JP2014055406A - 木製梁 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 木材からなる上フランジ2及び下フランジ3と、上フランジと下フランジとを上下方向に連結するウェブ4とを有するものとする。ウェブは、小幅板材5を該木製梁の軸線方向に傾斜し、間隔を開けて軸線方向に複数が配列された第1群の小幅板材5aと、該木製梁の軸線方向における前記第1群の小幅板材と反対側に傾斜し、間隔を開けて複数が配列された第2群の小幅板材5bと、を有するものとする。そして、第1群に含まれる小幅板材と第2群に含まれる小幅板材とは複数の他の小幅部材と交差するように重ね合わせ、交差する位置で互いに接合する。
【選択図】図1
Description
また、小幅板材は斜め方向に配置されてせん断力に抵抗するために、小幅板材と上下のフランジとの接合部において相互間で力が伝達されるが、複数の小幅板材を配列するとともに、逆方向に傾斜して重ね合わされた第1群の小幅板材と第2群の小幅板材とが複数の位置で互いに接合され、この接合部で力の伝達が行われるので、小幅板材と上下のフランジとの接合部に作用する力を分散することができる。したがって、簡単な接合構造で高い強度の木製梁とすることが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態である木製梁を示す概略斜視図である。また、図2はこの木製梁の正面図及び側面図であり、図3は断面図である。
この木製梁1は、図1に示すように、木材からなる上フランジ2及び下フランジ3と、上縁部に上記上フランジ2が接合され、下縁部に上記下フランジ3が接合されて上フランジ2と下フランジ3とを上下に所定の間隔を維持して接合するウェブ4とを有するものである。そして、これらのフランジ2,3及びウェブ4が一体となって、この木製梁1に作用する曲げモーメント及びせん断力に抵抗するものとなっている。
この上フランジ2の下面には、溝が切削されており、ウェブ4はこの溝に押し入れて接合されている。
図5(a)は、パネル状となった小幅板材の接合端部に施した接合用の加工を示す部分側面図であり、図5(b)は、同じ部分を拡大して示す部分平面図である。
これらの図に示すように、小幅板材5a,5b,5a’,5b’の接合端部に平面形状で凸部8,8’と凹部9,9’とが交互に形成されるように切削加工を施す。これらの凸部8,8’と凹部9,9’とは上下方向に連続して平断面における形状は変わらないものとなっており、接合する双方の小幅板材5a,5b,5a’,5b’の端面からパネルの長手方向に所定の深さLで凹部9,9’を切削して形成する。そして、これらの凸部8,8’と凹部9,9’とは、接合する小幅板材の一方5a,5bの凸部8が他方5a’,5b’の凹部9’に差し入れられるとともに他方5a’,5b’の凸部8’が一方5a,5bの凹部9に差し入れられ、図6に示すように、互いに対応して嵌め合わせることができるものとする。これらの接合面には接着剤を塗布し、大きな接着面積によって強固に接合されるものである。
この例では、パネル状に張り合わされた小幅板材5a,5b,5a’,5b’の内で、該パネル状部材の長手方向の端部付近で上端面と下端面とのいずれかが、パネルの鉛直方向の端面となる部分を含んでいる小幅板材5c,5c’、すなわち小幅板材の端面が鉛直となっているもの又は鉛直部分と水平部分とからなるものは、予め取り外すか、又はパネルの製作時に除外しておく。そして、接合する双方のパネル状部材の端部において小幅板材5a,5b,5a’,5b’の斜め方向に突き出した部分を互いに重ね合わせ、これらを接着剤、ビス、釘等によって接合することによってパネル状部材を接合することができる。
木製梁1の大きなせん断力が作用する領域、例えば両端で木製梁1が支持されたときの両端部付近では、図10(a)に示すように第1群の小幅板材5aと第2群の小幅板材5bとの一方に圧縮力Fc1が作用し、他方に引張力Ft1が作用する。したがって、第1群に含まれる小幅板材5aと第2群に含まれる小幅板材5bとを重ね合わせて上フランジ2又は下フランジ3と接合された部分では、上フランジ2又は下フランジ3に小幅板材5を押し付ける方向の力Fc2及び小幅板材5を引き抜く方向の力Ft2が作用する。そして、これらの力の合力として、小幅板材5がフランジ2,3に対して木製梁1の軸線方向にずれようとする力Fhが作用する。このような力に対して、上フランジ2又は下フランジ3と小幅板材5との接合部を補強するものである。
このずれ止め部材を設ける位置は、せん断力によって小幅板材5が上フランジ2又は下フランジ3に対してずれようとする方向の先端側で小幅板材5a,5bに接触する位置とする。例えば、図8(a)に示すように木製梁1の支持位置付近における上フランジ2と小幅板材5との接合部では、木製梁1の支間中央側で小幅板材5と接触する位置、下フランジ3と小幅板材5との接合部では、木製梁1の支持位置側で小幅板材5と接触する位置に設けるものである。
このずれ止め部材7は、金属板の小片をほぼ直角に曲げ加工して、折り曲げ線で折り曲げられた面の一方を上フランジ2の下面又は下フランジ3の上面に当接し、他方を小幅板材5の側面に当接して固定するものである。固定にはビス10、釘、接着剤等を用いることができる。
なお、木材の小片を合成樹脂等によって固めた板材をウェブとして用いた梁では、木目の方向が小片毎に異なり、せん断力によって生じる斜め方向の力に対して木材の性質を有効に利用するものとはならない。また、合板をウェブとして利用する梁において、重ね合わされた単板の木目の方向を鉛直方向及び水平方向として用いれば、せん断力による斜め方向の力に対して木目の方向が異なっており、同様に木材の性質を有効に利用するものではない。また、単板の木目の方向を傾斜させて合板を用いると、合板からウェブとして用いる部分を切り出すとき、つまり板取りを行うときに多くの端材を生じて製作費用が嵩むことになる。
この例では、溝11の断面が複数の凸部12を溝11の幅方向に配列した形状となっている。そして、小幅板材5の接合端部が、上記溝11の断面と対応するように複数の凹部13を有する形状に切削されたものとする。上記下フランジ又は下フランジ3に設けられた溝11に小幅板材5の接合端部を差し入れ、溝11内の凸部12とパネル状となった小幅板材5a,5bの端部の凹部13とを嵌め合わせて、接着剤で接合するものである。このような接合構造では、接着剤によって接合する面積が拡大され、強固に小幅板材5と上フランジ2又は下フランジ3とを接合することができる。
この木製梁21は、図1に示す木製梁1と同様に、木材からなる上フランジ22及び下フランジ23と、複数の小幅板材25からなるウェブ24とを有するものであるが、上フランジ22又は下フランジ23と小幅板材25との接合部の構造が異なるものとなっている。
例えば、木製梁の高さは、図13に示すように、使用するときの支点間の長さ、荷重の大きさ等に応じて適宜に変更することができる。また、上フランジ及び下フランジの断面寸法、小幅板材の断面寸法、小幅板材を木製梁の軸線方向に配置する間隔等を適宜に設定することができる。
一方、上フランジ又は下フランジとウェブとの接合構造も、上記実施の形態に限定されるものではなく、強固に接合することができる他の形態を採用することができる。例えば、図1に示す実施の形態では、上フランジ又は下フランジに溝状の凹部を設けて、小幅板材を押し入れるものであったが、凹部は木製梁の軸線方向に複数の独立した凹部を設けて、重ね合わされた2つの小幅板材毎に上記凹部に押し入れるものであっても良い。また、図12に示すように付加部材26を用いて上フランジ22又は下フランジ23とウェブ24とを接合するものでは、上フランジ22又は下フランジ23に取り付けられた二つの付加部材26の対向する面が傾斜したものとし、対向する面の間隔が上フランジ22の下面又は下フランジ23の上面に近づくにしたがって縮小されるようにしてもよい。また、付加部材は木材に限られるものではなく、金属部材等を用いることもできる。
11:溝、 12:溝の底部に設けられた凸部、 13:小幅板材の上端部又は下端部に設けられた凹部、
21:木製梁、 22:上フランジ、 23:下フランジ、 24:ウェブ、
25:小幅板材、 25a:第1群に含まれる小幅板材、 25b:第2群に含まれる小幅板材、 26:付加部材、
31,41:木製梁、 32,42:上フランジ、 33,43:下フランジ、 34,44:ウェブ、 35,45:小幅板材、
Ft1:小幅板材に作用する引張力、 Fc1:小幅板材に作用する圧縮力、 Ft2:フランジに作用する小幅板材を引き抜く方向の力、 Fc2:フランジに作用する小幅板材を押し付ける方向の力、 Fh:Ft2とFc2との合力
Claims (4)
- 木材からなる上フランジ及び下フランジと、
前記上フランジと前記下フランジとを上下方向に連結するウェブとを有する木製梁であって、
前記ウェブは、所定幅の板材からなる小幅板材を複数配列して形成され、 該小幅板材の軸線が該木製梁の軸線方向に対して傾斜し、間隔を開けて該木製梁の軸線方向に複数が配列された第1群の小幅板材と、 該木製梁の軸線方向に対して前記第1群の小幅板材と反対側に傾斜し、間隔を開けて該木製梁の軸線方向に複数が配列された第2群の小幅板材と、を有し、
前記第1群に含まれる小幅板材は第2群に含まれる複数の小幅板材と交差するように双方の板面が重ね合わされ、第2群に含まれる小幅板材は第1群に含まれる複数の小幅板材と交差するように双方の板面が重ね合わされ、
重ね合わされて交差する位置で、第1群に含まれる小幅板材と第2群に含まれる小幅板材とが接合されており、
該ウェブが、前記上フランジの下面及び前記したフランジの上面に接合されていることを特徴とする木製梁。 - 前記ウェブの上端部の、第1群に含まれる小幅板材と第2群に含まれる小幅板材とを重ね合わせた部分が前記上フランジの下面に設けられた凹部に突き入れられ、
前記ウェブの下端部は、第1群に含まれる小幅板材と第2群に含まれる小幅板材とを重ね合わせた部分が前記下フランジの上面に設けられた凹部に、突き入れられた状態で接合されていることを特徴とする請求項1に記載の木製梁。 - 前記上フランジ又は前記下フランジに設けられた凹部の重ね合わされた前記小幅板材の厚さ方向の寸法が、前記上フランジの下面又は前記下フランジの上面から該凹部内に向かって徐々に縮小されており、第1群に含まれる小幅板材と第2群に含まれる小幅板材とを重ね合わされた部分が前記凹部に押し入れられ、該凹部内の側面から厚さ方向の圧縮力を受けた状態で接合されていることを特徴とする請求項2に記載の木製梁。
- 前記凹部は、該木製梁の軸線方向に連続した溝状に形成されており、
前記小幅板材と前記上フランジ又は前記下フランジとの接合部には、前記小幅板材が前記上フランジ又は前記下フランジに対して該木製梁の軸線方向に変位を生じるのを拘束するずれ止め部材が固着されていることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の木製梁。
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