JP2014055268A - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物 - Google Patents

インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録装置、記録物 Download PDF

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Abstract

【課題】普通紙に印字した際でも、カールやコックリングがなく、高品位の画像記録が可能であり、ノズルからの吐出安定性が良好なインクジェット用インクの提供。
【解決手段】少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤及び着色剤を含有し、該湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテルから選ばれた少なくとも1種を含有するインクジェット用インク。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インク、該インクを用いたインクジェット記録方法、インクジェット記録装置及び記録物に関する。
インクジェット記録方式は他の記録方式に比べてプロセスが簡単であるためフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置でも高解像度の画像が得られる利点がある。インクジェット用インクとしては各種の水溶性染料を水、又は水と有機溶剤との混合液に溶解させた染料系インクが使用されている。
しかし、近年、益々高速化のニーズが高まっており、普通紙の印刷に水性インクを使用した場合の、印刷後のカール、コックリングが大きな問題となっている。水性インクは、多量の水を含んでいるため、水が紙の繊維を膨潤させ、カール、コックリングを生じる。
一方、油性インクは水を含まないため、カール、コックリングの問題はないが、水性インクよりも記録媒体への浸透力が大きいため、画像濃度が低く、にじみ、裏抜けが大きいという画像品質の低下が大きな課題となっている。
即ち、カール、コックリング、画像品質の全てを満足するインクジェット用インクは未だ得られていない。
水性インクを用いた場合の、普通紙のカール、コックリングを防止する方法としては、カール防止剤として特定の糖類、糖アルコール類、アミド化合物を添加する方法が提案されている(特許文献1〜5)。しかし、これらの方法でも、インク打ち込み量の多い画像を高速で印字する場合には、カール、コックリングするという問題を抱えている。
また、水性インク中の溶剤比率を高くする方法が検討されている(特許文献6〜7)。しかし、溶剤の比率を多くするため、油性インクと同様に画像品質が低く、またインクの粘度が高くなり、吐出信頼性に問題が生じる。
また、疎水性の溶剤の比率を高くする方法が検討されている(特許文献8)。しかし、漠然とした規定であり、効果が十分でない。
このように、カール、コックリングと画像品質の両立はできていないのが現状である。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、普通紙に印字した際でも、カールやコックリングがなく、高品位の画像記録が可能であり、ノズルからの吐出安定性が良好なインクジェット用インクの提供を目的とする。
上記課題は、次の1)の発明により解決される。
1) 少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤及び着色剤を含有し、該湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテルから選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット用インク。
本発明によれば、普通紙に印字した際でもカールやコックリングがなく、高品位の画像記録が可能であり、ノズルからの吐出安定性が良好なインクジェット用インクを提供できる。
インクジェット記録装置のインクカートリッジ装填部のカバーを開いた状態の斜視説明図。 インクジェット記録装置の全体構成を説明する概略構成図。 インクジェットヘッドの一例の概略拡大図。
以下、上記本発明1)について詳しく説明するが、本発明の実施の態様には次の2)〜10)も含まれるので、これらについても併せて説明する。
2) 前記湿潤剤の含有量が、インク全体の20〜60質量%であることを特徴とする1)に記載のインクジェット用インク。
3) 前記ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを併せた含有量が、インク全体の10〜30質量%であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット用インク。
4) 前記トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテルを併せた含有量が、インク全体の5〜15質量%であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット用インク。
5) 前記湿潤剤として、温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30質量%以上である多価アルコールを1種以上含有することを特徴とする1)〜4)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
6) 前記多価アルコールが、グリセリン及び1,3−ブタンジオールであることを特徴とする5)に記載のインクジェット用インク。
7) 前記着色剤として、自己分散性顔料を含有することを特徴とする1)〜6)のいずれかに記載のインクジェット用インク。
8) 1)〜7)のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
9) 1)〜7)のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
10) 記録用メディア上に、1)〜7)のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いて作成された画像を有することを特徴とする記録物。
本発明のインクジェット用インク(以下、インクということもある)は、少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤及び着色剤を含有し、更に必要に応じて、浸透剤、水分散性樹脂、及びその他の成分を含有する。
<湿潤剤>
該湿潤剤としては、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルブチルエーテルから選ばれた少なくとも1種を含有させる。
ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを含有させると、インク粘度を低く抑えることができるので吐出安定性が向上し、高溶剤量でもインク粘度を抑えることができるので、インク中の水分量を少なくでき、カールやコックリングを抑制できる。
トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルブチルエーテルは、紙面上での濡れ性が高く、インクの埋まりが良いので、画像品質の向上に効果がある。また、浸透性が高いため、インクを紙面上に滴下したときの水分量の表裏差を少なくする効果があり、カールやコックリングを抑制できる。
更に、普通紙に対する画像品質が良くなり、画像濃度、乾燥性にも優れ、乾燥速度、高速印字対応に優れ、ノズルからの吐出安定性が良好である。
ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルの含有量は、インク全体の5〜35質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。含有量が5質量%以上であれば必要なインクの粘度抑制効果が得られるし、10質量%以上であれば、十分なインクの粘度抑制効果が得られる。また、35質量%以下であれば、画像濃度が低下するようなことはないし、30質量%以下であれば、十分な画像濃度が得られる。
また、トリエチレングリコールメチルブチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルブチルエーテルの含有量は、インク全体の5〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。含有量が5質量%以上であれば、必要な画像品質の向上効果が得られるし、20質量%以下であれば、紙面上での乾燥性が悪くなることはなく、更に、普通紙上の文字品位が低下したり、粘度上昇に伴って吐出安定性が低下したりすることもない。
また、上記湿潤剤と混合して使用される湿潤剤としては、温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上である多価アルコールが好ましい。例えば温度23℃、相対湿度80%環境中の平衡水分量が30質量%以上(好ましくは40質量%以上)で、沸点が250℃以上の湿潤剤A、及び、23℃、80%での平衡水分量が30質量%以上で、沸点が140℃以上250℃未満の湿潤剤Bを含有することが好ましい。
湿潤剤Aと湿潤剤Bを組合せて用いる場合の湿潤剤Aと湿潤剤Bの比B/A(質量比)は、後述するその他の湿潤剤量や固体湿潤剤量、浸透剤等の他の添加剤の種類や量、顔料の種類にも少なからず依存するので、一概に云えないが、通常は10/90〜90/10の範囲とする。
常圧で沸点が250℃を超える湿潤剤Aとしては、1,2,3−ブタントリオール(bp175℃/33hPa、38質量%)、1,2,4−ブタントリオール(bp190−191℃/24hPa、41質量%)、グリセリン(bp290℃、49質量%)、ジグリセリン(bp270℃/20hPa、38質量%)、トリエチレングリコール(bp285℃、39質量%)、テトラエチレングリコール(bp324−330℃、37質量%)等が挙げられる。また、湿潤剤Bとしては、ジエチレングリコール(bp245℃、43質量%)、1,3−ブタンジオール(bp203−204℃、35質量%)等が挙げられる。
これら湿潤剤A、湿潤剤Bは、いずれも吸湿性が高い材料であるが、湿潤剤Bは湿潤剤Aよりも蒸発性が比較的高い。
上記の中で特に好ましいのはグリセリンと1,3−ブタンジオールである。
前記平衡水分量は、塩化カリウム飽和水溶液を用いデシケーター内の温湿度を温度23±1℃、相対湿度80±3%に保ち、このデシケーター内に各湿潤剤を1gずつ秤量したシャーレを質量変化がなくなるまでの期間保管し、次の式により求めることができる。
Figure 2014055268
湿潤剤Aと湿潤剤Bを湿潤剤全体の50質量%以上用いた場合には、吐出安定性確保やインク吐出装置の維持装置での廃インク固着防止に優れている。
本発明のインクには、上記湿潤剤A、湿潤剤B以外にも、必要に応じてこれらの一部に代えて、又はこれらに加えて、その他の湿潤剤C(例えば23℃、80%での平衡水分量が30質量%未満のもの)を併用することができる。また、普通紙画像品質向上のため、湿潤剤Cの中でも、沸点が240℃未満のものを適度な割合で入れることが好ましい。
該湿潤剤Cとしては、例えば多価アルコール類、グリコールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の固体湿潤剤などが挙げられる。
前記多価アルコール類としては、例えば、ジプロピレングリコール(bp232℃)、1,5−ペンタンジオール(bp242℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(bp203℃)、プロピレングリコール(bp187℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(bp197℃)、エチレングリコール(bp196−198℃)、トリプロピレングリコール(bp267℃)、ヘキシレングリコール(bp197℃)、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール(bp187℃)、1,6−ヘキサンジオール(bp253−260℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(bp178℃)、トリメチロールエタン(固体、mp199−201℃)、トリメチロールプロパン(固体、mp61℃)、3−メチル−1,3−ペンタンジオール(bp204℃)などが挙げられる。
前記グリコールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル(bp135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(bp171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(bp194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(bp197℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(bp231℃)、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル(bp229℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(bp132℃)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(bp216℃)、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル(bp214℃)、エチレングリコールモノフェニルエーテル(bp237℃)、エチレングリコールモノベンジルエーテルなどが挙げられる。
前記含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン(bp250℃、mp25.5℃、47〜48wt%)、N−メチル−2−ピロリドン(bp202℃)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(bp226℃)、ε−カプロラクタム(bp270℃)、γ−ブチロラクトン(bp204−205℃)などが挙げられる。
前記アミド類としては、例えば、ホルムアミド(bp210℃)、N−メチルホルムアミド(bp199−201℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(bp153℃)、N,N−ジエチルホルムアミド(bp176−177℃)、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミドなどが挙げられる。
前記アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン(bp170℃)、ジエタノールアミン(bp268℃)、トリエタノールアミン(bp360℃)、N,N−ジメチルモノエタノールアミン(bp139℃)、N−メチルジエタノールアミン(bp243℃)、N−メチルエタノールアミン(bp159℃)、N−フェニルエタノールアミン(bp282−287℃)、3−アミノプロピルジエチルアミン(bp169℃)などが挙げられる。
前記含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド(bp139℃)、スルホラン(bp285℃)、チオジグリコール(bp282℃)などが挙げられる。
その他の固体湿潤剤としては糖類が好ましい。該糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。
また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖{例えば、糖アルコール〔一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(ただし、nは2〜5の整数を表す)〕で表わされる。}、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも、糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
顔料と湿潤剤との質量比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響があり、更にインク吐出装置の維持装置での廃インク固着防止にも影響がある。顔料固形分が高いのに湿潤剤の配合量が少ないとノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み吐出不良をもたらすことがある。
前記湿潤剤A、B、Cを含む湿潤剤の全含有量はインク全体の20〜60質量%程度が好ましく、より好ましくは30〜60質量%、更に好ましくは40〜60質量%である。含有量が20質量%程度以上であれば、吐出安定性の低下や維持装置での廃インク固着などの副作用を生じることはない。また60質量%程度以下であれば、インクの粘度が高くなりすぎて、インク吐出装置で吐出し難くなるようなこともない。また紙面上での乾燥性が悪化したり、更に普通紙上の文字品位が低下したりすることもない。
<着色剤>
本発明のインクは、耐候性の面から着色剤として主に顔料を用いるが、耐候性が劣化しない範囲内で色調調製のため染料を含有しても構わない。顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、黒色用、或いはカラー用の無機顔料や有機顔料などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
有機顔料としては、アゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などを含む)、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、特に水と親和性の良いものが好ましい。
好ましい顔料の具体例としては、黒色用として、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、又は銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属又は金属酸化物類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料が挙げられる。
更に、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、408、109、110、117、120、128、138、150、151、153、183、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、185、190、193、209、219、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15、15:1、15:2、15:3(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等が挙げられる。
着色剤が顔料である場合の特に好ましい形態としては、以下の第1〜第2の形態が挙げられる。
(1)第1形態では、ポリマー微粒子に水不溶乃至水難溶性の顔料を含有させたポリマーエマルジョン(顔料を含有させたポリマー微粒子の水分散物)を含有する。
(2)第2形態では、表面に少なくとも1種の親水基を有し、分散剤の不存在下で水分散性を示す顔料(以下「自己分散性顔料)ということもある)を含有する。
前記第1形態では、ポリマー微粒子に顔料を含有させたポリマーエマルジョンを使用することが好ましい。ここで、「顔料を含有させた」とは、ポリマー微粒子中に顔料を封入するか、又はポリマー微粒子の表面に顔料を吸着させることを意味する。この場合、全ての顔料が封入又は吸着している必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲で顔料がエマルジョン中に分散にしていてもよい。ポリマーエマルジョンを形成するポリマー(ポリマー微粒子におけるポリマー)としてはビニル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリウレタン系ポリマー等が挙げられるが、特に好ましいのはビニル系ポリマー及びポリエステル系ポリマーであり、特開2000−53897号公報、特開2001−139849号公報に開示されているポリマーを使用できる。
前記第2形態の自己分散性顔料は、顔料の表面に少なくとも1種の親水基が直接又は他の原子団を介して結合するように表面改質されたものである。該表面改質は、顔料の表面に、ある特定の官能基(スルホン酸基やカルボキシ基等の官能基)を化学的に結合させるか、あるいは、次亜ハロゲン酸又はその塩の少なくとも一方を用いて湿式酸化処理するなどの方法が用いられる。これらの中でも、顔料の表面にカルボキシ基が結合され、水中に分散している形態が特に好ましい。このように顔料が表面改質され、カルボキシ基が結合しているため、分散安定性が向上するばかりではなく、高品位な印字品質が得られると共に、印字後の記録用メディアの耐水性が一層向上する。
また、この第2形態の自己分散性顔料を含有するインクは乾燥後の再分散性に優れるため、長期間印字を休止し、インクジェットヘッドノズル付近のインク水分が蒸発した場合でも目詰まりを起こさず、簡単なクリーニング動作で容易に良好な印字が行なえる。
前記自己分散性顔料の体積平均粒径(D50)は、インク中において0.01〜0.16μmが好ましい。
例えば、自己分散型カーボンブラックとしては、イオン性を有するものが好ましく、アニオン性に帯電したものが好適である。
アニオン性親水基としては、例えば、−COOM、−SOM、−POHM、−PO、−SONH、−SONHCOR(ただし、Mは、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムを表わす。Rは、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基を表わす)等が挙げられる。これらの中でも、−COOM、−SOMがカラー顔料表面に結合されたものを用いることが好ましい。
また、前記「M」のアルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。有機アンモニウムとしては、例えば、モノ乃至トリメチルアンモニウム、モノ乃至トリエチルアンモニウム、モノ乃至トリメタノールアンモニウムが挙げられる。
アニオン性に帯電したカラー顔料を得る方法としては、カラー顔料表面に−COONaを導入する方法として、例えば、カラー顔料を次亜塩素酸ソーダで酸化処理する方法、スルホン化による方法、ジアゾニウム塩を反応させる方法が挙げられる。
前記親水基は、他の原子団を介してカーボンブラックの表面に結合されていてもよい。他の原子団としては、例えば、炭素原子数1〜12のアルキル基、置換基を有してもよいフェニル基又は置換基を有してもよいナフチル基が挙げられる。その具体例としては、−CCOOM(ただし、Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)、−PhSOM(ただし、Phはフェニル基を表わす。Mは、アルカリ金属、又は第4級アンモニウムを表わす)等が挙げられる。
前記第2形態では、顔料分散液が顔料分散剤を含有することが好ましい。
顔料分散剤としては、アニオン系界面活性剤及びHLB値10〜20のノニオン系界面活性剤のいずれかが好適である。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えばNH,Na,Ca等)、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩(例えばNH,Na,Ca等)、ジアルキルサクシネートスルホン酸Na塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物Na塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸エステル塩(例えばNH、Na等)、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェート塩、オレイン酸塩などが挙げられる。
これらの中でも、ジオクチルスルホコハク酸Na塩、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルスルホン酸NH塩が特に好ましい。
前記HLB値10〜20のノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、アセチレングリコールなどが挙げられる。
これらの中でも、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン−β−ナフチルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンスチレンフェニルエーテルが特に好ましい。
顔料分散剤の含有量は、顔料100質量部に対し1〜100質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましい。顔料分散剤の含有量が少ないと、充分に顔料を微細化することができず、多すぎると顔料に吸着していない過剰成分がインク物性に影響を与え、画像滲みや、耐水性、耐擦性の劣化を招くことになる。
顔料分散剤によって水中に均一に微分散した顔料分散液は、水系媒体中に上記顔料分散剤を溶解させ、次に、顔料を加えて充分に湿潤させた後、ホモジナイザーによる高速撹拌、ビーズミルやボールミルのようなボールを用いた分散機、ロールミルのような剪断力を用いた混練分散機、超音波分散機等を用いる方法で作製することができる。
ただし、このような混練分散工程の後には粗大粒子が含まれていることが多く、インクジェットノズルや供給経路の目詰まりの原因となるため、フィルターや遠心分離器を用いて粒径1μm以上の粒子を除去する必要がある。
前記顔料分散液の平均粒子径(D50)はインク中において150nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましい。平均粒子径(D50)が150nm以下であれば、急激に吐出安定性が低下したり、ノズル詰まりやインクの曲がりが発生することはない。また、平均粒子径(D50)が100nm以下であれば、吐出安定性が向上し、更に画像の彩度も向上する。
前記顔料のインク中の含有量は、固形分で2〜15質量%が好ましく、3〜12質量%がより好ましい。含有量が2質量%以上であれば、インクの発色性及び画像濃度が低くなるようなことはなく、15質量%以下であれば、インクが増粘して吐出性が悪くなるようなこともない。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、着色剤の種類や湿潤剤の組み合わせによって分散安定性を損なわず、静的表面張力が低く、浸透性、レベリング性の高いものが好ましく、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤から選択される少なくとも1種が好適である。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤及びフッ素系界面活性剤が特に好ましい。
これら界面活性剤は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2〜16であるものが好ましく、フッ素置換した炭素数が4〜16であるものがより好ましい。フッ素置換した炭素数が2以上であれば、フッ素の効果が得られるし、16以下であれば、インク保存性などの問題が生じることもない。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないので好ましい。
特に下記一般式(1)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2014055268
上記式中、m、nは0以上の整数であり、水溶性を付与するため、mは0〜10が好ましく、nは0〜40が好ましい。
前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、その塩又はその硫酸エステル塩などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤の具体例としては、下記一般式(2)〜(7)で表わされる化合物が好適に用いられる。
(1)アニオン系フッ素系界面活性剤
Figure 2014055268
上記式中、Rfは、下記構造式で表わされるフッ素含有疎水基の混合物を表わす。Aは、−SOX、−COOX、又は−POX〔但し、Xは対アニオンであり、具体的には、H、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、又はNH(CHCHOH)が挙げられる〕を表わす。
Figure 2014055268
Figure 2014055268
上記式中、Rf′は下記構造式で表わされるフッ素含有基を表わす。Xは、前記一般式(2)のXと同じ意味を表わす。nは1又は2の整数、mは2−nを表わす。
Figure 2014055268
上記式中、nは3〜10の整数を表わす。
Figure 2014055268
上記式中、Rf′は、前記一般式(3)のRf′と、Xは、前記一般式(2)のXと同じ意味を表わす。
Figure 2014055268
上記式中、Rf′は、前記一般式(3)のRf′と、Xは、前記一般式(2)のXと同じ意味を表わす。
(2)ノニオン系フッ素系界面活性剤
Figure 2014055268
上記式中、Rfは、前記一般式(2)のRfと同じ意味を表わす。nは5〜20の整数を表わす。
Figure 2014055268
上記式中、Rf′は、前記一般式(3)のRf′と同じ意味を表わす。nは1〜40の整数を表わす。
前記フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。
該市販品としては、例えば、サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145(いずれも、旭硝子社製);フルラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129、FC−135、FC−170C、FC−430、FC−431(いずれも、住友スリーエム社製);メガファックF−470、F−1405、F−474(いずれも、大日本インキ化学工業社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN−100、FSN、FSO−100、FSO、FS−300、UR(いずれも、DuPont社製);FT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW(いずれも、株式会社ネオス社製)、ポリフォックスPF−151N(オムノバ社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS−300、ネオス製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW及びオムノバ社製のポリフォックスPF−151Nが特に好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学株式会社などから容易に入手できる。
前記ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記一般式(8)で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
Figure 2014055268
上記式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR′はアルキル基、アルキレン基を表わす。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF−618、KF−642、KF−643(信越化学工業社)、EMALEX−SS−5602、SS−1906EX(日本エマルジョン社)、FZ−2105、FZ−2118、FZ−2154、FZ−2161、FZ−2162、FZ−2163、FZ−2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン社)、BYK−33、BYK−387(ビックケミー社)などが挙げられる。
前記アニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩、などが挙げられる。
前記ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、などが挙げられる。
上記界面活性剤のインク中の含有量は、0.01〜3質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。含有量が0.01質量%以上であれば界面活性剤の添加効果が十分得られるし、3質量%以下であれば、記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなったり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することもない。
<浸透剤>
本発明のインクは、浸透剤として、炭素数8〜11のポリオール化合物又はグリコールエーテル化合物を少なくとも1種を含有することが好ましい。中でも、25℃の水中において0.2〜5.0質量%の溶解度を有するものが好ましく、特に、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール[溶解度:4.2%(25℃)]、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール[溶解度:2.0%(25℃)]が好ましい。
その他のポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
その他の併用できる浸透剤としては、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等のグリコールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類、などが挙げられる。
浸透剤のインク中の含有量は、0.1〜4.0質量%が好ましい。含有量が0.1質量%以上であれば、速乾性が得られず滲んだ画像となるようなことはなく、4.0質量%以下であれば、着色剤の分散安定性が損なわれたり、ノズルが目詰まりし易くなったり、また記録用メディアへの浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生したりすることもない。
<水分散性樹脂>
前記水分散性樹脂としては、造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えたものが、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。その例としては縮合系合成樹脂、付加系合成樹脂、天然高分子化合物などが挙げられる。
前記縮合系合成樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリ(メタ)アクリル樹脂、アクリル−シリコーン樹脂、フッ素系樹脂などが挙げられる。
前記付加系合成樹脂としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルエステル系樹脂、ポリアクリル酸系樹脂、不飽和カルボン酸系樹脂などが挙げられる。
前記天然高分子化合物としては、例えば、セルロース類、ロジン類、天然ゴムなどが挙げられる。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
また、前記水分散性樹脂を2種類以上併用することは全く問題ない。
本発明のインクには、上記した材料の他に、pH調整剤、防腐防黴剤、防錆剤、キレート試薬などの従来公知の添加剤を加えることができる。
pH調整剤は、インクをアルカリ性に保つことにより分散状態を安定化し、吐出を安定化する目的で添加する。しかし、pH11以上ではインクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きく、ヘッドやユニットの材質によっては、長期間使用した際に、インクの変質や、漏洩、吐出不良等の問題が発生しやすい。顔料の場合には、顔料を分散剤とともに水に混練分散する際にpH調整剤を加える方が、混練分散後、湿潤剤、浸透剤等の添加剤とともに加えるよりも望ましい。これは、pH調整剤によっては添加により分散を破壊する場合もあるためである。
pH調整剤としては、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩を一種類以上含むものが好ましい。
アルコールアミン類としては、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アンモニウム水酸化物としては、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物等が、ホスホニウム水酸化物としては、第4級ホスホニウム水酸化物が、アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
防腐防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム等が挙げられる。
防錆剤としては、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
キレート試薬としては、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明のインクは、着色剤、湿潤剤、界面活性剤、及び水、更に必要に応じて浸透剤、及びその他の成分を水性媒体中に分散又は溶解し、更に必要に応じて攪拌混合して製造する。分散は、例えば、サンドミル、ホモジナイザー、ボールミル、ペイントシャイカー、超音波分散機等により行うことができ、攪拌混合は通常の攪拌羽を用いた攪拌機、マグネチックスターラー、高速の分散機等で行うことができる。
本発明のインクの物性としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、粘度、表面張力等が以下の範囲であることが好ましい。
インクの25℃での粘度は5〜15mPa・sが好ましい。粘度を5mPa・s以上とすることにより、印字濃度や文字品位を向上させる効果が得られる。また15mPa・s以下に抑えることにより、吐出性を確保することができる。
ここで、粘度は、例えば、粘度計(RL−500、東機産業社製)を使用して、25℃で測定することができる。
インクの表面張力としては、25℃で35mN/m以下が好ましく、32mN/m以下がより好ましい。表面張力が、35mN/m以下であれば、記録用メディア上のインクのレベリングが起こるようなことはなく、乾燥時間の長時間化を招くこともない。
本発明のインクの色には特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックなどが挙げられる。これらの色を2種以上併用したインクセットを使用して記録を行うと、多色画像を形成することができ、全色併用したインクセットを使用して記録を行うと、フルカラー画像を形成することができる。
本発明のインクは、インク流路内のインクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用い、インク流路の壁面を形成する振動板を変形させ、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させるいわゆるピエゾ型のもの(特開平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いてインク流路内でインクを加熱して気泡を発生させるいわゆるサーマル型のもの(特開昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、振動板と電極との間に発生させる静電力によって振動板を変形させることにより、インク流路内容積を変化させてインク滴を吐出させる静電型のもの(特開平6−71882号公報参照)などのいずれのインクジェットヘッドを搭載するプリンタにも良好に使用できる。
本発明のインクは、インクジェットインク、万年筆、ボールペン、マジックペン、サインペンなどの各種分野において好適に使用することができるが、特に、インクジェット記録方式による画像形成装置(プリンタ等)において好適に使用することができる。例えば印字又は印字前後に記録用紙及びインクを50〜200℃で加熱し、印字定着を促進する機能を有するプリンタ等に使用することもできるし、本発明のインクジェット記録方法、インクジェット記録装置、及び記録物に好適に使用することができる。
本発明のインクは容器中に収容してインクカートリッジとして使用してもよい。該インクカートリッジは、インクジェット記録方式によるプリンタ等に好適に使用される。
本発明のインクを適用できる記録用メディアとしては、塗工層を持たない普通紙が好適であり、一般的にコピー用紙として用いているサイズ度10S以上、透気度5〜50Sの普通紙が好ましい。
(インクジェット記録方法、インクジェット記録装置)
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインクに刺激(エネルギー)を印加し、該インクを飛翔させて記録用メディアに画像を形成するインク飛翔工程を有する。画像濃度、裏抜け、にじみ等の画像品質向上のため、前記メディアにインクを付着させる前後の少なくとも一方において、前処理液又は後処理液を塗布する工程を設けても良い。
−インク飛翔工程及びインク飛翔手段−
インク飛翔工程は、インクに刺激(エネルギー)を印加して飛翔させ、記録用メディアに記録を行う工程である。
インク飛翔手段は、インクに刺激(エネルギー)を印加して飛翔させ、記録用メディアに記録を行う手段である。該インク飛翔手段としては特に制限はなく、例えばインク吐出用の各種のノズル、などが挙げられる。
本発明においては、インクジェットヘッドの液室部、流体抵抗部、振動板、及びノズル部材の少なくとも一部がシリコン及びニッケルの少なくとも一方を含む材料から形成されることが好ましい。また、インクジェットノズルの直径は、30μm以下が好ましく、1〜20μmがより好ましい。
前記刺激(エネルギー)は、例えば刺激発生手段により発生させることができ、該刺激としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、熱(温度)、圧力、振動及び光などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、熱、圧力が好適である。
なお、前記刺激発生手段としては、例えば、加熱装置、加圧装置、圧電素子、振動発生装置、超音波発振器、ライト、などが挙げられ、具体的には、例えば、圧電素子等の圧電アクチュエータ、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータ等、などが挙げられる。
インクの飛翔の態様には特に制限はなく、前記刺激の種類等に応じて異なるが、例えば、刺激が「熱」の場合、記録ヘッド内のインクに対し、記録信号に対応した熱エネルギーを、例えばサーマルヘッド等を用いて付与し、該熱エネルギーによりインクに気泡を発生させ、該気泡の圧力により、該記録ヘッドのノズル孔からインクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。また、刺激が「圧力」の場合、例えば記録ヘッド内のインク流路内にある圧力室と呼ばれる位置に接着された圧電素子に電圧を印加することにより圧電素子が撓み、圧力室の容積が縮小して、前記記録ヘッドのノズル孔からインクを液滴として吐出噴射させる方法、などが挙げられる。
飛翔させるインクの液滴の大きさは、例えば、3×10−15〜40×10−15(3〜40pL)が好ましく、その吐出噴射の速さは、5〜20m/sが好ましく、その駆動周波数は、1kHz以上が好ましく、その解像度は300dpi以上が好ましい。
なお、前記各手段は制御手段により制御するが、該制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明のインクジェット記録方法を実施するためのインクジェット記録装置について、シリアル型インクジェット記録装置の一例の図面を参照しながら説明する。
図1に示すインクジェット記録装置は、装置本体101と、装置本体101に用紙を装填するための給紙トレイ102と、装置本体101に装填され画像が形成(記録)された用紙をストックするための排紙トレイ103と、インクカートリッジ装填部104とを有する。インクカートリッジ装填部104の上面には、操作キーや表示器などの操作部105が配置されている。インクカートリッジ装填部104は、インクカートリッジ201の脱着を行うための開閉可能な前カバー115を有している。
装置本体101内には、図2及び図3に示すように、左右の側板(不図示)に横架したガイド部材であるガイドロッド131とステー132とでキャリッジ133を主走査方向に摺動自在に保持し、主走査モータ(不図示)によって図3で矢示方向に移動走査する。
キャリッジ133には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する4個のインクジェット記録用ヘッドからなる記録ヘッド134を複数のインク吐出口を主走査方向と交叉する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。
記録ヘッド134を構成するインクジェット記録用ヘッドとしては、圧電素子などの圧電アクチュエータ、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いて液体の膜沸騰による相変化を利用するサーマルアクチュエータ、温度変化による金属相変化を用いる形状記憶合金アクチュエータ、静電力を用いる静電アクチュエータなどインクを吐出するためのエネルギー発生手段として備えたものなどを使用できる。
また、キャリッジ133には、記録ヘッド134に各色のインクを供給するための各色のサブタンク135を搭載している。サブタンク135には、インク供給チューブ(不図示)を介して、インクカートリッジ装填部104に装填されたインクカートリッジ201から本発明のインクが供給されて補充される。
一方、給紙トレイ102の用紙積載部(圧板)141上に積載した用紙142を給紙するための給紙部として、用紙積載部141から用紙142を1枚ずつ分離給送する半月コロ(給紙コロ143)、及び給紙コロ143に対向し、摩擦係数の大きな材質からなる分離パッド144を備え、この分離パッド144は給紙コロ143側に付勢されている。
この給紙部から給紙された用紙142を記録ヘッド134の下方側で搬送するための搬送部として、用紙142を静電吸着して搬送するための搬送ベルト151と、給紙部からガイド145を介して送られる用紙142を搬送ベルト151との間で挟んで搬送するためのカウンタローラ152と、略鉛直上方に送られる用紙142を略90°方向転換させて搬送ベルト151上に倣わせるための搬送ガイド153と、押さえ部材154で搬送ベルト151側に付勢された先端加圧コロ155とが備えられる。また、搬送ベルト151表面を帯電させるための帯電手段である帯電ローラ156が備えられている。
搬送ベルト151は無端状ベルトであり、搬送ローラ157とテンションローラ158との間に張架されて、ベルト搬送方向に周回可能である。この搬送ベルト151は、例えば抵抗制御を行っていない厚み40μm程度の樹脂材、例えばテトラフルオロエチレンとエチレンの共重合体(ETFE)で形成した用紙吸着面となる表層と、この表層と同材質でカーボンによる抵抗制御を行った裏層(中抵抗層、アース層)とを有している。搬送ベルト151の裏側には、記録ヘッド134による印写領域に対応してガイド部材161が配置されている。なお、記録ヘッド134で記録された用紙142を排紙するための排紙部として、搬送ベルト151から用紙142を分離するための分離爪171と、排紙ローラ172及び排紙コロ173とが備えられており、排紙ローラ172の下方に排紙トレイ103が配されている。
装置本体101の背面部には、両面給紙ユニット181が着脱自在に装着されている。両面給紙ユニット181は、搬送ベルト151の逆方向回転で戻される用紙142を取り込んで反転させて再度カウンタローラ152と搬送ベルト151との間に給紙する。なお、両面給紙ユニット181の上面には手差し給紙部182が設けられている。
このインクジェット記録装置においては、給紙部から用紙142が1枚ずつ分離給紙され、略鉛直上方に給紙された用紙142は、ガイド145で案内され、搬送ベルト151とカウンタローラ152との間に挟まれて搬送される。更に先端を搬送ガイド153で案内されて先端加圧コロ155で搬送ベルト151に押し付けられ、略90°搬送方向を転換される。
このとき、帯電ローラ156によって搬送ベルト157が帯電されており、用紙142は、搬送ベルト151に静電吸着されて搬送される。そこで、キャリッジ133を移動させながら画像信号に応じて記録ヘッド134を駆動することにより、停止している用紙142にインク滴を吐出して1行分を記録し、用紙142を所定量搬送後、次行の記録を行う。記録終了信号又は用紙142の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了して、用紙142を排紙トレイ103に排紙する。
そして、サブタンク135内のインクの残量ニヤエンドが検知されると、インクカートリッジ201から所要量のインクがサブタンク135に補給される。
このインクジェット記録装置では、インクカートリッジ201中のインクを使い切ったときには、インクカートリッジ201における筐体を分解して内部のインク袋241だけを交換することができる。また、インクカートリッジ201は、縦置きで前面装填構成としても、安定したインクの供給を行うことができる。したがって、装置本体101の上方が塞がって設置されているような場合、例えば、ラック内に収納する場合、あるいは装置本体101の上面に物が置かれているような場合でも、インクカートリッジ201の交換を容易に行うことができる。
なお、キャリッジが走査するシリアル型(シャトル型)インクジェット記録装置に適用した例で説明したが、ライン型ヘッドを備えたライン型インクジェット記録装置にも同様に適用することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、インクジェット記録方式による各種記録に適用することができ、例えば、インクジェット記録用プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、などに特に好適に適用することができる。
(記録物)
本発明の記録物は、記録用メディア上に、本発明のインクを用いて記録された画像を有する。
記録用メディアとしては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、普通紙、光沢紙、汎用印刷紙などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明の記録物は、高画質で滲みがなく、経時安定性に優れ、各種の印字乃至画像の記録された資料等として各種用途に好適に使用することができる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、配合量の「部」は全て「質量部」である。
以下に示すようにして、各顔料分散液を調製した。
調製例1(表面処理した自己分散性カーボンブラック顔料分散液)
CTAB比表面積が150m/g、DBP吸油量100mL/100gのカーボンブラック90gを、2.5N規定の硫酸ナトリウム溶液3000mLに添加し、温度60℃、速度300rpmで攪拌し、10時間反応させて酸化処理を行った。この反応液を濾過し、濾別したカーボンブラックを水酸化ナトリウム水溶液で中和し、限外濾過を行った。得られたカーボンブラックを水洗して乾燥させ、20質量%となるように純水中に分散させた。
調製例2(表面処理した自己分散性イエロー顔料分散液)
イエロー顔料のC.I.ピグメントイエロー128を低温プラズマ処理しカルボン酸基を導入した顔料を作製した。これをイオン交換水に分散したものを限外濾過膜で脱塩濃縮し、顔料濃度15質量%のイエロー顔料分散液とした。
調製例3(表面処理した自己分散性マゼンタ顔料の調製)
調製例2のイエロー顔料を、マゼンタ顔料のC.I.ピグメントレッド122に変えた点以外は、調製例2と同様にして、顔料濃度15質量%のマゼンタ顔料分散液を得た。
調製例4(表面処理した自己分散性シアン顔料の調製)
調製例2のイエロー顔料を、シアン顔料のC.I.ピグメントシアン15:3に変えた点以外は、調製例2と同様にして、顔料濃度15質量%のシアン顔料分散液を得た。
合成例1(ポリマー分散液の調製)
機械式攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、還流管及び滴下ロートを備えた1Lフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、スチレン11.2g、アクリル酸2.8g、ラウリルメタクリレート12.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート4.0g、スチレンマクロマー(東亜合成社製、商品名:AS−6)4.0g及びメルカプトエタノール0.4gを仕込み、65℃に昇温した。次にスチレン100.8g、アクリル酸25.2g、ラウリルメタクリレート108.0g、ポリエチレングリコールメタクリレート36.0g、ヒドロキシエチルメタクリレート60.0g、スチレンマクロマー(東亜合成社製、商品名:AS−6)36.0g、メルカプトエタノール3.6g、アゾビスジメチルバレロニトリル2.4g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を2.5時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下終了後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8g及びメチルエチルケトン18gの混合溶液を0.5時間かけてフラスコ内に滴下した。65℃で1時間熟成した後、アゾビスジメチルバレロニトリル0.8gを添加し、更に1時間熟成した。
反応終了後、フラスコ内に、メチルエチルケトン364gを添加し、濃度が50質量%のポリマー溶液800gを得た。
調製例5(フタロシアニン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製)
合成例1で作成したポリマー溶液28gとフタロシアニン顔料26g、1mol/Lの水酸化カリウム溶液13.6g、メチルエチルケトン20g、イオン交換水30gを十分に攪拌した後、三本ローロミルを用いて混練した。得られたペーストをイオン交換水200gに投入し、十分に攪拌した後、エバポレーターを用いてメチルエチルケトン及び水を留去し、シアン色のポリマー微粒子分散体を得た。
調製例6(ジメチルキナクリドン顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製)
調製例5のフタロシアニン顔料をピグメントレッド122に変えた点以外は、調製例5と同様にしてマゼンタ色のポリマー微粒子分散体を得た。
調製例7(モノアゾ黄色顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製)
調製例5のフタロシアニン顔料をピグメントイエロー74に変えた点以外は、調製例5と同様にして黄色のポリマー微粒子分散体を得た。
調製例8(カーボンブラック顔料含有ポリマー微粒子分散体の調製)
調製例5のフタロシアニン顔料をカーボンブラックに変えた点以外は、調製例5と同様にして黒色のポリマー微粒子分散体を得た。
実施例1〜20、比較例1〜8
表1〜表4の実施例及び比較例の各欄に示す処方の材料を混合して組成物を作製した。次いで、水酸化リチウム10質量%水溶液で、pHが9になるように調整し、平均孔径が0.8μmのメンブレンフィルターで濾過してインクを得た。
なお、各材料欄の数値は質量%である。
Figure 2014055268
Figure 2014055268
Figure 2014055268
Figure 2014055268
上記表中の略号などの意味は下記のとおりである。
・アクリル−シリコーン樹脂エマルジョン:昭和高分子社製、ポリゾールROY6312、固形分40質量%、平均粒子径171nm、最低造膜温度(MFT)=20℃
・ポリウレタンエマルジョン:DIC社製、ハイドランAPX−101H、固形分45質量%、平均粒子径160nm、最低造膜温度(MFT)=20℃
・ゾニールFS−300:ポリオキシエチレンパーフロロアルキルエーテル(Dupont社製、有効成分40質量%)
・ソフタノールEP−7025:ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(日本触媒社製、成分100質量%)
・NIKKOL ECTD−3NEX:ポリオキシエチレン(3)トリデシルエーテル酢酸ナトリウム(日光ケミカル社製、成分98質量%以上)
・Proxel GXL:1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オンを主成分とした防カビ剤(アビシア社製、成分20質量%、ジプロピレングリコール含有)
・KM−72F:自己乳化型シリコーン消泡剤(信越シリコーン社製、成分100質量%)
上記実施例及び比較例の各インクについて特性を測定し評価した。評価結果をまとめて表5、表6に示す。
粘度は、粘度計(RL−500、東機産業社製)を使用して、25℃で測定した。
温湿度23℃、50%RHに調整された環境下、インクジェットプリンタ(IPSIO GXe5500、リコー社製)を用い、インクの吐出量が均しくなるようにピエゾ素子の駆動電圧を変動させ、記録用メディアに同じ付着量のインクが付くように設定した。
<画像濃度>
Microsoft Word2000で作成した64point文字「塗りつぶし四角」の記載のあるチャートを記録用メディアに打ち出し、印字面の「塗りつぶし四角」部をX−Rite938で測色し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙−標準はやい」モード、カラーマッチングoffとした。
〔「塗りつぶし四角」部の色指定〕
ブラック:(R)0、(G)0、(B)0
イエロー:(R)255、(G)255、(B)0
マゼンタ:(R)255、(G)0、(B)255
シアン :(R)0、(G)0、(B)255

〔評価基準〕
◎:ブラック:1.25以上、
イエロー:0.80以上、
マゼンタ:1.00以上、
シアン :1.05以上
○:ブラック:1.15以上、1.25未満、
イエロー:0.75以上、0.80未満、
マゼンタ:0.95以上、1.00未満、
シアン :0.95以上、1.05未満
△:ブラック:1.10以上、1.15未満、
イエロー:0.70以上、0.75未満、
マゼンタ:0.90以上、0.95未満、
シアン :0.90以上、0.95未満
×:ブラック:1.10未満、
イエロー:0.70未満、
マゼンタ:0.90未満、
シアン :0.90未満
<オフセット>
画像濃度と同様にチャートを記録用メディアに打ち出し、印字面の40mmの長さの「塗りつぶし四角」部に、印字後5秒以内に、直径40mmのポリエチレン製の円筒状のローラを加重5Nの強さで押し当てながら転がし、円筒状のローラから記録用メディアにインクが再転写した部分をX−Rite938で測色し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙−標準きれい」モード、カラーマッチングoffとした。

〔評価基準〕
○:0.1未満
△:0.1以上、0.15未満、
×:0.15以上
<定着性>
Microsoft Word2000で作成した3cm×3cmの「塗りつぶし四角」ベタ画像があるチャートを記録用メディアに打ち出し、温度23±1℃、相対湿度50±10%で24時間乾燥させ、印字面の「塗りつぶし四角」部をCM−1型クロックメータに両面テープで取り付けたJIS L 0803 綿3号を印字部位に当てるように5往復させた後、綿布へのインク付着汚れをX−Rite938で測定し、綿布の地肌色を差し引いて、汚れ部の濃度を下記評価基準により判定した。
〔「塗りつぶし四角」部の色指定〕
ブラック:(R)0、(G)0、(B)0
イエロー:(R)255、(G)255、(B)0
マゼンタ:(R)255、(G)0、(B)255
シアン :(R)0、(G)0、(B)255

〔評価基準〕
○:0.05未満
△:0.05以上、0.15未満
×:0.15以上
<カール>
Microsoft Word2000で作成した印刷範囲ぎりぎりに設定した「四角ベタ」チャートを記録用メディアに打ち出し、印字後5秒以内に印字面を裏にして平らな面においたときの記録用メディアの4隅の平らな面からの高さを測定し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙―標準はやい」モード、カラーマッチングoffとした。
〔「塗りつぶし四角」部の色指定〕
ブラック:(R)0、(G)0、(B)0
イエロー:(R)255、(G)255、(B)0
マゼンタ:(R)255、(G)0、(B)255
シアン :(R)0、(G)0、(B)255

〔評価基準〕
○:35mm未満
△:35mm以上、50mm未満
×:50mm以上、又は丸まったもの
<コックリング>
Microsoft Word2000で作成した印刷範囲ぎりぎりに設定した「四角ベタ」チャートを記録用メディアに打ち出し、下記評価基準により判定した。印字モードはプリンタ添付のドライバで「普通紙―標準きれい」モード、カラーマッチングoffとした。

〔評価基準〕
◎:印刷物のカールや波打ちが全くみられない。
○:印刷物に若干波打ちがみられるが、カールはほとんどみられない。
△:印刷物全体に波打たような皺が現れ、端部にカールがみられる。
×:印刷物がカールして丸まってしまう。
<吐出安定性>
温湿度23℃、50%RH、温湿度10℃、15%RHに調整された環境下の2条件で評価を行った。
Microsoft Word2000で作成した一色当りA4サイズ用紙の面積5%をベタ画像で塗りつぶすチャートを連続200枚、MyPaper(NBSリコー社製)に打ち出し、打ち出し後の各ノズルの吐出乱れから評価した。印字モードはプリンタ添付のドライバで、普通紙のユーザー設定より「普通紙−標準速い」モードを「色補正なし」と改変したモードを使用した。

〔評価基準〕
○:吐出乱れなし。
△:若干吐出乱れあり。
×:吐出しないところがある。
Figure 2014055268
Figure 2014055268
101 装置本体
102 給紙トレイ
103 排紙トレイ
104 インクカートリッジ装填部
111 上カバー
112 前面
115 前カバー
131 ガイドロッド
132 ステー
133 キャリッジ
134 記録ヘッド
135 サブタンク
141 用紙積載部
142 用紙
144 分離パッド
151 搬送ベルト
152 再度カウンタローラ
156 帯電ローラ
157 搬送ローラ
158 テンションローラ
171 分離爪
172 排紙ローラ
173 排紙コロ
181 両面給紙ユニット
201 インクカートリッジ
241 インク袋
242 インク注入口
243 インク排出口
244 カートリッジケース
特開平04−332775号公報 特開平06−157955号公報 特開平06−240189号公報 特開平09−176538号公報 特開平10−130550号公報 特開2005−297549号公報 特開2006−321876号公報 特開2007−091905号公報

Claims (10)

  1. 少なくとも水、湿潤剤、界面活性剤及び着色剤を含有し、該湿潤剤として、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテルから選ばれた少なくとも1種を含有することを特徴とするインクジェット用インク。
  2. 前記湿潤剤の含有量が、インク全体の20〜60質量%であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用インク。
  3. 前記ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルを併せた含有量が、インク全体の10〜30質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテルを併せた含有量が、インク全体の5〜15質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  5. 前記湿潤剤として、温度23℃、相対湿度80%における平衡水分量が30質量%以上である多価アルコールを1種以上含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  6. 前記多価アルコールが、グリセリン及び1,3−ブタンジオールであることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット用インク。
  7. 前記着色剤として、自己分散性顔料を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェット用インク。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔工程を少なくとも含むことを特徴とするインクジェット記録方法。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インクに刺激を印加し飛翔させて画像を記録するインク飛翔手段を少なくとも有することを特徴とするインクジェット記録装置。
  10. 記録用メディア上に、請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェット用インクを用いて作成された画像を有することを特徴とする記録物。
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