JP2014062859A - 炉心溶融物保持装置 - Google Patents

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文代 佐々木
Kunihiko Wada
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Tsuneji Kameda
常治 亀田
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明 田中
Noriyuki Katagiri
紀行 片桐
Ryoichi Hamazaki
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Abstract

【課題】注水開始前の冷却水流路に対し十分な断熱性を有し、かつ炉心溶融物の熱を冷却水に速やかに放散することができ、安全性が高く、冷却性能に優れた炉心溶融物保持装置を提供する。
【解決手段】実施形態の炉心溶融物保持装置9は、冷却チャンネル14と、該冷却チャンネル14の上に配設された耐熱材16とを有する炉心溶融物保持装置9であって、耐熱材16が、第1の耐熱層17と、第1の耐熱層17の上に配設された第2の耐熱層18と、第1の耐熱層17と冷却チャンネル14との間に介設された第1の目地部19と、第2の耐熱層18と第1の耐熱層17との間に介設され、第1の目地部19より熱伝導性の低い第2の目地部20と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明の実施形態は、炉心溶融物保持装置に関する。
水冷却型原子炉では、原子炉圧力容器内への給水の停止や、原子炉圧力容器に接続された配管の破断により冷却水が喪失されると、原子炉水位が低下し、炉心が露出して冷却が不十分になる可能性がある。
このような場合を想定して、原子炉は水位低下の信号により自動的に非常停止される。また、非常用炉心冷却装置(ECCS)によって冷却材が原子炉圧力容器に注入される。これにより、炉心は冠水されて冷却され、炉心溶融事故を未然に防ぐようになっている。
しかし、極めて低い確率ではあるが、非常用炉心冷却装置が作動せず、かつ、その他の炉心への注水装置も利用できない事態も起こり得る。このような場合、原子炉水位の低下により炉心は露出し、十分な冷却が行われなくなる。炉心が十分に冷却されないと、原子炉停止後も発生し続ける崩壊熱によって燃料棒温度が上昇し、最終的には炉心溶融に至る可能性もある。
炉心溶融に至った場合、高温の炉心溶融物(コリウム)が原子炉圧力容器下部に溶け落ち、さらに原子炉圧力容器下鏡を溶融貫通して、格納容器内の床上に落下する。炉心溶融物は格納容器床に張られたコンクリートを加熱する。これにより、接触面が高温状態になるとコンクリートと反応し、二酸化炭素、水素等の非凝縮性ガスを大量に発生させるとともにコンクリートを溶融浸食する。
発生した非凝縮性ガスは格納容器内の圧力を高め、原子炉格納容器を破損させる可能性がある。また、コンクリートの溶融浸食により格納容器バウンダリを破損させたり、格納容器構造強度を低下させたりする可能性がある。結果的に、炉心溶融物とコンクリートの反応が継続すると格納容器破損に至り、格納容器内の放射性物質が外部環境へ放出させる恐れがある。
この炉心溶融物とコンクリートの反応を抑制するためには、炉心溶融物を冷却し、炉心溶融物底部のコンクリートとの接触面の温度を浸食温度以下(一般的なコンクリートで1500K以下)に冷却するか、炉心溶融物とコンクリートが直接接触しないようにする必要がある。
そこで、炉心溶融物が落下した場合に備えて、様々な対策が提案されている。代表的なものが炉心溶融物保持装置(コアキャッチャー)と呼ばれるものである。炉心溶融物保持装置は、落下した炉心溶融物を耐熱材で受け止めて保持するとともに、注水手段と組み合わされて炉心溶融物を冷却する。
炉心溶融物保持装置としては、従来、落下した炉心溶融物の上から注水して冷却することにより、炉心溶融物の温度を下げ、コンクリートの侵食抑制が図られてきた。
原子炉格納容器床に落下した炉心溶融物の上面に冷却水を注水しても、炉心溶融物の底部での除熱量が小さいと、崩壊熱によって炉心溶融物底部の温度が高温のまま維持され、格納容器床のコンクリート浸食を停止することができない可能性がある。そこで、炉心溶融物を底面から冷却するという方法も提案されている。
耐熱材の底面側に設けた冷却チャンネルに冷却水を注水して冷却する炉心溶融物保持装置では、耐熱材表面に高温の炉心溶融物が落下してから、ある程度の時間が経過した後、冷却水が注水されて冷却が開始される。このため、炉心溶融物を受け止める耐熱材としては、高温の炉心溶融物を所定の時間保持し得る、耐熱性、耐食性、耐衝撃性が求められている。
また、このような炉心溶融物保持装置では、耐熱材表面に炉心溶融物が落下してから、冷却水が注水されるまでの間に、炉心溶融物の熱が耐熱材の底面側に移行し、冷却チャンネルの温度が過度に高まることがある。例えば、注水開始前の段階で、冷却チャンネルの温度が100℃以上まで高まると、冷却水流路に注水された水が急速に気化し、水蒸気爆発が発生するおそれがある。
このため、耐熱材が保持する炉心溶融物の熱が、注水開始前の冷却チャンネル側に移行するのを抑制する必要があり、耐熱材としては、ある程度の断熱性を有することが求められる。
一方、冷却水が注水された後は、効率的に冷却を行う観点から、耐熱材の下面側に供給された冷却水に、耐熱材が保持する炉心溶融物の熱を速やかに移行させることが必要であり、ある程度の熱放散性も求められている。
このような課題に対し、圧力容器から落下した炉心溶融物を、異なる材質からなる二つの層を積層して形成したコア・キャッチャーで保持することが提案されている。
特許第3150451号
しかしながら、このような炉心溶融物保持装置において、注水開始前の冷却水流路に対し十分な断熱性を有し、かつ注水開始後は、炉心溶融物の熱を冷却水に速やかに放散し得るものは、未だ得られておらず、注水開始後に、冷却水の急速な気化が生じて安全性が保てない、又は炉心溶融物に対して十分な冷却効率を得られない等の問題が生じ易いものであった。
本発明が解決しようとする課題は、注水開始前の冷却水流路に対し十分な断熱性を有し、かつ炉心溶融物の熱を冷却水に速やかに放散することができ、安全性が高く、冷却性能に優れた炉心溶融物保持装置を提供することである。
実施形態の炉心溶融物保持装置は、冷却チャンネルと、該冷却チャンネルの上に配設された耐熱材とを有し、格納容器内の原子炉圧力容器下方に配設される炉心溶融物保持装置であって、前記耐熱材が、金属酸化物又は金属を主体とする第1の耐熱層と、前記第1の耐熱層の上に配設され、金属酸化物又は金属を主体とする材料からなる第2の耐熱層と、前記第1の耐熱層と前記冷却チャンネルとの間に介設された第1の目地部と、前記第2の耐熱層と前記第1の耐熱層との間に介設され、前記第1の目地部より熱伝導性の低い第2の目地部と、を有する。
実施形態に係る原子炉格納容器の断面図である。 実施形態における、ペデスタル床31近傍の拡大断面図である。 耐熱材16の拡大断面図である。 耐熱材16の拡大断面図である。 実施形態の炉心溶融物保持装置に用いる耐熱材の評価結果を示す図である。 実施形態の炉心溶融物保持装置に用いる耐熱材の評価結果を示す図である。 実施形態の炉心溶融物保持装置に用いる耐熱材の評価結果を示す図である。
本発明に係る炉心溶融物保持装置の実施の形態を、図面を参照して説明する。
なお、図2以下の図において、図1と対応する構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
図1は、実施形態に係る原子炉格納容器の断面図である。
原子炉格納容器1の下部ドライウェル2には、下部に位置するペデスタル床31およびその周りを取り囲む円筒面状のペデスタル側壁32によって、ペデスタル3が形成されている。炉心4を内蔵する原子炉圧力容器5は、ペデスタル側壁32によって支持されている。
また、原子炉格納容器1の下部には、ペデスタル側壁32を取り囲むようにサプレッションプール6が形成されている。サプレッションプール6には、プール水6aが貯えられている。
ペデスタル床31の上には、事故時に原子炉圧力容器下部ヘッド7から放出される炉心溶融物(コリウム)8を保持する炉心溶融物保持装置9が配設されている。炉心溶融物保持装置9と原子炉圧力容器5との間には、サンプ床21が設けられている。
原子炉格納容器1の上には、格納容器冷却器12が配設されている。格納容器冷却器12は、たとえば、原子炉格納容器1の蒸気を導いて水中に沈めた熱交換機121で凝縮させ、格納容器冷却器12の下方に位置する水槽11に凝縮水を戻すものである。
図2は、実施形態における、ペデスタル床31近傍の拡大断面図である。なお、図2には、冷却水の流れを模式的に実線の矢印で示した。また、炉心溶融物8が炉心溶融物保持装置9の上に落下した場合の堆積状況も併せて示した。
炉心溶融物保持装置9は、下部ドライウェル2の内部でペデスタル床31の上に設置されている。炉心溶融物保持装置9は、給水容器13、冷却チャンネル14を有している。
給水容器13は、中空の円盤状に形成されており、ペデスタル床31の上面に配置されている。給水容器13には、注水配管10が接続されている。注水配管10は、注入弁101を介して、水槽11に接続されている。
冷却チャンネル14は、給水容器13からペデスタル側壁32に向かって傾きを持って上昇し、ペデスタル側壁32の近傍で鉛直に立ち上がるように形成された、ステンレス鋼などの金属製の上蓋141を有している。
冷却チャンネル14の内部には、上蓋141の底面を上面とする冷却水流路15が形成されており、その上端は、上部出口部15aにおいて開口している。
冷却チャンネル14は、給水容器13の周りに放射状に延びる管状体(不図示)を隙間なく配置したものである。冷却チャンネル14の内部に形成された複数の冷却水流路15は、給水容器13につながる下部入口部15bから外周に向かって周方向に広がり、上部出口部15aにつながっている。
また、炉心溶融物保持装置9は、冷却水流路15に冷却水を供給する給水配管151を有している。給水配管151は、サプレッションプール6と、冷却チャンネル14に隣接して配設された給水配管22の開口22aとの間に延びており、ペデスタル側壁32内に、所定の間隔毎に複数個配設されている。給水配管151の途中には、たとえばコリウム落下時の温度上昇を検知して作動する溶融弁152が設けられている。
冷却チャンネル14の上蓋141の上面には、その前面を覆うように、耐熱材16が配設されている。
図3は、耐熱材16の拡大断面図である。
耐熱材16は、冷却チャンネル14を炉心溶融物の熱から保護し、冷却チャンネル14壁面の破損を抑制するものであり、冷却チャンネル14の上蓋141の上に配設された第1の耐熱層17と、第1の耐熱層17の上に配設された第2の耐熱層18と、を有している。
第1の耐熱層17、及び第2の耐熱層18は、それぞれ、ほぼ直方体状の耐火材17A、18Aを、横方向に敷設して形成されている。耐火材17A、18Aとしては、金属を主体としたものであってもよく、金属酸化物等の無機酸化物を主体としたものであってもよい。
第1の耐熱層17と上蓋141との間には、第1の目地部19が介設されている。
第1の目地部19は、例えば、金属又は金属酸化物を主体とする耐火物粉体を含むペースト状の第1の目地材を、加熱するか又は常温で放置することにより硬化させて形成することができる。このような第1の目地部19を設けることで、第1の耐熱層17の底面17Sは、この底面17Sと隣接する面(図3では上蓋141の上面)に固着される。
また、第1の耐熱層17と第2の耐熱層18との間には、第1の目地部19より熱伝導性の低い第2の目地部20が介設されている。
第2の目地部20は、第1の目地部19と同様に、例えば、金属又は金属酸化物を主体とする耐火物粉体を含むペースト状の第2の目地材を、加熱するか又は常温で放置することにより硬化させて形成することができる。
このような第2の目地部20を設けることで、第2の耐熱層18の底面18Sは、この底面18Sと隣接する面(図3では、第1の耐熱層17の上面)に固着される。
このように、第1の耐熱層17の底面17S、第2の耐熱層18の底面18Sと、これらの面と隣接する面との間に、第1の目地部19、第2の目地部20を介設することで、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18が固着保持されるため、耐熱材16全体の形状安定性を向上させることができる。また、第1の耐熱層17から冷却チャンネル14間の熱伝導性が高められ、熱放散性を高めることができる。
なお、本実施形態では、第1の目地部19、第2の目地部20を、それぞれ第1の耐熱層17の底面17S、第2の耐熱層18の底面18S全体に設ける構成としたが、本発明の炉心溶融物保持装置9は、必ずしもこのような構成に限定されず、第1の目地部19を第1の耐熱層17の底面17Sの一部に形成した構成としてもよく、また第2の目地部20を第2の耐熱層18の底面18Sの一部に形成した構成としてもよい。
また、本実施形態では、第1の目地部19、第2の目地部20は、それぞれ単層とした場合を例に説明したが、第1の目地部19、第2の目地部20は、それぞれ二層以上の層で形成したものであってもよい。
第1の目地部19、第2の目地部20を、それぞれ複数の層で形成する場合、それぞれの層は、同一の材質からなるものとしてもよく、異なる材質からなるものとしてもよい。
炉心溶融事故が発生し、炉心溶融物8が原子炉圧力容器下部ヘッド7を貫通して下部ドライウェル2へ落下すると、炉心溶融物8はサンプ床21に落下した後、炉心溶融物保持装置9の耐熱材16に受け止められる。炉心溶融物8が落下すると、炉心溶融物8の熱で雰囲気温度が上昇し、溶融弁152が開くと、サプレッションプール6の冷却水が給水配管151から開口22aを通って炉心溶融物保持装置9内に供給され、下部入口部15bから各冷却水流路15に冷却水が分配される。
耐熱材16表面に炉心溶融物8が落下してから、冷却水流路15に冷却水が注水されるまでの間には、ある程度の時間を要するが、本実施形態の炉心溶融物保持装置9では、上述したように、より熱伝導性の低い第2の目地部20を、上層側に有する耐熱材16を配設することで、炉心溶融物8が耐熱材16上面に落下してから、冷却水流路15に冷却水が注水されるまでの間の、炉心溶融物8の熱の移行を抑制することができ、注水開始前の冷却チャンネル14に対し、優れた断熱性能を得ることができる。
冷却水流路15に冷却水が注水された後は、高温の炉心溶融物8の熱は耐熱材16に伝わり、さらに冷却チャンネル14の壁面を介して冷却水に伝えられる。炉心溶融物8の熱が伝達されることにより、冷却水流路15を流れる冷却水は、いずれ沸騰するようになる。
本実施形態の炉心溶融物保持装置9は、上述したように、より熱伝導性の高い第1の目地部19を下層側に有する耐熱材16を配設することで、冷却水の注水開始後において、耐熱材16に保持された炉心溶融物8の熱を、冷却水側に速やかに移行させることができ、炉心溶融物8を効率的に冷却することができる。
下部入口部15bから冷却チャンネル14に入った冷却水は、冷却水流路15を通って上昇し、外周に位置する上部出口部15aから溢れ出る。上部出口部15aから溢れ出た冷却水の大部分は、炉心溶融物保持装置9の円錐形の部分に流れ込む。冷却チャンネル14を出た冷却水は、耐熱材16の上に溢水し、炉心溶融物8の上に水プールを形成する。この水プールを形成した冷却水は、炉心溶融物8の表面で沸騰し、炉心溶融物8を冷却する。
このように、冷却チャンネル14内部の冷却水流路15での沸騰と、炉心溶融物8の表面の沸騰の両方によって、炉心溶融物8は冷却される。
第1の目地部19と第2の目地部20とを、その熱伝導性が上記の関係を有するものとすることで、耐熱材16において、冷却水の注水開始前における断熱性能に優れるとともに、冷却水の注水開始後における冷却性能に優れたものとすることができる。
第1の目地部19の熱伝導性と第2の目地部20との熱伝導性とを、ほぼ同等のものとした場合、耐熱材16において、冷却水の注水開始前における断熱性能に劣るか、又は冷却水の注水開始後における冷却性能を十分に得られないおそれがある。
第1の目地部19としては、第2の目地部20より熱伝導性が大きく、かつその熱伝導率が1W/mK以上であることが好ましく、5W/mK以上であることがより好ましい。第1の目地部19の熱伝導率を1W/mK以上とすることで、冷却水の注水開始後において、優れた冷却性能を得ることができる。
第2の目地部20としては、第1の目地部19より熱伝導性が小さく、かつその熱伝導率が5W/mK未満であることが好ましく、3W/mK以下であることが好ましい。
第2の目地部20の熱伝導率を5W/mK未満とすることで、冷却水の注水開始前において、優れた断熱性能を得ることができる。
第1の耐熱層17、第2の耐熱層18を構成する耐火材17A、18Aの側面間の領域170、180には、例えば、第1の目地材や第2の目地材と同様の、ペースト状の目地材を充填し、その硬化体を形成することが好ましい。
耐火材17A、18Aの側面間の領域170、180に、目地材を充填することで、例えば、第1の耐熱層17として、各耐火材17A間の隙間からの溶融炉心物8の侵入を抑制することができ、耐熱材16全体として、耐熱性、耐食性に優れたものとすることができる。
なお、耐火材17Aの側面間の領域170に充填する目地材としては、第1の目地材と同じ目地材を用いてもよく、第1の目地材とは異なる目地材を用いてもよい。また、耐火材18Aの側面間の領域180に充填する目地材としては、第2の目地材と同じ目地材を用いてもよく、第2の目地材とは異なる目地材を用いてもよい。
第1の目地部19及び領域170間、並びに第2の目地部20及び領域180間の熱的特性差を低減し、耐熱材16としての施工性を高める観点から、領域170に充填する目地材としては、第1の目地材と同じ目地材を用いることが好ましく、領域180に充填する目地材としては、第2の目地材と同じ目地材を用いることが好ましい。
第2の目地材からなる第2の目地部20は、第1の目地部19より熱伝導性が低いものであれば、特に限定されず、金属を主体とするものであってもよく、金属酸化物などの無機酸化物を主体とするものであってもよい。
第2の目地部20は、耐熱材16全体に対してより上層側に位置し、炉心溶融物と接する可能性もあることから、高融点、具体的には、2000℃以上の融点を有する高融点材料を主たる材料とし、耐熱性、耐食性に優れたものであることが好ましい。
第2の目地部20を形成する第2の目地材としては、酸化物系セラミックスを主体とするものであることが好ましく、具体的には、例えば、ジルコニア又はハフニアを主体とするものであることが好ましい。また、第2の目地材としては、上述したもののほかに、アルミナや、高融点材料として一般に用いられている、マグネシアやカルシアを主体とするものを用いることも可能である。
第2の目地材20を形成する第2の目地材としては、例えば、ジルコニア、ハフニア等のセラミックス粒子からなる耐火物粉体(耐火セメント)を主成分とする耐火モルタルを用いることができ、例えば、このような耐火物粉体に、燐酸ボンドやケイ酸ボンドなどのバインダーを適宜配合し、必要に応じて水を添加して施工に適した粘性に調整したものを用いることができる。なお、このような耐火モルタルの粘性は、バインダーの種類や添加量により、適宜調整することができる。
耐火モルタルとしては、加熱処理して硬化させる熱硬性耐火モルタルを用いてもよく、常温で放置して硬化させる気硬性モルタルを用いてもよいが、耐食性の観点から、ジルコニア等を高純度で含むものを用いることが好ましい。
第1の目地材からなる第1の目地部19としては、第2の目地部20より熱伝導性が高いものであれば、特に限定されず、金属を主体とするものであってもよく、金属酸化物などの無機酸化物を主体とするものであってもよい。第1の目地部19を形成する第1の目地材としては、アルミナ等の酸化物系セラミックス又はステンレスから選ばれる少なくとも一つを主体とするものであることが好ましい。
これらの中でも、アルミナは、熱伝導性が高く、比較的安価であり、また、融点が2020℃と高いことから、第1の目地材として好適に用いられる。
第1の目地部19を形成する第1の目地材としては、例えば、アルミナ等のセラミックス粒子からなる耐火物粉体(耐火セメント)を主成分とする耐火モルタルを用いることができ、例えば、このような耐火物粉体に、燐酸ボンドやケイ酸ボンドなどのバインダーを適宜配合し、必要に応じて水を添加して施工に適した粘性に調整したものを用いることができる。なお、このような耐火モルタルの粘性は、バインダーの種類や添加量により、適宜調整することができる。耐火モルタルとしては、加熱処理して硬化させる熱硬性耐火モルタルを用いてもよく、常温で放置して硬化させる気硬性モルタルを用いてもよいが、高い熱伝導率を保持する観点から、例えば、アルミナを高純度で含むものを用いることが好ましい。
第1の目地部19は、図4に示すように、その気孔率が、第2の目地部20の気孔率より小さいものとすることが好ましい。
このようなものとすることで、例えば、第1の目地材の主成分を、第2の目地材の主成分と同様の成分とした場合でも、第1の目地部19において、第2の目地部20より高い熱伝導性を得られ易く、注水開始後において、炉心溶融物の熱を冷却水に迅速に放散させることができ、高い冷却性能を得ることができる。
第1の目地部19の気孔率は、50%未満であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。第1の目地部19の気孔率を50%未満とすることで、第1の目地部19において十分な熱伝導性を得ることができ、冷却水側への熱の移行が促進され、優れた冷却効率を得ることができる。
第2の目地部20の気孔率は、20%より大きく70%以下であることが好ましい。
第2の目地部20の気孔率を20%より大とすることで、炉心溶融物の熱による熱膨張が生じても、第2の目地部20での内部応力を緩和でき、亀裂等の発生を抑制することができる。また、第2の目地部20の気孔率を20%より大とすることで、第2の目地部20において、適度な熱伝導性を得られ易く、注水開始前の冷却チャンネル14に対し、優れた断熱性能を得ることができる。また、第2の目地部20の気孔率を70%以下とすることで、第2の目地部20において十分な形状安定性を得ることができる。
なお、気孔率は、水銀ポロシメータ(水銀圧入法)によって測定した。
本実施形態では、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18は、それぞれ単層とした場合を例に説明したが、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18は、それぞれ二層以上の層で形成したものであってもよい。
第1の耐熱層17、第2の耐熱層18を、それぞれ複数の層で形成する場合、それぞれの層は、同一の材質からなるものとしてもよく、異なる材質からなるものとしてもよい。
第2の耐熱層18としては、上述したように、金属を主体としたものであってもよく、金属酸化物等の無機酸化物を主体としたものであってもよいが、耐熱材16が保持する炉心溶融物8に対する耐熱性、耐食性が求められることから、高融点、具体的には、例えば2000℃以上の融点を有する高融点材料を主体としたものが好適に用いられる。
また、炉心溶融物8が耐熱材16上面に落下してから、冷却水流路15に冷却水が注水されるまでの間の、炉心溶融物8の熱の移行を抑制し、注水開始前の冷却チャンネル14に対する断熱性能を高める観点から、第2の耐熱層18としては、第1の耐熱層17より熱伝導性が低いものであることが好ましい。
第2の耐熱層18としては、酸化物系セラミックスを主体とするものであることが好ましく、具体的には、例えば、ジルコニア又はハフニアを主体とするものであることが好ましい。
また、第2の耐熱層18としては、上述したもののほかに、高融点材料として一般に用いられている、マグネシアやカルシアを用いることも可能であるが、これらは水和性もしくは潮解性を有することから、第2の耐熱層18としては、ジルコニア又はハフニアを主体とするものが好適である。
第2の耐熱層18としては、ジルコニア又はハフニアを主体とする層を少なくとも一層有していれば、他の高融点材料、例えば、2000℃以上の融点を有する他の材料を主体とする層を含んでいてもよい。
第1の耐熱層17としては、上述したように、金属を主体としたものであってもよく、金属酸化物等の無機酸化物を主体としたものであってもよいが、冷却水の注水開始後において、耐熱材16に保持された炉心溶融物8の熱の、冷却水側への移行を促進し、冷却効率をより高める観点から、第1の耐熱層17としては、第2の耐熱層18より熱伝導性が高いものが好ましい。
第1の耐熱層17としては、アルミナ等の酸化物系セラミックス又はステンレスから選ばれる少なくとも一つを主体とするものであることが好ましい。中でも、アルミナは熱伝導率が高く高融点であり、高い信頼性を得られることから、第1の耐熱層17として好適に用いられる。
また、第1の耐熱層17としては、より高い熱伝導性を得る観点から、気孔率が小さく、高純度のものを用いることが好ましい。
第1の耐熱層17としては、アルミナを主体とする層を少なくとも一層有していれば、他の高融点材料、例えば、2000℃以上の融点を有する他の材料を主体とする層を含んでいてもよい。この場合、熱伝導性の高いアルミナを主体とする層が、より下層側(冷却チャンネルに近い側)に位置することが好ましい。
なお、第1の耐熱層17としては、第2の耐熱層18の構成材料より融点の低い材料で構成されていてもよい。
第1の耐熱層17としては、第2の耐熱層18より熱伝導性が大きく、かつその熱伝導率が5W/mKより大であることが好ましい。第1の耐熱層17の熱伝導率を5W/mKより大とすることで、冷却水の注水開始後において、優れた冷却性能を得ることができる。
第2の耐熱層18としては、第1の耐熱層17より熱伝導性が小さく、かつその熱伝導率が、10W/mK未満であることが好ましい。第2の耐熱層18の熱伝導率を10W/mK未満とすることで、冷却水の注水開始前において、優れた断熱性能を得ることができる。
第1の耐熱層17、第2の耐熱層18を構成する耐火材17A、18Aの側面間の領域170、180に、目地材を充填して硬化体を形成している場合、図4に示すように、領域180に充填される目地材の硬化体の気孔率を、領域170に充填される目地材の硬化体の気孔率より大きくすることが好ましい。
このようなものとすることで、炉心溶融物の熱により、第2の耐熱層18が熱膨張した場合でも、領域180に形成された硬化体内部の気孔40が圧潰されることで、熱膨張により生じた応力の一部が緩和され、第2の耐熱層18での亀裂等の発生を抑制することができる。
第1の耐熱層17と第1の目地部19とは、同一の主成分からなるものとしてもよく、互いに異なる主成分からなるものとしてもよいが、両者を同一の主成分からなるものとすることで、第1の目地部19に加え、第1の耐熱層17でも優れた熱伝導性を得ることができ、耐熱材16として、冷却水注水開始後における、優れた冷却性能を得ることができる。また、第1の耐熱層17と第1の目地部19とを、同一の主成分からなるものとすることで、両者の熱膨張率を、ほぼ同等のものとすることができ、炉心溶融物保持装置9全体の構造設計上の観点からも好ましい。
第2の耐熱層18と第2の目地部20に関しても同様に、両者は、同一の主成分からなるものとしてもよく、互いに異なる主成分からなるものとしてもよいが、同一の主成分からなるものとすることで、第2の目地部20に加え、第2の耐熱層18でも、炉心溶融物の熱の移行を抑制することができ、耐熱材16として、冷却水の注水開始前における優れた断熱性能を得ることができる。また、第2の耐熱層18と第2の目地部20とを、同一の主成分からなるものとすることで、両者の熱膨張率を、ほぼ同等のものとすることができ、炉心溶融物保持装置9全体の構造設計上の観点からも好ましい。
耐熱材16としては、上述した第1の耐熱層17、第2の耐熱層18、第1の目地部19、第2の目地部20を備えたものであればよいが、その構成材料として、炉心溶融物又は水との反応により、非凝集性ガス、例えば水素、酸素、窒素等のガスを生じるものを用いた場合、非凝集性ガスによる加圧状態から原子炉格納容器1を保護するため、原子炉格納容器1全体のサイズを増大する必要が生じ、製造コストが増大する。このため、耐熱材16の構成材料としては、炉心溶融物又は水との反応により、非凝集性ガスを生じるものを含まないものとすることが好ましい。
なお、本実施形態では、冷却チャンネル14の上蓋141上に、第1の目地部19を介して第1の耐熱層17が積層されるとともに、第1の耐熱層17の上に、第2の目地部20を介して第2の耐熱層18が積層された構成を例に説明したが、例えば、上蓋141と第1の目地部19との間、又は第1の目地部19と第1の耐熱層17との間に他の層が介設されていてもよく、第1の耐熱層17と第2の目地部20との間、又は第2の目地部20と第2の耐熱層18との間に他の層が介設されていてもよい。
また、本実施形態では、耐熱材16を構成する耐熱層を、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の2層からなるものとしたが、例えば、耐熱材16を構成する耐熱層を、3層以上の層で構成していてもよい。
また、本実施形態では、第2の耐熱層18を耐熱材16の最上層とした構成を例に示したが、第2の耐熱層16の上に、他の層が積層されていてもよい。
耐熱材16の厚さは、特に限定されないが、炉心溶融物保持装置9全体の施工スペースや、材料コストの増大を抑制する観点から、300mm以下であることが好ましい。
第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さは、特に限定されないが、それぞれ、5mm以上100mm以下であることが好ましい。第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さが、それぞれ5mm未満であると、炉心溶融物8に対して十分な耐衝撃性を得られないおそれがある。一方、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さが、それぞれ100mmを超えると、安定した製造が困難となり、また製造コストが高くなるおそれがある。
第1の目地部19、第2の目地部20の厚さは、特に限定されないが、それぞれ10mm以下であることが好ましい。第1の目地部19、第2の目地部20の厚さが10mmを超えると、耐熱材16全体としての施工スペースが増大するおそれがある。また、目地部内に割れや亀裂が生じやすく、耐熱材の固定としての機能が十分に保てなくなるおそれがある。
なお、給水チェンバーへの初期の給水は、上述したように、サプレッションプール6内の冷却水を、給水配管151を介して各冷却水流路15に分配することにより行われるが、初期注水が終了した後は、ペデスタル2の内部の炉心溶融物保持装置9の上部へ溢水した冷却水が、冷却水流路15での沸騰により生じる自然循環によって、給水配管22より給水容器13に供給される。
溶融炉心物を冷却することにより生じた蒸気は、原子炉格納容器1上部の格納容器冷却器12で凝縮されて、水槽11に戻される。水槽11に戻された蒸気を凝縮した冷却水は、重力落下させることにより、注水配管10を介して給水容器13に供給され、下部入口部15bから各冷却水流路15に冷却水が分配されて、再び炉心溶融物8の冷却に用いられるようになっており、水が自然循環することによって炉心溶融物8の冷却が継続される。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施形態について説明したが、上記の実施例は、本発明の一例として挙げたものであり、本発明を限定するものではない。
また、上記の各実施形態の説明では、炉心溶融物保持装置において、本発明の説明に直接必要とされない部分等についての記載を省略したが、これらについて必要とされる各要素を適宜選択して用いることができる。
その他、本発明の要素を具備し、本発明の趣旨に反しない範囲で当業者が適宜設計変更しうる全ての炉心溶融物保持装置は、本発明の範囲に包含される。本発明の範囲は、特許請求の範囲およびその均等物の範囲によって定義されるものである。
(例1〜6)
第1の目地部19、第1の耐熱層17、第2の目地部20、第2の耐熱層18を、この順に積層した試験片1〜6を作製し、以下の試験を行った。なお、例1〜3は実施例であり、例4〜6は比較例である。
例1〜6の各試験片では、第1の耐熱層17としてアルミナ系耐火材(熱伝導率;10 W/mK)を、第2の耐熱層18(熱伝導率;3W/mK)としてジルコニア系耐火材を採用し、第1の目地部19の第1の目地材、第2の目地部20の第2の目地材として、それぞれ表1に示すものを採用した。試験片1〜6の第1の目地材、第2の目地材の種類を、第1の目地部19、第2の目地部20それぞれの熱伝導率と併せて表1に示す。
なお、試験片1〜6において、第1の目地部19、第2の目地部20の厚さは、それぞれ2〜5mmであり、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さは、それぞれ10〜20mmであった。
なお、以下の例において、各試験片の熱伝導率(W/m・K)は、JISのR1611に記載された方法に準じて、レーザーフラッシュ法により室温下で測定した。
Figure 2014062859
なお、表1で示す「アルミナ系モルタル」は、アルミナ粉末に、バインダーとして燐酸ボンド等を添加したものである。また、「ジルコニア系モルタル」は、いずれも、ジルコニア粉末に、バインダーとしてそれぞれ燐酸ボンド等を添加したものである。なお、熱伝導率は、燐酸ボンド等の添加量に応じても変動するものであり、各試験片の熱伝導率の違いは、主成分となる金属粉末の種類のほか、アルミナ粉末又はジルコニア粉末と、バインダーとの配合割合等の違いによるものである。
まず、試験片を断熱材の上に載置した後、この試験片の上に、200℃に加熱したタングステン(W)を乗せ、10分間放置した。そして、試験開始(試験片の上にタングステン(W)を乗せた時点)から10分経過後の各試験片の、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度を温度計で計測した。
その後、タングステン(W)を乗せたままの状態で試験片をさらに放置し、試験開始から60分経過後の、試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度を温度計で計測した。
なお、一般に、炉心溶融物保持装置では、溶融物が落下してから、冷却水流路に注水が開始されるまでに、10分〜30分程度の時間を要するため、以下に示す実施例では、試験開始から10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度を基準に、「注水開始前の断熱性能」を評価した。そして、この時点での第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度が100℃以下であるものは、注水開始前の断熱性能が優れているとした。
また、「注水開始後の冷却性能」は、試験開始から60分経過時点での試験片の底面温度を基準に評価し、この時点での試験片底面の温度が100℃を超えていれば、注水開始後の冷却性能が優れているとした。
例1〜6の評価結果を図5に示す。図5の結果から明らかなように、第2の目地部20の熱伝導率が、第1の目地部19の熱伝導率より小さい例1〜3の試験片1〜3では、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度がいずれも100℃以下となっており、いずれも、「注水開始前の断熱性能」に優れていた。
また、例1〜3の試験片1〜3では、第1の目地部19の熱伝導率が、第2の目地部20の熱伝導率より大きく、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち第1の目地部19底面の温度が、いずれも100℃を超えており、「注水開始後の冷却性能」に優れていた。
一方、第2の目地部20の熱伝導率が第1の目地部19の熱伝導率より大きい例4〜6の試験片4〜6では、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度がいずれも100℃を超えており、「注水開始前の断熱性能」に劣っていた。
また、例4〜6の試験片4〜6では、第1の目地部19の熱伝導率が、第2の目地部20の熱伝導率より小さく、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度がいずれも100℃未満であり、「注水開始後の冷却性能」も劣る結果となった。
したがって、第1の目地部19の熱伝導率が第2の目地部20の熱伝導率より大きい場合、すなわち、第2の目地部20の熱伝導率が第1の目地部19の熱伝導率より小さい場合に、耐熱材において、「注水開始前の断熱性能」に優れ、かつ「注水開始後の冷却性能」に優れることが確認された。
(例7〜8)
第1の目地部19、第1の耐熱層17、第2の目地部20、第2の耐熱層18をこの順に積層した試験片7〜8を作製し、以下の試験を行った。なお、例7〜8はいずれも実施例である。
例7〜8の試験片7〜8では、第1の目地部19の第1の目地材として、いずれも同じアルミナ系モルタル材を(熱伝導率;5W/mK)、第2の目地部20の第2の目地材として、いずれも同じジルコニア系モルタル材(熱伝導率;1W/mK)を採用し、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18として、それぞれ表2に示すものを採用した。
試験片7〜8の第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の種類を、それぞれの熱伝導率と併せて表2に示す。なお、試験片7〜8において、第1の目地部19、第2の目地部20の厚さは、それぞれ2〜5mmであり、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さは、それぞれ10〜20mmであった。
Figure 2014062859
試験片7〜8の「注水開始前の断熱性能」及び「注水開始後の冷却性能」を、例1〜6と同様にして評価した。
すなわち、断熱材の上に各試験片を載置した後、この試験片の上に、200℃に加熱したタングステン(W)を乗せ、試験開始から10分経過後の試験片の第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度、及び試験開始から60分経過後の試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度を、それぞれ温度計で計測した。
そして、例1〜6と同様、試験開始から10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度が100℃以下であるものは、「注水開始前の断熱性能」が優れているとし、試験開始から60分経過後の時点での、第1の目地部19底面の温度が100℃を超えていれば、「注水開始後の冷却性能」が優れているとした。
例7〜8の評価結果を図6に示す。図6の結果から明らかなように、第2の耐熱層18の熱伝導率が、第1の耐熱層17の熱伝導率より小さい例7の試験片7では、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部」20との界面の温度が、50℃未満となっており、「注水開始前の断熱性能」に優れていた。
また、第1の耐熱層17の熱伝導率が、第2の耐熱層18の熱伝導率より大きい例7の試験片7では、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度が200℃を超えており、「注水開始後の冷却性能」に優れていた。
一方、第2の耐熱層18の熱伝導率が第1の耐熱層17の熱伝導率より大きい例8の試験片8では、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度は100℃未満であり、「注水開始前の断熱性能」をある程度得られたものの、80℃前後と例7と比較的して高くなっていた。
また、第1の耐熱層17の熱伝導率が、第2の耐熱層18の熱伝導率より小さい例8の試験片8では、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度は、100℃を超えており、「注水開始後の冷却性能」をある程度得られたものの、170℃前後と、例7と比較して低くなっていた。
したがって、第2の耐熱層18の熱伝導率を第1の耐熱層17の熱伝導率より小さくした場合、すなわち、第1の耐熱層17の熱伝導率を第2の耐熱層18の熱伝導率より大きくした場合に、「注水開始前の断熱性能」及び「注水開始後の冷却性能」において、より優れた効果を得られることが確認された。
(例9〜10)
第1の目地部19、第1の耐熱層17、第2の目地部20、第2の耐熱層18をこの順に積層した試験片9〜10を作製し、以下の試験を行った。なお、例9は実施例であり、例10は比較例である。
試験片9〜10では、第1の耐熱層17としてアルミナ系耐火材(熱伝導率;10W/mK)を、第2の耐熱層18(熱伝導率;3W/mK)としてジルコニア系耐火材を採用し、第1の目地部19の第1の目地材、及び第2の目地部20の第2の目地材として、それぞれ表3に示すものを採用した。
各試験片9〜10の第1の目地材、第2の目地材の種類を、第1の目地部19、第2の目地部20それぞれの気孔率、熱伝導率と併せて、表3に示す。
Figure 2014062859
気孔率は、水銀ポロシメータ(水銀圧入法)を用いて測定した。
なお、表3で示す「アルミナ系モルタル」は、アルミナ粉末に、バインダーとして燐酸ボンド等を添加し、その添加量により気孔率を調整したものである。各試験片9〜10において、第1の目地部19、第2の目地部20の厚さは、それぞれ2〜5mmであり、第1の耐熱層17、第2の耐熱層18の厚さは、それぞれ10〜20mmであった。
試験片9〜10の「注水開始前の断熱性能」及び「注水開始後の冷却性能」を、例1〜6と同様にして評価した。
すなわち、断熱材の上に各試験片を載置した後、この試験片の上に、200℃に加熱したタングステン(W)を乗せ、試験開始から10分経過後の試験片の第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度、及び試験開始から60分経過後の試験片底面、すなわち、第1の目地部19底面の温度を、それぞれ温度計で計測した。
そして、例1〜6と同様、試験開始から10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度が100℃以下であるものは、「注水開始前の断熱性能」が優れているとし、試験開始から60分経過後の時点での、第1の目地部19底面の温度が100℃を超えていれば、「注水開始後の冷却性能」が優れているとした。
例9〜10の評価結果を図7に示す。図7の結果から明らかなように、第2の目地部20の気孔率が、第1の目地部19の気孔率より大きい例9の試験片9では、第2の目地部20の熱伝導率が、第1の目地部19の熱伝導率より小さく、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地材20との界面の温度が、50℃未満となっており、「注水開始前の断熱性能」に優れていた。
また、例9の試験片9では、第1の目地部19の熱伝導率が、第2の目地部20の熱伝導率より大きく、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち、第1の目地材19底面の温度が100℃を超えており、「注水開始後の冷却性能」が優れていた。
一方、第2の目地部20の気孔率が、第1の目地部19の気孔率より小さい例10の試験片では、第2の目地部20の熱伝導率が、第1の目地部19の熱伝導率より大きく、10分経過後の時点での、第1の耐熱層17と第2の目地部20との界面の温度は100℃を超えており、「注水開始前の断熱性能」に劣るものであった。
また、例10の試験片10では、第1の目地部19の気孔率が、第2の目地部20の気孔率より大きく、第1の目地部19の熱伝導率が、第2の目地部20の熱伝導率より小さくなっており、60分経過後の時点での、試験片底面、すなわち、第1の目地材19底面の温度は、100℃を超えていたものの、140℃前後と、例10と比較して低くなっていた。
したがって、第1の目地部19、第2の目地部20の気孔率を制御することにより、第1の目地部19、第2の目地部20の熱伝導率を制御でき、「注水開始前の断熱性能」及び「注水開始後の冷却性能」において、優れた効果を得られることが確認された。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、注水開始前の冷却水流路に対し十分な断熱性を有し、かつ炉心溶融物の熱を冷却水に速やかに放散することができ、安全性が高く、冷却性能に優れる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…原子炉格納容器、2…下部ドライウェル、21…サンプ床、3…ペデスタル、31…ペデスタル床、32…ペデスタル側壁、4…炉心、5…原子炉圧力容器、6…サプレッションプール、6a…プール水、7…下部ヘッド、8…炉心溶融物(コリウム)、9…炉心溶融物保持装置、10…注水配管、101…注入弁、11…水槽、12…格納容器冷却器、121…熱交換機、13…給水容器、14…冷却チャンネル、141…上蓋、15…冷却水流路、15a…上部出口部、15b…下部入口部、151…給水配管、152…溶融弁、16…耐熱材、17…第1の耐熱層、18…第2の耐熱層、17A,18A…耐火材、170,180…耐火材17A,18Aの側面間の領域、17S…第1の耐熱層17の底面、18S…第2の耐熱層18の底面、19…第1の目地部、20…第2の目地部、22…給水配管、22a…給水配管の開口、40…気孔

Claims (8)

  1. 冷却チャンネルと、該冷却チャンネルの上に配設された耐熱材とを有し、格納容器内の原子炉圧力容器下方に配設される炉心溶融物保持装置であって、
    前記耐熱材が、金属酸化物又は金属を主体とする第1の耐熱層と、前記第1の耐熱層の上に配設され、金属酸化物又は金属を主体とする材料からなる第2の耐熱層と、
    前記第1の耐熱層と前記冷却チャンネルとの間に介設された第1の目地部と、
    前記第2の耐熱層と前記第1の耐熱層との間に介設され、前記第1の目地部より熱伝導性の低い第2の目地部と、を有することを特徴とする炉心溶融物保持装置。
  2. 前記第2の耐熱層が、前記第1の耐熱層より熱伝導性の低い層を含んでなる請求項1記載の炉心溶融物保持装置。
  3. 前記第1の目地部が、アルミナを主体とする請求項1又は2記載の炉心溶融物保持装置。
  4. 前記第2の目地部が、ジルコニア及び/又はハフニアを主体とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の炉心溶融物保持装置。
  5. 前記第1の耐熱層が、アルミナを主体とする層を有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の炉心溶融物保持装置。
  6. 前記第2の耐熱層が、ジルコニア及び/又はハフニアを主体とする層を有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の炉心溶融物保持装置。
  7. 前記第1の目地部の気孔率が、前記第2の目地部の気孔率より低い請求項1乃至6のいずれか1項記載の炉心溶融物保持装置。
  8. 前記第1の目地部が、前記第1の耐熱層の主成分を主たる成分として含んでおり、前記第2の目地部が、前記第2の耐熱層の主成分を主たる成分として含んでなる請求項1乃至7のいずれか1項記載の炉心溶融物保持装置。
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