JP2014055231A - 加飾成形用樹脂組成物 - Google Patents
加飾成形用樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2014055231A JP2014055231A JP2012200619A JP2012200619A JP2014055231A JP 2014055231 A JP2014055231 A JP 2014055231A JP 2012200619 A JP2012200619 A JP 2012200619A JP 2012200619 A JP2012200619 A JP 2012200619A JP 2014055231 A JP2014055231 A JP 2014055231A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- resin
- weight
- bis
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Abstract
【解決手段】(A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)10〜99重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)1〜90重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)スチレン系樹脂(C成分)1〜30重量部、(D)繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が3〜8である扁平断面ガラス繊維(D成分)40〜220重量部、(E)リン系難燃剤(E成分)1〜50重量部、並びに(F)含フッ素滴下防止剤(F成分)0.01〜3重量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
粘度平均分子量が1×104未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
本発明でB成分として使用されるポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、下記一般式(1)で表されるニ価フェノールと下記一般式(3)で表されるカーボネート前駆体を反応させて得られるものであることが好ましい。
また、本発明の妨げにならない範囲で、上記二価フェノール(I)、ヒドロキシアリール末端ポリジオルガノシロキサン(II)以外の他のコモノマーを共重合体の全重量に対して10重量%以下の範囲で併用することもできる。
二価フェノール(I)のオリゴマーを生成するにあたり、本発明に用いられる二価フェノール(I)の全量を一度にオリゴマーにしてもよく、又は、その一部を後添加モノマーとして後段の界面重縮合反応に反応原料として添加してもよい。後添加モノマーとは、後段の重縮合反応を速やかに進行させるために加えるものであり、必要のない場合には敢えて加える必要はない。
炭酸エステル形成性化合物の使用割合は、反応の化学量論比(当量)を考慮して適宜調整すればよい。また、ホスゲン等のガス状の炭酸エステル形成性化合物を使用する場合、これを反応系に吹き込む方法が好適に採用できる。
得られた反応生成物(粗生成物)は公知の分離精製法等の各種の後処理を施して、所望の純度(精製度)のポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂として回収することができる。
本発明のC成分において使用されるスチレン系樹脂は良好な成形加工性と、適度な耐熱性および難燃性を有しているため、これら特性のバランスを保つために好ましい熱可塑性樹脂である。
かかるスチレン系樹脂は、芳香族ビニル化合物の重合体または共重合体、またこれと必要に応じてこれらと共重合可能な他のビニル単量体およびゴム質重合体より選ばれる1種以上を共重合して得られる重合体である。
これらの中でも、アクリロニトリル・スチレン共重合体樹脂(AS樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合体樹脂(ABS樹脂)が好ましい。また、スチレン系重合体を2種以上混合して使用することも可能である。
還元粘度(ηsp/C)={(t/t0)−1}/0.5
還元粘度が0.2dl/gより小さいと衝撃が低下し、1.0dl/gを越えると流動性が悪くなる場合がある。
またグラフトされたシアン化ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物の割合はジエン系ゴム成分に対して、グラフト率(重量%)で表して20〜200%が好ましく、より好ましくは20〜70%のものである。
本発明のD成分として使用されるガラス繊維は、扁平断面ガラス繊維である。本発明の扁平断面ガラス繊維としては、繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、好ましくは15〜40μm、より好ましくは20〜35μmで長径と短径の比(長径/短径)の平均値が3〜8、好ましくは4〜8、更に好ましくは4〜7であるガラス繊維である。長径と短径の比の平均値がこの範囲の扁平断面ガラス繊維を使用した場合、3未満の非円形断面繊維を使用した場合に比べ、異方性及び加飾成形時の外観が大きく改良され、難燃性を大きく向上させることができる。この難燃性の向上は成形品表面において、扁平断面ガラス繊維の長辺面が成形品表面と平行に配向することにより、燃焼時の樹脂炭化皮膜による酸素遮断効果に加え扁平断面ガラス繊維による酸素遮断効果が円形断面繊維に比べ、より有効に作用するためと考えられる。また扁平断面形状としては扁平の他、楕円状、まゆ状、および三つ葉状、あるいはこれに類する形状の非円形断面形状が含まれる。なかでも機械的強度、低異方性の改良の点から扁平形状が好ましい。また、扁平断面ガラス繊維の平均繊維長と平均繊維径の比(アスペクト比)が好ましくは2〜120、より好ましくは2.5〜70、更に好ましくは3〜50であり、繊維長と平均繊維径の比が2未満であると機械的強度の向上効果が小さく、繊維長と平均繊維径の比が120を超えると異方性が大きくなる他、成形品外観も悪化するようになる場合がある。かかる扁平断面ガラス繊維の平均繊維径とは、扁平断面形状を同一面積の真円形に換算したときの数平均繊維径をいう。また平均繊維長とは、本発明の樹脂組成物中における数平均繊維長をいう。尚、かかる数平均繊維長は、成形品の高温灰化、溶剤による溶解、並びに薬品による分解等の処理で採取される充填材の残さを光学顕微鏡観察した画像から画像解析装置により算出される値である。また、かかる値の算出に際しては繊維径を目安にそれ以下の長さのものはカウントしない方法による値である。
D成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、40〜220重量部であり、好ましくは60〜210重量部、より好ましくは80〜200重量部である。D成分が40重量部未満では、機械的強度及び難燃性が低下し、220重量部を超えると押出性が著しくが低下する。
本発明のリン系難燃剤としては、ホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため本発明の樹脂組成物の成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式(4)で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は、F成分として含フッ素滴下防止剤を含有する。かかる含フッ素滴下防止剤を上記難燃剤と併用することにより、より良好な難燃性を得ることができる。かかる含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることかできるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
本発明のG成分として使用されるケイ酸塩鉱物は、少なくとも金属酸化物成分とSiO2成分とからなる鉱物であり、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、および鎖状シリケートなどが好適である。G成分のケイ酸塩鉱物は結晶状態を取るものであり、また結晶の形状も繊維状や板状などの各種の形状を取ることができる。
G成分のケイ酸塩鉱物は複合酸化物、酸素酸塩(イオン格子からなる)、固溶体のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組み合わせ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組み合わせのいずれであってもよく、更に固溶体においても2種以上の金属酸化物の固溶体、および2種以上の酸素酸塩の固溶体のいずれであってもよい。
G成分のケイ酸塩鉱物は、天然物に対応する人工合成物を使用することもできる。人工合成物としては、従来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、および超高圧反応などを利用した各種の合成法、から得られたケイ酸塩鉱物が利用できる。
各金属酸化物成分(MO)におけるケイ酸塩鉱物の具体例としては以下のものが挙げられる。ここでカッコ内の表記はかかるケイ酸塩鉱物を主成分とする鉱物等の名称であり、例示された金属塩としてカッコ内の化合物が使用できることを意味する。
Na2Oをその成分に含むものとしては、Na2O・SiO2、およびその水化物、Na2O・2SiO2、2Na2O・SiO2、Na2O・4SiO2、Na2O・3SiO2・3H2O、Na2O・Al2O3・2SiO2、Na2O・Al2O3・4SiO2(ヒスイ輝石)、2Na2O・3CaO・5SiO2、3Na2O・2CaO・5SiO2、およびNa2O・Al2O3・6SiO2(曹長石)などが挙げられる。
Li2Oをその成分に含むものとしては、Li2O・SiO2、2Li2O・SiO2、Li2O・SiO2・H2O、3Li2O・2SiO2、Li2O・Al2O3・4SiO2(ペタライト)、Li2O・Al2O3・2SiO2(ユークリプタイト)、およびLi2O・Al2O3・4SiO2(スポジュメン)などが挙げられる。
BaOをその成分に含むものとしては、BaO・SiO2、2BaO・SiO2、BaO・Al2O3・2SiO2(セルシアン)、およびBaO・TiO2・3SiO2(ベントアイト)などが挙げられる。
またその他のCaOをその成分に含むケイ酸塩鉱物として高炉スラグやフェライトなどを挙げることができる。
ZnOをその成分に含むものとしては、ZnO・SiO2、2ZnO・SiO2(トロースタイト)、および4ZnO・2SiO2・H2O(異極鉱)などが挙げられる。
MnOをその成分に含むものとしては、MnO・SiO2、2MnO・SiO2、CaO・4MnO・5SiO2(ロードナイト)およびコーズライトなどが挙げられる。
FeOをその成分に含むものとしては、FeO・SiO2(フェロシライト)、2FeO・SiO2(鉄カンラン石)、3FeO・Al2O3・3SiO2(アルマンジン)、および2CaO・5FeO・8SiO2・H2O(テツアクチノセン石)などが挙げられる。
CoOをその成分に含むものとしては、CoO・SiO2および2CoO・SiO2などが挙げられる。
Fe2O3をその成分に含むものとしては、Fe2O3・SiO2などが挙げられる。
ZrO2をその成分に含むものとしては、ZrO2・SiO2(ジルコン)およびAZS耐火物などが挙げられる。
上記ケイ酸塩鉱物の中でも特に好適であるのは、マイカ、タルク、およびワラストナイトである。
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜15μm(より好ましくは0.2〜12μm、更に好ましくは0.3〜10μm、特に好ましくは0.5〜5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm3)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しく好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
ワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
珪酸塩鉱物(より好適には、マイカ、タルク、ワラストナイト)は、表面処理されていないことが好ましいが、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
G成分の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.1〜50重量部が好ましく、より好ましくは1〜45重量部、さらに好ましくは2〜40重量部である。G成分の含有量が0.1重量部未満では十分な難燃性が得られず、50重量部を超えた場合、耐衝撃性低下やシルバーなどの外観不良が生じる。
本発明の樹脂組成物には、成形加工時の分子量低下や色相を安定化させるための各種安定剤、離型剤、色材等を使用することができる。
本発明の樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などが挙げられる。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。これらの中でも特に、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、およびホスホン酸、トリオルガノホスフェート化合物、およびアシッドホスフェート化合物が好ましい。尚、アシッドホスフェート化合物における有機基は、一置換、二置換、およびこれらの混合物のいずれも含む。該化合物に対応する下記の例示化合物においても同様にいずれをも含むものとする。
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましい。殊にリン系安定剤が配合されることが好ましく、トリオルガノホスフェート化合物が配合されることがより好ましい。リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、それぞれA成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部である。
本発明の樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は良好な色相をも有することから、紫外線吸収剤の配合により屋外の使用においてもかかる色相を長期間維持することができる。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明の樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
本発明の樹脂組成物は、その成形時の生産性向上や成形品の寸法精度の向上を目的として、更に、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などの公知の離型剤を配合することもできる。本発明の樹脂組成物は、良好な流動性を有することから圧力伝播が良好で、歪の均一化された成形品が得られる。一方でその成形収縮率が低いことから離型抵抗が大きくなりやすく、その結果離型時における成形品の変形を招きやすい。上記特定の成分の配合は、かかる問題を樹脂組成物の特性を損なうことなく解決するものである。
上記の離型剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜4重量部、更に好ましくは0.02〜3重量部である。
本発明の樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、アルミ粉が好適である。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
上記の染顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、光拡散剤を配合して光拡散効果を付与することができる。かかる光拡散剤としては高分子微粒子、炭酸カルシウムの如き低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物等が例示される。かかる高分子微粒子は、既にポリカーボネート樹脂の光拡散剤として公知の微粒子である。より好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子などが例示される。光拡散剤の形状は球形、円盤形、柱形、および不定形などが例示される。かかる球形は、完全球である必要はなく変形しているものを含み、かかる柱形は立方体を含む。好ましい光拡散剤は球形であり、その粒径は均一であるほど好ましい。光拡散剤の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、好ましくは0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。尚、光拡散剤は2種以上を併用することができる。
本発明の樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
本発明の樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量はA成分とB成分との合計100重量部に対し、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物には、A成分、B成分、C成分以外の熱可塑性樹脂、ゴム質重合体、その他の流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
A成分、B成分、C成分以外の熱可塑性樹脂としては、芳香族ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)、ポリブチレンテレフタレート樹脂(PBT樹脂)、シクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(いわゆるPET−G樹脂)、ポリエチレンナフタレート樹脂、およびポリブチレンナフタレート樹脂など)、ポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA樹脂)、環状ポリオレフィン樹脂、ポリ乳酸樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、熱可塑性フッ素樹脂(例えばポリフッ化ビニリデン樹脂に代表される)、並びにポリオレフィン樹脂(ポリエチレン樹脂、エチレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂、ポリプロピレン樹脂、およびプロピレン−(α−オレフィン)共重合体樹脂など)が例示される。ゴム質重合体としては、各種のコア−シェル型グラフト共重合体および熱可塑性エラストマーが例示される。上記他の熱可塑性樹脂およびゴム質重合体は、A成分とB成分との合計100重量部に対し、30重量部以下、より好ましくは20重量部以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。
例えばA成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
他に、各成分をそれぞれ独立にベント式二軸押出機に代表される溶融混練機に供給する方法や、各成分の一部を予備混合した後、残りの成分と独立に溶融混練機に供給する方法なども挙げられる。各成分の一部を予備混合する方法としては例えば、A成分以外の成分を予め予備混合した後、A成分に混合または押出機に直接供給する方法が挙げられる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
本発明の加飾成形体は樹脂組成物を射出成形して製造することができる。かかる射出成形においては、フィルムインサート加飾成形を主に使用できるが、通常のフィルムインサート加飾成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、および超高速射出成形など他の成形技術と組み合わせることができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
真空吸引によって加飾フィルムを可動型又は固定型のキャビティ内面に密着させ、型締めをしたキャビティ内に、本発明の樹脂組成物を射出することにより、射出成形と同時に加飾された成形体をえることができる。
(i)難燃性
UL94規格に準拠し、厚み0.6mmにて最大燃焼秒数およびUL94ランクを評価した。なお、試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX50)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
(ii)曲げ弾性率
ISO 178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
(iii)曲げ強さ
ISO 178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
(II)加飾成形体の評価
(i)加飾成形体の外観の評価
図1に示す加飾成形体について、加飾された成形品の加飾フィルム表面の状態をビデオマイクロ((株)キーエンス製;VHX−900)にて100倍に拡大し確認し、ガラス繊維による飛び出し、盛り上がりが見られないものを○、外観不良が見られるものについては×と表記した。
(樹脂組成物の製造)
ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、スチレン系樹脂および表1および表2記載の各種添加剤を各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の10〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口から第二供給口まで270℃、第二供給口からダイス部分まで280℃とした。なお、扁平断面ガラス繊維は上記押出機のサイドフィーダーを使用し第二供給口から供給し、残りのポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂、スチレン系樹脂および添加剤は第一供給口から押出機に供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。
得られたペレットを80℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1および表2に示した。
乾燥後のペレットを用いて射出成形機((株)日本製鋼所製:J1300E・C5)を使用し、図1に示す加飾成形体を、シリンダー温度280℃、金型温度60℃の条件で成形した。スチレン系樹脂を含まない比較例に関しては流動性が著しく悪いため、シリンダー温度300℃にて成形した。加飾フィルムは、射出成形の前段階にてPC/ABS用の黒色光沢の転写フィルムをキャビティ内面に真空吸引により密着させて設置した。この成形体を用いて外観の評価を評価した。
(A成分)
PC:粘度平均分子量20900の直鎖状ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製;パンライトL−1225WS(商品名))
(B成分)
PC−PDMS−1:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度37)
PC−PDMS−2:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量8.4%、PDMS重合度37)
PC−PDMS−3:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度8)
PC−PDMS−4:ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(粘度平均分子量19,800、PDMS量4.2%、PDMS重合度150)
(C成分)
ST−1:アクリロニトリル−スチレンーブタジエン共重合体(日本エアイアンドエル(株)製;サンタックUT−61(商品名)、塊状重合)
ST−2:アクリロニトリル−スチレンーブタジエン共重合体(日本エアイアンドエル(株)製;クララスチックSXH−330(商品名)、乳化重合)
ST−3: アクリロニトリル−スチレン共重合体(日本エアイアンドエル(株)製;ライタックBS−207(商品名))
ST−4:メチルメタクリレート−スチレン−ブタジエン共重合体(電気化学工業(株)製;TH−11(商品名))
ST−5:スチレン/フェニルメタクリレート共重合体(三菱レイヨン(株)製;TP003(商品名))
(D成分)
HGF−1:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;CSG 3PA−830(商品名)、長径28μm、短径7μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
HGF−2:扁平断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;CSG 3PA−820(商品名)、長径28μm、短径7μm、カット長3mm、ウレタン系集束剤)
HGF−3:扁平断面チョップドガラス繊維(長径28μm、短径4μm、カット長3mm、エポキシ系集束剤)
GF:円形断面チョップドガラス繊維(日東紡績(株)製;3PE937(商品名)、直径13μm、カット長3mm、アミノシラン処理表面処理およびエポキシ系集束剤)
(E成分)
CR:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業(株)製;CR−741(商品名))
(F成分)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製;ポリフロンMPA FA500(商品名))
(G成分)
TC:タルク(林化成(株)製;UPN HST0.8(商品名))
MC:マイカ(キンセイマテック(株);KDM200(商品名))
WN:ワラストナイト(キンセイマテック(株);SH−1250(商品名))
(その他の成分)
EW:離型剤(理研ビタミン(株)製;EW400(商品名))
IRG:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(チバスペシャルティケミカルズ(株)製;Irganox1076(商品名))
2 加飾成形品縦長さ(170mm)
3 加飾成形品横長さ(260mm)
4 ホットランナーゲート位置
5 加飾成形品の高さ(4mm)
6 加飾フィルム
7 射出成形された樹脂
Claims (6)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)10〜99重量%および(B)ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂(B成分)1〜90重量%からなる樹脂成分100重量部に対し、(C)スチレン系樹脂(C成分)1〜30重量部、(D)繊維断面の長径の平均値が10〜50μm、長径と短径の比(長径/短径)の平均値が3〜8である扁平断面ガラス繊維(D成分)40〜220重量部、(E)リン系難燃剤(E成分)1〜50重量部、並びに(F)含フッ素滴下防止剤(F成分)0.01〜3重量部を含有することを特徴とする樹脂組成物。
- 樹脂成分100重量部に対し、(G)ケイ酸塩鉱物(G成分)0.1〜50重量部を含有することを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- UL94規格のV試験において0.6mmV−0を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 加飾成形用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなる加飾成形体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物からなるタブレット加飾筐体、携帯電話加飾筐体、またはノートブック加飾筐体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012200619A JP6017900B2 (ja) | 2012-09-12 | 2012-09-12 | 加飾成形用樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012200619A JP6017900B2 (ja) | 2012-09-12 | 2012-09-12 | 加飾成形用樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014055231A true JP2014055231A (ja) | 2014-03-27 |
JP6017900B2 JP6017900B2 (ja) | 2016-11-02 |
Family
ID=50612833
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012200619A Active JP6017900B2 (ja) | 2012-09-12 | 2012-09-12 | 加飾成形用樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6017900B2 (ja) |
Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014129489A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Idemitsu Kosan Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 |
WO2014148641A1 (ja) * | 2013-03-21 | 2014-09-25 | 帝人株式会社 | ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2015205800A (ja) * | 2014-04-22 | 2015-11-19 | 株式会社ノリタケカンパニーリミテド | 高熱膨張フィラー組成物およびその製造方法 |
WO2019054194A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品 |
WO2019054193A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品 |
JP2019157036A (ja) * | 2018-03-15 | 2019-09-19 | 住化ポリカーボネート株式会社 | 繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2021116335A (ja) * | 2020-01-23 | 2021-08-10 | テクノUmg株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
WO2023080441A1 (ko) * | 2021-11-04 | 2023-05-11 | 삼성전자 주식회사 | 복수의 레이어들을 포함하는 하우징 및 이를 포함하는 전자 장치 |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022190000A1 (en) * | 2021-03-12 | 2022-09-15 | Shpp Global Technologies B.V. | Polycarbonate copolymer compositions for rail interiors |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006052401A (ja) * | 2004-08-05 | 2006-02-23 | General Electric Co <Ge> | 難燃性の熱可塑性ポリカーボネート組成物、その用途及び製造方法 |
JP2009510220A (ja) * | 2005-09-28 | 2009-03-12 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 熱可塑性ポリカーボネート組成物、その製造方法、及びその使用方法 |
JP2011001514A (ja) * | 2009-06-22 | 2011-01-06 | Teijin Chem Ltd | ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品 |
-
2012
- 2012-09-12 JP JP2012200619A patent/JP6017900B2/ja active Active
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006052401A (ja) * | 2004-08-05 | 2006-02-23 | General Electric Co <Ge> | 難燃性の熱可塑性ポリカーボネート組成物、その用途及び製造方法 |
JP2009510220A (ja) * | 2005-09-28 | 2009-03-12 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | 熱可塑性ポリカーボネート組成物、その製造方法、及びその使用方法 |
JP2011001514A (ja) * | 2009-06-22 | 2011-01-06 | Teijin Chem Ltd | ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品 |
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014129489A (ja) * | 2012-12-28 | 2014-07-10 | Idemitsu Kosan Co Ltd | ポリカーボネート樹脂組成物及びその成形体 |
WO2014148641A1 (ja) * | 2013-03-21 | 2014-09-25 | 帝人株式会社 | ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 |
KR20150132087A (ko) * | 2013-03-21 | 2015-11-25 | 데이진 가부시키가이샤 | 유리 섬유 강화 폴리카보네이트 수지 조성물 |
US10196515B2 (en) | 2013-03-21 | 2019-02-05 | Teijin Limited | Glass-fiber-reinforced polycarbonate resin composition |
KR102141725B1 (ko) | 2013-03-21 | 2020-09-14 | 데이진 가부시키가이샤 | 유리 섬유 강화 폴리카보네이트 수지 조성물 |
JP2015205800A (ja) * | 2014-04-22 | 2015-11-19 | 株式会社ノリタケカンパニーリミテド | 高熱膨張フィラー組成物およびその製造方法 |
WO2019054193A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品 |
WO2019054194A1 (ja) * | 2017-09-13 | 2019-03-21 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート系樹脂組成物及びその成形品 |
JP2019157036A (ja) * | 2018-03-15 | 2019-09-19 | 住化ポリカーボネート株式会社 | 繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP7094734B2 (ja) | 2018-03-15 | 2022-07-04 | 住化ポリカーボネート株式会社 | 繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP2021116335A (ja) * | 2020-01-23 | 2021-08-10 | テクノUmg株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
JP7426247B2 (ja) | 2020-01-23 | 2024-02-01 | テクノUmg株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及び成形品 |
WO2023080441A1 (ko) * | 2021-11-04 | 2023-05-11 | 삼성전자 주식회사 | 복수의 레이어들을 포함하는 하우징 및 이를 포함하는 전자 장치 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP6017900B2 (ja) | 2016-11-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6195904B2 (ja) | ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6017900B2 (ja) | 加飾成形用樹脂組成物 | |
JP6180560B2 (ja) | ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP5021928B2 (ja) | ガラス繊維強化難燃性樹脂組成物からなる鏡筒 | |
JP6196072B2 (ja) | 加飾成形用樹脂組成物 | |
JP6181513B2 (ja) | 炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2010015091A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物からなる鏡筒 | |
JP2011001514A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品 | |
JP5541881B2 (ja) | ガラス強化樹脂組成物 | |
JP2010275346A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物 | |
JP2015059138A (ja) | 難燃性ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2011026439A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物 | |
JP6077328B2 (ja) | 超臨界流体微細発泡成形用難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2015137308A (ja) | 難燃性炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2020079341A (ja) | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6272644B2 (ja) | リサイクル材を含有するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂含有難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2017132822A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP2010275413A (ja) | ガラス強化樹脂組成物 | |
JP2011140545A (ja) | 繊維強化樹脂組成物およびこれを成形してなる樹脂成形体 | |
JP6174403B2 (ja) | ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2016125025A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5662220B2 (ja) | ガラス強化樹脂組成物 | |
JP6673638B2 (ja) | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6133645B2 (ja) | 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 | |
JP2022032076A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20150615 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160531 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160607 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20160830 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20160929 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6017900 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |