JP2014062852A - アンテナ内蔵式電子時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電子時計100は、少なくとも一部が非導電性部材で形成された筒状の外装ケース80と、外装ケース80の二つの開口K1及び開口K2うち、一方の開口K1を塞ぐカバーガラス84と、外装ケース80の内周に沿って設けられた環状のアンテナ体40と、導電性部材で形成され、アンテナ体40から見てカバーガラス84の反対側にアンテナ体40と所定の間隔を保つように設けられた環状のグランド板90と、を備える、ことを特徴とする。
【選択図】図3
Description
この発明によれば、外装ケースが非導電性部材により構成され、アンテナ体が受信すべき電波が外装ケースにより遮られることがないため、アンテナ体の良好な受信性能を確保することができる。また、この発明によれば、アンテナ体と所定の間隔だけ離間した位置にグランド板が設けられるため、アンテナ体の良好な受信性能を確保することができる。
この発明によれば、外装ケースが非導電性部材により構成され、アンテナ体が受信すべき電波が外装ケースにより遮られることがないため、アンテナ体の良好な受信性能を確保することができる。また、この発明によれば、アンテナ体の面上にグランド板が設けられるため、アンテナ体の良好な受信性能を確保することができる。
この態様によれば、駆動部の少なくとも一部がアンテナ体の内側に配置されるため、駆動部よりもカバーガラス側にアンテナ体が配置される場合と比べて、アンテナ内蔵式電子時計の薄型化及び小型化が可能となる。
この態様によれば、グランド板と裏蓋とが一体としてアンテナ体のグランドプレーンとして機能するため、グランド板のみがグランドプレーンとして機能する場合と比較して、グランド板の電位を安定化させることができる。これにより、アンテナ体の良好且つ安定した受信性能を確保することが可能となる。
この態様によれば、アンテナ体をカバーガラスから離間した位置に深く潜らせて配置することができるため、アンテナ体をカバーガラスの近傍に設ける場合と比較して、アンテナ内蔵式電子時計の薄型化及び小型化が可能となる。
この態様によれば、アンテナ体の内周側に傾斜面が設けられるため、アンテナ体が傾斜面を有しない場合と比較して、アンテナ内蔵式電子時計の利用者は、アンテナ体の内側に配置された時刻表示部の端部まで容易に視認することが可能となる。すなわち、この態様によれば、アンテナ内蔵式電子時計の利用者による時刻表示部の視認性を向上させることが可能となる。
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナ内蔵式電子時計100(以下「電子時計100」という)を含むGPSシステムの全体図である。電子時計100は、複数のGPS衛星20の少なくとも1つからの電波(無線信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であり、腕に接触する面(以下、「裏面」という)の反対側の面(以下「表面」という)に時刻を表示する。
なお、本実施形態において電子時計100は、GPSシステムが備えるGPS衛星20からの電波を受信するものであるが、GPSシステムは衛星測位システムの一例である。本発明は、GPSシステムの他に、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)等の全地球的航法衛星システム(GNSS)、SBAS等の静止衛星、または、準天頂衛星等、時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星を備える、GPSシステム以外の衛星測位システムを使用することができる。すなわち、電子時計100は、GPS衛星20以外の衛星を含む位置情報衛星からの電波(無線信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であってもよい。
ガラス縁82の内周側に、プラスチック等の非導電性材料で形成されたリング状のダイヤルリング83を介して、円盤状の文字板11が配置されている。文字板11上には、指針軸12を中心に周回して現在時刻を指し示す指針13(13a〜13c)が配置されている。
小時計14は、軸141を中心に回転可能な指針142及び143を備える。指針142及び143は、電子時計100の利用者が予め定めた地域の現在時刻を示す。すなわち、電子時計100は、指針13並びに指針142及び143を備えることにより、2つの地域の現在時刻を同時に表示することができる。
インジケータ15は、軸151を中心に回転可能な指針152を備える。指針152は、電子時計100が衛星信号を受信しているときには、電子時計100が実行するモード(つまり、時刻情報取得モード、または、位置情報取得モードのうち、いずれのモードが実行されているか)を示し、衛星信号を受信していないときには、電子時計100が備える二次電池の残容量を示す。なお、電子時計100の利用者は、後述する操作ボタンを用いて、指針152が電子時計100の実行するモードを示す状態、または、指針152が二次電池の残容量を示す状態の、一方の状態から他方の状態に切り替えることができる。電子時計100が備える二次電池については後述する。
以下では、これら文字板11、指針軸12、指針13、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を、時刻表示部と総称する場合がある。
また、詳細は後述するが、外装ケース80は、表面側及び裏面側の2つの開口を有する筒状の形状を有している。そして、外装ケース80の表面側の開口は、ガラス縁82を介してカバーガラス84で塞がれており、カバーガラス84を介して、文字板11、指針13(13a〜13c)、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19が視認可能となっている。
図3に示すように、外装ケース80は、セラミック等の非導電性材料で形成された円筒状のケース胴81に、セラミック等の非導電性材料で形成された円筒状のガラス縁82が嵌合されて構成されている。外装ケース80は、表面側の開口K1及び裏面側の開口K2を有する。外装ケース80の表面側の開口K1は、円盤状のカバーガラス84で塞がれている。外装ケース80の裏面側の開口K2は、SU(ステンレス)またはTi(チタン)等の金属またはその他の導電性材料で形成された裏蓋85で塞がれている。裏蓋85とケース胴81とは、例えばスクリュー溝やねじ等で固定されている。
これら地板38及びダイヤルリング83と、外装ケース80の内周とによって、ドーナツ状の収納空間が区画されている。この収納空間には、環状のアンテナ体40が収納されている。すなわち、アンテナ体40は、外装ケース80の内周よりも内側に収容され、その上方をダイヤルリング83で覆われている。また、この収納空間には、金属等の導電性材料により形成された環状のグランド板90が、アンテナ体40及び地板38の間の位置(つまり、アンテナ体40から見てカバーガラス84とは反対側の位置)であってアンテナ体40と所定の間隔を保つ位置に収容されている。
アンテナ体40は、環状の誘電体401を基材として、これに金属等の導電性材料から形成されたアンテナパターン402及びアンテナパターン403と、金属等の導電性材料から形成された給電部404とを、メッキまたは銀ペースト印刷等により形成したものである。なお、以下では、アンテナパターン403を「アンテナ素子」と称する場合がある。
また、図5(C)に示すように、誘電体401は、上面T1、外周面T2、底面T3、上側傾斜面TP1、及び、下側傾斜面TP2により囲まれた、5角形の断面形状を有する。なお、以下では、上側傾斜面TP1を「傾斜面」と称する場合がある。この上側傾斜面TP1は、図5(C)に示すように、誘電体401の内周に設けられ、誘電体401の中心方向に向かうほどカバーガラス84から遠ざかる傾斜面である。ここで、誘電体401の中心とは、図5(A)及び(B)に示す、アンテナ体40の有する環状の形状の中心Cである。詳細は後述するが、指針軸12は、平面視して中心Cと重なるように設けられる。
給電部404は、給電ピン44と位置Pにおいて接続するとともに、アンテナパターン403とも接続している。このため、給電部404は、給電ピン44及びアンテナパターン403を電気的に接続し、アンテナパターン403に対して給電ピン44から供給された電位を供給する「給電配線」として機能する。以下では、給電部404及び給電ピン44が接続する位置Pを、「給電位置」と称する場合がある。
なお、アンテナパターン402に対しては、アンテナ体40の外部から電位が供給されることはない。
なお、GPS衛星20からの電波の周波数は約1.575GHzであり、1波長は約19cmとなる。円偏波を受信するためには、波長の1.0〜1.3倍程度のアンテナ長(すなわち、アンテナパターン402の円周長)が必要であるため、GPS衛星20からの電波を受信するためには、約19〜25cmのループアンテナが必要となる。このようなアンテナ長のループアンテナを腕時計の内部に収める場合、腕時計が大型化してしまう。
これに対して、本実施形態では、比誘電率εrが5〜20程度の誘電体401を基材としてアンテナ体40を形成している。比誘電率εrの誘電体401を用いる場合、当該誘電体401による波長短縮率は(εr)−1/2となる。つまり、比誘電率がεrの誘電体401を備えることで、このような誘電体401を備えない場合に比べて、アンテナ体の受信する電波の波長を(εr)−1/2倍に短縮することができる。すなわち、本実施形態に係るアンテナ体40は、比誘電率εrの誘電体401を備えるため、このような誘電体401を備えない場合に比べて、アンテナ体40のアンテナ長を(εr)−1/2倍にすることができ、アンテナの小型化を図ることができる。
なお、アンテナパターン402の具体的な寸法としては、給電部404と切欠部405とのなす角をΦaとし、切欠部405の長さをΔkとし、アンテナパターン402の円周長をLとし、受信する円偏波の波長(すなわち、波長短縮後の波長)をλとしたとき、例えば、L=1.31λ、Φa=40°、Δk=0.018λとすればよい。
なお、以下では、文字板11またはカバーガラス84等に垂直な方向から電子時計100を見ることを、「平面視する」と表現する場合がある。
図6は、アンテナ体40、給電ピン44、外装ケース80、竜頭16、操作ボタン17及び18、及び、二次電池27が収納される電池収納部28の位置関係を説明するための平面図である(なお、二次電池27及び電池収納部28については後述する)。
図5(B)及び図6に示すように、アンテナ体40を平面視したときに、アンテナ体40の内周を表す曲線(厳密には、誘電体401の内周を表す曲線)を第1曲線Cinと称し、アンテナ体40の外周を表す曲線を第2曲線Coutと称する。また、図5(B)及び図6に示すように、平面視したときに、第1曲線Cin及び第2曲線Coutの中央位置を表す曲線を中央曲線Cmidと称する。すなわち、中央曲線Cmidは、アンテナ体40を平面視したときに、アンテナ体40の幅を二等分する曲線である。また、平面視したときに、中央曲線Cmid及び第1曲線Cinの間の領域を、内側領域Ainと称し、中央曲線Cmid及び第2曲線Coutの間の領域を、外側領域Aoutと称し、中央曲線Cmidにより囲まれた領域(平面視して中央曲線Cmidよりも内側の領域)を中央領域Amidと称する。なお、これらの図からも明らかなように、内側領域Ainは、中央領域Amidの一部である。
なお、本実施形態では、給電ピン44は、平面視したときに、その一部が中央領域Amidと重なり、且つ、その一部が外側領域Aoutと重なるように設けられているが、給電ピン44の全部が中央領域Amidに包含されるように設けられるものであってもよいし、給電ピン44の全部が内側領域Ainに包含されるように設けられるものであってもよい。
図3に示すように、アンテナ体40の内周よりも内側には、光透過性の文字板11、文字板11及び地板38を貫通する指針軸12、及び、指針軸12を中心に周回して現在時刻を指し示す複数の指針13(秒針13a、分針13b、及び、時針13c)が設けられている。
より具体的には、図3に示すように、指針軸12は、軸12a、軸12b、及び、軸12cを備え、秒針13aは軸12aを中心に周回し、分針13bは軸12bを中心に周回し、時針13cは軸12cを中心に周回する。
また、図3では図示を省略するが、アンテナ体40の内周よりも内側には、文字板11及び地板38を貫通する軸141、及び、軸141を中心に周回する指針142及び指針143、並びに、文字板11及び地板38を貫通する軸151、及び、軸151を中心に周回する指針152が設けられている。
指針軸12は、上述のとおり、平面視したときに、アンテナ体40の中心Cと重なるような位置に設けられ、アンテナ体40の中心軸に沿って外装ケース80の表裏方向に延在している。また、軸141及び軸151は、外装ケース80の表裏方向に延在している(図4参照)。
文字板11は、円形の板材であり、プラスチックなどの光透過性の非導電性材料で形成されている。図3に示すように、文字板11は、カバーガラス84及び地板38の間に配置されている。文字板11には、指針軸12が貫通する穴、軸141が貫通する穴(図4参照)、及び、軸151が貫通する穴(図4参照)が形成されているとともに、日付表示部19を視認させるための開口部11a(図2及び図4参照)が形成されている。
指針13、指針142及び143、並びに、指針152は、アンテナ体40の内周よりも内側で、且つ、カバーガラス84及び文字板11の間に配置されている。
図3に示すように、本実施形態では、アンテナ体40の底面T3とカバーガラス84との間隔は、駆動機構30とアンテナ体40との間隔よりも長い。すなわち、アンテナ体40の底面T3とカバーガラス84との距離をΔY1とし、駆動機構30とカバーガラス84との距離をΔY2としたとき、「ΔY1>ΔY2」という関係が成立する。
距離ΔY1が距離ΔY2よりも長くなる位置にアンテナ体40を設ける場合、短くなる位置に設ける場合と比較して、アンテナ体40の表裏方向の長さを長くすることが可能になる。アンテナ体40の受信性能は、アンテナ体40の断面積が大きい場合に良好になる。本実施形態に係るアンテナ体40は、アンテナ体40の表裏方向の長さを長くして、アンテナ体40の断面積を大きくすることができるため、アンテナ体40が文字板11及びソーラーパネル87よりも表面側に位置するように配置される場合に比べ、良好な受信性能を確保することができる。
また、距離ΔY1が距離ΔY2よりも長い場合、短い場合と比較して、アンテナ体40が文字板11よりも表面側に突出している部分の高さΔhを、小さくすることができる。このため、アンテナ体40の表面側に設けられるダイヤルリング83の表裏方向の長さも短くすることができる。仮に、ダイヤルリング83の表裏方向の長さが長い場合、電子時計100の利用者が例えば図3において右斜め上方向から文字板11を見る際に、利用者は、ダイヤルリング83に遮られ文字板11の端部を視認することができない。これに対して、本実施形態では、ダイヤルリング83の表裏方向の長さが短いため、利用者は、ダイヤルリング83に遮られることなく、文字板11を広い角度方向から隅々まで視認することが可能となる。
駆動機構30は、指針軸12を回転させることにより、複数の指針13を駆動する。具体的には、駆動機構30のステップモーターM1は、輪列を介して、秒針13aが指針軸12の周りを60秒で一周するように軸12aを回転させる。また、駆動機構30のステップモーターM2は、輪列を介して、時針13cが指針軸12の周りを12時間で1周するように軸12bを回転させるとともに、分針13bが指針軸12の周りを60分で一周するように軸12cを回転させる。駆動機構30のステップモーターM3は、輪列を介して軸141を回転させることにより、指針142及び143を駆動する。駆動機構30のステップモーターM4は、輪列を介して軸151を回転させることにより、指針152を駆動する。駆動機構30のステップモーターM5は、輪列を介して、日付表示部19の表示を切り替えるように日付表示部19を駆動する。このように、駆動機構30は、時刻表示部を駆動する。
基板25の下面(裏側の面)には、GPS受信部(無線受信部)26及び制御部70を含む回路ブロックが実装されている。GPS受信部26は、例えば、1チップのICモジュールで構成され、そこにはアナログ回路とデジタル回路とが含まれている。制御部70は、制御信号をGPS受信部26に送り、GPS受信部26の受信動作を制御するとともに、駆動機構30の動作を制御する。
アンテナ体40の給電部404は、給電ピン44を介して基板25(厳密には、基板25上に設けられた配線)に電気的に接続され、基板25上に設けられたGPS受信部26が備える定電位発生回路から所定の電位が供給されている。
なお、本実施形態では、給電ピン44により基板25と給電部404とを電気的に接続するが、給電ピン44は、基板25と給電部404とを電気的に接続する給電部材の一例にすぎない。給電ピン44の代わりに、導電性材料から形成された部材、例えば、リード線、板ばね等により、基板25と給電部404とを電気的に接続してもよい。
本実施形態では、高い透磁率を有する材料から形成される耐磁板S1〜S3により、ステップモーターMを覆うことにより、駆動機構30を磁気的にシールドし、上述した各種磁界に起因してステップモーターMが誤作動することを防止している。
ソーラーパネル87は、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する複数のソーラーセル(光発電素子)を直列接続した円形の平板である。ソーラーパネル87は、アンテナ体40の内周よりも内側で、地板38と文字板11との間に配置されている。ソーラーパネル87の中央部には、指針軸12が貫通する穴、軸141が貫通する穴(図4参照)、及び、軸151が貫通する穴(図4参照)が形成されているとともに、日付表示部19を視認させるための開口部87a(図2及び図4参照)が形成されている。
二次電池27は、ソーラーパネル87が発電した電力で充電される。この二次電池27を収納するための電池収納部28は、基板25の下側(つまり、基板25及び裏蓋85の間)に配置されている。
以下では、これら、竜頭16、巻真16a、操作ボタン17及び18、並びに、ボタン軸17a及び18aを、操作部と総称する場合がある。
特に、アンテナ体40の利得は、アンテナ体40の中心から見て給電部404が設けられている方向が最大となる(すなわち、アンテナ体40の中心から見て給電部404が設けられている方向がアンテナ体40の最大放射方向に該当する)。そのため、給電部404に接続する給電ピン44が、二次電池27の近傍に位置する場合、アンテナ体40の受信性能が大きく劣化することになる。
このような、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響の大きさは、二次電池27とアンテナ体40との距離が短い場合、または、二次電池27と給電ピン44との距離が短い場合に、大きくなる。
すなわち、本実施形態は、アンテナ体40及び二次電池27が平面視して重なる場合に比べ、アンテナ体40及び二次電池27の間の距離を長くすることができる。また、本実施形態は、給電ピン44及び二次電池27が平面視して重なる場合に比べ、給電ピン44及び二次電池27の間の距離を長くすることができる。従って、本実施形態では、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑えることができ、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
電子時計100は、屋外において衛星信号を受信可能である。また、電子時計100は、屋外では、利用者の腕に装着されている場合が多く、電子時計100の利用者は、屋外において腕を下方向(つまり、天頂方向とは逆向き)に向けた姿勢を取っている場合が多い。よって、屋外では、電子時計100の中心(指針軸12)から見て9時の方向が、天頂方向に近い方向となる可能性が高い。
本実施形態では、給電ピン44を9時の方向に設ける。上述のとおり、アンテナ体40の利得は、アンテナ体40の中心から見て、給電部404が設けられている方向、つまり、給電ピン44と接続する方向において、最大となる。よって、本実施形態では、電子時計100が衛星信号を受信する屋外において、アンテナ体40の最大放射方向を、天頂方向に向ける可能性を高めることができ、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
本実施形態では、図7及び図8に示すように、アンテナ体40を、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならない位置に配置する。この場合、アンテナ体40が、平面視して耐磁板S1〜S3と重なる位置に設けられる場合に比べて、アンテナ体40及び耐磁板S1〜S3の間の距離を長くすることができる。そのため、本実施形態では、耐磁板S1〜S3(特に、耐磁板S1)がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑え、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
図9は、電子時計100の回路構成を示すブロック図である。図9に示すように、電子時計100は、GPS受信部26及び制御表示部36を含む。GPS受信部26は、衛星信号の受信、GPS衛星20の捕捉、位置情報の生成、時刻修正情報の生成等の処理を行う。制御表示部36は、内部時刻情報の保持及び内部時刻情報の修正等の処理を行う。
なお、ベースバンド部60は、1つのGPS衛星20の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよいし、複数のGPS衛星20の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよい。
制御部70は、記憶部71、RTC(Real Time Clock)72を備え、各種制御を行う。制御部70は、例えばCPUで構成することが可能である。制御部70は、制御信号をGPS受信部26に送り、GPS受信部26の受信動作を制御する。また制御部70は、電圧検出回路37の検出結果に基づいて、レギュレータ34及びレギュレータ35の動作を制御する。また制御部70は、駆動回路74を介してすべての指針13の駆動を制御するとともに、駆動回路74を介して指針142及び143並びに日付表示部19の駆動を制御する。
以上で説明したように、本実施形態では、外装ケース80が非導電性材料により形成されている。
仮に、外装ケース80が金属等の導電性材料により形成されている場合、外装ケース80は、GPS衛星20からの電波を含む電磁波を吸収してしまい、本来アンテナ体40が受信すべき電波が外装ケース80に遮られることになる。この場合、アンテナ体40は良好な受信性能を発揮することはできない。
これに対して、本実施形態では、外装ケース80が非導電性材料により形成されているため、GPS衛星20からの電波が外装ケース80により遮られることはなく、アンテナ体40は良好な受信性能を発揮することが可能となる。
これに対して、本実施形態では、外装ケース80を非導電性材料で形成するため、アンテナ体40が文字板11よりも裏面側に深く潜り込むように形成させることができる。すなわち、アンテナ体40の底面T3とカバーガラス84との距離ΔY1が駆動機構30とカバーガラス84との距離ΔY2よりも大きくなるように、アンテナ体40が設けられる。これにより、アンテナ体40が文字板11よりもカバーガラス84側に突出する部分の高さΔhを小さくすることが可能となる。その結果、利用者による文字板11の視認性を向上させることができるとともに、電子時計100を薄型化し、更には、電子時計100のデザイン性を向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態では、グランド板90が裏蓋85に電気的に接続されているため、グランド板90の電位が安定し、アンテナ体40の受信性能を良好に維持することが可能となる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
上述した実施形態において、グランド板90は、アンテナ体40と所定の間隔を保つような位置にアンテナ体40と離間して設けられているが、アンテナ体40の面上に直接設けられるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図10に示すグランド板90aを備えるものであってもよい。図10(A)はアンテナ体40及びアンテナ体40上に形成されたグランド板90aの斜視図であり、図10(B)はアンテナ体40及びグランド板90aの一部断面図である。グランド板90aは、金属等の導電性材料から形成され、アンテナ体40が有する誘電体401の外周面T2及び底面T3上に、メッキまたは銀ペースト印刷等により形成されている。グランド板90aをアンテナ体40の面上に直接形成する場合、アンテナ体40とは離間して設けられる場合と比較して、電子時計100をより小型化及び薄型化することが可能となる。
上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体40は、無給電のアンテナパターン402と、所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403とを具備するが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、無給電のアンテナパターンを備えず、所定の電位の給電を受けるアンテナパターンのみを具備するものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図11に示すアンテナ体40aを備えるものであってもよい。図11(A)は変形例2に係るアンテナ体40aの斜視図であり、図11(B)はアンテナ体40aの平面図であり、図11(C)は、アンテナ体40aを図11(B)に示すG−g線で切断した一部断面図である。
図11に示すように、アンテナ体40aは、誘電体401の上面T1に、給電部404cを介して給電ピン44から所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403aが形成されている。このアンテナ体40aは、アンテナパターン403aが衛星信号に共振するようなアンテナ長に設定されており、無給電のアンテナパターンを備えない。なお、この図では、アンテナパターン403aは切欠部405aを有したC型の形状となるように形成されているが、切欠部405aを有さずに環状の形状(O型の形状)に形成されるものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体40(または40a)は、上面T1、外周面T2、底面T3、上側傾斜面TP1、及び、傾斜面TP2により囲まれた、5角形の断面形状を有する誘電体401を基材として形成されるが、アンテナ体の基材となる誘電体は、5角形以外の断面形状を有するものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図12に示すアンテナ体40bを備えるものであってもよい。図12は変形例3に係るアンテナ体40bの斜視図である。アンテナ体40bは、上面T1、外周面T2、底面(図示省略)、及び、内周面T4により囲まれた4角形の断面形状を有する誘電体401bを基材とし、誘電体401bの上面T1にアンテナパターン402b及び403bが形成され、誘電体401bの上面T1、内周面T4、及び、底面に給電部404bが形成されている。
上述した実施形態及び変形例において、アンテナパターン及び給電部は、メッキまたは銀ペースト印刷等により誘電体の面上に形成されるものであるが、アンテナパターン及び給電部の一部または全部が、誘電体に埋設されるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図13に示すアンテナ体40cを備えるものであってもよい。図13は変形例4に係るアンテナ体40cの一部断面図である。アンテナ体40cは、アンテナパターン402c及びアンテナパターン403cが誘電体401cに埋設され、給電部404cの一部が誘電体401cに埋設されている。このような構造は、インサート成形で製造することができる。インサート成形によれば、メッキまたは銀ペースト印刷等によりアンテナパターンを形成する場合に比べて、アンテナ体を安価に製造することができる。なお、アンテナ体40cの基材である誘電体401cは、下側傾斜面TP2の代わりに、内周面T4を備える断面形状を有している。
上述した実施形態及び変形例1〜変形例3において、アンテナパターン及び給電部は、誘電体の面上に形成されるが、アンテナパターン及び給電部の一部または全部が、フレキシブルテープ上に貼付されるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図14に示すアンテナ体40dを備えるものであってもよい。図14は変形例5に係るアンテナ体40dの一部断面図である。アンテナ体40dは、アンテナパターン402d、アンテナパターン403d、及び、給電部404dが貼付されたフレキシブルテープ500(フレキシブル基板)が、誘電体401c上に貼付された構造を有している。
これらの構造は、例えば、あらかじめフレキシブルテープ上に、アンテナパターン及び給電部を形成したうえで、フレキシブルテープを基材である誘電体に貼付することで、製造することができる。この製造方法によれば、メッキまたは銀ペースト印刷等によりアンテナパターン等を形成する場合に比べて、アンテナ体を安価に製造することができる。
例えば、図14に示すように、フレキシブルテープ500のうちアンテナ体40fよりも下方まで突出する部分500aの面上に貼付された、金属等の導電性材料からなる給電部材44dにより、アンテナ体及び基板を電気的に接続してもよい。
このような構造は、例えば、アンテナパターン及び給電部を形成したフレキシブルテープ上に給電部材を形成し、当該フレキシブルテープを基材である誘電体に貼付するとともに、フレキシブルテープ500の突出部分500aを基板25に貼付することで製造することができるため、給電ピン44を設ける場合と比較して電子時計100を安価に製造することが可能となる。
上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体は、例えば図5(B)に示すように、平面視して円形の形状を有するが、円形以外の形状であってもよい。
例えば、電子時計100は、図15に示すアンテナ体40eを備えるものであってもよい。図15は、変形例6に係るアンテナ体40eの平面図である。図15に示すように、アンテナ体40eは、平面視して四角形の中空形状を有する誘電体401eの面上に、アンテナパターン402e、アンテナパターン403e、及び、給電ピン44等の給電部材と接続する給電部404eが形成されている。
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100(または、電子時計100a)は、3つの耐磁板S1〜S3を備えるが、3つの耐磁板S1〜S3を備えないものであってもよい。また、電子時計100は、3つの耐磁板のうち1または2つの耐磁板を備えるものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100(100a)の操作部は、竜頭16、巻真16a、操作ボタン17及び18、並びに、ボタン軸17a及び18aを備えるが、操作部は、これらのうちの一部のみを備えるものであってもよいし、これら以外の要素を含んで構成されるものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例において、時刻表示部は、文字板11、指針軸12、指針13、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、時刻表示部は、指針軸12、及び、指針13のみを備えるものであってもよい。
時刻表示部が、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を備えない場合、駆動機構30は、複数のステップモーターM1〜M5のうち、指針軸12を駆動するステップモーターM1及びM2を備えるものであればよく、軸141、軸151、及び、日付表示部19を駆動するためのステップモーターM3〜M5を備える必要はない。また、この場合、耐磁板S1〜S3は、ステップモーターM1及びM2の一部または全部を覆うような範囲に設けられればよい。
上述した実施形態及び変形例において、時刻表示部は、文字板11、指針軸12、及び、指針13(または、これらに加えて、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19)を備えるが、時刻表示部は、更に、液晶パネルを備えるものであってもよい。
また、時刻表示部は、文字板11、指針軸12、及び、指針13に代えて、液晶パネルを備えるものであってもよい。すなわち、電子時計100は、デジタル式のアンテナ内蔵式電子時計であってもよい。この場合、電子時計100は、耐磁板S1〜S3を備えずに構成されるものであってもよい。
上述した実施形態及び変形例において、外装ケース80はその全部が非導電性材料から形成されているが、外装ケース80の一部が金属等の導電性材料により形成されるものであってもよい。この場合、外装ケース80のうち導電性材料より形成される部分は、アンテナ体40が備えるアンテナパターンよりも裏蓋85側に設けられていることが好ましい。
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100は、GPS衛星20等の位置情報衛星からの電波を受信するが、位置情報衛星からの電波に限らず、例えば、無線タグ用の900MHz帯の電波を受信する電子時計であってもよい。また、例えば、Bluetooth(登録商標)等の2.4GHz帯の電波を受信する電子時計でもよい。
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100は腕時計であるが、電子時計100は腕時計以外の時計、例えば、懐中時計や置き時計であってもよい。また、電子時計機能を有する各種の電子機器(例えば携帯電話機やデジタルカメラ等)に本発明を適用してもよい。
Claims (7)
- 少なくとも一部が非導電性部材で形成された筒状の外装ケースと、
前記外装ケースの二つの開口のうち、一方の開口を塞ぐカバーガラスと、
前記外装ケースの内周に沿って設けられた環状のアンテナ体と、
導電性部材で形成され、前記アンテナ体から見て前記カバーガラスの反対側に前記アンテナ体と所定の間隔離間した環状のグランド板と、
を備える、
ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 少なくとも一部が非導電性部材で形成された筒状の外装ケースと、
前記外装ケースの二つの開口のうち、一方の開口を塞ぐカバーガラスと、
前記外装ケースの内周に沿って設けられた環状のアンテナ体と、
前記アンテナ体の面上に導電性部材で形成されたグランド板と、
を備える、
ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。 - 前記外装ケースの内側に配置され、時刻を表示可能な時刻表示部と、
少なくとも一部が前記アンテナ体の内側に配置され、前記時刻表示部を駆動する駆動部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナ内蔵式電子時計。 - 前記外装ケースの二つの開口のうち、他方の開口を塞ぐ裏蓋と、
前記グランド板及び前記裏蓋を電気的に接続する接続部と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載のアンテナ内蔵式電子時計。 - 前記カバーガラスと前記駆動部との間隔は、
前記カバーガラスと前記アンテナ体の底面との間隔よりも短い、
ことを特徴とする請求項3に記載のアンテナ内蔵式電子時計。 - 前記アンテナ体は、
環状の誘電体と、
導電性部材で形成され、前記誘電体の面上に設けられたアンテナ素子と、
を備え、
前記誘電体は、
当該誘電体の内周に設けられ、当該誘電体の中心方向に向かうほど前記カバーガラスから遠ざかる傾斜面を有する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか1項に記載のアンテナ内蔵式電子時計。 - 前記誘電体は、
前記傾斜面に連なる上面を有し、
前記アンテナ素子は、
前記誘電体の前記上面に設けられている、
ことを特徴とする請求項6に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
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