー(TPS)等があげられる。これらは単独でもしくは併せて用いられる。
〈熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPU)〉
上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマー(TPU)は、通常、硬質相(ハードセグメント)と、軟質ゴムの軟質相(ソフトセグメント)とからなり、常温でゴムとしての性質を示すが、高温で熱可塑性を示すポリマーである。上記熱可塑性ポリウレタン系エラストマーは、例えば、ポリイソシアネートと、ポリオールとを用いて得られる。
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等のジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4′,4″−トリイソシアネート等のトリイソシアネート、ポリメリックMDI等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、汎用性の点から、MDIが好適に用いられる。
上記ポリイソシアネートとともに用いられるポリオールとしては、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等があげられ、単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
〈ポリエステルポリオール〉
上記ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸とを固体酸触媒の存在下で縮合反応してエステル結合を有したものが使用され、ポリエーテルエステルポリオール、ポリカーボネートポリエステルポリオール等も含まれる。
上記多価アルコールとしては、好ましくは主鎖炭素数2〜15の直鎖グリコール、具体的にはエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタメチルグリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼンもしくはp−キシレングリコール等のグリコール類の炭化水素を主鎖にするものがあげられる。炭素原子総数が好ましくは3〜34、より好ましくは3〜17のもので、例えば1,2−プロピレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ジ−1,2−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、2,3−ブチレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3,5−ペンタントリオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロピル−2,2−ジメチル−3−ヒドロキシプロパネート、ネオペンチルグリコール、2−ノルマルブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−エチル−1,5−ペンタンジオール、3−プロピル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、3−オクチル−1,5−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、3−ミリスチル−1,5−ペンタンジオール、3−ステアリル−1,5−ペンタンジオール、3−フェニル−1,5−ペンタンジオール、3−(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、3,3−ビス(4−ノニルフェニル)−1,5−ペンタンジオール、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロプロパン、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)シクロブタン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロペンタン、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシプロピル)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘプタン、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)シクロヘキサン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシメトキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4′−ヒドロキシエドキシシクロヘキシル)プロパン、トリメチロールプロパン等があげられ、これらを単独もしくは2種以上併せて用いることができる。
なお、上記多価アルコールには、水酸基数3以上の化合物を併用しても差し支えない。併用し得る化合物としては、一般にポリエステルポリオールに使用されるものであればよく、例えば、グリセリン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン等の多官能ポリヒドロキシ化合物があげられる。
上記多価カルボン酸としては、例えばコハク酸、マレイン酸、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナメチレンジカルボン酸、1,10−デカメチレンジカルボン酸、1,11−ウンデカメチレンジカルボン酸、1,12−ドデカメチレンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸や、芳香族系ジカルボン酸(例えば、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸またはこれらの無水物等)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。工業的見地からは主にアジピン酸が使用される。また、トール油脂肪酸の重合によって得られるダイマー酸等も使用できる。トール油脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸等の不飽和酸と、パルチミン酸,ステアリン酸等との混合物があげられる。
〈ポリエーテルポリオール〉
上記ポリエーテルポリオールとしては、活性水素を2個以上、好ましくは2〜6個有する化合物、例えば、前記多価アルコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール等にアルキレンオキサイドに対し、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等を単独または2種以上、好ましくは2〜9モル付加重合して得られるポリオールがあげられる。
〈熱可塑性ポリスチレン系エラストマー(TPS)〉
上記熱可塑性ポリスチレン系エラストマー(TPS)としては、例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体エラストマー、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体エラストマー等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
《(B)二重結合を有する化合物》
上記(B)二重結合を有する化合物は、いわゆる上記(A)特定の熱可塑性エラストマーの架橋剤(架橋助剤)としての作用を奏するものであり、例えば、アクリレート系多官能モノマー、液状ブタジエンゴム、液状ブチルゴム等が用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。上記アクリレート系多官能モノマーとしては、具体的には、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、EO(エチレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO(プロピレンオキシド)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等があげられる。また、上記液状ブタジエンゴムとしては、具体的には、液状ブタジエンホモポリマー、液状エポキシ変性ポリブタジエン、液状ブタジエン・スチレンランダムコポリマー、液状マレイン酸変性ポリブタジエン、末端水酸基変性液状ポリブタジエン等があげられ、単一材料および2種以上の混合物の粘度は、混練加工性から、0.2〜6.5Pa・s(25℃)の範囲であることが好ましい。なお、上記(メタ)アクリレートとは、アクリレートあるいはメタクリレートを意味する。
上記(B)二重結合を有する化合物の含有量としては、上記(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜25重量部が好ましく、特に好ましくは5〜20重量部である。上記(B)二重結合を有する化合物の含有量が少なすぎると、充分な架橋構造が形成されず、耐久性が低下する傾向がみられ、多すぎると、硬くなりすぎて引張特性や防振特性(振動耐久性)等の物性が低下する傾向がみられる。
《(C)カーボンブラック》
上記(C)カーボンブラックは、一般的に、その表面に水酸基,カルボキシ基,キノン基等の官能基を有しており、この官能基が前述の(A)特定の熱可塑性エラストマーの有する官能基と反応することとなる。このような(C)カーボンブラックとしては、例えば、SAF級,ISAF級,HAF級,MAF級,FEF級,GPF級,SRF級,FT級,MT級等の種々のグレードのカーボンブラックがあげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
上記(C)カーボンブラックの平均粒径は、18〜122nmが好ましく、特に好ましくは20〜40nmである。
上記(C)カーボンブラックの含有量は、上記(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して26〜45重量部が好ましい。上記(C)カーボンブラックの含有量が多すぎると、硬くなりすぎて、振動吸収性能が低下する傾向がみられ、少なすぎると、耐久性が劣る傾向がみられる。また、特に好ましくは26〜35重量部である。この特に好ましい範囲とする場合、破断強度が高く、かつある程度の破断時伸びを有する材料を得ることができる。
なお、本発明の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物には、上記(A)〜(C)以外に、(C)カーボンブラック以外の無機質充填剤、有機系充填剤、可塑剤、老化防止剤、加工助剤、上記(B)二重結合を有する化合物以外の架橋剤(架橋助剤)等を必要に応じて適宜配合して用いることも可能である。これら他の添加剤は、本発明における効果を阻害しない範囲内にて適宜に配合される。
本発明の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を用いてなる防振部材は、例えば、つぎのようにして製造することができる。まず、上記(A)特定の熱可塑性エラストマーと、(B)二重結合を有する化合物と、(C)カーボンブラックとを、20〜100℃の低温で3〜15分間、好ましくは30〜80℃で5〜10分間、混練して防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を調製する。この後、押出成形、インジェクション成形等により、所望の形状の防振部材に成形する。ついで、所望の形状に成形された防振部材に、活性エネルギー線を照射して架橋反応を促進させることにより架橋体である防振部材を製造することができる。
上記活性エネルギー線を照射するに際しては、活性エネルギー線として、X線,γ線等の電磁波、紫外線,赤外線等の光線の他、電子線、プロトン線、中性子線等を利用することができるが、中でも、厚みの厚い製品に対しても高い透過性を有する等の観点から、γ線を使用することが好ましい。また、その照射線量は、100〜300kGyとすることが好ましく、特に好ましくは150〜200kGyである。上記照射線量が低すぎると、充分に架橋反応が進行しない傾向がみられ、高すぎると、得られる架橋体の劣化が促進される傾向がみられる。さらに、活性エネルギー線の照射に際しては、場合により、窒素雰囲気下、減圧下あるいは真空状態にて照射することも可能である。
なお、本発明において、上記混練時の温度(混練温度)は、2軸混練機のシリンダー温度を意味し、2軸混練機のダイス温度を意味するものではない。ダイス温度は、押出成形性等を考慮し、通常150〜200℃である。
このようにして得られる防振部材としては、例えば、自動車等の車両用の防振部材、具体的には、トルクロッド用のブッシュ部材として用いられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」とあるのは、断りのない限り重量基準を意味する。
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
[エステル系TPU:(A)]
クラレ社製、クラミロン8165
[カーボンブラックc1:(C)]
FEF(東海カーボン社製、シーストSO)
[カーボンブラックc2:(C)]
HAF(昭和キャボット社製、ショウブラックN330)
[架橋剤b1:二重結合を有する化合物(B)]
トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)
[架橋剤b2:二重結合を有する化合物(B)]
液状ブタジエンゴム(CRAY VALLEY社製、RIKON130)
[実施例1]
エステル系TPU(クラレ社製、クラミロン8165)100部と、カーボンブラックc1(東海カーボン社製、シーストSO)26部と、トリアリルイソシアヌレート(日本化成社製)20部とを、2軸混練機(JSW社製、Tex30α)を用いて、混練温度(30℃;設定できるシリンダー温度)(なお、押出し成形性を考慮して、ダイス温度は200℃とした。)で5分間混練することにより、防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を調製した。
[実施例2〜8、比較例]
各成分の種類や配合割合を下記の表1に示すように変更した以外は、実施例1に準じて、防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を調製した。
Figure 2014065828
このようにして得られた各実施例品および比較例品である防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を用いて測定用サンプルを作製し、下記の基準に従って、各特性の評価を行った。その結果を、上記表1に併せて示した。また、上記測定用サンプル作製時の架橋条件となる、活性エネルギー線照射の有無を、上記表1に併せて示した。なお、照射した活性エネルギー線はγ線であり、その線量は200kGy(kJ/kg)とした。
[引張試験:引張応力、引張破断強度、引張破断伸び]
各防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を用い、JIS K 6251に準じて、伸び100%の引張応力(M100)、引張破断強度(TB)および引張破断伸び(EB)を測定した。
[圧縮永久歪み]
各防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を用い、JIS K 6262に準じて、25%圧縮、85℃×70時間後に歪み率を測定した。ただし、測定用サンプルは、インジェクション成形機を用いてインジェクション成形により作製した厚み2mmのシートを6枚重ね合わせたものを用いた。また、インジェクション成形後、上記架橋条件(γ線照射)にて架橋を促進した。
[耐久性]
各防振部材用熱可塑性エラストマー組成物を用い、インジェクション成形機を用いてインジェクション成形により厚み32mmで大きさ36mm×40mmのシート(TPUシート)を作製した。その後、上記TPUシートを挟むように、ポリアミド樹脂製シート(厚み6mmで大きさ45mm×45mm)を、インジェクション成形機を用いてインジェクション成形し、ついで上記架橋条件(γ線照射)にて架橋を促進させることにより測定用サンプルを作製した。なお、上記ポリアミド樹脂製シートの作製に用いるシート材料は、つぎのようにして調製した。まず、ポリアミド樹脂(PA66)100部に、トリアリルイソシアヌレート(架橋剤)10部を添加して、2軸混練機(JSW社製、Tex30α)を用いて、混練温度290℃で5分間混練することにより樹脂材料(シート材料)を調製した。ついで、上記インジェクション成形機中にて、上記樹脂材料110部と、ガラス繊維(日本電気硝子社製、T−275:繊維直径13μm)60部を混合し、インジェクション成形により厚み6mmで大きさ45mm×45mmのポリアミド樹脂製シートを成形した。
上記測定用サンプルを用いて、耐久性の評価(負荷荷重:0±4000N、雰囲気温度:室温、速度:3Hz)を行なった。評価終了の判断指標は、耐久性評価試験中に、測定用サンプルに亀裂が生じた時点、あるいはポリアミド樹脂製シートとTPUシートとが界面剥離した時点とし、この亀裂あるいは界面剥離が生じるまでの回数が、10万回未満のものを×、10万回以上のものを○とした。
上記結果から、すべての実施例品は、引張試験(引張応力,引張破断強度,引張破断伸び)、圧縮永久歪みが良好で耐久性に優れていた。
これに対して、架橋剤を含まない比較例品は、耐久回数が10万回未満(界面剥離の発生した回数)と低く、耐久性が劣っていた。
本発明の防振部材は、例えば、自動車等の車両用の防振部材(例えば、トルクロッドブッシュ等)等に好ましく使用することができるが、これに限定されず、その他にはシール部材、制振ダンパー部材、橋梁部材をはじめとする防振・制振用構造部材等にも使用することができる。

Claims (6)

  1. 下記(A)を主成分とし、これに下記(B)および(C)を含有し、下記(B)が下記(A)の架橋剤となりうることを特徴とする防振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
    (A)カーボンブラックの有する官能基と反応可能な官能基を有する熱可塑性エラストマー。
    (B)二重結合を有する化合物。
    (C)カーボンブラック。
  2. 上記(C)カーボンブラックの含有量が、(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して26〜45重量部である請求項1記載の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  3. 上記(B)二重結合を有する化合物の含有量が、(A)熱可塑性エラストマー100重量部に対して1〜25重量部である請求項1または2記載の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  4. 上記(B)二重結合を有する化合物が、アクリレート系多官能モノマー,液状ブタジエンゴムおよび液状ブチルゴムからなる群から選ばれた少なくとも一つの化合物である請求項1〜3のいずれか一項に記載の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  5. 上記(A)熱可塑性エラストマーが、熱可塑性ポリウレタン系エラストマーおよび熱可塑性ポリスチレン系エラストマーの少なくとも一方である請求項1〜4のいずれか一項に記載の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の防振部材用熱可塑性エラストマー組成物の架橋体からなる防振部材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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FR3028517A1 (fr) * 2014-11-18 2016-05-20 Hutchinson Composition elastomere renforcee par un noir de carbone et article l'incorporant adapte pour filtrer des vibrations.

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