JP2014057983A - ステンレス冷延鋼帯の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラスター型圧延機で冷間圧延されたステンレス冷延鋼帯を、熱処理後に搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際の接触疵や冷却折れの発生を抑制する。
【解決手段】冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯の形状が、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状であって、かつ耳伸び深さが330mm以下である形状となるように、クラスター型圧延機による冷間圧延の条件を制御することにより、熱処理により搬送時のステンレス冷延鋼帯に生じる形状不具合の発生を抑制する。
【選択図】図5

Description

本発明は、ステンレス冷延鋼帯の製造方法に関し、具体的には、例えば20段センジミア圧延機等のクラスター型圧延機による冷間圧延を行われたステンレス鋼帯に例えば連続焼鈍等の熱処理を行った後にこのステンレス冷延鋼帯を、搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際に、例えば幅方向反りや冷却折れといった形状不具合の発生を抑制しながら、ステンレス冷延鋼帯を製造する方法に関する。
ステンレス冷延鋼帯の冷間圧延では、硬質かつ薄物の被圧延材を効率よく圧延するため、クラスター型圧延機、例えば、クラスター状に配置された20段のロールを備えることにより極小径のワークロールを備え、硬質かつ薄物の被圧延材の強圧下圧延が可能な20段センジミア圧延機が多用される。このクラスター型圧延機は通常の4,6段の圧延機に比べて小径のワークロールを用いることに起因して、各種の伸び、特にクォーター伸びを含んだ形状欠陥が冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯に発生し易い。
ステンレス冷延鋼帯の冷間圧延後の形状欠陥としては、板幅方向の両端に圧延方向(鋼帯長手方向)への伸びが発生するとともに板幅方向の中央が平坦である単純耳伸び、板幅方向の中央が圧延方向へ伸びるとともに両端が平坦である中伸び、板幅方向の両端部および中央部の間の2か所が圧延方向へ伸びるクォーター伸び(Q伸び)、これらが複合・重畳して発生する各種伸びがある。
冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯は、引き続き、例えば光輝焼鈍ライン(以下「BAライン」という)、連続焼鈍およびピックリングライン(以下「APライン」という)といった熱処理ラインに搬送されて熱処理を施され、その後、スリッターラインに搬送されて所定の寸法に切断される。
図1は、BAライン1を模式的に示す説明図であり、図2は、スリッターライン19を模式的に示す説明図である。
図1に示すように、クラスター型圧延機により冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯2は、巻き出しリール3から巻き出され、溶接機4を通過してアルカリ洗浄装置5に送られてアルカリ洗浄された後、ブライドルロール6,入側アキュームレータ7,ブライドルロール8を介して光輝焼鈍炉9に送られる。光輝焼鈍炉9の加熱帯9aおよび冷却帯9bにより光輝焼鈍されたステンレス冷延鋼帯2は、ブライドルロール10,出側アキュームレータ11,ブライドルロール12を介して、巻き取りリール13により巻き取られる。なお、図1における符号9cはシール装置を示し、符号9dはトップロールを示す。
また、図2に示すように、BAライン1による光輝焼鈍を行われたステンレス冷延鋼帯2は、巻き出しリール14から巻き出され、入側ループ15を介してアーバー16に送られて所定の寸法に切断され、出側ループ17を介して巻き取りリール18により巻き取られる。
上述のクォーター伸びを含んだ形状欠陥を有するステンレス冷延鋼帯2は、BAライン1やAPラインの通板を行うと、光輝焼鈍炉9内の加熱から冷却される過程で板幅方向反りが生じることがある。この際、図1に示すように、ステンレス冷延鋼帯2は、アルカリ洗浄装置5,アキュームレータ7,11など多くの前後装置を備えるBAライン1を連続通板されるため、光輝焼鈍炉9で生じた板幅方向反りに起因して、光輝焼鈍炉9よりも下流の構造物との接触による接触疵が発生し、またスリッターライン19を通板時にルーピング不能により通板性が阻害されることがある。特に、光輝焼鈍炉9を出た後のターンロールにおいて、クォーター伸び部に存在する山部(凸部)に、その反対方向への曲げ変形が与えられると、この凸部がステンレス冷延鋼帯2の長手方向へ折れる冷却折れが発生することがある。冷却折れは、ステンレス冷延鋼帯2の外観上欠陥として取扱われることから、歩留りの低下が助長されることとなる。
また、引き続く図2に示すスリッターライン19における入側ループ15や出側ループ17においてステンレス冷延鋼帯2に、搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際にはルーピング不能による通板性が低下し、歩留りや生産能率が低下し易い。
これまでにも、クラスター型圧延機により冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯におけるクォーター伸びを含んだ形状欠陥を抑制する方法が提案されている。例えば、特許文献1には、軸心とスリーブを嵌め合い固着させたロールを用いて冷間圧延を行う発明が開示され、特許文献2には、緩やかな凹状に窪ませた縮径部を有するロールを用いて冷間圧延を行う発明が開示されている。
特開昭61−226105号公報 特開平1−284410号公報
これらの従来技術は、いずれも冷間圧延で生じるクォーター伸びの抑制に関するものではあるものの、クラスター型圧延機による冷間圧延を行われたステンレス鋼帯に例えば連続焼鈍等の熱処理を行った後にこのステンレス冷延鋼帯を搬送ロールの周りを周回させながら搬送する際に、例えば幅方向反りや冷却折れといった形状不具合を抑制することは、開示も示唆もされていない。
また、これらの従来技術は、いずれも、一般的に使用される中間ロールのテーパ形状に加え、凹みを有する形状のロールを用いるため、製造コストの上昇は否めない。
本発明の目的は、例えば20段センジミア圧延機等のクラスター型圧延機による冷間圧延を行われたステンレス鋼帯に例えば連続焼鈍等の熱処理を行った後にこのステンレス冷延鋼帯を、搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際に、特許文献1,2により開示されたような特殊な構造のロールを用いることなく、接触疵の発生や、幅方向反り,冷却折れといった形状不具合の発生を抑制しながら、ステンレス冷延鋼帯を製造することである。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、例えば20段センジミア圧延機などクラスター型圧延機でステンレス冷延鋼帯の冷間圧延を行うにあたって、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯の形状を、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状として、BAラインでの熱処理後のステンレス冷延鋼帯の形状を平坦性に優れた形状とすることにより、搬送時における接触疵の発生や冷却折れの発生を抑制できるために歩留りを向上できるとともに、BAラインに引き続くスリッターラインでのルーピング不能を解消でき生産能率を高めながら、ステンレス冷延鋼帯を製造できることを知見し、本発明を完成した。
なお、クラスター型圧延機を用いるステンレス冷延鋼帯の通常の冷間圧延では、クォーター伸びや中伸びは不可避的にある程度発生するが、本発明者の知見によれば、文献「塑性と加工 vol.20 no.217(1979−2)」の89〜90頁に記載された平坦度I−Unitで50I−unit以下のクォーター伸び形状,中伸び形状を有していても、上述の冷却折れやルーピング不能は発生しない。
本発明は以下に記載の通りである。
(1)クラスター型圧延機を用いた冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯に、熱処理ラインにおいて熱処理を行った後に、該熱処理を行われたステンレス冷延鋼帯を、搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送することによって、ステンレス冷延鋼帯を製造する際に、
前記冷間圧延の終了時における当該ステンレス冷延鋼帯の形状が、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状であって、かつ耳伸び深さが330mm以下である形状となるように、前記クラスター型圧延機による冷間圧延の条件を制御することにより、前記曲げ変形を与えられる際の形状不具合の発生を抑制することを特徴とするステンレス冷延鋼帯の製造方法。
(2)前記熱処理ラインは連続焼鈍ラインである(1)項に記載されたステンレス冷延鋼帯の製造方法。
本発明によれば、例えば20段センジミア圧延機などクラスター型圧延機でステンレス冷延鋼帯を冷間圧延する際に、冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯の形状を、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状であって、かつ耳伸び深さが330mm以下である形状とするため、熱処理後の平坦性に優れた形状とすることができ、これにより、ステンレス冷延鋼帯を、熱処理後に搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際の接触疵や冷却折れの発生を抑制することができる。このため、本発明によれば、ステンレス冷延鋼帯の歩留りを、特許文献1,2により開示されたような特殊な構造のロールを用いることなく、向上することができる。
図1は、BAラインを模式的に示す説明図である。 図2は、スリッターラインを模式的に示す説明図である。 図3は、ステンレス冷延鋼帯の冷間圧延後の形状が光輝焼鈍後の形状に及ぼす影響をシミュレーションした結果を示すグラフであり、図3(a)は冷間圧延後の形状が平坦形状である場合を示し、図3(b)は冷間圧延後の形状が単純耳伸び形状である場合を示し、図3(c)は冷間圧延後の形状が中伸び形状である場合を示し、図3(d)は冷間圧延後の形状がクォーター伸び形状である場合を示し、図3(e)は冷間圧延後の形状が耳のびと中伸びとが複合した形状である場合を示し、さらに、図3(f)は冷間圧延後の形状が耳のびとクォーター伸びとが複合した形状である場合を示す。 図4は、ステンレス冷延鋼帯2の幅方向反りの発生メカニズムを模式的に示す説明図である。 図5は、ステンレス冷延鋼帯の冷間圧延後の形状が光輝焼鈍後の形状に及ぼす影響をシミュレーションした結果を示すグラフであり、図5(a)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び高さが25I−unitである場合を示し、図5(b)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び高さが50I−unitである場合を示し、図5(c)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び高さが100I−unitである場合を示し、図5(d)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び深さ(板エッジから板幅中心方向までの距離)がエッジより100mmである場合を示し、図5(e)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び深さがエッジより300mmである場合を示し、さらに、図5(f)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯における耳伸び深さがエッジより500mmである場合を示す。 図6(a)および図6(b)は、表1に示す本発明例,比較例それぞれの冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯の形状を示し、図6(c)および図6(d)は、表1に示す本発明例,比較例それぞれの光輝焼鈍後のステンレス冷延鋼帯の形状を示す。 図7(a)および図7(b)は、図3および図5のシミュレーションにより導出された結果をまとめて示すグラフであり、図7(c)は図7(b)のグラフから導出したグラフである。 図8は、本発明で用いることが望ましい第1中間ロールのテーパ形状を示す説明図である。
本発明を実施するための形態を説明する。なお、以降の説明では、クラスター状に配置された20段のロールを備えることにより極小径のワークロールを備え、硬質かつ薄物の被圧延材の強圧下圧延が可能な20段センジミア圧延機を用いた冷間圧延と、図1に示すBAラインによる光輝焼鈍処理と、図2に示すスリッターラインによる切断とを経て、ステンレス冷延鋼帯が製造される場合を例にとる。
20段センジミア圧延機を用いて冷間圧延を行われることにより、ステンレス冷延鋼帯2が製造される。
この冷間圧延の際に、20段センジミア圧延機による冷間圧延の条件を制御することにより、冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯2の形状を、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状であって、かつ耳伸び深さが330mm以下である形状に制御する。
冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯2の形状をこのように限定する理由を、シミュレーション結果も参照しながら説明する。
本発明者は、ステンレス冷延鋼帯2の形状が熱処理によりどのように変化するかを把握するために、光輝焼鈍を行われた後のステンレス冷延鋼帯の形状のシミュレーションを行った。シミュレーションは、ライン速度に相当する速度で熱境界を移動させてステンレス冷延鋼帯の熱履歴を模擬したFEM解析により行った。
図3は、ステンレス冷延鋼帯2の冷間圧延後の形状が光輝焼鈍後の形状に及ぼす影響をシミュレーションした結果を示すグラフであり、図3(a)〜図3(f)における破線は冷間圧延後の形状を示し、実線は光輝焼鈍後の形状を示す。
図3(a)は冷間圧延後の形状が平坦形状である場合を示し、図3(b)は冷間圧延後の形状が単純耳伸び形状である場合を示し、図3(c)は冷間圧延後の形状が中伸び形状である場合を示し、図3(d)は冷間圧延後の形状がクォーター伸び形状である場合を示し、図3(e)は冷間圧延後の形状が耳のびと中伸びとが複合した形状である場合を示し、さらに、図3(f)は冷間圧延後の形状が耳のびとクォーター伸びとが複合した形状である場合を示す。
ステンレス冷延鋼帯2の反り量が75mm以下の場合に光輝焼鈍炉9内の通板性に問題を生じないことが判明しているので、このシミュレーションでは、反り量(図3(a)〜図3(f)における(焼鈍後面外変位量;mm)が75mm以下であることを合格と判定した。ここで、このシミュレーションでは、反り量(焼鈍後面外変位量)の定義は、図3(a),図3(b),図3(c),図3(e)のグラフの実線で示すような単純反り(山が1つのみの場合)の場合は、ベースをエッジ部分としたときの山の最大値とする。
これに対し、図3(d),図3(f)のグラフの実線で示すような山及び谷が複数あるようなクォーター伸びの場合には、進行方向に曲げる場合、曲げ強度が高くなり、山の高さを測定するだけでは正確な反り量を表現することができない。そこで、このシミュレーションでは、山および谷の最大値および最小値を積算し、この積算値を反り量とした。このように定義することによって、入側ループ15,出側ループ17におけるルーピング不能の現象を精度よく表現できる。
図3(a)〜図3(f)に示すように、このシミュレーションにより、図3(c)のグラフに示すように冷間圧延後の形状が中伸びを含む形状である場合に光輝焼鈍後の形状における反り量が最も大きくなり、図3(d),図3(f)のグラフに示すように冷間圧延後の形状がクォーター伸びを含む形状である場合には、反り量は少ないものの、反りのピークが2箇所に生じ、複雑な形状となることが判明した。
このシミュレーション結果から、冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯2の形状を、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状に制御することが、ステンレス冷延鋼帯を熱処理後に搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送する際の接触疵や冷却折れの発生を抑制するためには、必要であることが分かる。
すなわち、冷間圧延時の狙い形状を上記の単純耳伸び形状とすれば、熱処理後の平坦性をより確保したステンレス冷延鋼帯の形状が得られ、これにより、接触疵や冷却折れの抑止による歩留り向上や、通板性向上による生産性向上を図ることができる。
図4は、ステンレス冷延鋼帯2の幅方向反りの発生メカニズムを模式的に示す説明図である。
図4に示すように、ステンレス冷延鋼帯2の幅方向反りは、光輝焼鈍炉9による均熱から冷却される境界において熱膨張差によるエッジ部に生じた張力より発生し、幅方向反りはそのまま冷却されることで保持される。このため、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2の形状が単純耳伸び形状であれば、エッジ伸びにより張力を緩和することで反りの発生を回避することができる。
さらに、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸びの発生状況(高さ,深さ)による熱処理後のステンレス冷延鋼帯2の平坦度の変化をシミュレーションモデルで検討した。
図5は、ステンレス冷延鋼帯2の冷間圧延後の形状が光輝焼鈍後の形状に及ぼす影響をシミュレーションした結果を示すグラフであり、図5(a)〜図5(f)における破線は冷間圧延後の形状を示し、実線は光輝焼鈍後の形状を示す。
図5(a)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び高さが25I−unitである場合を示し、図5(b)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び高さが50I−unitである場合を示し、図5(c)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び高さが100I−unitである場合を示し、図5(d)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び深さ(板エッジから板幅中心方向までの距離)がエッジより100mmである場合を示し、図5(e)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び深さがエッジより300mmである場合を示し、さらに、図5(f)は冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2における耳伸び深さがエッジより500mmである場合を示す。
このように、図5(a)〜図5(c)には、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2の耳伸び高さを25,50,100(I−unit)と変化させた場合の熱処理後の平坦度の変化を示し、図5(d)〜図5(f)には、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2の耳伸び深さを100,300,500(mm)と変化させた場合の熱処理後の平坦度の変化を示す。
さらに、図7(a)および図7(b)は、図3および図5のシミュレーションにより導出された結果をまとめて示すグラフであり、図7(c)は図7(b)のグラフから導出したグラフである。
図7(c)のグラフに示すように、熱処理後に平坦性に優れた形状を有するステンレス冷延鋼帯を製造するためには、冷間圧延後の形状が単純耳伸び形状であることが有効である。
図3(a)〜図3(f)、および図5(a)〜図5(f)にグラフで示すように、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯2の形状を、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状とすることによって、熱処理後の平坦性に優れた形状を有するステンレス冷延鋼帯2を得られ、これにより、接触疵や冷却折れの抑止による歩留り向上や、通板性の向上による生産性向上を図りながら、ステンレス冷延鋼帯2を製造することができる。
冷間圧延の終了時におけるステンレス冷延鋼帯2の形状を上記のように制御するためには、冷間圧延に用いる20段センジミア圧延機における第1中間ロールの形状を、以降に説明するテーパ形状とすることが例示される。なお、20段センジミア圧延機における第1中間ロールとは、小径のワークロールに直接接触する中間ロールを意味する。
図8は、本発明で用いることが望ましい第1中間ロール20のテーパ形状を示す説明図である。
上述したように、特許文献1,2には、クォーター伸びを抑制する方法として、第1中間ロールのテーパ付与部と幅中心位置に対して反対方向へ凹みを持たせたロールを用いる方法や、スリーブロールを用いるといったように、従来の構成に新たな構成要素を付加する方法を用いている。
本発明では、圧延形状解析モデルを構築して形状制御アクチュエータの特性を評価し、従来の構成に新たな構成要素を付加するのではなく、図8に示す3つの異なる傾斜角のテーパ部からなるテーパ形状を有する第1中間ロール20において、比(h1/L1)と比(h3/L3)がそれぞれ1:5以上となるテーパ形状とすることにより、従来と同等の圧延条件で圧延すれば、冷間圧延後に上述した所望の単純耳伸び形状を得られる。
このようにして、20段センジミア圧延機による冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯2は、図1に示すBAライン1に搬送されて熱処理(光輝焼鈍処理)を行われ、その後図2に示すスリッターライン19に搬送されて所定の寸法に切断される。
このように、BAライン1の光輝焼鈍炉9により熱処理を行われたステンレス冷延鋼帯2は、例えば、図1に示すブライドルロール10,出側アキュームレータ11,ブライドルロール12の周りを周回する際や、図2に示す入側ループ15,出側ループ17において、搬送方向への曲げ変形を与えられながら搬送される。この搬送の際に、ステンレス冷延鋼帯2は、上述した形状を有するため、搬送時の曲げ変形を与えられる際の形状不具合(接触疵や冷却折れ等)の発生を抑制できる。
本発明の効果を実証するため、20段センジミア圧延機により冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯を用い、図1に示すBAラインでの通板試験を行った。圧延条件を表1にまとめて示す。また、表2にこの20段センジミア圧延機の主要諸元を示す。
本発明例では、耳伸び量を70〜100I−unitとし、耳伸びのエッジからの深さを330mm以下とし、クォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下の形状とした。また、比較例では、耳伸び量を50〜70I−unitとし、クォーター伸びが30I−unit以下の形状とした。
図6(a)および図6(b)は、表1に示す本発明例,比較例それぞれの冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯の形状の一例を示し、図6(c)および図6(d)は、表1に示す本発明例,比較例それぞれの光輝焼鈍後のステンレス冷延鋼帯の形状の一例を示す。
冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯の狙い形状を、耳伸びとクォーター伸びとが複合した形状とした比較例では、光輝焼鈍後のステンレス冷延鋼帯の形状は幅方向に2箇所の膨らみを有する幅方向反りが生じ、その後の搬送過程で搬送時の曲げ変形を与えられる際の形状不具合(接触疵や冷却折れ等)が発生した。
これに対し、冷間圧延後のステンレス冷延鋼帯の狙い形状を単純耳伸び形状とした本発明例では、光輝焼鈍後のステンレス冷延鋼帯の形状は、幅方向反りを生じず平坦な形状であったため、その後の搬送過程で搬送時の曲げ変形を与えられる際の形状不具合(接触疵や冷却折れ等)は発生しなかった。
1 BAライン
2 ステンレス冷延鋼帯
3 巻き出しリール
4 溶接機
5 アルカリ洗浄装置
6 ブライドルロール
7 入側アキュームレータ
8 ブライドルロール
9 光輝焼鈍炉
9a 加熱帯
9b 冷却帯
9c シール装置
9d トップロール
11 出側アキュームレータ
12 ブライドルロール
13 巻き取りリール
14 巻き出しリール
15 入側ループ
16 アーバー
17 出側ループ
18 巻き取りリール
19 スリッターライン
20 第1中間ロール

Claims (2)

  1. クラスター型圧延機を用いた冷間圧延を行われたステンレス冷延鋼帯に、熱処理ラインにおいて熱処理を行った後に、該熱処理を行われたステンレス冷延鋼帯を、搬送方向への曲げ変形を与えながら搬送することによって、ステンレス冷延鋼帯を製造する際に、
    前記冷間圧延の終了時における当該ステンレス冷延鋼帯の形状が、板幅方向の両端に伸びが発生するとともにクォーター伸びまたは中伸びが50I−unit以下である単純耳伸び形状であって、かつ耳伸び深さが330mm以下である形状となるように、前記クラスター型圧延機による冷間圧延の条件を制御することにより、前記熱処理により搬送時の前記ステンレス冷延鋼帯に生じる形状不具合の発生を抑制することを特徴とするステンレス冷延鋼帯の製造方法。
  2. 前記熱処理ラインは連続焼鈍ラインである請求項1に記載されたステンレス冷延鋼帯の製造方法。
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