[第1実施形態]
以下、本発明をパチンコ遊技機に適用した一実施形態を、図1〜図30を用いて説明する。本実施形態に係るパチンコ遊技機10は、図1に示されており、パチンコ遊技機10の遊技盤11の前面には、ガイドレール12で囲まれたほぼ円形の遊技領域R1が形成されている。
遊技盤11の前面は、パチンコ遊技機10の前面に開閉可能に取り付けられた前面枠10Zにて覆われ、その前面枠10Zに形成されたガラス窓10Wを通して遊技領域R1の全体が視認可能となっている。ガラス窓10Wの周囲には、装飾ランプ22が設けられ、ガラス窓10Wの上方の両側には、スピーカ25S,25Sが備えられている。また、ガラス窓10Wより下方には、上皿27A及び下皿27Bが上下2段にして設けられ、下皿27Bの右端部には操作ノブ28が設けられている。そして、操作ノブ28を例えば時計回り方向に回動操作すると遊技球が、遊技領域R1へと送り込まれる。このとき、回動操作角を大きくするに従って遊技球の発射強度が増すようになっている。なお、本実施形態では、操作ノブ28において最も回動操作角が大きい状態では、1分間当り99発程度の遊技球が弾き出される構成になっている。
遊技盤11のうち遊技領域R1の中央には、異形の遊技盤表示窓11Hが貫通形成されており、その遊技盤表示窓11Hに遊技盤11の裏面側から液晶表示装置13が対向している。液晶表示装置13は、液晶モジュール(例えば、TFT−LCDモジュール)で構成され、その表示画面34が、遊技盤11の奥側に配置されている。
遊技盤11の前面中央には、表示画面34を囲むように表示装飾枠23が取り付けられている。表示装飾枠23は、遊技盤11の前面側から遊技盤表示窓11Hに嵌め込まれ、遊技盤表示窓11Hの内側に張り出すと共に、遊技盤11の前面から突出している。そして、遊技領域R1を流下する遊技球が、表示装飾枠23の外側を通過して表示装飾枠23の内側に進入しないように構成されている。
遊技領域R1のうち表示装飾枠23の下方における左右方向の中央部には、第1と第2の始動入賞口14A,14B、大入賞口15が、上から順に間隔を開けて並べて設けられている。第1の始動入賞口14Aの左側には、ガイドレール12に沿って一般入賞口20が複数設けられている。各入賞口14A,14B,15,20の何れにも入賞しなかった遊技球は、遊技領域R1の下端に配置されたアウト口16に全て取り込まれる。また、表示装飾枠23の左側には、始動ゲート18と風車19が設けられている。なお、図示しないが、遊技領域R1には多数の障害釘が植設されている。
次に所要の各部位についてさらに詳説する。一般入賞口20は、所謂、ポケット構造をなして、遊技盤11の前面から突出した部材上面に開放しており、遊技球が丁度1つ入球可能な大きさで上方に開口している。そして、一般入賞口20に遊技球が入ると、例えば、4個の遊技球が賞球として上皿27Aに払い出される。
始動ゲート18は、遊技球が潜って通過可能な門形構造をなし、通過した遊技球は始動ゲート18に内蔵された普通図柄始動スイッチ18W(図3参照)によって検出される。この検出信号に基づいて、普通図柄当否判定が行われ、普通図柄表示装置18X(図3参照)にて普通図柄が変動表示後に停止表示される。詳細には、普通図柄表示装置18Xは、例えば、「○」と「×」の図柄を交互に変動表示可能となっており、普通図柄当否判定が当り(以下、適宜「小当り」という)の場合は、「○」が停止表示され、普通図柄当否判定が外れの場合は「×」が停止表示される。そして、次の変動表示が開始されるまで普通図柄の停止表示を継続する。
普通図柄表示装置18Xの変動表示中に始動ゲート18を遊技球が通過した場合、その通過に起因した普通図柄表示装置18Xの変動表示は、最大で4回分まで保留記憶され、普通図柄表示装置18Xの変動表示が終了すると、その保留記憶に基づいて再び普通図柄表示装置18Xが変動表示される。なお、普通図柄の変動表示の保留記憶数は、普通図柄保留表示部(図示せず)にて表示される。
第1と第2の始動入賞口14A,14Bは、共に遊技盤11から突出した部材の上面に開口を備えた、所謂、ポケット構造をなしている。そして、各始動入賞口14A,14Bに入った遊技球は、遊技盤11に設けた図示しない貫通孔を通って、遊技盤11の裏側に回収される。
上側に配置された第1の始動入賞口14Aは、遊技球が1つだけ入る開口幅を有している。一方、下側に配置された第2の始動入賞口14Bは、第1の始動入賞口14Aの真下に配置され、その開口の左右両側には可動翼片14C,14Cが備えられている。これら両可動翼片14C,14Cは、常には起立状態になっており、両可動翼片14C,14Cに挟まれた第2の始動入賞口14Bの開口幅は、遊技球が1つだけ入る大きさとなっている。また、第2の始動入賞口14Bの上方空間は、常には、第1の始動入賞口14Aを構成する部材と可動翼片14C,14Cとで囲まれて、遊技球が入らないようになっている。そして、上述した「小当り」であった場合に、可動翼片14C,14Cが所定期間に亘って横に倒される。すると、第2の始動入賞口14Bの上方空間が側方に開放し、第1の始動入賞口14Aの両脇を通過した遊技球が可動翼片14Cに受け止められて第2の始動入賞口14Bに案内されるようになる(図1の状態)。
各始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞すると、各始動入賞口14A,14B内に設けた始動口センサ14W1,14W2(図3参照)が遊技球を検出し、その検出信号に基づいて、例えば、4個の遊技球が賞球として上皿27Aに払い出されると共に、特別図柄当否判定が行われる。その判定結果は、特別図柄表示装置14X(図3参照)にて表示されると共に、液晶表示装置13(本発明の「表示手段」に相当する)の表示画面34において特別図柄13A,13B,13Cの組み合わせで表示される。
具体的には、液晶表示装置13には、図1に示すように、通常、3つの左、中、右の特別図柄13A,13B,13Cが横並びに停止表示されている。これら各特別図柄13A,13B,13Cは、例えば、「0」〜「11」の数字を表記した複数種類のもので構成されており、通常は、各特別図柄13A,13B,13Cごと、所定の種類のものが停止表示されている。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときに、これら3つの特別図柄13A,13B,13Cが、上下方向にスクロール表示され、所定時間後に、例えば、左、右、中の順で各特別図柄13A,13B,13Cが停止表示される。そして、当否判定結果が当り(以下、「大当り」という)の場合には、各特別図柄13A,13B,13Cが全て同じ図柄(ゾロ目)で停止表示され、大当り遊技状態に移行する。また、このとき、特別図柄13A,13B,13Cが奇数の図柄のゾロ目で停止表示された場合には、大当り遊技終了後に、特別図柄の当否判定が当りとなる確率が通常時(3/630)に比較して高く(30/630)なる確変遊技状態となる。これに対し、当否判定結果が外れの場合には、ゾロ目以外の組み合わせで停止表示され、大当り遊技状態ではない通常遊技状態が続く。
表示画面34で変動停止表示される各特別図柄13A,13B,13Cのうち、最後に停止表示される特別図柄(例えば、中特別図柄13B)を除いて他の特別図柄(例えば、左特別図柄13Aと右特別図柄13C)が同一となる状態を「リーチ」と呼び、リーチを経てゾロ目以外の組み合わせで停止表示することを「リーチ外れ」、リーチを経ずにゾロ目以外の組み合わせで停止表示することを「通常外れ」と呼ぶことにする。
また、液晶表示装置13において変動表示中又は大当り遊技の最中に始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞した場合、その入賞に起因した特別図柄13A,13B,13Cの変動表示は、最大で4回分まで保留記憶され、特別図柄13A,13B,13Cが停止表示又は大当り遊技が終了すると、その保留記憶に基づいて再び特別図柄13A,13B,13Cが変動表示される。特別図柄の変動表示の保留記憶数は、液晶表示装置13の下端部に位置する特別図柄保留表示部14Hにて表示される。具体的には、特別図柄の変動表示が保留されると、特別図柄保留表示部14Hの左側から右側へ、丸いマークが順番に表示され、そのマークの数によって保留記憶数を表示するようになっている。
図1に示すように、大入賞口15は、横長矩形に形成されて、常には、可動扉15T(図1参照)にて閉塞されている。そして、大当り遊技状態に移行して、表示画面34にて大当りオープニング演出(図27(A)参照)が終了すると、遊技盤11の裏に設けた大入賞ソレノイド15S(図3参照)によって可動扉15Tが前側に倒されて大入賞口15が開放し、可動扉15Tを案内にして、大入賞口15に多くの遊技球が入賞可能となる。
可動扉15Tが、開放してから閉じるまでの動作を「ラウンド」と称すると、1回の大当り遊技は、所定回数、例えば、15回のラウンドが実行されるまで継続する。1つのラウンドは、大入賞口15に遊技球が所定個数、例えば、10個入賞すると終了し、入球個数が所定個数に達しない場合には、開放時間が所定時間、例えば、30秒経過後に終了するようになっていて、これらラウンドとラウンドとの間は、所定期間、例えば、2秒だけ大入賞口15を閉鎖した状態にするインターバルになっている。即ち、各ラウンドは、ランダムに成立し得る終了条件によって終了する構成になっている。大入賞口15に入球した入賞個数は、大入賞口15の内部に設けられた入賞センサ(図示せず)によってカウントされている。なお、大入賞口15に遊技球が入賞すると、例えば、1個の入賞につき15個の遊技球が賞球として上皿27Aに払い出される。以上が遊技領域R1に備えた各種役物に関する説明である。
図2に示すように、パチンコ遊技機10の後面には、各種制御基板を覆うケースが設けられている。具体的には、パチンコ遊技機10の後面中央には、主制御基板50が設けられ、この主制御基板50の上方には、音声制御基板55、サブ制御基板57、演出制御基板70が設けられている。さらに、各制御基板50,55,57,70の下方には、電源基板60、払出制御基板58が備えられている。各制御基板は、電源基板60から電源供給を受けて作動する。
次に、図3を参照しつつ、本実施形態のパチンコ遊技機10の電気的な構成について説明する。同図に示すように、符号50は、主制御基板50であって、CPU51AとRAM51B及びROM51C、複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータとサブ制御基板57を結ぶ入出力回路と、大入賞口15等が接続された中継回路80及び払出制御基板58等を結ぶ入出力回路とを備え、遊技に関わる主制御を行う。CPU51Aは、当否判定部、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、特別図柄当りや普通図柄当りに関する乱数等も生成し、制御信号をサブ制御基板57等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM51Bは、始動口センサ14W1,14W2で検出された特別図柄用保留球数及び普通図柄始動スイッチ18Wで検出された普通図柄用保留球数の記憶領域、CPU51Aで生成される各種乱数値用の記憶領域、各種データを一時的に記憶する記憶領域やフラグ、CPU51Aの作業領域を備える。ROM51Cには、後述する主制御基板メインプログラムPG1(図5参照)や制御データ、特別図柄表示装置14Xや普通図柄表示装置18Xでの変動表示に関する図柄変動データ等が書き込まれている他、特別図柄当り及び普通図柄当りの判定値等が書き込まれている。
サブ制御基板57は、主制御基板50と同様に、CPU52AとRAM52B、ROM52C、複数のカウンタを備えたマイクロコンピュータと、該マイクロコンピュータと主制御基板50を結ぶ入出力回路と、演出制御基板70及びランプ制御基板71等を結ぶ入出力回路を備えている。CPU52Aは、制御部、演算部、各種カウンタ、各種レジスタ、各種フラグ等を備え、演算制御を行う他、制御信号を演出制御基板70及びランプ制御基板71、音声制御基板55等へ出力(送信)可能に構成されている。RAM52Bは、各種データの記憶領域とCPU52Aによる作業領域を有している。ROM52Cは、後述するサブ制御基板メインプログラムPG2(図27参照)や定数、図26及び図27に一例を示したラウンドシナリオパターンテーブル等が記憶されている。
サブ制御基板57は、主制御基板50から出力された制御信号を受信し、受信した制御信号に基づいて、演出制御基板70等へ制御信号を出力している。主制御基板50からの制御信号には、変動パターンや遊技の当否情報が含まれ、サブ制御基板57により電気的作動部材を制御するための制御信号が含まれている。電気的作動部材としては、演出制御基板70(表示画面34等を含む)、音声制御基板55(スピーカ25S、25S)、ランプ制御基板71が挙げられる。
演出制御基板70は、サブ制御基板57からの制御信号に基づきCPUがROMから所定の表示制御データを読み出し、RAMの記憶領域で制御用データを生成してVDP(図示せず)に出力する。VDPは、CPUからの指令に基づいてROMから必要なデータを読み出し、表示画面34で表示する表示画像(特別図柄13A,13B,13C、演出図柄、背景画像、キャラクター画像、文字画像等)のマップデータを作成し、VRAMに格納する。VRAMに格納記憶された画像データは、入出力回路に備えるD/A変換回路にてRGB信号に変換されて表示画面34に出力される。
ランプ制御基板71は、サブ制御基板57と接続され、サブ制御基板57から出力されたサイドランプ22,22等の電飾制御を行うための制御信号を中継するための基板である。
音声制御基板55は、サブ制御基板57から出力される制御信号に基づき、スピーカ25S,25Sから発生されるBGMや演出時の音声の選択を行い、音声を制御する。
上記した本実施形態のパチンコ遊技機10の動作を実現するため、主制御基板50、サブ制御基板57等は、前記した主制御基板メインプログラムPG1、サブ制御基板メインプログラムPG2等を実行して、情報を処理している。以下、主制御基板50及びサブ制御基板57における情報処理に関して詳説する。
図4には、主制御基板50に備えられたRAM51Bの記憶領域R0が概念的に示されている。この記憶領域R0は、例えば、複数のアドレス空間に区分されてアドレス(番地)が付されている。そして、所定のアドレス空間に設けられたカウンタ値記憶領域R10が、表1に示した特別図柄に関連する各種乱数カウンター値(表1における最下段の乱数カウンター値を除いた乱数カウンター値)のデータ格納部になっている。また、アドレス空間に設けられた普通図柄カウンタ値記憶領域R11が、表1の最下段に示した普通図柄当りの判定を行うための乱数カウンタ値のデータ格納部になっている。さらに、このアドレス空間は、乱数カウンタのデータ格納部以外にも、例えば、フラグ等のデータ格納部としても用いられている。また、RAM51Bには、カウンタ値の更新値記憶領域、CPU51Aの作業領域も備えられている。
上記表1において、「大当り判定用(ラベル−TRND−A)」乱数カウンタは、特別図柄当りの判定に用いられ、0〜629の乱数からなる。また、「大当り図柄決定用(ラベル−TRND−AZ)」乱数カウンタは、大当り時の特別図柄13A,13B,13Cを決定するものであり、0〜11の乱数からなる。そして、「リーチ有無決定用(ラベル−TRND−RC)」乱数カウンタは、大当り判定乱数値による当否判定結果が外れとなる場合において、リーチ状態を経るか否かを決めるリーチ有無決定用のものであり、0〜126の乱数からなる。なお、大当りの場合、本実施形態では必ずリーチになるため、「リーチ有無決定用(ラベル−TRND−RC)」乱数カウンタは使用されない。「変動態様決定用(ラベル−TRND−T)」乱数カウンタは、変動パターンテーブルから変動パターンを選択する際に用いられるものであり、0〜198の乱数からなる。これら乱数カウンタは、パチンコ遊技機10の電源オン時、0から始まって後述する乱数更新処理(図5のステップS3、図6のステップS13参照)ごとに1ずつ加算され、「数値範囲」の最大値に至ると0にされて再び前記加算を繰り返すようになっている。
また、左図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B1」は、左特別図柄13Aの外れ図柄作成に使用する乱数であり、電源オン時に0からスタートし、乱数更新処理で1加算される。そして、このカウンタが11までいくと再び0に戻って加算を繰り返す。中図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B2」は、中特別図柄13Bの外れ図柄作成に使用する乱数であり、電源オン時に0からスタートし、左図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B1」が0に戻る毎に1加算される。そして、このカウンタが11までいくと再び0に戻って加算を繰り返す。右図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B3」は、右特別図柄13Cの外れ図柄作成に使用する乱数であり、電源オン時に0からスタートし、中図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B2」が0でない時に1加算される。そして、このカウンタが11までいくと再び0に戻って加算を繰り返す。
そして、上記表1において、「普通図柄当り判定用(ラベル−TRND−H)」乱数カウンタは、普通図柄当りの判定に用いられ、0〜299の乱数からなる。この乱数カウンタは、パチンコ遊技機10の電源オン時、0から始まって後述する乱数更新処理(図5のステップS3、図6のステップS13参照)ごとに1ずつ加算され、「数値範囲」の最大値に至ると0にされて再び前記加算を繰り返すようになっている。
上記表1に示した乱数カウンタは、逐次、そのカウント結果、即ち、「カウンタ値」が、図4の記憶領域R0のうちカウンタ値記憶領域R10,R11とは別の更新値記憶領域に格納されていく。これにより、更新値記憶領域に格納されているデータが更新されていき、上記表1に示した各乱数カウンタのカウンタ値同士の組み合わせが変化していく。
そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したときには、表1に示した最下段を除く各種乱数カウンタの値がカウンタ値記憶領域R10に格納(記憶)され、始動ゲート18を遊技球が通過したときには、表1の最下段に示した乱数カウンタの値が普通図柄カウンタ値記憶領域R11に格納(記憶)される。
ここで、カウンタ値記憶領域R10には、上記した始動入賞口14A,14Bに記憶される保留球数の保留上限数の「4つ」に対応して4組の乱数値群(更新値記憶領域の各種カウンタ値群)が格納(記憶)されるようになっている。また、普通図柄カウンタ値記憶領域R11にも、上記した始動ゲート18に記憶される保留球の保留上限数の「4つ」に対応して4組の乱数値群(更新値記憶領域の各種カウンタ値群)が格納(記憶)されるようになっている。
主制御基板50に備えたワンチップマイコンは、パチンコ遊技機10の電源をオンすると、ROM51Cから図5に示した主制御基板メインプログラムPG1を取り出してランする。同図に示すように、主制御基板メインプログラムPG1がランされると、まずスタックの設定、定数設定、CPU51Aの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)の設定等を行う初期設定が行われる(S1)。なお、初期設定(S1)は、主制御基板メインプログラムPG1が、電源オン後の1回目にランされたときだけ実行され、それ以降は実行されない。
図5に示すように、初期設定(S1)に次いで、後述する主制御基板割り込み処理(S5)が実行されるまでの残余時間には、以下のステップS2〜S4の各処理がループして行われる。まず、割り込みが禁止され(S2)、タイマ割り込みが入って来ても割り込み許可となるまで割り込み処理を行わないようにさせる。続いて、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)が実行される。この処理(S3)では、上記表1に示した乱数カウンタが1加算されて更新される。更新されたカウンタ値は主制御基板50のRAM51Bの記憶領域R0(図4参照)のうち、前記した更新値記憶領域に逐一記憶される。普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)が終了すると、割り込みが許可され(S4)、主制御基板割り込み処理(S5)が実行可能となる。
主制御基板割り込み処理(S5)は、CPU51Aに割り込みパルスが入力すると、例えば、4msec周期で繰り返して実行される。そして、主制御基板割り込み処理(S5)が終了してから、次に主制御基板割り込み処理(S5)が開始されるまでの残余処理期間中に、普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)による各種カウンタ値の更新処理が複数回に亘って繰り返し実行される。また、割り込み禁止状態のときにCPU51Aに割り込みパルスが入力した場合は、主制御基板割り込み処理(S5)はすぐには開始されず、割り込み許可(S4)がされてから開始される。
主制御基板割り込み処理(S5)について説明する。図6に示すように、主制御基板割り込み処理(S5)では、まず、出力処理(S10)が行われる。出力処理(S10)では、以下説明する各処理により主制御基板50の出力バッファに記憶された各コマンド(制御信号)等が、サブ制御基板57へ出力される。ここで出力されるコマンド(制御信号)には、変動パターンコマンド等が挙げられる。
出力処理(S10)に次いで、入力処理(S11)が行われる。入力処理(S11)では、主にパチンコ遊技機10に取り付けられている各種センサ(普通図柄始動スイッチ18W、始動口センサ14W1,14W2、その他センサ、スイッチ類等(図3参照))が検知した場合の信号入力が行なわれる。続いて行われる動作タイマー減算処理(S12)では、動作タイマーを減算する。
次に行われる普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S13)は、上記した主制御基板メインプログラムPG1のループ処理内で行われている普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S3)と同じである。即ち、上記表1に示した各種カウンタ値の更新処理は、主制御基板割り込み処理(S5)の実行期間と、その残余処理期間(主制御基板割り込み処理(S5)の終了後、次の主制御基板割り込み処理(S5)が開始されるまでの期間)の両方で行われている。
普通図柄・特別図柄主要乱数更新処理(S13)に次いで、入賞検出処理(S15)が実行される。入賞検出処理(S15)は、図7に示されており、まず、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞したかどうか判断する(S150)。そして、始動入賞口14A,14Bに遊技球が入賞していなければ(S150でno)、この処理(S15)を終了する一方、入賞していれば(S150でyes)、特別図柄保留球数(始動入賞口の保留球数)をロードし、特別図柄保留球数が4以上であるか判断する(S151)。特別図柄保留球数が4以上である場合(S151でyes)、直ちにこの処理(S15)を終了する。特別図柄保留球数が4以上でなければ(S151でno)、特別図柄保留球数に1加算して(S152)、特別図柄関係乱数取得処理(S153)を実行して更新値記憶領域から当該入賞に対する各カウンタ(大当り判定用乱数「ラベル−TRND−A」及び大当り図柄決定用乱数「ラベル−TRND−AZ」の値等を乱数として取得して各保留に対応した乱数バッファ(R10)へ転送する。
図6に示すように、入賞検出処理(S15)が終了すると、普通動作処理(S16)が行われる。主制御基板50は、この処理(S16)によって、普通図柄当り乱数「ラベル−TRND−H」値に基づいて、普通図柄当りの判定や普通図柄表示装置18Hでの普通図柄の変動及び停止表示、普通図柄当りに基づく始動入賞口14Bにおける可動翼片14C,14Cの開閉を、サブ制御基板57を介さずに直接制御して、普通図柄当りに関する処理を行う。
図6に示すように、普通動作処理(S16)に次いで行われる特別動作処理(S17)は、液晶表示装置13の表示を制御するための処理であり、上記入賞検出処理(S15)においてRAM51Bのカウンタ値記憶領域に格納された各種カウンタ値に基づいて行われる。なお、主制御基板50は、以下説明する特別動作処理(S17)によって、サブ制御基板57を介して液晶表示装置13を間接的に制御する。
この特別動作処理(S17)は、図8に示されており、液晶表示装置13の表示状態を4つの状態に場合分け、それら各状態を「特別動作ステータス1,2,3,4」に割り当てている。そして、「特別動作ステータス」が「1」である場合に(S171でyes)、特別図柄待機処理(S172)を行い、「特別動作ステータス」が「2」である場合に(S171でno,S173でyes)、特別図柄変動中処理(S174)を行い、「特別動作ステータス」が「3」である場合に(S171,S173で共にno、S175でyes)、特別図柄確定処理(S176)を行い、「特別動作ステータス」が「4」である場合に(S171,S173,S175でno)、特別電動役物処理(S177)を行う。
図8に示した特別動作処理(S17)において特別図柄待機処理(S172)を実行すると、図9に示すように、始動入賞口14の保留球数が「0」か否かがチェックされる(S200)。特別図柄保留球数が「0」である場合(S200でyes)、即ち、始動入賞口14への入賞に起因して取得された各種カウンタ値の記憶が無い場合には、表示画面34の表示が待機画面であるか否かがチェックされる(S201)。そして、待機画面中である場合(S201でyes)には、直ちにこの処理(S172)を抜ける一方、待機画面中でない場合(S201でno)には、待機画面設定処理(S202)を行ってから、この処理(S172)を抜ける。
一方、特別図柄保留球数が「0」ではない場合(S200でno)、即ち、始動入賞口14への入賞に起因して取得された各種カウンタ値の記憶が1つ以上ある場合には、以下に説明する、特別図柄大当り判定処理(S203)、特別図柄変動態様選択処理(S204)、図柄作成処理(S205)、特別図柄乱数シフト処理(S206)、特別図柄変動開始設定(S207)が行われる。
特別図柄大当り判定処理(S203)は、「大当り遊技」の実行の可否を判定する。また、この特別図柄大当り判定処理(S203)を実行することで、CPU51Aが本発明に係る「当否判定手段」として機能する。詳細には、図10に示すように、まず、判定値として、RAM51Bの最下位のカウンタ値記憶領域(即ち特別図柄の保留1個目にあたるRAM領域)に保留記憶された各種乱数値がロードされて、大当り判定用カウンタ(ラベル−TRND−A)値を読み出す(S310)。次に、大当り判定値テーブルのアドレスをセットする(S311)。そして、確変中か否かがチェックされる(S312)。確変中でない場合(S312でno)、即ち、通常遊技状態時では、大当り判定用カウンタ(ラベル−TRND−A)が通常遊技状態における当り数値の何れかと一致したか否かがチェックされ(S313)、確変中である場合(S312でyes)、即ち、確率変動状態時では、大当り判定用カウンタ(ラベル−TRND−A)が、確変遊技状態における当り数値の何れかと一致したか否かがチェックされる(S314)。
そして、各ステップS313,S314において、取得した大当り判定用カウンタ(ラベル−TRND−A)が何れの当り数値とも一致しなかった場合には(ステップS313,S314でno)、直ちにこの処理(S203)を抜ける。一方、取得した大当り判定用カウンタ(ラベル−TRND−A)が何れかの当り数値と一致した場合には(S313でyes又はS314でyes)、大当りフラグをオンして(S315)、この処理(S203)を抜ける。
図9に示すように、特別図柄待機処理(S172)では、特別図柄大当り判定処理(S203)に次いで、特別図柄変動態様選択処。この処理(S204)は、図11に示されており、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて遊技状態に応じた変動パターンテーブルから変動パターンを選択する。なお、変動パターンテーブルには、通常遊技状態と確変遊技状態のそれぞれについて、当否判定が当りのときと外れのときのテーブルがあり、詳細には、通常遊技状態で当否判定が外れのときのテーブルには、リーチが成立するときの通常リーチ外れテーブルと、リーチが成立しないときの通常外れテーブルとがある。
特別図柄変動態様選択処理(S204)では、まず最初に遊技状態が確変中か否かがチェックされる(S330)。そして、通常遊技の場合(S330でno)には、大当りフラグがオンしているか否かが判別される(S331)。大当りフラグがオンの場合(S331でyes)、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、通常当りテーブルから変動パターンを選択する(S332)。
一方、ステップS331において、大当りフラグがオンでない場合(S331でno)には、リーチ有無決定用乱数「ラベル−TRND−RC」値がリーチ成立値であるかが判断される(S333)。そして、リーチ成立の場合(S333でyes)には、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、通常リーチ外れテーブルから変動パターンを選択する(S334)。一方、リーチ成立でない場合(S333でno)には、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、通常外れテーブルから変動パターンを選択する(S335)。
また、ステップS330において、遊技状態が確変状態であると判断された場合(S330でyes)には、ステップS331と同様に、大当りフラグがオンしているか否かが判別される(S336)。そして、大当りフラグがオンの場合(S336でyes)には、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、確変当りテーブルから変動パターンを選択する(S337)。ステップS336で、大当りフラグがオンでないと判断された場合(S336でno)には、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、確変外れテーブルから変動パターンを選択する(S339)。一方、リーチ成立でない場合(S338でno)には、変動態様決定用乱数「ラベル−TRND−T」値に基づいて、確変外れテーブルから変動パターンを選択する(S340)。
そして、上述した各ステップS332,S334,S335,S337,S339,S340の何れかが終了すると、その他の処理(S341)を行って、特別図柄変動態様選択処理(S204)を抜ける。
図9に示すように、特別図柄変動態様選択処理(S204)が終了すると、特別図柄13A,13B,13Cを決定するための図柄作成処理(S205)が実行される。この処理(S205)は、図12に示されており、まず、大当りフラグがオンか否か判断する(S350)。そして、大当りフラグがオンであれば(S350でyes)、大当り図柄決定用乱数「ラベル−TRND−AZ」値を、左図柄、中図柄、右図柄にセットし(S351)、この処理(S205)を終了する。
一方、大当りフラグがオンでなければ(S350でno)、左図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B1」、中図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B2」、右図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B3」の値を取得する(S352)。そして、各乱数値が一致しているか判断し(S353)、一致していれば(S353でyes)、リーチ有無決定用乱数「ラベル−TRND−RC」値がリーチ成立乱数値と一致しているかどうか判断し(S354)、一致していない場合には(S354でno)、次述するステップS358へジャンプする一方、一致していれば(S354でyes)、中図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B2」値を+1する(S355)。
また、左・中・右の各乱数値が一致していなければ(S353でno)、続いて、左・右の乱数値が一致しているか判断する(S356)。そして、左・右の乱数値が一致していれば(S356でyes)、リーチ有無決定用乱数「ラベル−TRND−RC」値がリーチ成立乱数値と一致しているかどうか判断し(S357)、一致していなければ(S357でno)、右図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B3」値を+1する(S358)一方、一致していれば(S357でyes)、取得した停止図柄に基づく値にする(S360)。
そして、左・右の乱数値が一致していなければ(S356でno)、リーチ有無決定用乱数「ラベル−TRND−RC」値がリーチ成立乱数値と一致しているかどうか判断し(S359)、一致していなければ(S359でno)、上述したステップS360へジャンプする一方、一致していれば(S359でyes)、右図柄を左図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B1」値と同一数値とし、中図柄を左図柄決定用乱数「ラベル−TRND−B1」値に+1した値にする(S361)。以上により、特別図柄13A,13B,13Cが決定される。
図9に示すように、図柄作成処理(S205)が終了すると、特別図柄乱数シフト処理(S206)が行われ、特別図柄保留球数(RAM51Bの特別図柄の保留数記憶領域の数値)を1ディクリメントすると共に、各種カウンタ値の格納場所を1つ下位側にシフトして、特別図柄保留4個目にあたるRAM領域を0クリアする。続いて、特別図柄変動開始処理(S207)が行われ、特別図柄が変動中であることを示すため変動中フラグを1にセットするなど、特別図柄の変動開始に必要な処理が行われる。そして、選択された変動パターンに応じた「特図変動コマンド」がRAM51Bの出力バッファにセットされる(S208)。これにより、RAM51Bの出力バッファにセットされた「特図変動コマンド」が、上記した出力処理(S10)によってサブ制御基板57に出力される。ステップS208の処理が終了すると、特別動作ステータスが「2」に設定される(S209)。そして、特別図柄保留球数が0になるまで、これら特別図柄に対する処理(S203〜S209)が行われ、特別図柄保留球数が消化されることとなる。以上が特別図柄待機処理(S172)の説明である。
特別ステータスが「2」に設定されると、図8に示した特別動作処理(S17)において、特別図柄変動中処理(S174)が実行される。図13に示すように、特別図柄変動中処理(S174)では、まず、変動時間が経過したか否かがチェックされる(S262)。ここでいう「変動時間」は、特別図柄変動態様選択処理(S204、図11参照)で設定された変動パターンに応じた変動時間のことであり、変動時間のタイマを確認することで、現在変動中の図柄の動作終了時間か否かを判定する。そして、変動時間が経過していない場合(S262でno)には、直ちにこの処理(S174)を抜けて変動表示を続行する。
一方、変動時間が経過した場合(S262でyes)には、「変動停止コマンド」をRAM51Bの出力バッファにセットし(S263)、特別動作ステータスを「3」にセットして(S264)、その他の処理(S265)を行ってから、特別図柄変動中処理(S174)を抜ける。
特別動作ステータスが「3」にセットされると、図8に示した特別動作処理(S17)において、特別図柄確定処理(S176)が実行される。図14に示すように、この処理(S176)では、まず最初に大当りフラグがオンか否か(大当りか否か)がチェックされる(S270)。ここで、大当りフラグがオンしている場合(S270でyes)、即ち、当否判定結果が「当り」である場合には、ラウンドカウンタをセットして(S271)、特別動作ステータスを「4」にセット(S272)して、この処理(S176)を抜ける。一方、大当りフラグがオンでない場合(S270でno)、即ち、当否判定結果が「外れ」である場合には、特別動作ステータスを「1」にセットして(S273)、この処理(S176)を抜ける。ここで、ラウンドカウンタとは、「大当り遊技」における「ラウンド」数をカウントするものであり、本実施形態では、ラウンドカウンタの初期値は「15」に設定されている。
特別動ステータスが「4」にセットされると、図8に示した特別動作処理(S17)において、特別電動役物処理(S177)が実行される。図15に示すように、この処理(S177)では、まず最初に後述する大当り終了フラグがオンか否か(大当り遊技が終了したか否か)がチェックされる(S280)。ここで、大当り遊技が終了していない場合(S280でno)、即ち、大当り遊技中である場合の場合には、大入賞口15が開放中か否かがチェックされ(S281)、大入賞口15が開放していない場合(S281でno)、即ち、インターバル中である場合には、大入賞口15の開放時間であるか否かをチェックする(S282)。大入賞口15の開放時間でない場合(S282でno)には、直ちにこの処理(S177)を抜ける一方、大入賞口15の開放時間である場合(S282でyes)には、大入賞口開放処理(S283)を実行してこの処理(S177)を抜ける。
一方、大入賞口15が開放中である場合(S281でyes)には、該ラウンド中の入賞個数が10個に達したか否かがチェックされ(S284)、入賞個数が10個の場合(S284でyes)には、次述するステップS286へジャンプする一方、入賞個数が10個未満の場合(S284でno)には、ラウンドが所定時間経過したか否かがチェックされる(S285)。ラウンドが所定時間経過していない場合(S285でno)には、直ちにこの処理(S177)を抜ける一方、ラウンドが所定時間経過した場合(S285でyes)には、大入賞口閉鎖処理(S286)が実行される。そして、ラウンドカウンタを1減算して(S287)、ラウンドカウンタが0になったか否かをチェックする(S288)。ラウンドカウンタが0でない場合(S288でno)には、ラウンドカウンタが0になるまで、ラウンドが繰り返し実行される一方、ラウンドカウンタが0の場合(S288でyes)には、大当り遊技終了処理(S289)を実行して、大当り終了フラグをオンして(S290)、この処理(S277)を抜ける。
そして、大当り終了フラグがオンである場合(S280)、即ち、大当り遊技が終了した場合には、大当り終了フラグをオフする(S291)と共に大当りフラグをオフし(S292)、大当り遊技終了後に行われる遊技が確変遊技が否かがチェックされる(S293)。大当り遊技終了後の遊技が確変遊技である場合(S293でyes)には、確変フラグをオンする(S294)一方、確変遊技でない場合(S293でno)、即ち、通常遊技である場合には、確変フラグをオフしてから(S295)、特別動作ステータスを「1」にセットして(S296)、この処理(S177)を抜ける。なお、特別電動役物処理(S177)を実行する主制御基板50が、本発明に係る「大当り遊技実行手段」に相当する。
以上が、特別動作処理(S17、図8参照)で行われる各処理(S171〜S177)についての説明である。図6に示すように、特別動作処理(S17)が終了すると、保留球数処理(S18)が実行される。この処理(S18)は、図16に示されており、RAM51Bに記憶されたカウンタ値群の組数から保留球数を読み取り(S180)、その保留球数のデータを、RAM51Bの出力バッファにセットする(S181)。
図6に示すように、保留球数処理(S18)が終了すると、電源断監視処理(S19)が実行される。この処理(S19)は、図17に示されており、電源断信号が入力した(本実施形態では、電源断状態が12ms続いた)か否かを判定する(S190)。そして、電源断信号が入力していれば(S190でYes)、現在のデータをRAM51Bへバックアップし(S191)、電源断フラグをオンする(S192)。その後、無限ループへ移行し待機状態とされる。
図6に示すように、主制御基板割り込み処理(S5)では、電源断監視処理(S19)に次いで、本発明に深く関連しないその他の処理(S20)を実行して、主制御基板割り込み処理(S5)から抜ける。そして、図4に示すように、次にメインCPU51Aに割り込みパルスが入力するまで、ステップS2〜S4の処理を繰り返し実行し、割り込みパルスの入力を起因(約4msec後)に、再度、主制御基板割り込み処理(S5)を実行する。すると、上述の如く、前回の主制御基板割り込み処理(S5)においてRAM51Bの送信バッファにセットされた各種コマンドが、次に実行された主制御基板割り込み処理(S5)の出力処理(S10)において出力される。以上が主制御基板メインプログラムPG1の説明である。
次に、サブ制御基板57が実行するサブ制御基板メインプログラムPG2について、図18〜図25に示すフローチャートを参照しつつ詳説する。サブ制御基板メインプログラムPG2では、まず最初にCPU初期化処理(S50)が行われ、スタックの設定、定数設定、CPU52Aの設定、SIO、PIO、CTC(割り込み時間用コントローラ)等の設定や各種フラグ及びカウンタ値のリセット等を行う。また、電源基板60に電源をオンすると、電源基板60から電源断信号がサブ制御基板57に送信される。この電源断信号が送信されたときに、RAM52Bのバックアップデータの内容が正常かどうか判断する(S51)。正常であれば(S51でyes)、ステップS53へ進み、RAM52Bの内容が正常でなければ(S51でno)、RAM52Bを初期化し、各種フラグ及びカウンタ値がリセットされ(S52)、ステップS53へ進む。ステップS53では、ウォッチドッグタイマカウンタ1,2が初期化される(S53)。なお、これらステップS50〜S53は、サブ制御基板メインプログラムPG2が、電源投入後の1回目にランされたときだけ実行され、それ以降は実行されない。
ステップS50〜S53によって初期設定が終了すると、割込みが禁止され(S54)、乱数シード更新処理(S55)が実行される。この処理(S55)では、大当りオープニング抽選用乱数値(ラベル−TRND−E)が更新される。大当りオープニング抽選用乱数値は、大当り遊技中に表示画面34で行われる複数の表示演出の中から選択する際に必要な乱数値であって、例えば「0〜99」の数値範囲で更新される。次いで、演出制御基板70、ランプ制御基板71、音声制御基板55(図3参照)に各種コマンドを送信するコマンド送信処理(S56)を実行し、ウォッチドッグタイマカウンタ1の初期化(S57)、割込み許可(S58)を行う。そして、これら処理(S54〜S58)を無限ループで繰り返す。
サブ制御基板メインプログラムPG2では、上述したステップS54〜S58の無限ループに対して、受信割り込み処理(S59)、2msタイマ割り込み処理(S60)、10msタイマ割り込み処理(S61)が割り込んで実行される。サブ制御基板57が主制御基板50からストローブ信号を受けると、他の割り込み処理(S60,S61)に優先して受信割り込み処理(S59)が実行される。また、2msタイマ割り込み処理(S60)は、10msタイマ割り込み処理(S61)より優先して実行され、10msタイマ割り込み処理(S61)は、2msタイマ割り込み処理(S60)間の残余時間に割り込んで実行される。
図19に示すように、受信割り込み処理(S59)では、ストローブ信号をチェックし(S590)、ストローブ信号がオンであれば(S590でyes)、主制御基板50からサブ制御基板57に送信された制御信号(変動態様や特別図柄当否判定に関するデータ、コマンド等)を取り込み、RAM52Bに格納する(S591)。ストローブ信号がオンでなければ(S590でno)、そのままこの処理(S59)を抜ける。
2msタイマ割り込み処理(S60)は、サブ制御基板57に2msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行される。図20に示すように、この処理(S60)では、ランプデータ出力処理(S600)、SW/駆動出力処理(S601)、入力処理(S602)、ウォッチドッグタイマ処理(S603)を行う。
ランプデータ出力処理(S600)では、次述する10msタイマ割り込み処理(S61,図21参照)で作成されたランプデータの出力を行う。ウォッチドッグタイマ処理(S603)では、ウォッチドッグタイマをリセットする。
10msタイマ割り込み処理(S61)は、サブ制御基板57に10msec周期の割り込みパルスが入力する度に実行される。図21に示すように、この処理(S61)では、まずスイッチ状態取得処理(S610)を行う。具体的には、2msタイマ割込処理(図20参照)の入力処理(S602)で作成したスイッチデータを、10msタイマ割り込み処理用のスイッチデータとして格納する。そして、音声制御処理(S611)、報知タイマ判定処理(S612)を実行する。
次のメインコマンド解析処理(S613)では、受信割り込み処理(S59、図19参照)で受信した主制御基板50からのデータ、コマンドの解析処理及び動作の設定を行い、メインシナリオ制御処理(S614)では、ラウンドの演出をタイマで動作させる。そして、ウォッチドッグタイマカウンタ2を初期化し(S615)、その他の処理(S616)を実行する。
メインコマンド解析処理(S613)及びメインシナリオ制御処理(S614)は、上記した全15ラウンドの大当り遊技の実行中に液晶表示装置13に表示する「大当り遊技表示演出」を制御するためのものである。ここで、メインコマンド解析処理(S613)及びメインシナリオ制御処理(S614)を詳説する前に、これらの処理によって実現される動作について説明する。
大当り遊技表示演出は、複数種類の区分演出からなり、図26(A)に示すように、区分演出の組み合わせが異なる、例えば、A〜Cの3パターン(本発明の「複数組の表示演出組み合わせ」に相当する)の大当り遊技表示演出が設定されている。そして、始動入賞口14A,14Bに入賞して大当りとなったときに、大当りオープニング抽選用乱数値によってA〜Cの何れかのパターンが決定される。また、各パターン毎に大当りオープニング演出が予め決められていて、大当り遊技の実行前に大当りオープニング演出を行った後、大当り遊技が開始され、大当り遊技表示演出は大当り遊技の開始と共に開示されて、全15ラウンドの大当り遊技の終了と共に終了する。そして、全15ラウンドの大当り遊技の実行期間中に、Aパターンの大当り遊技表示演出では、区分演出1,2,3,4,5が順番に液晶表示装置13に表示され、Bパターンの大当り遊技表示演出では、区分演出1,2,6,4,5が順番に液晶表示装置13に表示され、Cパターンの大当り遊技表示演出では、区分演出1,7,8,9,10が順番に液晶表示装置13に表示されるように設定されている。また、各ラウンドが、一定のばらつき幅を有する平均的な時間内で消化された場合に、上記した各区分演出1,2,・・が、大当り遊技の全15ラウンド中の予め設定されたラウンドに割り当てられるようにするために、各区分演出1,2,・・の演出時間が予め設定されている。
詳細には、大当り遊技表示演出を構成する各区分演出1,2,・・・の演出期間は、動画が表示される主要演出期間と、静止画が表示される待機演出期間とから構成され、各区分演出の主要演出期間及び待機演出期間の実行時間(演出時間)が図27(A)に示すように予め設定されている。
例えば、図27(A)に示したラウンドシナリオのAパターンの各区分演出の主要演出期間及び待機演出期間の実行時間(演出時間)とラウンドとの関係をタイムチャートにすると図26(B)のようになる。同図に示すように、区分演出1は、主要演出期間が10秒、待機演出期間が5秒の合計15秒に設定されている。同様に、区分演出2は、主要演出期間が10秒、待機演出期間が10秒の合計20秒、区分演出3は、主要演出期間が10秒、待機演出期間が10秒の合計20秒、区分演出4は、主要演出期間が50秒、待機演出期間が10秒の合計60秒になっている。そして、最後に表示される区分演出5は、主要演出期間のみの構成になっていて、その実行時間(演出時間)が999秒、即ち、大当り遊技が終了するまでとなっている。
これら各区分演出は、図26(A)のA〜Cのパターン毎に設定された演出切替ラウンドの開始タイミングに合わせて切り替わるようになっていて、上記したA及びBのパターンの大当り遊技表示演出では、3,6,8,11ラウンド(以下、適宜、「3R,6R,8R,11R」のように簡略する)が演出切替ラウンドに設定され、Cパターンの大当り遊技表示演出では、3R,11R,12R,14Rが演出切替ラウンドに設定され、そして、各ラウンドが平均的な時間で消化された場合に、各演出切替ラウンドが各区分演出1,2,・・等の待機演出期間中に開始されるように各区分演出1,2,・・・の主要演出期間及び待機演出期間の実行時間(演出時間)が設定されている。
そして、各ラウンドが一定のばらつき幅を有する平均的な時間内で消化された場合には、例えば、Aパターンの大当り遊技表示演出によって液晶表示装置13の表示画面34は以下のように切り替わる。即ち、大当りオープニング(図28(A))が終了し、大当り遊技の1Rの開始と共に、区分演出1が開始される。そして、大当り遊技の2Rの終了までの間に、表示画面34には、主人公が地図に描かれたお宝が隠されている洞窟を発見する動画が表示された後(図28(B))、「洞窟発見!!」の静止画が表示される(図28(C))。
ここで、1R,2Rが平均的な時間で消化された場合には、「洞窟発見!!」の静止画を表示した区分演出1の待機演出期間中に、大当り遊技が2Rから3Rに切り替わる。そして、その3Rの開始タイミングに合わせて区分演出1から区分演出2に切り替わって5Rの終了までの間に、主人公が洞窟内を進む動画が表示された後(図28(D))、「この先一体どうなる!?」の静止画が表示される(図28(E))。
ここで、3R,4R,5Rも平均的な時間で消化された場合には、「この先一体どうなる!?」の静止画を表示した区分演出2の待機演出期間中に、大当り遊技が5Rから6Rに切り替わる。そして、その6Rの開始タイミングに合わせて区分演出2から区分演出3に切り替わって7Rの終了までの間に、主人公が危険な目にあいながら橋を渡りきる動画が表示された後(図28(G))、「道の先には!?」の静止画が表示される(図28(H))。
ここで、6R,7Rも平均的な時間で消化された場合には、「道の先には!?」の静止画を表示した区分演出3の待機演出期間中に、大当り遊技が7Rから8Rに切り替わる。そして、その8Rの開始タイミングに合わせて区分演出3から区分演出4に切り替わって10Rの終了までの間に、主人公がモニュメントに導かれて扉を発見する動画が表示された後(図28(I))、「扉の先には!?」の静止画が表示される(図28(J))。
ここで、8R,9R,10Rも平均的な時間で消化された場合には、「扉の先には!?」の静止画を表示した区分演出4の待機演出期間中に、大当り遊技が10Rから11Rに切り替わる。そして、その11Rの開始タイミングに合わせて区分演出4から区分演出5に切り替わって15Rの終了までの間に、扉を開いたその先にお宝を発見する動画が表示される(図28(K))。
このように、大当り遊技の各ラウンドが一定のばらつき幅を有する平均的な時間内で消化された場合には、大当り遊技表示演出の表示内容がスムーズに流れ、大当り遊技表示演出の全体の表示演出が趣向性の高いものとなる。
ところで、例えば、遊技経験の浅い遊技者が遊技を行った場合や遊技領域R1に打ち出された遊技球が大入賞口15に入球するペースが遅かった場合には、大当り遊技の各ラウンドの消化時間が大幅に長くなり、例えば、遊技経験が豊富な遊技者が遊技を行った場合や遊技領域R1に打ち出された遊技球が大入賞口15に入球するペースが速かった場合には、大当り遊技の各ラウンドの消化時間が大幅に短くなる場合が生じ得る。しかしながら、例えば、いかなる場合も、上記した待機演出期間中に対応した演出切替ラウンドが開始されるようにするために、各待機演出期間を長くすると、ラウンドの消化時間が大幅に長くなった場合に、長時間に亘って静止画が表示画面34に表示され続け、大当り遊技表示演出が間延びすることになる。また、予め設定された演出切替ラウンドが開始されたら区分演出の主要演出期間の途中であっても一様に区分演出を切り替えようにすると、ラウンドの消化時間が大幅に短くなった場合に、表示内容の繋がりが悪くなり得る。
これらに対し、本実施形態のパチンコ遊技機10では、大当り遊技の各ラウンドが一定のばらつき幅を有する平均的な時間内で消化された場合にのみ、各区分演出の待機演出期間中に対応した演出切替ラウンドが開始されるように各区分演出の主要演出期間及び待機演出期間の時間が設定されている。そして、各区分演出の主要演出期間と待機演出期間とを合わせた時間が本発明に係る「基準継続時間」として設定され、各区分演出の実行時間(継続時間)の計測結果と基準継続時間とを比較し、区分演出1,2,・・の進行に比べて、1R,2R等のラウンドの進行が遅すぎたり、速すぎた場合に、以下のような処理を行う。
即ち、区分演出の実行中に対応した演出切替ラウンドに到達せず、その区分演出の実行時間の計測結果が基準継続時間を超えた場合、即ち、区分演出の進行に比べてラウンドの進行が遅すぎた場合には、区分演出を終了して次の区分演出を開始する強制切替処理を行うことで、大当り遊技表示演出が間延びすることを防止している。具体的には、区分演出1の基準継続時間は15秒(=主要演出期間10秒+待機演出期間5秒)に設定されているが、区分演出1の開始から基準継続時間の15秒を経過する前に演出切替ラウンドである3Rに到達しなかった場合には、3Rの開始前に、区分演出1から区分演出2へと切り替える強制切替処理が行われる。
また、上記した強制切替処理が複数回実行されるなどラウンドの進行が少ない状態で区分演出が多く進行した場合、即ち、区分演出の進行に比べてラウンドの進行が大幅に遅れた場合には、区分演出の組み合わせパターンの途中で差し込み用区分演出1(図28(F)参照)を差し込む差込処理を行って、ラウンドの進行に大当り遊技表示演出の進行を合わせる。
さらに、ラウンドの進行が多い(速い)状態で区分演出の進行が少ない場合、即ち、区分演出の進行に比べてラウンドの進行が速すぎた場合には、一様に、区分演出が主要演出期間の途中であっても次の区分演出に切り替えるのではなく、例えば、予め定めた区分演出においてのみ、主要演出期間の途中であっても次の区分演出に切り替わるようになっている。具体的には、Aパターンの大当り遊技表示演出では、区分演出4,5の間の演出切替ラウンドが11Rに設定されているが(図26(A)参照)、ラウンドの進行が極めて速く、区分演出4中に12Rが開始されたときには、区分演出4の主要演出期間であるか待機演出期間であるかに拘わらず、12Rの開始と共に次の区分演出5に切り替わるようになっている。また、区分演出4中に11Rが開始されたときには、区分演出4の主要演出期間の途中では次の区分演出5に切り替わらず、区分演出4の待機演出期間の途中に次の区分演出5に切り替わるようになっている。
ここで、Aパターンの大当り遊技表示演出に対する11Rのようにラウンドの開始タイミングが区分演出の待機演出期間中である場合に限り、実行中の区分演出を終了して次の区分演出を開始するラウンドが、本発明の「第1カットラウンド」に相当し、Aパターンの大当り遊技表示演出に対する12Rのように、ラウンドの開始タイミングが区分演出の主要演出期間中及び待機演出期間中の何れかに拘わらず実行中の区分演出を終了して次の区分演出を開始するラウンドは、本発明の「第2カットラウンド」に相当する。また、所定の区分演出に対する「第1カットラウンド」及び「第2カットラウンド」が図27(A)に示すように設定されている。
このように、上記した第1及び第2のカットラウンドを利用した処理によってラウンドの進行が区分演出の進行に対して大幅に先行してしまった場合には、次に実行される区分演出を通常よりも主要演出期間が短いものに設定する処理を行うことで、ラウンドの進行と大当り遊技表示演出の進行とのズレを調節する。
さて、上記した「大当り遊技表示演出」の制御を行うために、図22〜図25に示すメインコマンド解析処理(S613)及びメインシナリオ制御処理(S614)は以下のようになっている。即ち、図22に示すように、メインコマンド解析処理(S613)では、受信したコマンドの種類毎にその後の処理が異なる。受信したコマンドが大当りオープニングである場合(S700でno、S702でyes)には、大当りオープニング処理(S703)を実行し、受信したコマンドが大当りラウンドである場合(S700、S702で共にno、S704でyes)には、大当りラウンド処理(S705)を実行し、受信したコマンドが大当りオープニンブ及び大当りラウンドでない場合(S700でyes)には、その他の処理(S701)を実行する。
大当りオープニング処理(S703)では、図23に示すように、受信したオープニングコマンドに基づいて、図26(A)に示すラウンドシナリオを抽出し(S710)、そのオープニングコマンドを演出制御基板70に送信する(S711)。
大当りラウンド処理(S705)は、ラウンドが切り替わった際、即ち、ラウンドの開始タイミングに実行され、当該ラウンドの演出切替ラウンドの種類を判別して、その判別結果に基づいて処理を行う。具体的には、図24に示すように、まず最初に現ラウンドが当該区分演出の第2カットラウンドに設定されているか否かがチェックされる(S720)。現ラウンドが第2カットラウンドでない場合(S720でno)には、ステップS722へジャンプする一方、現ラウンドが第2カットラウンドである場合(S720でyes)には、主要演出時間と待機演出時間とを0に設定して実行中の区分演出を終了する(S721)。そして、ステップS722にて、主要演出時間が0か否かをチェックして、主要演出期間が0でない場合(S722でyes)には、直ちにこの処理(S705)を抜ける一方、主要演出期間が0の場合(S722でno)には、ステップS723に移行する。
ステップS723では、現ラウンドが当該区分演出の第1カットラウンドに設定されているか否かがチェックされる。現ラウンドが第1カットラウンドでない場合(S723でno)には、ステップS725へジャンプする一方、現ラウンドが第1カットラウンドである場合(S723でyes)には、待機演出時間を0に設定して待機演出期間を終了する(S724)。そして、ステップS724にて、待機演出時間が0か否かをチェックして、待機演出期間が0でない場合(S725でyes)には、直ちにこの処理(S705)を抜ける一方、待機演出期間が0の場合(S725でno)には、大当りオープニングの種類とラウンドの進行状況から当該ラウンドで行う大当り遊技表示演出の区分演出を抽出する(S726)。
そして、抽出した現ラウンドの区分演出がシナリオセット無しの場合、即ち、現ラウンドで実行する区分演出が前のラウンドから継続して行うものの場合(S727でyes)には、直ちにこの処理(S705)を抜ける一方、シナリオセット無しでない場合、即ち、現ラウンドで実行する区分演出が前のラウンドの区分演出と異なるものの場合(S727でno)には、図27(A)に示す区分演出パターンテーブルから区分演出の主要演出時間、待機演出時間及び第1及び第2のカットラウンドと、次述する差し込み許容ラウンド、差し込み用区分演出、短縮ラウンド及び短縮秒数カウンタのデータを抽出する(S728)。そして、これらのデータを含む区分演出コマンドを演出制御基板70へ送信する(S729)。
このように、大当りラウンド処理(S705)では、ラウンド開始時における区分演出の制御が実行され、これにより演出切替ラウンドの開始タイミングに合わせて区分演出を切り替えることが可能になっている。
図21に戻り、メインコマンド解析処理(S613)が終了すると、メインシナリオ制御処理(S614)が実行される。この処理(S614)では、各区分演出の実行時間(継続時間)の計測結果と基準継続時間とを比較し、その結果に基づいて、次に実行する区分演出を設定する。具体的には、図25に示すように、まず最初に実行中の区分演出の主要演出時間が0より大きいか否かがチェックされる(S740)。主要演出時間が0より大きい場合(S740でyes)には、その主要演出時間が99999より小さいか否かがチェックされる(S750)。そして、主要演出時間が99999より小さくない場合(S750でno)には、直ちにこの処理(S614)を抜ける一方、主要演出時間が99999より小さい場合(S750でyes)には、主要演出時間を1減算してこの処理(S614)を抜ける。
一方、主要演出時間が0の場合(S740でno)には、実行中の区分演出の待機演出時間が0より大きいか否かがチェックされる(S741)。待機演出時間が0より大きい場合(S741でyes)、即ち、区分演出の実行時間(継続時間)の計測結果が基準継続時間を経過していない場合には、待機演出時間を1減算してこの処理(S614)を抜ける。そして、待機演出時間が0の場合(S741でno)、即ち、区分演出の実行時間(継続時間)の計測結果が基準継続時間を経過した場合には、現ラウンドが区分演出における差し込み許可ラウンドであるか否かがチェックされる(S742)。
ここで、図27(A)及び図27(B)に示すように、差し込み用区分演出1,2は、その他の区分演出1〜10とは別に複数設けられ、それぞれ何れの区分演出の後に差し込まれるかが設定されている。そして、差し込み用区分演出に対応した差し込み許可ラウンド(図27(A)参照、本発明に係る「指標ラウンド」に相当する)に到達する前である場合に、差し込み用区分演出を差し込む。また、差し込み用区分演出は、図27(B)に示すように、主要演出時間及び待機演出時間と共に、第2カットラウンドが設定され、第2カットラウンドの開始タイミングに合わせて差し込み用区分演出を終了する。なお、本実施形態では、差し込み用区分演出の主要演出時間は「999秒」に設定され、第2カットラウンドまでは主要演出期間が終了しない構成になっている。
そして、現ラウンドが差し込み許可ラウンドである場合(S742でyes)、即ち、区分演出の進行に対してラウンドの進行が遅すぎた場合には、ステップS728(図24)で抽出した差し込み用区分演出における主要演出時間、待機演出時間、第2カットラウンドのデータを抽出し、区分演出コマンドを演出制御基板70へ送信する(S747)。具体的には、区分演出2が4Rの途中で終了した場合には、図27(A)及び図27(B)に示すように、区分演出2とセットの差し込み区分演出1が、差し込み許容ラウンドが4Rまでに設定されると共に、差し込み区分演出1の第2カットラウンドが6Rに設定されていることから、区分演出2の終了から差し込み区分演出1が差し込まれる(図28(F)参照)。そして、6Rの開始タイミングに実行される大当りラウンド処理(S705)にて終了するようになっている。
一方、現ラウンドが差し込み許可ラウンドでない場合(S742でno)には、大当りオープニングの種類とラウンドの進行状況から次に実行される区分演出を抽出し(S743)、区分演出パターンテーブルから区分演出の主要演出時間、待機演出時間、第1及び第2のカットラウンド、差し込みラウンド、差し込み用区分演出、短縮ラウンド、短縮秒数カウンタのデータを抽出する(S744)。そして、ステップS745にて、現ラウンドが抽出した区分演出における短縮ラウンドであるか否かがチェックされる。現ラウンドが短縮ラウンドでない場合(S745のno)には、ステップS747へジャンプする一方、現ラウンドが短縮ラウンドである場合(S745でyes)、即ち、区分演出の進行に対してラウンドの進行が速すぎた場合には、主要演出時間を短縮秒数カウンタに設定する。そして、区分演出コマンドを演出制御基板70へ送信して(S747)、この処理(S614)を抜ける。
ここで、区分演出には短縮ラウンドが設定され、区分演出が短縮ラウンドの開始タイミングに合わせて開始された場合には、その区分演出の主要演出期間を通常より短くする処理が行われる。また、その短くする主要演出期間の実行時間(演出時間)が短縮秒数カウンタとして設定されている。また、ここで、区分演出が短縮ラウンドから開始されるときは、それより前に実行された区分演出中に第1カットラウンドが開始され、その後、第2カットラウンドが開始されて実行中の区分演出を終了して次の区分演出が開始されたことを条件にしている。具体的には、Cパターンのラウンドシナリオにおいて、区分演出7の主要演出期間が理想通り10Rの途中で終了して、11Rの開始タイミングに合わせて区分演出8が開始される場合には、区分演出8の主要演出期間は短くされない。しかしながら、区分演出7の主要演出期間が10Rを終了しても終了せず、第1カットラウンドである11Rが開始後も主要演出期間が継続され、11Rの途中で主要演出期間が終了して待機演出期間が開始された場合には、区分演出7の第2カットラウンドである12Rが開始されるときに区分演出7が終了して区分演出8に切り替えられる。これにより、区分演出8が短縮ラウンドである12Rから開始され、主要演出期間が通常の20秒から短縮秒数カウンタに設定された10秒に短縮される。
つまり、メインシナリオ制御処理(S614)では、ステップS749及びS751にて主要演出時間及び待機演出時間を減算することで各区分演出の実行時間(継続時間)を計測し(本発明に係る「演出時間計測手段」に相当)、ステップS740及びS741にて各区分演出の実行時間(継続時間)の計測結果と基準継続時間とを比較して、この計測結果が基準継続時間を経過した場合(S740及びS741で共にyes)には、ステップS743,S744にて次の区分演出を実行する。そして、このとき、ステップS742及びS745にて区分演出の進行に比べてラウンドの進行が遅すぎるのか又は速すぎるのかを判定し、区分演出の進行に対してラウンドの進行が遅すぎた場合には、差し込み用区分演出を差し込む一方、区分演出の進行に対してラウンドの進行が速すぎた場合には、次の区分演出の主要演出時間を短縮する。
なお、大当りラウンド処理(S705)及びメインシナリオ制御処理(S614)を実行するサブ制御基板57が、本発明に係る「大当り演出制御手段」に相当する。また、主要演出時間及び待機演出時間が0になることが、本発明に係る「継続時間の計測結果が予め設定された基準継続時間を超えたとき」に相当し、ステップS740,S741,S743及びS744が本発明に係る「強制切替処理」に相当する。さらに、第1カットラウンドが、本発明に係る「通常演出切替ラウンド」に相当し、図27(A)に示すラウンド区分演出4及び区分区分演出7の第2カットラウンドが、本発明に係る「特殊演出切替ラウンド」に相当する。さらに、差し込み用区分演出とセットになった区分演出が差し込み許可ラウンド中に終了することが、本発明に係る「指標ラウンド中に前記区分演出が定められた所定演出まで進行」したことに相当し、これを確認するステップ742が本発明に係る「進行判定手段」に相当する。また、ステップS746にて区分演出の主要演出期間に短縮秒数カウンタを設定する処理が本発明に係る「調整手段」に相当する。
パチンコ遊技機10の構成に関する説明は以上である。次に、パチンコ遊技機10の作用効果について説明する。遊技者が遊技を行い、第1又は第2の始動入賞口14A,14Bへの入賞に起因して行われた当否判定結果が当りになると、図26(A)に示したA〜Cのパターンのうち何れかの「大当り遊技表示演出」がランダムに決定される。そして、決定された「大当り遊技表示演出」に対応した大当りオープニングを終えた後で、「大当り遊技」が開始されると共に、大当り遊技表示演出も開始される。以下、例えば、Aパターンの大当り遊技表示演出に決定された場合について説明する。
ここで、Aパターンの大当り遊技表示演出は、図26(A)に示すように区分演出1,2,3,4,5からなる。そして、大当り遊技の各ラウンドが平均的な時間で消化された場合には、前述の如く、図26(B)に示すように、大当り遊技の1R,2Rの実行期間中に区分演出1が行われ、3R〜5Rの実行期間中に区分演出2が行われ、6R,7Rの実行期間中に区分演出3が行われ、8R〜10Rの実行期間中に区分演出4が行われ、11R〜15Rの実行期間中に区分演出5が行われる。また、区分演出1では、主人公が地図に描かれたお宝が隠されている洞窟を発見する動画が表示された後(図28(B))、「洞窟発見!!」の静止画が表示され(図28(C))、区分演出2では、主人公が洞窟内を進む動画が表示された後(図28(D))、「この先一体どうなる!?」の静止画が表示される(図28(E))、区分演出3では、主人公が危険な目にあいながら橋を渡りきる動画が表示された後(図28(G))、「道の先には!?」の静止画が表示され(図28(H))、区分演出4では、主人公がモニュメントに導かれて扉を発見する動画が表示された後(図28(I))、「扉の先には!?」の静止画が表示される(図28(J))、さらに、区分演出5では、扉を開いたその先にお宝を発見する様子が表示される(図28(K))。
これに対し、例えば、1R,2Rの消化に極めて長い時間を要した場合には、区分演出1をそれに対応した演出切替ラウンドである3Rを待たずに強制切替処理(ステップS740,S741,S743及びS744参照)によって1〜2Rの途中で終了し、区分演出2を開示する(図29(C))。これにより、図28(C)に示した区分演出1の「洞窟発見!!」の静止画が長時間に亘って表示され続けることがなくなり、区分演出1の間延びを防止し、区分演出1と区分演出2とがスムーズに繋がり、大当り遊技表示演出の趣向性を高く維持することが可能となる。
ここで、区分演出2の実行中に3R,4R,5Rの消化が極めて速く進行すれば、1R,2Rの消化に要した遅延時間分が相殺されて、6R以降のラウンドの進行と大当り遊技表示演出の進行のズレが解消される。一方、区分演出2の実行中に、3R,4R,5Rの消化に長い時間を要した場合には、区分演出2を、それに対応した演出切替ラウンドである6Rを待たずに再度、強制切替処理によって4〜5Rの途中で終了し、区分演出3を開示する(図29(C))。これにより、区分演出2と区分演出3とがスムーズに繋がるが、その反面、強制切替処理が繰り返して実行されたことで、ラウンドの進行と大当り遊技表示演出の進行とのズレがより大きくなり得る。ところが、このような場合に、本実施形態のパチンコ遊技機10では、区分演出2の終了後から次の区分演出3の開始タイミングである6Rの間に差し込み区分演出1が差し込まれる(ステップS742,S748参照)。これにより、強制切替処理の繰り返しによって大当り遊技表示演出の進行とラウンドの進行とのズレが大きくなった場合でも、表示演出の流れを崩すことなく、これらのズレを調節することができる。その結果、大当り遊技演出全体の終了を大当り遊技の全体の終了にスムーズに合わせることが可能となる。
ところで、例えば、各ラウンドの消化時間が短くなる場合もある。具体的には、図29(B)に示すように、ラウンドの消化時間が短くなり、区分演出4の実行期間中に第1カットラウンドである11Rまで進行した場合には、区分演出4が待機演出期間である場合に限り、区分演出5に切り替わる(ステップS723,S724及びS726参照)。ここで、区分演出4の主要演出期間の最後には、次に実行される区分演出5の主要演出期間の表示内容に関連した「扉」が登場する構成になっているので(図28(H),(J)参照)、第1カットラウンドである11Rを契機にして大当り遊技演出の進行が速められたときには、大当り遊技表示演出の全体の流れを崩さずに大当り遊技表示演出を実行することができる。また、各ラウンドの消化時間が平均より極めて短くなり、区分演出4の実行期間中に第2カットラウンドである12Rまで進行した場合には、区分演出4が主要演出期間であるか待機演出期間であるかに拘わらず、区分演出5に切り替わる(ステップS720,S721及びS726参照)。これにより、大当り遊技表示演出の全体の流れは多少崩れるが、大当り遊技の終了タイミングと大当り遊技表示演出の終了タイミングとを一致させることができる。
また、ここで、上記した第1及び第2のカットラウンドを利用した処理によってラウンドの進行が大当り遊技表示演出の進行に対して大幅に先行してしまった場合には、図30(B)に示すCパターンの大当り遊技表示演出のようにすればよい。即ち、区分演出7の実行期間中に第1カットラウンドである11Rが開始され、その後、第2カットラウンドである12Rが開始されて区分演出7から区分演出8に切り替えるときに、区分演出8の主要演出期間を20秒から10秒に短縮することで(ステップS726及びステップS745,S746参照)、大当り遊技表示演出の進行とラウンドの進行とのズレを調節することができる。これにより、大当り遊技演出全体の終了を大当り遊技の全体の終了にスムーズに合わせることが可能となる。
このように、本実施形態のパチンコ遊技機10では、ラウンドの開始タイミングでなくても大当り遊技表示演出を構成する各区分演出が終了すれば次の区分演出を開始するので、大当り遊技表示演出の間延びを防ぎ、趣向性の高い大当り遊技表示演出を維持することが可能となる。また、大当り遊技表示演出の進行とラウンドの進行とのズレを、区分演出の一部をカットしたり、差し込み用区分演出を差し込んだり、又は区分演出の実行時間を短縮することで調整することができるので、大当り遊技表示演出の全体の流れを考慮しつつ、大当り遊技演出全体の終了を大当り遊技の全体の終了にスムーズに合わせることが可能となる。
[他の実施形態]
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に説明するような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)前記実施形態では、パチンコ遊技機10に本発明を適用していたが、他の弾球遊技機やコイン遊技機に適用してもよい。
(2)前記実施形態では、区分演出が主要演出期間と待機演出期間とから構成されていたが、区分演出の実行期間は、連続した1つの期間にしてもよい。また、前記実施形態では、主要演出期間中には動画が表示され、待機演出期間中には静止画が表示される構成になっていたが、待機演出期間中にも動画を表示する構成としてもよい。
(3)前記実施形態では、区分演出の実行中に通常演出切替ラウンドが開始されかつその後に特殊演出切替ラウンドが開始されたことに起因して、直後に実行される区分演出の主要演出期間を通常の長さより短い時間に設定する構成になっていたが、本発明はこれに限るものではなく、それ以降に実行される区分演出の何れかの主要演出期間を短い時間に設定する構成であってもよい。また、区分演出の主要演出時間を短い時間に設定するだけでなく、実行中の主要演出期間を短くする構成であってもよい。
また、前記実施形態では、次の区分演出を短縮する条件として、区分演出の実行中に通常演出切替ラウンドが開始されかつその後に特殊演出切替ラウンドが開始されたこととしていたが、例えば、区分演出の実行中に1回又は複数回の通常演出切替ラウンドが開始されたことを条件としてもよい。
(4)前記実施形態では、差し込み用区分演出を差し込むタイミングを、対応する区分演出の終了の直後としていたが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、対応する区分演出が終了後に実行される複数の区分演出の終了後の何れかのタイミングであってもよい。