JP6036084B2 - アンテナ内蔵式電子時計 - Google Patents

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Description

本発明は、アンテナを内蔵したアンテナ内蔵式電子時計に関する。
近年、GPS(Global Positioning System)衛星等の位置情報衛星からの電波を受信して正確な時刻表示を行うアナログ式の電子時計が開発されている。アナログ式の電子時計は、指針軸を中心に回転する指針と、歯車及びステップモーターを具備し指針を駆動する駆動部と、位置情報衛星からの電波を受信する環状のアンテナと、当該アンテナに電気的に接続され当該アンテナに所定の電位を供給する給電ピンとを備える(特許文献1参照)。
また、通常、アナログ式電子時計は、ステップモーターが磁界の影響を受けて誤作動することを防止するため、ステップモーターを磁気的にシールドするための耐磁板を備える。
特開2011−21929号公報
環状のアンテナの利得は、アンテナの中心から見て給電ピンから給電を受ける給電部が設けられている方向において最大となる。従って、位置情報衛星からの電波を含む電磁波を吸収する耐磁板が、給電ピンの近傍に設けられる場合、アンテナの利得が最大となる方向において位置情報衛星からの電波が耐磁板により遮られるため、アンテナが良好な電波受信性能を確保することが困難となる。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであり、ステップモーターと、ステップモーターを磁気的にシールドするための耐磁板と、アンテナとを備えるアンテナ内蔵式電子時計において、アンテナの良好な受信性能を確保することを解決課題とする。
以上の課題を解決するため、本発明に係るアンテナ内蔵式電子時計は、外装ケースと、前記外装ケースに収納された環状の形状のアンテナ体と、前記アンテナ体の内側に設けられ、文字板と、指針軸を中心に回転可能な指針と、を具備する時刻表示部と、前記外装ケースに収納された基板と、前記文字板に平行な方向から見たときに前記基板及び前記文字板の間に設けられ、前記時刻表示部を駆動する駆動部と、前記アンテナ体に設けられた給電部と前記基板とを電気的に接続する給電ピンと、前記駆動部及び前記文字板の間、または、前記駆動部及び前記基板の間のうち、少なくとも一方に設けられた耐磁板と、を備え、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンと、前記耐磁板とは、重ならない、ことを特徴とする。
アンテナ体に電位を供給する給電ピンの近傍に耐磁板が配置される場合、アンテナ体の受信性能が低下することがある。この発明によれば、給電ピンが平面視して耐磁板とは重ならない位置に設けられるので、給電ピンが耐磁板と重なる位置に設けられる場合と比較して、給電ピン及び耐磁板の間の距離を長くすることができる。このため、本発明に係るアンテナ内蔵式電子時計は、良好な受信性能を確保することが可能となる。
また、前記耐磁板は、前記駆動部及び前記文字板の間に設けられた第1耐磁板と、前記駆動部及び前記基板の間に設けられた第2耐磁板と、を含み、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンと、前記第1耐磁板及び前記第2耐磁板とは、重ならない、ことが好ましい。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記アンテナ体と、前記耐磁板とは、重ならない、ことが好ましい。
アンテナ体の近傍に耐磁板が配置される場合、アンテナ体の受信性能が低下することがある。この態様によれば、アンテナ体が平面視して耐磁板とは重ならない位置に設けられるので、アンテナ体が耐磁板と重なる位置に設けられる場合と比較して、アンテナ体及び耐磁板の間の距離を長くすることができる。このため、本態様に係るアンテナ内蔵式電子時計は、良好な受信性能を確保することが可能となる。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときの前記給電ピンと前記第1耐磁板との距離、及び、前記文字板に垂直な方向から見たときの前記給電ピンと前記第2耐磁板との距離は、前記給電ピンの長さよりも長い、ことが好ましい。
この態様によれば、給電ピン及び耐磁板の間の距離を給電ピンの長さよりも長くするため、給電ピン及び耐磁板の間の距離が給電ピンの長さよりも短い場合と比較して、アンテナ体の良好な受信性能を確保することが可能となる。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンと前記第1耐磁板との距離は、前記給電ピンと前記第2耐磁板との距離よりも長い、ことが好ましい。
アンテナ体は、駆動部よりも文字板側に設けられる。従って、駆動部よりも文字板側に設けられる第1耐磁板は、駆動部よりも基板側に設けられる第2耐磁板に比べて、アンテナ体までの距離が短い。よって、第1耐磁板がアンテナ体の受信性能に対して及ぼす影響の大きさは、第2耐磁板がアンテナ体の受信性能に対して及ぼす影響の大きさに比べて大きい。従って、第1耐磁板及び第2耐磁板のがアンテナ体の受信性能に対して及ぼす影響の程度を全体として小さく抑えるためには、平面視したときに、第1耐磁板とアンテナ体との距離を、第2耐磁板とアンテナ体との距離に比べて長くする必要がある。
この態様によれば、平面視したときの給電ピンと第1耐磁板との距離が、平面視したときの給電ピンと第2耐磁板との距離よりも長くなるような位置に、給電ピンが設けられる。環状のアンテナ体においては、給電ピンから給電を受ける部分が、アンテナ体の受信性能に大きく寄与する。よって、給電ピンを、第1耐磁板からの距離が長くなるような位置に設けることで、アンテナ体のうちアンテナ体の受信性能に大きく寄与する部分と第1耐磁板との距離も長くすることができる。これにより、第1耐磁板及び第2耐磁板がアンテナ体の受信性能に及ぼす影響の程度を、全体として小さく抑えることが可能となる。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計は、前記アンテナ体に給電する二次電池を収納する電池収納部を備え、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記電池収納部に収納された前記二次電池と前記給電ピンとの距離は、前記給電ピンの長さよりも長い、ことが好ましい。
アンテナ体に電位を供給する給電ピンの近傍に二次電池が配置される場合、アンテナ体の受信性能が低下することがある。この態様によれば、給電ピン及び二次電池の間の距離を給電ピンの長さよりも長くするため、給電ピン及び二次電池の間の距離が給電ピンの長さよりも短い場合と比較して、アンテナ体の良好な受信性能を確保することが可能となる。
また、前記電池収納部は、前記基板を挟んで、前記給電ピンとは反対側に設けられる、ことが好ましい。
この態様によれば、給電ピン及び二次電池の間に基板が設けられるため、給電ピン及び二次電池の間に基板が設けられない場合と比較して、二次電池が給電ピンを介してアンテナ体の受信性能に及ぼす影響を低減させることができ、アンテナ体の良好な受信性能を確保することができる。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンと前記第1耐磁板との距離は、前記給電ピンと前記電池収納部に収納された二次電池との距離よりも長い、ことが好ましい。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記基板には、前記駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記制御部は、前記電池収納部と重ならないことが好ましい。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計は、少なくとも一部が前記外装ケースの外部に設けられた竜頭、及び、当該竜頭の動きを前記駆動部に伝達する巻真、を具備する操作部を備え、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンは、前記操作部と重ならない、ことが好ましい。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計は、少なくとも一部が前記外装ケースの外部に設けられた竜頭、及び、当該竜頭の動きを前記駆動部に伝達する巻真、を具備する操作部を備え、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記巻真は、前記指針軸を中心として前記文字板の3時の方向に設けられ、前記給電ピンは、前記指針軸を中心として前記文字板の6時から12時の範囲に設けられる、ことが好ましい。
より具体的には、本態様に係るアンテナ内蔵式電子時計は、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記巻真は、前記指針軸を端点として前記文字板の3時の位置を通る半直線と交差するように設けられ、前記給電ピンは、前記指針軸及び前記文字板の6時の位置を通る直線上、または、当該直線よりも9時側に位置するように設けられる、ことを特徴とすることが好ましい。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記指針軸と前記給電ピンとを結ぶ線分、及び、前記指針軸と前記電池収納部に収納された二次電池の中心を結ぶ線分のなす角は、90度以上で且つ180度以下であり、前記電池収納部に収納された前記二次電池と前記操作部とは重ならない、ことが好ましい。
この態様によれば、給電ピンは、指針軸を中心として二次電池から90度以上離れた位置に設けられるため、90度よりも近い位置に設けられる場合と比較して、給電ピン及び二次電池の間の距離を長くすることができる。このため、この態様に係るアンテナ内蔵式電子は、二次電池が給電ピンを介してアンテナ体の受信性能に及ぼす影響を低減させることができ、アンテナ体の良好な受信性能を確保することが可能となる。
なお、この発明において、「二次電池の中心」は、「二次電池の幾何学的重心」であってもよい。なお、二次電池の形状は、文字板に垂直な方向から見たときに、円形でも、円形以外の形状でも良い。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記指針軸と前記給電ピンとを結ぶ線分の長さは、前記給電ピンと前記電池収納部に収納された二次電池の中心を結ぶ線分の長さ以下であり、前記電池収納部に収納された二次電池と前記操作部とは重ならない、ことが好ましい。
この態様によれば、給電ピン及び二次電池の間の距離を給電ピン及び指針軸の間の距離よりも長くするため、給電ピン及び二次電池の間の距離が給電ピン及び指針軸の間の距離よりも短い場合と比較して、アンテナ体の良好な受信性能を確保することが可能となる。
また、上述したアンテナ内蔵式電子時計において、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンは、前記指針軸を中心として前記文字板の9時の方向に設けられ、前記電池収納部は、当該電池収納部に収納された前記二次電池が、前記指針軸を中心として前記文字板の6時の方向、または、12時の方向に位置するように設けられることが好ましい。
より具体的には、本態様に係るアンテナ内蔵式電子時計は、前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電ピンは、前記指針軸を端点として前記文字板の9時を通る半直線と交差するように設けられ、前記電池収納部は、当該電池収納部に収納された前記二次電池が、前記指針軸を端点として前記文字板の6時を通る半直線、または、前記指針軸を端点として前記文字板の12時を通る半直線と交差するように設けられる、ことを特徴とすることが好ましい。
本発明の一実施形態に係るアンテナ内蔵式電子時計100(電子時計100)を含むGPSシステムの全体図である。 電子時計100の平面図である。 電子時計100の一部断面図である。 電子時計100の一部の分解斜視図である。 電子時計100のアンテナ体40の形状及びアンテナ体40に形成されたアンテナパターンを説明するための説明図である。 電子時計100のアンテナ体40、給電ピン44、及び、二次電池27の位置関係を説明するための説明図である。 電子時計100のアンテナ体40、給電ピン44、二次電池27、並びに、耐磁板S1及びS2の位置関係を説明するための説明図である。 電子時計100のアンテナ体40、給電ピン44、二次電池27、及び耐磁板S3の位置関係を説明するための説明図である。 電子時計100のアンテナ体40の受信性能を説明するための説明図である。 電子時計100の回路構成を示すブロック図である。 変形例1に係る電子時計100のアンテナ体40、給電ピン44、及び、二次電池27の位置関係を説明するための説明図である。 変形例5に係るアンテナ体40aを説明するための説明図である。 変形例7に係るアンテナ体40bを説明するための説明図である。 変形例7に係るアンテナ体40cを説明するための説明図である。 変形例7に係るアンテナ体40dを説明するための説明図である。 変形例9に係る電子時計100を説明するための説明図である。
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
<A:アンテナ内蔵式電子時計の機構的な構成>
図1は、本発明の実施形態に係るアンテナ内蔵式電子時計100(以下「電子時計100」という)を含むGPSシステムの全体図である。電子時計100は、複数のGPS衛星20の少なくとも1つからの電波(無線信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であり、腕に接触する面(以下、「裏面」という)の反対側の面(以下「表面」という)に時刻を表示する。
GPS衛星20は、地球上空における所定の軌道上を周回する位置情報衛星であり、1.57542GHzの電波(L1波)に航法メッセージを重畳させて地上に送信している。以降の説明では、航法メッセージが重畳された1.57542GHzの電波を「衛星信号」という。衛星信号は、右旋偏波の円偏波である。
なお、本実施形態において電子時計100は、GPSシステムが備えるGPS衛星20からの電波を受信するものであるが、GPSシステムは衛星測位システムの一例である。本発明は、GPSシステムの他に、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)等の全地球的航法衛星システム(GNSS)、SBAS等の静止衛星、または、準天頂衛星等、時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星を備える、その他の衛星測位システムを使用することができる。すなわち、電子時計100は、GPS衛星20以外の衛星を含む位置情報衛星からの電波(無線信号)を受信して内部時刻を修正する腕時計であってもよい。
現在、約31個のGPS衛星20(図1においては、約31個のうち4個のみを図示)が存在している。各GPS衛星20は、衛星信号がどのGPS衛星20から送信されたかを識別するために、C/Aコード(Coarse/Acquisition Code)と呼ばれる1023chip(1ms周期)の固有のパターンを衛星信号に重畳する。C/Aコードは、各chipが+1又は−1のいずれかでありランダムパターンのように見える。したがって、衛星信号と各C/Aコードのパターンの相関をとることにより、衛星信号に重畳されているC/Aコードを検出することができる。
GPS衛星20は原子時計を搭載しており、衛星信号には原子時計で計時された極めて正確な時刻情報(以下、「GPS時刻情報」という)が含まれている。
また、地上のコントロールセグメントにより各GPS衛星20に搭載されている原子時計のわずかな時刻誤差が測定されており、衛星信号にはその時刻誤差を補正するための時刻補正パラメータも含まれている。
電子時計100は、1つのGPS衛星20から送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と時刻補正パラメータを使用して内部時刻を正確な時刻に修正する。
衛星信号にはGPS衛星20の軌道上の位置を示す軌道情報も含まれている。電子時計100は、GPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行うことができる。測位計算は、電子時計100の内部時刻にはある程度の誤差が含まれていることを前提として行われる。すなわち、電子時計100の3次元の位置を特定するための3つのパラメータに加えて時刻誤差も未知数になる。そのため、電子時計100は、一般的には4つ以上のGPS衛星からそれぞれ送信された衛星信号を受信し、その中に含まれるGPS時刻情報と軌道情報を使用して測位計算を行う。
図2は、電子時計100の平面図である。図2に示すように、電子時計100は、外装ケース80を備えている。外装ケース80は、金属またはその他の導電性材料で形成された円筒状のケース81に、セラミックまたはその他の非導電性材料で形成されたガラス縁82が嵌合されて構成されている。なお、本実施形態では、外装ケース80を2部品で構成しているが、1部品で構成するようにしてもよい。
ガラス縁82の内周側に、プラスチックまたはその他の非導電性材料で形成されたリング状のダイヤルリング83を介して、円盤状の文字板11が配置されている。文字板11上には、指針軸12を中心に周回して現在時刻を指し示す指針13(13a〜13c)が配置されている。
また、図2に示すように、文字板11上には、小時計14、及び、インジケータ15が配置されている。小時計14は、軸141を中心に回転可能な指針142及び143を備える。指針142及び143は、電子時計100の利用者が予め定めた地域の現在時刻を示す。すなわち、電子時計100は、指針13並びに指針142及び143を備えることにより、2つの地域の現在時刻を同時に表示することができる。インジケータ15は、軸151を中心に回転可能な指針152を備える。指針152は、電子時計100が衛星信号を受信しているときには、電子時計100が実行するモード(つまり、時刻情報取得モード、または、位置情報取得モードのうち、いずれのモードが実行されているか)を示し、衛星信号を受信していないときには、電子時計100が備える二次電池の残容量を示す。なお、電子時計100の利用者は、後述する操作ボタンを用いて、指針152が電子時計100の実行するモードを示す状態、または、指針152が二次電池の残容量を示す状態の、一方の状態から他方の状態に切り替えることができる。電子時計100が備える二次電池については後述する。
文字板11の下部には、日付を表示する日付表示部19が配置されており、文字板11に形成された開口部11aを介して日付表示部19が視認できるようになっている。
以下では、これら文字板11、指針軸12、指針13、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を、時刻表示部と総称する場合がある。
詳細は後述するが、外装ケース80は、表面側及び裏面側の2つの開口を有している。そして、外装ケース80の表面側の開口は、ガラス縁82を介してカバーガラス84で塞がれており、カバーガラス84を介して、文字板11、指針13(13a〜13c)、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19が視認可能となっている。
また、電子時計100は、図1及び図2に示すように竜頭16と、操作ボタン17及び18と、を備えている。これら竜頭16、操作ボタン17及び18を手動操作することにより、電子時計100を、少なくとも1つのGPS衛星20からの衛星信号を受信して内部時刻情報の修正を行うモード(時刻情報取得モード)と、複数のGPS衛星20からの衛星信号を受信して測位計算を行い内部時刻情報の時差を修正するモード(位置情報取得モード)と、に設定できる。また、電子時計100は、時刻情報取得モードや位置情報取得モードを定期的に(自動的に)実行することもできる。
図3は電子時計100の内部構造を示す一部断面図であり、図4は電子時計100の一部の分解斜視図である。
図3に示すように、外装ケース80は、金属またはその他の導電性材料で形成された円筒状のケース81に、セラミックまたはその他の非導電性材料で形成された円筒状のガラス縁82が嵌合されて構成されている。外装ケース80は、表面側の開口K1及び裏面側の開口K2を有する。外装ケース80の表面側の開口K1は、円盤状のカバーガラス84で塞がれており、裏面側の開口K2は、SU(ステンレス)またはTi(チタン)等の金属で形成された裏蓋85で塞がれている。裏蓋85とケース81とは、例えばスクリュー溝で固定されている。
カバーガラス84の下側(裏面側)には、ガラス縁82の内周に沿って、プラスチックなどの非導電性材料で形成されたリング状のダイヤルリング83が設けられている。また、ダイヤルリング83の下側には、ケース81の内周よりも内側に、プラスチックなどの非導電性材料で形成された地板38が設けられている。
これら地板38及びダイヤルリング83と、外装ケース80の内周とによって、ドーナツ状の収納空間が区画されている。収納空間には、環状のアンテナ体40が収納されている。すなわち、アンテナ体40は、ガラス縁82の内周よりも内側に収容され、その上方をダイヤルリング83で覆われている。また、収納空間には、アンテナ体40及び地板38の間に、金属により形成された環状のグランド板90が収容されている。このグランド板90は、図4に示すように、導電性材料で形成された、複数個(例えば、4個)の導通ばね90aを介して、ケース81と電気的に接続されている。
図5を参照しつつ、アンテナ体40の詳細について説明する。図5(A)はアンテナ体40の斜視図であり、図5(B)はアンテナ体40の平面図である。また、図5(C)は、アンテナ体40を図5(B)に示すG−g線で切断した一部断面図である。
アンテナ体40は、環状の誘電体401を基材として、これに金属等の導電性材料から形成されたアンテナパターン402及び403と、金属等の導電性材料から形成された給電部404とを、メッキまたは銀ペースト印刷等により形成したものである。
誘電体401は、酸化チタンなどの高周波で使用可能な誘電材料を樹脂に混ぜることで、比誘電率εrが5〜20程度となるように形成される。
図5(C)に示すように、誘電体401は、上面T1、外周面T2、底面T3、傾斜面TP1、及び、傾斜面TP2により囲まれた、5角形の断面形状を有する。この図に示すように、誘電体401の上面T1には、アンテナパターン402が形成され、傾斜面TP1には、アンテナパターン403が形成されている。また、誘電体401の傾斜面TP1、傾斜面TP2、及び、底面T3には、給電部404が形成されている。アンテナパターン403は、給電部404を介して、給電ピン44に電気的に接続されている。これにより、アンテナ体40のアンテナパターン403には、給電ピン44を介して、所定の電位が供給される。一方、アンテナパターン402に対しては、アンテナ体40の外部から電位が供給されることはない。
図5(B)に示すように、アンテナパターン402は、切欠部405を有し、環状の一部を切り欠いた形状に形成されている。また、アンテナパターン402は、位置情報衛星からの電波(衛星信号)に共振するようなアンテナ長を有している。
なお、GPS衛星20からの電波の周波数は約1.575GHzであり、1波長は約19cmとなる。円偏波を受信するためには、波長の1.0〜1.35倍程度のアンテナ長(すなわち、アンテナパターン402の円周長)が必要であるため、GPS衛星20からの電波を受信するためには、約19〜26cmのループアンテナが必要となる。このようなアンテナ長のループアンテナを腕時計の内部に収める場合、腕時計が大型化してしまう。
これに対して、本実施形態では、比誘電率εrが5〜20程度の誘電体401を基材としてアンテナ体40を形成している。比誘電率εrの誘電体401を用いる場合、当該誘電体401による波長短縮率は(εr)−1/2となる。つまり、比誘電率がεrの誘電体401を備えることで、アンテナ体の受信する電波の波長を(εr)−1/2倍に短縮することができる。すなわち、本実施形態に係るアンテナ体40は、比誘電率εrの誘電体401を備えるため、このような誘電体401を備えない場合に比べて、アンテナ体40のアンテナ長を(εr)−1/2倍にすることができ、アンテナの小型化を図ることができる。
例えば、給電部404と切欠部405とのなす角をΦaとし、切欠部405の長さをΔkとし、無給電素子402の円周長をLとし、受信する円偏波の波長(すなわち、波長短縮後の波長)をλとしたとき、L=1.31λ、Φa=40°、Δk=0.018λとしてもよい。
また、図5(B)に示すように、アンテナパターン403は、平面視して、環状の一部を切り出したいわゆるC型の形状を有し、アンテナパターン402と一定の間隔(例えば、0.01λ程度の間隔)を保つように形成されている。これら2つのアンテナパターン402及び403は、互いに電磁的に結合し、電磁波を電流に変換するアンテナ素子として機能する。
なお、アンテナパターン403の長さを適宜設定することによって、アンテナ体40に電気的に接続された回路との間のインピーダンスを整合することが可能となる。
説明を、図3及び図4に戻す。
図3に示すように、アンテナ体40の内周よりも内側には、光透過性の文字板11、文字板11及び地板38を貫通する指針軸12、及び、指針軸12を中心に周回して現在時刻を指し示す複数の指針13(秒針13a、分針13b、及び、時針13c)が設けられている。より具体的には、図3に示すように、指針軸12は、軸12a、軸12b、及び、軸12cを備え、秒針13aは軸12aを中心に周回し、分針13bは軸12bを中心に周回し、時針13cは軸12cを中心に周回する。
また、図3では図示を省略するが、アンテナ体40の内周よりも内側には、文字板11及び地板38を貫通する軸141、及び、軸141を中心に周回する指針142及び143、並びに、文字板11及び地板38を貫通する軸151、及び、軸151を中心に周回する指針152が設けられている。
指針軸12は、外装ケース80の中心軸(または、アンテナ体40の中心軸)に沿って表裏方向に延在している。また、軸141及び軸151は、外装ケース80の表裏方向に延在している(図4参照)。
文字板11は、円形の板材であり、プラスチックなどの光透過性の非導電性材料で形成されている。図3に示すように、文字板11は、カバーガラス84及び地板38の間に配置されている。文字板11には、指針軸12が貫通する穴、軸141が貫通する穴(図4参照)、及び、軸151が貫通する穴(図4参照)が形成されているとともに、日付表示部19を視認させるための開口部11a(図2及び図4参照)が形成されている。
指針13、指針142及び143、並びに、指針152は、アンテナ体40の内周よりも内側で、且つ、カバーガラス84及び文字板11の間に配置されている。
地板38の下側(裏面側)には、時刻表示部(指針13、指針142及び143、日付表示部19)を駆動するための駆動機構(駆動部)30が取り付けられている。
駆動機構30は、複数のステップモーターM1〜M5を備えるとともに、複数のステップモーターM1〜M5のそれぞれに対応した複数の輪列を備える。各輪列は、1または複数の歯車等により構成されている。なお、以下では、ステップモーターM1〜M5を、ステップモーターMと総称する場合がある。
駆動機構30は、指針軸12を回転させることにより、複数の指針13を駆動する。具体的には、駆動機構30のステップモーターM1は、輪列を介して、秒針13aが指針軸12の周りを60秒で一周するように軸12aを回転させる。また、駆動機構30のステップモーターM2は、輪列を介して、時針13cが指針軸12の周りを12時間で1周するように軸12bを回転させるとともに、分針13bが指針軸12の周りを60分で一周するように軸12cを回転させる。駆動機構30のステップモーターM3は、輪列を介して軸141を回転させることにより、指針142及び143を駆動する。駆動機構30のステップモーターM4は、輪列を介して軸151を回転させることにより、指針152を駆動する。駆動機構30のステップモーターM5は、輪列を介して、日付表示部19の表示を切り替えるように日付表示部19を駆動する。このように、駆動機構30は、時刻表示部を駆動する。
また電子時計100は、外装ケース80の内側に、基板25を備える。基板25は、樹脂や誘電体を含む素材で形成され、駆動機構30の下側(つまり、駆動機構30及び裏蓋85の間)に配置されている。
基板25の下面(裏側の面)には、GPS受信部(無線受信部)26及び制御部70を含む回路ブロックが実装されている。GPS受信部26は、例えば、1チップのICモジュールで構成され、そこにはアナログ回路とデジタル回路とが含まれている。制御部70は、制御信号をGPS受信部26に送り、GPS受信部26の受信動作を制御するとともに、駆動機構30の動作を制御する。
基板25の上側には、金属またはその他の導電性材料で形成された給電ピン44が設けられている。給電ピン44は、スプリングを内蔵し、地板38及びグランド板90に開口された挿通孔を貫通して基板25とアンテナ体40の給電部404とに接触するように設けられている。アンテナ体40の給電部404は、給電ピン44を介して基板25(厳密には、基板25上に設けられた配線)に電気的に接続され、基板25から所定の電位が供給されている。
なお、本実施形態では、スプリングを内蔵した給電ピン44により、基板25と給電部404とを電気的に接続するが、給電ピン44はスプリングを内蔵していないものであってもよい。要するに、給電ピン44は、基板25と給電部404とを電気的に接続する導電体を含んで構成されるものであればどのようなものであってもよい。
GPS受信部26及び制御部70を含む回路ブロックは、導電性材料により形成されたシールド91により覆われている。シールド91は、回路押え39、裏蓋85、及び、ケース81、を介して、グランド板90と電気的に接続されている。また、シールド91には、回路ブロックのグランド電位が供給されている。すなわち、シールド91、裏蓋85、ケース81、及び、グランド板90は、その電位が、回路ブロックのグランド電位に保たれており、グランドプレーンとして機能している。
駆動機構30と地板38との間には、耐磁板S1及びS2が設けられ、駆動機構30と基板25との間には、耐磁板S3が設けられている。以下では、耐磁板S1及びS2を第1耐磁板と総称し、耐磁板S3を第2耐磁板と称する場合がある。これら耐磁板S1〜S3は、純鉄等の高い透磁率を有する導電性材料から形成される。
電子時計100の外部に、スピーカー等の強い磁界を発生させる物体が存在する場合、当該磁界の影響により、ステップモーターMが誤作動する可能性がある。また、電子時計100を構成する各種構成要素のうち、ケース81、裏蓋85等の金属は、磁化された場合に磁界を発生させる。さらには、基板25に設けられた回路ブロックも、磁界を発生させることがある。
本実施形態では、高い透磁率を有する材料から形成される耐磁板S1〜S3により、ステップモーターMを覆うことにより、駆動機構30を磁気的にシールドし、上述した各種磁界に起因してステップモーターMが誤作動することを防止している。
また電子時計100は、外装ケース80の内側に、リチウムイオン電池などの円柱形状の二次電池27、当該二次電池27を収納するための電池収納部28、及び、光発電を行うソーラーパネル87を備える。
ソーラーパネル87は、光エネルギーを電気エネルギー(電力)に変換する複数のソーラーセル(光発電素子)を直列接続した円形の平板である。ソーラーパネル87は、アンテナ体40の内周よりも内側で、地板38と文字板11との間に配置されている。ソーラーパネル87の中央部には、指針軸12が貫通する穴、軸141が貫通する穴(図4参照)、及び、軸151が貫通する穴(図4参照)が形成されているとともに、日付表示部19を視認させるための開口部87a(図2及び図4参照)が形成されている。
二次電池27は、ソーラーパネル87が発電した電力で充電される。この二次電池27を収納するための電池収納部28は、基板25の下側(つまり、基板25及び裏蓋85の間)に配置されている。
なお、外装ケース80の外側には、竜頭16と、操作ボタン17及び18とが設けられる(図2参照)。電子時計100の利用者が、竜頭16を操作することで生じる竜頭16の動きは、外装ケース80を貫通する巻真16aを介して、駆動機構30に伝達される。また、電子時計100の利用者が、操作ボタン17(または18)を押下することで生じる操作ボタン17(または18)の動きは、外装ケース80を貫通するボタン軸17a(またはボタン軸18a)を介して(図6参照)、図示省略されたスイッチに伝達される。そして、当該スイッチは、操作ボタン17(または18)からの圧力を電気的な信号に変換して、制御部70に伝達する。
以下では、これら、竜頭16、巻真16a、操作ボタン17及び18、並びに、ボタン軸17a及び18aを、操作部と総称する場合がある。
図6は、平面視したとき(すなわち、文字板11に垂直な方向から電子時計100を見たとき)の、外装ケース80、アンテナ体40、給電ピン44、二次電池27(電池収納部28)、及び、操作部(竜頭16、巻真16a、操作ボタン17及び18、ボタン軸17a及び18a)の位置関係を説明するための説明図である。
図6に示すように、電池収納部28は、平面視したときに、二次電池27(電池収納部28に収納された二次電池27)とアンテナ体40とが重ならないような位置に配置される。また、給電ピン44は、平面視したときに、電池収納部28に収納された二次電池27と重ならない位置に配置される。
なお、構造上の理由から、電池収納部28は、平面視して操作部(より具体的には、操作部のうち巻真16a)と重なる位置に配置することができない。また、給電ピン44も、平面視して操作部(より具体的には、操作部のうち巻真16a、ボタン軸17a及び18a)と重なる位置に配置することができない。よって、電池収納部28及び給電ピン44は、平面視して操作部と重ならないように配置される。また、構造上の理由から、電池収納部28は、GPS受信部26及び制御部70を含む回路ブロック(図6では図示省略)と平面視して重ならないように配置される。
アンテナ体40は、アンテナ体40とは異なる電位を有するグランド板90との間で共振することで、位置情報衛星からの電波を受信する。よって、アンテナ体40の受信性能を良好に保つためには、アンテナ体40とグランド板90との間の共振周波数を一定に保つことが必要である。
二次電池27が、アンテナ体40または給電ピン44の近傍に位置する場合、二次電池27及びアンテナ体40の間、または、二次電池27及び給電ピン44の間に、容量が寄生することがある。そして、当該寄生容量と、アンテナ体40の容量とが結合する場合、アンテナ体40とグランド板90との間の共振周波数が変化するため、アンテナ体40が良好な受信性能を維持できなくなる。
また、二次電池27は、GPS衛星20からの電波(衛星信号)を含む電磁波を吸収または反射する。よって、二次電池27が、アンテナ体40の近傍に位置する場合、アンテナ体40が良好な受信性能を維持できなくなる。特に、アンテナ体40の利得は、アンテナ体40の中心から見て給電部404が設けられている方向が最大となる(すなわち、アンテナ体40の中心から見て給電部404が設けられている方向がアンテナ体40の最大放射方向に該当する)。そのため、給電部404に接続する給電ピン44が、二次電池27の近傍に位置する場合、アンテナ体40の受信性能が大きく劣化することになる。
このような、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響の大きさは、二次電池27とアンテナ体40との距離が短い場合、または、二次電池27と給電ピン44との距離が短い場合に、大きくなる。
これに対して、本実施形態では、アンテナ体40が平面視して二次電池27と重ならないような位置に配置されるとともに、給電ピン44が平面視して二次電池27と重ならないような位置に配置される。すなわち、本実施形態は、アンテナ体40及び二次電池27が平面視して重なる場合に比べ、アンテナ体40及び二次電池27の間の距離を長くすることができる。また、本実施形態は、給電ピン44及び二次電池27が平面視して重なる場合に比べ、給電ピン44及び二次電池27の間の距離を長くすることができる。
従って、本実施形態では、二次電池27とアンテナ体40または給電ピン44との間に容量が寄生する可能性を低く抑え、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑えることができ、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
ここで、図6に示す平面上において、給電ピン44及び指針軸12を結ぶ線分を線分Lpxと称し、電池収納部28に収納された二次電池27の中心Bと指針軸12とを結ぶ線分を線分Lbxと称する。このとき、給電ピン44は、平面視してアンテナ体40と重なる位置であって、且つ、線分Lbxと線分Lpxとのなす角度θが90度以上で且つ180度以下となるような位置に配置される。
角度θが90度以上で且つ180度以下のとなる位置に給電ピン44を配置する場合、角度θが90度よりも小さくなるような位置に給電ピン44を配置する場合に比べて、給電ピン44と、二次電池27との間の距離を長くすることができる。これにより、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑え、アンテナ体40の受信性能の低下を抑止することができる。
なお、本実施形態では、図6に示すように、竜頭16及び巻真16aが、指針軸12を中心として3時の方向に設けられている。より詳細には、竜頭16及び巻真16aは、平面視したときに、指針軸12を端点として、文字板11の3時の位置(例えば、図2に示す、文字板11に設けられた3時を表す目盛)を通る半直線L3と交差する位置に設けられている。
また、本実施形態では、図6に示すように、操作ボタン17及びボタン軸17aは、指針軸12を中心として2時の方向(つまり、指針軸12を端点として、文字板11の2時の位置を通る半直線L2と交差する位置)に設けられ、操作ボタン18及びボタン軸18aは、指針軸12を中心として4時の方向(つまり、指針軸12を端点として、文字板11の4時の位置を通る半直線L4と交差する位置)に設けられている。
すなわち、本実施形態に係る操作部は、平面視して1時から5時の範囲に含まれるように設けられている。換言すれば、操作部は、指針軸12を端点として文字板11の1時の位置を通る半直線L1よりも図において右側で、且つ、指針軸12を端点として文字板11の5時の位置を通る半直線L5よりも図において右側の領域に含まれるように設けられている。
上述のとおり、電池収納部28は、平面視して巻真16aと重ならない位置に配置される必要があり、給電ピン44は、平面視して巻真16a、ボタン軸17a及び18aと重ならない位置に配置される必要がある。そこで、本実施形態では、電池収納部28及び給電ピン44を、平面視して6時から12時の範囲に配置する。
より詳細には、給電ピン44は、平面視したときに、アンテナ体40と重なる位置のうち、指針軸12を端点として文字板11の6時の位置を通る半直線L6と交差する位置、指針軸12を端点として文字板11の12時の位置を通る半直線L12と交差する位置、または、半直線L6及び半直線L12よりも文字板11の9時側の位置に設けられている。
同様に、電池収納部28は、平面視したときに、電池収納部28に収納された二次電池27の中心Bが、半直線L6と交差する位置、半直線L12と交差する位置、または、半直線L6及び半直線L12よりも文字板11の9時側の位置に設けられている。
上述のとおり、給電ピン44は、線分Lbxと線分Lpxとのなす角度θが90度以上で且つ180度以下となるような位置に配置される。従って、例えば、二次電池27の中心Bが12時の方向に位置するように電池収納部28が設けられる場合、給電ピン44は、6時から9時の範囲(6時の方向及び9時の方向を含む)に設けられる。逆に、二次電池27の中心Bが6時の方向に位置するように電池収納部28が設けられる場合、給電ピン44は、9時から12時の範囲(9時の方向及び12時の方向を含む)に設けられる。
本実施形態では、図6に示すように、電池収納部28は、二次電池27の中心Bが12時の方向に位置するように設けられ、給電ピン44は、9時の方向に設けられる。
なお、給電ピン44の配置位置については、後述する耐磁板S1〜S3との関係によっても制約を受ける。
すなわち、給電ピン44の位置は、上述した、二次電池27及び操作部の間の相対的な位置関係を考慮することに加え、後述する耐磁板S1〜S3との間の相対的な位置関係をも考慮して、決定されている。
図7は、平面視したときの、アンテナ体40、給電ピン44、二次電池27、耐磁板S1及びS2、並びに、ステップモーターM1〜M5の位置関係を表す説明図である。図8は、平面視したときの、アンテナ体40、給電ピン44、二次電池27、耐磁板S3、及び、ステップモーターM1〜M5の位置関係を表す説明図である。
図7に示すように、耐磁板S1及びS2は、平面視して、各ステップモーターMの少なくとも一部と重なるように設けられる。また、図8に示すように、耐磁板S3は、平面視して、各ステップモーターMの少なくとも一部と重なるように設けられる。これにより、各ステップモーターMは、駆動機構30の外部から発せられる磁界から磁気的にシールドされ、当該磁界に起因するステップモーターMの誤作動を防止することが可能となる。
しかし、耐磁板S1〜S3及びアンテナ体40の間、または、耐磁板S1〜S3及び給電ピン44の間には、容量が寄生することがある。そして、当該寄生容量と、アンテナ体40の容量とが結合する場合、アンテナ体40とグランド板90との間の共振周波数が変化するため、アンテナ体40が良好な受信性能を維持できなくなる。
また、耐磁板S1〜S3は、GPS衛星20からの電波(衛星信号)を含む電磁波を吸収する。そのため、電子時計100が耐磁板S1〜S3を備える場合、耐磁板S1〜S3を備えない場合に比べて、GPS衛星20からの電波のうちアンテナ体40が受信する電波の強度が低下し、アンテナ体40の受信性能が低下することがある。
図9を参照しつつ、耐磁板を設けることと、アンテナ体40の受信性能との関係について説明する。
図9において、実線で表された曲線CAは、電子時計100が耐磁板S2及びS3を備え、耐磁板S1を備えない場合に測定された、アンテナ体40の指向特性を表している。また、破線で表された曲線CBは、電子時計100が耐磁板S1〜S3を備える場合に測定された、アンテナ体40の指向特性を表している。なお、この図では、曲線CAで表されるアンテナ体40の利得の最大値が0dBとなるように、アンテナ体40の利得を示す値を正規化している。
曲線CAに示されるように、電子時計100が耐磁板S1を備えない場合の、アンテナ体40の利得の最大値は0dBicであり、平均値は−2.9dBicである。一方、曲線CBに示されるように、電子時計100が耐磁板S1を備える場合の、アンテナ体40の利得の最大値は−0.5dBicであり、平均値は−3.4dBicである。図9に示す測定結果から、電子時計100が耐磁板S1を備える場合には、備えない場合に比べて、アンテナ体40の利得の最大値が0.5dBic低下し、平均値が0.5dBic低下することを、読み取ることができる。すなわち、アンテナ体40の受信性能を向上させるためには、電子時計100は耐磁板を備えないことが望ましい。
しかし、上述のとおり、耐磁板S1〜S3は、ステップモーターMの誤作動防止の観点から必要な構成要素である。従って、耐磁板S1〜S3を備えてステップモーターMの誤作動防止を図りつつ、アンテナ体40の受信性能の劣化を最小限に抑えるようにすることが必要となる。
耐磁板S1〜S3がアンテナ体40の受信性能に及ぼす影響の大きさは、アンテナ体40と耐磁板S1〜S3との距離が短くなるにしたがって大きくなり、また、給電ピン44と耐磁板S1〜S3との距離が短くなるにしたがって大きくなる。
本実施形態では、図7及び図8に示すように、アンテナ体40を、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならない位置に配置する。この場合、アンテナ体40が、平面視して耐磁板S1〜S3と重なる位置に設けられる場合に比べて、アンテナ体40及び耐磁板S1〜S3の間の距離を長くすることができる。
上述のとおり、アンテナ体40の利得は、アンテナ体40の中心から見て給電部404が設けられている方向が最大となる。そのため、給電部404に接続する給電ピン44が、耐磁板S1〜S3の近傍に位置する場合、アンテナ体40の受信性能が大きく劣化することになる。これに対して、本実施形態では、給電ピン44を、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならない位置に配置する。この場合、給電ピン44が、平面視して耐磁板S1〜S3と重なる位置に設けられる場合に比べて、給電ピン44及び耐磁板S1〜S3の間の距離を長くすることができる。
このように、本実施形態では、アンテナ体40及び給電ピン44と、耐磁板S1〜S3との距離を長くするため、耐磁板S1〜S3がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑え、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
また、本実施形態において、給電ピン44は、平面視したときの給電ピン44と耐磁板S1〜S3との距離が、所定の長さよりも長くなるような位置に設けられる。より具体的には、給電ピン44は、平面視したときの給電ピン44と耐磁板S1との距離ΔS1、平面視したときの給電ピン44と耐磁板S2との距離ΔS2、及び、平面視したときの給電ピン44と耐磁板S3との距離ΔS3が、いずれも、給電ピン44の長さΔPよりも長くなるような位置に配置される。これにより、給電ピン44と、耐磁板S1〜S3との間の距離を長くすることができ、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。なお、給電ピン44の長さΔPとは、厳密には、図3に示すように、給電ピン44が基板25及びアンテナ体40の間に配置されている状態における給電ピン44の長さである。
以下では、距離ΔS1〜ΔS3のいずれもが給電ピン44の長さΔPよりも長くなることを、第1条件と称する場合がある。
また、本実施形態において、給電ピン44及び耐磁板S1〜S3は、距離ΔS1及び距離ΔS2が、距離ΔS3以上となるように配置される。すなわち、給電ピン44及び耐磁板S1〜S3は、「ΔS1≧ΔS2>ΔS3」、または、「ΔS2≧ΔS1>ΔS3」、のいずれかの条件を満たすように配置される。例えば、図7及び図8では、給電ピン44及び耐磁板S1〜S3が、「ΔS1≧ΔS2>ΔS3」となるように配置される場合を例示している。
なお、以下では、距離ΔS1及び距離ΔS2が距離ΔS3よりも長くなることを、第2条件と称する場合がある。
耐磁板S3は、GPS受信部26及び制御部70を含む回路ブロックからのノイズをシールドする。よって、ステップモーターMの誤作動防止という観点からは、耐磁板S1及びS2に比べ、耐磁板S3がより重要な役割を果たす場合が多い。そのため、耐磁板S3は、各ステップモーターMのできるだけ多くの部分を覆うように配置されることが望ましい。この場合、給電ピン44及び耐磁板S3の間に、十分な距離を確保できないことがある。
本実施形態では、距離ΔS3を十分な長さにすることができない場合であっても、少なくとも距離ΔS1及び距離ΔS2が距離ΔS3よりも長くなるように、給電ピン44と耐磁板S1及びS2とを配置する。これにより、ステップモーターMの誤作動を防止しつつ、耐磁板S1及びS2がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑えることが可能となる。
また、本実施形態において、給電ピン44及び耐磁板S1〜S3は、距離ΔS1及び距離ΔS2が、平面視したときの給電ピン44と二次電池27との距離ΔBよりも長くなるような位置に配置される。
なお、以下では、距離ΔS1及び距離ΔS2が距離ΔBよりも長くなることを、第3条件と称する場合がある。
二次電池27は、基板25よりも下側に配置される。一方、耐磁板S1〜S3は、基板25よりも上側に設けられる。そのため、基板25よりも上側に配置される給電ピン44は、二次電池27からのノイズよりも、耐磁板S1〜S3からのノイズの影響を受けやすい。つまり、耐磁板S1〜S3がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響の大きさは、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響の大きさに比べて、大きい。
本実施形態では、距離ΔS1及び距離ΔS2を距離ΔBよりも長くするため、耐磁板S1〜S3及び二次電池27が、アンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響の大きさを、全体として低減させることができ、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことが可能となる。
<B:アンテナ内蔵式電子時計の回路構成>
図10は、電子時計100の回路構成を示すブロック図である。図10に示すように、電子時計100は、GPS受信部26及び制御表示部36を含んで構成されている。GPS受信部26は、衛星信号の受信、GPS衛星20の捕捉、位置情報の生成、時刻修正情報の生成等の処理を行う。制御表示部36は、内部時刻情報の保持及び内部時刻情報の修正等の処理を行う。
ソーラーパネル87は、充電制御回路29を通じて二次電池27を充電する。電子時計100はレギュレータ34及び35を備え、二次電池27は、レギュレータ34を介して制御表示部36に、レギュレータ35を介してGPS受信部26に駆動電力を供給する。また電子時計100は、二次電池27の電圧を検出する電圧検出回路37を備える。なお、レギュレータ35に代えて、例えば、RF部50(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ35−1と、ベースバンド部60(詳細は後述)に駆動電力を供給するレギュレータ35−2(ともに図示せず)とに分けて設けてもよい。レギュレータ35−1は、RF部50の内部に設けてもよい。
また電子時計100は、アンテナ体40、及び、SAW(Surface Acoustic Wave:表面弾性波)フィルタ32を含む。アンテナ体40は、図1で説明したように、複数のGPS衛星20からの衛星信号を受信する。ただし、アンテナ体40は衛星信号以外の不要な電波も若干受信してしまうため、SAWフィルタ32は、アンテナ体40が受信した信号から衛星信号を抽出する処理を行う。すなわち、SAWフィルタ32は、1.5GHz帯の信号を通過させるバンドパスフィルタとして構成される。
また、GPS受信部26は、RF(Radio Frequency:無線周波数)部50とベースバンド部60を含んで構成されている。以下に説明するように、GPS受信部26は、SAWフィルタ32が抽出した1.5GHz帯の衛星信号から航法メッセージに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する処理を行う。
RF部50は、LNA(Low Noise Amplifier)51、ミキサ52、VCO(Voltage Controlled Oscillator)53、PLL(Phase Locked Loop)回路54、IFアンプ55、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)フィルタ56、ADC(A/D変換器)57等を含んで構成されている。
SAWフィルタ32が抽出した衛星信号は、LNA51で増幅される。LNA51で増幅された衛星信号は、ミキサ52でVCO53が出力するクロック信号とミキシングされて中間周波数帯の信号にダウンコンバートされる。PLL回路54は、VCO53の出力クロック信号を分周したクロック信号と基準クロック信号を位相比較してVCO53の出力クロック信号を基準クロック信号に同期させる。その結果、VCO53は基準クロック信号の周波数精度の安定したクロック信号を出力することができる。なお、中間周波数として、例えば、数MHzを選択することができる。
ミキサ52でミキシングされた信号は、IFアンプ55で増幅される。ここで、ミキサ52でのミキシングにより、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も生成される。そのため、IFアンプ55は、中間周波数帯の信号とともに数GHzの高周波信号も増幅する。IFフィルタ56は、中間周波数帯の信号を通過させるとともに、この数GHzの高周波信号を除去する(正確には、所定のレベル以下に減衰させる)。IFフィルタ56を通過した中間周波数帯の信号はADC(A/D変換器)57でデジタル信号に変換される。
ベースバンド部60は、DSP(Digital Signal Processor)61、CPU(Central Processing Unit)62、SRAM(Static Random Access Memory)63、RTC(リアルタイムクロック)64を含んで構成されている。また、ベースバンド部60には、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO:Temperature Compensated Crystal Oscillator)65やフラッシュメモリ66等が接続されている。
温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65は、温度に関係なくほぼ一定の周波数の基準クロック信号を生成する。フラッシュメモリ66には、例えば時差情報が記憶されている。時差情報は、時差データ(座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられたUTCに対する補正量等)が定義された情報である。
ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、RF部50のADC57が変換したデジタル信号(中間周波数帯の信号)からベースバンド信号を復調する処理を行う。
また、ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードに設定されると、後述する衛星検索工程において、各C/Aコードと同一のパターンのローカルコードを発生し、ベースバンド信号に含まれる各C/Aコードとローカルコードの相関をとる処理を行う。そして、ベースバンド部60は、各ローカルコードに対する相関値がピークになるようにローカルコードの発生タイミングを調整し、相関値が閾値以上となる場合にはそのローカルコードのGPS衛星20に同期(すなわち、GPS衛星20を捕捉)したものと判断する。ここで、GPSシステムでは、すべてのGPS衛星20が異なるC/Aコードを用いて同一周波数の衛星信号を送信するCDMA(Code Division Multiple Access)方式を採用している。したがって、受信した衛星信号に含まれるC/Aコードを判別することで、捕捉可能なGPS衛星20を検索することができる。
また、ベースバンド部60は、時刻情報取得モード又は位置情報取得モードにおいて、捕捉したGPS衛星20の衛星情報を取得するために、当該GPS衛星20のC/Aコードと同一のパターンのローカルコードとベースバンド信号をミキシングする処理を行う。ミキシングされた信号には、捕捉したGPS衛星20の衛星情報を含む航法メッセージが復調される。そして、ベースバンド部60は、航法メッセージの各サブフレームのTLMワード(プリアンブルデータ)を検出し、各サブフレームに含まれる軌道情報やGPS時刻情報等の衛星情報を取得する(例えばSRAM63に記憶する)処理を行う。ここで、GPS時刻情報は、週番号データ(WN)及びZカウントデータであるが、以前に週番号データが取得されている場合にはZカウントデータのみであってもよい。そして、ベースバンド部60は、衛星情報に基づいて、内部時刻情報を修正するために必要な時刻修正情報を生成する。
時刻情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報に基づいて測時計算を行い、時刻修正情報を生成する。時刻情報取得モードにおける時刻修正情報は、例えば、GPS時刻情報そのものであってもよいし、GPS時刻情報と内部時刻情報との時間差の情報であってもよい。
一方、位置情報取得モードの場合、より具体的には、ベースバンド部60は、GPS時刻情報や軌道情報に基づいて測位計算を行い、位置情報(より具体的には、受信時に電子時計100が位置する場所の緯度及び経度)を取得する。さらに、ベースバンド部60は、フラッシュメモリ66に記憶されている時差情報を参照し、位置情報により特定される電子時計100の座標値(例えば、緯度及び経度)に関連づけられた時差データを取得する。このようにして、ベースバンド部60は、時刻修正情報として衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データを生成する。位置情報取得モードにおける時刻修正情報は、上記の通り、GPS時刻情報と時差データそのものであってもよいが、例えば、GPS時刻情報の代わりに内部時刻情報とGPS時刻情報の時間差のデータであってもよい。
なお、ベースバンド部60は、1つのGPS衛星20の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよいし、複数のGPS衛星20の衛星情報から時刻修正情報を生成してもよい。
また、ベースバンド部60の動作は、温度補償回路付き水晶発振回路(TCXO)65が出力する基準クロック信号に同期する。RTC64は、衛星信号を処理するためのタイミングを生成するものである。このRTC64は、TCXO65から出力される基準クロック信号でカウントアップされる。
制御表示部36は、制御部70、駆動回路74及び水晶振動子73を含んで構成されている。
制御部70は、記憶部71、RTC(Real Time Clock)72を備え、各種制御を行う。制御部70は、例えばCPUで構成することが可能である。制御部70は、制御信号をGPS受信部26に送り、GPS受信部26の受信動作を制御する。また制御部70は、電圧検出回路37の検出結果に基づいて、レギュレータ34及びレギュレータ35の動作を制御する。また制御部70は、駆動回路74を介してすべての指針13の駆動を制御するとともに、駆動回路74を介して指針142及び143並びに日付表示部19の駆動を制御する。
記憶部71には受信データが記憶されている。制御部70はその受信データに基づいて内部時刻情報を修正する。内部時刻情報は、電子時計100で計時される時刻の情報であり、常時駆動されているRTC72でカウントされており、水晶振動子73によって生成される基準クロック信号によって更新される。したがって、GPS受信部26への電力供給が停止されていても、内部時刻情報を更新して指針の運針を継続することができるようになっている。
制御部70は、時刻情報取得モードに設定されると、GPS受信部26の動作を制御し、GPS時刻情報に基づいて内部時刻情報を修正して記憶部71に記憶する。より具体的には、内部時刻情報は、取得したGPS時刻情報にUTCオフセットを加算することで求められるUTC(協定世界時)に修正される。また、制御部70は、位置情報取得モードに設定されると、GPS受信部26の動作を制御し、衛星時刻データ(GPS時刻情報)及び時差データに基づいて、内部時刻情報を修正して記憶部71に記憶する。
<C:実施形態の利点>
以上のように、本実施形態によれば、二次電池27は、平面視してアンテナ体40と重ならない位置に配置される。すなわち、本実施形態は、アンテナ体40及び二次電池27が平面視して重なる場合と比較して、アンテナ体40及び二次電池27の間の距離が長く、二次電池27がアンテナ体40の受信性能に対して及ぼす影響を小さく抑えることができるため、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことができる。
また、本実施形態では、給電ピン44は、平面視して二次電池27と重ならない位置に配置される。すなわち、本実施形態は、給電ピン44及び二次電池27が平面視して重なる場合と比較して、給電ピン44及び二次電池27の間の距離が長く、二次電池27が給電ピン44を介してアンテナ体40に対して及ぼす影響を小さく抑えることができるため、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことができる。
さらに、本実施形態では、給電ピン44は、線分Lbxと線分Lpxとのなす角度θが90度以上で且つ180度以下となるような位置に配置される。すなわち、本実施形態は、角度θが90度未満となる場合と比較して、給電ピン44及び二次電池27の間の距離が長く、二次電池27が給電ピン44を介してアンテナ体40に対して及ぼす影響を小さく抑えることができるため、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことができる。
また、本実施形態では、アンテナ体40は、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならない位置に配置され、給電ピン44は、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならない位置に配置される。すなわち、本実施形態は、給電ピン44またはアンテナ体40が、平面視して耐磁板S1〜S3と重なる位置に設けられる場合と比較して、給電ピン44及びアンテナ体40と、耐磁板S1〜S3との間の距離が長く、耐磁板S1〜S3がアンテナ体40に対して及ぼす影響を小さく抑えることができるため、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことができる。
また、本実施形態では、給電ピン44は、第1条件〜第3条件を満たすような位置に配置される。すなわち、本実施形態は、第1条件〜第3条件が満たされない場合と比較して、給電ピン44及びアンテナ体40と、耐磁板S1〜S3との間の距離が長く、耐磁板S1〜S3がアンテナ体40に対して及ぼす影響を小さく抑えることができるため、アンテナ体40の受信性能を良好に保つことができる。
<変形例>
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、例えば次に述べるような各種の変形が可能である。また、次に述べる変形の態様は、任意に選択された一または複数を、適宜に組み合わせることもできる。
<変形例1>
上述した実施形態において、給電ピン44は、線分Lbxと線分Lpxとのなす角度θが90度以上で且つ180度以下となるような位置に配置されるが、平面視したときの給電ピン44と電池収納部28に収納された二次電池27との距離ΔBが、給電ピン44の長さΔPよりも長くなるような位置に配置されるものであってもよい。
また、例えば、図11に示すように、平面視したときに、給電ピン44及び指針軸12を結ぶ線分Lpxの長さが、電池収納部28に収納された二次電池27の中心Bと給電ピン44とを結ぶ線分Lpbの長さ以下となるような位置に、給電ピン44が配置されるものであってもよい。
図11に示す例の場合、線分Lpb及び線分Lpxの長さが等しくなるのは、給電ピン44を、指針軸12を中心として2時半の方向または9時半の方向に配置した場合である。よって、給電ピン44は、指針軸12を中心として2時半から9時半の範囲に設けられれば良い。但し、給電ピン44は、平面視して巻真16a、ボタン軸17a及び18aと重なる位置には設けられない。そのため、給電ピン44は、指針軸12を中心として2時半から5時の範囲を除外した5時から9時半の範囲に設けられれば良い。
なお、本変形例においても、上述した給電ピン44と耐磁板S1〜S3との位置関係についても別途考慮して、給電ピン44の配置位置を定める必要がある。
<変形例2>
上述した実施形態及び変形例において、二次電池27は円柱形状を有するものであるが、円柱形状以外の形状であってもよい。例えば、四角柱等の角柱形状を有するものであってもよい。
また、二次電池27の中心Bは、平面視したときの二次電池27の幾何学的な重心を表す位置であってもよい。
<変形例3>
上述した実施形態及び変形例において、給電ピン44は、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならい位置で、且つ、第1条件〜第3条件を充足する位置に配置されるが、第1条件〜第3条件をいずれも考慮せずに、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならいという条件のみを考慮して配置されるものであってもよい。また、給電ピン44は、平面視して耐磁板S1〜S3と重ならい位置で、且つ、第1条件〜第3条件のうちの少なくとも1つの条件を充足する位置に配置されるものであってもよい。
<変形例4>
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100は、3つの耐磁板S1〜S3を備えるが、3つの耐磁板S1〜S3のうち少なくとも1つを備えるものであればよい。
<変形例5>
上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体40は、図5(C)に示すように、上面T1、外周面T2、底面T3、傾斜面TP1、及び、傾斜面TP2により囲まれた、5角形の断面形状を有する誘電体401を基材として形成されるが、アンテナ体の基材となる誘電体は、5角形以外の断面形状を有するものであってもよい。例えば、電子時計100は、図12に示すように、4角形の断面形状を有する誘電体401aを基材とするアンテナ体40aを備えるものであってもよい。このアンテナ体40aは、誘電体401aの上面にアンテナパターン402a及び403aが形成され、誘電体401aの内周面に給電部404aが形成されている。アンテナパターン403aは、給電部404aを介して、給電ピン44に電気的に接続されている。そのため、アンテナパターン403aには、給電ピン44を介して、所定の電位が供給されている。
また、上述した実施形態及び変形例において、アンテナパターン402(または402a)は、切欠部405(または切欠部405a)を有し、環状の一部を切り欠いた形状に形成されているが、切欠部405(または切欠部405a)を有さず、環状の形状に形成されるものであってもよい。
<変形例6>
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100は、操作ボタン17及び18並びにボタン軸17a及び18aを備えるが、操作ボタン17及び18並びにボタン軸17a及び18aを備えずに構成されるものであってもよい。
この場合、給電ピン44は、平面視したときに、電池収納部28に収納された二次電池27、巻真16a、及び、耐磁板S1〜S3と重ならない位置に設けられるものであればよい。
<変形例7>
上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体40(またはアンテナ体40a)は、無給電のアンテナパターン402(または402a)と、所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403(または403a)とを具備するが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、無給電のアンテナパターン402(または402a)を備えず、所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403(または403a)のみを具備するものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図13(A)及び(B)に示すように、誘電体401の傾斜面TP1上に、給電部404bを介して給電ピン44から所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403bが形成されたアンテナ体40bを備えるものであってもよい。このアンテナ体40bは、アンテナパターン403bが衛星信号に共振するようなアンテナ長に設定されており、無給電のアンテナパターンを備えない。なお、この図では、アンテナパターン403bは切欠部405bを有したC型の形状となるように形成されているが、切欠部405bを有さずに環状の形状(O型の形状)に形成されるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図14に示すように、4角形の断面形状を有する誘電体401aの上面に、給電部404cを介して給電ピン44から所定の電位の給電を受けるアンテナパターン403cが形成されたアンテナ体40cを備えるものであってもよい。このアンテナ体40cは、アンテナパターン403cが衛星信号に共振するようなアンテナ長に設定されており、無給電のアンテナパターンを備えない。
また、上述した実施形態及び変形例において、アンテナ体40(または、40a、40b、40c)は、1か所の給電部404(または、404a、404b、404c)から給電されるが、2か所の給電部から平衡給電されるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図15に示すように、誘電体401bの上面に形成されたアンテナパターン403dと、アンテナパターン403dに電気的に接続される2つの給電部404d及び405dとを具備するアンテナ体40dを備えるものであってもよい。アンテナ体40dは、2つの給電部404d及び405dに電気的に接続される2つの給電ピン44a及び44bを介して平衡給電される。この場合、電子時計100は、平衡−不平衡変換素子であるバランを備えることが好ましい。バランは、給電ピン44a及び44bを介してアンテナ体40bから出力される平衡信号を、不平衡信号に変換したうえで、GPS受信部26に出力する。
<変形例8>
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100は、グランド板90を備えるが、グランド板90を備えないものであってもよい。この場合には、裏蓋85及びケース81が、グランド板として機能する。従って、アンテナ体40とグランド板(裏蓋85、及び、ケース81)との間の電位差を一定に保ち、且つ、アンテナ体40とグランド板との間の共振周波数を一定に保つことで、アンテナ体40の安定した受信性能を確保することができる。
<変形例9>
上述した実施形態及び変形例において、電子時計100の操作部は、竜頭16、巻真16a、操作ボタン17及び18、並びに、ボタン軸17a及び18aを備えるが、操作部は、これらのうちの一部のみを備えるものであってもよいし、これら以外の要素を含んで構成されるものであってもよい。
例えば、電子時計100は、図16に示すように、10時の方向に設けられた操作ボタン171を有するものであってもよい。この場合、電池収納部28及び給電ピン44は、平面視して操作ボタン171のボタン軸(図示省略)と重ならない位置に設けられればよい。
<変形例10>
上述した実施形態及び変形例において、時刻表示部は、文字板11、指針軸12、指針13、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を備えるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、時刻表示部は、少なくとも、文字板11、指針軸12、指針13を備えるものであればよい。
時刻表示部が、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19を備えない場合、駆動機構30は、複数のステップモーターM1〜M5のうち、指針軸12を駆動するステップモーターM1及びM2を備えるものであればよく、軸141、軸151、及び、日付表示部19を駆動するためのステップモーターM3〜M5を備える必要はない。また、この場合、耐磁板S1〜S3は、ステップモーターM1及びM2のみを覆う範囲に設けられればよい。
<変形例11>
上述した実施形態及び変形例において、給電ピン44は、基板25よりも上側に設けられるが、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、給電ピン44は、その一部が基板25よりも下側に位置するように設けられるものであっても構わない。
<変形例12>
上述した実施形態及び変形例において、時刻表示部は、文字板11、指針軸12、及び、指針13(または、これらに加えて、小時計14、インジケータ15、及び、日付表示部19)を備えるが、時刻表示部は、更に、液晶パネルを備えるものであってもよい。
100……アンテナ内蔵式電子時計、11……文字板、12……指針軸、13(13a,13b,13c)……指針、16……竜頭、16a……巻真、26……GPS受信部、27……二次電池、28……電池収納部、30……駆動機構、38……地板、40……アンテナ体、44……給電ピン、70……制御部、80……外装ケース、81……ケース、82……ガラス縁、83……ダイヤルリング、84……カバーガラス、85……裏蓋、87……ソーラーパネル、90……グランド板、S1〜S3……耐磁板。

Claims (14)

  1. 外装ケースと、
    前記外装ケースに収納され、信号を受信するアンテナ体と、
    前記外装ケースに収納され、文字板と、指針軸を中心に回転可能な指針と、を具備する時刻表示部と、
    前記外装ケースに収納された基板と、
    記基板及び前記文字板の間に設けられ、前記指針を駆動するステップモーターを具備する駆動部と、
    前記アンテナ体に設けられた給電部と前記基板とを電気的に接続する給電体と、
    少なくとも前ステップモーター及び前記基板の間に設けられた耐磁板と、
    を備え、
    前記基板には、前記アンテナ体で受信した信号を処理する受信部が設けられ、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と、前記耐磁板とは、重ならない、
    ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
  2. 外装ケースと、
    前記外装ケースに収納され、信号を受信するアンテナ体と、
    前記外装ケースに収納され、文字板と、指針軸を中心に回転可能な指針と、を具備する時刻表示部と、
    前記外装ケースに収納された基板と、
    記基板及び前記文字板の間に設けられ、前記指針を駆動するステップモーターを具備する駆動部と、
    前記アンテナ体に設けられた給電部と前記基板とを電気的に接続する給電体と、
    前記文字板に垂直な方向において、
    前記ステップモーター及び前記アンテナ体の間、または、前記ステップモーター及び前記基板の間のうち、少なくとも一方に設けられた耐磁板と、
    を備え、
    前記基板には、前記アンテナ体で受信した信号を処理する受信部が設けられ、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と、前記耐磁板とは、重ならない、
    ことを特徴とするアンテナ内蔵式電子時計。
  3. 前記耐磁板は、前記ステップモーター及び前記文字板の間に設けられた第1耐磁板と、前記ステップモーター及び前記基板の間に設けられた第2耐磁板と、を含み、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と、前記第1耐磁板及び前記第2耐磁板とは、重ならない、
    ことを特徴とする請求項1に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  4. 前記耐磁板は、
    前記文字板に垂直な方向において前記ステップモーター及び前記アンテナ体の間に設けられた第1耐磁板と、
    前記文字板に垂直な方向において前記ステップモーター及び前記基板の間に設けられた第2耐磁板と、を含み、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と、前記第1耐磁板及び前記第2耐磁板とは、重ならない、
    ことを特徴とする請求項2に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  5. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記アンテナ体と、前記耐磁板とは、重ならない、
    ことを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  6. 前記文字板に垂直な方向から見たときの前記給電体と前記第1耐磁板との距離、及び、前記文字板に垂直な方向から見たときの前記給電体と前記第2耐磁板との距離は、前記給電体の長さよりも長い、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  7. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と前記第1耐磁板との距離は、前記給電体と前記第2耐磁板との距離よりも長い、
    ことを特徴とする請求項3または4に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  8. 前記アンテナ体に給電する二次電池を収納する電池収納部を備え、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記電池収納部に収納された前記二次電池と前記給電体との距離は、前記給電体の長さよりも長い、
    ことを特徴とする、請求項3または4に記載のアンテナ内蔵式時計。
  9. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体と前記第1耐磁板との距離は、前記給電体と前記電池収納部に収納された二次電池との距離よりも長い、
    ことを特徴とする請求項8に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  10. 前記基板には、前記駆動部の動作を制御する制御部が設けられ、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記制御部は、前記電池収納部と重ならない、
    ことを特徴とする請求項8または9に記載のアンテナ内蔵式時計。
  11. 少なくとも一部が前記外装ケースの外部に設けられた竜頭、及び、当該竜頭の動きを前記駆動部に伝達する巻真、を具備する操作部を備え、
    前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記巻真は、前記指針軸を中心として前記文字板の3時の方向に設けられ、前記給電体は、前記指針軸を中心として前記文字板の6時から12時の範囲に設けられる、
    ことを特徴とする請求項8乃至10のうちいずれか1項に記載のアンテナ内蔵式電子時計。
  12. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記指針軸と前記給電体とを結ぶ線分、及び、前記指針軸と前記電池収納部に収納された二次電池の中心を結ぶ線分のなす角は、90度以上で且つ180度以下であり、前記電池収納部に収納された前記二次電池と前記操作部とは重ならない、
    ことを特徴とする、請求項11に記載のアンテナ内蔵式時計。
  13. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記指針軸と前記給電体とを結ぶ線分の長さは、前記給電体と前記電池収納部に収納された二次電池の中心を結ぶ線分の長さ以下であり、前記電池収納部に収納された二次電池と前記操作部とは重ならない、
    ことを特徴とする、請求項11または12に記載のアンテナ内蔵式時計。
  14. 前記文字板に垂直な方向から見たときに、前記給電体は、前記指針軸を中心として前記文字板の9時の方向に設けられ、前記電池収納部は、当該電池収納部に収納された前記二次電池が、前記指針軸を中心として前記文字板の6時の方向、または、12時の方向に位置するように設けられる、
    ことを特徴とする請求項8乃至12のうちいずれか1項に記載のアンテナ内蔵式時計。
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