JP2014061275A - 水素ガス吸引方法並びに装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】安全で安価で手軽に使用できる水素混合ガスの吸引方法並びに装置を提供する。
【解決手段】水素の供給源として水素発生剤を用い、その水素発生速度が発生終了まで実質的に一定になるように制御することで課題を解決した。水素発生剤として水素化ホウ素金属塩と塩化コバルトなどの遷移金属塩の触媒の混合物を反応熱の蓄熱を予防しながら加水分解することで一定の水素発生速度を達成した。これらの水素発生剤を用いることで約0.1〜4(容量%)の水素を含む混合ガスを吸引出来る安全で簡便な吸引装置が提供できた。また、吸引装置の前に水を収納した容器を用意してその容器に水素ガスを通過させることで吸引と同時に飲用の水素水を簡便に生水することが出来た。
【選択図】図7
【解決手段】水素の供給源として水素発生剤を用い、その水素発生速度が発生終了まで実質的に一定になるように制御することで課題を解決した。水素発生剤として水素化ホウ素金属塩と塩化コバルトなどの遷移金属塩の触媒の混合物を反応熱の蓄熱を予防しながら加水分解することで一定の水素発生速度を達成した。これらの水素発生剤を用いることで約0.1〜4(容量%)の水素を含む混合ガスを吸引出来る安全で簡便な吸引装置が提供できた。また、吸引装置の前に水を収納した容器を用意してその容器に水素ガスを通過させることで吸引と同時に飲用の水素水を簡便に生水することが出来た。
【選択図】図7
Description
本発明は生体、特に人体に発生して各種の疾患の原因とされる活性酸素を消去するための水素を吸引する簡便な方法並びにその装置に関する。また、水素を吸引している間に簡便に水素水を生水する方法並びにその装置に関する。
水素が人体に生成する各種疾患の原因とされる活性酸素と反応して無害な水になるために水素を高濃度に含む水(水素水)や水素を含む混合ガスを吸引することが各種病気の予防に役立つことが報告されている(特許文献1)。水素を含む混合ガスを吸引する方法に於いて水素供給の手段としては水の電気分解で水素を発生させてそれを用いる方法(特許文献2)や水素ボンベから供給する方法(特許文献1)などが報告されている。また、特殊な水素発生剤(シリカ吸蔵水素)を容器中の水中にいれて水素を発生させて水素を含む混合ガスを吸引する方法と装置が販売会社のホームページに記載されてインターネット上で公開されている(非特許文献1)。
ユニライフジャパン株式会社のホームページ
今までの技術では水素の供給源として特許文献1では水素ボンベを用いる技術が開示されているが、水素ボンベは室内で手軽に使用できる水素源ではなく病院などの大きな施設でそれなりの安全対策を講じて使用する必要がある。また、特許文献2に開示されている水の電気分解装置を用いる技術は装置が高価なものとなるので初期費用が大きくなり、一般の家庭で手軽に使用するのは困難である。
一方、非特許文献1に開示されている技術は特殊な水素発生剤を水に接触させるだけで水素が発生するので水素吸引装置に用いて使用するのに手軽な水素供給源である。しかしながらこの技術に使用される水素発生剤であるシリカ吸蔵水素は水素発生速度が一定ではなく、水と接触開始の当初はその発生速度は早いが時間と共に低下していくことが判明した。そのために、水素吸引用の水素混合ガスへの水素供給速度が一定せずに吸引する混合ガス中の水素濃度が一定しないことが分かった。
このような水素発生剤の場合、水素発生装置の容器に水素を一旦蓄積して容器の排出口にバルブを設けてそのバルブを調整することで水素を一定速度で吸引装置へ供給するような工夫が必要となる。そのために水素発生装置としては耐圧性のある容器と容器内の圧力を測定するための圧力計や微調整が可能なニードルバルブなどを装備した装置が必要となり高価な装置とならざるを得なかった。本願発明は従来の水素吸引装置が抱えていたこれらの欠点を課題として、安全で安価なしかも簡便に使用できる水素発生装置からなる水素吸引方法と装置を開発することでこの問題を解決するものである。
またシリカ吸蔵水素を水素発生剤として用いた前記ガス吸引装置では水素発生容器内での反応液をそのまま飲用の水素水として利用できることが該装置の取扱い説明書などに記載されている。しかしながら反応液はシリカの微粒子を含む懸濁液であり飲料するには可なり抵抗のあるものである。この課題の解決として本願発明では水素ガスを吸引している間に簡便にかつ安全な水素水の生水方法並びに装置を提供する。
上記課題は水素発生容器(A)内で水素発生剤を用いて水素を発生させ、該水素を人体の鼻孔に装着したカニューラ若しくは鼻口に装着したガス吸引用マスクに導いて水素を含む混合ガスを吸引する方法に於いて、前記水素発生剤の水素発生速度が水素発生が終了するまで実質的に一定になるように制御して吸引する水素ガス吸引方法で解決される。また、この方法に於いて容器(A)とカニューラ若しくはガス吸引用マスクの間に別の容器(B)を設け、容器(A)から排出する水素を容器(B)内の水若しくは水溶液中を通過させてから吸引することでガス吸引中に容器(B)内の水へ水素を溶解させて水素水を簡便に生水することが出来る。
これらの方法に用いる水素発生剤は加水分解反応で水素を発生するものであって加水分解反応に伴う反応熱で反応系の温度が上昇しないように制御することが好ましく、このためには水素発生剤が少なくとも水素化ホウ素アルカリ金属塩と遷移金属触媒から成る組成物であるものを用いるのが好ましい。
このような方法を達成するためには少なくとも開口部を有する容器(A)と、該開口部の密閉用の蓋と、容器(A)若しくは前記の蓋に設けられたガス排出口と、ガス洗浄装置と、カニューラ若しくはガス吸引用マスクと、水素発生速度が水素発生が終了するまで実質的に一定である水素発生剤のセットから成る水素ガス吸引装置が必要である。また、この装置に於いてガス洗浄装置とカニューラ若しくはガス吸引用マスクの間に水若しくは水溶液を充填した容器(B)が設けられてなる水素ガス吸引装置が水素水も同時に生水出来るので好ましい。更にこれらの装置にセットされる水素発生剤としては少なくとも水素化ホウ素アルカリ金属塩と遷移金属触媒から成る組成物であることが好ましい。
本発明の水素吸引方法並びに装置を用いることにより、安全で且つ簡便で安価に水素混合気体を吸引すること、また同時に水素水を生水することが可能となった。そのために一般の家庭に於いても利用できるために多くの人の健康の促進に役立つものと期待される。
本発明の水素吸引方法並びに水素吸引装置を模式図を援用して説明する。図1は開口部を有する水素発生容器(A)(1)にその開口部にガス排出口(3)を有する密閉用の蓋(2)が装着された状態を示している。蓋(2)には圧力計(4)が装着され、また排出口には配管が接続されその先にニードルバルブ(5)が装着されているが、本願発明の装置では圧力計やニードルバルブは必ずしも必要とはしない。
本発明では水素発生容器(A)(1)内で特定の水素発生剤を用いて水素を発生させる。その場合、その水素発生速度が水素発生が終了するまで実質的に一定になるように制御して水素を発生させてそれを吸引する。発生した水素は排出口(3)から排出させて配管内を通してガス洗浄装置(6)へ導入されて洗浄後の水素ガスは配管(7)へ導かれる。配管(7)の端はカニューラ(8)の端部へ接続されて水素は人体の鼻孔へ導かれる。鼻孔では吸引時に水素と、カニューラと鼻孔の間隙からの空気との混合ガスが吸引される。図1には吸引端末はカニューラを示しているが、口と鼻全体に被せて使用するマスク状のものでも良い。水素発生容器(A)(1)からの水素発生速度が一定であれば、吸引する混合ガス中の水素濃度は一定となるために吸引装置は上記のような簡単な装置となる。
図9はガス洗浄装置(6)とカニューラ(8)の間に容器(B)(14)を2ヶ直列に接続して容器(A)から排出されガス洗浄装置で洗浄された水素ガスを、容器(B)内の水若しくは水溶液中を通過させてその後カニューラへガスを導き吸引する装置である。この装置では容器(B)内で水素を水に溶解させて水素水を生水するのが目的のため容器(B)内では出来るだけ水素ガスと水の接触面積や接触時間が大きいのが好ましい。
1気圧の水素の水に対する飽和溶解度は室温付近で1.6ppm(重量基準)と微量である。従って例えば容器(B)内に水を500ml入れてこの水に飽和する迄水素を溶解させたとしてもその量は室温で約10mlの容積にしかならない。一方、本方法や装置での水素吸引では数Lの水素ガスを水素発生剤で発生させてカニューラへ導き吸引するので水素水の生水に消費される水素は僅かなものである。
容器(B)には水素圧力は殆どかからないのでPETボトルのような簡単なもので十分である。また、図9では容器(B)は2ケしか示さなかったがさらに多数の容器(B)を直列若しくは並列に接続することで多量の水素水をガス吸引が終了するまでに調整することが出来る。また、水素ガスと水の気液接触面積を大きくするために容器(B)内の底近辺まで沈めた配管(15)の先に多孔質焼結体のような散気体(16)を装着するのが好ましい。容器(B)には水以外にお茶、牛乳、ジュース、スポーツドリンク剤などの各種飲料水を充填して水素を溶解することも可能である。
本発明で用いられる水素発生剤は水素吸蔵合金や加水分解により水素を発生するアルミニウム、マグネシウム(Mg)金属や水素化アルカリ金属、水素化アルカリ土類金属などのケミカルハイドライドなどを使用できるが、水素発生速度を一定になるように制御するには水素発生剤の適切な選択と発生条件や装置的な工夫が必要である。本発明では特定の水素発生剤を用いることで複雑な装置的工夫を必要とせずに水素発生速度を一定に制御する方法を見出して本発明を完成させた。
このような特性を示す水素発生剤は水に溶解して均一系で加水分解反応を起こして水素を発生する水素化ホウ素ナトリウム(SBHと略す)や水素化ホウ素カリウムが好ましく、且つ加水分解用触媒として塩化コバルトや塩化ニッケルなどの遷移金属塩を用いるのが好ましい。さらに水素化ホウ素金属塩は1モルから4モルの水素が生成するので効率的に非常に有利である。水素化ホウ素金属塩は潮解性で取り扱いにくいため溶融したポリエチレングリコール(PEG)中に触媒と一緒に包埋することで取り扱いの容易な水素発生剤を調整して用いるのが好ましい。
これらの加水分解反応は発熱反応であるために反応系に熱が蓄熱すると加水分解反応の速度が加速されて一定にならない。即ち水素発生速度を一定に保持するためには加水分解速度を一定に保つことが必要であり、そのためには反応系の温度を一定に保持するのが好ましい。反応系の温度を一定に保つには反応容器を恒温雰囲気に保持したり、反応容器内の水量を増やすことで反応熱による反応系の昇温を抑制する方法などが好ましい。特に後者の水量増加は特別な装置を必要としないので好ましく、加水分解用の水量(W1)と水素発生剤の量(W2)の比R(W1/W2)は重量基準で50以上が好ましく、100以上が更に好ましい。
図4(実施例1)にSBHと塩化コバルトをPEGに溶融・包埋して調整した水素発生剤の加水分解時間と水素発生量の関係を示したが、加水分解反応が終了して水素発生が終了する約70分間、水素発生速度が実質的に一定に保持されていることが分かる。また、図8(実施例3)に実施例1と同様に調整した水素発生剤(塩化コバルトの量が実施例1と異なる)を用いて反応容器を温度の異なる恒温水槽にいれて反応温度を制御して加水分解を行い水素発生速度を測定した結果である。反応温度が5℃変化すると水素発生速度がかなり変化する事が解る。即ち、水素発生速度を一定に保つためには水素発生容器即ち加水分解の反応容器内の温度を出来るだけ一定に保持する事が必要である事を示している。
水素発生剤が水に溶解せずに水との接触表面で加水分解反応が進行して水素を発生するような場合、例えばマグネシウム金属や市販のシリカ吸蔵水素などでは水素発生速度は反応の初期に早く進行しその後反応が遅延してくる。図6(実施例1)は試薬Mg金属粉末について図4と同様にして水素発生速度を測定したものである。加水分解時間が初期の約20分間は大きな発生速度を示すが、その後は緩やかな反応が30分前後進行する。このような特性は水素発生剤が水に溶解しない場合によく見られ不均一系の特徴と考えられる。図5(実施例1)のシリカ吸蔵水素も水に溶解しない水素発生剤である。
SBHの加水分解触媒として酸を用いることが出来る。しかしながらこの加水分解反応は均一系での反応であるが初期の反応速度が著しく速い。例えば酸としてコハク酸を用いてSBH42.2wt%に対してモル比(酸/SBH)で0.24添加してPEGで溶融包埋して粉砕した粉末の水素発生剤の水素発生速度を上記と同様に測定した。加水分解の水量比Rが20と若干低いが約1分前後の加水分解時間で発生終了時間約50分の全水素発生量の約60%程度の水素を発生した。この反応系は均一系であるが図6よりもさらに初期の反応が早くて本発明には使用できない。
このような初期に発生速度の大きい水素発生剤を用いた場合、混合ガス中の水素濃度は初期には高いが時間と共に低下することが予想される。従って、カニューラへの水素供給を一定とするために、排出口に接続されたバルブ(5)を閉じて所定の圧力になるまで水素を水素発生容器(1)に蓄積してから、バルブ(5)を開いて一定流量の水素を排出する必要がある。また図1には示していないが水素の流量計なども一定流量を確保するには必要となる。この場合、初期には容器(1)内の圧力は高いがガスの排出と共に低下するのでバルブ(5)の開閉程度を調整する必要があり、一定流量のガスをカニューラに供給するのは困難と予想される。
本願発明の水素吸引装置では水素発生剤の加水分解反応で発生する水素を利用するので水素に反応生成物由来の不純物がミストとして混入する恐れがある。これを除くためにガス洗浄装置を通してガスを洗浄乃至は精製して吸引する。SBHなどを水素発生剤に用いた場合、反応生成物の水溶液はアルカリ性を示すので固体酸などの充填したカラムなどもガス洗浄装置としては使用可能であるが、洗浄と同時にガスの流量が定性的に判明できる水を入れた図2の容器などがガス洗浄装置として好ましい。
図2のようなガス洗浄装置を用いることで水素発生容器(1)として200〜500mlのPETなどのプラスチックボトルやステンレスなどの金属容器とガス排出口を設けた蓋を用いる図3に示した簡単な水素吸引装置を組み立てることが出来る。水素発生容器(1)内に水素発生剤を所定量いれて加水分解用の水を注入して蓋をすることでガス排出口から水素を一定流量で得ることが出来る。また、水素発生速度が実質的に一定なために水素発生の終了時間が予め予想できる。水素吸引時間は混合ガス中の水素濃度によって適宜選択されるが本発明では20分以上の吸引が好ましい。水素発生の終了時間即ち加水分解反応の時間は触媒の量によって容易に変化させることが出来る。即ち、触媒の量が少ないと反応速度は遅くなり同じSBHの量の場合発生終了時間は長くなる。
水素水を生水するために容器(B)を吸引具の前に装着した場合、水素水中の溶存水素濃度(DHと略す)は気液接触面積や接触時間が長いと高くなる。実施例4で示すように水素ガスの流量が多い程、また散気体を装着した方がDHの高い水素水が得られる。図9に示した装置で水素吸引中にDHの高い水素水が得られるので、吸引が終了後にその水素水を飲用することで人体の肺及び胃などの内臓から満遍なく水素が体内に吸収されて活性酸素の除去などに有効に作用することが期待される。
吸引する混合ガス中の水素濃度は0.1〜4容積%の範囲が好ましい。4%を超えて高くなると空気との混合ガスは爆発限界濃度範囲に入ってくるので安全性の面から好ましくない。また0.1%以下では効果の面から長時間の吸引が必要となるので好ましくない。混合ガス中の水素濃度の増減は加水分解する水素発生剤の量を増減させることで容易に変化させることが出来る。また、水素と混合させるガスとしては空気以外に麻酔ガスや笑気なども使用可能である。以下に実施例を援用して本発明をさらに説明するが本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
1)水素発生剤(A)の調整: ポリエチレングリコール(PEG 分子量:13000)をステンレス容器入れてホットプレート上で約100℃に加熱して溶融した。この溶融体に所定量のSBHと塩化コバルトを添加して攪拌混合し混合物をテフロン(登録商標)製容器に移液してデシケータ内で冷却固化させた。この固化物を粉砕して粉末状の水素発生剤(A)を得た。この水素発生剤の組成はSBHが42.2wt%、塩化コバルトがSBHに対して1wt%、残りがPEGから成るものである。
2)水素発生速度の測定
300mlPETボトルとガス排出口を設けた蓋から成る水素発生容器を準備した。
ガス排出口にプラスチックチューブを接続しその端を水槽内の水で充満した倒立状態のメスシリンダーへ導入した。PETボトルに水素発生剤(A)を1.00gいれ、その上に精製水を200ml注入して直ちに蓋でボトルを密閉した。水素発生剤は直ちに加水分解反応を開始して水素を発生しその水素をメスシリンダー内に捕集した。図4に加水分解時間と水素発生量の関係を示した。なお、この時の室温は24℃であったので水素発生量は標準状態(Nml)に換算した。
300mlPETボトルとガス排出口を設けた蓋から成る水素発生容器を準備した。
ガス排出口にプラスチックチューブを接続しその端を水槽内の水で充満した倒立状態のメスシリンダーへ導入した。PETボトルに水素発生剤(A)を1.00gいれ、その上に精製水を200ml注入して直ちに蓋でボトルを密閉した。水素発生剤は直ちに加水分解反応を開始して水素を発生しその水素をメスシリンダー内に捕集した。図4に加水分解時間と水素発生量の関係を示した。なお、この時の室温は24℃であったので水素発生量は標準状態(Nml)に換算した。
比較のために市販の水素発生剤であるシリカ吸蔵水素並びに金属Mg粉末(試薬)を用いて上記と同様にして水素発生速度を測定した。この場合、加水分解用の水としてはシリカ吸蔵水素の場合は精製水を用いたが、Mg金属の場合は加水分解速度を加速するために精製水にシュウ酸をMg量に対して当モル溶解した酸性水を用いた。図5、図6にシリカ吸蔵水素並びにMg金属の結果を示した。
図4から水素発生剤(A)は水素発生が終了する約70分迄、水素発生速度は実質的に一定であるのに対してシリカ吸蔵水素やMg金属は加水分解反応の初期と後期では反応速度が大きく異なる事が解る。シリカ吸蔵水素は水素発生量が少なく、(A)やMg金属に比べて1桁小さく発生速度も水と接触後300分経過してもまだ発生は継続していた。Mg金属の場合、水素発生が終了した約70分後に反応液を捨液すると容器の底にMg金属の粉末が残存していた。
図3に示した水素吸引装置を準備した。ガス洗浄装置(6)は図2に示した装置を用いて容器内に精製水を入れた。水素発生容器(1)としては実施例1で使用した300mlPETボトルとガス排出口を設けた蓋を用意するだけで圧力計やニードルバルブは省略した。また水素を含む混合ガス中の水素濃度を測定するために鼻孔に相当する孔として内径6mmの2本のシリコンチューブを用意してそのチューブ内にカニューラ(8)のガス排出口(外径4mm)を差し込んだ。2本のシリコンチューブの他端は1本のシリコンチューブ(11)に接続されてその端(12)を口で吸引して鼻で排出することで模擬的な呼吸を行った。吸引時にチューブ(11)にマイクロシュリンジ(13)の針を差し込みガスを所定量サンプリングしてガスクロマトグラフで水素濃度を測定した。
水素発生速度の測定と同様にして所定量の水素発生剤(A)をPETボトルに入れて200mlの水を添加して加水分解させて、加水分解時間(室温は24℃)と混合ガス中の水素濃度を測定した。(A)の量を0.5,1.0,2.0gと変化させて測定した結果を図7に横軸を加水分解時間、縦軸を水素濃度(容量%)で示した。初期の10分前後は水素発生容器内の空気(約100ml)の影響で水素濃度は若干低い値であるが、その後は水素発生が終了する直前の70分までほぼ一定濃度を維持した。即ち水素発生剤の量を0.5,1.0,2.0gと変化させることで水素濃度が約0.25(容積%)、1.3%、3.9%と混合気体中の水素濃度を容易に変更することが出来た。
実施例1と同様にしてSBHから成る水素発生剤(B)を調整した。但し、(B)は触媒の塩化コバルトはSBHに対して0.5wt%含むものである。約50mlの容器に水素発生剤1gを入れて水20mlを注入して加水分解させてその水素発生速度を実施例1と同様にして測定した。但し、加水分解反応容器は恒温水槽に浸漬して反応温度を一定に保持した。図8に反応温度を20、25、30℃と変化させた時の水素発生速度の変化を示したが温度によって可なり変化することが解った。
図9に示したようなカニューラ(8)の前に水素水生水用の容器(B)(14)としてPETボトル(500ml)を2本(No.1、No2)直列に接続した装置を用意した。各PETボトルには450mlの精製水を入れて上部に約50mlの空間を残した。水素ガスの流入側には内径4mmのポリエチレン製チューブ(15)をボトルの底近くまで挿入した。最初の容器(No.1)にはチューブの先にプラスチック製の多孔質焼結体からなる散気体(16)を装着した。
水素発生容器(A)(1)、ガス洗浄装置(6)、カニューラ(8)等からなるガスサンプリング装置は実施例(2)で使用したものと同じものを用いた。水素発生剤(A)を1.0g(Run1)をPETボトル(1)(300ml)に入れて精製水200mlを添加して水素を発生させて水素吸引実験並びに水素水の生水実験を開始した。本実験の場合室温が27℃と高かったために約50分で水素発生剤からの水素発生は終了した。その間、容器(B)のPETボトルには水素ガスの気泡が底から水中に吹きこまれた。
本発明を利用すれば水素を含む混合ガスを安全且つ安価な装置で簡便に吸引することが可能となるため、また同時に飲用の水素水を生水できるため人体の健康促進に役立つことが期待される。
1 水素発生容器
2 蓋
3 ガス排出口
4 圧力計
5 ニードルバルブ
6 ガス洗浄装置
7 プラスチックチューブ
8 カニューラ
9 水
10 気泡
11 シリコンチューブ
12 吸引口
13 マイクロシュリンジ
14 容器(B)
15 ガス導入用チューブ
16 散気体
2 蓋
3 ガス排出口
4 圧力計
5 ニードルバルブ
6 ガス洗浄装置
7 プラスチックチューブ
8 カニューラ
9 水
10 気泡
11 シリコンチューブ
12 吸引口
13 マイクロシュリンジ
14 容器(B)
15 ガス導入用チューブ
16 散気体
Claims (7)
- 水素発生容器(A)内で水素発生剤を用いて水素を発生させ、該水素を人体の鼻孔に装着したカニューラ若しくは鼻口に装着したガス吸引用マスクに導いて水素を含む混合ガスを吸引する方法に於いて、前記水素発生剤の水素発生速度が水素発生が終了するまで実質的に一定になるように制御して吸引する水素ガス吸引方法。
- 容器(A)とカニューラ若しくはガス吸引用マスクの間に別の容器(B)を設け、容器(A)から排出する水素を容器(B)内の水若しくは水溶液中を通過させてから吸引する請求項1の水素ガス吸引方法。
- 水素発生剤が加水分解反応で水素を発生する組成物であって、前記加水分解反応に伴う反応熱で反応系の温度が上昇しないように制御する請求項1又は2のいずれかの水素ガス吸引方法。
- 水素発生剤が少なくとも水素化ホウ素アルカリ金属塩と遷移金属触媒から成る組成物である請求項1から3のいずれかの水素ガス吸引方法。
- 少なくとも開口部を有する容器(A)と、該開口部の密閉用の蓋と、容器(A)若しくは前記の蓋に設けられたガス排出口と、ガス洗浄装置と、カニューラ若しくはガス吸引用マスクと水素発生速度が水素発生が終了するまで実質的に一定である水素発生剤のセットから成る水素ガス吸引装置。
- ガス洗浄装置とカニューラ若しくはガス吸引用マスクの間に水若しくは水溶液を充填した容器(B)が設けられてなる請求項5の水素ガス吸引装置。
- 水素発生剤が少なくとも水素化ホウ素アルカリ金属塩と遷移金属触媒から成る組成物である請求項5又は6のいずれかの水素ガス吸引装置。
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JP2017105692A (ja) * | 2015-07-08 | 2017-06-15 | フレンド株式会社 | 水素ガス発生装置 |
CN110255495A (zh) * | 2019-08-06 | 2019-09-20 | 东莞市三聚氢能科技有限公司 | 一种水解制氢为氢源的氢气呼吸机及其制氢方法 |
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