JP2014054317A - 投擲用消火装置およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】零下の寒冷環境下においても消火可能である。また、油火災に適用することができる投擲用消火装置を提供する。
【解決手段】5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液1と、投擲可能な容器10とを備え、混合液1は、容器10に封入されている。
【選択図】図1
【解決手段】5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液1と、投擲可能な容器10とを備え、混合液1は、容器10に封入されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、投擲用消火装置に関し、特に寒冷環境下においても消火可能な投擲用消火装置に関する。
従来の粉末消火器は、消火器を作動させるまでに正確な操作を要する。そのため、火災に直面し、心理的に不安定になった使用者が操作を誤り、初期消火において消火器を有効に活用できなかった例が多く報告されている。また、従来の粉末消火器は総質量が3kg程度以上であるため、子供等力の弱い使用者にとっては重く、取り扱いが困難である。
これに対し、特許第3081531号公報には、塩化アンモニウム、炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、第2リン酸アンモニウムおよびタングステン酸ナトリウムからなる薬剤水溶液を、合成樹脂製の容器に封入した手投げ用消火器が開示されている。
しかしながら、特許第3081531号公報の手投げ用消火液弾では、使用温度範囲が−10〜70℃と寒冷環境下での使用は困難である。これに限らず、従来の手投げ用消火器(消火液弾)は凝固点が低くなく、寒冷環境下では消火液材が凍結してしまうため使用は困難である。
また、特許第3081531号公報の手投げ用消火器は、冷却および窒息作用を有するものの、鹸化作用を有しないため、油火災(B火災)には適用が困難である。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、零下の寒冷環境下においても消火可能とすることができる投擲用消火装置を提供するである。また、油火災に適用することができる投擲用消火装置を提供することにある。
本発明の投擲用消火装置は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液と、投擲可能な容器とを備え、混合液は、容器に封入されている。
上記不凍剤は、グリセリンであってもよい。または上記不凍剤はエチレングリコールであってもよい。
上記混合液は、比重1.1〜1.3、pH7〜9、表面張力1.5×10−2〜3.3×10−2N/m、凝固点−35〜−10℃であるのが好ましい。
上記容器は、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破損可能としてもよい。
上記容器は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。
上記容器は、容積が500〜800mlとしてもよい。
上記容器を着脱自在に保持するスタンドを備え、スタンドはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。また、上記容器を覆うカバーが上記スタンドに着脱自在に備えられ、カバーはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。
上記容器を着脱自在に保持するスタンドを備え、スタンドはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。また、上記容器を覆うカバーが上記スタンドに着脱自在に備えられ、カバーはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。
本発明に係る投擲用消火装置は、不凍剤を含有することにより寒冷環境下においても消火することができる。また、水酸化カリウムが生成されることにより、水酸化カリウムによる鹸化反応を利用して、油火災にも適用することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において、同一または相当する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
図1において、本発明の一実施の形態の投擲用消火装置は、混合液(消火液剤)1と、投擲可能な容器10とを備える。このとき、混合液(消火液剤)1は当該容器10に封入されている。これを初期火災時に火元に投擲することにより、当該容器10は破裂して混合液(消火液剤)1が火元に拡散する。混合液(消火液剤)1は火災の熱で燃焼物や空気と化学反応を起こして、火災を鎮圧する。
本実施の形態に係る混合液(消火液剤)1は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)と、25〜35重量%の炭酸カリウム(K2CO3)と、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)と、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)と、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液である。ここで、各成分の重量%は、混合液全体の水以外の重量に対する比率である。以下、各成分について説明する。
炭酸カリウム(K2CO3)は、火災の熱を受けて、反応式(1)K2CO3+H2O→2KOH+CO2に従って反応し、水酸化カリウム(KOH)と二酸化炭素(CO2)を生じる。水酸化カリウム(KOH)は、アルカリ性を示し、油脂を鹸化する作用を有する。この結果、本実施の形態の投擲用消火装置は、食用油や潤滑油等が燃えるB級火災に対しても、優れた消火性能を発揮できる。また、二酸化炭素(CO2)は、火元を外部の酸素から遮断するため、効果的に鎮火することができる。さらに、これにより火元を無酸素状態とすることができ、燃焼物を急激に冷却し、再燃を防止することができる。
炭酸水素ナトリウム(NaHCO3)は、常温においては上記反応式(1)の反応を抑制し安定化作用に寄与している。一方、火災の熱を受けると分解されて、反応式(2)2NaHCO3→Na2CO3+H2O+CO2に従って反応し、二酸化炭素(CO2)を生じ、上述のように消火作用に寄与する。
リン酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)は、反応式(3)NH4H2PO4→H3PO4+NH3に従って反応し、アンモニアガス(NH3)を生じる。アンモニアガス(NH3)は、燃焼物の酸化を抑制するとともに、その気化熱により燃焼物を冷却することができる。
不凍剤は、−10℃以下の環境下においても混合液(消火液剤)1の凍結を抑制できる任意の材料とする。例えば、グリセリン、エチレングリコール、またはこれらの混合物とすれば、混合液(消火液剤)1の凝固点を−35〜−10℃とすることができる。これにより、−10℃以下の寒冷環境下においても、消火性能を奏することができる。また、不凍剤としてグリセリンやエチレングリコールを添加した場合には、金属に対して腐食を抑制することができ、かつ、人体に対する安全性を付与することができる。
フッ素系界面活性剤は、混合液(消火液剤)1の表面張力を表面張力1.5×10−2〜3.3×10−2N/mとするために添加される。これにより、紙屑や繊維等が燃焼物である火災に対しても、混合液(消火液剤)1は速やかに浸透して効果的に鎮火することができる。また、フッ素系界面活性剤は、油火災時に燃焼物上に泡を発生させることによって、火元を外部の酸素から遮断することができる。
ケイ酸ナトリウム(Na2SiO3)は、フッ素系界面活性剤により生じる上記泡の持続性を高めることができる。この結果、当該泡による窒息効果を増大させることができる。また、ケイ酸ナトリウムは、混合液(消火液剤)1のpH緩衝剤としても作用する。
水は、上述した各成分を溶解させる溶媒として混合液(消火液剤)1に含まれる。また、水は、蒸発する際に燃焼物の熱を奪って水蒸気となり、燃焼物とその周囲の空気とを遮断する。つまり、水は、燃焼物に対し冷却作用、および窒息作用を及ぼすことができる。
上述した混合液(消火液剤)1は、比重1.1〜1.3である。比重が1.1未満の場合には、消火に時間がかかり、再燃する可能性がある。一方、比重が1.3を超える場合には、上述した各成分は水に溶解されずに沈殿物を形成する傾向がある。
上述した混合液(消火液剤)1は、pH7〜9である。pHが7未満の場合には、酸性液となり金属に対して腐食性を示すおそれがある。一方、pHが9を超える場合には、強アルカリ性液となり人体や環境に対する腐食性が大きい。
上述した混合液(消火液剤)1は、表面張力1.5×10−2〜3.3×10−2N/mである。表面張力が1.5×10−2N/m未満の場合には、フッ素系界面活性剤の過剰使用となりコストが高くなる。一方、表面張力が3.3×10−2N/mを超える場合には、混合液(消火液剤)1の浸透力が低下するため、紙屑や繊維等が堆積したものが燃焼物である火災に対して効果的に消火することが困難となる。
上述した混合液(消火液剤)1の凝固点は、投擲用消火装置の使用する環境に応じて任意の値とすることができる。このとき、混合液(消火液剤)1に含まれる不凍剤の量を調整することによって、凝固点を調整することができるが、好ましくは、混合液(消火液剤)1の凝固点は−35〜−10℃である。混合液(消火液剤)1の凝固点を−35℃未満とする場合には、混合液(消火液剤)1における不凍剤の割合が増えるため、消火性能の低下を招くおそれがある。一方、混合液(消火液剤)1の凝固点が−10℃を超える場合には、寒冷地域での使用は困難となる。
次に、図1を参照して、本実施の形態に係る投擲用消火装置の容器10について説明する。上述した混合液(消火液剤)1は、投擲可能な容器10に封入されている。容器10は、投擲可能であって、投擲時に燃焼物等との衝突により破裂可能である。容器10は、混合液(消火液剤)1により腐食されない限りにおいて、任意の構成とすることができる。図1の例では、ポリ塩化ビニル製の円筒形の容器10を採用している。容器10の材料としては、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料、またはそれらの混合物としてもよい。また、容器10の形状は、たとえば、角筒形としてもよい。
容器10は開口部(図示しない)とキャップ20とを含み、キャップ20は容器10と接合されることによって開口部を封印することができる。キャップ20は容器10と任意の方法で接合される。例えば、キャップ20と容器10とを溶着することによって開口部を封印してもよい。また、キャップ20と容器10とをねじ止めして緊締することによって、容器10を封印してもよい。キャップ20の材料としては、混合液(消火液剤)1により腐食されないものとし、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料、またはそれらの混合物としてもよい。
なお、従来の投擲用消火器の容器10は、投擲時に破裂可能に設けられている一方で、耐久性が低い。そのため、従来の投擲用消火器には、運搬時や持ち運び時に容器10に加えられる程度の弱い衝撃によっても容易に破損してしまう問題がある。
本実施の形態に係る投擲用消火装置の容器10は、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破裂可能となるように設けられる。容器10が290kPa未満の外部からの圧力によっても破裂可能に設けられた場合には、容器10は運搬時に加えられる程度の衝撃によっても破損してしまう。一方、容器10が785kPaを超える外部からの圧力によって破裂可能に設けられた場合には、容器10は投擲時に燃焼物等との衝突により加えられる衝撃では適切に破裂することができない。そのため、混合液(消火液剤)1を衝突箇所の周囲に十分に飛散させることができず、消火能力が低下する。
容器10の容積は、例えば、500〜800mlとすればよい。容器10の容積が500ml未満の場合には、消火液剤の量が不足し、複数の投擲用消火装置を用いなければ鎮火できないおそれが生じる。800mlを超える場合には、重量が増して高齢者や子供等による使用が困難となるおそれが生じる。なお、容器10の容積に対し、混合液(消火液剤)1を満注入しない方が好ましい。容器10破裂時において混合液(消火液剤)1を効果的に飛散させることができる。
図2を参照して、本実施の形態に係る投擲用消火装置は、容器10を保持可能で、かつ容易に着脱可能なスタンド30を有している。図2(a)は容器10をスタンド30によって保持した時の正面図であり、図2(b)はそのときの側面図である。スタンド30は、壁面に設置可能としている。このようにすれば、投擲用消火装置は保管に便利であり、かつ火災発生時において投擲用消火装置を迅速に使用することができる。図2の例では、スタンド30は、容器10の底面を支持するとともに、容器10を側面から挟み込む構造を有しているが、これに限られるものではない。スタンド30の材料としては、容器10を保持可能な任意の材料とすることができ、たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料、またはそれらの混合物としてもよい。投擲晶消火装置を使用する際には、図4を参照して、例えば容器10を手前に(図中矢印方向)に引いてスタンド30から取り外し、火元に投擲すればよい。なお、本実施の形態において、スタンド30は壁面に設置可能であるが、これに限られるものではない。スタンド30は、例えば、壁面に限らず柱に設置可能としてもよい。
さらに本実施の形態に係る投擲用消火装置は、図3を参照して、スタンド30に対して容易に着脱可能なカバー40を有している。図3(a)は図2(a)に示す投擲用消火装置にカバー40を取り付けたときの正面図であり、図3(b)はそのときの側面図である。カバー40は、投擲用消火装置の保管時において接触等による容器10の破損を防止して、投擲用消火装置の保安性を高めることができる。カバー40の材料としては、所定の機械的強度を有する任意の材料とすればよい。たとえば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料、またはそれらの混合物としてもよい。また、図3の例のように、カバー40は容器10を確認可能な開口窓を有してもよいが、これに限られるものではない。投擲用消火装置が保管される環境下において、外部から加えられ得る衝撃から容器10を保護可能な限りにおいて、任意の構造を採用することができる。
なお、本実施の形態に係る混合液1、容器10、キャップ20、スタンド30、およびカバー40は、デザインや美観の観点から、それぞれ任意に着色してもよい。
以上のように、本実施の形態に係る投擲用消火装置は、化学反応により水酸化カリウムを生成されるため、油火災(B級火災)に対しても優れた消火性能を有することができる。また、混合液(消火液剤)1に不凍剤を含むため、凝固点を−35〜−10℃程度とすることができ、寒冷環境下においても使用可能である。また、混合液(消火液剤)のpHを7〜9とすることができるため、金属に対して腐食を抑制し、かつ、人体に対する安全性を付与することができる。さらに、本実施の形態に係る容器が、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破裂可能に設けられることにより、運搬時の破損を防止しながらも投擲時に破裂可能とすることができる。
次に、本発明の実施例について説明する。
(1)実施例1,2(普通火災)
a.混合液(消火液剤)の調整
実施例1に係る混合液(消火液剤)を以下の方法で作製した。容積2000Lのタンクに1200Lの水を入れて、(1)炭酸カリウムを180kg(30重量%)、(2)リン酸二水素アンモニウムを180kg(30重量%)、(3)炭酸水素ナトリウムを60kg(10重量%)、(4)グリセリンを105kg(17.5重量%)、(5)フッ素系界面活性剤を15kg(2.5重量%)、(6)ケイ酸ナトリウムを60kg(10重量%)を順に投入して、常温で撹拌させながら溶解した。投入順序が異なる場合には、異なる化学反応が進行して有効な混合液(消火液剤)を作製することができず、また、得られる混合液(消火液剤)は均一性を保つことができない。混合液(消火液剤)は、製品の安定性のために2時間撹拌した後、孔径1μmのフィルターに通過させて不純物を除去した。
a.混合液(消火液剤)の調整
実施例1に係る混合液(消火液剤)を以下の方法で作製した。容積2000Lのタンクに1200Lの水を入れて、(1)炭酸カリウムを180kg(30重量%)、(2)リン酸二水素アンモニウムを180kg(30重量%)、(3)炭酸水素ナトリウムを60kg(10重量%)、(4)グリセリンを105kg(17.5重量%)、(5)フッ素系界面活性剤を15kg(2.5重量%)、(6)ケイ酸ナトリウムを60kg(10重量%)を順に投入して、常温で撹拌させながら溶解した。投入順序が異なる場合には、異なる化学反応が進行して有効な混合液(消火液剤)を作製することができず、また、得られる混合液(消火液剤)は均一性を保つことができない。混合液(消火液剤)は、製品の安定性のために2時間撹拌した後、孔径1μmのフィルターに通過させて不純物を除去した。
実施例2に係る混合液(消火液剤)を実施例1と同様の方法で、各成分の含有率を変えて作製した。具体的には、(1)炭酸カリウムを210kg(35重量%)、(2)リン酸二水素アンモニウムを210kg(35重量%)、(3)炭酸水素ナトリウムを30kg(5重量%)、(4)グリセリンを90kg(15重量%)、(5)フッ素系界面活性剤を30kg(5重量%)、(6)ケイ酸ナトリウムを30kg(5重量%)として混合液(消火液剤)を作製した。
b.投擲用消火装置の製造
容器10は、ポリ塩化ビニルからなる、厚さ0.55〜0.80mm、底面の外形64mm、高さ214.6mmの円筒形とした。容器10の容積は610mlとし、該容器10に実施例1または実施例2の混合液(消火液剤)を600ml注入し、ポリ塩化ビニルからなるキャップにより封止して投擲用消火装置を作製した。本実施例の投擲用消火装置の使用温度範囲は、−35〜65℃である。
容器10は、ポリ塩化ビニルからなる、厚さ0.55〜0.80mm、底面の外形64mm、高さ214.6mmの円筒形とした。容器10の容積は610mlとし、該容器10に実施例1または実施例2の混合液(消火液剤)を600ml注入し、ポリ塩化ビニルからなるキャップにより封止して投擲用消火装置を作製した。本実施例の投擲用消火装置の使用温度範囲は、−35〜65℃である。
c.消火試験
実施例1および実施例2に係る投擲用消火装置について、消火試験1を行った。
実施例1および実施例2に係る投擲用消火装置について、消火試験1を行った。
消火試験1は、まず松材(35mm角、長さ750mm)を格子状に90個組んだものを準備した。これを燃焼架台上に設置し、ガソリン1500mlを投入して点火した。点火後3分経過した後消火を開始した。なお、本消火試験に使用した松材の水分含有量は15%以下であった。消火試験は、無風状態(風速が0.5m/s以下の状態)で行った。
実施例1の投擲用消火装置の消火試験1の結果を表1に示し、実施例2の投擲用消火装置の消火試験の結果を表2に示す。
実施例1および実施例2の投擲用消火装置は、普通火災に対しても効果的に消火可能であることが確認できた。
(2)実施例3,4(油火災)
a.混合液(消火液剤)の調整
実施例3に係る混合液は、上記実施例1と同様に調整する。また、実施例4に係る混合液は、上記実施例2と同様に調整する。
a.混合液(消火液剤)の調整
実施例3に係る混合液は、上記実施例1と同様に調整する。また、実施例4に係る混合液は、上記実施例2と同様に調整する。
b.投擲用消火装置の製造
実施例3および実施例4に係る容器は、実施例1および実施例2に係る容器と同様に製造する。
実施例3および実施例4に係る容器は、実施例1および実施例2に係る容器と同様に製造する。
c.消火試験
実施例3および実施例4に係る投擲用消火装置について、消火試験2を行う。
実施例3および実施例4に係る投擲用消火装置について、消火試験2を行う。
消火試験2は、気温25℃の環境下において、鉄製オイルパン(1m角、深さ35cm)にてんぷら油を1L入れて加熱発火させる。発火から1分間経過した後消火を開始する。
実施例3および実施例4の投擲用消火装置は、油火災に対しても効果的に消火可能である。
実施例1〜4を通じて、本発明の投擲用消火装置に関し、次の利点が確認できる。
(1)普通火災と油火災のいずれに対しても迅速に消火することができる。
(2)老若男女問わず容易に投擲し、消火することができる。
(3)燃焼物への酸素供給を遮断し、燃焼物を冷却することができる。
(4)一度消火した後に再燃しない。
(1)普通火災と油火災のいずれに対しても迅速に消火することができる。
(2)老若男女問わず容易に投擲し、消火することができる。
(3)燃焼物への酸素供給を遮断し、燃焼物を冷却することができる。
(4)一度消火した後に再燃しない。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行ったが、上述の実施の形態および実施例を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むことが意図される。
本発明の投擲用消火装置は、油火災時の初期消火に用いられる消火装置に特に有利に適用される。
1 混合液(消火液剤)、10 容器、20 キャップ、30 スタンド、40 カバー。
本発明の投擲用消火装置は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液と、投擲可能な容器と、容器を着脱自在に保持するスタンドとを備え、混合液は、容器に封入されている。また、上記容器は、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm 2 )が加えられることによって破損可能である。また、容器を覆うカバーがスタンドに着脱自在に備えられている。
上記容器は、容積が500〜800mlとしてもよい。
上記スタンドはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。また、上記カバーはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。
上記スタンドはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。また、上記カバーはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなってもよい。
本発明は、投擲用消火装置およびその製造方法に関し、特に寒冷環境下においても消火可能な投擲用消火装置およびその製造方法に関する。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものである。本発明の主たる目的は、零下の寒冷環境下においても消火可能とすることができる投擲用消火装置およびその製造方法を提供するである。また、油火災に適用することができる投擲用消火装置およびその製造方法を提供することにある。
本発明の投擲用消火装置は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液と、投擲可能な容器と、容器を着脱自在に保持するスタンドとを備え、混合液は、容器に封入されている。
上記混合液は、比重1.1〜1.3、pH7〜9、表面張力1.5×10 −2 〜3.3×10 −2 N/m、氷点−35〜−10℃である。また、上記容器は、底面と該底面に対して垂直な方向に伸びる側面とを有し、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破損可能である。上記スタンドは、容器の底面を支持するとともに、容器を側面から挟み込む一対の支持部材を有している。支持部材は間隔を空けて複数形成されている。支持部材は、容器を挟み込んだ状態のスタンドを側面視したときに容器の中心軸よりもスタンドの前方側に伸び、容器を挟み込んだ状態のスタンドを正面視したときに前方側において容器の側面と重なるように設けられている。また、容器を覆うカバーがスタンドに着脱自在に備えられている。
本発明の投擲用消火装置の製造方法は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液を作製する工程と、底面と前記底面に対して垂直な方向に伸びる側面とを有し、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm 2 )が加えられることによって破損可能であり、容積が500〜800mlである投擲可能な容器を準備する工程と、前記混合液を前記容器に注入する工程と、前記混合液が注入された前記容器を封止する工程とを備えている。上記混合液を作製する工程では、炭酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、グリセリン、フッ素系界面活性剤、ケイ酸ナトリウムを順に水に投入して常温で撹拌させながら溶解させて溶液を得た後、当該溶液をフィルターに通過させて不純物を除去することにより前記混合液を作製する。上記注入する工程では、混合液を容器に満注入しない。
上記混合液は、比重1.1〜1.3、pH7〜9、表面張力1.5×10 −2 〜3.3×10 −2 N/m、氷点−35〜−10℃である。また、上記容器は、底面と該底面に対して垂直な方向に伸びる側面とを有し、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破損可能である。上記スタンドは、容器の底面を支持するとともに、容器を側面から挟み込む一対の支持部材を有している。支持部材は間隔を空けて複数形成されている。支持部材は、容器を挟み込んだ状態のスタンドを側面視したときに容器の中心軸よりもスタンドの前方側に伸び、容器を挟み込んだ状態のスタンドを正面視したときに前方側において容器の側面と重なるように設けられている。また、容器を覆うカバーがスタンドに着脱自在に備えられている。
本発明の投擲用消火装置の製造方法は、5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液を作製する工程と、底面と前記底面に対して垂直な方向に伸びる側面とを有し、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm 2 )が加えられることによって破損可能であり、容積が500〜800mlである投擲可能な容器を準備する工程と、前記混合液を前記容器に注入する工程と、前記混合液が注入された前記容器を封止する工程とを備えている。上記混合液を作製する工程では、炭酸カリウム、リン酸二水素アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、グリセリン、フッ素系界面活性剤、ケイ酸ナトリウムを順に水に投入して常温で撹拌させながら溶解させて溶液を得た後、当該溶液をフィルターに通過させて不純物を除去することにより前記混合液を作製する。上記注入する工程では、混合液を容器に満注入しない。
本発明に係る投擲用消火装置は、不凍剤を含有することにより寒冷環境下においても消火することができる。また、水酸化カリウムが生成されることにより、水酸化カリウムによる鹸化反応を利用して、油火災にも適用することができる。本発明に係る投擲用消火装置の製造方法は、本発明に係る投擲用消火装置を製造することができる。
Claims (9)
- 5〜10重量%の炭酸水素ナトリウムと、25〜35重量%の炭酸カリウムと、25〜35重量%のリン酸二水素アンモニウムと、15〜20重量%の不凍剤と、5〜10重量%のケイ酸ナトリウムと、0.1〜5重量%のフッ素系界面活性剤と、水とを含む混合液と、
投擲可能な容器とを備え、
前記混合液は、前記容器に封入されている、投擲用消火装置。 - 前記不凍剤は、グリセリンである、請求項1に記載の投擲用消火装置。
- 前記不凍剤は、エチレングリコールである、請求項1に記載の投擲用消火装置。
- 前記混合液は、比重1.1〜1.3、pH7〜9、表面張力1.5×10−2〜3.3×10−2N/m、氷点−35〜−10℃である、請求項1〜3のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。
- 前記容器は、外部から圧力290〜785kPa(3〜8kg/cm2)が加えられることによって破損可能である、請求項1〜4のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。
- 前記容器は、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなる、請求項1〜5のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。
- 前記容器は、容積が500〜800mlである、請求項1〜6のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。
- 前記容器を着脱自在に保持するスタンドを備え、
前記スタンドはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。 - 前記容器を覆うカバーが前記スタンドに着脱自在に備えられ、
前記カバーはポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびポリプロピレンから選択される材料からなる、請求項1〜8のいずれか1つに記載の投擲用消火装置。
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