JP2014058048A - シート状有機基材の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 全体としてある物性(例えば伸長性)を有するとともに、前記物性とは異なる物性、機能を有する部位が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を効率よく製造する。
【解決手段】 下記の工程A〜Dを具備することを特徴とするシート状有機基材の製造方法。
工程A:支持体上に、構造部(B)形成用材料による層を形成する構造部(B)形成用材料層形成工程
工程B:構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる半硬化工程
工程C:半硬化した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成するポリマー母材形成用材料層形成工程
工程D:工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる硬化工程
【選択図】 図1

Description

本発明は、シート状有機基材の製造方法、より詳しくは、ポリマー母材中に該ポリマー母材とは異なる物性を示す構造部が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材の製造方法に関する。このようなシート状有機基材として、例えば、伸長性ポリマー母材中に難伸長性ポリマー部、形状記憶ポリマー部或いは応力発光部等が部分的に且つ一体的に形成されているシート状伸長性有機基材(特に、シート状伸縮性有機基材)などが挙げられる。このようなシート状有機基材では、ポリマー母材の有する物性を利用しつつ、該ポリマー母材中に部分的に且つ一体的に形成されている前記ポリマー母材とは異なる物性を示す構造部の該物性を活かすことができるため、1つのシート状有機基材で2以上の異なる物性(特に、相反する物性)を必要とする種々の用途に利用できる。
例えば、伸長性ポリマー母材中に難伸長性ポリマー部を部分的に有するシート状伸長性有機基材は、その伸長性や伸縮性を利用して、バンド部材、結束用部材、衛生用品、衣料品の部分、湿布剤の基布等として利用できる。また、この伸長性有機基材は、伸長させる際、基材全体としては伸長するが、難伸長性ポリマー部は伸長せずにその形状が保持されるため、該難伸長性ポリマー部にキャラクター等の意匠を施したり、他の部材を保持、固定させることができる。このため、例えば、エレクトロニクス部材、オプティカル部材、オプトエレクトロニクス部材、カーエレクトロニクス部材、家電製品用部材、住宅設備用部材、建材などにも利用できる。
また、伸長性ポリマー母材中に形状記憶ポリマー部を部分的に有するシート状有機基材は、形状記憶ポリマー部の形状記憶特性を活かして、例えば、結束用部材、衛生用部材、衣料用部材、電化製品用部材、住宅設備用部材、建材用部材、表面保護材、医療用部材、歯科用部材、スポーツ用部材、玩具用部材などに利用できる。
さらに、伸長性ポリマー母材中に応力発光体と樹脂材料を含む応力発光部が部分的に形成されたシート状有機基材は、応力分布測定用シート(特に、3次元形状を有する構造物や、伸縮部、可動部、折り曲げ部を有する構造物等の応力分布を測定する応力分布測定用シート)、衣服(暗闇で光る衣服等)、装飾品(暗闇で光る装飾品等)、安全用品(光る靴等)、家屋構成部材(歩くと光る床、触ると光る手すり等)、玩具などに利用できる。
特許文献1には、パターン以外の部分をマスキングした金属又は樹脂よりなる基材上に、該基材より硬い金属又はセラミックスをメッキ法又はスパッタリング法によりパターン状に形成した後、マスキング層を剥離し、プレス加工して金属又はセラミックスパターンを基材中に埋没させる装飾体の製造方法が開示されている。しかしこの方法では、基材とパターン部が明瞭に分かれており、外力からの変形などによりパターンが剥離しやすいという問題がある。
特開平5−330298号公報
本発明の目的は、全体としてある物性(例えば、伸長性、伸縮性等)を有するとともに、前記物性とは異なる物性、機能を有する構造部が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を効率よく製造する方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、さらに、前記構造部を明瞭な輪郭を有するパターンとして形成できるシート状有機基材の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するため鋭意検討した結果、伸長性等の特性を有するポリマー母材中に、前記特性とは異なる特性、機能(例えば難伸長性等)を有するポリマー部を特定の工程を経て部分的に且つ一体的に形成することにより、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリマー母材(A)中に、該ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を製造する方法であって、下記の工程A〜Dを具備することを特徴とするシート状有機基材の製造方法を提供する。
工程A:支持体上に、構造部(B)形成用材料による層を形成する構造部(B)形成用材料層形成工程
工程B:構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる半硬化工程
工程C:半硬化した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成するポリマー母材形成用材料層形成工程
工程D:工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる硬化工程
前記工程Aは、支持体上に、構造部(B)形成用材料を塗工、滴下、載置又は印刷して、構造部(B)形成用材料による層を形成する工程であってもよい。
前記工程B及び/又は工程Dは、エネルギー線を照射する工程であってもよい。
前記工程Cは、構造部(B)形成用材料層を形成した支持体とは別の支持体上に形成されたポリマー母材形成用材料層と、半硬化した構造部(B)形成用材料層とを重ね合わせる積層工程であってもよい。
前記構造部(B)形成用材料層はポリマーを含んでいてもよい。
本発明のシート状有機基材の製造方法によれば、全体としてある物性(例えば、伸長性、伸縮性等)を有するとともに、前記物性とは異なる物性、機能等(例えば、難伸長性、形状記憶特性、各種機能性フィラー添加による機能等)を有する構造部が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を効率よく製造できる。また、前記構造部を形成する材料が半硬化した状態で母材形成用材料を乗せるので、液が拡散しにくく、前記構造部が小さくても、輪郭の明瞭なパターンとして形成することができる。さらに、液の上ではなく支持体(セパレータ)の上に前記構造部形成用の材料層を形成するのでグラビア印刷など種々の印刷方法で該パターンを形成することができる。
本発明におけるシート状有機基材の一例を示す概略斜視図である。 図1のシート状有機基材のII−II線断面を示す概略斜視図である。 本発明におけるシート状有機基材の他の例を示す概略斜視図である。 本発明におけるシート状有機基材の表面側から見たときの構造部(B)のパターン形状の例を示す図である。 本発明におけるシート状有機基材の例を示す断面図[構造部(B)の表面形状又は基材表面投影形状が線状である場合において、該線の延びる方向に対して垂直な面で切断したときの断面図]である。 本発明におけるシート状有機基材のさらに他の例を示す概略斜視図である。 図6のシート状有機基材のVII−VII線断面を示す概略斜視図である。 本発明のシート状有機基材の製造方法の一例を示す概略図(断面図)である。 実施例2において形成される構造部(B)形成用シロップ部のパターンを模式的に示す図である。 実施例1で得られたシート状有機基材の表面の写真である。 比較例1で得られたシート状有機基材の表面の写真である。
本発明のシート状有機基材の製造方法は、ポリマー母材(A)中に、該ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を製造する方法であって、下記の工程A〜Dを具備することを特徴とする。
工程A:支持体上に、構造部(B)形成用材料による層を形成する構造部(B)形成用材料層形成工程
工程B:構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる半硬化工程
工程C:半硬化した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成するポリマー母材形成用材料層形成工程
工程D:工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる硬化工程
[シート状有機基材]
本発明の製造方法の対象であるシート状有機基材について以下に説明する。該シート状有機基材においては、ポリマー母材(A)中に、該ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)が部分的に且つ一体的に形成されている。「一体的に」とは、分離していないことを意味する。前記構造部(B)の表面形状又は当該シート状有機基材表面を投影面としたときの投影形状(シート状有機基材の表面側から見た形状;以下、「基材表面投影形状」と称する場合がある)は、例えば、中実状、線状又は輪帯状である。このようなシート状有機基材では、ポリマー母材(A)の有する物性を利用しつつ、該ポリマー母材(A)中に部分的に且つ一体的に形成されている前記ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)の有する物性や機能を活かすことができるため、1つのシート状有機基材で2以上の異なる物性を必要とする種々の用途に利用できる。
シート状有機基材の代表的な例として、(1)易伸長性を有するポリマー母材中に難伸長性を有するポリマーからなる構造部(難伸長性ポリマー部)が形成されたシート状有機基材、(2)柔軟性を有するポリマー母材中に硬質なポリマーからなる構造部(硬質ポリマー部)が形成された柔軟性有機基材、(3)伸長性を有するポリマー母材中に形状記憶ポリマーによる形状記憶部が形成されたシート状有機基材、(4)伸長性を有するポリマー母材中に応力発光体と樹脂材料とを含む応力発光部が形成されたシート状有機基材、(5)伸長性を有するポリマー母材中に機能性フィラーと樹脂材料とを含む機能性フィラー含有部が形成されたシート状有機基材等が挙げられる。また、なお、易伸長性を有するポリマー母材を構成するポリマーと、柔軟性を有するポリマー母材を構成するポリマーは共通する場合が多く、また、難伸長性を有する構造部を構成する材料と硬質な構造部を構成する材料とは共通する場合が多い。
前記(1)のシート状有機基材では、該有機基材を一方向に伸長させると、易伸長性ポリマー母材の部位は伸長するが、部分的に形成された難伸長性ポリマー部は伸長しないか、又はほとんど伸長しない。このため、難伸長性ポリマー部に、形状が変化しないことが望まれる意匠を施したり、他の部材を固定、保持することができる。
また、前記(3)のシート状有機基材において、伸長性ポリマー母材が伸長性を有するが伸縮性を有しない場合又は伸縮性をほとんど有しない場合は、この有機基材を一方向(面方向)に伸長させると、有機基材全体が伸長する。そして、必要に応じて冷却により形状を固定した後、加温すると、前記形状記憶ポリマー部は収縮してもとの形状に戻るが、伸長性ポリマー母材の部位は伸長したままの形状が保持される。一方、伸長性ポリマー母材が伸長性だけでなく伸縮性をも有する場合には、この有機基材を一方向(面方向)に伸長させると、有機基材全体が伸長した後、伸長性ポリマー母材の部位は伸縮性を有するためもとの形状に戻るが、形状記憶ポリマー部は伸長したままの形状を維持する。そして、必要に応じて冷却により形状を固定した後、加温すると、前記形状記憶ポリマー部は収縮してもとの形状に戻り、全体としてもとの形状が復元する。このように、このシート状有機基材は、部分的に且つ一体的に形状記憶部が形成されているので、伸長、加温の操作によって、特定部位のみを形状変化させることができる。このため、例えば、該シート状有機基材を物品、人体等に装着する用途において、上記形状記憶機能を利用し、加温により形状記憶ポリマー部を収縮させることにより、物品、人体等への密着性を高めることができる。また、形状記憶ポリマー部の形状によっては、伸長方向(引っ張り方向)により常温での応力残存率が異なる異方性を有するシート状有機基材を作製できる。すなわち、伸長方向により形状記憶機能を変化させることができる。例えば、形状記憶ポリマー部の表面形状又は基材表面投影形状が線状であるシート状有機基材では、線の延びる方向に引っ張る場合には形状記憶機能が発揮されるが、線の延びる方向に直交する方向に引っ張る場合には形状記憶機能はほとんど発揮されない。
さらに、前記(4)のシート状有機基材では、応力発光体を含む応力発光部はその部分に応力が加わることにより発光する。シート状有機基材を伸長させることによっても、応力発光部に応力が加わり発光する。また、部分的且つ一体的に形成されている応力発光部が硬質で伸長しなくても、基材全体としては伸長可能であるため、曲面追従性に優れ、3次元形状を持つ構造物に密着性よく装着できる。また、大きな変形が生じる可動部、伸縮部、折り曲げ部を有する構造物への装着も可能である。さらに、応力発光部を硬くしても全体は伸長性を有するため、外部からかかった応力を応力発光体に効果的に伝達することができ、応力発光効率とシート全体の伸長性を両立することができる。
図1はシート状有機基材(伸長性有機基材等)の一例を示す概略斜視図である。図2は図1のシート状有機基材のII−II断面を示す概略斜視図である。図1及び2において、シート状有機基材(伸長性有機基材等)1は、ポリマー母材(A)(易伸長性ポリマー母材等)2と、該ポリマー母材(A)2中に部分的に且つ一体的に形成されている、前記ポリマー母材(A)2を構成するポリマーとは異なる材料で構成された構造部(B)(難伸長性ポリマー部等)3とで構成されている。
図1及び2の例では、構造部(B)3は中実状であり、構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状も中実状である。中実状とは、ポリマー母材(A)との境界より内方全体が構造部(B)を構成する材料で埋まった状態であることを意味する。したがって、この場合、構造部(B)においては、その領域の内部にポリマー母材(A)部は存在しない。
構造部(B)3はポリマー母材(A)2中に部分的に且つ一体的に形成されていればよく、例えば、1箇所のみに形成されていてもよく、複数の箇所に非連続的に散在若しくは点在していてもよい。構造部(B)3の形状は特に限定されず、目的に応じて適宜選択でき、例えば、略円柱状、略直方体状等の柱状(特に、シート厚み方向に延びる柱状)、不定形状等のいずれであってもよい。
本発明において、中実状の構造部(B)3のシート面方向の長軸(最長部)の長さ(例えば、直径)は、例えば0.05mm〜10cmである。この長さが小さすぎると、構造部(B)の利用価値が小さくなり、逆に大きすぎると、製造しにくくなる。中実状の構造部(B)3の面方向の長軸(最長部)の長さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上であり、とりわけ5mm以上が好ましい。また、構造部(B)3の面方向の長軸の長さ(最長部)の上限は、8cmが好ましく、5cmが特に好ましい。
中実状の構造部(B)3はポリマー母材(A)2中のどの部位に形成されていてもよいが、中実状の構造部(B)3を有効に活用できる点で、少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されているのが好ましい。中実状の構造部(B)3の表面形状(少なくとも一方の表面形状)、又は構造部(B)3が表面に露出していない場合は構造部(B)3のシート状有機基材1表面(少なくとも一方の表面)を投影面としたときの投影形状(すなわち、構造部(B)3のシート状有機基材1表面側から見た形状)は、例えば、略円形(真円、楕円等)、略多角形(略三角形、略矩形、略五角形、略六角形等)、無定形(不定形)、あるいは、文字、記号若しくは数字を表す形状;周知の図形、マークを表す形状などのいずれであってもよい。中実状の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状が略多角形の場合、その内角は90度以下であってもよく、90度を超える角度であってもよい。製造のし易さの点からは、中実状の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状は略円形、略矩形であるのが好ましい。
前記ポリマー母材(A)2中に構造部(B)3が複数形成されている場合、該複数の構造部(B)3はランダムに形成されていてもよく、規則的パターンで形成されていてもよい。複数の構造部(B)3が規則的パターンで形成されている場合、隣接する構造部(B)3間の距離(最短距離)は、例えば、0.05mm〜50cmであり、該距離の上限は、好ましくは30cm、より好ましくは20cm、さらに好ましくは15cm、特に好ましくは10cmである。また、該距離の下限は、好ましくは0.1mm、より好ましくは1mm、さらに好ましくは3mm、特に好ましくは5mmである。予め構造部(B)3を規則的パターンで形成しておけば、切断により、多数のシート状有機基材1を効率よく製造できる。なお、構造部(B)3が複数形成されている場合、複数の構造部(B)3の形状、大きさは同一であっても異なっていてもよい。複数の構造部(B)3が同じ形状及び大きさである場合には、同一の形状及び大きさを有するシート状有機基材1を生産効率よく製造できる。
図3は本発明におけるシート状有機基材の他の例(部分)を示す概略斜視図である。図3において、シート状有機基材1は、ポリマー母材(A)2(ポリマー母材部)と、該ポリマー母材(A)2中に部分的に且つ一体的に形成されている構造部(B)3とで構成されている。構造部(B)3はポリマー母材(A)2中に部分的に且つ一体的に形成されていればよく、例えば、1箇所のみに形成されていてもよく、複数の箇所に非連続的に形成されていてもよく、また複数の構造部(B)が交差していてもよい。
図3の例において、構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状は線状であり、該「線」は所定の幅を有している。前記線状の種類は、特に限定されず、例えば、直線状、折れ線状、波線状や弧線状等の曲線、無定形線状の何れであってもよい。また、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状である構造部(B)を複数有している場合、該複数の構造部(B)は平行であってもよく、交差していてもよく、またねじれの位置にあってもよい。
構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の幅(線幅)は、目的や用途に応じて適宜設定でき、例えば0.01mm〜5cmである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の幅(線幅)の下限は、好ましくは0.05mm、さらに好ましくは0.1mmである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の幅(線幅)の上限は、好ましくは2cm、さらに好ましくは1cmである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の長さは、目的や用途に応じて適宜設定でき、例えば0.5mm〜10mである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の長さの下限は、好ましくは5mm、さらに好ましくは1cmである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の長さの上限は、好ましくは5m、さらに好ましくは1mである。構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である線の長さと線幅の比(線の長さ/線幅)は、例えば3以上であり、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは50以上、特に好ましくは100以上である。
構造部(B)3はポリマー母材(A)2中のどの部位に形成されていてもよい。例えば、構造部(B)3は、シート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されていてもよく、またシート状有機基材1の表面に露出していない状態で形成されていてもよい。構造部(B)3がシート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されている場合、構造部(B)3の表面形状と基材表面投影形状とは、形状や大きさが異なっていてもよい(内部で膨らみがある場合等)。構造部(B)3がシート状有機基材1の表面に露出していない状態で形成されている場合には、構造部(B)3のシート状有機基材1の表面(少なくとも一方の表面)を投影面としたときの投影形状(シート状有機基材1表面側から見た形状)が線状である。
構造部(B)3を有効に活用できる観点からは、構造部(B)3はシート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されているのが好ましい。
前記ポリマー母材(A)2中に構造部(B)3が複数形成されている場合、該複数の構造部(B)3はランダムに形成されていてもよく、規則的パターンで形成されていてもよい。予め構造部(B)3を規則的パターンで形成しておけば、切断により、多数のシート状有機基材1を効率よく製造できる。なお、構造部(B)3が複数形成されている場合、複数の構造部(B)3の形状、大きさは同一であっても異なっていてもよい。複数の構造部(B)3が同じ形状及び大きさである場合には、同一の形状及び大きさを有するシート状有機基材を生産効率よく製造できる。
複数の構造部(B)3が規則的パターンで形成されている場合、複数の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状における各中心線は平行であってもよく、交差していてもよい。
複数の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状における中心線が平行である場合、隣接する構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状における中心線間の距離(シート状有機基材表面又はシート状有機基材投影面での中心線間の距離)は、例えば0.01mm〜50cmである。隣接する構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線間の距離の下限は、好ましくは0.1mm、さらに好ましくは1mmである。隣接する構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線間の距離の上限は、好ましくは20cm、さらに好ましくは10cm、特に好ましくは5cmである。また、複数の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線が平行である場合、隣接する構造部(B)3間の距離(シート状有機基材表面又はシート状有機基材投影面での距離)は、例えば、0.01mm〜50cmであり、該距離の上限は、好ましくは30cm、より好ましくは20cm、さらに好ましくは15cm、特に好ましくは10cmである。また、該距離の下限は、好ましくは0.1mm、より好ましくは1mm、さらに好ましくは3mmである。さらに、複数の構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線が平行である場合、構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状における線幅と前記隣接する構造部(B)3間の距離との比は、例えば、前者/後者=0.01〜100である。この比の上限は、好ましくは80、さらに好ましくは50であり、下限は、好ましくは0.1、さらに好ましくは1である。
図4に本発明におけるシート状有機基材のうち構造部(B)の表面形状又は基材表面投影形状が線状であるシート状有機基材について、表面側から見たときの構造部(B)のパターン形状(表面形状又は基材表面投影形状)の例を示す。なお、各図において、四角形の外枠は必ずしもシート状有機基材の輪郭形状を示すものではない。図4の右上の図は、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状の複数の構造部(B)が等間隔で平行に形成されている例である。この例では、構造部(B)はシートの長さ方向に対して直角に形成されているが、シートの長さ方向に対して平行にあるいは斜めに形成されていてもよい。図4の右下の図は、前記表面形状又は基材表面投影形状が折れ線状の複数の構造部(B)が等間隔で形成されている例である。この例では、複数の構造部(B)の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線は互いに平行である。なお、この例では、構造部(B)の前記表面形状又は基材表面投影形状の中心線はシートの長さ方向に対して直角に延びているが、シートの長さ方向に対して平行にあるいは斜めに延びていてもよい。図4の左上の図は、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状のシート長さ方向に対して斜めに延びる複数の等間隔の構造部(B)群と、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状のシート長さ方向に対して斜めに延びる別の複数の等間隔の構造部(B)群とが互いに交差して、網目状を呈している例である。図4の左中央の図は、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状のシート長さ方向に対して平行に延びる複数の等間隔の構造部(B)群と、前記表面形状又は基材表面投影形状が直線状のシート長さ方向に対して垂直に延びる複数の等間隔の構造部(B)群とが互いに交差して、網目状を呈している例である。図4の左下の図は、前記表面形状又は基材表面投影形状が折れ線状のシート幅方向に延びる複数の等間隔の構造部(B)群と、前記表面形状又は基材表面投影形状が折れ線状のシート長さ方向に延びる複数の等間隔の構造部(B)群とが互いに交差して、複雑な形状の網目状を呈している例である。
図5の(1)〜(7)は、それぞれ、本発明におけるシート状有機基材1の例を示す断面図(構造部(B)3の前記表面形状又は基材表面投影形状である線の延びる方向に対して垂直な面で切断したときの断面図)である。この図に示されるように、構造部(B)3の断面形状は、矩形、蹄形、弓形、半円形、円形、楕円形、ダンベル形など種々の形状をとり得る。構造部(B)3の上記断面形状は、ポリマー母材形成用材料及び構造部(B)形成用材料の種類、組成、粘度;ポリマー母材(A)及び構造部(B)を形成する際の条件等により調整できる。構造部(B)形成用材料を半硬化させる際、硬化の程度が低い場合には、構造部(B)形成用材料がポリマー母材形成用材料層に拡散して、図5の(7)のようなダンベル形状の構造部(B)が形成される場合がある。
図6は本発明におけるシート状有機基材のさらに他の例を示す概略斜視図である。図7は図6のシート状有機基材のVII−VII断面を示す概略斜視図である。図6及び7において、シート状有機基材1は、ポリマー母材2(ポリマー母材部)と、該ポリマー母材2中に部分的に且つ一体的に形成されている筒状の構造部(B)3とで構成されている。3aは筒状の構造部(B)3の筒状の空洞部に当たる領域(部位)であり、ポリマー材料で構成されている。このポリマー材料はポリマー母材部2を構成する材料と同一であっても異なっていてもよい。
筒状の構造部(B)3はポリマー母材2中に部分的に且つ一体的に形成されていればよく、例えば、1箇所のみに形成されていてもよく、複数の箇所に非連続的に散在若しくは点在していてもよい。
筒状の構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状は輪帯状であり、所定の幅を有する環状を呈している。前記輪帯の形状(外周形状及び/又は内周形状、特に外周形状)は特に限定されず、目的に応じて適宜選択でき、例えば、略円形(真円、楕円等)、略多角形(略三角形、略矩形、略五角形、略六角形等)、無定形(不定形)、あるいは、文字、記号若しくは数字を表す形状;周知の図形、マークを表す形状などのいずれであってもよい。筒状の構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状が略多角形の場合、その内角は90度以下であってもよく、90度を超える角度であってもよい。製造のし易さの点からは、筒状の構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状(外周形状及び/又は内周形状、特に外周形状)は略円形、略矩形であるのが好ましい。
このシート状有機基材において、筒状の構造部(B)3の面方向の長軸(外周をなす形状の最長部)の長さ(例えば、直径)は、例えば0.05mm〜10cmである。この長さが小さすぎると、筒状の構造部(B)の利用価値が小さくなり、逆に大きすぎると、製造しにくくなる。筒状の構造部(B)3の面方向の長軸(外周をなす形状の最長部)の長さは、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.5mm以上、さらに好ましくは1mm以上、特に好ましくは2mm以上であり、とりわけ5mm以上が好ましい。また、筒状の構造部(B)3の面方向の長軸の長さ(外周をなす形状の最長部)の上限は、8cmが好ましく、5cmが特に好ましい。
筒状の構造部(B)3の表面形状又は基材表面投影形状である輪帯の幅(すなわち、筒状の構造部(B)3の外周面と内周面との距離;厚さ)は、目的に応じて適宜選択できるが、通常、筒状の構造部(B)3の面方向の長軸(外周をなす形状の最長部)の長さの1〜40%である。前記輪帯の幅(筒状の構造部(B)3の厚さ)の下限は、筒状の構造部(B)3の面方向の長軸(外周をなす形状の最長部)の長さに対して、好ましくは2%、さらに好ましくは5%である。また、前記輪帯の幅(筒状の構造部(B)3の厚さ)の上限は、筒状の構造部(B)3の面方向の長軸(外周をなす形状の最長部)の長さに対して、好ましくは30%、さらに好ましくは20%である。また、前記輪帯の幅(筒状の構造部(B)3の厚さ)は、より具体的には、例えば0.01mm〜4cmであり、その下限は、好ましくは0.02mm、より好ましくは0.1mm、さらに好ましくは0.2mm、特に好ましくは0.4mm、とりわけ1mmであり、上限は、好ましくは3cm、より好ましくは2cmである。
筒状の構造部(B)3はポリマー母材(A)2中のどの部位に形成されていてもよい。例えば、筒状の構造部(B)3は、シート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されていてもよく、またシート状有機基材1の表面に露出していない状態で形成されていてもよい。筒状の構造部(B)3がシート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されている場合、筒状の構造部(B)3の表面形状と基材表面投影形状とは、形状や大きさが異なっていてもよい(内部で膨らみがある場合等)。筒状の構造部(B)3がシート状有機基材1の表面に露出していない状態で形成されている場合には、筒状の構造部(B)3のシート状有機基材1の表面(少なくとも一方の表面)を投影面としたときの投影形状(シート状有機基材1表面側から見た形状)が輪帯状である。
筒状の構造部(B)3を有効に活用できる観点からは、筒状の構造部(B)3はシート状有機基材1の少なくとも一方の表面に露出した状態で形成されているのが好ましい。
前記ポリマー母材(A)2中に筒状の構造部(B)3が複数形成されている場合、該複数の筒状の構造部(B)3はランダムに形成されていてもよく、規則的パターンで形成されていてもよい。複数の筒状の構造部(B)3が規則的パターンで形成されている場合、隣接する筒状の構造部(B)3間の距離(最短距離)は、例えば、0.05mm〜50cmであり、該距離の上限は、好ましくは30cm、より好ましくは20cm、さらに好ましくは15cm、特に好ましくは10cmである。また、該距離の下限は、好ましくは0.1mm、より好ましくは1mm、さらに好ましくは3mm、特に好ましくは5mmである。
また、複数の筒状の構造部(B)3が規則的パターンで形成されている場合、隣接する筒状の構造部(B)3の中心(重心)間の距離は、例えば、5mm〜80cmであり、該距離の上限は、好ましくは50cm、より好ましくは30cm、さらに好ましくは20cm、特に好ましくは12cmである。また、該距離の下限は、好ましくは10mm、より好ましくは15mm、さらに好ましくは20mm、特に好ましくは25mmである。
予め筒状の構造部(B)3を規則的パターンで形成しておけば、切断により、多数のシート状有機基材1を効率よく製造できる。なお、筒状の構造部(B)3が複数形成されている場合、複数の筒状の構造部(B)3の形状、大きさは同一であっても異なっていてもよい。複数の筒状の構造部(B)3が同じ形状及び大きさである場合には、同一の形状及び大きさを有するシート状有機基材を生産効率よく製造できる。
筒状の構造部(B)3の筒状の空洞部に当たる領域3aは、ポリマー材料で構成されている。このポリマー材料からなる領域内には、さらに、表面形状又は基材表面投影形状が、(i)略円形、略多角形、無定形、又は文字、記号若しくは数字を表す形状、(ii)輪帯状、又は(iii)線状である構造部(B)が1又は2以上形成されていてもよい。構造部(B)の表面形状又は基材表面投影形状が輪帯状である場合、すなわち構造部(B)が筒状である場合、該筒状の空洞部に相当する領域は、筒状の構造部(B)の筒状の空洞部に相当する領域と同様、ポリマー材料で構成される。
前記図5の(1)〜(7)は、それぞれ、上記筒状の構造部(B)を有するシート状有機基材の断面図(筒状構造部(B)の表面形状又は筒状構造部(B)のシート状有機基材表面を投影面としたときの投影形状である輪帯の延びる方向に対して垂直な面で切断したときの断面図)(筒の片側の断面のみを示す)をも示すものである。この図に示されるように、筒状の構造部(B)3の断面形状(筒壁の断面)は、矩形、蹄形、弓形、半円形、円形、楕円形、ダンベル形など種々の形状をとり得る。筒状の構造部(B)3の上記断面形状は、ポリマー母材形成用材料及び筒状の構造部(B)形成用材料の種類、組成、粘度;ポリマー母材(A)及び筒状の構造部(B)を形成する際の条件等により調整できる。構造部(B)形成用材料を半硬化させる際、硬化の程度が低い場合には、構造部(B)形成用材料がポリマー母材形成用材料層に拡散して、図5の(7)のようなダンベル形状の構造部(B)が形成される場合がある。
本発明のシート状有機基材において、構造部(B)3とポリマー母材部2の界面(境界部)近傍においては、組成及び/又は物性(伸び特性、硬度等)が徐々に変化するグラデーション(グラディエント)をなしていてもよい。構造部(B)3とポリマー母材部2の界面近傍にこのようなグラデーションを有するシート状有機基材1は、例えば該シート状有機基材1を伸長させた時、構造部(B)3とポリマー母材部2との界面で切れにくいという特性を有する。また、構造部(B)3とポリマー母材部2の界面(境界部)近傍だけでなく、構造部(B)3及び/又はポリマー母材部2の多くの部分或いは全体に亘ってグラデーションを呈していてもよい。グラデーション部を有するシート状有機基材において、構造部(B)3とポリマー母材部2との境界は、ポリマー母材部2の非グラデーション部の硬度[ポリマー母材部の全体に亘ってグラデーションを呈している場合は、硬度の最も低い箇所の硬度]と、構造部(B)3の非グラデーション部の硬度[構造部(B)3の全体に亘ってグラデーションを呈している場合には、硬度の最も高い箇所の硬度]の平均値を結ぶ線によって定めることができる。
本発明のシート状有機基材1の厚みは、例えば0.01mm以上であり、好ましくは0.03mm以上、さらに好ましくは0.05mm以上である。シート状有機基材1の厚みの上限は、例えば1cmであり、好ましくは5mm、さらに好ましくは2mmである。
前記構造部(B)3は、シート状有機基材1の一方の表面から所定の深さまで連続して形成されていてもよく、シート状有機基材1の一方の表面から他方の表面に至るまで連続して形成されていてもよい。また、前記構造部(B)3は、シート状有機基材1の内部に埋没されて形成されてもよい。前記構造部(B)3の厚み方向の長さ(厚み)は、有用性の観点等から、上記何れの場合も、シート状有機基材1の厚みの少なくとも1/50が好ましく、より好ましくは少なくとも1/20、さらに好ましくは少なくとも1/10、特に好ましくは少なくとも1/4である。また、例えば、構造部(B)3がシート状有機基材1の一方の表面から連続して形成されている場合などには、前記構造部(B)3の厚み方向の長さ(厚み)は、さらに、シート状有機基材1の厚みの少なくとも1/3、中でも少なくとも1/2(とりわけ、少なくとも2/3)であるのが望ましい。
以下、シート状有機基材1が、易伸長性ポリマー母材2中に難伸長性ポリマー部3が部分的に且つ一体的に形成されている伸長性有機基材である場合[構造部(B)が難伸長性ポリマー部である場合]について、その物性を説明する。
前記伸長性有機基材の引張試験(試験片の幅20mm、チャック間距離50mm、温度25℃、引張速度200mm/min)における伸度(破断伸度)は、好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは120%以上であり、強度(破断応力)は、好ましくは1.0MPa以上、より好ましくは2.0MPa以上、さらに好ましくは3.0MPa以上である。前記強度は高いほどよいが、上限は、例えば100MPaであり、通常は50MPa以下である。
前記伸長性有機基材では、易伸長性ポリマー母材2は伸長性に優れるが、難伸長性ポリマー部3は伸長性が低い。該伸長性有機基材は、引張試験機を用いた伸長試験(温度25℃)において、該伸長性有機基材を1.5倍(元の長さの150%)まで伸長させた際(但し、1.5倍まで伸長しないシート状有機基材については、1.25倍まで伸長させた際)、難伸長性ポリマー部3の伸長率S1(%)(元の長さに対する伸びた長さの割合)は、49%以下が好ましく、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは25%以下、特に好ましくは10%以下である。
また、前記伸長性有機基材は、引張試験機を用いた伸長試験(温度25℃)において、該伸長性有機基材を1.5倍(元の長さの150%)まで伸長させた際(但し、1.5倍まで伸長しないシート状有機基材については、1.25倍まで伸長させた際)、易伸長性ポリマー母材部2の伸長率S2(%)(元の長さに対する伸びた長さの割合)と難伸長性ポリマー部の伸長率S1(%)の比率[S2(%)/S1(%)]が1より大きいのが好ましい。このような伸長性有機基材では、該基材を一方向に伸長させた際、易伸長性ポリマー母材部2が伸長しても、難伸長性ポリマー部3が伸長しにくく、形状が変化しにくいため、難伸長性ポリマー部3に所望の意匠を施したり、所望の部材を固定、保持させることができる。前記比率[S2(%)/S1(%)]は、より好ましくは2以上であり、さらに好ましくは5以上(特に10以上)である。
さらに、前記伸長性有機基材は、引張試験機を用いた伸長試験(温度25℃)において、該伸長性有機基材を1.5倍(元の長さの150%)まで伸長させた際(但し、1.5倍まで伸長しないシート状有機基材については、1.25倍まで伸長させた際)、易伸長性ポリマー母材部2の伸長率S2(%)と難伸長性ポリマー部3の伸長率S1(%)の差[S2(%)−S1(%)]は、20%以上であるのが好ましく、40%以上であるのがより好ましい。
前記伸長性有機基材の伸長性は等方向性であるのが好ましい。例えば、ある方向における前記易伸長性ポリマー母材部2の伸長率S2(1)(%)と、該方向に対して直交する方向における前記易伸長性ポリマー母材部2の伸長率S2(2)(%)との比[S2(1)/S2(2)][但し、S2(1)≧S2(2)とする]は、1〜1.3が好ましく、1〜1.2がより好ましく、1〜1.1が特に好ましい。
前記伸長性有機基材はさらに伸縮性を有していてもよい。伸長性有機基材が伸縮性を有する場合には、バンド部材等の伸縮性が要求される分野で好適に使用できる。易伸長性ポリマー母材2を構成するポリマーとして伸縮性を有するポリマーを選択することにより、伸長性有機基材1に伸縮性を付与できる。このような伸縮性を有する伸長性有機基材において、引張試験機を用いた50%伸長時のヒステリシス試験(試験片の幅20mm、チャック間距離50mm、温度25℃、引張速度200mm/min)により得られる伸長回復率は、10%以上であるのが好ましく、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは50%以上(特に好ましくは70%以上)である。
また、前記伸長性有機基材においては、通常、易伸長性ポリマー母材2は軟質であり、難伸長性ポリマー部3は硬質である。例えば、前記伸長性有機基材においては、ゴム硬度計を用いた硬さ試験(試験片30mm×30mmの伸長性有機基材1の10枚積層品、針押し込み10秒後の硬さ、温度25℃)により求めた難伸長性ポリマー部3の硬さH1と易伸長性ポリマー母材2の硬さH2との比(H1/H2)が1より大きいことが好ましく、より好ましくは1.01以上、さらに好ましくは1.10以上、特に好ましくは1.20以上である。
また、易伸長性ポリマー母材2及び難伸長性ポリマー部3の硬さの尺度として引張弾性率を用いることもできる。前記伸長性有機基材においては、固体粘弾性測定装置(サンプルサイズ:長さ25mm×幅3mm、チャック間距離:5mm、モード:時間分散、温度:27℃、周波数:1Hz、初期歪み:0.2%、測定時間:120秒、測定回数:10回)により測定した難伸長性ポリマー部3の引張弾性率E’1(Pa)と易伸長性ポリマー母材2の引張弾性率E’2(Pa)の比(E’1/E’2)が1より大きいことが好ましく、より好ましくは5以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは100以上である。
さらに、易伸長性ポリマー母材2及び難伸長性ポリマー部3の硬さの尺度としてナノインデンテーション測定における荷重を用いることもできる。前記伸長性有機基材においては、ナノインデンテーション測定(押し込み深さ4μm、押し込み速度1.5μm/秒、温度25℃)における難伸長性ポリマー部3の荷重P1と易伸長性ポリマー母材2の荷重P2との比(P1/P2)が1より大きいことが好ましく、より好ましくは1.01以上、さらに好ましくは1.10以上、特に好ましくは1.50以上である。
なお、ポリマー母材(A)部(易伸長性ポリマー母材部等)2の表面(少なくとも一方の表面)、構造部(B)(難伸長性ポリマー部等)3の形成部位の表面(少なくとも一方の表面)の表面粗さRaは、それぞれ、100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。特に、各表面に精密な部材や部品等を搭載する場合には、表面粗さが小さいほど部材や部品等を精度よく設置することができ、部材や部品等の有する機能、性能を確実に発揮させることができる。なお、RaはAFM(原子間力顕微鏡)により測定することができる。
[ポリマー母材(A)(易伸長性ポリマー母材等)]
ポリマー母材(A)2は、例えば、伸長性(又はさらに伸縮性)を有するポリマーにより構成することができる。ポリマー母材(A)2を構成するポリマー(a)としては、例えば、ポリウレタン系ポリマー、ポリウレア系ポリマー、ポリウレタンウレア系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(特に、ポリジエン系ポリマー)、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、ガラス転移温度(Tg)の低いアクリル系ポリマー(Tgが、例えば5℃未満、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−5℃以下のアクリル系ポリマー)などが挙げられる。これらのポリマーは、通常、伸長性(又はさらに伸縮性)及び/又は柔軟性を有している。これらのポリマーは、単独で、又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらのポリマーのポリマー母材(A)を構成するポリマー全体に占める割合は、30重量%以上が好ましく、より好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
これらの中でも、ポリウレタン系ポリマー、ポリウレア系ポリマー、ポリウレタンウレア系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(特に、ポリジエン系ポリマー)、シリコーン系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー(例えば、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のスチレン系熱可塑性エラストマー等)が特に好ましい。ポリマー(a)としては、市販品(ポリマー単体、ポリマーの水分散液、ポリマーの有機溶媒溶液等)を使用することもできる。
ポリマー母材(A)部2は、例えば支持体上に、ポリマー母材(A)を構成するポリマー(a)の液状前駆体を塗工してポリマー母材形成用材料層を形成し、該ポリマー母材形成用材料層を半硬化した構造部(B)形成用材料の上に配した後、該ポリマー母材形成用材料層中の液状前駆体をポリマー(a)へ転化することにより形成できる。前記液状前駆体としては、ポリマー(a)に誘導できるモノマー(エネルギー線硬化性モノマー等)、該モノマーの部分重合物、硬化又は架橋によりポリマー(a)に誘導できる硬化又は架橋前ポリマーなどが挙げられる。前記液状前駆体のポリマー(a)へ転化は、例えば、重合(エネルギー線や熱による重合等)、硬化、架橋反応などにより行うことができる。
ポリマー母材(A)部2は、例えば、ポリウレタン鎖、ポリウレア鎖、ポリウレタンウレア鎖、ポリオレフィン鎖(特に、ポリジエン鎖)、シリコーン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアミド鎖、ポリスチレン系ポリマー鎖及びポリアクリル鎖からなる群より選択される少なくとも1種のポリマー鎖を有し、且つ主鎖又は側鎖にエネルギー線硬化性基A1を有する硬化性ポリマーP、又は該硬化性ポリマーPとエネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMとの混合物にエネルギー線を照射して硬化させることにより形成できる。前記硬化性ポリマーP、該硬化性ポリマーPとエネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMとの混合物は、前記ポリマー(a)の前駆体である。こうして形成されるポリマー部材(A)部は、易伸長性ポリマー母材部として利用できる。
エネルギー線としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線、紫外線、可視光線などが挙げられる。中でも、紫外線及び電子線が好ましく、特に紫外線が好ましい。
前記エネルギー線硬化性基A1、A2としては、それぞれ、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素不飽和結合を含む基(ラジカル重合性基を含む基);エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基などが挙げられる。主鎖又は側鎖にエネルギー線硬化性基A1を有する硬化性ポリマーPにおけるエネルギー線硬化性基A1がラジカル重合性基を含む基である場合には、エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおけるエネルギー線硬化性基A2もラジカル重合性基を含む基であるのが好ましく、主鎖又は側鎖にエネルギー線硬化性基A1を有する硬化性ポリマーPにおけるエネルギー線硬化性基A1がカチオン重合性基である場合には、エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおけるエネルギー線硬化性基A2もカチオン重合性基であるのが好ましい。
前記硬化性ポリマーPは、エネルギー線硬化性基A1及び反応性官能基R1を有する化合物と、分子内に前記反応性官能基R1に対して反応性を有する反応性官能基R2を有し、且つポリウレタン鎖、ポリウレア鎖、ポリウレタンウレア鎖、ポリオレフィン鎖(特に、ポリジエン鎖)、シリコーン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖、ポリアミド鎖及びポリアクリル鎖からなる群より選択される少なくとも1種のポリマー鎖を有するポリマーとを反応させることにより得ることができる。
前記反応性官能基R1と反応性官能基R2の組合せ(順序を問わない)としては、例えば、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せ、ヒドロキシル基とエポキシ基との組合せ、カルボキシル基又は酸無水物基とイソシアネート基との組合せ、カルボキシル基又は酸無水物基とエポキシ基との組合せ、アミノ基とイソシアネート基との組合せ、アミノ基とエポキシ基との組合せ、Si−H基と炭素−炭素二重結合を有する基との組合せなどが挙げられる。
反応性官能基R2を有し且つポリウレタン鎖を有するポリマーは、ポリイソシアネート化合物と、長鎖ポリオール化合物、及び必要に応じて用いられる鎖伸長剤や他のイソシアネート反応性化合物とを、慣用の方法で反応させることにより得ることができる。
ポリイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート;ナフタレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルプロパンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、テトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ジイソシアネート;ダイマー酸ジイソシアネートなどが挙げられる。
長鎖ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール、ポリアクリルポリオールなどが挙げられる。長鎖ポリオールの数平均分子量は、通常、500以上であり、好ましくは500〜10000、より好ましくは550〜4000である。長鎖ポリオールは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、ポリエチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMG)などのポリアルキレンエーテルグリコールの他、エチレンオキシド−プロピレンオキシド共重合体などのモノマー成分として複数のアルキレンオキシドを含む(アルキレンオキサイド−他のアルキレンオキサイド)共重合体などが挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物;環状エステル(ラクトン)の開環重合物;多価アルコール、多価カルボン酸及び環状エステルの3種類の成分による反応物などを用いることができる。多価アルコールと多価カルボン酸との縮合重合物において、多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、シクロヘキサンジオール類(1,4−シクロヘキサンジオールなど)、シクロヘキサンジメタノール類(1,4−シクロヘキサンジメタノールなど)、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)、糖アルコール類(キシリトールやソルビトールなど)などを用いることができる。一方、多価カルボン酸としては、例えば、マロン酸、マレイン酸、コハク酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、トリメリット酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、環状エステルの開環重合物において、環状エステルとしては、例えば、プロピオラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。3種類の成分による反応物において、多価アルコール、多価カルボン酸、環状エステルとしては、前記例示のものなどを用いることができる。
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、多価アルコールとホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート又はジアリールカーボネートとの反応物;環状炭酸エステル(アルキレンカーボネートなど)の開環重合物などが挙げられる。具体的には、多価アルコールとホスゲンとの反応物において、多価アルコールとしては、前記例示の多価アルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール等)を用いることができる。また、環状炭酸エステルの開環重合物において、アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート、トリメチレンカーボネート、テトラメチレンカーボネート、ヘキサメチレンカーボネートなどが挙げられる。なお、ポリカーボネートポリオールは、分子内にカーボネート結合を有し、末端がヒドロキシル基である化合物であればよく、カーボネート結合とともにエステル結合を有していてもよい。ポリカーボネートポリオールの代表的な例として、ポリヘキサメチレンカーボネートジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールにラクトンを開環付加重合して得られるジオール、ポリヘキサメチレンカーボネートジオールとポリエステルジオール又はポリエーテルジオールとの共縮合物などが挙げられる。
ポリオレフィンポリオールは、オレフィンを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールである。前記オレフィンとしては、末端に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、エチレン、プロピレン等のα−オレフィンなど)であってもよく、また末端以外の部位に炭素−炭素二重結合を有するオレフィン(例えば、イソブテンなど)であってもよく、さらにはジエン(例えば、ブタジエン、イソプレンなど)であってもよい。ポリオレフィンポリオールの代表的な例として、ブタジエンホモポリマー、イソプレンホモポリマー、ブタジエン−スチレンコポリマー、ブタジエン−イソプレンコポリマー、ブタジエン−アクリロニトリルコポリマーなどのブタジエン若しくはイソプレン系ポリマーの末端をヒドロキシル基に変性したものが挙げられる。
ポリアクリルポリオールは、(メタ)アクリレートを重合体又は共重合体の骨格(又は主鎖)の成分とし且つ分子内に(特に末端に)ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するポリオールである。(メタ)アクリレートとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルなど]が好適に用いられる。
前記鎖伸長剤としては、熱可塑性ポリウレタンの製造に通常用いられる鎖伸長剤を使用でき、その種類は特に制限されないが、低分子量のポリオール、ポリアミン等を用いることができる。鎖伸長剤の分子量は、通常、500未満であり、好ましくは300以下である。鎖伸長剤は単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
鎖伸長剤の代表的な例として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールなどのポリオール(特に、ジオール);ヘキサメチレンジアミン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4′−メチレンビス−2−クロロアニリンなどのポリアミン(特に、ジアミン)などが挙げられる。
ポリウレタン鎖を有するポリマーとしては、ポリイシソアネート化合物、長鎖ポリオール化合物、及び必要に応じて鎖伸長剤、他のイソシアネート反応性化合物とを、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル数と、長鎖ポリオール及び鎖伸長剤等が有するイソシアネート反応性基(水酸基、アミノ基等)のモル数との比(NCO/イソシアネート反応性基)が、0.8〜2.0、特に0.95〜1.5となる範囲で反応させて得られたものが好ましい。上記反応には、反応を促進するため、必要に応じて、第3級アミン、有機金属化合物、スズ化合物等の触媒を用いてもよい。
ポリウレタン鎖を有するポリマーの末端がイソシアネート基である場合には、該イソシアネート基を反応性官能基R2として利用できる。この場合、前記エネルギー線硬化性基A1及び反応性官能基R1を有する化合物として、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
また、ポリウレタン鎖を有するポリマーの末端がヒドロキシル基である場合には、該ヒドロキシル基を反応性官能基R2として利用できる。この場合、前記エネルギー線硬化性基A1及び反応性官能基R1を有する化合物として、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートなどを用いることができる。
反応性官能基R2を有し且つポリウレア鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリウレタンウレア鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリオレフィン鎖(特に、ポリジエン鎖)を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つシリコーン鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリエステル鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリエーテル鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリアミド鎖を有するポリマー、反応性官能基R2を有し且つポリアクリル鎖を有するポリマーも公知乃至慣用の方法により得ることができる。
そして、これらの反応性官能基R2を有し且つ特定のポリマー鎖を有するポリマーに、該ポリマーの有する反応性官能基R2の種類に応じて、前記エネルギー線硬化性基A1及び反応性官能基R1を有する化合物を反応させることにより、前記主鎖又は側鎖にエネルギー線硬化性基A1を有する硬化性ポリマーPを製造できる。
前記エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMとしては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基等の炭素−炭素不飽和結合を含む基(ラジカル重合性基)を有する化合物;エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を有する化合物が挙げられる。これらの中でも、ラジカル重合性基を含む化合物が好ましい。なお、エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMは1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおいて、エネルギー線硬化性基A2がラジカル重合性基である化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニルなどの脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマー;(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イソクロトン酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、2−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸などのカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウム、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレートなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどアミド基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピペリドン、N−ビニル−2−カプロラクタム、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、(メタ)アクリロイルモルホリンなどの含窒素複素環含有モノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルなどの含酸素複素環含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系モノマー;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレンなどのオレフィン系モノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル系モノマー;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;塩化ビニル;塩化ビニリデン;フッ素原子含有基を有する(メタ)アクリル酸エステル;ケイ素原子含有基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。
エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおいて、エネルギー線硬化性基A2がラジカル重合性基である化合物としては、上記のほか、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどの多官能性モノマーを使用することもできる。なお、「EO」はエチレンオキサイド、「PO」はプロピレンオキサイドを示す。
エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおいて、エネルギー線硬化性基A2がカチオン重合性基である化合物としては、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合性基を有する公知の化合物を使用できる。
前記エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMの中でも、ラジカル重合性基を有する硬化性モノマーが好ましい。特に、前記硬化性モノマーMとして、少なくとも、(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルを用いるのが好ましい。また、易伸長性ポリマー母材2と難伸長性ポリマー部3との界面における密着強度を向上させるため、硬化性モノマーMとして難伸長性ポリマー部を構成するポリマーのモノマーと同種のモノマー(特に、同一モノマー)を用いるのも好ましい。
硬化性モノマーMとして(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルを用いる場合、硬化性モノマー全体に占める(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルの割合は、例えば、40重量%以上(40〜100重量%)、好ましくは50重量%以上(50〜100重量%)、さらに好ましくは60重量%以上(60〜100重量%)である。また、硬化性モノマーMとして(メタ)アクリル酸C1-20アルキルエステルとともに、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基又は酸無水物基含有モノマーや(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシル基含有モノマーを用いてもよい。この場合、カルボキシル基又は酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマーの使用量は、硬化性モノマー全体に対して、それぞれ、例えば0〜50重量%(0.1〜50重量%程度)の範囲から選択することができ、1〜45重量%程度用いてもよい。
ポリマー母材(A)2は、前記のように、硬化性ポリマーP、又は該硬化性ポリマーPと硬化性モノマーMとの混合物にエネルギー線を照射して硬化させることにより形成できる。この際、通常、光重合開始剤が用いられる。
エネルギー線硬化性基A1、A2がラジカル重合性基の場合には、光重合開始剤として、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等が用いられる。
上記ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。上記アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。上記α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。上記芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。上記光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。上記ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。上記ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。上記ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。上記ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールなどが挙げられる。上記チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。
エネルギー線硬化性基A1、A2がカチオン重合性基である場合には、光重合開始剤として、公知乃至慣用のカチオン硬化触媒を用いることができる。
光重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、硬化性化合物全量100重量部に対して、例えば0.01〜3重量部であり、その上限は、好ましくは1重量部、さらに好ましくは0.5重量部であり、その下限は、好ましくは0.02重量部、さらに好ましくは0.05重量部である。
ポリマー母材(A)2を構成する伸長性(又はさらに伸縮性)を有するポリマーにおいて、ポリウレタン鎖、ポリウレア鎖、ポリウレタンウレア鎖、ポリオレフィン鎖(特に、ポリジエン鎖)、シリコーン鎖、ポリエステル鎖、ポリエーテル鎖及びポリアミド鎖からなる群より選択される少なくとも1種のポリマー鎖を有する場合には、該少なくとも1種のポリマー鎖部のポリマー全体に占める割合は、20重量%以上(例えば、20〜100重量%)が好ましく、より好ましくは25重量%以上(例えば、25〜90重量%)、さらに好ましくは30重量%以上(例えば、30〜75重量%)程度である。この割合が小さすぎると、伸長性が低下しやすくなる。なお、ポリマー母材(A)2を構成する伸長性(又はさらに伸縮性)を有するポリマーが、ガラス転移温度(Tg)の低いアクリル系ポリマー(Tgが、例えば5℃未満、好ましくは0℃以下、さらに好ましくは−5℃以下のアクリル系ポリマー)である場合には、ポリマー全体に占めるポリアクリル鎖の割合は100重量%であってもよい。
ポリマー母材部(A)2には、必要に応じて、例えば、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤など)、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤が、本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。
[構造部(B)]
構造部(B)3は、前記ポリマー母材(A)2とは異なる材料で構成された構造部である。構造部(B)を構成する材料(b)は、構造部(B)に付与すべき特性、機能に応じて適宜選択できるが、通常、ポリマーを少なくとも含有するポリマー材料であり、必要に応じて適宜なフィラー、機能性材料等を含有させることができる。前記ポリマー材料中のポリマーは1種単独であってもよく、2種以上の混合物であってもよい。構造部(B)は、シート状有機基材の用途、使用目的に応じて、例えば、難伸長性ポリマー部、形状記憶ポリマー部、応力発光部、機能性フィラー含有部等とすることができる。
[難伸長性ポリマー部]
構造部(B)を難伸長性ポリマー部とする場合について説明する。以下、構造部(B)3を難伸長性ポリマー部3として説明する。
難伸長性ポリマー部3としては、例えば、(i)ホモポリマーのTgが5℃以上(より好ましくは15℃以上、さらに好ましくは50℃以上)であるモノマー[特に、(メタ)アクリル系モノマー]に由来する構成単位を、ポリマーの全構成単位に対して、50重量%以上(より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上)含むポリマー[例えば、Tgが5℃以上、好ましくは15℃以上のポリマー(特に、アクリル系ポリマー)]を含有するポリマー材料、(ii)硬化性基(ラジカル重合性基、カチオン重合性基)を分子内に2以上有する多官能モノマーに由来する構成単位を、ポリマーの全構成単位に対して、50重量%以上(より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上)含むポリマー[とりわけ、ラジカル重合性基を分子内に2以上有する多官能モノマー(特に、アクリル系多官能モノマー)に由来する構成単位が、ポリマーの全構成単位に対して、50重量%以上(より好ましくは60重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上)含むポリマー]を含有するポリマー材料、(iii)引張弾性率が0.1MPa以上(より好ましくは0.5MPa以上、さらに好ましくは1MPa以上、特に好ましくは5MPa以上)のポリマー材料で構成できる。このようなポリマーで構成された構造部は、難伸長性ポリマー部(或いは、硬質ポリマー部)として機能する。
前記(i)の場合、ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーの、難伸長性ポリマー部3を構成するポリマー材料全体に占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上であり、50重量%以上(例えば90重量%以上)であってもよい。前記(ii)の場合、硬化性基を分子内に2以上有する多官能モノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーの、難伸長性ポリマー部3を構成するポリマー材料全体に占める割合は、例えば5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは15重量%以上であり、50重量%以上(例えば90重量%以上)であってもよい。
前記(i)において、ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーとして、例えば、イソボルニルアクリレート(ホモポリマーのTg:97℃)、シクロヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg:15℃)などの脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;t−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg:41℃)などの(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル;メタクリル酸メチル(ホモポリマーのTg:105℃)、メタクリル酸エチル(ホモポリマーのTg:65℃)、メタクリル酸ブチル(ホモポリマーのTg:20℃)、メタクリル酸イソブチル(ホモポリマーのTg:67℃)などのメタクリル酸C1-4アルキルエステル;スチレン(ホモポリマーのTg:100℃)などのスチレン系モノマー;アクリロニトリル(ホモポリマーのTg:100℃)などが挙げられる。
前記(ii)において、多官能モノマーとして、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO付加トリ(メタ)アクリレート、グリセリンPO付加トリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。多官能モノマーの中でも3官能以上(例えば、3〜6官能)の多官能モノマーが最も好ましい。
前記(iii)において、引張弾性率が0.1MPa以上のポリマー材料としては、引張弾性率が0.1MPa以上のポリマー(1種又は2種以上のポリマーの混合物)であれば特に限定されず、例えば、ポリウレタン系ポリマー、ポリウレア系ポリマー、ポリウレタンウレア系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー、シリコーン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリエーテル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリスチレン系ポリマー、アクリル系ポリマー等の中から選択して使用できる。ポリマーを2種以上含む場合は、ポリマー混合物の引張り弾性率が0.1MPa以上であればよい。
引張弾性率が0.1MPa以上のポリマーの代表的な例として、例えば、Tgが5℃以上(より好ましくは20℃以上)であるポリウレタン系ポリマー;スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物(SEBS)やスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)の水素添加物(SEPS)等のポリスチレン系ポリマー;ポリメタクリル酸メチル等のアクリル系ポリマーなどが挙げられる。引張弾性率が0.1MPa以上のポリマー材料としては、これらのポリマーを、例えば50重量%以上、特に80重量%以上含むのが好ましい。
難伸長性ポリマー部3は、該難伸長性ポリマー部3を構成するポリマーの前駆体を硬化により該ポリマーに転化して形成されたポリマー部である。
難伸長性ポリマー部3を、前記(i)ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーを含有するポリマー材料で構成する場合は、例えば、前記ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーをモノマー全体の50重量%以上含むモノマー成分による層を支持体上に形成した後、エネルギー線を照射して硬化(重合)させる(半硬化させる工程を経て)ことにより形成できる。この場合、ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマー以外の他のモノマーとして、例えば、前記エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMとして例示したモノマーを適宜選択して使用できる。
難伸長性ポリマー部3を、前記(ii)硬化性基を分子内に2以上有する多官能モノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーを含有するポリマー材料で構成する場合は、例えば、前記多官能モノマーをモノマー全体の50重量%以上含むモノマー成分による層を支持体上に形成した後、エネルギー線を照射して硬化(重合)させる(半硬化させる工程を経て)ことにより形成できる。この場合、前記多官能モノマー以外の他のモノマーとして、前記エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMとして例示したモノマーのうち単官能モノマーを適宜選択して使用できる。
難伸長性ポリマー部3を形成する際、硬化性基を有するモノマーを用いる場合には、通常、硬化性基を硬化させるため光重合開始剤が用いられる。光重合開始剤としては、特に限定されず、前記ポリマー母材2を形成する場合と同様の光重合開始剤を使用できる。光重合開始剤の使用量としては、特に限定されないが、硬化性化合物全量100重量部に対して、例えば0.01〜3重量部であり、その上限は、好ましくは1重量部、さらに好ましくは0.5重量部であり、その下限は、好ましくは0.02重量部、さらに好ましくは0.05重量部である。
難伸長性ポリマー部3を、前記(iii)引張弾性率が0.1MPa以上のポリマー材料で構成する場合には、前記ポリマーに誘導できるモノマー(エネルギー線硬化性モノマー等)又はその部分重合物、或いは前記ポリマーに硬化又は架橋により誘導できる硬化又は架橋前ポリマーによる層を支持体上に形成した後、硬化又は架橋する(半硬化させる工程を経て)ことにより難伸長性ポリマー部3を形成することができる。
[形状記憶ポリマー部]
次に、構造部(B)を形状記憶ポリマー部とする場合について説明する。以下、構造部(B)3を形状記憶ポリマー部3として説明する。
形状記憶ポリマーとしては、形状記憶能を有するポリマーであれば特に限定されず、公知の種々の形状記憶ポリマーを利用できる。形状記憶ポリマーとして、例えば、ポリウレタン系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(ポリノルボルネン;トランスポリイソプレン等のポリジエン系ポリマーを含む)、ポリスチレン系ポリマー(スチレン−ブタジエン共重合体等)、ポリエステル系ポリマー、アクリル系ポリマー、合成ゴム、ポリカルボジイミド樹脂などが挙げられる。形状記憶ポリマーとしては、上記の中でも、伸長性に優れるとともに、応力残存率の温度依存性が大きい(80℃における応力残存率と23℃における応力残存率の差が大きい)点から、ポリウレタン系ポリマーが好ましく、特に、分子内にポリアクリル部を有するウレタンアクリル系ポリマーが好ましい。
なお、形状記憶ポリマーとしては、ガラス転移温度(Tg)が23〜80℃の範囲にあるポリマーが好ましい。このようなポリマーは、常温付近では外部からの変形に対する復元力が働かず変形状態が維持されるが、少しの加温により復元力が働き形状記憶能が発現するので、利用性に優れる。
前記ウレタンアクリル系ポリマーは、例えば、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンと1種又は2種以上のアクリル系モノマーとを重合(ラジカル重合)させることにより製造できる。原料として用いる末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンは、前記伸長性ポリマー母材を構成するポリマーの説明箇所で述べた反応性官能基R2[ここでは(メタ)アクリロイル基]を有し且つポリウレタン鎖を有するポリマーと同様にして得ることができる。また、もう一方の原料として用いるアクリル系モノマーとしては、前記伸長性ポリマー母材を構成するポリマーの説明箇所で述べた、エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおいて、エネルギー線硬化性基A2がラジカル重合性基である化合物のうちのアクリル系化合物を使用できる。
形状記憶ポリマーとしてウレタンアクリル系ポリマーを用いる場合、ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部のTg(ガラス転移温度)は、伸長性ポリマー母材のTg(伸長性ポリマー母材を構成するポリマーがウレタンアクリル系ポリマーである場合には、該ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部のTg)よりも高いのが好ましい。また、形状記憶ポリマーとしてウレタンアクリル系ポリマーを用いる場合、ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部のTgは、好ましくは−10℃以上130℃以下であり、さらに好ましくは0℃以上110℃以下である。ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部のTgが−10℃未満であると、常温(23℃)において、その部位はゴム弾性を示し、形状記憶能がなくなり、前記Tgが130℃を超えると、加温しても(例えば、80℃)もとの形状に戻りにくくなる。ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部のTgは、各アクリル系モノマーのホモポリマーのTgから周知の計算式を用いて算出できる。
ウレタンアクリル系ポリマーのポリアクリル部を形成するために用いるアクリル系モノマーとしては、例えば、イソボルニルアクリレート(ホモポリマーのTg:97℃)、シクロヘキシルアクリレート(ホモポリマーのTg:15℃)などの脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル;t−ブチルアクリレート(ホモポリマーのTg:41℃)などの(メタ)アクリル酸第3級アルキルエステル;メタクリル酸メチル(ホモポリマーのTg:105℃)、メタクリル酸エチル(ホモポリマーのTg:65℃)、メタクリル酸ブチル(ホモポリマーのTg:20℃)、メタクリル酸イソブチル(ホモポリマーのTg:67℃)などのメタクリル酸C1-4アルキルエステル;アクリル酸(ホモポリマーのTg:106℃)、メタクリル酸(ホモポリマーのTg:130℃)の(メタ)アクリル酸などが挙げられる。また、これらの高Tgアクリル系モノマーとともに、前記伸長性ポリマー母材を構成するポリマーの説明箇所で述べた、エネルギー線硬化性基A2を有する硬化性モノマーMにおいて、エネルギー線硬化性基A2がラジカル重合性基である化合物[例えば、上記以外の(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン系モノマー、多官能モノマー等]をコモノマーとして使用できる。
上記ウレタンアクリル系ポリマーにおいては、ポリウレタン部とポリアクリル部が網目構造を有しており、該ウレタンアクリル系ポリマーのTgよりも低い温度ではポリマーの弾性率が高いため、外部からの変形に対する復元力が働かず変形状態を維持するが、Tgよりも高い温度になるとポリマーの弾性率が低下するため元の網目構造に戻ろうとする復元力が働き、形状記憶機能が発現すると考えられる。
前記ウレタンアクリル系ポリマー等の形状記憶ポリマーの、形状記憶ポリマー部を構成するポリマー材料全体に占める割合は、例えば20重量%以上、好ましくは50重量%以上であり、70重量%以上(例えば90重量%以上)であってもよい。
形状記憶ポリマー部3を、例えば前記ウレタンアクリル系ポリマーを含有するポリマー材料で構成する場合は、例えば、末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタンと1種又は2種以上のアクリル系モノマーを少なくとも含む硬化性組成物を、形成すべき形状記憶ポリマー部の形状及び大きさに応じて、支持体の所定部位に配した後、エネルギー線を照射して硬化(重合)させる(半硬化させる工程を経て)ことにより形成できる。
[応力発光部]
次に、構造部(B)を応力発光部とする場合について説明する。以下、構造部(B)3を応力発光部3として説明する。
応力発光部3は応力発光体と樹脂材料とを含む。応力発光体としては、特に限定されず、公知の応力発光体(応力発光材料)を利用できる。応力発光体として、例えば、スピルネル構造、コランダム構造やβ−アルミナ構造を有するもの、ケイ酸塩、欠陥制御型アルミン酸塩、多色型応力発光材料、ウルツ鉱型構造とせん亜鉛鉱型構造が共存する構造を持つ酸化物、硫化物、セレン化物又はテルル化物を主成分とする応力発光材料などが挙げられる。また、応力発光体として、希土類元素(Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu)又は遷移金属元素(V、Mn、Cr等)を発光中心元素として含むアルカリ土類金属アルミン酸塩、希土類元素を添加したアルカリ土類金属チタン酸塩等を使用できる(特開2005−82794号公報、特開2007−101278号公報、特開2010−77437号公報、特開2010−180280号公報等参照)。上記アルカリ土類金属として、Ca、Sr、Baなどが挙げられる。上記アルカリ土類金属、希土類元素、遷移金属元素は、それぞれ、単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
応力発光部3を構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、伸長性を有するポリマー母材2を構成するポリマー材料と比較して、より硬い材料、より弾性率の高い材料、或いはより伸長性の低い材料が好ましい。応力発光部3を構成する樹脂材料(ポリマー材料)としてこのような材料を選択することにより、応力発光部3における応力発光効率を高めることができる。また、シート状有機基材全体を伸長させる際、応力が応力発光部3に伝わり、該応力発光部3を発光させることができる。
応力発光部3としては、例えば、前記難伸長性ポリマー部3と同様のポリマー材料[前記(i)〜(iii)]で構成できる。応力発光部3の形成方法も前記難伸長性ポリマー部3と同様である。
[機能性フィラー含有部]
次に、構造部(B)を機能性フィラー含有部として構成する場合について説明する。以下、構造部(B)3を機能性フィラー含有部3として説明する。
機能性フィラー含有部3はフィラーと樹脂材料とを含む。フィラーとしては、特に限定されず、構造部(B)に付与すべき特性、機能等に応じて、種々の無機フィラーや有機フィラーから適宜選択される。機能性フィラー含有部3を構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、伸長性を有するポリマー母材2を構成するポリマー材料と比較して、より硬い材料、より弾性率の高い材料、或いはより伸長性の低い材料が好ましい。機能性フィラー含有部3としては、例えば、前記難伸長性ポリマー部3と同様のポリマー材料[前記(i)〜(iii)]で構成できる。機能性フィラー含有部3の形成方法も前記難伸長性ポリマー部3と同様である。
構造部(B)(難伸長性ポリマー部等)3には、必要に応じて、例えば、架橋剤(例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、アミン系架橋剤など)、架橋促進剤、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、充填剤、着色剤(顔料や染料など)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤などの添加剤が、本発明の特性を損なわない範囲で含まれていてもよい。
構造部(B)を構成する材料bのうちポリマーとしては、ポリマー母材(A)と構造部(B)の一体性、密着性等の観点から、ポリマー母材(A)を構成するポリマーと同種のポリマー、或いはポリマー母材(A)を構成するポリマーが有するポリマー鎖(主鎖又は側鎖)と同種のポリマー鎖を主鎖又は側鎖に有するポリマーであることが好ましい。
より具体的には、ポリマー母材(A)を構成するポリマーと構造部(B)を構成するポリマーの好ましい組合せとして、ポリウレタン系ポリマー同士の組合せ、ポリウレア系ポリマー同士の組合せ、ポリウレタンウレア系ポリマー同士の組合せ、ポリオレフィン系ポリマー同士の組合せ、シリコーン系ポリマー同士の組合せ、ポリエステル系ポリマー同士の組合せ、ポリエーテル系ポリマー同士の組合せ、ポリアミド系ポリマー同士の組合せ、ポリスチレン系ポリマー同士の組合せ、アクリル系ポリマー同士の組合せが挙げられる。また、ポリスチレン系ポリマーとアクリル系ポリマーとの組合せも好ましい。さらに、前記好ましい組合せとして、ポリウレタン鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリウレア鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリウレタンウレア鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリオレフィン鎖を有するポリマー同士の組合せ、シリコーン鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリエステル鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリエーテル鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリアミド鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリスチレン系ポリマー鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリアクリル鎖を有するポリマー同士の組合せが挙げられる。
これらの中でも、ポリマー母材(A)を構成するポリマーと構造部(B)を構成するポリマーの好ましい組合せとして、ポリウレタン系ポリマー同士の組合せ、ポリウレタン鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリスチレン系ポリマー同士の組合せ、ポリスチレン系ポリマー鎖を有するポリマー同士の組合せ、アクリル系ポリマー同士の組合せ、ポリアクリル鎖を有するポリマー同士の組合せ、ポリスチレン系ポリマーとアクリル系ポリマーとの組合せが特に好ましい。
[シート状有機基材(伸長性有機基材等)の製造]
本発明の製造方法は、上述のように、下記の工程A〜Dを具備する。
工程A:支持体上に、構造部(B)形成用材料による層を形成する構造部(B)形成用材料層形成工程
工程B:構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる半硬化工程
工程C:半硬化した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成するポリマー母材形成用材料層形成工程
工程D:工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる硬化工程
まず、工程Aでは、所望する構造部(B)の形状、大きさ、構造部(B)を複数個設ける場合にはそれらの間隔に応じて、支持体上に、該構造部(B)の形成用材料を配して、構造部(B)形成用材料層を形成する。
工程Aにおいて、支持体としては、特に限定されないが、例えばセパレータを用いることができる。セパレータとしては、特に限定されず、慣用の剥離紙、剥離処理層を有するセパレータ、フッ素ポリマーからなる低接着性基材、無極性ポリマーからなる低接着性基材などを使用できる。上記剥離処理層を有するセパレータとしては、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されたプラスチックフィルムや紙等が挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン−フッ化ビニリデン共重合体等が挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなど)等が挙げられる。なお、セパレータは公知乃至慣用の方法により製造することができる。また、セパレータの厚さ等も特に限定されない。
構造部(B)形成用材料としては、構造部(B)を構成する材料(b)の前駆体(例えば、エネルギー線硬化性組成物)を用いることができる。
構造部(B)形成用材料としては、構造部(B)を、前記(i)ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーを含有するポリマー材料で構成する場合には、該ホモポリマーのTgが5℃以上であるモノマーをモノマー全体の50重量%以上含むモノマー成分、又はその部分重合物を含有する硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物等)を使用できる。この硬化性組成物は、通常、重合開始剤を含んでいる。
構造部(B)を、前記(ii)硬化性基を分子内に2以上有する多官能モノマーに由来する構成単位をポリマーの全構成単位に対して50重量%以上含むポリマーを含有するポリマー材料で構成する場合には、構造部(B)形成用材料として、該硬化性基を分子内に2以上有する多官能モノマーを50重量%以上含むモノマー成分、又はその部分重合物を含有する硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物等)を使用できる。この硬化性組成物は、通常、重合開始剤を含んでいる。
構造部(B)を、前記(iii)引張弾性率が0.1MPa以上のポリマー材料で構成する場合には、構造部(B)形成用材料として、前記引張弾性率0.1MPa以上のポリマー材料に誘導できるモノマー(エネルギー線硬化性モノマー等)又はその部分重合物を含有する硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物等)を使用できる。
構造部(B)を、応力発光体と樹脂材料とを含む応力発光部とする場合には、構造部(B)形成用材料として、応力発光体と、前記樹脂材料に誘導できるモノマー(エネルギー線硬化性モノマー等)又はその部分重合物とを含有する硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物等)を使用できる。
構造部(B)を、フィラーと樹脂材料とを含む機能性フィラー含有部とする場合には、構造部(B)形成用材料として、フィラーと、前記樹脂材料に誘導できるモノマー(エネルギー線硬化性モノマー等)又はその部分重合物とを含有する硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物等)を使用できる。
支持体上の所定部位に、構造部(B)形成用材料を配する方法(手段)としては、特に限定されず、例えば、塗工、滴下、載置、印刷などが挙げられる。
構造部(B)形成用材料は、通常液状である。該液の粘度は、作業性等の観点から、塗工、滴下等する際の温度(例えば10〜40℃の範囲内の所定温度、特に25℃)において、例えば、10〜50000mPa・sであり、その上限は、好ましくは30000mPa・s、さらに好ましくは20000mPa・sであり、下限は、好ましくは20mPa・s、さらに好ましくは30mPa・sである。この粘度が低すぎると所望の形状の構造部(B)が得られにくくなり、逆に高すぎると塗工作業性が低下しやすくなる。
塗工、滴下、載置、印刷の方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法で行うことができる。例えば、滴下は適宜な滴下装置を使用できる。印刷は、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の種々の印刷法を採用できる。
支持体の所定部位に配する構造部(B)形成用材料の種類、使用量、粘度等を選択、調整することにより、構造部(B)の大きさ(面方向の大きさ及び高さ)をコントロールできる。構造部(B)を複数形成する場合は、適宜な間隔をおいて、構造部(B)形成用材料を適用する。なお、構造部(B)形成用材料の滴下箇所を規制する手段を用いることにより、構造部(B)の形状を制御できる。
なお、構造部(B)形成用材料として、構造部(B)を構成する材料(b)の前駆体であるエネルギー線硬化性組成物を用いる場合には、該構造部(B)形成用材料の周辺部(ポリマー母材形成用材料層)への拡散の抑制、構造部(B)形成用材料の支持体からのはじきの防止、半硬化するための時間の短縮等のため、該エネルギー線硬化性組成物にポリマーを含有させるのが好ましい。前記ポリマーは反応性ポリマーであってもよい。
前記エネルギー線硬化性組成物中に配合するポリマーの重量平均分子量としては、特に限定されないが、例えば1000以上、好ましくは2000以上、さらに好ましくは3000以上である。ポリマーの重量平均分子量が低すぎると、拡散抑制効果が小さくなりやすい。また、ポリマーの重量平均分子量があまりに大きすぎると、組成物(塗布液)の粘度が高くなりすぎて塗布作業性が低下する場合がある。この観点からは、ポリマーの重量平均分子量の上限は、例えば、5000000、好ましくは1000000、さらに好ましくは100000である。前記エネルギー線硬化性組成物中のポリマーの含有量は、例えば5重量%以上、好ましくは10重量%以上、さらに好ましくは20重量%以上である。ポリマーの含有量が5重量%未満の場合には前記拡散抑制効果が小さい。また、ポリマーの含有量が多すぎると、エネルギー線硬化性組成物の粘度が高くなりすぎて塗布作業性が低下しやすくなる。この観点から、前記エネルギー線硬化性組成物中のポリマーの含有量の上限は、例えば95重量%、好ましくは90重量%、さらに好ましくは85重量%である。
前記エネルギー線硬化性組成物中に配合するポリマーとしては、構造部(B)に要求される物性(特性)を損なわないポリマーであれば特に制限はなく、前記ポリマー母材(A)を構成するポリマーとして例示したポリマー、前記構造部(B)を構成するポリマーとして例示したポリマー等のいずれであってもよいが、ポリマー母材(A)と構造部(B)の一体性、密着性等の観点から、ポリマー母材(A)を構成するポリマーと同種のポリマー、或いはポリマー母材(A)を構成するポリマーが有するポリマー鎖(主鎖又は側鎖)と同種のポリマー鎖を主鎖又は側鎖に有するポリマーであることが好ましい。
次に、工程Bでは、構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化(部分硬化)させる。半硬化の状態とは、完全には硬化していないが、工程Cにおいて、半硬化した構造部(B)形成用材料層上にポリマー母材形成用材料層を形成する際、該半硬化した構造部(B)形成用材料層のパターンが変形しない程度まで硬化している(高粘度化している)状態をいう。
半硬化の方法としては、特に制限はなく、例えば、エネルギー線の照射により行うことができる。エネルギー線としては、紫外線(UV)が好ましいが、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、可視光線であってもよい。エネルギー線の照射装置としては、慣用のものを使用できる。例えば、紫外線を照射する場合には、水銀灯、蛍光灯、ケミカルランプ、ブラックライト、ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ネオン管、ネオンランプ、高輝度放電灯などを用いることができる。
エネルギー線照射の際、酸素による硬化阻害を防止する目的や、表面を平滑にする目的のため、 構造部(B)形成用材料層の表面にカバーフィルムを積層してもよい。カバーフィルムとしては、前記支持体と同様のセパレータなどを使用できる。カバーフィルムの積層は、例えば、ハンドローラー等を用いて行うことができる。
エネルギー線として紫外線を照射して構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる場合、照度や積算照射量は、構造部(B)形成用材料の種類、量などにより適宜選択できる。例えば、照度は、1〜40mW/cm2程度であり、積算照射量は、10〜1000mJ/cm2程度である。
構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる際の硬化度は、特に制限はないが、例えば、重合率として、10〜95%、好ましくは20〜90%、さらに好ましくは30〜85%である。硬化度が低すぎると、半硬化した構造部(B)形成用材料層上にポリマー母材形成用材料層を形成する際、該半硬化した構造部(B)形成用材料層のパターンが変形するおそれがある。また、硬化度が高すぎると、半硬化した構造部(B)形成用材料層上にポリマー母材形成用材料層を形成する際、ポリマー母材(A)と構造部(B)の密着性(一体性)が不十分となるおそれがある。
さらに、工程Cでは、半硬化(部分硬化)した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成する。
半硬化した構造部(B)形成用材料層上にポリマー母材形成用材料層を形成する方法としては、特に制限はなく、例えば、(i)構造部(B)形成用材料層を形成した支持体とは別の支持体上に形成されたポリマー母材形成用材料層と、半硬化した構造部(B)形成用材料層とを重ね合わせる方法(積層工程)、(ii)半硬化した構造部(B)形成用材料層上にポリマー母材形成用材料を塗工する方法(塗工工程)等が挙げられる。
前記(i)の方法において、構造部(B)形成用材料層を形成した支持体とは別の支持体上にポリマー母材形成用材料層を形成する方法としては、例えば、支持体上にポリマー母材形成用材料を塗工する方法などが挙げられる。支持体としては、前記構造部(B)形成用材料層を形成する際に用いる支持体として例示したものを用いることができる。支持体上にポリマー母材形成用材料を塗工する方法としては、特に制限はなく、例えば、マイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ダイコーター等のコーター、押出機、印刷機などを使用できる。ポリマー母材形成用材料層と半硬化した構造部(B)形成用材料層とを重ね合わせる方法も、特に限定されず、例えば、半硬化した構造部(B)形成用材料層の上にポリマー母材形成用材料層を転写する方法、ポリマー母材形成用材料層の上に半硬化した構造部(B)形成用材料層を転写する方法等のいずれであってもよい。
前記(ii)の方法において、塗工方法としては、特に制限はなく、上記と同様、例えば、マイヤーバー、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ダイコーター等のコーター、押出機、印刷機などを使用できる。
前記ポリマー母材形成用材料層の厚みは、例えば、0.01mm〜1cmであり、その上限は、好ましくは5mm、さらに好ましくは2mmであり、下限は、好ましくは0.03mm、さらに好ましくは0.05mmである。
そして、工程Dでは、前記工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる。
硬化の方法としては、特に限定されず、例えば、エネルギー線の照射により行うことができる。エネルギー線としては、紫外線(UV)が好ましいが、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、可視光線であってもよい。エネルギー線の照射装置としては、慣用のものを使用できる。例えば、紫外線を照射する場合には、水銀灯、蛍光灯、ケミカルランプ、ブラックライト、ナトリウムランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ネオン管、ネオンランプ、高輝度放電灯などを用いることができる。
エネルギー線照射の際、酸素による硬化阻害を防止する目的や、表面を平滑にする目的のため、 半硬化した構造部(B)形成用材料層及び/又はポリマー母材形成用材料層の表面にカバーフィルムを積層してもよい。カバーフィルムとしては、前記支持体と同様のセパレータなどを使用できる。カバーフィルムの積層は、例えば、ハンドローラー等を用いて行うことができる。
エネルギー線として紫外線を照射して半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる場合、照度や積算照射量は、構造部(B)形成用材料やポリマー母材形成用材料の種類、量などにより適宜選択できる。例えば、照度は、1〜40mW/cm2程度であり、積算照射量は、500〜10000mJ/cm2程度である。
このようにして、ポリマー母材(A)中に該ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)が部分的に且つ一体的に形成されたシート状有機基材を得ることができる。
図8は本発明のシート状有機基材の製造方法の一例を示す概略図(断面図)である。図8の(a)、(b)は工程A、(c)は工程B、(d)は工程C、(e)、(f)は工程Dに該当する。符号1、2、3は前記と同じである。符号4、5は支持体(セパレータ)である。符号20はポリマー母材形成用材料層(ポリマー母材形成用エネルギー線硬化性組成物層)、符号30は構造部(B)形成用材料(層)[構造部(B)形成用エネルギー線硬化性組成物(層)]、符号300は半硬化(部分硬化)した構造部(B)形成用材料層[半硬化した構造部(B)形成用エネルギー線硬化性組成物層]である。
半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させた後、図8の(t)に示されるように、必要に応じて支持体4、5を剥離し、必要に応じて適宜な大きさに切断し、シート状有機基材1として使用に供される。切断操作は支持体4、5の剥離前に行ってもよい。
こうして得られるシート状有機基材1は、前述したように、構造部(B)の特性、機能に応じた種々の用途に用いることができる。
なお、シート状有機基材の少なくとも一方の面に粘着剤層を設けて粘着シート又は粘着テープとして使用することもできる。ポリマー母材(A)及び/又は構造部(B)が粘着性を有する場合には、粘着剤層を設けることなく粘着テープ又はシートとして用いることができる。粘着剤層を構成する粘着剤としては、特に制限はなく、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等、公知の粘着剤を使用できる。
以下、本発明について実施例及び比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
製造例1(母材シロップの製造)
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、(メタ)アクリル系モノマーとして、イソボルニルアクリレート(商品名「IBXA」、大阪有機化学工業(株)製)を71重量部、n−ブチルアクリレート(BA、東亜合成(株)製)を19重量部、アクリル酸(AA)を10重量部、ポリオールとして、数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製)を68.4重量部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)0.01重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製)を25.5重量部滴下し、65℃で5時間反応させ、ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。その後、さらにヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製)6.1重量部を投入し、65℃で1時間反応することでアクリロイル基末端ウレタンポリマー−アクリル系モノマー混合物を得た。その後、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(商品名「イルガキュア819」、BASF社製)を0.15重量部添加することにより母材シロップを得た。なお、イソシアネート基含有成分およびポリオール(ヒドロキシル基含有成分)のNCO/OH(官能基の当量比)は1.25、ポリマー濃度は50wt%であった。得られたシロップ(母材シロップ)の粘度(25℃)は8Pa・sであった。
製造例2[構造部(B)(難伸長性ポリマー部)形成用シロップの製造]
冷却管、温度計、および攪拌装置を備えた反応容器に、ポリオールとして、数平均分子量650のポリ(オキシテトラメチレン)グリコール(PTMG650、三菱化学(株)製)を59.1重量部、触媒としてジラウリン酸ジブチルスズ(DBTL)0.01重量部を投入し、攪拌しながら、水添キシリレンジイソシアネート(HXDI、三井化学ポリウレタン(株)製)を28.3重量部滴下し、65℃で5時間反応させ、さらにヒドロキシエチルアクリレート(商品名「アクリックス HEA」、東亜合成(株)製)12.6重量部を投入し、65℃で1時間反応することでアクリロイル基末端ウレタンポリマーを得た。このアクリロイル基末端ウレタンポリマー50重量部に対し、トリメチロールプロパンEO付加トリアクリレート(商品名「ビスコート#360」、大阪有機化学工業(株)製)を50重量部、光重合開始剤としてビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニル−フォスフィンオキシド(商品名「イルガキュア819」、BASF(株)製)を0.15重量部、赤色インキ(商品名「シャチハタスタンプ台専用スタンプインキ SGN−40赤」、シャチハタ(株)製)1重量部添加することにより、構造部(B)形成用シロップを得た。なお、イソシアネート基含有成分およびポリオール(ヒドロキシル基含有成分)のNCO/OH(官能基の当量比)は1.6、ポリマー濃度は50wt%であった。得られたシロップ[構造部(B)形成用シロップ]の粘度(25℃)は3.5Pa・sであった。
実施例1
セパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面の所定部位に、ディスペンサー(商品名「SM300DS-S、MPP−1」、武蔵エンジニアリング(株)製)を用いて、上から、製造例2で得られた構造部(B)形成用シロップ(約1.6μL)を5mm間隔(中心間距離)で滴下した。この構造部パターン形成後、即座に、上から、紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、照射時間:20秒、積算照射量:68mJ/cm2)、構造部(B)形成用シロップを半硬化(部分硬化)させた。
一方、セパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、製造例1で得られた母材シロップをアプリケータにて塗工し、厚み300μmの母材シロップ層を形成した。
上記の母材シロップ層を形成したシートを、上記の半硬化した構造部(B)が形成されたシート上に、母材シロップ層側が半硬化した構造部(B)側となるように、ハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)、母材シロップの硬化物(=伸長性ポリマー母材)中に略円柱状の構造部(B)形成用シロップ硬化部(=構造部(B);難伸長性ポリマー部)が所定の間隔[5mm間隔(中心間の距離)、12個×12個]で配置された伸長性有機基材を得た。得られた伸長性有機基材の表面の写真を図10に示す。構造部(B)形成用材料を半硬化した後に母材シロップ層を積層しているため、後述の比較例1と比較して、パターンの輪郭が明瞭であり、パターンの形状、大きさも均一である。
実施例2
セパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面の所定部位に、ディスペンサー(商品名「SM300DS-S、MPP−1」、武蔵エンジニアリング(株)製)を用いて、上から、製造例2で得られた構造部(B)形成用シロップを滴下していき、図9に示すようなパターン(線幅:1mm、a=5mm、複数の直線がシート長さ方向に垂直に且つ等間隔に平行に延びているパターン;なお、図9の四角形の外枠はシート状伸長性有機基材の輪郭形状を示すものではない)を形成した。この構造部(B)パターン形成後、即座に、上から、紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、照射時間:20秒、積算照射量:68mJ/cm2)、構造部(B)形成用シロップを半硬化(部分硬化)させた。
一方、セパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、厚み38μm)の表面に、製造例1で得られた母材シロップをアプリケータにて塗工し、厚み300μmの母材シロップ層を形成した。
上記の母材シロップ層を形成したシートを、上記の半硬化した構造部(B)が形成されたシート上に、母材シロップ層側が半硬化した構造部(B)側となるように、ハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)、母材シロップの硬化物(=伸長性ポリマー母材)中に構造部(B)形成用シロップ硬化部(=構造部(B);難伸長性ポリマー部)が配置された伸長性有機基材を得た。
比較例1
セパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、長さ400mm、幅240mm、厚み38μm)の表面に、製造例1で得られた母材シロップをアプリケータにて塗工し、厚み300μmの母材シロップ層を形成した。この母材シロップ層の所定部位にディスペンサー(商品名「SM300DS−S、MPP−1」、武蔵エンジニアリング(株)製)を用いて、製造例2で得られた構造部(B)形成用シロップ(約1.6μL)を注入し、島状の構造部(B)形成用シロップを5mm間隔(中心間距離)で形成した。そして、上から、紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、照射時間:20秒、積算照射量:68mJ/cm2)、母材シロップ及び構造部(B)形成用シロップを半硬化させた後、半硬化したシロップ上にカバーセパレータ(商品名「MRF38」、三菱樹脂(株)製、長さ400mm、幅240mm、厚み38μm)をハンドローラーにて貼り合わせ、さらに紫外線ランプ(ケミカルランプ)により紫外線を照射し(紫外線照度:3.4mW/cm2、積算照射量:2000mJ/cm2)、母材シロップの硬化物(=伸長性ポリマー母材)中に略円柱状の構造部(B)形成用シロップ硬化部(=構造部(B);難伸長性ポリマー部)が所定の間隔[5mm間隔(中心間の距離)、12個×12個]で配置された伸長性有機基材を得た。得られた伸長性有機基材の表面の写真を図11に示す。構造部(B)形成用材料を半硬化させることなくそのまま母材シロップ層に注入しているため、実施例1と比較して、パターンの外縁部に滲みが見られ、パターンの輪郭がやや不明瞭であった。また、パターンの形状、大きさもやや不揃いであった。
評価試験
<伸び量の測定>
実施例1で得られた伸長性有機基材のサンプル(幅20mm)について、引張試験機(商品名「Autograph AG-X 200N」、(株)島津製作所製)により引張試験(温度:25℃、引張速度:200mm/min)を行った。該サンプルの25%伸長時(元の長さの125%)における難伸長性ポリマー部の伸長方向の伸長率S1(%)と、難伸長性ポリマー部以外の部位[伸長性ポリマー母材部]の伸長方向の伸長率S2(%)を計測した。
伸長率S1(%)は、難伸長性ポリマー部の伸長方向の径(基材表面の略円の径)を伸長の前後で測定し、式:{(伸長後の長さ−伸長前の長さ)/(伸長前の長さ)}×100)により計算で求めた。
伸長率S2(%)は、難伸長性ポリマー部以外の部位(伸長性ポリマー母材部)の伸長方向に6箇所印を付けておき、隣り合う印の間の長さを伸長の前後で測定し、式:{(伸長後の長さ−伸長前の長さ)/(伸長前の長さ)}×100)により計算で求めた。
その結果、S1は0%、S2は30%であった。
1 シート状有機基材(伸長性有機基材)
2 ポリマー母材(A)(ポリマー母材(A)部)[伸長性ポリマー母材(伸長性ポリマー母材部)]
20 ポリマー母材形成用材料層(伸長性ポリマー母材形成用エネルギー線硬化性組成物層)
3 構造部(B)
30 構造部(B)形成用材料(層)[構造部(B)形成用エネルギー線硬化性組成物(層)]
300 半硬化した構造部(B)形成用材料層[半硬化した構造部(B)形成用エネルギー線硬化性組成物(層)]
4 支持体
5 支持体

Claims (5)

  1. ポリマー母材(A)中に、該ポリマー母材(A)とは異なる材料で構成された構造部(B)が部分的に且つ一体的に形成されているシート状有機基材を製造する方法であって、下記の工程A〜Dを具備することを特徴とするシート状有機基材の製造方法。
    工程A:支持体上に、構造部(B)形成用材料による層を形成する構造部(B)形成用材料層形成工程
    工程B:構造部(B)形成用材料層の構造部(B)形成用材料を半硬化させる半硬化工程
    工程C:半硬化した構造部(B)形成用材料層上に、ポリマー母材形成用材料層を形成するポリマー母材形成用材料層形成工程
    工程D:工程(C)の後、半硬化した構造部(B)形成用材料層及びポリマー母材形成用材料層を硬化させる硬化工程
  2. 工程Aが、支持体上に、構造部(B)形成用材料を塗工、滴下、載置又は印刷して、構造部(B)形成用材料による層を形成する工程である請求項1記載のシート状有機基材の製造方法。
  3. 工程B及び/又は工程Dが、エネルギー線を照射する工程である請求項1又は2記載のシート状有機基材の製造方法。
  4. 工程Cが、構造部(B)形成用材料層を形成した支持体とは別の支持体上に形成されたポリマー母材形成用材料層と、半硬化した構造部(B)形成用材料層とを重ね合わせる積層工程である請求項1〜3の何れか1項に記載のシート状有機基材の製造方法。
  5. 構造部(B)形成用材料層がポリマーを含む請求項1〜4の何れか1項に記載のシート状有機基材の製造方法。
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