JP2014053500A - レーザ装置および光増幅方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成であり、かつ電力消費を抑制して所望の光出力を得ることができるレーザ装置および光増幅方法を提供すること。
【解決手段】シード光を出力するシード光源と、励起光を出力する励起光源と、レーザ媒質が添加されており、前記励起光が入力されるとともに前記シード光が入力され、前記シード光を光増幅して出力する増幅光ファイバと、前記シード光源および前記励起光源の出力のオン/オフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記励起光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記励起光源を制御し、かつ、前記励起光の出力をオン状態にしてから所定の遅延時間だけ遅延して前記シード光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記シード光源を制御するレーザ装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、レーザ装置および光増幅方法に関するものである。
シード光源とYDFA(Ytterbium-Doped Optical Fiber Amplifier:イッテルビウム添加光ファイバ増幅器)で構成されるMOPA(Master Oscillator and Power Amplifier)方式のパルスレーザ装置は、特許文献1〜4でも示されているとおり、主に微細加工(マーキング、ステルスダイシング、太陽電池の加工等)用のレーザ光源として近年普及しつつある。
MOPA方式のパルスレーザ装置において、光出力のオーバーシュート(光サージ)が発生し、所望の光出力が得られない場合があるという問題がある。特許文献4では、互いの波長が異なる2つの光源を備え、加工に使用する光を出力する方の光源がオフ状態の場合に他方の光源の光出力をオン状態にすることによって、上記光サージの発生を抑制している。
特開2010−245442号公報 特開2010−232650号公報 特開2010−234444号公報 特開2010−258272号公報
しかしながら、特許文献4に開示される技術では、2つの光源およびこれを合波するための光学部品が必要になるため、構成が複雑になるという問題がある。また、他方の光源からの光出力は加工に寄与しないため、加工に寄与しない余分な電力が消費されるという問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、簡易な構成であり、かつ電力消費を抑制して所望の光出力を得ることができるレーザ装置および光増幅方法を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係るレーザ装置は、シード光を出力するシード光源と、励起光を出力する励起光源と、レーザ媒質が添加されており、前記励起光が入力されるとともに前記シード光が入力され、前記シード光を光増幅して出力する増幅光ファイバと、前記シード光源および前記励起光源の出力のオン/オフを制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記励起光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記励起光源を制御し、かつ、前記励起光の出力をオン状態にしてから所定の遅延時間だけ遅延して前記シード光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記シード光源を制御することを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記遅延時間は、前記増幅光ファイバに添加されたレーザ媒質の反転分布状態が、前記シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態になっているときに、前記増幅光ファイバに前記シード光が入力するように設定されることを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記シード光は副光パルスからなる光パルス列を含むことを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記励起光のオン状態の時間幅は前記シード光のオン状態の時間幅よりも少なくとも前記遅延時間だけ長く設定されることを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記遅延時間は、前記増幅光ファイバからの出力光の強度、出力光のパルス繰り返し周期、出力光のパルス時間幅、または前記増幅光ファイバの温度に応じて設定されることを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記増幅光ファイバからの出力光をモニタするための光検出器をさらに備えることを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記制御部は、入力されたゲート信号に基づいて前記シード光源および前記励起光源の出力のオン/オフを制御することを特徴とする。
本発明に係るレーザ装置は、上記発明において、前記制御部は、前記遅延時間の期間においては、前記励起光の強度を所定の強度とし、前記遅延時間の経過後は前記励起光の強度を前記遅延時間における強度よりも低くする制御を行うことを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、レーザ媒質が添加された増幅光ファイバに、励起光を入力するとともにシード光を入力して、前記シード光を光増幅する光増幅方法であって、前記励起光の入力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にし、かつ、前記励起光の入力をオン状態にしてから所定の遅延時間だけ遅延して前記シード光の入力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にすることを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、上記発明において、前記遅延時間は、前記増幅光ファイバに添加されたレーザ媒質の反転分布状態が、前記シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態になっているときに、前記増幅光ファイバに前記シード光が入力するように設定されることを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、上記発明において、前記シード光は副光パルスからなる光パルス列を含むことを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、上記発明において、前記励起光のオン状態の時間幅は前記シード光のオン状態の時間幅よりも少なくとも前記遅延時間だけ長く設定されることを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、上記発明において、前記遅延時間は、前記増幅光ファイバからの出力光の強度、出力光のパルス繰り返し周期、出力光のパルス時間幅、または当該増幅光ファイバの温度に応じて設定されることを特徴とする。
本発明に係る光増幅方法は、上記発明において、前記遅延時間の期間においては、前記励起光の強度を所定の強度とし、前記遅延時間の経過後は前記励起光の強度を前記遅延時間における強度よりも低くすることを特徴とする。
本発明によれば、簡易な構成であり、かつ余分な電力消費を抑制して所望の光出力を得ることができるという効果を奏する。
図1は、実施の形態1に係るレーザ装置の模式図である。 図2は、図1に示すレーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形を示す図である。 図3は、実施の形態2に係るレーザ装置の模式図である。 図4は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の別の例を示す図である。 図5は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の従来例1を示す図である。 図6は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の従来例2を示す図である。
以下に、図面を参照して本発明に係るレーザ装置および光増幅方法の実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、各図面において、同一または対応する要素には適宜同一の符号を付している。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係るレーザ装置の模式図である。
レーザ装置100は、シード光源1と、光アイソレータ2と、励起光源である励起LD(Laser Diode)3と、光合波器4と、増幅光ファイバであるYDF5と、光アイソレータ6と、バンドパス光フィルタ7と、励起LD8a、8bと、光合波器9と、YDF10と、光コネクタ11と、シード光源ドライバ12と、励起LDドライバ13、14と、制御部15と、を備えている。制御部15にはPC(Personal Computer)16が接続されている。
シード光源1は、たとえば半導体LDであり、副光パルス(たとえば、図2に示す副光パルスSP)からなる光パルス列で構成されるシード光を出力する。シード光の波長は増幅光ファイバが光増幅することができる波長であり、本実施の形態のYDF5、10の場合はたとえば約1080nmである。光アイソレータ2は、シード光源1に接続し、シード光を通過させるともに、紙面右側から進行してきた光がシード光源1に入射することを防ぐ機能を有する。
励起LD3は、増幅光ファイバを光励起することができる波長のレーザ光を励起光として出力する。本実施の形態のYDF5の場合は、励起光の波長はたとえば約915nmである。光合波器4は、光アイソレータ2と励起LD3とに接続しており、シード光と励起光とを合波して出力する機能を有する。
YDF5は、レーザ媒質としてYbイオンが添加されたコアを有している。YDF5に励起光が入力されると、Ybイオンは光励起されて反転分布を形成する。Ybイオンが反転分布を形成した状態でシード光が入力されると、YDF5は当該シード光を光増幅して出力する。YDF5は、たとえばシングルモード光ファイバで構成されていても良いし、ダブルクラッド型光ファイバで構成されていても良い。光アイソレータ6は、YDF5に接続し、増幅されたシード光を通過させるとともに、紙面右側から進行してきた光がYDF5に入射することを防ぐ機能を有する。
バンドパス光フィルタ7は、シード光の波長を透過帯域として含むバンドパス光フィルタである。バンドパス光フィルタ7は、増幅されたシード光を通過させるとともに、YDF5で発生したASE(Amplified Spontaneous Emission)光の強度を大幅に減衰させる機能を有する。
励起LD8a、8bも、励起LD3と同様に増幅光ファイバを光励起することができる波長のレーザ光を励起光として出力する。本実施の形態のYDF10の場合は、励起光の波長はたとえば約915nmである。光合波器9は、バンドパス光フィルタ7と励起LD8a、8bとに接続しており、増幅されたシード光と励起光とを合波して出力する機能を有する。
YDF10は、レーザ媒質としてYbイオンが添加されたコアを有している。YDF10に励起光が入力されると、Ybイオンは光励起されて反転分布を形成する。Ybイオンが反転分布を形成した状態でシード光が入力されると、YDF10は当該シード光をさらに光増幅して出力する。YDF10は、たとえばシングルモード光ファイバで構成されていても良いし、ダブルクラッド型光ファイバで構成されていても良い。
光コネクタ11は、YDF10が光増幅したシード光を出力光として出力する。出力光は、たとえば微細加工用のレーザ光として使用される。
シード光源ドライバ12はシード光源1を駆動するためのドライバである。励起LDドライバ13、14は、それぞれ励起LD3、励起LD8a、8bを駆動するためのドライバである。
制御部15は、シード光源ドライバ12、励起LDドライバ13、14に接続しており、シード光源ドライバ12、励起LDドライバ13、14を介して、シード光源1および励起LD3、8a、8bのシード光または励起光の出力のオン/オフを制御する。また、制御部15は、制御部15の設定を変更するためのPC16に接続されており、かつゲート信号が入力される。
つぎに、レーザ装置100の動作の一例について説明する。まず、制御部15は、所定の繰り返し周期および時間幅でオン状態とオフ状態とを繰り返す矩形パルス状のゲート信号が入力されると、これに同期して、シード光源ドライバ12を介してシード光源1の出力をオン状態にし、所定時間を経過後にオフ状態にする制御を繰り返す。これとともに、制御部15は、ゲート信号に同期して、励起LDドライバ13、14を介して励起LD3、励起LD8a、8bの出力をオン状態にし、所定時間を経過後にオフ状態にする制御を繰り返す。YDF5、10ではYbイオンが励起光によって光励起されて反転分布を形成しており、入力されたシード光を光増幅する。これによって、レーザ装置100は、所定の繰り返し周期および時間幅を有する矩形パルス列状の出力光を光コネクタ11から出力する。
ここで、本実施の形態1におけるゲート信号のオン/オフの繰り返し周期および時間幅、およびシード光源1、励起LD3、および励起LD8a、8bのオン/オフの制御のタイミングについて、従来の場合と比較して説明する。
図5は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の従来例1を示す図である。シード光、励起光、出力光の縦軸はいずれも光強度(任意単位)を示している。図5の場合は、ゲート信号のオン/オフにかかわらず励起光の出力をオンの状態にする制御を行っている。一方、シード光についてはゲート信号のオン/オフに対応してオン/オフを繰り返す制御を行っている。この場合、ゲート信号がオフ状態からオン状態に切り替わったときにシード光が増幅光ファイバに入力されると、レーザ媒質であるYbイオンの反転分布の状態は、シード光を光増幅しているときの定常状態と異なり、レーザ上準位に存在する電子の密度が定常状態の場合よりも高くなっている。そのため、出力光においては、領域A1に示すように、光パルス列のうち先頭の副光パルスの強度が極端に大きくなってしまい、光パルス列を構成する各副光パルスの強度が一定に揃わないうえに、好ましくない光のオーバーシュートが発生する。また、出力光が無い場合にも励起光をオン状態にしているため、余分な電力を消費する。
一方、図6は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の従来例2を示す図である。図6の場合は、シード光および励起光の両方について、ゲート信号のオン/オフに対応してオン/オフを繰り返す制御を行っている。この場合、シード光が無い場合には励起光はほとんどオフ状態にしているため、余分な電力の消費はない。しかしながら、ゲート信号がオフ状態からオン状態に切り替わるタイミングで励起光とシード光とが略同時にオン状態となるため、シード光が増幅光ファイバに入力されたときに、Ybイオンの反転分布の状態が、シード光を光増幅しているときの定常状態と異なり、レーザ上準位に存在する電子の密度が定常状態の場合よりも低くなっている。そのため、出力光においては、領域A2に示すように光パルス列のうち先頭の副光パルスの強度が十分に光増幅されておらず、光パルス列を構成する各副光パルスの強度が一定に揃わないうえに、光出力が所望の強度よりも小さくなる。
これに対して、図2は、図1に示すレーザ装置100におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形を示す図である。図2に示すように、本実施の形態1に係るレーザ装置100では、制御部15は、ゲート信号がオフ状態からオン状態に切り替わるのに合わせて、励起光の出力をオン状態にし、ゲート信号がオフ状態に切り替わるのに対応して、所定時間(励起光の矩形パルスの時間幅)経過後に励起光の出力をオフ状態にするように励起LD3、8a、8bを制御する。また、制御部15は、励起光の出力をオン状態にしてから遅延時間Δt1だけ遅延してシード光の出力をオン状態にし、ゲート信号がオフ状態に切り替わるのに対応して、所定時間(シード光の矩形パルスの時間幅)経過後にシード光の出力をオフ状態にするようにシード光源1を制御している。
これによって、Ybイオンの反転分布の状態が、シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態となっているときに、シード光をYDF5、10に入力させることができる。その結果、出力光においては、図5、6のような光パルス列のうち先頭の副光パルスの光増幅の過不足が抑制され、図2に示すように光パルス列を構成する各副光パルスの強度がより揃った状態となる。また、シード光が無い場合には励起光はほとんどオフ状態にしているため、余分な電力の消費はない。また、追加の光源や光学部品が不要であるので、簡易な構成であり、かつ余分な電力消費が抑制される。
遅延時間Δt1の設定については、YDF5、10中のYbイオンが光励起され、反転分布の状態が、シード光を光増幅しているときの定常状態に一致する状態になったときに、シード光がYDF5、10に入力されるように設定することが好ましい。ただし、これに限らず、反転分布の状態が、シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態になったときに、シード光がYDF5、10に入力されるように設定することができる。したがって、遅延時間Δt1の設定については、光パルス列のうち先頭の副光パルスの光増幅の過不足、または光パルス列内での各副光パルスの強度の偏差が、たとえば10%以内に収まるような反転分布の状態(遅延時間も同じ)となるように設定すればよい。
また、図2に示すように、励起光のオン状態の時間幅は、シード光のオン状態の時間幅よりも、少なくとも遅延時間Δt1だけ長くすることが好ましい。その理由は、励起光のオン状態の時間幅とシード光のオン状態の時間幅とが等しいと、遅延時間Δt1を設けた影響で、シード光に含まれる光パルス列うち時間的に後側の副光パルスがYDF5、10に入力されたときに励起光がオフ状態となってしまい、光増幅が行われなくなることがあるためである。
つぎに、励起LD3、8a、8b、シード光源1のオン状態における具体的な制御方法について説明する。
まず、励起LD3、8a、8bの制御は、たとえば以下の1)または2)のように行うことができる。すなわち、1)制御部15は、予め設定した電流値に基づいて電流を供給する。2)制御部15は、予め設定したレーザ装置に関するパラメータ値(出力光強度、パルス繰り返し周期、またはパルス時間幅)に応じて、制御部15の記憶部に格納されたテーブル値を参照したり、制御部15の演算部が演算したりして設定した電流値に基づいて電流を供給する。
一方、制御部15は、シード光源1に対しては、遅延時間Δt1の時間幅は、電流を供給しない、またはゼロの電流値を与える制御を行う。また、シード光源1のオン状態のときの制御は、たとえば以下のように行うことができる。すなわち、制御部15は、予め設定した電流値、および、予め設定したレーザ装置に関するパラメータ値(出力光強度、パルス繰り返し周期、またはパルス時間幅)に基づいて電流を供給する。
なお、励起LD3、8a、8b、シード光源1の制御における、予め設定した電流値またはパラメータ値としては、PC16から与えた値を用いても良いし、制御部15の記憶部に格納された値を用いても良い。
また、遅延時間Δt1については、予め設定した遅延時間の固定値を用いても良い。または、レーザ装置に関するパラメータ値(出力光強度、パルス繰り返し周期、またはパルス時間幅)に応じて、制御部15の記憶部に格納されたテーブル値を参照したり、制御部15の演算部が演算したりして設定した遅延時間を用いても良い。あるいは、励起LD3、8a、8bがオン状態のときに励起LD3、8a、8bに対して設定されている電流値に応じて、制御部15の記憶部に格納されたテーブル値を参照したり、制御部15の演算部が演算したりして設定した遅延時間を用いても良い。
シード光を光増幅しているときの定常状態におけるYbイオンの反転分布の状態は、レーザ装置100の出力光強度、シード光のパルス繰り返し周期、シード光のパルス時間幅(オン状態の時間幅)、YDF5、10の温度等の条件に応じて変わるため、出力光強度が大きくなれば、その分より高い反転分布が必要となる。また、繰返し周期・パルス幅が変われば、平均パワーが異なることになり、その分定常状態での反転分布が異なる。したがって、遅延量をそれらに応じて変更できるようにすれば、上記各条件が変更されても光パルス列の各副光パルスの強度を揃えることが可能となる。
また、励起LD3、8a、8bがオフ状態からオン状態になったときにおける、YDF5、10中のYbイオンの反転分布の状態は、励起LD3、8a、8bのオフ状態の時間幅にも依存する。たとえば、オフ状態の時間幅がYbイオンの蛍光寿命に対して短ければ、励起LD3、8a、8bがオフ状態からオン状態に切り替わった後に定常状態になるまでの時間は短くなるので、遅延時間Δt1は短くすることができる。このように、励起LD3、8a、8bのオフ状態の時間幅に応じて遅延時間Δt1を設定することがより好ましい。なお、蛍光寿命はレーザ媒質によって異なるため、増幅光ファイバに含まれるレーザ媒質の蛍光寿命に応じて遅延時間Δt1を設定することが好ましい。さらには、励起LD3、8a、8bの出力がオン状態にされたときの励起光の強度の立ち上がりに、ドライバ13、14等に用いられている回路の影響などによる時定数が存在する場合は、設定する遅延時間Δt1はその時定数を差し引くなど、時定数を考慮した値にすることが好ましい。
以上説明したように、本実施の形態1に係るレーザ装置100は、簡易な構成であり、かつ電力消費を抑制して所望の光出力を得ることができるものである。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2に係るレーザ装置の模式図である。図3に示すレーザ装置200は、実施の形態1に係るレーザ装置100において、光分岐器25、光検出器(PD)26、およびモニタ回路27を追加したものである。
光分岐器25は、YDF10が光増幅したシード光(出力光)の一部を分岐する。光検出器26は、光分岐器25が分岐した光を検出し、検出した光強度に応じた値の電流信号を出力する。モニタ回路27は、光検出器26からの電流信号を受け付け、電流信号をもとに生成した電圧信号を制御部15に出力する。
制御部15は、モニタ回路27からの電圧信号をもとに、包絡線検波等によって出力光のパルスの歪み(たとえば図5、6に示すようなオーバーシュートや光増幅の不足)の有無を判断し、この歪みを解消するように遅延時間Δt1を調整する。一例として、目標となる値(例えば閾値)と、包絡線検波でモニタした値を比較して遅延時間を調整する。目標となる値が大きい場合は遅延時間を短くし、モニタした値が大きい場合は遅延時間を長くする。
本実施の形態2に係るレーザ装置200では、出力光の一部をモニタして、このモニタ結果をもとに遅延時間Δt1を調整するので、たとえばレーザ装置200の動作条件やYDF5、10の温度等が変化した場合等でも、光パルス列の各副光パルスの強度が一定に揃った出力光を出力することができる。
なお、励起LD3、8a、8b、シード光源1のオン状態における制御方法や、遅延時間Δt1の好ましい設定方法については、実施の形態1に係るレーザ装置100と同様の方法を適宜適用することができる。
また、実施の形態1、2に係るレーザ装置100、200において、以下のように励起LD3、8a、8bの設定を行っても良い。図4は、レーザ装置におけるゲート信号、シード光、励起光、出力光の時間波形の別の例を示す図である。
図4では、制御部15は、ゲート信号がオフ状態からオン状態に切り替わるのに合わせて、励起光の出力をオン状態にし、ゲート信号がオフ状態に切り替わるのに対応して、所定時間(励起光の矩形パルスの時間幅)経過後に励起光の出力をオフ状態にするように励起LD3、8a、8bを制御し、励起光の出力をオン状態にしてから遅延時間Δt2だけ遅延してシード光の出力をオン状態にし、ゲート信号がオフ状態に切り替わるのに対応して、所定時間(シード光の矩形パルスの時間幅)経過後にシード光の出力をオフ状態にするようにシード光源1を制御している点は、図2の場合と同様である。ただし、図4の場合は、制御部15は、遅延時間Δt2の期間においては、励起光の強度を所定の高い強度とし、遅延時間Δt2経過後は励起光の強度を遅延時間Δt2における強度よりも低くする制御を行う。これによって、YDF5、10に含まれるレーザ媒質であるYbイオンの反転分布の状態が、シード光を光増幅しているときの定常状態により早く到達するので、遅延時間Δt2を短くすることができる。
なお、励起LD3、8a、8b、シード光源1のオン状態における好ましい制御方法や、遅延時間Δt2の好ましい設定方法については、実施の形態1に係るレーザ装置100と同様の方法を適宜適用することができる。
なお、上記実施の形態では、ゲート信号がオン状態になったのと略同時に励起LD3、励起LD8a、8bの出力をオン状態にしているが、ゲート信号のオン状態になったときから所定の遅延時間の後に励起LD3、励起LD8a、8bの出力をオン状態にしてもよい。
また、上記実施の形態では、シード光源1は副光パルスからなる光パルス列で構成されるシード光を出力するパルスレーザ光源であるが、シード光源としてCW(Continuous Wave)光源を用いても良い。このとき、レーザ装置からの出力光は、パルス時間幅が、シード光源のオン状態の持続時間に対応する幅となっている矩形パルス列状となる。
なお、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
1 シード光源
2、6 光アイソレータ
3、8a、8b 励起LD
4、9 光合波器
5、10 YDF
7 バンドパス光フィルタ
11 光コネクタ
12 シード光源ドライバ
13、14 励起LDドライバ
15 制御部
25 光分岐器
26 光検出器
27 モニタ回路
100 レーザ装置
A1、A2 領域

Claims (14)

  1. シード光を出力するシード光源と、
    励起光を出力する励起光源と、
    レーザ媒質が添加されており、前記励起光が入力されるとともに前記シード光が入力され、前記シード光を光増幅して出力する増幅光ファイバと、
    前記シード光源および前記励起光源の出力のオン/オフを制御する制御部と、
    を備え、前記制御部は、前記励起光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記励起光源を制御し、かつ、前記励起光の出力をオン状態にしてから所定の遅延時間だけ遅延して前記シード光の出力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にするように前記シード光源を制御することを特徴とするレーザ装置。
  2. 前記遅延時間は、前記増幅光ファイバに添加されたレーザ媒質の反転分布状態が、前記シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態になっているときに、前記増幅光ファイバに前記シード光が入力するように設定されることを特徴とする請求項1に記載のレーザ装置。
  3. 前記シード光は副光パルスからなる光パルス列を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のレーザ装置。
  4. 前記励起光のオン状態の時間幅は前記シード光のオン状態の時間幅よりも少なくとも前記遅延時間だけ長く設定されることを特徴とする請求項3に記載のレーザ装置。
  5. 前記遅延時間は、前記増幅光ファイバからの出力光の強度、出力光のパルス繰り返し周期、出力光のパルス時間幅、または前記増幅光ファイバの温度に応じて設定されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載のレーザ装置。
  6. 前記増幅光ファイバからの出力光をモニタするための光検出器をさらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載のレーザ装置。
  7. 前記制御部は、入力されたゲート信号に基づいて前記シード光源および前記励起光源の出力のオン/オフを制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載のレーザ装置。
  8. 前記制御部は、前記遅延時間の期間においては、前記励起光の強度を所定の強度とし、前記遅延時間の経過後は前記励起光の強度を前記遅延時間における強度よりも低くする制御を行うことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載のレーザ装置。
  9. レーザ媒質が添加された増幅光ファイバに、励起光を入力するとともにシード光を入力して、前記シード光を光増幅する光増幅方法であって、
    前記励起光の入力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にし、かつ、前記励起光の入力をオン状態にしてから所定の遅延時間だけ遅延して前記シード光の入力をオン状態にし、所定時間経過後にオフ状態にすることを特徴とする光増幅方法。
  10. 前記遅延時間は、前記増幅光ファイバに添加されたレーザ媒質の反転分布状態が、前記シード光を光増幅しているときの定常状態に近い状態になっているときに、前記増幅光ファイバに前記シード光が入力するように設定されることを特徴とする請求項9に記載の光増幅方法。
  11. 前記シード光は副光パルスからなる光パルス列を含むことを特徴とする請求項9または10に記載の光増幅方法。
  12. 前記励起光のオン状態の時間幅は前記シード光のオン状態の時間幅よりも少なくとも前記遅延時間だけ長く設定されることを特徴とする請求項11に記載の光増幅方法。
  13. 前記遅延時間は、前記増幅光ファイバからの出力光の強度、出力光のパルス繰り返し周期、出力光のパルス時間幅、または当該増幅光ファイバの温度に応じて設定されることを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の光増幅方法。
  14. 前記遅延時間の期間においては、前記励起光の強度を所定の強度とし、前記遅延時間の経過後は前記励起光の強度を前記遅延時間における強度よりも低くすることを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の光増幅方法。
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