JP2014064544A - サイトカインがチトクロムp450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法 - Google Patents

サイトカインがチトクロムp450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法 Download PDF

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Abstract

【課題】サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法に、株化肝細胞を利用する手法を提供する。
【解決手段】サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法であって、培養空間11を有する培養容器10を用いて株化肝細胞を培養してスフェロイド9を形成し、スフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカインを含む試験溶液とを培養容器内で1時間以上96時間未満接触させた後に、チトクロムP450の誘導または減衰の有無を評価する。
【選択図】図5A

Description

本発明は、サイトカインとチトクロムP450との相互作用を評価する方法であり、例えば、サイトカインによるチトクロムP450の薬物代謝機能の誘導及び減衰を評価する方法に関する。
近年、サイトカインに関して様々な研究が行われている。
例えば、炎症時に血中に分泌されるサイトカイン類によりCYP3A4の代謝機能が低下するため薬剤が排泄されず、結果として重篤な副作用が起こることが示されている(非特許文献1)。また、サイトカインは創薬ターゲットとして注目されるようになってきている。市場に出されている医薬品の例としては、腫瘍壊死因子やウイルス性肝炎の治療に用いられるインターフェロンがある。これらの状況を受けて、様々な手法を用いてサイトカインと薬物代謝酵素の反応性に関する研究が行われるようになってきた。
その手法のひとつとして動物実験が挙げられる。しかし、ヒトと動物には種差があるため生体内の反応を正確に予測できないという問題がある(非特許文献2)。加えて、動物実験のようなin vivoの試験は、in vitro系と比較してスループット性に劣る。このため、多くの化合物を同時に評価するような医薬品のスクリーニングには適さないという問題がある。
このような背景から、正確に生体内の反応が予測できるin vitroの試験による評価法が求められるようになってきた。
Kenneth W. Renton著、"Cytochrome P450 Regulation and Drug Biotransformation During Inflammation and Infection"、Current Drug Metabolism、2004年5月、pp.235−243 C Schmitt, B Kuhn1, X Zhang, AJ Kivitz3 and S Grange著、"Disease-Drug-Drug Interaction Involving Tocilizumab and Simvastatin in Patients With Rheumatoid Arthritis"、Clinical pharmacology & Therapeutics、VOLUME 89 NUMBER 5、2011年5月、pp.735−740
in vitroの試験として、非特許文献2ではヒト初代肝細胞を用いた方法が開示されている。しかし、ヒト初代肝細胞はドナーの遺伝子多型や環境要因に起因する薬物動態遺伝子の発現量及びその誘導能についてのロット間差が大きい。その上、入手経路が限られているためコストが高く、取り扱いが困難である。そのため、多種のサイトカインを用いて同じロットの細胞で複数のチトクロムP450を一度に評価することは困難、もしくは多大なコストを要するという問題があった。
一方、株化肝細胞は、増殖させることが可能である。従って、サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法に、ヒト由来の株化肝細胞が利用できれば、安価にかつ再現性のある結果を得ることが期待される。しかしながら、株化肝細胞の代謝機能の持つ肝細胞の機能は、初代肝細胞と比較して非常に低いことが知られている。例えば、細胞を培養する底部表面が平坦な培養容器を用いて株化肝細胞を培養した場合、チトクロムP450の代謝能が測定限界値以下となり分析できないことがある。このような場合、たとえサイトカインを添加していないコントロール群で代謝機能を検出できたとしても、サイトカインを添加した場合の代謝機能の減衰量を測定することは極めて困難である。この問題を克服するために様々な三次元培養が研究されているが、操作が煩雑、特殊な装置を用いる必要がある、または、高コストであるといった問題がある。このような背景から、株化肝細胞を用いてサイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法は開発されていなかった。
発明者らは、サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法に、株化肝細胞を利用する手法を発見した。
発明者らは、スフェロイド形状の株化肝細胞とサイトカインを含む試験溶液を1時間以上96時間未満接触させた後のチトクロムP450の代謝能を測定する方法で上述した問題を解決した。
本発明に係るサイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法の一態様は、スフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカインを含む試験溶液とを培養容器内で1時間以上96時間未満接触させた後に、チトクロムP450の代謝機能の誘導または減衰の有無を評価する。スフェロイド形状の株化肝細胞を形成し、形成したスフェロイド形状の株化肝細胞を適切な時間、試験溶液に接触させることにより、代謝機能の測定が可能であることを見出した。この方法によれば、チトクロムP450の代謝能に及ぼすサイトカインの影響を測定し、評価することが可能になる。
また、本発明に係るサイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法の一態様において、前記株化肝細胞から形成されたスフェロイドの直径の平均値が50μm以上200μm未満であって、かつ、半値幅範囲内の直径を有するスフェロイドが全スフェロイドの70%以上であることが好ましい。スフェロイドの直径の大きさが所定の範囲内であり、かつ、スフェロイドの直径の大きさのばらつきが小さくなることにより、代謝機能の判定の精度を向上させることができる。
さらに、本発明に係るサイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法の一態様において、前記試験溶液が無血清培地であることが好ましい。
加えて、前記試験溶液のサイトカイン濃度が、健常人のサイトカインの血中濃度の平均値の0.1倍から50倍の範囲のうちの一つの濃度を基準に、前記基準の少なくとも1倍、10倍、100倍の3濃度の前記サイトカインを含む各試験溶液を用いることが好ましい。また、前記試験溶液のサイトカインの濃度が、前記サイトカインが分泌される疾患患者の血中濃度の平均値の0.1倍から50倍の範囲のうちの一つの濃度を基準に、前記基準の少なくとも1倍、10倍、100倍の3濃度のサイトカインを含む各試験溶液を用いることが好ましい。
本発明に係る方法の一態様において、前記株化肝細胞をスフェロイド形状に培養する工程と、スフェロイド形状の前記株化肝細胞と前記サイトカインを含む前記試験溶液とを1時間以上96時間未満接触させる工程とを、同一のウェル内で行うことが好ましい。
例えば、前記培養容器として、複数のウェルを有する培養プレートの一つのウェルを用いて以下の各構成を行うことが好ましい。
(1)前記一つのウェル内に10%血清を含む培地で前記株化肝細胞のスフェロイドを形成させる工程、
(2)前記一つのウェルから前記培地を吸い取る工程、
(3)前記一つのウェルへ、前記サイトカインを含む前記試験溶液を添加する工程、
(4)前記一つのウェル内で、前記サイトカインを含む前記試験溶液と、前記スフェロイドとを1時間以上96時間未満接触させる工程。
本発明によれば、サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法に、株化肝細胞を利用することが可能となる。
本発明の一実施形態で用いる培養プレートの全体を示す図である。 図1に示す培養プレートのII−II線断面図である。 図1に示す培養プレートの他のII−II線断面図である。 本発明の一実施形態で用いる培養容器の全体を示す図である。 図3に示す培養容器のIV−IV線断面図である。 培養空間でスフェロイドを培養する状態を表す概略図である。 培養空間で培養したスフェロイドの好ましいサイズの一例を説明する模式図を示す図である。 培養空間の他の形状例を示す図である。 培養空間のさらに他の形状例を示す図である。 培養空間の他の側面の形状例を示す断面図である。 培養空間のさらに他の側面の形状例を示す断面図である。 培養空間のさらに他の側面の形状例を示す断面図である。 実施例で用いる培養プレートの一例を示す写真である。 スフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカインを含む試験溶液とを接触させる時間の長さとチトクロムP450の代謝機能の反応性との関係を示す試験結果を示す図である。 上皮成長因子を添加した時のCYP3A4の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 ヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子を添加した時のCYP3A4の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 インターロイキン‐1βを添加した時のCYP3A4の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 腫瘍壊死因子を添加した時のCYP3A4の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 腫瘍壊死因子を添加した時のCYP2C9の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 インターロイキン‐6を添加した時のCYP2C9の遺伝子発現量を測定した結果を示す図である。 インターロイキン‐6の試験でCYP3A4のタンパク量と代謝活性の試験結果を示す図である。 サイトカインの濃度依存性の試験結果を判定した結果を示すテーブルである。 評価処理で説明した手法に基づいて試験結果を判定した結果を示すテーブルである。
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において同一の構成または機能を有する構成要素および相当部分には、同一の符号を付し、その説明は省略する。
発明者らは、サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法(以降適宜、「評価方法」と称する)に、スフェロイド形状の株化肝細胞とサイトカインを含む試験溶液を1時間以上96時間未満接触させた後のチトクロムP450の代謝能を測定し、サイトカインによるチトクロムP450の代謝能を評価する手法により、上述した問題を解決した。より詳細には、評価方法は、ヒト由来の株化肝細胞を培養してスフェロイドを形成し、スフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカインを含む試験溶液とを培養容器内で1時間以上96時間未満接触させ、株化肝細胞のチトクロムP450の値を測定する。測定結果に基づいて、チトクロムP450の代謝能の評価、言い換えると、サイトカインによるチトクロムP450の代謝能の誘導または減衰の有無を、チトクロムP450の値が上昇しているときに「サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が誘導される」と判定し、チトクロムP450の値が減少しているときに「サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が減衰される」と判定する。
用語「サイトカイン」は、細胞から放出され、種々の細胞間相互作用を媒介するタンパク質性因子を総称するものであり、例えば、免疫系の調節、炎症反応の惹起、抗腫瘍作用、細胞増殖、分化、抑制といった生体の恒常性維持に役割を果たす物質である。一実施形態では、サイトカインは、その存在によって、肝臓の機能の変動(誘導、減衰)の起因となる場合を特に対象とし、例えば、増殖因子、インターフェロン、腫瘍壊死因子などを含む。
用語「スフェロイド」は、細胞が多数凝集して細胞塊を形成し、3次元状態になったものである。
用語「チトクロムP450(CYP)」は、細菌から植物,哺乳動物に至るまでのほとんどすべての生物に存在する、異物(薬物)代謝の役割を果たす酵素である。動物では、主に肝臓に存在する。
以下の説明において、「値Aから値Bの範囲」という場合には、特に明記していない限り、「値A以上値B以下」を意味する。
用語「チトクロムP450の値」は、総チトクロムP450量の値ではなく、チトクロムP450のもつ代謝機能を表す値であり、例えば代謝活性値、遺伝子発現量、タンパク量を意味する。
以下、一実施形態の評価方法について、最初に株化肝細胞を培養する培養容器について説明し、次に、株化肝細胞を培養して評価するまでの培養・評価方法について説明する。
1.培養容器
* 培養容器の概略
図1は、本発明の一実施形態で用いる培養プレートの全体を示す図である。図2Aは、図1に示す培養プレートのII−II線断面図であり、図2Bに、他の態様の断面図を示す。培養プレート1は、複数のウェル21を備える。複数のウェル21は、仕切り部22によって、隣り合うウェル21と隔てられる。複数のウェル21それぞれには、培養容器10が形成されている。
図3に、本発明の実施形態で用いる培養容器の構成例を示す。図4は、図3に示す培養容器のIV−IV線断面図である。
培養容器10は、培養空間11と、壁12と、底部13とを有する。
培養空間11は、壁12と底部13とで仕切られた領域であり、細胞を培養する三次元の空間領域(培養領域)となる。培養空間11は、単に「空間」、または「マイクロ空間」とも称する。
壁12は、培養空間11を仕切る隔壁であり、培養容器10に凹凸パターンを形成する凸部ともいえる。培養空間11が仕切り部22に隣接する場合、壁12は、図2Aに示すように、仕切り部22の壁面の一部分と同じになってもよいし、図2Bに示すように、仕切り部22の壁面に隣接して壁12が配置されてもよい。
底部13は、培養容器10の基板として機能するとともに、培養空間11が配置される側の表面は、培養領域(培養表面)の一部となる。底部13は、培養プレート1に形成された各ウェル21の底部と同じ領域であり、各ウェル21の底部が用いられる。底部13は、培養空間11の底を形成する。底部13のうち、培養空間11を形成する面の一部分であり、かつ、培養領域となる底部の表面を、「底部培養面14」とも称する。
図3,4では、培養容器10に形成される培養空間11に関して、相当直径D、高さ(深さ)H、壁12の幅(厚さ)W、及び、底部13の厚さTを示す。図3,4では、底部13は、壁12と一体として作製された場合を示している。
相当直径Dは、培養空間11に内接する内接円の直径をいう。より詳しくは、相当直径Dは、培養空間11の底部13と平行する面の形状(正面の形状)、言い換えると、培養空間11の高さHの方向と垂直になる面の形状の内接円の直径をいう。培養空間11の正面の形状が、高さHに応じて異なる場合、株化肝細胞を培養する空間領域の最大値を相当直径の相当直径とする。
高さHは、培養空間11の底(底部培養面14)から壁12の上面までの長さであり、培養空間11の深さでもあるともいえる。また、底部培養面14が平面の場合、高さHは、壁12の高さと同じである。
壁12の幅Wは、壁12の厚さであるとともに、隣接する培養空間11間を隔てる距離であるともいえる。
培養容器10内(言い換えると、各ウェル21内)において、複数の培養空間11は、図3に示すようにアレイ状に配置される。培養容器10に含まれる培養空間11の数または大きさは、培養プレート1に作製されるウェル21の数(ウェル21の大きさ)と培養空間11及び壁12の大きさに依存するものである。具体的には、ウェル21の数が多くなるに従って、培養空間11の数が小さくなる関係にある。同じ大きさのウェル21のとき、ウェル21の中の培養空間11の数は、相当直径Dが大きい場合や幅Wが大きい場合に小さくなる関係にある。図1乃至4では、構成をわかりやすく説明するため、培養空間11の数を少なくして表した概略図であり、培養容器10に含まれる培養空間11の数は実際とは異なる。加えて、図3,4では、9個の培養空間11を示している。これは説明のために示したものであり、実際の培養容器10(各ウェル21)に含まれる培養空間11の数に対応するものではない。
発明者らは、相当直径Dが所望するスフェロイドの直径の1〜5倍であり、高さHが相当直径Dの0.3倍〜5倍である培養空間11を複数有するとともに、該培養空間表面の水接触角が45度以下である培養容器10を使用し、各培養空間11で株化肝細胞を培養することによって、均一な直径の株化肝細胞のスフェロイドを培養することができることを見出した。従って、所望するスフェロイドの大きさに応じて、培養容器10に配置される培養空間11の大きさを選択することにより、培養するスフェロイドの大きさを制御することが可能になる。一実施形態では、株化肝細胞として、ヒト由来の株化肝細胞を培養してスフェロイド形成させる。以下に詳細を説明する。
図1乃至4を参照して、所望のスフェロイドを形成させるためのマイクロオーダの培養空間11の大きさ、形状等と、培養表面の特性を説明する。
* 培養空間の大きさ、形状等
培養空間11の相当直径Dについて、スフェロイドの大きさが、細胞が増殖するに従いその直径が大きくなることを考慮する必要がある。そこで重要なことは、スフェロイドが隣り合う培養空間11の細胞と接触しないような培養空間11を確保することである。このため、培養空間11の相当直径Dは、所望するスフェロイドの直径の1〜5倍の範囲が好ましく、1.2〜4倍の範囲がより好ましい。
例えば、直径100μmの株化肝細胞のスフェロイドを形成させるために、所望するスフェロイドの直径の1〜5倍の範囲、即ち、相当直径Dが100〜500μmの範囲で、高さHを相当直径Dで割った値が0.3〜2の範囲の培養空間11が規則的に配置されている底部13を有する培養容器10を用いる。
株化肝細胞培養空間11の表面との細胞接着性を強めることで、増殖・維持させているような場合は、十分に細胞が底面に接着性していることから培地交換時に細胞が剥離することがない。そのため、本実施形態のような、培養空間11の相当直径Dが所望するスフェロイドの直径の1〜5倍の範囲、高さHが相当直径Dの0.3〜2倍の範囲という、深い空間は必要ないため、そのような空間での培養は行わない。
一方、一実施形態では、後述するように細胞接着性を抑制しているため、アミノ酸や酸素などの供給が可能、かつ、スフェロイドが脱離しない最適な高さHを設計する必要がある。0018に記載の好ましい範囲のスフェロイドを形成させるために好ましい高さH、相当直径Dを検討した結果、細胞増殖によりスフェロイドが過剰に大きくなることを防ぐためには、相当直径Dが100μm〜200μmの範囲、高さHが50μm〜100μmの範囲が好ましい。培養空間11の底までアミノ酸等の栄養分を十分に供給するため、かつ老廃物の蓄積を防ぐために、培養空間11の高さHは、培地交換や試験溶液交換時にスフェロイドが剥離しない限り低い方が好ましい。具体的には、培養空間11の高さHを相当直径Dで割った値が0.3〜2の範囲が好ましく、0.5〜1の範囲がより好ましいことを見いだした。
一実施形態では、試験溶液をスフェロイド中心部まで拡散または輸送させるためには、スフェロイドの直径は最大200μm未満、好ましくは150μm以下が好ましい。さらに加えて、細胞間の相互作用を最大限に引き出すためには、スフェロイドの直径は、最小50μmが好ましく、60μm〜150μmの範囲がより好ましい。ここで、細胞間の相互作用は、被験物質(例えば、サイトカイン)とチトクロムP450との相互作用である。
壁12の幅Wは、培養空間11と隣接する培養空間11を隔てる壁12の厚みである。従って、壁12の幅Wは、壁12の上面での細胞増殖を防ぐため、かつ、細胞が培養空間11内に入りやすくするため、2〜50μmの範囲がよく、好ましくは、細胞体1個以下の大きさ、即ち5〜30μmの範囲が好ましく、5〜10μmの範囲がより好ましい。さらに、同様の観点から、壁12の上面と培養空間11の側面とのなす角θは、90〜135度の範囲が好ましく、90度〜120度の範囲がより好ましい。
図5Aに、培養空間11でスフェロイドを培養する状態を表す概略図を示す。図5Aでは、図4に示す断面図を用い、スフェロイド9を、○印で示す。スフェロイド9は、複数の培養空間11それぞれにおいて培養される。
図1に示す培養プレート1で培養する場合、ウェル21毎に培養条件の設定、培地の交換等を実施することになる。そのため、各ウェル21に複数の培養空間11を形成するため、各ウェル21において、同条件で複数のスフェロイドを培養することが可能になる。加えて、ウェルプレートを用いてスフェロイドを培養することができるため、従来の細胞培養で用いる装置等を利用することが可能になる。
スフェロイド9の直径DSPを値dsp(dspは正の数値)とすると、培養空間11の相当直径Dは、値dspから値dspの5倍の範囲(dsp≦D≦5dsp)が好ましい範囲となる。また、培養空間11の高さHは、値dspの0.3倍から値dspの25倍(5×5)の範囲(0.3dsp≦H≦25dsp)が好ましい範囲となる。
図5Bに、培養空間で培養したスフェロイドの好ましいサイズの一例を説明する模式図を示す。図5Bは、スフェロイド9の相当直径Dに沿って切断した切断部端面を模式的に示した図である。上述したように、スフェロイドの直径の平均が50μm以上200μm未満であることが好ましく、特に、60μm〜150μmの範囲が好ましい。図5Bでは、スフェロイド9の切断部端面が5個の細胞8により形成されている様子を示す。例えば、細胞8の直径DCLが20μmであり、スフェロイド9の直径DSPが60μmのスフェロイド9を形成する場合には、例えば、細胞8が直線上に3個並ぶことにより形成される。同様に、スフェロイド9の直径DSPが150μmのスフェロイド9を形成する場合には、例えば、細胞8が直線上に5個並ぶことにより形成される。図5Bは説明を容易にするために細胞8を直線上に並べて模式的に示したものであり、細胞8は必ずしも直線上に並ぶとは限らない。
加えて、1試験領域(1ウェル、1シャーレ)にあるスフェロイドは、その直径が半値幅の範囲内にあるものが全体の70%以上含まれることが好ましい。言い換えると、スフェロイドの直径の大きさがそろっていることが好ましい。その理由は以下の通りである。まず、スフェロイドの大きさによって代謝活性値が異なることが知られていることから、様々な直径のスフェロイドが混在していると精度の高い結果が得られない。また、小さい(50μm以下の)スフェロイドの代謝機能は極端に低いことが知られている。そのため、このようなスフェロイドが多く含まれている場合、代謝機能を減衰させるようなサイトカインを評価する際に測定限界値以下となり、代謝機能の減衰の有無が判定できない可能性がある。
「半値幅の範囲」とは、1試験領域にあるスフェロイドの総個数NTうち、直径の大きさと存在する個数との対応を取ったときに、存在する個数が最大となる直径D1の個数N1に対して、個数N1の半分の個数(N1/2)となる複数の直径のうち、最小の直径D2から最大の直径D3までの範囲に存在するスフェロイドの個数N2をいう。
スフェロイドの大きさを一様にするために、上述した総個数NTに対して個数N2が70%以上であることが好ましく、総個数NTに対する個数N2の割合が高くなることがより好ましい。
培養空間11の形状(正面の形状)、あるいは、底部13と平行な面の形状は、図3に示す形状に限定されるものではなく、例えば、図6A〜6Bに示すような形状であっても、その他の形状(楕円や菱形など)であってもよい。より高密度で均一な直径を有するスフェロイドを形成させるためには、左右対称構造であることが好ましい。
培養空間11の側面の形状は、図4に示す形状に限定されるものではなく、例えば、図7A〜7Cに示すような形状であってもよい。
培養容器10を構成する材料としては、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、及びシリコン樹脂のうちの1つまたはこれらの組み合わせから選択される。
培養容器10の底部13の厚さTは、観察性の観点から、1mm以下が好ましい。ただし、顕微鏡での観察に支障をきたさない限り、1mm以上であってもよく、底部13の厚さTを限定するものではない。培養容器の底部13の観察性を確保することにより、培養プレートをそのまま用いて、培養したスフェロイドを観察することが可能になる。培養容器の観察性を確保することにより、培養容器をそのまま用いて、免疫組織学法による蛍光染色観察や、Green Fluorescent Protein(GFP)などのレポータ遺伝子を使用したin situ法が可能となる。
* 培養表面の特性
次に、細胞を培養する培養表面、すなわち、培養空間11を囲む壁12及び底部培養面14の特性、特に親水化処理について説明する。培養表面は、各培養空間11内に培地を入れるため、また、コーティング溶液を用いる場合には、その溶液が培養空間11内に入り込まなければ表面を覆うことができない。このため、水接触角を45度以下にすることが好ましい。より好ましくは0度〜20度の範囲である。また、水接触角の値は、培養空間11と壁12の凹凸パターンが形成されていない平板を、培養容器10と同条件で作製して測定した値を前提とする。
培養空間11をアレイ状に配置した表面に関して、当該表面の疎水性が高く水接触角が45度を超えると、すなわち濡れ性が低い場合は、培地やコート溶液を添加した際、空間に気泡が入りやすくなり、細胞が培養できない空間が生じることがある。そのため、水接触角が45度以下になるよう、親水化を行うことが必要である。親水化する方法としては、SiOを蒸着する方法や、プラズマ処理を行う方法が挙げられる。
加えて、培養容器10で効率よくスフェロイドを形成させるため、細胞接着性を抑制することが好ましい。細胞接着性を抑制するためには、水接触角が45度以下、好ましくは40度以下、より好ましくは20度以下になるような表面を用いることで可能になる。細胞接着性を抑制することと、水接触角との関係については、例えば、Y Ikada著、"Surface modification of polymers for medical applications"、 Biomaterials 1994, vol.15 No.10, pp725-736に記載されている。水接触角を45度以下にする方法としては、ガラスを底部培養面14に蒸着する方法、プラズマ処理法を用いて、表面に官能基を形成させる方法が挙げられる。プラズマ処理などにより、表面に官能基を形成させる。
また、水接触角を45度以下にすることで、細胞接着性を抑制する物質をコートしてより接着性を抑制することにより、効率よくスフェロイドを形成させることができる。例えば、プラズマ処理を施し、水接触角を45度以下にした後、リン脂質・高分子複合体やポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)をコートしてもよい。
2.株化肝細胞の培養・評価方法
次に、株化肝細胞を培養し、サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価するまでの方法について説明する。
* 培養・評価方法の概略
一実施形態の培養から評価までには、例えば、次の(A)から(F)の工程を実施する。
(A)ヒト由来の株化肝細胞を培養し、スフェロイドを形成させる工程(スフェロイド形成処理)。
(B)同じ一つのウェル21から培地を吸い取る工程(培地吸引処理)。
(C)同じ一つのウェル21へ、サイトカインを含む試験溶液またはコントロール溶液を添加する工程(試験溶液添加処理)。
(D)同じ一つのウェル21内で、サイトカインを含む試験溶液と、スフェロイド形状の株化肝細胞とを1時間以上96時間未満、接触させる工程(接触処理)。
(E)チトクロムP450の代謝機能を分析する工程(分析処理)。
(F)分析した結果を評価する工程(評価処理)。
一実施形態の評価方法は、操作性の観点から、複数のウェルを備える培養プレートを用いることが好ましい。特に、株化肝細胞をスフェロイド形状に培養するスフェロイド形成処理(工程A)と、サイトカインを含む試験溶液を所定の時間、培養した細胞に接触させる接触処理(工程D)とを同一のウェル内で行うことがより好ましい。そのため、一実施形態では、図1に示す培養プレート1の複数のウェル21を用い、複数のウェル21のうち、一つのウェル21内でスフェロイド形成処理から接触処理までの各工程を実施する。言い換えると、一つのウェル内で培養から評価までの処理において、各工程の途中で細胞を別のウェル21に移動させることはない。
*工程A スフェロイド形成処理
工程Aのスフェロイド形成処理では、上述した培養容器10を用いて、10%血清を含む培地でヒト由来の株化肝細胞を培養し、所望のサイズのスフェロイドを形成させる。
形成されたスフェロイドは、少なくともその一部分が壁12または底部培養面14に接着している。
スフェロイド形状の株化肝細胞を得る方法として、ローラーボトル培養、スピナーフラスコ培養、ハンギングドロップ培養など特に限定されない。しかし、これらの方法では培養方法に応じた装置を使用するため、スフェロイド形成処理と接触処理とを別々の容器で行う必要が生じる。発明者らは、上述した培養容器10が形成されたウェル21を用いることにより、同一の容器でスフェロイド形成処理と接触処理とを実施できることを発見した。これにより、操作が簡便になり、形成したスフェロイドを移動させることなく、細胞をサイトカインと接触させることが可能になる。特に、多くの化合物を一度に評価するような医薬品のスクリーニングにおいて、自動培養装置に利用することが可能となる。加えて、細胞の損傷や汚染を防止することが可能になる。
スフェロイドを形成するための培養容器10の好ましいサイズについては上述したが、スフェロイド形成処理から接触処理を実施する場合には、特に次の培養容器10のサイズが好ましいことを発見した。
培養容器10は、高さHを相当直径Dで割った値が0.3〜2の範囲であって、相当直径Dが100μm〜1000μmの範囲の培養空間11が、少なくとも2個以上配置されていることが好ましい。加えて、培養空間11を隔てる壁12の幅Wは2μmから50μmの範囲であることが好ましい。このような培養容器10を用いることで、簡単にかつ均一な直径のスフェロイドを得ることができる。
培養空間11を有する培養容器10で効率よくスフェロイドを形成させるためには、細胞接着を抑制する方が好ましい。一方、培地交換や試験溶液交換の際にスフェロイドが培養空間11から離脱することを防ぐ目的から、スフェロイドの一部は培養表面(壁12の表面または底部培養面14)に接着している方が好ましい。そのため、培養表面への細胞の接着を阻害するポリマーと、培養表面への細胞の接着を促進するポリマーとの混合物との混合物を培養表面にコートしてもよい。培養表面への細胞の接着を阻害するポリマーは、細胞接着を阻害する親水性のポリマー鎖、リン脂質、リン脂質・高分子複合体、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、及びアルブミン、のグループから選択される一つまたはこれら組合せからなるポリマーである。細胞接着性を促進するポリマーは、ポリ−L−リシン、ポリ−D−リシン、コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンのグループからから選択される一つまたはこれら組合せからなるポリマーである。コート溶液の一例として、リン脂質、リン脂質・高分子複合体である2−メタ クリロイルオキシエチルホスホリスコリン(MPC)ポリマーとポリ−L−リシン溶液との混合物が挙げられる。MPC溶液濃度は0.001%〜1%の範囲が好ましく、0.01%〜0.1%の範囲がより好ましい。ポリ−L−リシン溶液の濃度は0.001〜0.1%の範囲が好ましく、0.005〜0.015%の範囲がより好ましい。MPC溶液とポリ−L−リシン溶液の混合比は50:50〜100:0の範囲が好ましく、75:25〜90:10の範囲がより好ましい。
培養容器10を用いてスフェロイド形成を行う場合の細胞播種密度は特に限定されないが、5000個/cm〜1,000,000個/cmの範囲が好ましく、50〜150μmの直径のスフェロイドを形成させるためには、50個〜250個の細胞が11の区画に存在していることが好ましいことから、100,000個/cm〜500,000個/cmの範囲がより好ましい。スフェロイドを形成させるための培養時間は1日〜15日であればよい。
* 工程B 吸引処理
培地の吸引は、例えば、パスツールピペットを用いて吸引する。スフェロイド形成処理で用いた培地は、全量を吸引することが好ましい。これは、培地に含まれる血清の影響を除去するためである。加えて、培地の吸引では、培養空間11に形成されたスフェロイドが、培養空間11の壁12または底部培養面14と接着している状態を維持するように留意する。スフェロイドが壁12または底部培養面14に接着している状態を維持することにより、他の培養空間11に形成されたスフェロイドと接着することを防止できるからである。加えて、試験溶液を交換する際及びそのための洗浄操作により細胞が剥離すると試験できなくなるので細胞を培養空間11に接着させておいた方がよい。
* 工程C 試験溶液添加処理
工程Cの試験溶液添加処理では、試験溶液とコントロール溶液とのいずれかをウェル21へ添加する。コントロール溶液は、試験溶液を添加する実施例に対する比較例として用いる。
試験溶液は、血清中に含まれるサイトカインによる細胞への影響を排除するために血清を含まないことが好ましい。一方で、試験溶液と細胞を48時間以上接触させる場合は細胞の生理機能を保つため0.1〜1%の範囲の血清を加えても良い。
試験溶液の溶媒は200〜315mOsm/kgの浸透圧であって、pH域が6.8〜8.4に緩衝作用があればよい。加えて、細胞の生理機能を一定に保つためには、グルコース及びアミノ酸、ビタミン類などの栄養素が含まれているものを使用することが好ましい。例えばダルベッコ変法イーグル培地(DMEM: Dulbecco's modified Eagle medium)とNutrient Mixture F-12の混合培地を用いることで生理機能が一定に保たれる。
コントロール溶液は、上述した試験溶液からサイトカインを除いた溶液であり、他の条件は試験溶液と同一とする。
試験溶液のサイトカイン濃度は、基準値を設定し、基準値に対して少なくとも3種類の異なる濃度を用いる。基準値は、対象とする疾患患者のサイトカインの血中濃度の平均値を基準に、0.1倍〜50倍の範囲の濃度を設定する。一方、疾患患者の血中サイトカイン濃度が明らかでない場合には、基準値は、健常人のサイトカインの血中濃度の平均値の0.1倍〜50倍の範囲の濃度を設定する。そして、基準値に対して少なくとも3種類の異なる濃度、例えば、1倍、10倍、100倍の3種類の濃度のサイトカインを含む試験溶液を用いる。対象とする疾患患者のサイトカインの血中濃度を基準とすることにより、サイトカインによるチトクロムP450の減衰または誘導を評価し、サイトカインの影響を把握することにより疾患患者の投薬量の調整等に役立てることができる。加えて、基準値に対して複数の異なる濃度を用いることにより、サイトカインによるチトクロムP450の減衰または誘導がサイトカインの濃度に依存するかを評価することができる。さらに加えて、基準値の設定方法について、生体内でのサイトカインによる代謝酵素の影響を反映させるためには、生体内での濃度で評価することが好ましいからである。
* 工程D 接触処理
試験溶液またはコントロール溶液と細胞を接触させる時間(接触時間)はサイトカインの細胞毒性の度合いによって決められる。細胞毒性は、細胞死を引き起こす強さである。接触時間は、あらかじめ試験に供するサイトカイン濃度の最大値の試験溶液を用いて、1時間から96時間の範囲で細胞と接触させ、生存率が80%以上となる時間を採用する。例えば、1,10,100倍の3種類の濃度を用いる場合、基準値の100倍のサイトカインを含む試験溶液を用いて生存率を測定する。
いずれの時間においても生存率が80%以下となった場合は、サイトカイン濃度の基準値を低く設定し、生存率が90%以上となる反応時間を採用する。
図9にスフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカイン(インターロイキン−1β)を含む試験溶液とを接触させる時間の長さと、チトクロムP450の反応性との関係を示す試験結果を示す。インターロイキン−1βを0時間、4時間、8時間接触させた時、経時的にCYP3A4の遺伝子発現量が減少する。誤差は20〜30%程度であった。図9のように近似曲線を作成して接触時間1時間の値を算出した。近似曲線は、図9に示す数式を用いた。誤差20%の時、接触時間1時間より短い場合は接触時間0時間の値に対して、有意差が見られないことが予想された。そのため、細胞とサイトカインを接触させる時間を、最低1時間とした。接触時間は評価期間を短縮するためには短いほどよい。加えて、コストも削減できる。
培養には栄養を含む培地を使用しているものの、血清を含まないため、細胞の生理機能が低下する可能性がある。また、通常培地交換は、倍地中の栄養分が完全に消費されない頻度、かつ、老廃物が蓄積して生理機能に影響を及ぼさない頻度で実施する。例えば、3〜4日毎に培地を交換する必要がある。即ち、5日以上の培養は細胞の生理活性を維持する観点から適していない。そのため、細胞とサイトカインを接触させる時間を、最大96時間とした。
* 工程E 分析処理
工程Eの分析処理では、試験溶液またはコントロール溶液に接触させた後の細胞を使ってチトクロムP450の代謝機能を分析する。
チトクロムP450の分析方法として、PCR法による遺伝子発現量の測定、ウェスタンブロッティング法によるタンパク解析、または、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS/MS: Liquid Chromatography-tandem Mass Spectrometry)や高速液体クロマトグラフィー(HPLC: High performance liquid chromatography)を用いた代謝活性測定、などどのような手法を用いても良い。
* 工程F 評価処理
工程Fの評価処理では、工程Eの分析処理で分析した代謝機能の値(測定値)に基づいて、次のように判定する。工程Eで分析した代謝機能の数値を、試験溶液に接触させた細胞の分析結果を「値T」、コントロール溶液に接触させた細胞の分析結果を「値C」とすると、次のように評価する。
値Tが値Cより大きい(値T>値C)ときに、"被験物質によりチトクロムP450の代謝機能が誘導される"、と判定する。チトクロムP450の分析結果の値が増加していることにより、サイトカインがチトクロムP450の代謝機能を誘導していることがわかる。
一方、値Tが値Cより小さい(値T<値C)ときに、"被験物質によりチトクロムP450が減衰される"と判定する。チトクロムP450の分析結果の値が減少していることにより、サイトカインがチトクロムP450の代謝機能を減衰させていることがわかる。
値Tと値Cが同じときに、"被験物質によりチトクロムP450が影響を受けない"、と判定する。
加えて、評価処理では、1倍、10倍、100倍の3種類の濃度の試験溶液と細胞を接触させた後のチトクロムP450の機能の分析結果が濃度依存的に増加したときに、"サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が誘導される"、または減少したときに、"サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が減衰される"と判定されることが好ましい。
しかし濃度依存性がない場合であっても、サイトカインを含まない試験溶液に対してチトクロムP450の機能の値が優位に高い時に"サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が誘導される"、または優位に低いときに、"サイトカインによりチトクロムP450の代謝機能が減衰される"と判定してもよい。
上述したように、一実施形態の評価方法は、ヒト由来の株化肝細胞を用い、当該株化肝細胞を培養して増殖させ、所望のサイズのスフェロイドを形成し、該スフェロイドを被験物質と接触させることによってチトクロムP450の代謝機能への影響を評価する。チトクロムP450の評価は、試験溶液またはコントロール溶液に接触させたスフェロイドの代謝機能を測定した測定値に基づいて、被験物質がチトクロムP450の代謝能に影響するかについて、減衰、誘導、影響なしのいずれかに判定される。判定結果の種類については、減衰、誘導、影響なしの評価に限られるものではなく、被験物質の影響を示す他の判定結果を用いても構わない。
実施例及び比較例について説明する。
1.細胞の準備(スフェロイド形成処理)
[実施例]
(1−1)培養容器及び細胞
図8に示す複数のウェル21aを有する培養プレート1aを使用した。各ウェル21aの底部培養面には複数の培養容器10aが形成されている。各培養容器10aは、相当直径Dが200μm、高さHが100μmで形成される培養空間11aを有する。また、壁12aの幅Wは10μmである。
培養する細胞は日本人由来の株化肝細胞であるFLC−4細胞を使用した。
(1−2)培養容器の準備
0.01%MPC溶液と0.01%のポリ−L−リシン(SIMGA社製)を9:1の割合で混合した溶液をコート剤として使用した。
各ウェルにコート溶液を0.3mL入れ、クリーンベンチ内で乾燥させた。
使用前にリン酸緩衝整理食塩水(PBS: phosphate-buffered saline)で洗浄した。
(1−3)細胞培養
培地は、10%のウシ胎児血清(FBS)を含むDMEM/F12培地を使用した。細胞播種密度が16×10個/mLになるように細胞懸濁液を調整した。
1つのウェルあたり500μLの細胞懸濁液を加えた。
COインキュベータ内で10日から11日間、細胞を培養した。培地交換は3日に1回で行った。
培地交換の際、すべて培地を吸い取らず約100μLを残し、あらたに500μLの培地を加えた。
[比較例]
培養容器は市販の培養面が平坦な24ウェルプレートを使用した。培養プレートのグレードは細胞培養グレードを用いた。
上記以外は実施例と同じ条件で実施した。
2.試験条件(培地吸引処理、試験溶液添加処理、接触処理)
実施例、比較例ともに次の条件で試験を実施した。
(2−1)手順
培養した細胞を次の手順で処理した。
・各ウェルから、古い培地の全量をピペットで吸引した(培地吸引処理)。
・各ウェルへ、試験溶液またはコントロール溶液を添加した(試験溶液添加処理)。
・8時間、24時間または48時間、37℃、COインキュベータ内で細胞をインキュベートした(接触処理)。
(2−2)試験溶液、コントロール溶液の調整
試験溶液は、血清を含まないDMEM/F12の溶液(DMEM/E12 FBS (−))に、表1の濃度になるようにサイトカインを溶解した。
コントロール溶液は、血清を含まないDMEM/F12の溶液を用い、サイトカイン濃度を0mMとした。
(2−3)分析
表1に記載の分析方法で、CYP3A4の代謝機能を分析した。TNF−αについては、CYP3A4に加えてCYP2C9の機能も分析した。
3.分析方法
(3−1)代謝活性測定法
反応後の上澄みを除去した後、50μM トリアゾラム(triazolam)を含む分析用溶液を添加し、37℃、5%COの条件下で24時間インキュベートした。回収した培地150μLを試験管にとり、内部標準物質としてオキザゼパム(oxazepam)(0.2μg/mL in methanol)を50μL添加した後、氷冷したアセトニトリル(acetonitrile)(和光純薬工業)300μLを加えて攪拌し、遠心分離(3000r.p.m.,10分,4℃)することによりタンパクを沈降させた。その後、減圧エバポレーターを用いてアセトニトリルを蒸発させ、上清をフィルターろ過して得られた溶液70μLをHPLCに注入した。検量線用サンプルとしては、10、40、80、160および320pmolのα-および4-hydroxytriazolamを含むメタノール溶液各10μLを130μLの培地に加えたものを用いた。α-および4-hydroxytriazolamはHPLCにより定量した。検量線は検量線用サンプルの内部標準物質に対するα-および4-hydroxytriazolamのピークの高さの比を最小二乗法により直線回帰を行うことにより求めた。
(3−2)遺伝子解析法(RT-qPCR)
RNA抽出は、培養プレート1aの2ウェル21a分を1サンプルとして、NucleoSpin RNAII (Macherey-Nagel)のプロトコルに従って抽出した。Dnase処理の部分のみ改変して、DNaseI recombinant, RNase-free (Roche , Branchburg, NJ, USA)を使用した。全RNA(Total RNA)はHigh-Capacity cDNA Reverse Transcription Kits (Applied Biosystems, Foster City, CA, USA)および付属のrandom hexamer primer を用いて逆転写反応し、first strand cDNAを合成した。
解析は、全量20μL中に、 9.6μL EagleTaq Master Mix with ROX (Roche, Branchburg, NJ, USA)、 0.96μL 20×Assays-on-DemandTM Gene Expression Assay Mix (Applied Biosystems) 、7.1μL sterilized MiliQ waterおよび5倍希釈したcDNA 1.8μLを加えたものを反応液としてReal-time PCRで測定した。
(3−3)ウェスタンブロッティング法(WB)
3〜6ウェル分の細胞を0.1%のprotease inhibitor cocktailおよび1mM PMSF (Phenylmethyl sulfonyl fluoride)を含むLysis bufferでソニケーションした後、12000gで15分間遠心し、その上清を全細胞抽出液とした。得られた全細胞抽出液(10-15 μg/lane)を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分離したのち、ニトロセルロース膜に2時間、54Vの電圧で転写した。転写後のニトロセルロース膜は5% スキムミルクを加えた0.05%Tweem20含有PBS(PBST)を用いて、室温で1時間振とうしてブロッキングを行った。一次抗体はanti-human CYP3A antibody (monoclonal, BD Gentest) を、3%BSAを加えたPBSTで6000倍に希釈したものを用いて4℃で一晩インキュベートした。二次抗体はanti-mouse IgG-peroxydase antibody (Sigma-Aldrich) を、3%BSAを加えたPBSTで5000倍に希釈したものを用い、室温で1時間振とうした。タンパクはImmunoStar LD (和光純薬)を使用し、LAS-1000 plus (Fujifilm, Tokyo)で検出した。
4.試験結果
図10乃至18に試験結果を示す。図中、実施例は"MICRO−SPACE"、比較例は"CONFLUENT"で示す。また、細胞へコントロール溶液を添加した場合(非添加群)を、"UNT"(Untreated)と示し、試験溶液を添加した場合を、添加したサイトカインの濃度(例えば、0.1ng/mL)で示す。図10乃至15に示す結果は、正副3回の独立した実験の標平均値に標準偏差を加えた値である。
図10の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または0.1ng/mL、1ng/mL、及び10ng/mLの上皮成長因子(EFG: Epidermal Growth Factor)を含む試験溶液を添加し、24時間培養した。図10は、培養後の4種類のEGF濃度の細胞について、CYP3A4 mRNAの発現量をRT−qPCRで分析した結果を示す。
図11の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または1ng/mL、10ng/mL、及び100ng/mLのヘパリン結合性上皮増殖因子様増殖因子(HB-EGF)を含む試験溶液を添加し、24時間培養した。図11は、培養後の4種類のHB−EGF濃度の細胞について、CYP3A4 mRNAの発現量をRT−qPCRで分析した結果を示す。
図12の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または1ng/mL、10ng/mL、及び100ng/mLのインターロイキン‐1β(IL-1β)を含む試験溶液を添加し、24時間培養した。図12は、培養後の4種類のIL−1β濃度の細胞について、CYP3A4 mRNAの発現量をRT−qPCRで分析した結果を示す。
図13、14の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または0.1ng/mL、1ng/mL、及び10ng/mLの腫瘍壊死因子(TNF-α:Tumor Necrosis Factor-α)を含む試験溶液を添加し、24時間培養した。図13、14は、培養後の4種類のEGF濃度の細胞について、CYP3A4(図13)及びCYP2C9(図14) mRNAの発現量をRT−qPCRで分析した結果を示す。
図15の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または0.1ng/mL、1ng/mL、及び10ng/mLのインターロイキン‐6(IL-6: Interluekin-6)を含む試験溶液を添加し、24時間培養した。図15は、培養後の4種類のIL−6濃度の細胞について、CYP3A4 mRNAの発現量をRT−qPCRで分析した結果を示す。
図16の試験結果を得た操作では、FLC−4細胞を10日間培養した。培養した細胞へ、コントロール溶液または0.1ng/mL、1ng/mL、及び10ng/mLのIL−6を含む試験溶液を添加し、48時間培養し、その後50μg/mLのトリアゾラム(triazolam)を添加し、24時間培養した。図15は、培養後の4種類のIL−6濃度の細胞について、CYP3A4 タンパク量をウェスタンプロッティング法で分析した結果を示す。
図17に、サイトカインの濃度依存性の試験結果を示す。
図18に、評価処理で説明した手法に基づいて試験結果を判定した結果を示す。図18中、項目「サイトカインの影響」は、試験溶液を添加した細胞(サイトカイン添加群)とコントロール溶液を添加した細胞(非添加群)との比較から判定した試験結果であり、項目「濃度依存性」は、異なるサイトカイン濃度の試験結果に基づいて、濃度依存性を判定した試験結果を示す。図18中、「−」は判定できなかったことを示す。
実施例ではいずれのサイトカインも、コントロール(サイトカイン濃度0mM)に対し優位にCYP3A4の遺伝子発現量の減少が確認できた。
比較例ではコントロール(サイトカイン濃度0mM)に対し優位にCYP3A4の遺伝子発現量が減少することはなかった。
上述した実施例で用いたサイトカインは一例であり、他のサイトカインであっても一実施形態の評価方法を適用することができることは言うまでもない。
なお、本発明は上記に示す実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲において、上記実施形態の各要素を、当業者であれば容易に考えうる内容に変更、追加、変換することが可能である。
1、1a 培養プレート
8 細胞
9 スフェロイド
10、10a 培養容器
11、11a 培養空間
12 壁
13 底部
14 底部培養面
21、21a ウェル
22 仕切り部

Claims (16)

  1. サイトカインがチトクロムP450の代謝能に及ぼす影響を評価する方法であって、
    スフェロイド形状の株化肝細胞と、サイトカインを含む試験溶液とを培養容器内で1時間以上96時間未満接触させた後に、チトクロムP450の代謝機能の誘導または減衰の有無を評価する方法。
  2. 前記株化肝細胞から形成されたスフェロイドの直径の平均値が50μm以上200μm未満であって、かつ、半値幅範囲内の直径を有するスフェロイドが全スフェロイドの70%以上であることを特徴とする請求項1の方法。
  3. 前記試験溶液が無血清培地であることを特徴とする請求項1または2記載の方法。
  4. 前記試験溶液のサイトカイン濃度が、健常人のサイトカインの血中濃度の平均値の0.1倍から50倍の範囲のうちの一つの濃度を基準に、前記基準の少なくとも1倍、10倍、100倍の3濃度の前記サイトカインを含む各試験溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記試験溶液のサイトカインの濃度が、前記サイトカインが分泌される疾患患者の血中濃度の平均値の0.1倍から50倍の範囲のうちの一つの濃度を基準に、前記基準の少なくとも1倍、10倍、100倍の3濃度のサイトカインを含む各試験溶液を用いることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記株化肝細胞をスフェロイド形状に培養する工程と、スフェロイド形状の前記株化肝細胞と前記サイトカインを含む前記試験溶液とを1時間以上96時間未満接触させる工程とを、同一のウェル内で行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記培養容器として、複数のウェルを有する培養プレートの一つのウェルを用い、
    前記一つのウェル内に10%血清を含む培地で前記株化肝細胞のスフェロイドを形成させる工程と、
    前記一つのウェルから前記培地を吸い取る工程と、
    前記一つのウェルへ、前記サイトカインを含む前記試験溶液を添加する工程と、
    前記一つのウェル内で、前記サイトカインを含む前記試験溶液と、前記スフェロイドとを1時間以上96時間未満接触させる工程と、を行うこと特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記培養容器は、複数のウェルを有する培養プレートの各ウェル内に、複数の培養空間を有するように形成され、
    各培養空間は、相当直径の長さを有する面と、高さとからなる空間であり、前記高さを前記相当直径割った値が0.3から2の範囲であり、
    前記培養空間の底に、前記相当直径が100μmから1000μmの範囲の培養空間が少なくとも2個以上配置されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  9. 前記複数の培養空間は、隣り合う前記培養空間を隔てる壁の厚さが2μmから50μmの範囲であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記培養空間を隔てる壁の上面と側面とがなす角度が90度から135度の範囲であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記複数の培養空間の底の表面が、ガラス処理により、水接触角を45度以下になるように処理されたことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 前記複数の培養空間の底の表面が、プラズマ処理により官能基を形成させて、水接触角を45度以下になるように処理されたことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記培養容器の表面は、ポリマー温度、光のいずれかにより親水性と疎水性とが変化するポリマー、細胞接着を阻害する親水性のポリマー鎖、リン脂質、リン脂質・高分子複合体、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、及びアルブミンのグループから選択される一つ、または組合せからなるポリマーが、固定化されていること特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記培養容器の表面は、細胞接着を阻害する親水性のポリマー鎖、リン脂質、リン脂質・高分子複合体、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEMA)、ポリビニルアルコール、アガロース、キトサン、ポリエチレングリコール、及びアルブミンのグループから選択される一つ、またはこれら組合せからなるポリマーと、細胞接着性を促進するポリマーである、ポリ−L−リシン、ポリ−L−リシン、コラーゲン、ラミニン、及びフィブロネクチンから選択される一つ、またはこれら組合せからなるポリマーとの混合物が固定化されていることを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載の方法。
  15. 前記培養容器が、アクリル系樹脂、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、スチレン系樹脂、アクリル・スチレン系共重合樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン・ビニルアルコール系共重合樹脂、熱可塑性エラストマー、塩化ビニル系樹脂、及びシリコン樹脂のグループから選択される一つまたはこれらの組み合わせからなる樹脂成形品であることを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一項に記載の方法。
  16. 前記培養容器の底部を構成するポリマーの全光線透過率が85%以上99%未満であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか一項に記載の方法。
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