JP2014056743A - X線発生装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 陽極ターゲットの照射面の損耗を抑制することができるX線発生装置を提供する。
【解決手段】 電子ビームを発生する電子源3と、電子源3に対向配置される照射面を有し、電子ビームが照射面に衝突することによりX線を発生する陽極ターゲット7と、電子源3と陽極ターゲット7との間に配置され、電子ビームを集束させる集束手段6と、陽極ターゲット7の照射面上に電子ビームの焦点が合うように、集束手段6を制御する制御部20とを備えるX線発生装置1であって、制御部20は、電子ビームの焦点が電子ビームの進行方向において近点と遠点とに周期的に変動するように、集束手段6を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、X線発生装置に関し、より詳細には微小焦点径のX線を発する陽極ターゲットを用いたX線発生装置に関する。
微細な内部構造を非破壊検査法で観察する手法が各分野で要求されている。例えば、半導体パッケージングの開発や実装検査・品質保証の分野では、微小焦点径のX線を発するX線管(X線発生装置)を用いて内部の欠陥等が調べられている。このようなX線管としては、マイクロフォーカスX線管が用いられ、真空チャンバ内で電子銃部(電子源)から出発した電子ビームを、フォーカスコイル(集束手段)により収束させて、厚さが薄いターゲットプレート(陽極ターゲット)上の1μ〜200μmの寸法の微小領域に打ち込み、そこで発生するX線を放射している。
また、マイクロフォーカスX線管は、X線の発生方式によって透過型と反射型と呼ばれる2つのタイプに分類される。透過型のマイクロフォーカスX線管では、電子ビームから見てターゲットプレートを透過する方向にX線が放射され、ターゲットプレートへの電子ビーム入力方向と、ターゲットプレートからのX線放射方向が同一である。一方、反射型のマイクロフォーカスX線管では、電子ビームから見てターゲットプレートの反射方向にX線が放射される。
図2は、従来の透過型のマイクロフォーカスX線管の構成を示す断面図である。透過型のマイクロフォーカスX線管101は、金属製の真空チャンバ2と、電子銃部3と、グリッド電極4と、電子ビームeの進行方向を調整する偏向コイル5と、電子ビームeを収束するフォーカスコイル6と、ターゲットプレート7と、ターゲットプレート7を支えるX線出力窓8と、電子銃部3と電気的に接続された高電圧発生装置11と、フォーカスコイル6と電気的に接続された第一電源12と、偏向コイル5と電気的に接続された第二電源13と、コンピュータ(制御部)120とから構成されている。なお、電子銃部3とターゲットプレート7とを結ぶ方向をZ方向とし、Z方向と垂直な一方向をY方向とし、Y方向とZ方向とに垂直な方向をX方向とする。
電子銃部3は、例えば、タングステンの細線で形成されるフィラメント、または6ホウ化ランタン(LaB)や6ホウ化セリウム(CeB)等で形成される単結晶または焼結体のチップ等であり、真空チャンバ2の一端部に配置されている。
X線出力窓8は、例えば、厚さが0.5mm程度のアルミニウム板であり、真空チャンバ2の他端部に配置されている。ターゲットプレート7は、例えば、厚さが5μm程度のタングステン膜であり、X線出力窓8の電子銃部3側に蒸着されている。よって、ターゲットプレート7の電子銃部3側が、電子ビームeが照射される照射面となり、ターゲットプレート7の電子銃部3と反対側が、X線が放射される放射面となる。
そして、電子銃部3は、高電圧発生装置11から負の高電圧が印加されるようになっている。一方、真空チャンバ2は接地電位に保たれる結果、ターゲットプレート7も接地電位に保たれる。電子銃部3が加熱されると、電子銃部3の表面から電子が放出され、放出された電子は、接地電位であるターゲットプレート7に向かって加速され、電子ビームeが形成されるようになっている。
フォーカスコイル6は、Z方向を中心軸とした円環状であり、第一電源12と電気的に接続されて給電されるようになっている。これにより、フォーカスコイル6に流れるフォーカス電流Iの大きさに応じて、フォーカスコイル6の内部を通過する電子ビームeを集束させることで、Z方向での電子ビームeの焦点の位置が調整される。
偏向コイル5は、Z方向を中心軸としてX方向に対称な一対のX偏向コイル5a、5bと、Y方向に対称な一対のY偏向コイル(図示せず)とを有する。すなわち、偏向コイル5は、4個のコイルからなり、4個のコイルは、Z方向を中心軸とした円環状に配置されている。そして、偏向コイル5は、第二電源13と電気的に接続されて給電されるようになっている。これにより、偏向コイル5に流れる電流の大きさに応じて、4個のコイルの内部を通過する電子ビームeを偏向させることで、XY面内での電子ビームeの焦点の位置が調整される。
コンピュータ(制御部)120は、高電圧発生装置11と第一電源12と第二電源13との給電量を制御して、管電流と管電圧とフォーカスコイル6に流れるフォーカス電流Iと偏向コイル5に流れる電流とを制御する。これにより、コンピュータ120は、電子ビームeを、ターゲットプレート7の1μ〜200μmの寸法の微小領域に衝突させる。衝突により、ターゲットプレート7で電子ビームeの運動エネルギーはX線と熱とに変換され、発生したX線はX線出力窓8から外部に出射される。
ところで、ターゲットプレート7に電子ビームeがあたると、管電圧と管電流との積で表される電子ビームのエネルギーは、その数パーセントがX線となる他は大部分が熱エネルギーに変換される。そのため、ターゲットプレート7は、高温になり、長時間にわたりX線を発生していくと、ターゲットプレート7の焦点の位置には穴があくことになる。
そこで、フォーカスコイル6が、被検物にX線を照射する検査時には電子ビームeの焦点をターゲットプレート7の照射面上に合わせる「フォーカス状態」と、非検査時には電子ビームeの焦点をターゲットプレート7の照射面より近点(または遠点)に合わせる「デフォーカス状態」とに切り換えるX線検査装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このようなX線検査装置では、「フォーカス状態」のときに流すフォーカス電流値Iが100であるとすると、「デフォーカス状態」では、101のフォーカス電流値Iを流すことで(1%ほどレンズ強度をずらして)、ターゲットプレート7の照射面上の広い領域に電子ビームeが衝突するようにして、単位面積あたりの発熱量を抑えることで、ターゲットプレート7の照射面の損耗を抑制している。図3は、「フォーカス状態」のときの電子ビームeの形状を示す断面図である。図4は、「デフォーカス状態」のときの電子ビームeの形状を示す断面図である。図4では電子ビームeの直径が最も小さくなっている部分(収束点)がターゲットプレート7の位置よりも電子発生源の方向(図の左側)に移動している。
特開2005−321282号公報
しかしながら、上述したようなX線検査装置では、ターゲットプレート7の照射面の損耗を抑制することができない場合があった。
本発明者は、ターゲットプレート7の照射面の損耗を抑制することができない原因について検討した。上述したようなX線検査装置では、「フォーカス状態」でターゲットプレート7の照射面上の微小領域に電子ビームeが衝突することになっているが、何らかの理由で、「フォーカス状態」でターゲットプレート7の照射面上の微小領域に電子ビームeが衝突するようになっていないことがある。例えば、「フォーカス状態」でターゲットプレート7の照射面より遠点に電子ビームeの焦点が合っていることがあった。その結果、「フォーカス状態」のときに流すフォーカス電流値Iが100であるとして、「デフォーカス状態」で101のフォーカス電流値Iを流した際に、逆にターゲットプレート7の照射面上に電子ビームeの焦点が合ってしまい、ターゲットプレート7の照射面上の微小領域に電子ビームeが衝突することがあった。
そこで、「デフォーカス状態」では、101のフォーカス電流値Iを流すことに代えて、99のフォーカス電流値Id1から101のフォーカス電流値Id2まで周期的(動的)に変化させることにより、電子ビームeの焦点が近点と遠点とに周期的に変動させることで、ターゲットプレート7の照射面上に電子ビームeの焦点が合った状態が長く続かないようにする。
すなわち、本発明のX線発生装置は、電子ビームを発生する電子源と、前記電子源に対向配置される照射面を有し、前記電子ビームが照射面に衝突することによりX線を発生する陽極ターゲットと、前記電子源と前記陽極ターゲットとの間に配置され、前記電子ビームを集束させる集束手段と、前記陽極ターゲットの照射面上に電子ビームの焦点が合うように、前記集束手段を制御する制御部とを備えるX線発生装置であって、前記制御部は、前記電子ビームの焦点が前記照射面に合うように駆動するフォーカス状態駆動方式と、前記電子ビームの焦点が前記照射面の前または後にずれるように駆動するデフォーカス状態駆動方式の両方の駆動方式を有し、デフォーカス状態駆動方式においては前記電子ビームの焦点が前記電子ビームの進行方向において近点と遠点とに周期的に変動するように制御するものであることを特徴とする。
本発明のX線発生装置によれば、「フォーカス状態」で陽極ターゲット上の微小領域に電子ビームが衝突する場合はもちろんのこと、フォーカス状態のつもりが実際はわずかにずれていたとしても、「デフォーカス状態」では、陽極ターゲットの照射面上に電子ビームの焦点が合った状態が長く続かないため、陽極ターゲットの照射面の損耗を抑制することができる。
(他の課題を解決するための手段および効果)
また、本発明のX線発生装置は、前記制御部は、管電圧、管電流、管電圧と管電流との積のいずれか一つがそれぞれの設定値以上である場合に、前記デフォーカス状態駆動方式で駆動するようにしてもよい。
このような本発明のX線発生装置によれば、管電圧、管電流、管電圧と管電流との積のいずれか一つがそれぞれの設定値未満であるときには、電子ビームのエネルギーが小さいため発熱量が小さく、陽極ターゲットの照射面の損耗が少ないので、電子ビームの焦点が近点と遠点とに周期的に変動する「デフォーカス状態」とせず、一方、管電圧、管電流、管電圧と管電流の積のいずれか一つがそれぞれの設定値以上であるときには、陽極ターゲットの照射面の損耗が激しいので、電子ビームの焦点が近点と遠点とに周期的に変動する「デフォーカス状態」にする。
また、「フォーカス状態」から「デフォーカス状態」に変えるきっかけとして、上記のように、管電圧、管電流または管電圧と管電流の積に設定値を設ける方法とは別の方法も可能であり、例えば、被検物の有無をきっかけにすることも可能である。
すなわち、本発明のX線発生装置は、前記制御部は、デフォーカス状態駆動方式となるように指定された場合に、前記デフォーカス状態駆動方式で駆動するようにしてもよい。
このような本発明のX線発生装置によれば、被検物を検査位置に配置した後、「フォーカス状態」となるように指定することで、電子ビームの焦点が変動しない「フォーカス状態」とし、一方、被検物を検査位置から取り除いた後、「デフォーカス状態」となるように指定することで、電子ビームの焦点が近点と遠点とに周期的に変動する「デフォーカス状態」とすることができる。
本願実施形態に係るマイクロフォーカスX線源の構成の一例を示す断面図。 従来の透過型のマイクロフォーカスX線管の構成を示す断面図。 フォーカス状態のときの電子ビームの形状を示す断面図。 デフォーカス状態のときの電子ビームの形状を示す断面図。
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本発明は、以下に説明するような実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の態様が含まれる。
図1は、実施形態に係るマイクロフォーカスX線源の構成の一例を示す断面図である。なお、図2に示したマイクロフォーカスX線源101と同様のものについては、同じ符号を付している。
透過型のマイクロフォーカスX線管1は、金属製の真空チャンバ2と、電子銃部3と、グリッド電極4と、電子ビームeの進行方向を調整する偏向コイル5と、電子ビームeを収束するフォーカスコイル6と、電子ビームeが照射されてX線を発生するターゲットプレート7と、ターゲットプレート7を支えるX線出力窓8と、電子銃部3と電気的に接続された高電圧発生装置11と、フォーカスコイル6と電気的に接続された第一電源12と、偏向コイル5と電気的に接続された第二電源13と、コンピュータ(制御部)20とから構成されている。
コンピュータ20は、CPU21とメモリ22と入力装置23とを備える。CPU21が処理する機能をブロック化して説明すると、マイクロフォーカスX線管1の管電流と管電圧とを制御する高電圧発生装置制御部21aと、フォーカスコイル6に流れるフォーカス電流Iを制御するレンズ制御部21bと、偏向コイル5に流れる電流を制御する偏向器制御部21cとを有する。また、メモリ22には、「フォーカス状態」のときに流すフォーカス電流値Iを記憶するためのフォーカス状態記憶領域22aと、「デフォーカス状態」にするための管電流と管電圧との積の設定値を予め記憶するとともに「デフォーカス状態」のときに流すフォーカス電流Iの変動幅d1〜d2(例えば、99%〜101%のフォーカス電流値I)を記憶するためのデフォーカス状態記憶領域22bとを有する。なお、「フォーカス状態」のときに流すフォーカス電流値Iは、操作者によって「管電流の値」と「管電圧の値」との組み合わせごとに、X線画像を見ながら決められてフォーカス状態記憶領域22aに定期的に記憶されるものである。
偏向器制御部21cは、操作者によって入力装置23で入力された入力情報に基づいて、偏向コイル5に流れる電流を制御する。
高電圧発生装置制御部21aは、操作者によって入力装置23で入力された入力情報「管電流の値」と「管電圧の値」に基づいて、管電流と管電圧とを制御するとともに、レンズ制御部21bに入力情報「管電流の値」と「管電圧の値」を出力する。
以下では、「フォーカス状態」となるようにフォーカスコイル6を駆動することをフォーカス状態駆動方式と呼び、「デフォーカス状態」となるようフォーカスコイル6を駆動することをデフォーカス状態駆動方式と呼ぶ。
フォーカス状態駆動方式は電子ビームeの焦点がターゲット7のちょうど上で結ぶようにフォーカスコイル6を駆動する方式であり、X線源の機械的寸法や管電圧と管電流に応じて決まる一定の電流をフォーカスコイル6に流す駆動方式である。フォーカス状態記憶領域22aに記憶されているフォーカス電流値Iに基づいて、第一電源12を制御することにより、フォーカス電流値Iのフォーカス電流Iをフォーカスコイル6に流す。これにより、「フォーカス状態」とした間、電子ビームeの焦点の位置が固定された状態で、電子ビームeがターゲットプレート7の照射面に衝突する。
一方、デフォーカス状態駆動方式は電子ビームの焦点がターゲット7の前または後にわずかにずれるようにフォーカスコイル6を駆動する方式であり、フォーカス状態におけるフォーカスコイル6に流す電流値と比較して、その値から少数点以下の数値から数パーセント程度の数値までずらした電流値をフォーカスコイル6に流す駆動方式である。
図1に示すマイクロフォーカスX線管1では、フォーカスコイル6の駆動方式として、必要に応じてフォーカス状態駆動方式とデフォーカス状態駆動方式のどちらかを選択して駆動できる。どのようなときにデフォーカス状態駆動方式で駆動するかについては、大きく分類すれば2つの方法を採用できる。
第1の方法は、常にデフォーカス状態駆動方式で駆動する方法である。この場合にはこのX線源を使用してX線透視などを行うときもデフォーカス状態駆動方式で駆動し、X線透視などを行っていないときも同じくデフォーカス状態駆動方式で駆動する。こうすると常にデフォーカス状態となるのでX線焦点の大きさは大きくなりX線透視装置としての分解能は悪くなるのであるが、ターゲットプレート7を損傷する恐れは小さくなるのでX線源の寿命を延ばすことができる。
第2の方法としては、X線透視などを行っているときにはフォーカス状態駆動方式で駆動し、X線透視などを行っていない時間だけデフォーカス状態駆動方式で駆動する方法である。このようにすればX線透視画像は分解能のよいものが得られるが、装置が休んでいる間(ただし、その間も安定化のためにX線源の電源は入っている状態)はデフォーカス状態となるのでターゲットを損傷する恐れは小さくなりX線源の寿命を延ばすことができる。
ここで、デフォーカス状態駆動方式の駆動方法をさらに説明する。フォーカス電流Iの変動幅d1〜d2を入力するための画面を表示し、その画面にフォーカス電流Iの変動幅d1〜d2(例えば、99%〜101%のフォーカス電流値I)が入力されると、フォーカス状態記憶領域22aに記憶されているフォーカス電流値Iと、入力されたフォーカス電流Iの変動幅d1〜d2とに基づいて、第一電源12を制御することにより、99%のフォーカス電流値Iとなるフォーカス電流値Id1から101%のフォーカス電流値Iとなるフォーカス電流値Id2まで徐々に増加し、フォーカス電流値Id2からフォーカス電流値Id1まで徐々に減少することを繰り返すように、フォーカス電流Iをフォーカスコイル6に流す。これにより、電子ビームeの焦点が電子ビームeの進行方向(Z方向)において近点と遠点とに周期的に変動して、電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の微小領域に衝突したり、ターゲットプレート7の照射面上の広い領域に衝突したりする。
以上のデフォーカス状態駆動方式の駆動方法は、言い換えれば、フォーカスコイルに流す電流値として、直流成分に交流成分を重畳した波形で電流を流すということである。直流成分の大きさに対して交流成分の大きさは小数点以下の数値から数パーセント程度の数値までの範囲にすることが適当である。
このとき、「フォーカス状態」でターゲットプレート7の照射面上の微小領域に電子ビームeが衝突していれば、99%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の広い領域に衝突し、100%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の微小領域に衝突し、101%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の広い領域に衝突することを繰り返すことになる。
一方、「フォーカス状態」でターゲットプレート7の照射面より遠点に電子ビームeの焦点が合っていれば、101%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の微小領域に衝突し、100%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上の広い領域に衝突し、99%のフォーカス電流値Iを流した際には電子ビームeがターゲットプレート7の照射面上のより広い領域に衝突することを繰り返すことになる。
フォーカス状態駆動方式とデフォーカス状態駆動方式の切り換えは次のようにしてもよい。
レンズ制御部21bは、高電圧発生装置制御部21aからの入力情報「管電流の値」と「管電圧の値」に基づいて、フォーカスコイル6に流れるフォーカス電流Iを制御する。
具体的には、入力された「管電流の値」×「管電圧の値」の値がデフォーカス状態記憶領域22bに記憶された設定値未満であると判定したときには、フォーカス状態駆動方式で駆動する。管電圧および管電流の両方が小さければターゲットプレート7で消費されるエネルギーが小さくなるので、ターゲットプレート7の照射面の損耗が元々小さく、デフォーカスする必要は少ないからである。
一方、入力された「管電流の値」×「管電圧の値」の値がデフォーカス状態記憶領域22bに記憶された設定値以上であると判定したときには、デフォーカス状態駆動方式で駆動する。
なお、上記では「管電流の値」×「管電圧の値」の値が所定値であるかどうかで駆動方式を変更したが、この変更の判断としては、「管電流の値」が所定値以上である、または、「管電圧の値」が所定値以上である、という判断で置き換えてもよい。また、それらを併用してもよい。
以上のように、本発明のマイクロフォーカスX線源1によれば、「フォーカス状態」でターゲットプレート7上の微小領域に電子ビームeが衝突する場合はもちろんのこと、フォーカス状態のつもりが実際はわずかにずれていたとしても、「デフォーカス状態」では、ターゲットプレート7の照射面上に電子ビームeの焦点が合った状態が長く続かないため、ターゲットプレート7の照射面の損耗を抑制することができる。
<他の実施形態>
(1)上述したマイクロフォーカスX線源1では、レンズ制御部21bが「管電流の値」×「管電圧の値」の値が設定値以上であると判定したときには、フォーカス電流値Id1からフォーカス電流値Id2まで周期的に変化するように、フォーカス電流Iをフォーカスコイル6に流すような構成を示したが、通常はフォーカス状態駆動方式で駆動し、操作者が入力装置23で「デフォーカス状態」と入力した場合のみにデフォーカス状態駆動方式で駆動する構成としてもよい。
(2)また、操作者による「デフォーカス状態」の入力の代わりに、装置自身が透視画像取得などの動作状態であるかどうかを判断して、動作状態以外の場合にデフォーカス状態駆動方式に切り換えてもよい。さらに、フォーカス状態駆動方式からデフォーカス状態駆動方式に変えるきっかけとして、例えば、被検物がX線透視装置の試料ステージに載っているかどうかをきっかけにすることも可能である。被検物の有無は試料ステージ近傍に設置したセンサにより検出できる他、X線透視画像から判断することも可能である。
(3)フォーカス電流値の周期的変化(交流成分)の波形は、周期的な波形であれば特には限定されないが、正弦波や三角波などを採用することができる。正弦波は一般的に採用しやすい波形であるという効果がある。また、三角波では、どのような場合であっても、焦点がターゲットプレート上に結ばれる時間が短くなるという効果がある。
(4)上述したマイクロフォーカスX線源1では、集束手段としてフォーカスコイル6を用いた構成を示したが、静電レンズを用いた構成としてもよい。
(5)上述したマイクロフォーカスX線源1では、透過型タイプを用いた構成を示したが、反射型タイプを用いた構成としてもよい。
(6)上述したマイクロフォーカスX線源1では、真空チャンバ2の外側に偏向コイル5やフォーカスコイル6を配置したが、これらが真空チャンバ2の中側(真空内)にあるように配置してもよい。
本発明は、微小焦点径のX線を発する陽極ターゲットを用いたX線発生装置等に利用することができる。
1 マイクロフォーカスX線源(X線発生装置)
3 電子銃部(電子源)
6 フォーカスコイル(集束手段)
7 ターゲットプレート(陽極ターゲット)
20 コンピュータ(制御部)

Claims (3)

  1. 電子ビームを発生する電子源と、
    前記電子源に対向配置される照射面を有し、前記電子ビームが照射面に衝突することによりX線を発生する陽極ターゲットと、
    前記電子源と前記陽極ターゲットとの間に配置され、前記電子ビームを集束させる集束手段と、
    前記陽極ターゲットの照射面上に電子ビームの焦点が合うように、前記集束手段を制御する制御部とを備えるX線発生装置であって、
    前記制御部は、前記電子ビームの焦点が前記照射面に合うように駆動するフォーカス状態駆動方式と、前記電子ビームの焦点が前記照射面の前または後にずれるように駆動するデフォーカス状態駆動方式の両方の駆動方式を有し、デフォーカス状態駆動方式においては前記電子ビームの焦点が前記電子ビームの進行方向において近点と遠点とに周期的に変動するように制御するものであることを特徴とするX線発生装置。
  2. 前記制御部は、管電圧、管電流、管電圧と管電流の積のいずれか一つがそれぞれの設定値以上である場合に、前記デフォーカス状態駆動方式で駆動することを特徴とする請求項1に記載されたX線発生装置。
  3. 前記制御部は、デフォーカス状態駆動方式となるように指定された場合に、前記デフォーカス状態駆動方式で駆動することを特徴とする請求項1に記載されたX線発生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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