JP2014052048A - トルクリミッター付き動力伝達装置及びその組立方法 - Google Patents

トルクリミッター付き動力伝達装置及びその組立方法 Download PDF

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Abstract

【課題】トルクリミッター付き動力伝達装置において、差動装置を小型化することにより動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができるようにする。
【解決手段】トルクリミッター付き動力伝達装置は、差動装置5とトルクリミッター50とを備え、差動装置5は、変速機の出力により回転駆動される第1回転部材30と、駆動輪に連結され、且つ第1回転部材30と係合可能に構成された第2回転部材35と、円周方向の押圧力を発生する押圧機構40と、該機構40に設けられた第1斜面と第1回転部材30に設けられて第1斜面と接触する第2斜面とを備え、前記円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構45とを備え、第1、第2回転部材30,35、押圧機構40及び変換機構45によって、所定値以上のトルクが入力されたときに第1、第2回転部材30,35の係合が解除されるトルクリミッターが構成されている。
【選択図】図2

Description

本発明は、トルクリミッター付き動力伝達装置及びその組立方法に関し、特に、駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路に差動装置とトルクリミッターとを備えたトルクリミッター付き動力伝達装置及びその組立方法に関する。
自動車等の車両においては、燃費性能の向上を図るために、車体構成部材を軽量化することに加えて、駆動源であるエンジンから駆動輪に至る動力伝達経路を構成する変速機内のシャフトやドライブシャフトなどのシャフトについても軽量化することが求められている。
動力伝達経路を構成するシャフトは、通常走行時に伝達する必要があるトルク容量を確保すると共に、エンジンの出力を上げた状態で急激にクラッチを締結した場合や高速走行状態で低速段へシフトダウンを行った場合、あるいは凸凹路走行時に駆動輪が飛び跳ねた後に再び接地した場合など、通常走行時のトルク容量よりも大きなショックトルクが入力した場合にシャフトの破損を防止することが求められ、このショックトルクがシャフトの軽量化を妨げる要因となっている。
したがって、エンジンから駆動輪に動力を伝達する動力伝達装置において、通常走行時のトルク容量を確保しつつショックトルクを吸収するように構成することができれば、動力伝達経路を構成するシャフトを小径化や中空状にしてシャフトの軽量化を図ることができると考えられる。
このようなものとして、例えば特許文献1には、デフケースに終減速歯車を取り付けた差動装置において、デフケースと終減速歯車の間に、デフケースに噛み合う摩擦板と終減速歯車に噛み合う摩擦板とを互い違いに配置すると共にこれら摩擦板を差動装置の軸方向に延びるスプリングによって押圧するようにした伝達トルク制限用クラッチを配置したものが開示されている。
前記伝達トルク制限用クラッチでは、スプリングの押圧力に応じたトルク容量が得られ、このトルク容量を通常走行時の最大トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、通常走行時のトルクを確実に伝達しながらトルク容量を超えるショックトルクは摩擦板が滑ることによって吸収することができ、動力伝達経路を構成するシャフトにショックトルクがそのまま作用することが回避され、シャフトの軽量化が可能となる。
特開昭53−90334号公報
前記特許文献1に記載のものは、差動装置に伝達トルク制限用クラッチを配置することで通常走行時のトルク容量を確保しつつショックトルクを吸収することができるのでシャフトの軽量化が可能となるものの、伝達トルク制限用クラッチのスプリングが差動装置の軸方向に延びるように設けられているので、差動装置が軸方向に大きくなることとなる。
伝達トルク制限用クラッチのスプリングは、通常走行時の最大トルクを伝達するために大きな押圧力が必要であることから比較的大きなものが用いられるが、この場合、差動装置の軸方向寸法が増大することとなり、差動装置が大型化し、車載性が悪化することとなる。
特に、車体前部において差動装置と変速機とクラッチとが一体化されたハウジングに収納されるFF車の場合には、差動装置の軸方向寸法が増大すると、ハウジング内において差動装置、変速機及びクラッチのレイアウトが難しくなり、動力伝達装置が大型化し、車載性の悪化が問題となる。
また、前記特許文献1に記載のものは、伝達トルク制限用クラッチがデフケースの外周側に配置されるので、差動装置の径方向寸法が増大することとなる。FF車において、差動装置の径方向寸法が増大すると、変速機の軸心と差動装置の軸心との軸間距離が増大して動力伝達装置が大型化し、車載性をさらに悪化させることとなる。
そこで、本発明は、差動装置を小型化することにより動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができるトルクリミッター付き動力伝達装置及びその組立方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明は次のように構成したことを特徴とする。
まず、本願の請求項1に係る発明は、駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路に、デフケース内にピニオンシャフトを介して支持されたピニオンギヤと該ピニオンギヤと係合する一対のサイドギヤとが収納され、変速機の出力を前記駆動輪に伝達する差動装置と、前記変速機と前記駆動輪との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッターとを備えたトルクリミッター付き動力伝達装置であって、前記差動装置は、前記変速機の出力部に連結されて前記変速機の出力により回転駆動される第1回転部材と、前記駆動輪に連結され、且つ前記第1回転部材と同一軸心上で前記第1回転部材と対向状に配置されて、該第1回転部材と係合可能に構成された第2回転部材と、前記第1回転部材の反第2回転部材側において長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力を発生する押圧機構と、前記押圧機構に設けられた第1斜面と、前記第1回転部材に設けられて前記第1斜面と接触する第2斜面とを備え、前記押圧機構による前記円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構と、を備え、前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構及び前記変換機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されていることを特徴とする。
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記第1回転部材及び前記第2回転部材は、前記デフケース内に配置され、前記第1回転部材は、前記デフケースと一体的に回転し、前記第2回転部材は、前記ピニオンシャフトを支持し、前記押圧機構及び前記変換機構は、前記第1回転部材と前記第2回転部材とが対向する係合部と略同一半径を有する円周上に配設されていることを特徴とする。
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明において、前記第2回転部材の外周と前記デフケースの内面との間に軸受部材が設けられ、前記第2回転部材は、前記デフケースに回転自在に嵌合されていることを特徴とする。
また更に、本願の請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3の何れか1項に係る発明において、前記差動装置は、前記第1回転部材と前記第2回転部材の対向面にそれぞれ設けられた互いに噛み合う半径方向に延びる歯を有する第1歯面と第2歯面とを備え、前記第1歯面の歯と前記第2歯面の歯とが前記軸方向の押圧力を円周方向の押圧力に増大させて変換するように形成された係合機構を備え、前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構、前記変換機構及び前記係合機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されていることを特徴とする。
また更に、本願の請求項5に係る発明は、駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路に、第1ケース構成体と第2ケース構成体とによって分割して形成されたデフケース内にピニオンシャフトを介して支持されたピニオンギヤと該ピニオンギヤと係合する一対のサイドギヤとが収納され、変速機の出力を前記駆動輪に伝達する差動装置と、前記変速機と前記駆動輪との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッターとを備え、前記差動装置は、前記変速機の出力部に連結されて前記変速機の出力により回転駆動される第1回転部材と、前記駆動輪に連結され、且つ前記第1回転部材と同一軸心上で前記第1回転部材と対向状に配置されて、該第1回転部材と係合可能に構成された第2回転部材と、前記第1回転部材の反第2回転部材側において長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力を発生する押圧機構と、前記押圧機構に設けられた第1斜面と、前記第1回転部材に設けられて前記第1斜面と接触する第2斜面とを備え、前記押圧機構による前記円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構とを備え、前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構及び前記変換機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されているトルクリミッター付き動力伝達装置の組立方法であって、前記第1ケース構成体に前記押圧機構を組み付けて第1サブアセンブリを形成する第1サブアセンブリ形成工程と、前記第2ケース構成体に前記ピニオンギヤ、前記サイドギヤ、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を組み付けて第2サブアセンブリを形成する第2サブアセンブリ形成工程と、前記押圧機構と前記第1回転部材とによって前記変換機構を形成するように前記第1サブアセンブリと前記第2サブアセンブリとを合体させて前記差動装置を組み立てる合体工程と、を有していることを特徴とする。
以上の構成により、本願各請求項の発明によれば、次の効果が得られる。
まず、本願の請求項1に係る発明によれば、差動装置とトルクリミッターとを備えたトルクリミッター付き動力伝達装置において、差動装置は、変速機の出力により回転駆動される第1回転部材と、駆動輪に連結され、且つ第1回転部材と係合可能に構成された第2回転部材と、長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力を発生する押圧機構と、押圧機構に設けられた第1斜面と第1回転部材に設けられて第1斜面と接触する第2斜面とを備え、押圧機構による円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構とを備え、第1、第2回転部材、押圧機構及び変換機構によって、所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材と第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されている。
前記所定値を、通常走行時の最大トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、通常走行時のトルク容量を確保しつつ前記所定値以上のショックトルクの入力時にショックトルクを吸収することができる。また、押圧機構は、長手方向を円周方向に向けて配置されているので、軸方向に向けて配置される場合に比して差動装置の軸方向寸法を短縮させて差動装置を小型化することができる。これにより、動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができる。さらに、変換機構は、押圧機構による円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換するので、押圧機構を小さくすることが可能であり、前記効果をより有効に奏することができる。特にFF車において、前記効果を有効に得ることができる。
また、本願の請求項2に係る発明によれば、第1回転部材及び第2回転部材は、デフケース内に配置され、第1回転部材は、デフケースと一体的に回転し、第2回転部材は、ピニオンシャフトを支持し、押圧機構及び変換機構は、第1回転部材と第2回転部材とが対向する係合部と略同一半径を有する円周上に配設されることにより、トルクリミッターがデフケースの外周側に配置される場合に比して、差動装置の径方向寸法を短縮させて差動装置を小型化することができ、動力伝達装置を小型化することができる。
更に、本願の請求項3に係る発明によれば、第2回転部材の外周とデフケースの内面との間に軸受部材が設けられ、第2回転部材は、デフケースに回転自在に嵌合されていることにより、所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材と第2回転部材との係合を解除して第2回転部材とデフケースとを確実に相対回転させることができ、前記効果を有効に得ることができる。
また更に、本願の請求項4に係る発明によれば、第1回転部材と第2回転部材の対向面にそれぞれ設けられた互いに噛み合う半径方向に延びる歯を有する第1歯面と第2歯面とを備え、第1歯面の歯と第2歯面の歯とが軸方向の押圧力を円周方向の押圧力に増大させて変換するように形成された係合機構を備えていることにより、押圧機構をさらに小さくすることが可能であり、前記効果をより有効に奏することができる。
また更に、本願の請求項5に係る発明によれば、デフケースを形成する第1ケース構成体に押圧機構を組み付けて第1サブアセンブリを形成し、デフケースを形成する第2ケース構成体にピニオンギヤ、サイドギヤ、第1回転部材及び第2回転部材を組み付けて第2サブアセンブリを形成し、押圧機構と第1回転部材とによって変換機構を形成するように第1サブアセンブリと第2サブアセンブリとを合体させて差動装置を組み立てることにより、第1ケース構成体に押圧機構を予め組み付けることができるので、差動装置の組立を比較的に容易に行うことができ、本願の請求項1に係る発明の効果を奏する動力伝達装置を比較的容易に組み立てることができる。
本発明の第1実施形態に係る動力伝達装置を備えた車体の前部を示す模式図である。 第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を示す断面図である。 図2におけるY3−Y3線に沿った差動装置の断面図である。 図2におけるY4−Y4線に沿った差動装置の断面図である。 差動装置の第1回転部材の平面図である。 押圧機構による押圧力を説明するための説明図である。 差動装置にショックトルクが入力したときの動作を説明するための説明図である。 差動装置の組立方法を説明するための説明図である。 本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明図である。 本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明 本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を示す断面図である。 本発明の第5実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る動力伝達装置を備えた車体の前部を示す模式図である。図1に示す車体1は、車体前部に、駆動源としてのエンジン2と、クラッチ3と、変速機4と、差動装置5と、差動装置5に連結されたドライブシャフト6と、ドライブシャフト6に取り付けられた駆動輪としての前輪7とを備えている。
車体1は、車体前部にエンジン2が配置されると共にクラッチ3と変速機4と差動装置5とが一体化されたハウジング8に収納されたFF車である。車体1では、エンジン2は、出力軸が車幅方向に向くように配置され、クラッチ3と変速機4とは、車幅方向に隣接して配置され、変速機4と差動装置5とは、車体前後方向に隣接して配置されている。
エンジン2の出力は、クラッチ3及び変速機4を介して差動装置5に伝達され、差動装置5からドライブシャフト6を介して前輪7に伝達される。車体1では、エンジン2から前輪7に至る動力伝達経路に差動装置5が備えられ、クラッチ3、変速機4、差動装置5及びドライブシャフト6によってエンジン2から前輪7に動力を伝達する動力伝達装置が構成されている。
図2は、第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を示す断面図であり、図3は、図2におけるY3−Y3線に沿った差動装置の断面図、図4は、図2におけるY4−Y4線に沿った差動装置の断面図である。なお、図3では、変速機の出力ギヤ、リングギヤ、ボルト及びナットを省略して示している。
図2に示すように、差動装置5のデフケース10は、略円盤状に形成された第1ケース構成体11と、略円筒状に形成された第2ケース構成体21とによって分割して形成され、第1ケース構成体11のフランジ部11aと第2ケース構成体21のフランジ部21aとをボルトB1及びナットN1を用いて締結固定することにより形成されている。
デフケース10には、変速機4の出力部である出力ギヤ4aと噛み合うリングギヤ9が締結固定され、差動装置5に変速機4の出力が伝達されるようになっている。リングギヤ9は、第1ケース構成体11のフランジ部11aと第2ケース構成体21のフランジ部21aとに締結固定されている。デフケース10は、車幅方向に延びる軸心C1を中心として回転可能に設けられている。
デフケース10内には、具体的には第2ケース構成体21の側壁部21b内には、軸心C1と直交する方向に延びるピニオンシャフト22が配設されると共に、ピニオンシャフト22に回動自在に支持される互いに対向する一対のピニオンギヤ23が配設されている。デフケース10内にはまた、一対のピニオンギヤ23に噛み合う左右一対のサイドギヤ24が配設されている。
第1ケース構成体11及び第2ケース構成体21にはそれぞれ、サイドギヤ24に対応してシャフト挿通部11c及び21cが設けられている。シャフト挿通部11c、21cにはそれぞれドライブシャフト6が挿通され、ドライブシャフト6の先端は、サイドギヤ24にスプライン嵌合されている。これにより、ドライブシャフト6は、サイドギヤ24と共にデフケース10に対して相対回転できるようになっている。
本実施形態では、差動装置5はまた、デフケース10内に、変速機3の出力により回転駆動される第1回転部材30と、第1回転部材30と同一軸心上で第1回転部材30と対向状に配置されて第1回転部材30と係合可能に構成された第2回転部材35と、第1回転部材30の反第2回転部材35側に配置されて円周方向の押圧力を発生する押圧機構40と、押圧機構40による円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構45とを備えている。
図5は、差動装置の第1回転部材の平面図であり、図5では、第1回転部材30を第2回転部材35側から見た図が示されている。図2及び図5に示すように、第1回転部材30は、リング状に形成され、その外周に第1回転部材30の軸心方向に延びる歯31が形成されている。第2ケース構成体21の側壁部21bの第1ケース構成体11側の内面には第1回転部材30の歯31と噛み合う歯21dが形成されており、第1回転部材30は、第1ケース構成体21にスプライン嵌合されている。これにより、第1回転部材30は、変速機3の出力により第1ケース構成体21と共に回転駆動され、デフケース10と一体的に回転する。
第1回転部材30はまた、第1ケース構成体21にスプライン嵌合した状態で第2ケース構成体21に対して軸心方向に移動可能に構成されている。第1ケース構成体11には、第1回転部材30の軸心方向の移動を可能にするように凹状に窪む第1溝部11dが形成されている。
第1回転部材30の第2回転部材35との対向面には、図4及び図5に示すように、歯面32(第1歯面)が形成されている。歯面32は、半径方向に延びる歯33を有し、歯33は、円周方向における断面が台形状に形成され、後述する図6に示すように、その側面33aが45度の角度で形成されている。
第1回転部材30はまた、第1回転部材30の反第2回転部材35側に略四角柱状に突出する4つの突出部34を備えている。4つの突出部34は、円周方向にそれぞれ90度の等間隔で配置されている。突出部34の先端は、第1回転部材30の軸心と直交する方向に対して所定角度θ1で傾斜する斜面34aによって形成されている。本実施形態では、所定角度θ1は、0度から45度の間の角度に設定されている。
第2回転部材35は、第1回転部材30と半径方向において略同一長さを有するようにリング状に形成され、第1回転部材30と同一軸心上に配置されると共に第1回転部材30と対向状に配置されている。
第2回転部材35には、ピニオンシャフト挿入穴35aが形成されている。ピニオンシャフト挿入穴35aには、ピニオンシャフト22が挿入され、第2回転部材35は、ピニオンシャフト22を支持している。これにより、第2回転部材35は、ピニオンシャフト22及びピニオンギヤ23と共に軸心C1を中心として回転され、ピニオンシャフト22、ピニオンギヤ23、サイドギヤ24及びドライブシャフト6を介して前輪7に連結されている。
第2回転部材35の内面は、湾曲して形成され、ピニオンギヤ23を支持している。第2回転部材35の外面は、第2ケース構成体21の側壁部21bの内面に回動自在に嵌合されている。第2回転部材35はまた、軸心方向における一方の端面が、第2ケース構成体21の底壁部21eに回動自在に支持されている。
第2回転部材35にはまた、軸心方向における他方の端面、すなわち第1回転部材30との対向面に歯面(第2歯面)36が形成されている。歯面36は、半径方向に延びる歯37を有し、歯37は、円周方向における断面が台形状に形成され、その側面が45度の角度で形成されている。
第1回転部材30の歯33と第2回転部材35の歯37は、互いに噛み合うように形成され、第1回転部材30と第2回転部材35とは係合可能に構成されている。第1回転部材30と第2回転部材35の係合時には、変速機3の出力は、デフケース10、第1回転部材30、第2回転部材35、ピニオンシャフト22、ピニオンギヤ23、サイドギヤ24及びドライブシャフト6を介して前輪7に伝達される。
第1回転部材30の反第2回転部材35側に設けられる押圧機構40は、第1回転部材30の突出部34に対応して設けられている。押圧機構40は、弾性部材として螺旋状に形成されたスプリング41と、スプリング41によって付勢される押圧部材42とを備え、スプリング41と押圧部材42とは、第1ケース構成体11の第2ケース構成体21側の端面から矩形状に窪んで形成される第2溝部11e内に配置されている。
押圧部材42は、ピン部43がスプリング41内に挿入された状態で略四角柱状に形成された先端部44が第1回転部材30の突出部34と接触するように第2溝部11e内に配置されている。押圧部材42の先端部44には、第1回転部材30の突出部34の斜面34aと接触するように第1回転部材30の軸心と直交する方向に対して所定角度θ1で傾斜する斜面44aが形成されている。本実施形態では、所定角度θ1は、0度から45度の間の角度に設定されている。
押圧部材42は、スプリング41を圧縮した状態で第1回転部材30の突出部34と接触するように配置されている。押圧部材42はまた、所定値以上の力が入力される際、スプリング41を圧縮させて第2溝部11e内で移動することができるように構成されている。
このようにして構成される押圧機構40は、長手方向軸C2を有し、長手方向を円周方向に向けて配置されている。これにより、押圧機構40は、スプリング41によって円周方向の押圧力を発生し、第1回転部材30の斜面34aに円周方向の押圧力を作用させる。
ここで、押圧機構40による押圧力について図6を参照しながら説明する。
図6は、押圧機構による押圧力を説明するための説明図である。図6に示すように、押圧機構40による押圧力をF1とすると、すなわちスプリング41によって押圧部材42が第1回転部材30を押圧する円周方向の押圧力をF1とすると、押圧機構40による押圧力F1によって、第1回転部材30は、押圧部材42の斜面44aと第1回転部材30の斜面34aとを介して第1回転部材30の斜面34aに直交する方向の押圧力F2で押圧される。押圧力F2は、次式:F2=F1/sinθ1によって表される。
第1回転部材30の斜面34aに直交する方向の押圧力F2は、円周方向の押圧力F3と軸方向の押圧力F4に分解され、第1回転部材30は、軸方向の押圧力F4によって軸方向に押圧される。押圧力F4は、次式:F4=F2cosθ1によって表され、押圧力F1を用いると、次式:F4=F1/tanθ1によって表される。角度θ1は0度から45度の間の角度に設定されるので、押圧機構40による円周方向の押圧力F1は、軸方向の押圧力F4に増大して変換される。
本実施形態では、変換機構45は、押圧機構40、具体的には押圧部材42に設けられた斜面44aと、第1回転部材30に設けられて押圧機構40の斜面44aと接触する斜面34aとによって構成され、押圧機構40による円周方向の押圧力F1を軸方向の押圧力F4に増大させて変換する。
そして、第1回転部材30が押圧される軸方向の押圧力F4によって、第2回転部材35は、第1回転部材30の歯33の側面33aと第2回転部材35の歯37の側面37aとを介して第2回転部材35の歯37の側面37aに直交する方向の押圧力F5で押圧される。押圧力F5は、次式:F5=F4/sin45°によって表される。
第2回転部材35の歯37の側面37aに直交する方向の押圧力F5は、軸方向の押圧力F6と円周方向の押圧力F7に分解され、第2回転部材35は、円周方向の押圧力F7によって円周方向に押圧される。押圧力F7は、次式:F7=F5cos45°によって表され、押圧力F4を用いると、次式:F7=F4/tan45°によって表される。従って、第1回転部材30が押圧される軸方向の押圧力F4は、押圧力F4と等しい大きさを有する円周方向の押圧力F7に変換される。
図6に示す位置P1における第1回転部材30の円周方向の半径をR1とすると、第1回転部材30と第2回転部材35との間で伝達することができるトルク容量は、円周方向の押圧力F7と円周方向の半径R1との積F7・R1によって表され、押圧力F1を用いるとF1/tanθ1・R1によって表される。
差動装置5にトルクTが作用して、図6に示すように第2回転部材35にトルクTが作用したとき、位置P1において第2回転部材35による第1回転部材30への円周方向の荷重をFとすると、円周方向の荷重Fが、第2回転部材30への円周方向の押圧力F7以下であるときは、第1回転部材30と第2回転部材35とが対向する係合部49において第1回転部材30と第2回転部材35とが係合する。
本実施形態では、押圧機構40は、円周方向の押圧力F7が通常走行時の最大トルクに対応した円周方向の荷重よりも少し大きくなるように円周方向の押圧力F1が設定される。これにより、差動装置5に通常走行時の最大トルク以下のトルクが入力される際は、第1回転部材30と第2回転部材35との係合状態が維持され、変速機4の出力が、デフケース10、第1回転部材30、第2回転部材35、ピニオンシャフト22、ピニオンギヤ23、サイドギヤ24及びドライブシャフト6を通じて前輪7に伝達される。
一方、第2回転部材35にトルクTが作用したとき、位置P1において第2回転部材35による第1回転部材30への円周方向の荷重Fが、第2回転部材35への円周方向の押圧力F7より大きいときは、第1回転部材30が押圧機構40側に軸心方向に移動して第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除される。
図7は、差動装置にショックトルクが入力したときの動作を説明するための説明図である。図6に示す円周方向の荷重Fが円周方向の押圧力F7より大きいショックトルクの入力時には、図7に示すように、第1回転部材30が矢印A1で示すように押圧機構40側に軸心方向に移動して第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除される。押圧機構40では、第1回転部材30の移動に伴って押圧部材42が矢印A2で示すように円周方向に移動され、スプリング41が圧縮される。
このように、差動装置5に所定値以上のショックトルクが入力したときには、第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除され、差動装置5では、変速機4に連結された第1回転部材30と車輪7に連結された第2回転部材35との間でショックトルクが伝達されないようになっている。
本実施形態では、第1回転部材30、第2回転部材35、押圧機構40及び変換機構45によって、差動装置5に所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除され、変速機4と前輪7との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッター50が構成されている。
このように、差動装置5は、変速機4の出力により回転駆動される第1回転部材30と、駆動輪7に連結され、且つ第1回転部材30と係合可能に構成された第2回転部材35と、長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力F1を発生する押圧機構40と、押圧機構40に設けられた第1斜面44aと第1回転部材30に設けられて第1斜面44aと接触する第2斜面34aとを備え、押圧機構40による円周方向の押圧力F1を軸方向の押圧力F4に増大させて変換する変換機構45とを備え、第1、第2回転部材30,35、押圧機構40及び変換機構45によって、所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除されるトルクリミッター50が構成されている。
前記所定値を、通常走行時の最大トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、通常走行時のトルク容量を確保しつつ前記所定値以上のショックトルクの入力時にショックトルクを吸収することができる。また、押圧機構40は、長手方向を円周方向に向けて配置されているので、軸方向に向けて配置される場合に比して差動装置5の軸方向寸法を短縮させて差動装置5を小型化することができる。これにより、動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができる。さらに、変換機構45は、押圧機構40による円周方向の押圧力F1を軸方向の押圧力F4に増大させて変換するので、押圧機構40を小さくすることが可能であり、前記効果をより有効に奏することができる。特にFF車において、前記効果を有効に得ることができる。
また、本実施形態では、押圧機構40及び変換機構45は、第1回転部材30と第2回転部材35とが対向する係合部49と略同一半径を有する円周上に配設されている。これにより、トルクリミッター50がデフケース10の外周側に配置される場合に比して、差動装置5の径方向寸法を短縮させて差動装置5を小型化することができ、動力伝達装置を小型化することができる。
次に、このようにして構成される差動装置5の組立方法について説明する。
図8は、差動装置の組立方法を説明するための説明図である。差動装置5を組み立てる際には先ず、図8に示すように、第1ケース構成体11に押圧機構40、すなわちスプリング41及び押圧部材42を組み付けて第1サブアセンブリS1を形成する。
また、第2ケース構成体21に一方のサイドギヤ24、ピニオンシャフト22と一体的に組み付けられたピニオンギヤ23及び第2回転部材35、他方のサイドギヤ24、並びに第1回転部材30を順次組み付けて第2サブアセンブリS2を形成する。
そして、押圧機構40と第1回転部材30とによって変換機構45を形成するように第1サブアセンブリS1と第2サブアセンブリS2とを重ね合わせて締結固定することにより、第1サブアセンブリS1と第2サブアセンブリS2とを合体させて差動装置5を組み立てる。
これにより、差動装置5の組立時に、第1ケース構成体11に押圧機構40を予め組み付けることができるので、差動装置5の組立を比較的に容易に行うことができ、動力伝達装置を比較的容易に組み立てることができる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置について説明する。なお、第2実施形態に係る動力伝達装置については、第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置5と異なる部分についてのみ説明し、差動装置5と同様の構成については説明を省略する。
図9は、本発明の第2実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明図である。図9に示すように、第2実施形態に係る動力伝達装置の差動装置55は、第1実施形態に係る差動装置5において、第1回転部材30と第2回転部材35との対向面がそれぞれ平面状に形成されている。
差動装置55では、第1回転部材30と第2回転部材35とは平面状に形成された対向面によって係合可能に構成されている。差動装置55においても、押圧機構40によって第1回転部材30が軸方向の押圧力F4で押圧され、第1回転部材30と第2回転部材35とが係合するが、差動装置55に所定値以上のトルクが入力されると、第1回転部材30と第2回転部材35との間に滑りが生じ、第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除される。
第2実施形態に係る動力伝達装置においても、前記所定値を、通常走行時の最大トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、通常走行時のトルク容量を確保しつつ前記所定値以上のショックトルクの入力時にショックトルクを吸収することができる。差動装置55においても、押圧機構40は、長手方向を円周方向に向けて配置されているので、差動装置55を小型化することにより動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置について説明する。なお、第3実施形態に係る動力伝達装置については、第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置5と異なる部分についてのみ説明し、差動装置5と同様の構成については説明を省略する。
図10は、本発明の第3実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明図である。図10に示すように、第3実施形態に係る動力伝達装置の差動装置65は、第1実施形態に係る差動装置5において、第1回転部材30の歯33の側面33aが0度から45度の間の所定角度θ2で形成されると共に、第2回転部材35の歯37の側面37aが0度から45度の間の所定各度θ2で形成されている。
差動装置65では、第1回転部材30が押圧される軸方向の押圧力F4によって、第2回転部材35は、第1回転部材30の歯33の側面33aと第2回転部材35の歯37の側面37aとを介して第2回転部材35の歯37の側面37aに直交する方向の押圧力F5’で押圧される。押圧力F5’は、次式:F5’=F4/sinθ2によって表される。
第2回転部材35の歯37の側面37aに直交する方向の押圧力F5’は、軸方向の押圧力F6’と円周方向の押圧力F7’に分解され、第2回転部材35は、円周方向の押圧力F7’によって円周方向に押圧される。押圧力F7’は、次式:F7=F5’cosθ2によって表され、押圧力F4を用いると、次式:F7’=F4/tanθ2によって表される。角度θ2は0度から45度の間の角度に設定されるので、軸方向の押圧力F4は、円周方向の押圧力F7’に増大して変換される。
第3実施形態に係る動力伝達装置においても、第2回転部材35にトルクTが作用したとき、位置P1において第2回転部材35による第1回転部材30への円周方向の荷重Fが、第2回転部材30への円周方向の押圧力F7’より大きいときは、第1回転部材30が押圧機構40側に軸心方向に移動して第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除される。
このように、差動装置65では、第1回転部材30と第2回転部材35の対向面にそれぞれ設けられた互いに噛み合う半径方向に延びる歯33、37を有する歯面32、36を備え、歯面32の歯33と歯面36の歯37とが軸方向の押圧力F4を円周方向の押圧力F7’に増大させて変換するように形成された係合機構66が備えられている。
また、差動装置65では、第1回転部材30、第2回転部材35、押圧機構40、変換機構45及び係合機構66によって、差動装置5に所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材30と第2回転部材35との係合が解除され、変速機4と前輪7との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッター50が構成されている。
第3実施形態に係る動力伝達装置においても、前記所定値を、通常走行時の最大トルクよりも大きくなるように設定しておくことにより、通常走行時のトルク容量を確保しつつ前記所定値以上のショックトルクの入力時にショックトルクを吸収することができる。差動装置65においても、押圧機構40は、長手方向を円周方向に向けて配置されているので、差動装置65を小型化することにより動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができる。
さらに、第1回転部材30と第2回転部材35の対向面にそれぞれ設けられた互いに噛み合う半径方向に延びる歯33,37を有する第1歯面32と第2歯面33とを備え、第1歯面32の歯33と第2歯面36の歯37とが軸方向の押圧力F4を円周方向の押圧力F7’に増大させて変換するように形成された係合機構66を備えていることにより、押圧機構40をさらに小さくすることが可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置について説明する。なお、第4実施形態に係る動力伝達装置については、第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置5と異なる部分についてのみ説明し、差動装置5と同様の構成については説明を省略する。
図11は、本発明の第4実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を示す断面図である。図11に示すように、第4実施形態に係る動力伝達装置の差動装置75は、第1実施形態に係る差動装置5において、第2回転部材35の外周とデフケース10の内面との間に軸受部材76が配設されている。
差動装置75では、第2回転部材35の外周と第2ケース構成体21の側壁部21aの内面との間に軸受部材として金属製のリング状のブッシュ76が配設されている。2つのブッシュ76は、差動装置75の軸心方向に離間して第2ケース構成体21の側面部21aの内面に圧入され、第2回転部材35は、ブッシュ76を介してデフケース10、具体的には第2ケース構成体21に回転自在に嵌合されている。
これにより、差動装置75に所定値以上のトルクが入力されたときに第1回転部材30と第2回転部材35との係合を解除して第2回転部材35とデフケース10とを確実に相対回転させることができ、ショックトルクを確実に吸収することができる。
差動装置75では、第2回転部材35の外周と第2ケース構成体21の側壁部21aの内面との間に軸受部材76が配設されているが、さらに、第2回転部材35の反第1回転部材30側と第2ケース構成体21の底壁部21eとの間に軸受部材を配設するようにすることも可能である。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係る動力伝達装置について説明する。なお、第5実施形態に係る動力伝達装置については、第1実施形態に係る動力伝達装置の差動装置5と異なる部分についてのみ説明し、差動装置5と同様の構成については説明を省略する。
図12は、本発明の第5実施形態に係る動力伝達装置の差動装置を説明するための説明図である。図12に示すように、第5実施形態に係る動力伝達装置の差動装置85は、第1実施形態に係る差動装置5において、押圧部材42と第1回転部材30との接触面及び押圧部材42と第1ケース構成体11との接触面にそれぞれ金属製のボール86,87が配置されている。
差動装置85では、押圧部材42の斜面44aに凹状に窪むボール収容部44bが形成されると共に第1回転部材30の突出部34の斜面34aに凹状に窪むボール収容部34bが形成されている。押圧部材42のボール収容部44bと第1回転部材30のボール収容部34bとの間には金属製のボール86が収容され、押圧部材42と第1回転部材30とは、転がり接触によって接触している。
また、差動装置85では、押圧部材42の先端部44において第1ケース構成体11と接触する部分についても、押圧部材42の先端部44に凹部に窪むボール収容部44cが形成されると共に第1ケース構成体11の第2溝部11eに凹状に窪むボール収容部11fが形成されている。押圧部材42のボール収容部44cと第1ケース構成体11のボール収容部11fとの間には金属製のボール87が収容され、押圧部材42と第1ケース構成体11とは、転がり接触によって接触している。
これにより、押圧部材42と第1回転部材30との間の摩擦力及び押圧部材42と第1ケース構成体11との間の摩擦量を少なくして滑らかに移動させることができるので、差動装置85へのショックトルクの入力時に第1回転部材30と第2回転部材35の係合を迅速に解除してショックトルクを吸収することができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能である。
以上のように、本発明によれば、トルクリミッター付き動力伝達装置において、差動装置を小型化することにより動力伝達装置を小型化し、車載性を向上させることができることから、例えば、FF車の動力伝達装置に利用することが可能である。
2 エンジン
4 変速機
4a 出力ギヤ
5,55,65,75,85 差動装置
7 前輪
10 デフケース
11 第1ケース構成体
21 第2ケース構成体
22 ピニオンシャフト
23 ピニオンギヤ
24 サイドギヤ
30 第1回転部材
32、37 歯面
33、37 歯
34a,44a 斜面
35 第2回転部材
40 押圧機構
41 スプリング
42 押圧部材
45 変換機構
49 係合部
66 係合機構
76 軸受部材
S1 第1サブアセンブリ
S2 第2サブアセンブリ

Claims (5)

  1. 駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路に、デフケース内にピニオンシャフトを介して支持されたピニオンギヤと該ピニオンギヤと係合する一対のサイドギヤとが収納され、変速機の出力を前記駆動輪に伝達する差動装置と、前記変速機と前記駆動輪との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッターとを備えたトルクリミッター付き動力伝達装置であって、
    前記差動装置は、
    前記変速機の出力部に連結されて前記変速機の出力により回転駆動される第1回転部材と、
    前記駆動輪に連結され、且つ前記第1回転部材と同一軸心上で前記第1回転部材と対向状に配置されて、該第1回転部材と係合可能に構成された第2回転部材と、
    前記第1回転部材の反第2回転部材側において長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力を発生する押圧機構と、
    前記押圧機構に設けられた第1斜面と、前記第1回転部材に設けられて前記第1斜面と接触する第2斜面とを備え、前記押圧機構による前記円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構と、
    を備え、
    前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構及び前記変換機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されている、
    ことを特徴とするトルクリミッター付き動力伝達装置。
  2. 前記第1回転部材及び前記第2回転部材は、前記デフケース内に配置され、
    前記第1回転部材は、前記デフケースと一体的に回転し、
    前記第2回転部材は、前記ピニオンシャフトを支持し、
    前記押圧機構及び前記変換機構は、前記第1回転部材と前記第2回転部材とが対向する係合部と略同一半径を有する円周上に配設されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のトルクリミッター付き動力伝達装置。
  3. 前記第2回転部材の外周と前記デフケースの内面との間に軸受部材が設けられ、
    前記第2回転部材は、前記デフケースに回転自在に嵌合されている、
    ことを特徴とする請求項2に記載のトルクリミッター付き動力伝達装置。
  4. 前記差動装置は、前記第1回転部材と前記第2回転部材の対向面にそれぞれ設けられた互いに噛み合う半径方向に延びる歯を有する第1歯面と第2歯面とを備え、前記第1歯面の歯と前記第2歯面の歯とが前記軸方向の押圧力を円周方向の押圧力に増大させて変換するように形成された係合機構を備え、
    前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構、前記変換機構及び前記係合機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されている、
    ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のトルクリミッター付き動力伝達装置。
  5. 駆動源から駆動輪に至る動力伝達経路に、第1ケース構成体と第2ケース構成体とによって分割して形成されたデフケース内にピニオンシャフトを介して支持されたピニオンギヤと該ピニオンギヤと係合する一対のサイドギヤとが収納され、変速機の出力を前記駆動輪に伝達する差動装置と、前記変速機と前記駆動輪との間で伝達されるトルクを制限するトルクリミッターとを備え、前記差動装置は、前記変速機の出力部に連結されて前記変速機の出力により回転駆動される第1回転部材と、前記駆動輪に連結され、且つ前記第1回転部材と同一軸心上で前記第1回転部材と対向状に配置されて、該第1回転部材と係合可能に構成された第2回転部材と、前記第1回転部材の反第2回転部材側において長手方向を円周方向に向けて配置され、円周方向の押圧力を発生する押圧機構と、前記押圧機構に設けられた第1斜面と、前記第1回転部材に設けられて前記第1斜面と接触する第2斜面とを備え、前記押圧機構による前記円周方向の押圧力を軸方向の押圧力に増大させて変換する変換機構とを備え、前記第1回転部材、前記第2回転部材、前記押圧機構及び前記変換機構によって、前記差動装置に所定値以上のトルクが入力されたときに前記第1回転部材と前記第2回転部材との係合が解除されるトルクリミッターが構成されているトルクリミッター付き動力伝達装置の組立方法であって、
    前記第1ケース構成体に前記押圧機構を組み付けて第1サブアセンブリを形成する第1サブアセンブリ形成工程と、
    前記第2ケース構成体に前記ピニオンギヤ、前記サイドギヤ、前記第1回転部材及び前記第2回転部材を組み付けて第2サブアセンブリを形成する第2サブアセンブリ形成工程と、
    前記押圧機構と前記第1回転部材とによって前記変換機構を形成するように前記第1サブアセンブリと前記第2サブアセンブリとを合体させて前記差動装置を組み立てる合体工程と、
    を有していることを特徴とするトルクリミッター付き動力伝達装置の組立方法。
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