JP2014063262A - 応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システム - Google Patents

応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システム Download PDF

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Abstract

【課題】電子ビームで溶接された領域を含む部材の残留応力分布を高い精度で解析することができることにある。
【解決手段】電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物の解析モデルを作成するステップと、解析モデルから溶接部を含む領域を抽出するステップと、抽出した領域における位置と残留応力との関係を取得するステップと、抽出した領域に対するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、設定したパラメータに基づいて抽出した領域の残留応力の解析を行う解析ステップと、解析結果とデータ取得ステップの結果とを比較し、合わせ込み処理ステップと、比較結果が許容範囲に含まれると判定した場合、結果に基づいて解析モデルの残留応力分布を算出する算出ステップと、を有する。
【選択図】図6

Description

本発明は、溶接された領域を含む部材の応力分布を推定する応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システムに関する。
溶接で加工した部材の性能を評価するために溶接部の残留応力を推定する場合がある。溶接された領域を含む部材の応力分布を推定する方法としては、例えば特許文献1または特許文献2に記載の方法がある。
特許文献1は、本出願人が出願しており、溶接の施工時に解析結果に基づいて条件を調整する方法を記載している。また、特許文献1には、第1〜第n(nは2以上の整数)の溶接パスについて順次溶接を行って多層溶接を行う際、第1及び第2の部材について予め設定された溶接条件に応じた解析モデルを生成し、溶接条件に応じて第k(kは1〜(n−1)のいずれかの整数)の溶接パスについて溶接を行う過程で、第1及び第2の部材の温度を計測して計測温度を得て、第kの溶接パスについて溶接が終了した後、解析モデルについて熱弾塑性解析を用いて計測温度に応じて残留応力を評価している。
特許文献2に記載の方法は、3次元溶接構造物の有限要素法による残留応力解析方法において、溶接構造物の3次元熱変形量を取得する3次元熱変形量取得ステップと、3次元熱変形量取得ステップで取得した3次元熱変形量に基づき、溶接構造物の2次元対称モデルの変形補正量を算出する変形補正量算出ステップと、算出された変形補正量に基づき2次元対称モデルの変形拘束条件を設定する変形拘束条件設定ステップと、設定された変形拘束条件下で2次元対称モデルの2次元熱弾塑性解析を行う2次元熱弾塑性解析ステップとを備える。
特開2004−181462号公報 特開2009−36669号公報
溶接部を含む部材の残留応力の計測結果を用いて、溶接された部材の性能を評価することで、例えば、原子炉の炉内構造物の経年劣化を推定することができる。なお、この場合、残留応力に加え、熱応力や機械荷重、放射線の影響等も加味して経年劣化を推定する。これにより、炉内構造物の寿命を推定することができる。
ここで、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、複数回の溶接パスで溶接を繰り返すことで、対象の領域の溶接を行うことを想定している。溶接方法としては、TIG(Tungsten Inert Gas)溶接や、自動TIG溶接、サブマージ等がある。これに対して、近年では、電子ビームを用いた電子ビーム溶接が利用される場合がある。原子炉の炉内構造物は、安全性をより高くする観点から特に用いられている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の方法は、電子ビーム溶接を想定していないため、これらの方法を用いても解析の精度が不十分となる可能性がある。解析の精度が不十分である場合、安全の観点からより厳しい条件での算出結果を用いて運用を行うことになるため、利用可能な部材を交換してしまうことが生じる。
本発明は上述した課題を解決するものであり、電子ビームで溶接された領域を含む部材の残留応力分布を高い精度で解析することができる応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システムを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、応力分布推定方法であって、電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物の解析モデルを作成する作成ステップと、前記解析モデルから前記解析モデルの溶接部を含む領域を抽出する抽出ステップと、抽出した領域における位置と残留応力との関係を取得するデータ取得ステップと、前記抽出した領域に対するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、前記パラメータ設定ステップで設定したパラメータに基づいて前記抽出した領域の残留応力の解析を行う解析ステップと、解析ステップの結果とデータ取得ステップの結果とを比較し、比較結果が許容範囲に含まれないと判定した場合、前記パラメータ設定ステップでパラメータを変更させ、前記解析ステップの処理を実行させる合わせ込み処理ステップと、前記合わせ込み処理ステップで比較結果が許容範囲に含まれると判定した場合、当該判定結果を前記解析結果に展開し、前記解析モデルの残留応力分布を算出する算出ステップと、を有する。
また、前記データ取得ステップは、前記抽出した領域のモックアップの実験結果に基づいて算出して前記関係を取得することが好ましい。
また、前記データ取得ステップは、予め記憶した複数のデータから前記抽出した領域に類似するデータを抽出し、抽出したデータに基づいて前記関係を取得することが好ましい。
また、前記データ取得ステップは、降伏応力を上限として前記抽出した領域の位置に対して応力を設定することで、前記関係を取得することが好ましい。
また、前記データ取得ステップは、予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがあると判定した場合、当該データを抽出し、抽出したデータに基づいて前記関係を取得し、前記予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがないと判定し、前記抽出した領域のモックアップの実験結果を取得可能と判定した場合、前記抽出した領域のモックアップの実験結果に基づいて算出して前記関係を取得し、前記予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがないと判定し、前記抽出した領域のモックアップの実験結果を取得不可能と判定した場合、降伏応力を上限として前記抽出した領域の位置に対して残留応力を設定することで、前記関係を取得することが好ましい。
また、前記パラメータ設定ステップは、前記パラメータに前記溶接部の温度分布を含むことが好ましい。
また、前記溶接部の温度分布は、前記溶接部の板幅方向における温度分布を含むことが好ましい。
また、前記パラメータ設定ステップは、前記パラメータに前記溶接部の溶融幅を含むことが好ましい。
また、前記データ取得ステップは、前記関係に前記溶接部の内部の残留応力を含むことが好ましい。
上記の目的を達成するために本発明は、解析方法であって、上記のいずれかに記載の応力分布推定方法で前記解析モデルの残留応力分布を推定する残留応力分布解析ステップと、前記残留応力解析ステップで解析した結果を用いて、前記解析モデルの機械荷重及び熱応力を解析する機械荷重及び熱応力解析ステップと、前記機械荷重及び熱応力解析ステップで解析した結果を用いて、照射下クリープ解析を行うクリープ解析ステップと、を含む。
上記の目的を達成するために本発明は、解析システムであって、電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物の解析モデルを作成し、前記解析モデルから前記解析モデルの溶接部を含む領域を抽出し、抽出した領域における位置と残留応力との関係を取得し、前記抽出した領域に対するパラメータを設定し、設定したパラメータに基づいて前記抽出した領域の残留応力の解析を行い、解析した結果と取得したデータとを比較し、比較結果が許容範囲に含まれないと判定した場合、パラメータを変更し、解析処理を再度実行させる合わせ込みを行い、前記合わせ込み処理で比較結果が許容範囲に含まれると判定した場合、当該判定結果を前記解析結果に展開し、前記解析モデルの残留応力分布を算出する解析ユニットと、前記抽出した領域に対応するモックアップを作成し、前記モックアップを計測することで、前記抽出した領域における位置と残留応力との関係を検出する実験ユニットと、を有する。
ここで、前記解析ユニットは、位置と残留応力との関係のデータが入力される入力部を有することが好ましい。
本発明によれば、電子ビームで溶接された領域を含む部材の残留応力分布を高い精度で解析することができるという効果を奏する。
図1は、加圧水型原子炉を表す部分断面斜視図である。 図2は、炉心槽を示す断面図である。 図3は、溶接部を含む領域を示す模式図である。 図4は、解析システムの概略構成を示すブロック図である。 図5は、解析システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。 図6は、解析システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。 図7は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。 図8は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。 図9は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。 図10は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。 図11は、応力と照射量との関係の一例を示す説明図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システムの好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、本実施形態では、原子炉の炉心槽の残留応力を推定し、その結果に基づいて、耐久性能を解析する場合として説明するが、これに限定されない。本実施形態の応力分布推定方法、これを用いる解析方法及び解析システムは、電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物(部材)を解析の対象とすることができる。
まず、図1から図3を用いて、解析対象の部材を説明する。本実施形態では、原子炉の炉心槽を解析対象としている。図1は、加圧水型原子炉を表す加圧水型原子炉を表す部分断面斜視図である。本実施形態の原子炉は、軽水を原子炉冷却材及び中性子減速材として使用し、炉心全体にわたって沸騰しない高温高圧水とし、この高温高圧水を蒸気発生器に送って熱交換により蒸気を発生させ、この蒸気をタービン発電機へ送って発電する加圧水型原子炉(PWR:Pressurized Water Reactor)である。
図1に示すように、加圧水型原子炉40は、原子炉容器41を有する。原子炉容器41は、その内部に炉内構造物が挿入できるように、原子炉容器本体42とその上部に装着される原子炉容器蓋43により構成されており、この原子炉容器本体42に対して原子炉容器蓋43が開閉可能となっている。原子炉容器本体42は、上部が開口して下部が球面状に閉塞された円筒形状をなし、上部に一次冷却水としての軽水(冷却材)を給排する入口ノズル44及び出口ノズル45が形成されている。
原子炉容器本体42内にて、入口ノズル44及び出口ノズル45より下方には、円筒形状をなす炉心槽46が原子炉容器本体42の内面と所定の隙間をもって配置されている。炉心槽46の下部には、円板形状をなして図示しない多数の連通孔が形成された下部炉心板48が連結されている。そして、原子炉容器本体42内には、炉心槽46の上方に位置して円板形状をなす上部炉心支持板49が固定されており、この上部炉心支持板49から複数の炉心支持柱50を介して上部炉心板47が吊下げ支持されている。原子炉容器本体42内には、炉心槽46の下方に位置して円板形状をなす下部炉心支持板51が固定されている。下部炉心支持板51、つまり、炉心槽46の下側端部は、原子炉容器本体42の内面に対して複数のラジアルキー52により位置決め保持されている。
炉心槽46と上部炉心板47と下部炉心板48により炉心53が形成されており、この炉心53には、多数の燃料集合体54が配置されている。この燃料集合体54は、多数の燃料棒が支持格子により格子状に束ねられて構成され、上端部に上部ノズルが固定される一方、下端部に下部ノズルが固定されている。そして、複数の制御棒55は、上端部がまとめられて制御棒クラスタ56となり、燃料集合体54内に挿入可能となっている。上部炉心支持板49には、この上部炉心支持板49を貫通して多数の制御棒クラスタ案内管57が支持されており、下端部が燃料集合体54の制御棒クラスタ56まで延出されている。
原子炉容器41を構成する原子炉容器蓋43の上部には、磁気式ジャッキの制御棒駆動装置が設けられており、原子炉容器蓋43と一体をなすハウジング内に収容されている。多数の制御棒クラスタ案内管の上端部は、制御棒駆動装置まで延出され、この制御棒駆動装置から延出されて制御棒クラスタ駆動軸60が、制御棒クラスタ案内管57内を通って燃料集合体54まで延出され、制御棒クラスタ56を把持可能となっている。また、下部炉心支持板51には、この下部炉心支持板51を貫通して多数の炉内計装案内管が支持されており、上端部が燃料集合体54まで延出されており、中性子束を計測できるセンサを挿入可能となっている。
この制御棒駆動装置は、上下方向に延設されて制御棒クラスタ56に連結されると共に、その表面に複数の周溝を長手方向に等ピッチで配設してなる制御棒クラスタ駆動軸(以下、駆動軸と称する。)60を磁気式ジャッキで上下動させることで、原子炉の出力を制御している。
加圧水型原子炉40は、以上のような構成であり、制御棒駆動装置により制御棒クラスタ駆動軸60を移動して燃料集合体54に制御棒55を挿入することで、炉心53内での核分裂を制御し、発生した熱エネルギにより原子炉容器41内に充填された軽水が加熱され、高温の軽水が出口ノズル45から排出され、上述したように、蒸気発生器13に送られる。即ち、燃料集合体54を構成する燃料としてのウランまたはプルトニウムが核分裂することで中性子を放出し、減速材及び一次冷却水としての軽水が、放出された高速中性子の運動エネルギを低下させて熱中性子とし、新たな核分裂を起こしやすくすると共に、発生した熱を奪って冷却する。また、制御棒55を燃料集合体54に挿入することで、炉心53内で生成される中性子数を調整し、また、原子炉を緊急に停止するときには炉心53に急速に挿入される。
また、原子炉容器41内には、炉心53に対して、その上方に出口ノズル45に連通する上部プレナム81が形成されると共に、下方に下部プレナム82が形成されている。そして、原子炉容器41と炉心槽46との間に入口ノズル44及び下部プレナム82に連通するダウンカマー部83が形成されている。従って、軽水は、入口ノズル44から原子炉容器本体42内に流入し、ダウンカマー部83を下向きに流れ落ちて下部プレナム82に至り、この下部プレナム82の球面状の内面により上向きに案内されて上昇し、下部炉心板48を通過した後、炉心53に流入する。この炉心53に流入した軽水は、炉心53を構成する燃料集合体54から発生する熱エネルギを吸収することで、この燃料集合体54を冷却する一方、高温となって上部炉心板47を通過して上部プレナム81まで上昇し、出口ノズル45を通って排出される。
次に、図2及び図3を用いて、炉心槽の形状について説明する。図2は、炉心槽を示す断面図である。図3は、溶接部を含む領域を示す模式図である。なお、図3は、図2のA−A線断面図である。図2に示すように炉心槽46は、第1部材91と、第2部材92と、第3部材93と、第4部材94と、第5部材95と、を有する。第1部材91と、第2部材92と、第3部材93と、第4部材94と、第5部材95と、は、いずれも円筒状の部材であり、円筒の軸方向の一方から他方に向けてこの順で配置されている。軸方向の端部に配置されている第1部材91と、第5部材95とは、第2部材92、第3部材93及び第4部材94よりも軸方向の長さが短い。また、炉心槽46は、第3部材93と第4部材94とで覆われた領域が燃料を配置する領域99となる。
炉心槽46は、第1部材91と第2部材92とが溶接部101で連結され、第2部材92と第3部材93とが溶接部102で連結され、第3部材93と第4部材94とが溶接部103で連結され、第4部材94と第5部材95とが溶接部104で連結されている。なお、溶接部101、102、103、104は、電子ビーム溶接で各部を連結している。
また、第2部材92、第3部材93、第4部材94とは、1枚の板状部材を丸めて円筒形状としている。これにより、第2部材92は、板状部材の端部と端部とが溶接部110で連結されている。第3部材93は、板状部材の端部と端部とが溶接部112で連結されている。第4部材94は、板状部材の端部と端部とが溶接部114で連結されている。溶接部110、112、114は、電子ビーム溶接で各部を連結している。また、本実施形態では、第2部材92、第3部材93、第4部材94とは、1枚の板状部材を丸めて円筒形状としているが、複数の板状部材を丸めて円周方向に繋げることで円筒形状を形成してもよい。この場合、板状部材の枚数に応じて、板状部材と板状部材とを連結する溶接部の数が増加する。
次に、溶接部112を代表として、溶接部の形状について説明する。炉心槽46に含まれる溶接部101、102、103、104、110、114も同様の形状である。溶接部101、102、103、104、110、112、114は、線上に形成されており、溶接線ともいえる。溶接部112は、図3に示すように、溶接本体112aと、化粧盛部112b、112cと、を含む。溶接本体112aは、折り曲げられて円筒形状になっている第3部材93の円周方向の端部と端部とを連結している。第3部材93は、溶接本体112aで円周方向(矢印120で示す方向)の端部が溶接されることで、円筒形状となる。溶接本体112aは、第3部材93の円周方向の端部の全面と接しており、径方向(矢印122で示す方向)に延在して配置されている。点線124は、円周方向における溶接部112の中心である。点線124の伸びる方向(第3部材93の内周面と外周面とを結んだ方向)が溶接部112の板幅方向となる。溶接本体112は、電子ビーム溶接で1回の溶接パスで形成される。溶接本体112aの円周方向の長さが溶融幅Wとなる。溶融幅Wは、溶接本体112aの径方向外側から全長の10%以上90%以下に含まれる任意の位置で計測する。溶融幅Wは、2mm以上10mm以下とすることが好ましい。本実施形態の溶融幅Wは、3mm程度となる。化粧盛112bは、溶接本体112aの径方向外側の端部に形成されている。化粧盛112bは、溶接本体112aの径方向外側の端部を塞いでいる。化粧盛112cは、溶接本体112aの径方向内側の端部に形成されている。化粧盛112cは、溶接本体112aの径方向内側の端部を塞いでいる。このように溶接部112は、化粧盛112b、112cを設けているが、溶接本体112aで第3部材93の円周方向の端部と端部を連結しており、実質的に1パスで対象の領域を溶接している。このように、溶接部112は、電子ビーム溶接で実質的に1パスで溶接される。
次に、図4を用いて、電子ビームで溶接された部材、本実施形態では、炉心槽を解析する解析システムについて、説明する。図4は、解析システムの概略構成を示すブロック図である。図4に示すように、解析システム10は、解析処理を行う解析ユニット12と、解析に用いるデータを取得する実験ユニット14と、を有する。
解析ユニット12は、いわゆるパーソナルコンピュータ等の演算を行う処理装置であり、制御部20と、操作部22と、表示部24と、記憶部26と、を有する。制御部20は、CPU等、演算処理を行い、各種制御を実行する装置である。制御部20は、記憶部26に記憶されているプログラムを読み出し実行することで、各種制御を実現する。
操作部22は、キーボード、マウス、タッチパネル等、解析ユニット12を使用するオペレータが操作を入力する入力デバイスである。なお、解析ユニット12は、オペレータが操作を入力する操作部22に加え、種々のデバイスを入力部として用いることができる。画像を読み取りデータとして取得するスキャナや、データを読み取るドライバ、他の通信機器と通信を行い、データを取得する通信部も入力部とすることができる。解析ユニット12は、入力部によって解析に必要な各種データを取得する。
表示部24は、液晶ディスプレイ等の画像を表示する装置である。表示部24は、制御部20から供給される画像データに基づいて、各種画像を表示させる。表示部24は、解析を行うための実験条件を入力する画面を表示させたり、解析対象の部材の設計図、解析モデルを表示させたり、解析結果を表示させたりする。
記憶部26は、解析プログラム26aと、実験データ26bと、計測データ26cと、簡易基準データ26dと、を有する。解析プログラム26aは、電子ビームで溶接された溶接部を含む部材(電子ビーム溶接構造物)の残留応力を解析する演算処理を実現するプログラムである。解析プログラム26aは、さらに、電子ビームで溶接された溶接部を含む部材に作用する各種応力を解析し、電子ビームで溶接された溶接部を含む部材の性能、耐久性等を評価する演算処理を実現するプログラムでもある。解析プログラム26aは、制御部22に読み込まれ、処理されることで各種解析機能を実現させる。
実験データ26bは、実験ユニット14で実験し、取得したデータを記憶する。実験ユニット14で実験し、取得したデータは、電子ビームで溶接された溶接部を含む部材の少なくとも一部を抽出した溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係を計測した結果のデータである。溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係のデータは、溶接部(溶接線)112の板幅方向に直交する方向、本実施形態では図3の矢印120の方向である周方向の各位置における位置と残留応力との関係と、溶接部(溶接線)112の板幅方向に平行な方向、本実施形態では図3の矢印122の方向である径方向の各位置における位置と残留応力との関係と、を含むことが好ましい。溶接部112の板幅方向に平行な方向の各位置における位置と残留応力との関係としては、少なくとも溶接部112の表面、つまり径方向内側の端部と外側内側の端部と残留応力との関係を含むことが好ましく、さらに溶接部112の径方向の内部の位置と残留応力との関係を含むことがさらに好ましい。溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係のデータは、位置と残留応力との関係を含んでいればよいが、溶接時の各種条件も含まれる。さらに溶接時、溶接後に計測した各種計測結果も含んでもよい。
計測データ26cは、実験ユニット14での実験以外で取得した溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係のデータである。計測データ26cは、操作部22を含む各種入力部から入力された溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係を複数記憶している。計測データ26cは、例えば文献に記載されている溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係を記憶している。
簡易基準データ26dは、材料の降伏応力を基準として位置と残留応力との関係を設定したデータである。具体的には、簡易基準データ26dは、材料の降伏応力を残留応力の上限値として位置と残留応力との関係を設定する。簡易基準データ26dは、例えば、溶接部の板幅方向に平行な方向の位置と残留応力との関係としては、降伏応力を残留応力に設定されている。簡易基準データ26dは、溶接部の板幅方向に垂直な方向の位置と残留応力との関係としては、溶接部の中心を含む一定の範囲で降伏応力を残留応力に設定し、溶接部の中心を含む一定の範囲から離れるにしたがって残留応力が線形で減少する関係に設定されている。簡易基準データ26dは、データを式として記憶していても、位置と残留応力との関係のマップとして記憶していてもよい。簡易基準データ26dは、制御部20で読み出され、解析対象の領域の物性、形状や、溶接の条件等に基づいて、式が補正されたり、マップの内容が調整されたりする。
実験ユニット14は、溶接装置30と、応力計測装置32と、を有する。実験ユニット14は、解析対象の部材のモックアップを作成し、作成したモックアップの残留応力を計測することで、解析対象の部材に用いる位置と残留応力との関係を取得する。溶接装置30は、電子ビーム溶接を施す装置である。溶接装置30は、部材と部材とを電子ビーム溶接で溶接することで、モックアップを作成する。応力計測装置32は、残留応力を計測する計測装置である。応力計測装置32は、ひずみゲージ等で応力を計測する。また、応力計測装置32は、モックアップを一部切断して計測を行うことで、板厚内部、表面と表面との間の点における応力を計測する。解析システム10は、以上のような構成である。
次に、図5から図11を用いて、解析システム10の制御動作、つまり本実施形態の応力分布推定方法及び解析方法について説明する。図5は、解析システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。図6は、解析システムの制御動作の一例を示すフローチャートである。図7は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。図8は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。図9は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。図10は、解析対象の位置と残留応力との関係の一例を示す説明図である。図11は、応力と照射量との関係の一例を示す説明図である。
まず、図5を用いて、解析システム10の制御動作の一例について説明する。ここで、図5の制御動作は、解析ユニット12の制御部20で解析プログラム26aを実行し、各部を動作させることで実現することができる。以下、簡略のため各処理を解析ユニット12で実行するとして説明する。
解析ユニット12は、ステップS12として、解析モデルを作成する。ここで、解析モデルは、解析する対象をモデル化した三次元もしくは二次元モデルである。解析する対象は、電子ビームで溶接された溶接部を含む部材であり、本実施形態では、炉心槽である。解析モデルは、例えば、溶接部を含む部材を有限要素法等で複数の要素に分割して作成する。解析ユニット12は、図面データ等で取得した形状データを操作部22に入力される操作に基づいて分割することで、解析モデルを作成してもよいし、解析モデルのデータを他の装置から取得することで解析モデルを作成してもよい。
解析ユニット12は、ステップS12で解析モデルを作成したら、ステップS14として、溶接部を含む領域を抽出する。つまり、解析ユニット12は、解析モデルから溶接部を含む一部の領域を抽出する。解析ユニット12は、ステップS14で一部の領域を抽出したら、ステップS16として、抽出した領域に対して、溶接残留応力解析を実行する。
ここで、図6を用いて、溶接残留応力解析について説明する。解析ユニット12は、ステップS30として計測データがあるかを判定する。具体的には、解析ユニット12は、溶接部を含む領域の計測データとして使用できるデータがあるかを判定する。本実施形態の解析ユニット12は、実験データ26bに記憶されているデータと溶接部を含む領域の各種条件とを比較し、一致する実験データがある場合、当該実験データを抽出計測データとして用いる。また、解析ユニット12は、実験データ26bに対応するデータがないと判定した場合、計測データ26cに記憶されているデータと溶接部を含む領域の各種条件とを比較し、一致する実験データがある場合、当該計測データを抽出して計測データとして用いる。つまり、解析ユニット12は、実験データ26bを計測データ26cよりも優先して抽出する。また、解析ユニット12は、実験データ26b、計測データ26cに記憶されているデータの条件と溶接部を含む領域の各種条件とが完全に一致しない場合でも差が許容範囲である場合、当該データを抽出すればよい。抽出したデータは、条件の差に対応してデータを補正してもよい。また、解析ユニット12は、データを抽出する場合、実験データ26bの条件の差の許容範囲を、計測データ26cの条件の差の許容範囲よりも狭くすることが好ましい。
解析ユニット12は、ステップS30で計測データあり(ステップS30でYes)と判定した場合、ステップS38に進む。解析ユニット12は、ステップS30で計測データなし(ステップS30でNo)と判定した場合、ステップS32として実験が可能であるかを判定する。具体的には、抽出した溶接部を含む領域に対応する溶接された部材の実験が実験ユニット14で可能であるかを判定する。なお、解析ユニット12は、技術的に実験ができるかに加え、費用、期間等も加味して実験可能であるかを判定する。判定の条件については、操作部22等から入力された情報や、実験ユニット14に設定されている情報に基づいて判定すればよい。なお、実験可能か否かの情報を操作部22で検出した入力に基づいて判定してもよい。解析ユニット12は、ステップS32で実験可能である(ステップS32でYes)と判定した場合、ステップS36に進み、ステップS32で実験可能ではない(ステップS32でNo)と判定した場合、ステップS48に進む。
解析ユニット12は、ステップS32でYesと判定した場合、ステップS36として、モックアップを用いた実験データを取得する。つまり、解析システム10は、実験ユニット14を用いて、実験可能と判定した条件に基づいてモックアップを作成し、作成したモックアップを計測した実験データを作成する。解析ユニット12は、実験ユニット14で作成されたモックアップを用いた実験データを取得する。
解析ユニット12は、ステップS30でYesと判定した場合、またはステップS36の処理を行った場合、ステップS38として、残留応力計測データを取得する。残留応力計測データとは、溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係を示すデータである。解析ユニット12は、ステップS30でYesと判定した場合、抽出した計測データを残留応力計測データとして用いる。解析ユニット12は、ステップS36で実験データを取得した場合、取得したモックアップの実験データを処理して、溶接部を含む領域の位置と残留応力とのデータを抽出する。解析ユニット12は、残留応力解析データに溶接の条件データ、領域の物性データ及びその他の計測データの少なくとも1つを含めてもよい。
解析ユニット12は、ステップS38で残留応力計測データを取得したら、ステップS40として、各種条件を設定する。ここで、各種条件は、解析時に調整するパラメータである。つまり、解析ユニット12は、ステップS40として解析に必要なパラメータを設定し、当該パラメータに任意の値を設定する。パラメータとしては、溶接部及びその周囲の領域に関する種々のパラメータを設定することができる。具体的には、円周方向(溶接部の短手方向)や径方向(溶接部の板幅方向)の溶接部の温度分布、溶接幅等をパラメータとして設定することができる。
解析ユニット12は、ステップS40で各種条件を設定したら、ステップS42として設定した条件に基づいて残留応力解析を実行する。具体的には、解析ユニット12は、ステップS40で設定した各種条件に基づいて、溶接部を含む領域のシミュレーションを実行し、溶接部を含む領域の各位置の応力を算出する。
解析ユニット12は、ステップS42で残留応力解析を実行したら、ステップS44として、解析結果と計測データとの誤差が許容範囲内であるかを判定する。つまり、解析ユニット12は、ステップS42で取得した残留応力解析の結果とステップS38で取得した残留応力計測データとの比較を行って、比較結果として誤差(差)を抽出する。解析ユニット12は、抽出した誤差が予め設定した許容範囲に含まれるか否かを判定する。
解析ユニット12は、ステップS44で許容範囲に含まれない(ステップS44でNo)と判定した場合、ステップS40に戻り、ステップS40で各種条件を調整して、ステップS42で調整した条件で残留応力解析を行い、その解析結果を用いてステップS44の判定を行う。つまり解析ユニット12は、誤差が許容範囲に含まれると判定するまで、各種条件を調整して解析を繰り返す合わせ込み処理を行う。
解析ユニット12は、ステップS44で許容範囲に含まれる(ステップS44でYes)と判定した場合、ステップS46として、解析の条件と解析結果に基づいて残留応力分布を設定し、本処理を終了する。
図7及び図8を用いて、ステップS36からステップS46の処理について説明する。図7及び図8は、設定した位置と応力との関係の一例を示すグラフである。図7は、横軸を板表面の位置とし、縦軸を溶接線方向応力(残留応力)としている。板表面の位置とは、溶接部を含む領域の表面の溶接線(溶接部)に直交する方向の位置、本実施形態では径方向内側の面の周方向の位置である。また、板表面の位置は、溶接部の周方向の中心を原点としている。図8は、横軸を板厚内部の位置とし、縦軸を溶接線方向応力(残留応力)としている。板厚内部の位置とは、溶接部を含む領域の溶接部の板幅方向に平行な方向の位置、本実施形態では溶接部の径方向の位置である。また、板厚内部の位置は、溶接部の径方向内側の端部を原点とし、径方向外側に向かう向きを正の向きとしている。
解析ユニット12は、図7及び図8に示す解析A、解析B、解析Cに示すように、条件を変えて解析を繰り返し行い、それぞれの解析結果と計測データとの比較を行う。解析ユニット12は、各条件の解析結果と計測データとを比較し、計測データに近い、つまり差が許容範囲内の解析結果を取得したら、当該解析結果とその条件を、その後の解析に利用するデータとする。図7及び図8では、解析A、解析B、解析Cの中で、解析Aが計測データに対して最も近い結果であるので、解析Aの解析結果と条件をその後の解析に利用するデータとする。なお、図7及び図8は、一例であり、異なる条件の解析をより3回以上実行してもよい。また、解析ユニット12は、条件を変えて、一定回数以上解析を行い、許容範囲に含まれる解析が複数ある場合は、計測データに最も近い解析結果をその後の解析に用いるようにしてもよい。また、解析の結果と計測データとの比較の基準は、種々の基準を用いることができる。例えば、計測点毎に差を抽出し、その差の合計を比較してもよいし、近似線の形状を比較してもよい。また誤差が例えば100MPa以下になるように逆解析手法を行ってもよい。
次に、解析ユニット12は、ステップS32でNoと判定した場合、ステップS48として、簡易基準データに基づいて、残留応力分布を設定し、本処理を終了する。具体的には、解析ユニット12は、簡易基準データ26dに記憶されているデータに基づいて、溶接部を含む領域の位置と残留応力との関係を設定し、本処理を終了する。
図9及び図10を用いて、ステップS48の処理について説明する。図9及び図10は、設定した位置と応力との関係の一例を示すグラフである。図9は、横軸を板表面の位置とし、縦軸を溶接線方向応力(残留応力)としている。図10は、横軸を板厚内部の位置とし、縦軸を溶接線方向応力(残留応力)としている。
解析ユニット12は、図9及び図10に示すように、簡易基準データ26dに記憶されているデータに基づいて、降伏応力を上限として抽出した領域の位置に対して応力(残留応力)を設定する。具体的には、解析ユニット12は、図9に示すように、板表面方向つまり、周方向(溶接部の板幅方向に垂直な方向)の位置と残留応力との関係を、溶接部の中心を含む一定の範囲で降伏応力を残留応力に設定し、溶接部の中心を含む一定の範囲から離れるにしたがって残留応力が線形で減少する関係に設定している。本実施形態では、中心から20mmの手前までの範囲は、残留応力を降伏応力σとし、20mmから50mmまでの間で残留応力を線形的に減少させ、中心から50mmの地点で残留応力を0としている。また、解析ユニット12は、図10に示すように、板厚方向つまり、径方向(溶接部の板幅方向に平行な方向)の位置と残留応力との関係を、全ての位置で残留応力を降伏応力に設定されている。つまり、径方向の応力を降伏応力で一定としている。なお、図9及び図10の位置と残留応力との関係は一例であり、単純減少、一定とすることに限定されず、増減するようにしてもよい。
図5に戻り解析ユニットの制御動作について説明する。解析ユニット12は、ステップS16で抽出した部分に対して溶接残留応力解析を実行したら、ステップS18として、抽出した領域の結果(残留応力の解析結果)を用いて解析モデル全体に対して溶接残留応力解析を実行する。
解析ユニット12は、ステップS18で解析モデル全体に対して溶接残留応力解析を実行したら、ステップS20として、解析モデル全体に対して、機械荷重、熱応力解析を実行する。ここで、解析ユニット12は、溶接残留応力解析の結果に基づいて解析モデルの各種パラメータを調整し、パラメータを調整した解析モデルに対して機械荷重解析、熱応力解析を行う。なお、機械荷重解析や、熱応力解析は、構造物の解析で用いる各種解析方法を用いることができる。
解析ユニット12は、ステップS20で機械荷重解析と熱応力解析を実行したら、ステップS22として、解析モデル全体に対して照射下クリープ解析を実行する。解析ユニット12は、ステップS12からステップS20の処理で取得した溶接残留応力と機械荷重と熱応力とを加味して算出(推定)した残留応力に加え、中性子の照射効果である照射下クリープ特性と、弾塑性特性とを取得し、さらに、放射線解析を行い取得した中性子照射量を取得する。解析ユニット12は、取得した情報に基づいて、照射下クリープ解析を実行する。
図11は、算出した残留応力の履歴と照射量との関係の一例を示している。図11は、縦軸が応力であり、横軸が照射量である。なお、照射量は、積算値であるので、照射の履歴を管理することで、時間に置き換えることができる。解析ユニット12は、図5及び図6に示す処理を実行することで、図11に示す線分204を算出することができる。ここで、図11に示す線分202は、しきい値である。
図11に示すグラフでは、照射量tとなると応力履歴の線分204がしきい値の線分202を超える。解析ユニットは、応力履歴の線分204がしきい値の線分202を超える条件を満たすと、炉心槽が損傷している恐れがあると判定する。つまり、ハッチング206が表示される照射量t以上の照射量では、炉心槽が損傷している恐れがあると判定する。ここで、損傷とは、例えば、検査で発見できる亀裂が発生している場合をいう。解析ユニット12は、解析結果を出力したら、本処理を終了する。
解析システム10は、以上のように、解析を行うことで、電子ビームで溶接した溶接部を含む部材(電子ビーム溶接構造物)の残留応力評価の精度を向上させることができる。つまり溶接した溶接部を含む部材の残留応力を高い精度で推定することができる。これにより、電子ビームで溶接した溶接部を含む部材の解析をより高い精度で実行することができる。本実施形態では、炉内構造物の経年劣化の評価を高い精度で行うことができる。つまり、炉心槽の寿命や耐久性を高い精度で推定することができる。これにより、炉心槽で損傷が発生したまま運転することを抑制しつつ、炉心槽の実際の寿命に近い時期まで使用することが可能となる。これにより、装置に不要なメンテナンスや部品の交換を行うことを抑制することができる。
また、解析システム10は、溶接状態の残留応力分布を適切に把握することで、機械荷重、熱応力の負荷による応力、中性子照射によるクリープ応力解析結果の評価精度が向上し、寿命予測を最適化することができる。また、解析システム10は、残留応力を解析した結果を用いて、機械荷重、熱応力の負荷による応力の解析、中性子照射によるクリープ応力解析を行うことで、単純に応力を足し合わせるより高い精度で解析を行うことができる。
解析システム10は、実験データ26bのデータつまりモックアップを用いて実験を行った結果を計測データとして用いて、合わせ込み処理を行うことで、適切な条件を取得することができる。これにより解析の精度を高くすることができる。つまり、モックアップを用いた実験結果を用いることで、解析に必要な条件をもれなく取得することができるため、解析評価精度を高めることができる。
解析システム10は、計測データ26cのデータ、つまり既に計測されたデータを用いて、合わせ込み処理をおこなうことで、モックアップを用いた実験を行わなくても、適切な条件を取得することができる。また、計測されたデータを用いることで実験を行うよりも短い時間で解析を行うことができる。なお、解析システム10は、計測されたデータとして、板表面方向の応力分布を含んだデータでも解析可能であるが、板厚方向、つまり、溶接線の板幅方向の部材内部の応力分布を含むことが好ましい。板厚方向の応力分布を含むことでより高い精度で解析を行うことができる。
なお、解析システム10は、既に計測されたデータを用いる場合、位置と応力との関係のデータが少ないと、モックアップを用いて計測データを取得する場合よりも精度は低下する。
解析システム10は、簡易基準データ26dのデータ、つまり簡易的に応力の分布を定義したデータを用いて処理を行うことでも適切な条件を取得することができる。この場合応力分布の定義を簡略化できるため、演算処理が簡単となり、短時間で計算を行うことができる。
解析ユニット12は、パラメータに溶接部の温度分布を含むことが好ましい。電子ビーム溶接で形成された溶接部は、実質的に1パスで形成されるため、複数パスで溶接部を形成する他の方法に比べ、溶接部全体に温度分布が生じる場合が多い。解析ユニット12は、温度分布をパラメータとして用いることで、合わせ込み処理をより高い精度で実行することができ、より高い精度で解析を行うことができる。
解析ユニット12は、温度分布のパラメータとして、溶接部の板幅方向における温度分布を含むことが好ましい。つまり、溶接部の溶接中心線と平行な方向、本実施形態では、径方向に温度分布を設定することが好ましい。これにより電子ビーム溶接で溶接した溶接部をより高い精度で解析することができる。
解析ユニット12は、パラメータに溶接部の溶融幅、溶け込み幅を含むことが好ましい。電子ビーム溶接は、溶融幅の特定が困難であるが、パラメータとして用いて、合わせ込み処理を行うことで、より正確な溶融幅を推定することができ、電子ビーム溶接で溶接した溶接部をより高い精度で解析することができる。また、解析ユニット12は、溶融幅に負荷する温度分布、つまり溶接部の周囲の温度分布もパラメータとして用いることが好ましい。これにより、解析精度をより高くすることができる。なお、上述した温度分布は、特に限定されない。例えば、一定としてもよいし、増減する分布としてもよいし、溶接中心部から離れていくにしたがって温度が低下する分布としてもよい。
なお、上述した各実施形態では、上述した加圧水型炉(PWRの炉内構造物)に限定されず、上述したように電子ビームで溶接した種々の部材を解析することができる。
10 解析システム
12 解析ユニット
14 実験ユニット
20 制御部
22 操作部
24 表示部
26 記憶部
26a 解析プログラム
26b 実験データ
26c 計測データ
26d 簡易基準データ
30 溶接装置
32 応力計測装置
41 原子炉容器
46 炉心槽
53 炉心
54 燃料集合体
55 制御棒
57 制御棒クラスタ案内管
60 制御棒クラスタ駆動軸

Claims (12)

  1. 電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物の解析モデルを作成する作成ステップと、
    前記解析モデルから前記解析モデルの溶接部を含む領域を抽出する抽出ステップと、
    抽出した領域における位置と残留応力との関係を取得するデータ取得ステップと、
    前記抽出した領域に対するパラメータを設定するパラメータ設定ステップと、
    前記パラメータ設定ステップで設定したパラメータに基づいて前記抽出した領域の残留応力の解析を行う解析ステップと、
    解析ステップの結果とデータ取得ステップの結果とを比較し、比較結果が許容範囲に含まれないと判定した場合、前記パラメータ設定ステップでパラメータを変更させ、前記解析ステップの処理を実行させる合わせ込み処理ステップと、
    前記合わせ込み処理ステップで比較結果が許容範囲に含まれると判定した場合、当該判定結果を前記解析結果に展開し、前記解析モデルの残留応力分布を算出する算出ステップと、を有する応力分布推定方法。
  2. 前記データ取得ステップは、前記抽出した領域のモックアップの実験結果に基づいて算出して前記関係を取得する請求項1に記載の応力分布推定方法。
  3. 前記データ取得ステップは、予め記憶した複数のデータから前記抽出した領域に類似するデータを抽出し、抽出したデータに基づいて前記関係を取得する請求項1に記載の応力分布推定方法。
  4. 前記データ取得ステップは、降伏応力を上限として前記抽出した領域の位置に対して応力を設定することで、前記関係を取得する請求項1に記載の応力分布推定方法。
  5. 前記データ取得ステップは、予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがあると判定した場合、当該データを抽出し、抽出したデータに基づいて前記関係を取得し、
    前記予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがないと判定し、前記抽出した領域のモックアップの実験結果を取得可能と判定した場合、前記抽出した領域のモックアップの実験結果に基づいて算出して前記関係を取得し、
    前記予め記憶した複数のデータに前記抽出した領域に類似するデータがないと判定し、前記抽出した領域のモックアップの実験結果を取得不可能と判定した場合、降伏応力を上限として前記抽出した領域の位置に対して残留応力を設定することで、前記関係を取得する請求項1に記載の応力分布推定方法。
  6. 前記パラメータ設定ステップは、前記パラメータに前記溶接部の温度分布を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の応力分布推定方法。
  7. 前記溶接部の温度分布は、前記溶接部の板幅方向における温度分布を含む請求項6に記載の応力分布推定方法。
  8. 前記パラメータ設定ステップは、前記パラメータに前記溶接部の溶融幅を含む請求項1から7のいずれか一項に記載の応力分布推定方法。
  9. 前記データ取得ステップは、前記関係に前記溶接部の内部の残留応力を含む請求項1から8のいずれか一項に記載の応力分布推定方法。
  10. 請求項1から9のいずれか一項に記載の応力分布推定方法で前記解析モデルの残留応力分布を推定する残留応力解析ステップと、
    前記残留応力解析ステップで解析した結果を用いて、前記解析モデルの機械荷重及び熱応力を解析する機械荷重及び熱応力解析ステップと、
    前記機械荷重及び熱応力解析ステップで解析した結果を用いて、照射下クリープ解析を行うクリープ解析ステップと、を含む解析方法。
  11. 電子ビームで溶接された溶接部を含む構造物の解析モデルを作成し、前記解析モデルから前記解析モデルの溶接部を含む領域を抽出し、抽出した領域における位置と残留応力との関係を取得し、前記抽出した領域に対するパラメータを設定し、設定したパラメータに基づいて前記抽出した領域の残留応力の解析を行い、解析した結果と取得したデータとを比較し、比較結果が許容範囲に含まれないと判定した場合、パラメータを変更し、解析処理を再度実行させる合わせ込みを行い、前記合わせ込み処理で比較結果が許容範囲に含まれると判定した場合、当該判定結果を前記解析結果に展開し、前記解析モデルの残留応力分布を算出する解析ユニットと、
    前記抽出した領域に対応するモックアップを作成し、前記モックアップを計測することで、前記抽出した領域における位置と残留応力との関係を検出する実験ユニットと、を有する解析システム。
  12. 前記解析ユニットは、位置と残留応力との関係のデータが入力される入力部を有する請求項11に記載の解析システム。
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