JP6133645B2 - 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 - Google Patents
高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP6133645B2 JP6133645B2 JP2013061861A JP2013061861A JP6133645B2 JP 6133645 B2 JP6133645 B2 JP 6133645B2 JP 2013061861 A JP2013061861 A JP 2013061861A JP 2013061861 A JP2013061861 A JP 2013061861A JP 6133645 B2 JP6133645 B2 JP 6133645B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- component
- weight
- bis
- parts
- resin composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
Description
(A成分:芳香族ポリカーボネート樹脂)
本発明でA成分として使用される芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものである。反応方法の一例として界面重合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法、および環状カーボネート化合物の開環重合法などを挙げることができる。
例えば、2価フェノール成分の一部又は全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン及び9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いたポリカーボネ−ト(単独重合体又は共重合体)は、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは、該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
(4)該ポリカーボネートを構成する2価フェノール成分100モル%中、ヒドロキシアリールで末端処理されたポリジオルガノシロキサンが0.1〜20モル%(より好適には1〜15モル%、さらに好適には2〜10モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート。
これらの特殊なポリカーボネートの製法及び特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報及び特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
カーボネート前駆体としてはカルボニルハライド、炭酸ジエステルまたはハロホルメートなどが使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは二価フェノールのジハロホルメートなどが挙げられる。
粘度平均分子量が1×104未満の芳香族ポリカーボネート樹脂では、良好な機械的特性が得られない。一方、粘度平均分子量が5×104を超える芳香族ポリカーボネート樹脂から得られる樹脂組成物は、射出成形時の流動性に劣る点で汎用性に劣る。
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mvを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2 c (但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10−4 Mv0.83
c=0.7
本発明のB成分として使用されるケイ酸塩鉱物は、少なくとも金属酸化物成分とSiO2成分とからなる鉱物であり、オルトシリケート、ジシリケート、環状シリケート、および鎖状シリケートなどが好適である。B成分のケイ酸塩鉱物は結晶状態を取るものであり、また結晶の形状も繊維状や板状などの各種の形状を取ることができる。
B成分のケイ酸塩鉱物は複合酸化物、酸素酸塩(イオン格子からなる)、固溶体のいずれの化合物でもよく、更に複合酸化物は単一酸化物の2種以上の組み合わせ、および単一酸化物と酸素酸塩との2種以上の組み合わせのいずれであってもよく、更に固溶体においても2種以上の金属酸化物の固溶体、および2種以上の酸素酸塩の固溶体のいずれであってもよい。
B成分のケイ酸塩鉱物は、天然物に対応する人工合成物を使用することもできる。人工合成物としては、従来公知の各種の方法、例えば固体反応、水熱反応、および超高圧反応などを利用した各種の合成法、から得られたケイ酸塩鉱物が利用できる。
K2Oをその成分に含むものとしては、K2O・SiO2、K2O・4SiO2・H2O、K2O・Al2O3・2SiO2(カルシライト)、K2O・Al2O3・4SiO2(白リュウ石)、およびK2O・Al2O3・6SiO2(正長石)、などが挙げられる。
Na2Oをその成分に含むものとしては、Na2O・SiO2、およびその水化物、Na2O・2SiO2、2Na2O・SiO2、Na2O・4SiO2、Na2O・3SiO2・3H2O、Na2O・Al2O3・2SiO2、Na2O・Al2O3・4SiO2(ヒスイ輝石)、2Na2O・3CaO・5SiO2、3Na2O・2CaO・5SiO2、およびNa2O・Al2O3・6SiO2(曹長石)などが挙げられる。
BaOをその成分に含むものとしては、BaO・SiO2、2BaO・SiO2、BaO・Al2O3・2SiO2(セルシアン)、およびBaO・TiO2・3SiO2(ベントアイト)などが挙げられる。
ZnOをその成分に含むものとしては、ZnO・SiO2、2ZnO・SiO2(トロースタイト)、および4ZnO・2SiO2・H2O(異極鉱)などが挙げられる。MnOをその成分に含むものとしては、MnO・SiO2、2MnO・SiO2、CaO・4MnO・5SiO2(ロードナイト)およびコーズライトなどが挙げられる。
FeOをその成分に含むものとしては、FeO・SiO2(フェロシライト)、2FeO・SiO2(鉄カンラン石)、3FeO・Al2O3・3SiO2(アルマンジン)、および2CaO・5FeO・8SiO2・H2O(テツアクチノセン石)などが挙げられる。
MgOをその成分に含むものとしては、MgO・SiO2(ステアタイト、エンスタタイト)、2MgO・SiO2(フォルステライト)、3MgO・Al2O3・3SiO2(バイロープ)、2MgO・2Al2O3・5SiO2(コーディエライト)、2MgO・3SiO2・5H2O、3MgO・4SiO2・H2O(タルク)、5MgO・8SiO2・9H2O(アタパルジャイト)、4MgO・6SiO2・7H2O(セピオライト)、3MgO・2SiO2・2H2O(クリソライト)、5MgO・2CaO・8SiO2・H2O(透セン石)、5MgO・Al2O3・3SiO2・4H2O(緑泥石)、K2O・6MgO・Al2O3・6SiO2・2H2O(フロゴバイト)、Na2O・3MgO・3Al2O3・8SiO2・H2O(ランセン石)、並びにマグネシウム電気石、直セン石、カミントンセン石、バーミキュライト、スメクタイトなどが挙げられる。
ZrO2をその成分に含むものとしては、ZrO2・SiO2(ジルコン)およびAZS耐火物などが挙げられる。
Al2O3をその成分に含むものとしては、Al2O3・SiO2(シリマナイト、アンダリューサイト、カイアナイト)、2Al2O3・SiO2、Al2O3・3SiO2、3Al2O3・2SiO2(ムライト)、Al2O3・2SiO2・2H2O(カオリナイト)、Al2O3・4SiO2・H2O(パイロフィライト)、Al2O3・4SiO2・H2O(ベントナイト)、K2O・3Na2O・4Al2O3・8SiO2(カスミ石)、K2O・3Al2O3・6SiO2・2H2O(マスコバイト、セリサイト)、K2O・6MgO・Al2O3・6SiO2・2H2O(フロゴバイト)、並びに各種のゼオライト、フッ素金雲母、および黒雲母などを挙げることができる。
上記ケイ酸塩鉱物の中でも特に好適であるのは、マイカ、タルク、およびワラストナイトである。
本発明におけるタルクとは、化学組成的には含水珪酸マグネシウムであり、一般的には化学式4SiO2・3MgO・2H2Oで表され、通常層状構造を持った鱗片状の粒子であり、また組成的にはSiO2を56〜65重量%、MgOを28〜35重量%、H2O約5重量%程度から構成されている。その他の少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2重量%、Al2O3が0.05〜1.5重量%、CaOが0.05〜1.2重量%、K2Oが0.2重量%以下、Na2Oが0.2重量%以下などを含有している。タルクの粒子径は、沈降法により測定される平均粒径が0.1〜15μm(より好ましくは0.2〜12μm、更に好ましくは0.3〜10μm、特に好ましくは0.5〜5μm)の範囲であることが好ましい。更にかさ密度を0.5(g/cm3)以上としたタルクを原料として使用することが特に好適である。タルクの平均粒径は、液相沈降法の1つであるX線透過法で測定されたD50(粒子径分布のメジアン径)をいう。かかる測定を行う装置の具体例としてはマイクロメリティックス社製Sedigraph5100などを挙げることができる。
さらにタルクは、その取り扱い性等の点で凝集状態であるものが好ましく、かかる製法としては脱気圧縮による方法、集束剤を使用し圧縮する方法等がある。特に脱気圧縮による方法が簡便かつ不要の集束剤樹脂成分を本発明の樹脂組成物中に混入させない点で好ましい。
マイカは、マイクロトラックレーザー回折法により測定した平均粒径が10〜100μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは平均粒径が20〜50μmのものである。マイカの平均粒径が10μm未満では剛性に対する改良効果が十分でなく、100μmを越えても剛性の剛性の向上が十分でなく、衝撃特性等の機械的強度の低下も著しく好ましくない。マイカは、電子顕微鏡の観察により実測した厚みが0.01〜1μmのものを好ましく使用できる。より好ましくは厚みが0.03〜0.3μmである。アスペクト比としては好ましくは5〜200、より好ましくは10〜100のものを使用できる。また使用するマイカはマスコバイトマイカが好ましく、そのモース硬度は約3である。マスコバイトマイカはフロゴバイトなど他のマイカに比較してより高剛性および高強度を達成でき、本発明の課題をより良好なレベルにおいて解決する。また、マイカの粉砕法としては乾式粉砕法および湿式粉砕法のいずれで製造されたものであってもよい。乾式粉砕法の方が低コストで一般的であるが、一方湿式粉砕法は、マイカをより薄く細かく粉砕するのに有効であり、その結果樹脂組成物の剛性向上効果はより高くなる。
ワラストナイトの繊維径は0.1〜10μmが好ましく、0.1〜5μmがより好ましく、0.1〜3μmが更に好ましい。またそのアスペクト比(平均繊維長/平均繊維径)は3以上が好ましい。アスペクト比の上限としては30以下が挙げられる。ここで繊維径は電子顕微鏡で強化フィラーを観察し、個々の繊維径を求め、その測定値から数平均繊維径を算出する。電子顕微鏡を使用するのは、対象とするレベルの大きさを正確に測定することが光学顕微鏡では困難なためである。繊維径は、電子顕微鏡の観察で得られる画像に対して、繊維径を測定する対象のフィラーをランダムに抽出し、中央部の近いところで繊維径を測定し、得られた測定値より数平均繊維径を算出する。観察の倍率は約1000倍とし、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。一方平均繊維長の測定は、フィラーを光学顕微鏡で観察し、個々の長さを求め、その測定値から数平均繊維長を算出する。光学顕微鏡の観察は、フィラー同士があまり重なり合わないように分散されたサンプルを準備することから始まる。観察は対物レンズ20倍の条件で行い、その観察像を画素数が約25万であるCCDカメラに画像データとして取り込む。得られた画像データを画像解析装置を使用して、画像データの2点間の最大距離を求めるプログラムを使用して、繊維長を算出する。かかる条件の下では1画素当りの大きさが1.25μmの長さに相当し、測定本数は500本以上(600本以下が作業上好適である)で行う。
珪酸塩鉱物(より好適には、マイカ、タルク、ワラストナイト)は、表面処理されていないことが好ましいが、シランカップリング剤、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの各種表面処理剤で表面処理されていてもよい。さらに各種樹脂、高級脂肪酸エステル、およびワックスなどの集束剤で造粒し顆粒状とされていてもよい。
B成分の含有量は、A成分100重量部に対し、25〜80重量部、好ましくは30〜75重量部、より好ましくは35〜60重量部である。B成分の含有量が25重量部未満では、剛性が不十分となり、80重量部を超えると、耐衝撃性が低下し、フローマークにより外観が著しく悪化する。
C成分として使用される芳香族ビニル−(水添)共役ジエン型ブロック共重合体とは、一般的に樹脂組成物の耐衝撃性の向上を目的に使用されるものであり、例えば、A−B−A型トリブロック共重合体及びA−B型ジブロック共重合体である。
A−B型及びA−B−A型ブロック共重合体ゴム添加剤には、1又は2つの芳香族ビニルブロック(通例スチレンブロックである)とゴムブロック(例えばブタジエンブロックを部分的に水添したもの)とを含む熱可塑性ゴムがある。これらのトリブロック共重合体とジブロック共重合体の混合物が本発明において特に有用である。
なお、これらのビニル系単量体および架橋性単量体は、1種または2種以上で使用することができる。
好適な芳香族ビニル−(水添)共役ジエン型ブロック共重合体としては、芳香族ビニル化合物と(水添)共役ジエンとの重量比が5/95〜95/5、好ましくは10/90〜90/10の範囲にあり、さらに、ブロック共重合体の共役ジエンに基づく不飽和結合の50%以上が水素添加された水添ブロック共重合体から構成されている。ここで、ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物と共役ジエンとの重量比が5/95〜95/5の範囲からはずれると、本発明の耐衝撃性の向上効果を得ることができない。一方、水添率が上記の範囲を下回ると樹脂組成物の耐熱性や剛性が著しく低下する。
C成分の含有量は、A成分100重量部に対し、2.0〜9.0重量部、好ましくは2.2〜7.0重量部、より好ましくは2.5〜5.0重量部である。C成分の含有量が2.0重量部未満では、耐衝撃性が不十分となり、9.0重量部を超えると、剛性及び難燃性が著しく低下する。
本発明のD成分として使用される酸変性ポリオレフィン樹脂としては、カルボキシル基および/またはその誘導体基を有するオレフィン系ワックスが好ましく使用される。カルボキシル基誘導体としては、カルボン酸無水物基、カルボン酸の金属塩、カルボン酸のアルキルエステルまたはアリールエステル等が挙げられる。このカルボキシル基および/またはその誘導体基は、このオレフィン系ワックスのどの部分に結合してもよく、またその濃度は特に限定されないが、該オレフィン系ワックス1g当り0.1〜6meq/gの範囲が好ましい。0.1meq/gより少なくなると剛性および耐衝撃性の改良が不十分となり、6meq/gより多くなると該オレフィン系ワックス自身の熱安定性が悪化し好ましくない。
さらに、C成分の含有量をc1、D成分の含有量をd1とした時に、c1/d1が特定の範囲にある場合に特異的な耐衝撃性を発現する。c1/d1は、0.6〜3.0であることが好ましく、より好ましくは0.75〜2.5であり、さらに好ましくは0.75〜2.0である。c1/d1が0.6未満である場合や3.0を超える場合は耐衝撃性が著しく低下する場合がある。
本発明のリン系難燃剤としては、ホスフェート化合物またはホスファゼン化合物が好適であり、特にホスフェート化合物が好適である。かかるホスフェート化合物は概して色相に優れるためである。またホスフェート化合物は可塑化効果があるため本発明の樹脂組成物の成形加工性を高められる点で有利である。かかるホスフェート化合物は、従来難燃剤として公知の各種ホスフェート化合物が使用できるが、より好適には特に下記一般式(1)で表される1種または2種以上のホスフェート化合物を挙げることができる。
また、好適なリン系難燃剤としてホスファゼン化合物も挙げられる。ホスファゼン化合物としては下記式(2)で表される環状フェノキシホスファゼンであることが好ましい。
E成分の含有量は、A成分100重量部に対し、10〜30重量部であり、好ましくは12〜28重量部であり、15〜25重量部がより好ましい。E成分の含有量が10重量部未満であると難燃性が悪化し、30重量部を超えると樹脂の耐熱性、耐衝撃性が著しく低下する。
本発明の樹脂組成物は、F成分として含フッ素滴下防止剤を含有する。かかる含フッ素滴下防止剤を上記難燃剤と併用することにより、より良好な難燃性を得ることができる。かかる含フッ素滴下防止剤としては、フィブリル形成能を有する含フッ素ポリマーを挙げることができ、かかるポリマーとしてはポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン系共重合体(例えば、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、など)、米国特許第4379910号公報に示されるような部分フッ素化ポリマー、フッ素化ジフェノールから製造されるポリカーボネート樹脂などを挙げることかできるが、好ましくはポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと称することがある)である。
F成分の含有量は、A成分100重量部に対し、0.1〜2.0重量部であり、好ましくは0.2〜1.5重量部、より好ましくは0.3〜1.0重量部である。F成分の含有量が2.0重量部を超えると成形品外観が悪化し、0.1重量部未満であると有効なドリップ防止効果が得られない。
本発明の樹脂組成物には、成形加工時の分子量低下や色相を安定化させるための各種安定剤、離型剤、色材等を使用することができる。
本発明の樹脂組成物には公知の各種安定剤を配合することができる。安定剤としては、リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、紫外線吸収剤および光安定剤などが挙げられる。
リン系安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル、並びに第3級ホスフィンなどが例示される。これらの中でも特に、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、およびホスホン酸、トリオルガノホスフェート化合物、およびアシッドホスフェート化合物が好ましい。尚、アシッドホスフェート化合物における有機基は、一置換、二置換、およびこれらの混合物のいずれも含む。該化合物に対応する下記の例示化合物においても同様にいずれをも含むものとする。
また上記式(3)の中でもより好適なホスファイト化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびビス{2,4−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェニル}ペンタエリスリトールジホスファイトである。
ヒンダードフェノール化合物としては、通常樹脂に配合される各種の化合物が使用できる。かかるヒンダードフェノール化合物としては、例えば、α−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン、シナピルアルコール、ビタミンE、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(N,N−ジメチルアミノメチル)フェノール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2’−ジメチレン−ビス(6−α−メチル−ベンジル−p−クレゾール)、2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、1,6−へキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、3,9−ビス{2−[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1,−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、4,4’−ジ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−トリ−チオビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス−[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、N,N’−ヘキサメチレンビス−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナミド)、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアヌレート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセテート、3,9−ビス[2−{3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)アセチルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]メタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)ベンゼン、およびトリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)イソシアヌレートなどが例示される。
リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤はいずれかが配合されることが好ましい。殊にリン系安定剤が配合されることが好ましく、トリオルガノホスフェート化合物が配合されることがより好ましい。リン系安定剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の配合量は、それぞれA成分100重量部に対し、好ましくは0.005〜1重量部、より好ましくは0.01〜0.3重量部である。
本発明の樹脂組成物は紫外線吸収剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は良好な色相をも有することから、紫外線吸収剤の配合により屋外の使用においてもかかる色相を長期間維持することができる。
本発明の紫外線吸収剤としては、具体的にはベンゾフェノン系では、例えば、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−ベンジロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホキシトリハイドライドレイトベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−ソジウムスルホキシベンゾフェノン、ビス(5−ベンゾイル−4−ヒドロキシ−2−メトキシフェニル)メタン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンソフェノン、および2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノンなどが例示される。
また紫外線吸収剤としては、具体的にシアノアクリレート系では、例えば1,3−ビス−[(2’−シアノ−3’,3’−ジフェニルアクリロイル)オキシ]−2,2−ビス[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]メチル)プロパン、および1,3−ビス−[(2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリロイル)オキシ]ベンゼンなどが例示される。
紫外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.01〜2重量部、より好ましくは0.02〜2重量部、さらに好ましくは0.03〜1重量部、特に好ましくは0.05〜0.5重量部である。
本発明の樹脂組成物には、上記のリン系安定剤およびヒンダードフェノール系酸化防止剤以外の他の熱安定剤を配合することもできる。かかるその他の熱安定剤は、これらの安定剤および酸化防止剤のいずれかと併用されることが好ましく、特に両者と併用されることが好ましい。かかる他の熱安定剤としては、例えば3−ヒドロキシ−5,7−ジ−tert−ブチル−フラン−2−オンとo−キシレンとの反応生成物に代表されるラクトン系安定剤(かかる安定剤の詳細は特開平7−233160号公報に記載されている)が好適に例示される。かかる化合物はIrganox HP−136(商標、CIBA SPECIALTY CHEMICALS社製)として市販され、該化合物を利用できる。更に該化合物と各種のホスファイト化合物およびヒンダードフェノール化合物を混合した安定剤が市販されている。例えば上記社製のIrganox HP−2921が好適に例示される。本発明においてもかかる予め混合された安定剤を利用することもできる。ラクトン系安定剤の配合量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.0005〜0.05重量部、より好ましくは0.001〜0.03重量部である。
本発明の樹脂組成物は、その成形時の生産性向上や成形品の寸法精度の向上を目的として、更に、脂肪酸エステル、ポリオレフィン系ワックス、シリコーン化合物、フッ素化合物(ポリフルオロアルキルエーテルに代表されるフッ素オイルなど)、パラフィンワックス、蜜蝋などの公知の離型剤を配合することもできる。本発明の樹脂組成物は、良好な流動性を有することから圧力伝播が良好で、歪の均一化された成形品が得られる。一方でその成形収縮率が低いことから離型抵抗が大きくなりやすく、その結果離型時における成形品の変形を招きやすい。上記特定の成分の配合は、かかる問題を樹脂組成物の特性を損なうことなく解決するものである。
上記の離型剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.005〜5重量部、より好ましくは0.01〜4重量部、更に好ましくは0.02〜3重量部である。
本発明の樹脂組成物は更に各種の染顔料を含有し多様な意匠性を発現する成形品を提供できる。本発明で使用する染顔料としては、ペリレン系染料、クマリン系染料、チオインジゴ系染料、アンスラキノン系染料、チオキサントン系染料、紺青等のフェロシアン化物、ペリノン系染料、キノリン系染料、キナクリドン系染料、ジオキサジン系染料、イソインドリノン系染料、およびフタロシアニン系染料などを挙げることができる。更に本発明の樹脂組成物はメタリック顔料を配合してより良好なメタリック色彩を得ることもできる。メタリック顔料としては、アルミ粉が好適である。また、蛍光増白剤やそれ以外の発光をする蛍光染料を配合することにより、発光色を生かした更に良好な意匠効果を付与することができる。
上記の染顔料の含有量は、A成分100重量部に対し、0.00001〜1重量部が好ましく、0.00005〜0.5重量部がより好ましい。
本発明の樹脂組成物は熱線吸収能を有する化合物を含有することができる。かかる化合物としてはフタロシアニン系近赤外線吸収剤、ATO、ITO、酸化イリジウムおよび酸化ルテニウムなどの金属酸化物系近赤外線吸収剤、ホウ化ランタン、ホウ化セリウムおよびホウ化タングステンなどの金属ホウ化物系近赤外線吸収剤などの近赤外吸収能に優れた各種の金属化合物、ならびに炭素フィラーが好適に例示される。かかるフタロシアニン系近赤外線吸収剤としてはたとえば三井化学(株)製MIR−362が市販され容易に入手可能である。炭素フィラーとしてはカーボンブラック、グラファイト(天然、および人工のいずれも含む)およびフラーレンなどが例示され、好ましくはカーボンブラックおよびグラファイトである。これらは単体または2種以上を併用して使用することができる。フタロシアニン系近赤外線吸収剤の含有量は、A成分100重量部に対し、0.0005〜0.2重量部が好ましく、0.0008〜0.1重量部がより好ましく、0.001〜0.07重量部がさらに好ましい。金属酸化物系近赤外線吸収剤、金属ホウ化物系近赤外線吸収剤および炭素フィラーの含有量は、本発明の樹脂組成物中、0.1〜200ppm(重量割合)の範囲が好ましく、0.5〜100ppmの範囲がより好ましい。
本発明の樹脂組成物には、光拡散剤を配合して光拡散効果を付与することができる。かかる光拡散剤としては高分子微粒子、炭酸カルシウムの如き低屈折率の無機微粒子、およびこれらの複合物等が例示される。かかる高分子微粒子は、既にポリカーボネート樹脂の光拡散剤として公知の微粒子である。より好適には粒径数μmのアクリル架橋粒子およびポリオルガノシルセスキオキサンに代表されるシリコーン架橋粒子などが例示される。光拡散剤の形状は球形、円盤形、柱形、および不定形などが例示される。かかる球形は、完全球である必要はなく変形しているものを含み、かかる柱形は立方体を含む。好ましい光拡散剤は球形であり、その粒径は均一であるほど好ましい。光拡散剤の含有量は、A成分100重量部に対し、好ましくは0.005〜20重量部、より好ましくは0.01〜10重量部、更に好ましくは0.01〜3重量部である。尚、光拡散剤は2種以上を併用することができる。
本発明の樹脂組成物には、光高反射用白色顔料を配合して光反射効果を付与することができる。かかる白色顔料としては二酸化チタン(特にシリコーンなど有機表面処理剤により処理された二酸化チタン)顔料が特に好ましい。かかる光高反射用白色顔料の含有量は、A成分100重量部に対し、3〜30重量部が好ましく、8〜25重量部がより好ましい。尚、光高反射用白色顔料は2種以上を併用することができる。
本発明の樹脂組成物には、帯電防止性能が求められる場合があり、かかる場合帯電防止剤を含むことが好ましい。かかる帯電防止剤としては、例えば(1)ドデシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩に代表されるアリールスルホン酸ホスホニウム塩、およびアルキルスルホン酸ホスホニウム塩などの有機スルホン酸ホスホニウム塩、並びにテトラフルオロホウ酸ホスホニウム塩の如きホウ酸ホスホニウム塩が挙げられる。該ホスホニウム塩の含有量はA成分とB成分との合計100重量部に対し、5重量部以下が適切であり、好ましくは0.05〜5重量部、より好ましくは1〜3.5重量部、更に好ましくは1.5〜3重量部の範囲である。
本発明の樹脂組成物には、発明の効果を損なわない範囲において、A成分、C成分、D成分以外の熱可塑性樹脂、ゴム質重合体、その他の流動改質剤、抗菌剤、流動パラフィンの如き分散剤、光触媒系防汚剤およびフォトクロミック剤などを配合することができる。
無機充填材としては、ガラス繊維(チョップドストランド)、炭素繊維、金属被覆炭素繊維、金属繊維、ゾノトライト、チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー等の繊維状充填剤、ガラスフレーク、グラファイトフレーク等の板状充填剤、ガラス短繊維(ミルドファイバー)、異形断面ガラス繊維、天然黒鉛、天然膨張黒鉛、人造黒鉛、人造膨張黒鉛、炭素短繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、シリカ粒子、チタニア粒子、アルミナ粒子、カオリン、クレー、炭酸カルシウム、酸化チタン等の粒子状充填材を挙げることができる。上記他の無機充填材は、A成分100重量部に対し20重量部以下であることが好ましく、10重量部以下がより好ましい。
本発明の樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えばA成分、B成分、C成分、D成分、E成分、F成分および任意に他の添加剤を、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などの予備混合手段を用いて充分に混合した後、必要に応じて押出造粒器やブリケッティングマシーンなどによりかかる予備混合物の造粒を行い、その後ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練し、その後ペレタイザーによりペレット化する方法が挙げられる。
予備混合する方法としては例えば、A成分としてパウダーの形態を有するものを含む場合、かかるパウダーの一部と配合する添加剤とをブレンドしてパウダーで希釈した添加剤のマスターバッチを製造し、かかるマスターバッチを利用する方法が挙げられる。更にB成分、E成分及び任意の成分を独立に溶融押出機の途中から供給する方法なども挙げられる。尚、配合する成分に液状のものがある場合には、溶融押出機への供給にいわゆる液注装置、または液添装置を使用することができる。
溶融混練機としては二軸押出機の他にバンバリーミキサー、混練ロール、単軸押出機、3軸以上の多軸押出機などを挙げることができる。
本発明の樹脂組成物は射出成形して製造することができる。かかる射出成形においては、フィルムインサート加飾成形、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体を注入する方法を含む)、および超高速射出成形など他の成形技術を使用することができる。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
(i)難燃性
UL94規格に準拠し、厚み1.2mmにて最大燃焼秒数およびUL94ランクを評価した。なお、試験片は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製 NEX50)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
(ii)シャルピー衝撃強さ
ISO 179に従い、ノッチ無しのシャルピー衝撃強度の測定を実施した。シャルピー衝撃強度が100kJ/m2を超える場合はNBと表記した。
(iii)曲げ弾性率
ISO 178(測定条件23℃)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。(試験片寸法:長さ80mm×幅10mm×厚み4mm)
(iv)荷重たわみ温度
ISO 75−1,2(測定条件1.80MPa)に準拠して測定した。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
(i)成形品の外観の評価
図1に示すノートパソコンの筐体成形品を成形し、成形品を目視にて、下記基準で評価を行った。なお、成形品は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
○:外観が良好なもの
×1:フローマークの外観不良が見られるもの
×2:シルバーの外観不良が見られるもの
(ii)面衝撃強度
150mm×150mm×2mmtの角板を作成し、高速面衝撃試験機による破壊に要するエネルギー(破壊エネルギー)と破壊の状態についての測定を実施した。なお、破壊の状態は、下記基準で評価を行った。延性的な破壊が好ましい結果である。試験機は高速面衝撃試験機 ハイドロショットHTM−1(島津製作所(株)製)を使用し、試験条件は撃芯の衝突速度7m/秒、先端が半円状で半径6.35mmの撃芯及び受台穴径25.4mmとした。なお、試験片は、射出成形機(住友重機械工業(株)製 SG−150U)によりシリンダー温度260℃、金型温度40℃で成形した。
○:延性的な破壊
×:脆性的な破壊
(樹脂組成物の製造)
ポリカーボネート樹脂、ケイ酸塩鉱物、芳香族ビニル−(水添)共役ジエン型ブロック共重合体、酸変性ポリオレフィン樹脂、リン系難燃剤、含フッ素滴下防止剤および表1および表2記載の各種添加剤を各配合量で、ブレンダーにて混合した後、ベント式二軸押出機を用いて溶融混練してペレットを得た。使用する各種添加剤は、それぞれ配合量の5〜100倍の濃度を目安に予めポリカーボネート樹脂との予備混合物を作成した後、ブレンダーによる全体の混合を行った。ベント式二軸押出機は(株)日本製鋼所製:TEX−30α(完全かみ合い、同方向回転、2条ネジスクリュー)を使用した。押出条件は吐出量25kg/h、スクリュー回転数200rpm、ベントの真空度3kPaであり、また押出温度は第一供給口からダイス部分まで270℃とした。なお、ポリカーボネート樹脂、ケイ酸塩鉱物および添加剤は第一供給口から、リン系難燃剤は液添装置を用い単独で第一供給口と第二供給口の中間付近から押出機に供給した。本実施例では、ケイ酸塩鉱物は第一供給口から単独で供給した。ここでいう第一供給口とはダイスから最も離れた供給口であり、第二供給口とは押出機のダイスと第一供給口の間に位置する供給口である。
得られたペレットを80℃で5時間、熱風循環式乾燥機にて乾燥した後、射出成形機を用いて、評価用の試験片を成形した。各評価結果を表1および表2に示した。
(A成分)
PC:粘度平均分子量22,000の直鎖状ポリカーボネート樹脂パウダー(帝人化成(株)製;パンライトL−1225WP(商品名))
(B成分)
TC:タルク(林化成(株)製;UPN HST0.8(商品名))
MC:マイカ(キンセイマテック(株);KDM200(商品名))
WN:ワラストナイト(キンセイマテック(株);SH−1250(商品名))
(C成分)
ST−1:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEBS)[クラレ社製;セプトン8006(商品名)(スチレン含有量34重量%)]
ST−2:ポリスチレン−ポリ(エチレン−エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEEPS)[クラレ社製;セプトン4033(商品名)(スチレン含有量30重量%)]
ST−3:ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEPS)[クラレ社製;セプトン2005(商品名)(スチレン含有量20重量%)]
ST−4:ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック−ポリスチレン共重合体(SEBS)[Kraton Polymer社製;G1651EU(商品名)]
ST−5:ポリスチレン−ポリブタジエンブロック−ポリスチレン共重合体(SBS) [Kraton Polymer社製;D1101JU(商品名)]
ST−6:MBS[ローム・アンド・ハース・ジャパン社製;パラロイド EXL−2620(商品名))]
ST−7:ポリメチルメタクリレート−ポリブチルアクリレートブロック−ポリメチルメタクリレート共重合体[クラレ社製;クラリティーLA2140e(商品名)]
(D成分)
DC:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(三菱化学(株)製;ダイヤカルナ30M(商品名))
CE:α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合によるオレフィン系ワックス(クラリアント(株)製;Licolub CE 2 TP(商品名))
(E成分)
CR:ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(大八化学工業(株)製;CR−741(商品名))
(F成分)
PTFE:フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン(ダイキン工業(株)製;ポリフロンMPA FA500(商品名))
(その他の成分)
IRG−1:ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASF(株)製;Irganox1076(商品名))
IRG−2:ホスファイト系酸化防止剤(BASF(株)製 Irgafos168(商品名))
2 艶消し表面部
3 鏡面部
4 ゲート(ピンゲート0.8mmφ、5個所)
5 およそのウエルドライン
6 評価用サンプルの切り出し部
7 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応)
8 リブ付ボス(鏡面部裏側に対応)
Claims (5)
- (A)芳香族ポリカーボネート樹脂(A成分)100重量部に対し、(B)ケイ酸塩鉱物(B成分)28.7〜80重量部、(C) SEBS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック-ポリスチレン共重合体)、SEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン共重合体)、SEP(ポリスチレン-ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体)及びSEEPS(ポリスチレン-ポリ(エチレン-エチレン/プロピレン)ブロック-ポリスチレン共重合体)からなる群より選ばれる1種以上の芳香族ビニル−(水添)共役ジエン型ブロック共重合体(C成分)2.0〜9.0重量部、(D)酸変性ポリオレフィン樹脂(D成分)2.0〜7.0重量部、(E)リン系難燃剤(E成分)10〜30重量部、および(F)含フッ素滴下防止剤(F成分)0.1〜2.0重量部を含有し、かつC成分の含有量をc 1 、D成分の含有量をd 1 とした時に、下記式を満たすことを特徴とする樹脂組成物。
0.6≦c 1 /d 1 ≦3.0 - B成分が、タルク、マイカ、ワラストナイトからなる群から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- E成分が、下記式(1)で表される難燃剤であることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる成形体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる電子機器筐体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013061861A JP6133645B2 (ja) | 2013-03-25 | 2013-03-25 | 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013061861A JP6133645B2 (ja) | 2013-03-25 | 2013-03-25 | 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014185262A JP2014185262A (ja) | 2014-10-02 |
JP6133645B2 true JP6133645B2 (ja) | 2017-05-24 |
Family
ID=51833127
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013061861A Active JP6133645B2 (ja) | 2013-03-25 | 2013-03-25 | 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP6133645B2 (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6489944B2 (ja) * | 2015-06-04 | 2019-03-27 | キヤノン株式会社 | 樹脂組成物及びその製造方法 |
JP2020158663A (ja) * | 2019-03-27 | 2020-10-01 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
CN114127190A (zh) * | 2019-07-17 | 2022-03-01 | 三菱工程塑料株式会社 | 聚碳酸酯树脂组合物 |
Family Cites Families (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS5817153A (ja) * | 1981-07-24 | 1983-02-01 | Idemitsu Petrochem Co Ltd | ポリカ−ボネ−ト樹脂組成物 |
JP2951563B2 (ja) * | 1995-02-09 | 1999-09-20 | 出光石油化学株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物及びそれを用いた自動車用ドアハンドル |
JP2000057744A (ja) * | 1998-08-05 | 2000-02-25 | Teijin Chem Ltd | 円盤状回転部材 |
JP2001019756A (ja) * | 1999-07-09 | 2001-01-23 | Teijin Chem Ltd | 芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP4368977B2 (ja) * | 1999-07-28 | 2009-11-18 | 出光興産株式会社 | ポリカーボネート樹脂組成物 |
JP5010205B2 (ja) * | 2006-08-04 | 2012-08-29 | ダイセルポリマー株式会社 | ポリカーボネート系樹脂組成物及び薄肉成形品の耐屈曲性の改善方法 |
JP2011001514A (ja) * | 2009-06-22 | 2011-01-06 | Teijin Chem Ltd | ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品 |
JP2011140545A (ja) * | 2010-01-06 | 2011-07-21 | Teijin Chem Ltd | 繊維強化樹脂組成物およびこれを成形してなる樹脂成形体 |
JP5592126B2 (ja) * | 2010-03-10 | 2014-09-17 | 帝人株式会社 | 導電性樹脂組成物からなる成形品 |
-
2013
- 2013-03-25 JP JP2013061861A patent/JP6133645B2/ja active Active
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2014185262A (ja) | 2014-10-02 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6195904B2 (ja) | ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6180560B2 (ja) | ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP5021928B2 (ja) | ガラス繊維強化難燃性樹脂組成物からなる鏡筒 | |
JP5021918B2 (ja) | ガラス繊維強化難燃性樹脂組成物 | |
JP6017900B2 (ja) | 加飾成形用樹脂組成物 | |
JP6181513B2 (ja) | 炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5085862B2 (ja) | フラットパネルディスプレイ固定枠用樹脂組成物およびフラットパネルディスプレイ固定枠 | |
JP2010015091A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物からなる鏡筒 | |
JP2011001514A (ja) | ガラス繊維強化樹脂組成物を射出成形して得られる電気・電子機器部品 | |
JP6196072B2 (ja) | 加飾成形用樹脂組成物 | |
JP2015059138A (ja) | 難燃性ガラス繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6077328B2 (ja) | 超臨界流体微細発泡成形用難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP6622100B2 (ja) | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2017110045A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2015137308A (ja) | 難燃性炭素繊維強化ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2020079341A (ja) | 難燃性ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP2017132822A (ja) | 熱可塑性樹脂組成物 | |
JP4571391B2 (ja) | 難燃性芳香族ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP6272644B2 (ja) | リサイクル材を含有するポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂含有難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2010275413A (ja) | ガラス強化樹脂組成物 | |
JP6133645B2 (ja) | 高剛性・高耐衝撃性樹脂組成物 | |
JP2011140545A (ja) | 繊維強化樹脂組成物およびこれを成形してなる樹脂成形体 | |
JP6174403B2 (ja) | ポリカーボネート−ポリジオルガノシロキサン共重合樹脂を含有する難燃性樹脂組成物およびその成形品 | |
JP2016125025A (ja) | ポリカーボネート樹脂組成物 | |
JP5662220B2 (ja) | ガラス強化樹脂組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20151208 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20160913 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20160914 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20161027 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20170328 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20170420 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 6133645 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |