しかしながら、前記内部照明は、負荷と並列に接続されるランプによって構成されるので、前記省エネ(電力消費の削減)のためにスイッチを設けているのに、その操作性を向上するための構成で、逆に余分な電力消費を招くと言う大きな矛盾を生じているのが実状である。
一方、前記テーブルタップ以外で、内部照明付きのスイッチは、洗面やトイレ等で使用される壁面スイッチなどとして用いられている。この内部照明付きの壁面スイッチは、夜間など、全く周辺の照明の無い状態(真っ暗)では、視認性が高く、便利である。しかしながら、内部照明が点灯していると電力を消費することに変わりは無く、また日中など、周辺が明るくても、すなわち周辺光を反射することで使用者に識別させることができる状態でも、内部照明が点灯する。そしてこの壁面スイッチで注目すべきは、使用者を案内するため、スイッチがOFFしている時に点灯することである。したがって、昼夜を問わず、スイッチがOFFしている、すなわちトイレが使用されていない大部分の時間に点灯している。
本発明の目的は、使用者がON/OFFの識別を容易に行うことができるとともに、無駄な電力を消費しないスイッチならびにそれを用いる配線器具および壁面スイッチを提供することである。
本発明のスイッチは、通電のON/OFFを切換えることができるスイッチにおいて、前記通電をON/OFFするスイッチ本体と、前記スイッチ本体に近接して設けられ、前記スイッチ本体のON/OFF動作に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる識別部材とを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、通電のON/OFFを切換えることができるスイッチにおいて、前記通電をON/OFFするスイッチ本体に近接して、使用者にONかOFFかを識別させる識別部材を設ける。そして、その識別部材は、前記スイッチ本体のON/OFF動作に連動して、機械的に視認の態様が切換わるようになっている。
したがって、使用者がON/OFFの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記スイッチ本体の側方に設けられ、前記スイッチ本体のON/OFF動作に連動して、文字と色との少なくとも一方が切換わる揺動部材であることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記スイッチ本体に設けられたレバーなどで揺動部材を揺動させることで、使用者にON/OFFの識別を容易に行わせることができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記スイッチ本体は、そのON/OFF動作に連動して変位するレバーを有し、前記揺動部材は、前記スイッチ本体と一体の筐体に収納され、前記レバーは、前記筐体の表面と略平行に揺動し、前記揺動部材は、前記レバーに係合する係合部と、前記係合部に固着され、前記筐体の表面と平行に摺動可能であり、前記視認の態様が異なるパターンを有する摺動板とを備えて構成され、前記筐体に形成された開口から前記摺動板の何れのパターンが露出するかによって、使用者にON/OFFの識別を行わせることを特徴とする。
上記の構成によれば、比較的簡単な構成で、前述のように使用者にON/OFFの識別を行わせることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記開口および揺動部材は、前記スイッチ本体と、それに対応するプラグソケットとの間に設けられることを特徴とする。
上記の構成によれば、テーブルタップなどで多数のプラグソケット(差し込み口)が並んでいても、使用者にON/OFFの識別を行わせる開口および揺動部材は、前記スイッチ本体と、それに対応するプラグソケット(差し込み口)との間に設けられるので、隣のスイッチと間違うような誤った識別が行われることを未然に防止することができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記摺動板は、前記スイッチ本体のONを表す濃色の領域と、OFFを表す淡色の領域とを有し、前記淡色の領域は蛍光材料を含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、たとえばトイレのスイッチのように、OFF状態の長いスイッチの場合、日中など、外光の有る時に蛍光材料が光を蓄えておくことで、夜間など周囲の光が弱い場合に、電力を消費すること無しに、該スイッチの位置を使用者に認識させることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記スイッチ本体において前記使用者に操作され、透明な部材から成る操作部材の内部に設けられ、該スイッチ本体のON/OFF動作に連動して、文字と色との少なくとも一方を切換えて前記操作部材の外部から視認可能にすることを特徴とする。
上記の構成によれば、従来からの内部照明式のスイッチにおける内部照明に代えて識別部材を用い、機械的に使用者にON/OFFの識別を行わせることができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記スイッチ本体は、シーソースイッチから成ることを特徴とする。
上記の構成によれば、識別部材は、上述のようにシーソースイッチの操作部材の内部に埋め込まれ、シーソーの動作に連動して、機械的に使用者による視認の態様(ON/OFF)を切換えることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記操作部材は、使用者に操作される面が凹面の円弧状に湾曲しているとともに、両凹、平凹、凸凹の何れかの拡大レンズとしての機能を有していることを特徴とする。
上記の構成によれば、前記透明な部材から成る操作部材は、指の当たりや操作感を良くするために、使用者に操作される面が凹面の円弧状に湾曲して形成されており、それを利用して、透明な部材から成る該操作部材に、両凹、平凹、凸凹(メニスカス)の何れかの拡大レンズとしての機能を持たせる。すなわち、使用者に操作される面が凹面の円弧状に湾曲して形成されているので、内部(スイッチ本体の接点)側が、前記両凹の場合は凹面に、平凹の場合は平面に、凸凹(メニスカス)の場合は凸面に形成される。
したがって、シーソースイッチの動きに連動した識別部材の動き(傾き)が小さくても、拡大して、使用者が視認の態様の違い(スイッチ本体のON/OFF)を識別することができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記透明な部材から成る操作部材の内部空間において、前記シーソーの長手方向の両端側に設けられ、外周面に滑り止めのローレットが形成された一対のドラムと、前記一対のドラムに巻き掛けられ、裏面に前記ローレットに噛み合うラックが形成され、表面に前記視認の態様が異なるパターンを有するベルトと、前記一対のドラムの少なくとも一方に関連して設けられるギアと、前記スイッチ本体を収納する筐体側に設けられ、前記ギアに噛み合うラックとを含むことを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチの操作部材が揺動すると、筐体側のラックに噛み合っているギアが回転し、そのギアに連動して、一対のドラムの少なくとも一方が回転する。これによって、該一対のドラムに、ずれ無く噛み合っているベルトが回転し、そのベルトの表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。そして、前記シーソースイッチの揺動のストローク(傾き)は小さいが、ギアに比べてドラムの径を大きくするとともに、特に前記の透明な部材から成る操作部材の拡大レンズとしての機能とを組み合わせることで、その小さなストロークでも、使用者に前記視認の態様が異なる(ON/OFF)パターンを識別させることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記操作部材は、前記識別部材は、前記操作部材の内部空間において、前記シーソーの長手方向の両端側に設けられる一対のドラムと、前記一対のドラムに巻き掛けられ、表面に前記視認の態様が異なるパターンを有し、一部にフックが形成されるベルトと、前記フックに一端が揺動自在に係合され、他端は前記シーソースイッチから離反する方向に延びる軸線上の固定位置に揺動自在に係合され、伸長方向に弾発性を有する弾性部材とを備え、前記操作部材は、該操作部材から離反する方向に延びて、そのON/OFF動作に連動して、前記弾性部材を揺動させるレバーを有することを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチ(操作部材)の状態が切換わると、そのシーソースイッチから延びるレバーが係合している弾性部材は、前記シーソースイッチから離反する方向に延びる軸線上の固定位置に揺動自在に係合される他端を中心として、最も縮小状態の中立点を超えて、反対側へ倒れ込む。これによって、前記弾性部材の一端側がフックに係合されているベルトが回転し、外部に露出するそのベルトの表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。そして、前記シーソースイッチの揺動のストローク(傾き)は小さくても、弾性部材の長さや、レバーの係合点を調整することで、具体的には、弾性部材を長くし、レバーの係合点を前記弾性部材のできるだけ他端側とすることで、フック、すなわちベルトの移動量を大きくすることができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記操作部材の内部空間において、前記シーソーの長手方向に延び、表面に前記視認の態様が異なるパターンを有する帯状の円弧板と、一端が前記円弧板の裏面における周方向の中心部に連結されて該円弧の半径方向内方側に延びて形成され、他端が固定位置に固定される板ばね部材とを備え、前記操作部材は、該操作部材から離反する方向に延びて、そのON/OFF動作に連動して、前記板ばね部材を湾曲させるレバーを有することを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチの操作部材の状態が切換わると、そのシーソースイッチから延びるレバーが係合している板ばね部材は、前記シーソースイッチから離反する方向に延びて固定位置に固定される他端を中心として、反対側へ屈曲する。これによって、前記板ばね部材の一端側が連結されている円弧板が、略周方向に回転し、外部に露出する円弧板の表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。
したがって、極めて簡単な構成で、使用者に前記視認の態様が異なる(ON/OFF)パターンを識別させることができる。また、前記板ばね部材の変形だけで円弧板のパターンを切換えるので、信頼性が高く、特に低温の環境でも、安定した動作を実現できるとともに、部品の劣化も抑えることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記操作部材の内部空間において、前記シーソーの長手方向に延び、表面に前記視認の態様が異なるパターンを有する帯状の円弧板と、剛性の部材から成り、一端が前記円弧板の裏面における周方向の中心部に連結されて該円弧の半径方向内方側に延びて形成される駆動部材と、前記駆動部材の他端に固着されて回転中心が基台に枢支されるギアとを備え、前記操作部材は、該操作部材から離反する方向に延びて形成され、その遊端部に、前記ギアに噛合う円弧状のラックギアが形成されることで、そのON/OFF動作に連動して、前記駆動部材を揺動させるレバーを有することを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチの操作部材の状態が切換わると、そのシーソースイッチから延びるレバーのラックギアが係合しているギアは、基台の枢支位置で回転する。これによって、前記ギアが他端に固着されている駆動部材が揺動し、その駆動部材の一端側に連結されている円弧板が、前記ギアを回転中心として、該円弧板の略周方向に回転し、外部に露出する該円弧板の表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。
したがって、極めて簡単な構成で、使用者に前記視認の態様が異なる(ON/OFF)パターンを識別させることができる。また、前記ラックギアとギアとだけで円弧板のパターンを切換えるので、信頼性が高く、特に低温の環境でも、安定した動作を実現できるとともに、部品の劣化も抑えることができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記操作部材は、前記内部空間としてチューブ状の移動空間を有するとともに、前記移動空間の両端にはシーソーの下方側に開放した収納空間を有し、前記識別部材は、前記両端の収納空間からそれぞれ移動空間側に充填され、該移動空間内で界面を接し、前記視認の態様が相互に異なる2つの袋体と、前記両端の収納空間の下方部にそれぞれ臨む固定位置に設けられ、シーソーの揺動で降下した側の収納空間に嵌り込み、前記袋体を押出す押出し部材とを備え、前記押出し部材で押出された方の袋体が前記移動空間内に膨出することで、前記ON/OFF動作に連動して、前記視認の態様が異なるパターンを実現することを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチの操作部材の状態が切換わると、該操作部材の下方側で固定位置に設けられている2つの押出し部材の一方が、該操作部材側に入り込む。前記操作部材には、前記押出し部材が入り込む2つの収納空間と、それらを連通するチューブ状の移動空間とが、前記内部空間として形成されている。そして、前記2つの収納空間から移動空間へは、2つの袋体がそれぞれ充填されており、この2つの袋体は、前記移動空間内で界面を接するとともに、前記視認の態様が相互に異なるように形成されている。
前記視認の態様が相互に異なるとは、具体的には、同じ材質の袋体内に、相互に色の異なる流体が充填されたり、或いは相互に色の異なる袋体内に、同じ流体が充填されるなど、任意である。前記押出し部材で押出された方の袋体が、前記チューブ状の移動空間の中央部分を専有する。こうして、使用者に前記視認の態様の違い(ON/OFF)を識別させることができる。
また、本発明のスイッチでは、前記識別部材は、前記操作部材の内部空間において、前記シーソーの長手方向が伸縮方向となるように、かつその長手方向に互いに連結され、前記視認の態様が相互に異なる2つのベローズと、前記2つのベローズの連結部に一端が固着され、他端はシーソースイッチから離反する方向に延びる駆動部材とを備え、前記スイッチ本体は、前記シーソースイッチの揺動中心を通り、前記シーソースイッチから離反する方向に延びて、そのON/OFF動作に連動して、前記駆動部材を前記シーソーの長手方向に変位させるレバーを有することを特徴とする。
上記の構成によれば、シーソースイッチの操作部材の状態が切換わると、そのシーソースイッチから延びるレバーは、前記シーソーの長手方向と略平行に揺動し、そのレバーが係合している駆動部材は、前記筐体の表面と平行に移動する。これによって、駆動部材が接続されている2つのベローズの接続点も前記シーソーの長手方向に移動し、伸長していた側のべローズが縮小し、縮小していた側のべローズが伸長する。伸長した側のべローズが、前記シーソースイッチの中央部分の内部空間を専有する。こうして、使用者に前記視認の態様の違い(ON/OFF)を識別させることができる。
さらにまた、本発明のスイッチでは、前記操作部材は、前記シーソースイッチの中央部付近が透明な部材から成り、残余の部分は遮光性の材料から成ることを特徴とする。
上記の各構成によれば、スイッチのON/OFFに対応して前記シーソースイッチの中央部分の内部空間を専有するパターンが変化することで、使用者は前記ON/OFFを識別することが可能であるが、操作部材全体が透明であると、周辺部分で、現在のスイッチの状態とは異なる側のパターンが見えたり、駆動機構が見えたりする可能性がある。そこで前記シーソースイッチの中央部付近だけを透明な部材で形成し、残余の部分は遮光性の材料で形成しておくことで、スイッチの状態に対応したパターンのみを外部から視認できるようにすることができる。
また、本発明の配線器具は、前記のスイッチを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、使用者がON/OFFの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができるテーブルタップなどの配線器具を実現することができる。
さらにまた、本発明の壁面スイッチは、前記のスイッチを備えることを特徴とする。
上記の構成によれば、使用者がON/OFFの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができる壁面スイッチを実現することができる。
本発明のスイッチならびにそれを用いる配線器具および壁面スイッチは、以上のように、通電をON/OFFするスイッチ本体に近接して、機械的に視認の態様が切換わることで、使用者にONかOFFかを識別させる識別部材を設けるので、使用者がON/OFFの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができる。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の第1の形態に係る配線器具であるテーブルタップ1の斜視図である。このテーブルタップ1は、ケーブル2を介して、図示しないコンセントプラグから給電された電力を、筐体3上に配列された複数(図1の例では3)口のプラグソケット(以下、差し込み口と言う)P1〜P3(総称するときは、以下参照符号Pで示す)から分配して給電可能とするものである。各差し込み口P1〜P3には、近接して、個別に対応するスイッチS1〜S3(総称するときは、以下参照符号Sで示す)が設けられており、このスイッチS1〜S3によって、対応する差し込み口P1〜P3からの通電のON/OFFを切換えることができるようになっている。図1の例では、スイッチS2だけがONとなっており、残余のスイッチS1,S3はOFFとなっている。
なお、各スイッチS1〜S3の上流側に、さらに一括してON/OFFを切換えることができるスイッチが設けられてもよく、また本発明では、差し込み口PおよびスイッチSは、少なくとも1つあればよく、1または複数の差し込み口Pに対して、スイッチSが設けられていればよい。ここで、本願発明の願書に便宜的に記載した国際特許分類によれば、差し込み口Pが複数となっているが、本願発明は、1つの差し込み口Pに、1つのスイッチSを備える、単なるスイッチ付きの延長ケーブルとして実現されてもよい。さらにまた、図1の例では、スイッチS1〜S3と対応する差し込み口P1〜P3とが、筐体3上に一直線上に配列されているが、特許文献2のように、スイッチS1〜S3と差し込み口P1〜P3とが、2列に分かれて設けられていてもよく、また少なくとも一方が筐体の側面に配列されていてもよい。
注目すべきは、このテーブルタップ1では、前記通電をON/OFFするスイッチ本体SW1〜SW1(総称するときは、以下参照符号SWで示す)に近接して、前記スイッチ本体SW1〜SW3のON/OFF動作に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材H1〜H3(総称するときは、以下参照符号Hで示す)を備えていることである。したがって、使用者が、スイッチS1〜S3がONとなっているのか、OFFとなっているのかの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができる。
図2は、1つのスイッチSの内部構成を示す分解斜視図である。差し込み口Pや、前記ケーブル2に接続され、前記各差し込み口Pに給電するための内部導体等に関する構成は、図面の簡略化のために省略している。図2において、大略的に、左側が識別部材Hに関する構成であり、右側がスイッチ本体SWに関する構成である。このスイッチSでは、前記識別部材Hは、前記スイッチ本体SWの側方に設けられ、前記スイッチ本体SWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっている。
スイッチ本体SWは、所謂シーソースイッチである。そのため、基台11の上面110の両側部から延設された一対の支持部材111,112に、操作部材12の底面120の両側部から延設された一対のブラケット121,122が、揺動自在に支持される。この図2の例では、支持部材111,112の外側からブラケット121,122が覆い、ビス131,132は、ブラケット121,122の挿通孔1211,1221を挿通し、支持部材111,112のねじ孔1111,1121にねじ止めされる。
前記基台11および操作部材12において、幅方向の略半分が接点領域W1となり、残りの略半分がバイアス領域W2となる。接点領域W1は、外部に延設される端子141,142と、それらの間を電気的に導通/遮断する接点143とを備えて構成される。端子141,142は、側面視でL字状に形成されており、長辺側が外部へ突出し、短辺側が基台11上に延設される。一方の端子141の短辺には、接点143の一端が溶接などで接合される。接点143は、大略的に「く」の字状に形成され、その他端には接点部材144が設けられている。これに対応して、他方の端子142の短辺には、接点部材145が設けられている。後述する操作部材12の揺動によってその駆動片123が、前記接点部材144の側に位置しているときは接点部材144,145間が導通し、離反側に位置しているときは接点部材144,145間が遮断する。
端子141,142の基台11への取付けには、基台11に一体成型、ビスなどで螺着、樹脂製の基台11に溶着などの任意の手法が用いられればよい。この図2の例のスイッチ本体SWは、接点143が1つだけで、単相2線の給電経路のうちの片方だけを導通/遮断しているが、バイアス領域W2の両側に接点領域W1を設け、両方の給電経路を導通/遮断するようにしてもよい。この図2の例のスイッチ本体SWは、後述する識別部材Hとの連動のために、最も簡単な構造例を示しているが、種々の部品の配置や組立てが可能な場合は、他の複雑な構造が採用されてもよい。
前記バイアス領域W2には、引張りばね15および圧縮ばね16が設けられており、これらに対応して、操作部材12の底面120にはフック124およびボス125が設けられており、基台11の上面110にはフック114およびボス115が設けられている。
前記圧縮ばね16は、伸長方向に弾発力を発揮しており、その両端がボス125,115に嵌り込む。一方、操作部材12は、前記シーソースイッチを実現するもので、使用者の操作によって揺動し、使用者が操作を行っていない状態では、一方側か他方側に倒れている。前記圧縮ばね16は、その操作が行われていない状態で、倒れている状態を保持、すなわち前記接点143が勝手に切換わらないようにするためのもので、シーソーが一方に倒れている状態では「く」の字に屈曲して伸長して安定しており、操作部材12が操作されて水平状態となると圧縮されて直線状となり、反対に倒れると反対の「く」の字となって伸長して安定する。
前記引張りばね15は、前記「く」の字に屈曲した接点143を、前記操作部材12の駆動片123が押圧する際に受ける反力を相殺するために設けられているものであり、操作部材12を、接点143が導通する方向にバイアスする。これによって、前記圧縮ばね16による状態保持も可能になる。このようなバイアスおよび状態保持の構成にも、他の複雑な構造が採用されてもよい。
前記操作部材12は、大略的に、角部が面取りされた四角錐台状に形成され、使用者に操作される上面126が凹面の円弧状に湾曲している。この操作部材12の上部が、前記筐体3の上板30に形成された開口31から突出することで、前記スイッチ本体SWに、シーソー式の揺動が可能となっている。そして、このスイッチ本体SWの側方に、前記識別部材Hが設けられる。
前記識別部材Hは、スイッチ本体SWと同じ筐体3内に収納され、揺動部材17と、案内部材18とを備えて構成される。一方、前記筐体3の上板30上で、差し込み口Pと対応するスイッチS(前記開口31)との間には、開口32が形成されている。この開口32には、防塵のため、透明板33が嵌め込まれている。前記上板30の裏側で、前記開口32の両側部には、一対の前記案内部材18が設けられている。案内部材18は、軸直角断面がL字状に形成され、そのL字の上端が前記上板30の裏側に固着され、L字の水平部分と前記上板30の裏側との間で、前記揺動部材17を摺動自在に支持する。
前記揺動部材17は、前記L字状の案内部材18間に嵌り込み、前記上板30の裏側で、該上板30と平行に摺動自在の摺動板171と、該摺動板171の裏面から立設される駆動部材172とを備えて構成される。前記摺動板171の上面は、スイッチ本体SWが、ON状態であることを表す濃色、たとえば赤色の領域1711と、OFF状態であることを表す淡色、たとえば白(無)色の領域1712とに色分けされており、それらの領域1711,1712は、案内部材18の長手方向、すなわち該摺動板171の摺動方向に並んで形成される。前記駆動部材172は、係合部材となり、その下端部には、凹所1721が形成されており、この凹所1721には、前記操作部材12の一方のブラケット121の下端部から外方に延設されたレバー127が係合する。
したがって、前記操作部材12が揺動すると、レバー127が案内部材18の長手方向、すなわち摺動板171の摺動方向に変位し、該レバー127に係合している駆動部材およびそれに固着されている摺動板171も変位する。前述のように、操作部材12は、一方または他方の揺動位置で安定しており、スイッチ本体SWの接点143が切換わると、前記開口32から露出する摺動板171の領域1711,1712も、何れか一方のみとなる。こうして、比較的簡単な構成で、機械的に、使用者にON/OFFの識別を容易に行わせることができる。
さらに、前記開口32および揺動部材17を、差し込み口Pと、それに対応するスイッチ本体SWとの間に設けることで、このテーブルタップ1のように多数の差し込み口Pが並んでいても、隣のスイッチと間違うような誤った識別が行われることを未然に防止することができる。
前記摺動板171では、濃色の領域1711と、淡色の領域1712とに色分けすることで、使用者にスイッチ本体SWのON/OFFを識別させているけれども、色分けに限らず、ON/OFFなどの文字表記で識別させるようにしてもよく、或いは色分けと文字表記とを併用することで識別させるようにしてもよく、このように使用者にスイッチ本体SWのON/OFFを識別させる視認の態様は、開口32および領域1711,1712の大きさなどに合わせて、適宜検討されればよい。
ただ、前記摺動板171における淡色の領域1712に蛍光材料を含めておくことで、夜間など周囲の光が弱い場合に、電力を消費すること無しに、該スイッチSの位置を使用者に認識させることができる。上述の例は、テーブルタップ1であるけれども、壁面埋め込みスイッチで、たとえばトイレや階段のスイッチの場合は、OFF状態が長く、日中など、外光の有る時に蛍光材料が光を蓄えておくので、好適である。
また、摺動板171の移動量を制限するために、移動範囲の両端に、ストッパ(当り片)などが設けられてもよい。
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の第2の形態に係る配線器具であるテーブルタップ21の斜視図である。このテーブルタップ21は、上述のテーブルタップ1に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。このテーブルタップ21も、筐体3上に3口の差し込み口P1〜P3を備え、各差し込み口P1〜P3には、近接して、個別に対応するスイッチQ1〜Q3(総称するときは、以下参照符号Qで示す)が設けられている。図3の例では、スイッチQ2だけがONとなっており、残余のスイッチQ1,Q3はOFFとなっている。
注目すべきは、このテーブルタップ21では、前記通電をON/OFFするスイッチ本体QW1〜QW3(総称するときは、以下参照符号QWで示す)は、シーソースイッチから成り、使用者に操作され、透明な部材から成る操作部材22の内部に、前記スイッチ本体QW1〜QW3のON/OFF動作(シーソーの動作)に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材K1〜K3(総称するときは、以下参照符号Kで示す)を備えていることである。
すなわち、このスイッチQは、従来からの内部照明式のシーソースイッチにおける内部照明に代えて、識別部材Kを用い、機械的に使用者にON/OFFの識別を行わせるものである。図3の例では、前記識別部材Kは、前記スイッチ本体SWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっているが、前述の通り、文字が変わるようになっていてもよい。したがって、使用者が、スイッチQ1〜Q3がONとなっているのか、OFFとなっているのかの識別を容易に行うことができるとともに、その識別のために無駄な電力を消費しないようにすることができる。
図4は、1つのスイッチQの内部構成を示す分解斜視図である。前述のスイッチSは、スイッチ本体SWの側部(差し込み口Pとの間)に、識別部材Hが設けられているのに対して、このスイッチQは、上述のように、スイッチ本体QWの操作部材22の内部に、識別部材Kが設けられている点で相違する。したがって、筐体3には開口32が設けられていない。しかしながら、スイッチ本体QWにおいて、接点143や、バイアスの引張りばね15および状態保持の圧縮ばね16などの構成は同一であり、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図5は、操作部材22の断面図である。この操作部材22は、使用者に操作され、透明な部材から成る上部側の操作部23と、前記操作部23の内部に空間24を形成し、底部を閉塞する底板25とを備えて構成される。前記底板25は、透明でも遮光性でも、いずれであってもよい。前記底板25には、前記駆動片123およびボス125が立設されるとともに、前記フック124が設けられている。前記基台11から延びる支持部材111,112には、操作部23の両側部から延設された一対のブラケット231,232が、前記ビス131,132によって揺動自在に支持される。
また、注目すべきは、スイッチQでは、前記操作部23は、指の当たりや操作感を良くするために、使用者に操作される面236が凹面の円弧状に湾曲して形成されており、それを利用して、透明な部材から成る該操作部23に、両凹、平凹、凸凹(メニスカス)の何れかの拡大レンズとしての機能を持たせていることである。すなわち、使用者に操作される面236が凹面の円弧状に湾曲して形成されているので、内部(スイッチ本体QWの接点143)側が、前記両凹の場合は凹面に、平凹の場合は平面に、凸凹(メニスカス)の場合は凸面に形成される。このように構成することで、シーソースイッチの動きに連動した識別部材Kの動きが小さくても、拡大して、使用者が視認の態様の違い(スイッチ本体のON/OFF)を識別することができるようになる。
なお、本実施の形態では、上述のように、識別部材Kの色が変わることで使用者にON/OFFを識別させるので、前記使用者に操作される面236から、識別部材Kに臨む面237との間が、光学レンズのようなクリアなものでなくてもよく、拡大レンズとしての機能は、屈折率の違う材料の分散や、回折格子などで実現されてもよい。また、図5は、シーソースイッチの厚み方向(短手方向)の中央部における幅方向(長手方向)の断面で拡大レンズの機能を説明しているが、厚み方向(短手方向)の断面で、同様に拡大レンズとしての機能を有していてもよい。
そして、前記識別部材Kの詳細は、以下の通りである。前記操作部23の内部空間24において、前記シーソーの長手方向の両端側に、一対のドラム261,262が配設される。そのドラム261,262には、ベルト263が巻き掛けられている。前記ドラム261,262において、ベルト263が接触する外周面には滑り止めのローレットが形成されており、これに対応して、ベルト263の内周面には前記ローレットに噛み合うラック2631が形成されている。これによって、ドラム261,262とベルト263とが、ずれなく回転するようになっている。図4では、A部にドラム261を拡大して示し、前記ローレットは参照符号2612で示している。
前記ドラム261,262の両端は、操作部23に回転自在に枢支され、さらに少なくとも一方のドラム(図4および図5では、ドラム261)は、前記操作部23の側面に形成された軸孔237から外部へ突出し、その突出した先端に、該ドラム261よりも小径のギア2611が形成される。一方、前記筐体3の開口31の周縁部において、前記ギア2611に対応する位置には、円弧状のラック32が形成されている。前記ラック32の半径は、シーソースイッチの揺動中心となるビス131の中心から、略ギア2611の外周部までの距離となる。
図5では、操作部材22が中立位置で、該操作部材22の前記開口31から突出する部分と、収納される部分との境界を、参照符号L1で示している。同様に、一方の揺動位置での境界を参照符号L2、他方の揺動位置での境界を参照符号L3で示している。前記ラック32は、操作部材22が2つの揺動位置間を変位しても、ギア2611が外れない長さで、かつ開口31内を超えないように形成される。すなわち、そのようなラックの長さの範囲で、前記ベルト263のパターンが切換えられるように、ドラム261とギア2611との径が決定される。
前記ベルト263の表面側において、略半周分は前記濃色のパターンが形成され、残りの略半周分は前記淡色のパターンが形成される。したがって、シーソースイッチの操作部材22が揺動すると、筐体3側のラック32に噛み合っているギア2611が回転し、そのギア2611に連動して、ドラム261が回転する。これによって、一対のドラム261,262に、ずれ無く噛み合っているベルト263が回転し、そのベルトの表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。
そして、前記シーソースイッチ(操作部材22)の揺動のストロークは小さいが、ギア2611に比べてドラム261の径を大きくするとともに、特に前記の透明な部材から成る操作部23の拡大レンズとしての機能とを組み合わせることで、その小さなストロークでも、使用者に前記視認の態様が異なる(ON/OFF)パターンを識別させることができる。なお、前記ギア2611は、図4および図5のように、ドラム261に直結されていてもよいが、ギア2611の少ない回転(シーソースイッチの揺動のストローク)で、ベルト263の大きな移動量を稼ぐために、前記ギア2611とドラム261との間に、適宜他のギアが介在されていてもよい。
(実施の形態3)
図6は、本発明の実施の第3の形態に係る配線器具であるテーブルタップにおける1つのスイッチRの内部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態のテーブルタップの外観は、前述の図3で示すテーブルタップ21と同様であり、スイッチQに代えて、このスイッチRが用いられる。スイッチ本体RWは、シーソースイッチから成り、使用者に操作される操作部材32の内部側に、前記スイッチ本体RWのON/OFF動作(シーソーの動作)に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材Jが設けられている。この図6の例でも、前述の図3の例と同様に、前記識別部材Jは、前記スイッチ本体RWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっている。
スイッチ本体RWにおいて、接点143や、バイアスの引張りばね15および状態保持の圧縮ばね16などの構成は同一であり、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。ただし、このスイッチRでは、基台11aから延びる支持部材111,112に対して、操作部材32の操作部33の両側部から延設される一対のブラケット331,332は、内側に配置される。したがって、ビス131,132は、支持部材111,112側の挿通孔1111a,1121aを挿通し、ブラケット331,332側のねじ孔3311,3321にねじ止めされる。
図7は、操作部材32の揺動動作を説明するための断面図である。図7は、図6の矢符A1方向から見た断面図である。この操作部材32も、使用者に操作される上部側の前記操作部33と、前記操作部33の内部に空間34を形成し、底部を閉塞する底板35とを備えて構成される。前記底板35は、透明でも遮光性でも、いずれであってもよい。前記底板35には、前記駆動片123およびボス125が立設されるとともに、前記フック124が設けられている。
注目すべきは、このスイッチRでは、前記操作部33は、前記シーソースイッチの中央部付近が透明な部材333から成り、残余の部分は遮光性の部材334から成り、前記識別部材Kに類似した識別部材Jが設けられていることである。前記透明な部材333は、前記の拡大レンズとしての機能を有する。前記操作部33は、前記部材333,334が2色成型で成形されてもよく、或いは別部品を接合して構成されてもよい。
識別部材Jは、一対のドラム361,362と、ベルト363と、弾性部材37とを備えて構成される。前記操作部33の内部空間34において、前記シーソーの長手方向の両端側に前記一対のドラム361,362が配設され、そのドラム361,362にはベルト363が巻き掛けられている。前記ドラム361,362の両端は、操作部33に回転自在に枢支される。
一方、前記空間34の外側には、弾性部材37が設けられる。弾性部材37は、相互に嵌り合う径の有底円筒状の筒状体371,372内に、伸長方向に弾発性を有するばね373が収納されて構成される。そして、その両端、すなわち前記筒状体371,372の底部には、フック3711,3721がそれぞれ形成されている。これに対応して、前記基台11aおよびベルト363の一端部には、フック381,382が形成されている。ベルト363に取付けられるフック382は、前記底板35に形成されたスリット351を通して、弾性部材37のフック3721と揺動自在に係合可能となっている。基台11a側のフック381は、前記シーソースイッチの揺動中心(ビス131,132を結ぶ線上)を通り、前記シーソースイッチから離反する方向に延びる軸線上に設けられ、弾性部材37のフック3711と揺動自在に係合可能となっている。
また、前記弾性部材37に近接するブラケット331は、反対側のブラケット332よりも、操作部材32から離反する方向に延びて形成され、その先端付近には、前記弾性部材37の一方の筒状体(図7の例では371)に当接し、スイッチRのON/OFF動作に連動して、前記弾性部材37を揺動させるレバー335,336が設けられている。本実施の形態では、レバー335,336は、弾性部材37を揺動方向の両側から挟み込むように設けられているが、1本のピンでもよく、その場合、弾性部材37側では、揺動に伴うピンの(揺動基点となるフック382との)距離変化を吸収するために、長孔などを設ける必要がある。
上述のように構成されるスイッチRにおいて、図7は、図6の矢符A1方向から見ている。したがって、図7(a)で示すように、操作部材32が一方に傾倒している(図6の場合はスイッチRがOFF)状態では、該操作部材32は前述のように圧縮ばね16によって、その状態が安定して保持される。このとき、弾性部材37(ばね373)の弾発力によって、フック382は前記スリット351の一端部まで移動され、ベルト363は一方に回転され、該ベルト363の一部の領域に形成された淡色のパターンが、前記透明な部材333を通して、外部から視認可能となっている。図7では、濃淡のパターンを認識し易くするために、濃色のパターンはベルト363の断面を塗り潰して示している。
これに対して、使用者によって操作部材32が操作されると、一対のレバー335,336の内、弾性部材37を直立させる側のレバー(図7(a)から(b)では335)が弾性部材37を直立させ、操作部材32および該弾性部材37は、図7(b)で示す中立位置に到達する。このとき、弾性部材37の直立に伴い、フック382は前記スリット351の中央付近まで移動され、これによってベルト363は他方へ回転し、前記淡色のパターンと濃色のパターンとが、略半分ずつ、外部から視認可能となる。
しかしながら、この状態は、圧縮ばね16が最も圧縮され、最も弾発力を発揮する状態であるので、安定せず、前記図7(c)で示す操作部材32が他方に傾倒している(図6の場合はスイッチRがON)状態に切換わるか、前記図7(a)で示す操作部材32が一方に傾倒している(図6の場合はスイッチRがOFF)状態に戻る。
図7(c)でも、操作部材32は圧縮ばね16によって、その状態が安定して保持される。このとき、弾性部材37(ばね373)の弾発力によって、フック382は前記スリット351の他端部まで移動され、ベルト363は他方に回転され、該ベルト363の一部の領域に形成された濃色のパターンが、前記透明な部材333を通して、外部から視認可能となる。
このスイッチRにおける識別部材Jは、ドラム361,362およびベルト363を用い、同様に前述のスイッチQにおける識別部材Kは、ドラム261,262およびベルト263を用いている。しかしながら、識別部材Kでは、ギア2611とラック32とによって、ベルト263を半周させることが可能であるが、この識別部材Jでは、フック382がスリット351から露出する領域でしかベルト363を回転させることができない。そのため、特にドラム361,362付近では、隣のパターンや、ドラム361,362などの駆動機構が操作部材32の外部に見えてしまう可能性があり、該操作部材32は、中央部付近を透明な部材333で構成し、残余の部分を遮光性の部材334で構成している。しかしながら、シーソースイッチの中央部分をどのパターンが主に占有しているかによって、スイッチのON/OFFは識別することができるので、意図的に、操作部材32全体が透明で、内部が見えるスケルトン構造としてもよい。
一方、図7(b)で示す中立位置を越えると、弾性部材37(ばね373)の弾発力によって、ベルト363は回転可能な範囲の一杯まで回転されるので、特にドラム361,362とのスリップを考慮する必要は無い。これに対して、スイッチQにおける識別部材Kでは、ギア2611とラック32とによってドラム261がずれ無く回転されても、ドラム261とベルト263とにずれが生じると、正確なパターン表示ができなくなってしまう。そのため、前記識別部材Kでは、ドラム261,262の外周面にローレットが形成され、ベルト263の内周面にはラック2631が形成されている。
上述の例では、ベルト263,363は、無端環状であったけれども、ドラム261,262;361,362に巻き取られていてもよい。その場合、ドラム261,262の場合は、両方にギア2611およびラック32を設ける必要があり、ドラム361,362の場合は、ベルト363が弛まないように、両方に巻き取り方向のバイアスを発生させておく必要がある。
このように構成することで、シーソースイッチの操作部材32の状態が切換わると、その操作部材32から延びるレバー335,336が係合している弾性部材37は、前記操作部材32の揺動中心を通り、前記操作部材32から離反する方向に延びる軸線上の固定位置に揺動自在に係合される他端(フック3711)を中心として、最も縮小状態の中立点を超えて、反対側へ倒れ込む。これによって、前記弾性部材37の一端(フック3721)側がフック382に係合されているベルト363が回転し、そのベルト363の表面側に形成されたパターンが変化して、シーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を、使用者に識別させることができる。そして、前記シーソースイッチの揺動のストロークは小さくても、弾性部材37の長さや、レバー335,336の係合点を調整することで、具体的には、弾性部材37を長くし、レバー335,336の係合点を前記弾性部材37のできるだけ他端(フック3711)側とすることで、フック382、すなわちベルト363の移動量を大きくすることができる。
(実施の形態4)
図8は、本発明の実施の第4の形態に係る配線器具であるテーブルタップにおける1つのスイッチVの内部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態のテーブルタップの外観も、前述の図3で示すテーブルタップ21と同様であり、スイッチQに代えて、このスイッチVが用いられる。スイッチ本体VWは、シーソースイッチから成り、使用者に操作される操作部材42の内部側に、前記スイッチ本体VWのON/OFF動作(シーソーの動作)に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材Mが設けられている。この図8の例でも、前述の図6の例等と同様に、前記識別部材Mは、前記スイッチ本体VWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっている。この図8の構成において、図6の構成と同様の構成は、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図9は、操作部材42の揺動動作を説明するための断面図である。この操作部材42も、使用者に操作される上部側の操作部43と、前記操作部43の内部に空間44を形成し、底部を閉塞する底板45とを備えて構成される。前記操作部43は、前記操作部33と同様に、前記シーソースイッチの中央部付近が透明な部材433から成り、残余の部分は遮光性の部材434から成る。本実施の形態の識別部材Mは、前述の識別部材Jに比べて、濃淡のパターンが狭く、そのため、操作部43の透明な部材433の領域は、前述の操作部33の透明な部材333の領域に比べて、狭くなっている。前記底板45は、透明でも遮光性でも、いずれであってもよい。前記底板45には、前記駆動片123およびボス125が立設されるとともに、前記フック124が設けられている。
この操作部材42では、前記空間44は、蒲鉾型に形成されている。したがって、この操作部材42は、両凹の拡大レンズとなる。平凹の拡大レンズを実現するために、操作部材22,32のように、空間44の天面が平面となっていてもよい。
注目すべきは、このスイッチVでは、識別部材Mは、前記操作部材42の内部空間44において、前記シーソーの長手方向に延び、表面に前記視認の態様が異なるパターンを有する帯状の円弧板46と、一端が前記円弧板46の裏面における周方向の中心部に連結され、前記円弧板46の半径方向内方側に延びて形成され、他端が前記基台11bに固定される板ばね部材47とを備え、前記操作部材42は、該操作部材42から離反する方向に延びて、そのON/OFF動作に連動して、前記板ばね部材47を湾曲させるレバー435,436を有することである。
前記円弧板46は、前記長手方向に視認の態様が異なるパターン、具体的に図8の例では濃淡のパターンが形成され、それらの界面となる円弧の中央部から、前記板ばね部材47が延びて形成される。板ばね部材47は、前記接点領域W1などの関係で、前記帯状の円弧板46より狭幅で、円弧板46の幅方向の一方の端部側から延びて形成され、底板45に形成されたスリット451から、前記操作部材42の揺動中心(ビス131,132を結ぶ線上)を通り、その他端は、前記基台11bの上面110に立設された一対の支持片48に挟み込まれて固定される。
本実施の形態では、前記レバー435,436は、操作部材42の操作部43の両側部から延設された一対のブラケット431,432の内の一方(図8,9では431)を延長して、その先端付近に、前記シーソーの長手方向に間隔を開けて立設される。ブラケット431,432は、前記ブラケット331,332と同様に、ビス131,132によって、基台11bから延びる支持部材111,112に揺動自在に支持される。
このように構成することで、図9(a)で示すように、操作部材42が一方に傾倒している(図8の場合はスイッチVがOFF)状態では、該操作部材42は前述のように圧縮ばね16によって、その状態が安定して保持される。このとき、板ばね部材47はレバー436によって屈曲されて傾倒され、円弧板46は若干前記シーソーの長手方向に変位されつつ、底板45に当接するまで傾倒される。これによって、前記円弧板46の一方の領域に形成された淡色のパターンが、前記透明な部材433を通して、外部から視認可能となっている。図9では、濃淡のパターンを認識し易くするために、濃色のパターンは円弧板46の断面を塗り潰して示している。
これに対して、使用者によって操作部材42が操作されると、図9(a)から(b)で示すように、レバー436による押圧が解除され、板ばね部材47は、前記一対の支持片48による固定端(他端)を中心として直立し、円弧板46が前記空間44の中央付近に変位されつつ、該円弧板46の傾倒も無くなってゆく。図9(b)の板ばね部材47の直立状態で、円弧板46は空間の天面441に最も近接し、前記淡色のパターンと濃色のパターンとが、略半分ずつ、外部から視認可能となる。
しかしながら、この状態は、圧縮ばね16が不安定な状態であるので、安定せず、前記図9(c)で示す操作部材42が他方に傾倒している(図8の場合はスイッチVがON)状態に切換わるか、前記図9(a)で示す操作部材42が一方に傾倒している(図8の場合はスイッチVがOFF)状態に戻る。
図9(c)でも、操作部材42は圧縮ばね16によって、その状態が安定して保持される。このとき、レバー435によって板ばね部材47が屈曲されて傾倒され、円弧板46は若干前記シーソーの長手方向に変位されつつ、底板45に当接するまで傾倒される。これによって、前記円弧板46の他方の領域に形成された濃色のパターンが、前記透明な部材433を通して、外部から視認可能となる。
こうして、前述の識別部材K,Jに比べて、本実施の形態の識別部材Mは、透明な部材433を通して外部から視認できる濃淡のパターンが狭く(小さく)なるものの、前記識別部材K,Jがベルト263,363を使うことに比べて、本実施の形態の識別部材Mは、円弧板46と板ばね部材47という極めて簡単な構成で、使用者にシーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を識別させることができる。また、前記板ばね部材47の変形だけで円弧板46のパターンを切換えるので、信頼性が高く、特に低温の環境でも、安定した動作を実現できるとともに、部品の劣化も抑えることができる。
なお、図9を参照して、レバー435,436を、操作部材42の揺動中心(ビス131,132を結ぶ線上)から離れて配置する、すなわち前記ブラケット431を長くする程、板ばね部材47を根元側で屈曲させることで、前記シーソースイッチの揺動のストロークは小さくても、円弧板46の移動量を大きくすることができる。
しかしながら、それらのレバー435,436を搭載するブラケット431において、前記揺動中心を超える部分は、操作部43とは反対側にシフトしてしまう。したがって、たとえば板ばね部材47をレバー435,436が両側から掴む(挟持する)ように近接して配置していると、板ばね部材47を、「く」の字に屈曲させてしまうようなことにもなる。そのため、レバー435,436は、倒そうとする側とは反対側のレバーが板ばね部材47に接触しないように、前記揺動中心からの距離および板ばね部材47の厚みに対応して、該レバー435,436の間隔を設定する必要がある。
また、図8において、仮想線で示すように、板ばね部材47にピン47aを設け、ブラケット431に対応する長孔437を設けることで、前記レバー435,436と同様の動作を行わせることができる。さらにまた、板ばね部材47の支持片48からの抜け止めを行うために、それらが相互に接着されてもよく、或いはそれらの厚み方向にピンを挿通したり、板ばね部材47の他端に、抜け止めの爪が形成されていてもよい。
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の第5の形態に係る配線器具であるテーブルタップにおける1つのスイッチVaの内部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態のスイッチVaは、上述の図9および図10で示すスイッチVに類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。また、類似する構成には、添字のaを付して示す。このスイッチVaでも、識別部材Maは、円弧板46を用い、これに対応して、操作部材42aの空間44は、蒲鉾型に形成されている。
注目すべきは、このスイッチVaでは、前記円弧板46の裏面の周方向の中心部に一端が固着される駆動部材48は、剛性の部材から成ることである。そして、その駆動部材48は、前記円弧板46の半径方向内方側に延びて形成され、他端にはギア49が固着されている。ギア49の中心にはねじ孔491が形成されており、そのねじ孔491には、基台11cから延びる支持部材111aの基端側に形成された挿通孔1113を挿通したビス133が螺着される。こうして、前記ギア49はこのビス133によって枢支されるとともに、駆動部材48が揺動自在に支持される。
一方、前記操作部材42aの底板45aにおいて、スリット451aには、前記ギア49部分が挿通するための切欠き452が形成されている。この切欠き452は、組立てのために設けられるものであり、図10ではスリット451aの長手方向の中央部に設けられているけれども、端部付近に設けられてもよく、底板45a上の駆動片123、フック124およびボス125などの他の構造物の邪魔にならず、かつ底板45aの強度を損なわない位置に形成されればよい。或いは、たとえば前記ビス133が長い軸で、前記挿通孔1113およびビス133を挿通した後に駆動部材48の他端に螺着される等、前記駆動部材48がスリット451aを遊挿した後にギア49が取付けられる場合は、前記切欠き452は、特に設けられなくてもよい。
また、前記操作部材42aの操作部43aにおいて、前記支持部材111a側のブラケット431aは、該操作部43aから離反する方向に延びて形成され、その遊端部に、前記ギア49に噛合う円弧状のラックギア438が形成されている。
このように構成することで、シーソースイッチ(操作部材42a)の揺動に対応した駆動部材48および円弧板46の揺動は、前述の図9とほぼ同様となり、使用者にシーソースイッチの切換わり(ON/OFF)を識別させることができる。また、ラックギア438とギア49との簡単な構成で円弧板46のパターンを切換えるので、信頼性が高く、特に低温の環境でも、安定した動作を実現できるとともに、部品の劣化も抑えることができる。
また、この識別部材Maでは、円弧板46の曲率を駆動部材48の長さに合わせておくことで、該円弧板46と空間44の天面441との間隔を、変化しないようにすることができる。
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の第6の形態に係る配線器具であるテーブルタップにおける1つのスイッチTの内部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態のテーブルタップの外観も、前述の図3で示すテーブルタップ21と同様であり、スイッチQに代えて、このスイッチTが用いられる。スイッチ本体TWは、シーソースイッチから成り、使用者に操作される操作部材52の内部側に、前記スイッチ本体TWのON/OFF動作(シーソーの動作)に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材Fが設けられている。この図11の例でも、前述の図6や図8および図10の例等と同様に、前記識別部材Fは、前記スイッチ本体TWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっている。この図11の構成において、図8の構成と同様の構成は、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図12は、操作部材52の揺動による色の切換え動作を説明するための断面図であり、(a)は横(長手)方向断面図、(b)は(a)の切断面線XII−XIIから見た厚み(短手)方向断面図である。この操作部材52も、使用者に操作される上部側の操作部53と、前記操作部53の内部に空間54を形成し、底部を閉塞する底板55とを備えて構成される。前記操作部53は、前記操作部33,43と同様に、前記シーソースイッチの中央部付近が透明な部材533から成り、残余の部分は遮光性の部材534から成る。前記底板55は、遮光性の材料から成る。前記底板55には、前記駆動片123およびボス125が立設されるとともに、前記フック124が設けられている。
注目すべきは、このスイッチTでは、操作部材52の内部の空間54は、前記透明な部材533の底部に、水平(底板54の底面と平行)に形成されるチューブ状の移動空間541と、前記移動空間541の両端部にそれぞれ一端が連通し、他端がシーソーの下方側(前記底板54の底面側)に開放した収納空間542とを備えて構成されることである。そして、前記識別部材Fは、前記両端の収納空間542からそれぞれ移動空間541側に充填され、該移動空間541内で界面を接し、前記視認の態様が相互に異なる2つの袋体57,58と、前記両端の収納空間542の下方部にそれぞれ臨む固定位置に設けられ、シーソーの揺動で降下した側の収納空間に嵌り込み、前記袋体57,58を押出す押出し部材117,118とを備えて構成される。前記押出し部材117,118は、基台11dの上面110において、前記2つの収納空間542の開口部に対向してそれぞれ設けられる。
なお、図12(b)で示すように、底板55からは、前記駆動片123やボス125が立設されており、このため前記収納空間542は、操作部材52の厚み方向の中央部からオフセットして配置されている。そこで、前記移動空間541は、前記透明な部材533を通して外部から視認可能で、かつ前記厚み方向の中央部に配置される露出部5411と、前記遮光性の部材534内で、前記中央部の露出部5411と、オフセット配置される収納空間542とを連通する斜行部5412とを備えて構成される。なお、操作部材52のバイアスに、引張りばね15に代えて他の手段が用いられ、底板55の厚み方向の中央部付近のスペースが空いている場合には、前記収納空間542は、その中央部に設けられてもよい。
したがって、シーソースイッチ(操作部材52)の状態が切換わると、該操作部材52の下方側で固定位置に設けられている2つの押出し部材117,118の一方(図12では117)が、該操作部材52の収納空間542に入り込み、袋体57,58の対応する側(図12では57)を押出す。これによって、前記袋体57,58の対応する側(図12では57)は、前記露出部5411内を占有するとともに、前記袋体57,58の反対側(図12では58)を、前記露出部5411から、前記斜行部5412および収納空間542側へ押し出す。こうして、使用者に前記視認の態様の違い(ON/OFF)を識別させることができる。
本実施の形態では、前記袋体57,58は、略均一な径を有する柱状体である。しかしながら、空間54の内周面は円滑な面であり、押出し部材117,118の押圧に伴い、前記内周面に沿って屈曲し、移動することができる。本実施の形態では、前記視認の態様の違いは、前述のスイッチQ,R,Vなどと同様に、色の濃淡の違いで表すこととするが、その色の濃淡の違いは、たとえば、同じ材質の袋体57,58内に、相互に色の異なる流体が充填されたり、或いは相互に色の異なる袋体57,58内に、同じ流体が充填されるなど、任意である。流体の色の違いで表す場合は、該流体は着色した液体から成り、袋体57,58の色の違いで表す場合は、該流体は気体であってもよい。
また、本実施の形態では、2つの袋体57,58が、前記露出部5411の外側で明確な界面を形成するように、前記袋体57,58の相互に対向する面には、剛性の端板571,581が設けられている。また、前記袋体57,58の反対側の面には、前記押出し部材117,118の押圧力を受け止めるために、剛性の端板572,582が設けられている。こうして、袋体57,58が不所望な変形をして、前記視認の態様が切換わらなくなってしまうような不具合を未然に防止することができる。
一方、前記2つの袋体57,58の変形の自由度が高い場合は、図13のスイッチTaで示すように、収納空間542aおよび押出し部材117a,118aを大径にしてもよい。これによって、前記押出し部材117a,118aが、収納空間542aに入り込むストロークが小さくても、袋体57a,58aが、チューブ状の移動空間541、特に露出部5411に張り出す体積を大きくすることができ、前記露出部5411を長く形成することができる。
(実施の形態7)
図14は、本発明の実施の第7の形態に係る配線器具であるテーブルタップにおける1つのスイッチUの内部構成を示す分解斜視図である。本実施の形態のテーブルタップの外観も、前述の図3で示すテーブルタップ21と同様であり、スイッチQに代えて、このスイッチUが用いられる。スイッチ本体UWは、シーソースイッチから成り、使用者に操作される操作部材62の内部側に、前記スイッチ本体UWのON/OFF動作(シーソーの動作)に連動して、機械的に、使用者による視認の態様が切換わる(使用者にONかOFFかを識別させる)識別部材Eが設けられている。この図14の例でも、前述の図6や図8および図10の例等と同様に、前記識別部材Eは、前記スイッチ本体UWのON/OFF動作に連動して、色が変わるようになっている。この図14の構成において、図8の構成と同様の構成は、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
図15は、操作部材62の厚み方向の断面図である。この操作部材62も、使用者に操作される上部側の操作部63と、前記操作部63の内部に空間64を形成し、底部を閉塞する底板65とを備えて構成される。前記操作部63は、前記操作部33,43,53と同様に、前記シーソースイッチの中央部付近が透明な部材633から成り、残余の部分は遮光性の部材634から成る。前記底板65は、遮光性の材料から成る。前記底板65には、前記駆動片123およびボス125が立設されるとともに、前記フック124が設けられている。
注目すべきは、このスイッチUでは、操作部材62の空間64内には、シーソーの長手方向が伸縮方向となるように、かつその長手方向に互いに連結され、前記視認の態様が相互に異なる2つのベローズ67,68が収容されることである。図14では、ベローズ67が濃色で、ベローズ68が淡色で、ベローズ67が伸長状態、ベローズ68が縮小状態、すなわちスイッチ本体UWがON状態であることを表している。
前記2つのベローズ67,68の連結部には、該ベローズ67,68に上述のような伸縮を行わせる駆動部材69が連結される。駆動部材69は、ベローズ67,68の端部間に挟み込まれる駆動板691と、その駆動板691を前記長手方向に案内する案内部材692と、前記案内部材692に一端が固着され、他端はシーソースイッチ(操作部材62)から離反する方向に延びる駆動片693と、前記駆動片693の前記他端に設けられる突起694とを備えて構成される。
これに対応して、前記操作部材62の空間64は、前記ベローズ67,68が伸縮(摺動)自在に収容される円筒状の収容部641と、前記収容部641の側方の一部分(略前記案内部材692の移動の範囲)に連通して併設され、前記案内部材692をがたつきなく前記長手方向に案内する案内部642と、前記案内部642に連なる長孔643とを備えて構成される。前記長孔643には、前記駆動片693が遊挿する。
前述の通り、前記駆動片693の他端には突起694が設けられており、この突起694を該長孔643に遊挿した後、90度回転させて、前記収容部641と案内部642とに、前記ベローズ67,68および駆動片693と、案内部材692とをそれぞれ収容する。そのため、前記駆動片693は円柱状に形成されているが、前記切欠き452のような角柱を回転させられる空間があれば、角柱状に形成されてもよい。
一方、操作部材62の操作部63の両側部から延設された一対のブラケット631,632の内、前記駆動片693に隣接する側(図14では631)は、前記シーソースイッチの揺動中心(ビス131,132)を通り、前記シーソースイッチ(操作部材62)から離反する方向に延びて形成され、前記シーソースイッチ(操作部材62)のON/OFF動作に連動して、前記駆動部材69を前記シーソーの長手方向に変位させるレバーとなる。前記ブラケット631の遊端部には、長孔6311が形成されている。前記長孔6311には、前記突起694が遊挿する。
したがって、前記シーソースイッチ(操作部材62)が揺動すると、ブラケット631が揺動し、その長孔6311に係合している突起694が略長手方向に変位される。これによって、駆動片693を介して、案内部材692が案内部642内を摺動し、駆動板691が前記長手方向に変位され、ベローズ67,68の伸長していた側を縮小させ、縮小していた側を伸長させる。伸長した側のべローズが、前記シーソースイッチの中央部付近の透明な部材633における内部空間を専有する。こうして、使用者に前記視認の態様の違い(ON/OFF)を識別させることができる。
本実施の形態では、駆動部材69の駆動は、ブラケット631による揺動に限らず、前述の図6および図7で示す識別部材Jにおける弾性部材37による揺動が用いられてもよい。その場合、長孔643を通して、案内部材692に、弾性部材37のフック3721が係合される。
上述の各実施の形態では、配線器具の一例として、テーブルタップ1,21を例示しているが、本発明のスイッチS;Q;R;V;Va;T;Uは、前記テーブルタップ1,21以外に、電気機器の電源送りコンセントなどに使用されてもよい。また、上述のスイッチS;Q;R;V;Va;T;Uは、シーソースイッチであったけれども、特許文献2のような押し釦式のスイッチに用いられてもよい。
さらにまた、本発明のスイッチS;Q;R;V;Va;T;Uは、壁面スイッチにも用いることができる。その場合、スイッチの用途(負荷)にもよるが、上述の各実施の形態ようにON時に濃色表示を行うか、前述のトイレスイッチのようにOFF時に濃色表示を行うかは、適宜選択することができる。壁面スイッチは、近年、ユニバーサルデザイン化の関係で大型化しており、上述のテーブルタップ1,21に比べて、前記識別部材H;K;J;M;Ma;Fの組み込みスペースを確保し易いと思われる。
また、複数口連設のテーブルタップの場合、上述の各スイッチS;Q;R;V;Va;T;Uの内、何れか1種類が統一して用いられるだけでなく、任意の複数種類が用いられてもよい。それによって、表示の切換わりの時間がスイッチによって異なったり、表示の見え方が異なるなど、趣向を凝らすことができ、或いは各スイッチでON/OFFされる負荷の種別を(ラベルなどが付されていなくても)想起させたりすることも可能に思われる。