JP2014051753A - 伸縮ネットの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 伸縮性を有する網糸のみにより無結節網による伸縮ネットを製造し得る製造方法を提供する。
【解決手段】 伸縮性を有する網糸を使用する伸縮ネットの製造方法であって、網糸の伸張限度よりも小さい伸張状態にしつつ網糸をボビンに巻回する巻回工程と、ボビンに巻回された網糸を伸張限度よりも小さい伸張状態で引き出しつつ無結節に製網する製網工程とを含む。伸張状態は、伸張限度の20%以下において少なくとも伸張させた(0%の伸張状態を除く)状態とすることが好ましく、さらに好適な状態としては、伸張限度に対して5%〜15%の伸張状態である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、製網によって形成される網地の製造方法に関し、特に、伸縮性を有する網糸を使用した伸縮性ある網地(以下、伸縮ネットという)の製造方法に関するものである。
一般に、網糸を製網して網地を製造する場合には、糸を結節して網目を形成する有結節方法と、糸を結節せずに網目を形成する無結節方法とに分類されることが知られている。また、この無結節方法による網地には、狭義の無結節(本願では、これを無結節という)による網と、ラッセル網とがあることも周知である。
ところで、上記いずれの方法により製網される場合であっても、伸縮性を有する網糸を使用することにより、伸縮ネットが構成され得るものであることは容易に想像できるところであるが、手製の網地であればともかく、製網機を使用して製網する場合には、網糸に伸縮性があるがゆえに思い通りの製網ができないのが現状である。
すなわち、従来は、製網された伸縮ネットが矩形である場合、四つの角部を引っ張ると、四つの辺部との間で伸張比率が異なることとなる結果、四つの辺部が湾曲して矩形が歪んだ状態となることから、伸縮ネットを矩形に切断する際、四つの辺部を曲線状とし、中間部分を膨出させた形状とすることが提案されている(特許文献1参照)。また、この技術は、結節網の場合に形成される団子状の結節部分を生じさせないために、ラッセル網によってネット本体を構成している。つまり、伸縮性を有する紐体(伸縮紐体)と、伸縮性のない紐体(非伸縮紐体)の二種類の紐体を使用し、両者を併設するとともに、非伸縮紐体を鎖状に、隣接する伸縮紐体を非伸縮紐体が繋いで編む構成としていた。
また、同様に、非伸縮糸で構成される鎖編糸と、伸縮糸を用いた挿入糸により製網してなる伸縮性のあるラッセル網地が提案されている(特許文献2参照)。この技術は、製網時において、挿入糸を隣のウェール(製網方向に対して横方向)に移動することなく、当初のウェールを維持させつつ製網を進行させるものであり、その結果、伸縮糸がコース(製網方向に対して縦方向)に連続することとなるから、挿入糸の伸縮が大きくならず、均等な結節部を有するラッセル網地を得ることができるとされている。
特開平9−132843号公報 特開2003−183956号公報 特開昭58−31148号公報
上述の従来技術は、いずれの方法においても、鎖編糸には非伸縮性の糸(紐体)を使用するものであることから、挿入糸が設けられている部分において伸縮性を発揮させることができるものの、鎖編糸の部分には伸縮性を発揮し得ないものとなっていた。また、上記はいずれもラッセル網であり、広義において無結節網と呼ぶこともあるものの、狭義の無結節網ではないことから、少なからず結節部分は存在し、無結節の伸縮ネットを構成するものではなかった。
ところで、製網機は、撚運錘輪または組運錘輪に係合されるシャトルの内部に収納されるボビンから網糸を引き出しつつ製網する機構である(特許文献3参照)。そのため、ボビンに巻回された網糸は、製網段階でシャトルから引き出される状態となり、このときの引っ張り力が弱ければ網地は緩くなり、引っ張り力が強ければ網糸に大きい負担となるものであった。特に、網糸に伸縮性を有するものとする場合には、上記引っ張り力によって網糸が伸縮し、製網後の網地に形成される網目が不均一となり、また、網地全体が歪な状態となるものであった。
本発明は、上記諸点にかんがみてなされたものであって、その目的とするところは、伸縮性を有する網糸のみにより無結節網による伸縮ネットを製造し得る製造方法を提供することである。
そこで、本発明は、伸縮性を有する網糸を使用する伸縮ネットの製造方法であって、前記網糸の伸張限度よりも小さい伸張状態にしつつ該網糸をボビンに巻回する巻回工程と、該ボビンに巻回された網糸を前記伸張限度よりも小さい伸張状態で引き出しつつ無結節に製網する製網工程とを含むことを特徴とするものである。
上記の製造方法によれば、製網機のシャトル内に収納されるボビンに巻回される網糸は、予め伸張された状態となっており、その伸張された状態を維持しつつ製網機内において引き出されることとなるから、製網時に網糸が大きく伸縮せず、安定した状態で網地が形成されることとなる。
ここで、シャトル内部に収容するボビンには予め網糸を巻回しておくのであるが、伸縮性のある網糸をボビンに巻回する場合には、網糸を巻き取るためにボビンを回転させるために、その回転によって駆動力が網糸に伝達されることとなり、その回転駆動に伴って網糸には引っ張り力が作用することとなる。また、ボビンに巻き取られる前の網糸は、適当なドラム等に巻回された状態であるため、その送り速度を調整する必要があり、その送り速度を制限するためにテンションが付与される(送りを抑制する)ものであることから、そのテンション付与による引っ張り力も網糸に作用することとなる。そこで、これらの引っ張り力によって、伸縮性を有する網糸は当然に伸張状態となることから、当該伸張状態にある網糸を伸張限度よりも小さい状態とするのである。そして、このときの伸張状態は、伸張限度の20%以下において少なくとも伸張させた(0%の伸張状態を除く)状態とすることが好ましく、さらに好適な状態としては、伸張限度に対して5%〜15%の伸張状態である。
このように、伸張状態を調整することにより、ボビンに巻回された状態の網糸は、巻回終了後においても巻き戻し(弾性力による反転動作)がなく、シャトル内部に収納され、製網機による引き出しの際にも、更なる伸張が生じ難くなるのである。
なお、伸張限度とは、網糸に対し軸線方向に引っ張り荷重を付与するとき、当該引っ張り荷重の増加率に対する伸び率の増加率が大きく減少する状態を意味し、網糸が普通に弾性変形できる範囲の限界をいう。すなわち、網糸をゴム製とする場合のように網糸全体が伸縮性を有するものであるときは、網糸全体(ゴム等)の弾性力の限界に一致し破断直前の状態が伸張限度となる。また、網糸が、ゴム製材料等の弾性部材と、非弾性材料により上記弾性部材を被覆する被覆部材とで構成されるものである場合には、弾性部材が破断する直前、または、専ら被覆部材が変形(弾性変形または塑性変形)による引っ張り力が弾性部材の弾性力を超える状態が伸張限度となる。そして、伸張限度の20%とは、上記伸張限度まで伸張したときの長さに対して、20%の長さまで伸張した状態を意味するものである。
本発明によれば、無結節製網機を使用して伸縮性を有する網糸のみにより伸縮ネットを製造することができる。そして、製網された伸縮ネットは、ほぼ均一な伸縮状態の無結節網地となるため、網目が歪むようなこともなく、網地全体が捻られるようになることもない。さらに、適当な伸張状態により製網されることから、網目部分が緩むこともない。
本発明の実施形態である製造方法の工程を示す説明図である。 実施形態において使用する網糸の概略を示す説明図である。 無結節網の網目部分を示す説明図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、伸縮ネットの製造方法にかかる実施形態の工程を示す図である。図1(a)は全体の工程を示し、図1(b)はボビンの巻き取り時の工程を示す。図1(a)に示すように、製網機のシャトル内部に設置すべきボビンに網糸を巻き付ける工程の後、ボビンを製網機のシャトル内部に設置して製網する工程を行うものである。また、図1(b)に示すように、ボビンへの巻き取り時には、巻き取るべき網糸の先端をボビンに取り付けた後、ボビンに送られる網糸に対し、ボビン直前でテンションを付与するものである。
ボビンへの巻き取り時におけるテンションの付与は、網糸の送り出しを制限するように負荷をかけるものである。負荷のかけ方は、送り出される網糸に対して摩擦抵抗によりブレーキを掛ける方法がある。具体的には、送り出される網糸を二枚の板状部材の間を通過させ、その二枚の板状部材の間隙を調整することによって、当該間隙を通過する網糸に摩擦抵抗を与えるものであり、上記間隙を狭くすることにより摩擦抵抗を大きくし、逆に間隙を広げることにより摩擦抵抗を小さくするのである。
ところで、ボビンは、製網機のシャトルと呼ばれる網糸送出部に設置されるものであって、製網のために使用する製網機の種類によって異なるが、一般的には円柱状または円錐状に構成されたものである。網糸は、この円柱状または円錐状のボビンの表面に巻回された状態でシャトル内に設置されるものである。そのために、網糸の巻き取りは、円柱状または円錐状のボビンを、その中心線を軸に回転させることによって行われる。そして、ボビンを回転させることにより網糸を引き寄せ、当該網糸に張力を与える(伸張させる)ものである。また、網糸に付与されるテンションは、網糸をボビンに巻回する際、ボビンを回転させて網糸を引っ張らせることにより生ずる引っ張り力に対し、これによる網糸の移動を制限させることによって付与され、網糸の伸張状態を調整することができるのである。
伸縮ネットを製造するために使用する網糸は、ボビンへの巻回前に加工されるものである(図1(a)参照)。この工程で加工される網糸は、ゴム製素材により伸縮性を有するように構成するものであり、適宜弾性力を有する状態の糸状に加工される。ゴム製素材による線材のみによって構成してもよいが、ボビンへの巻き付けおよび製網機内における引き出しの際に、周辺部との接触を考慮すると、網糸表面の摩擦抵抗(摩擦係数)を小さくする加工を施すことが好ましい。すなわち、網糸が部材間を移動する際に、その方向を変更するためにローラ(プーリ)を通過させ、または、伸張状態とするためにテンションを付与する場合、そのための部材と網糸が摺接することとなることから、網糸表面の摩擦抵抗(摩擦係数)が大きいときには、部材と網糸とが摩擦力による抵抗を受けることとなる。つまり、本来付与程度を超えて網糸に対してテンションを付与することとなり、網糸の破断や伸縮状態の不均衡を生じさせる原因となり得るのである。そこで、付与すべきテンションを所望の位置で与え、他の部位との摺接による過大なテンションが作用しないように、網糸表面の摩擦抵抗(摩擦係数)を小さくするのである。なお、ここでいう摩擦抵抗(摩擦係数)の低減は、摩擦抵抗を限りなく小さくすることを意味するのではなく、テンションの付与などのような意図的な摩擦抵抗を与えることができつつ、製網機等の内部における想定外の摩擦抵抗を受けることを回避し得る程度の大きさを意味するものである。
上記のような摩擦抵抗(摩擦係数)を小さくする手段の一例としては、図2に示すように、ゴム製素材による伸縮性を有する線材(ゴム製線材)10を組紐20で被覆する構成とする場合がある。組紐20は、複数の糸21,22,・・・,27を編組して紐状を構成するものであり、その編組の状態(すなわち、長さ方向に対する粗密の程度)を変化させることにより、長さ方向への変形可能な程度を調整できるものである。つまり、組紐20が長さ方向に伸張する場合には、編組の状態を粗くするように変化することにより、長さ方向への変形を可能とするものである。従って、ゴム製線材10による伸縮に伴って、網糸全体を伸縮させることが可能となるものである。なお、組紐20は、そのもの自体が弾性力を有しないことから、組紐20の長さの変化は、ゴム製線材10による弾性力によるものとなる。ただし、組紐20の長さの変化は、編組の状態に左右されることから、網糸が最も伸張できる状態(伸張限度状態)は、ゴム製線材10の伸縮性能に頼らずとも、組紐20の編組状態によって伸張限界を決定させることも可能である。
また、組紐20によってゴム製線材10を被覆する場合には、組紐20の編組時にゴム製線材10を芯材として使用すればよい。すなわち、通常の組紐20は、上述のとおり長さが可変状態となるため、芯材に非弾性材料の線材を使用していることから、このときの芯材をゴム製線材10とすることによって組紐20により被覆された状態とすることができるのである。そして、芯材とするゴム製線材10は、所望の伸縮性能(弾性特性)を得るために、その太さおよび本数を調整することができるのである。本実施形態では、図示のように、3本の糸状ゴム11,12,13を使用した場合を例示している。
なお、本実施形態では、上述のように、摩擦抵抗を小さくするために組紐20によってゴム製線材10を被覆するものであることから、組紐20を編組するための糸21〜27の素材は摩擦抵抗に小さなものが使用される。一般には、ポリプロピレン製の糸が使用されるが、ポリエチレンやナイロンなどによる糸を使用してもよい。また、ゴム製線材10(11〜13)は、天然ゴムまたは合成ゴムのいずれでもよい。また、摩擦抵抗を小さくするための構成として、上述の組紐20による被覆を例示したが、このような構成に限定する趣旨ではない。
ここで、ボビンへの巻き付けは、網糸を少なからず伸張させた状態で行うものであるが、その伸張状態は、その網糸の伸張限度よりも小さいものとする。伸張限度は、ゴム製線材の弾性性能による場合のほか、組紐を被覆する場合には組紐の変形性能による場合がある。すなわち、本願における伸張限度とは、網糸に対し軸線方向に引っ張り荷重を付与するとき、当該引っ張り荷重の増加率に対する伸び率の増加率が大きく減少する状態を意味し、網糸が普通に弾性変形できる範囲の限界のことであるから、ゴム製線材のみが伸張限度に到達していない場合であっても、組紐が長手方向に変形できない状態となった場合には伸張限度とみなすことができる。なお、当然のことではあるが、伸び率が大きく減少する前に網糸が破断(特に、ゴム製線材が破断)するような場合には、その破断の直前の状態が伸張限度である。
そして、ボビンに巻き付けるときの伸張状態としては、上記伸張限度の20%以下にすることが好ましい。すなわち、伸張限度の20%を超える伸張状態の場合には、ボビンに巻回された弾性力が強く作用するため、巻回後に巻き戻しの可能性があるためである。これを弾性力の測定値により特定することも可能であるが、弾性力で特定する場合、太い網糸の場合と、細い網糸の場合とでは、当然、太い網糸の場合のほうが、大きい弾性力を作用させた状態で使用されることとなるため、ここでは、伸張限度に対する伸張状態の割合を使用することとする。
上記のような好適な状態を得るために、網糸に対する伸張状態を変化させ、そのときのボビンの巻き取り状態と、製網時における製網機内の状態を観察した。なお、使用した網糸は、図2に示した形態とするものであり、直径0.5mmのゴム製線材を3本芯材として、ポリプロピレン製の直径1mmの糸を使用して組紐を編組し、全体の平均径が約3mmとなるものを使用した。この網糸について、伸張限度を測定するため、引っ張り試験を行ったところ、表1に示す結果となった。
Figure 2014051753
上記引っ張り試験の結果から、引っ張り荷重が97(N)に達したときの伸び率が100%となった(2倍に伸張した)後、さらに引っ張り荷重を33(N)増加させたのに対し、伸び率が変化していないことから、この網糸の伸張限度は伸び率100%(2倍の伸張状態)と判断される。
さらに、上記伸張限度の網糸を使用し、ボビンの巻き取り状態と、当該ボビンを製網機に設置して製網機を始動させた際の伸縮状態とを検査した。なお、少なからず、伸張状態であることが必要であることから、0%を除く1%以上の伸張状態を検査することとし、伸張状態が伸張限度の5%となるまでは、伸張限度に対して1%ずつ伸張状態を増加させ、5%を超える状態からは、2.5%ずつ増加させて、各状態を確認することとした。その結果を表2に示す。
Figure 2014051753
この表2に示すように、伸張状態が伸張限度の20%以下の場合には、ボビンの巻き戻しの現象がほとんど起こらなかった。なお、15%を超えて20%までの範囲では、僅かに巻き戻しの現象を確認したが、網糸の末端が少し戻る程度であった。20%を超える状態では、大きく巻き戻しが発生し、ボビンに巻回した網糸の広い範囲が緩むこととなった。
さらに、表2からも明らかなとおり、伸張限度の5%以上の伸張状態である場合には、製網機にボビンを設置し、製網機を始動しても、網糸が製網機の引っ張り力によって伸張しなかったことが、目視により確認された。すなわち、伸張状態で巻回された網糸がさらに伸張されることなく製網されるものであり、製網状態が好適であると判断された。この理由は、製網機のシャトル内部にボビンを設置し、無結節網を製網する場合、ボビンから網糸を引き出すために引っ張り力が作用することとなるため、その引っ張り力による伸張の程度が5%以上であることに基づくものである。このような引っ張り力は製網機の種類によって異なるものであり、また、製網に供される網糸が有する弾性力によっても異なるものである。
そこで、上記伸縮限度の下限値は、製網機により網糸を引き出すことにより作用する引っ張り力に相当する力によって引っ張ったときに生ずる伸張状態であることが好ましいと考えられる。すなわち、伸張状態を超えた状態であれば、製網機を使用する際に、ボビンに巻回された状態の網糸が製網機中でさらに伸張することがないため、ボビンから送られる網糸の長さと、製網される網糸の長さが同等となり、製網後の網地が全体的に歪むことを防止できる。なお、製網機は、製網時に網糸の位置を変化させるものであるから、網糸に対して一定の引っ張り力を作用させるものではないと想定されるが、目視において伸縮状態が確認されなかったことから、その変化は少なく、網糸の引っ張り試験(表1)を考慮すれば、7(N)前後の範囲で変動しているものであることが推定される。また、上記に示した下限値(5%)以上であって、伸張限度の20%以下の場合には、巻き戻しの現象もほとんど生じなかったことから、伸張状態を20%以下にすることにより、製網機内に設置した網糸が緩むことはないものと判断される。
次に、製網された伸縮ネットの状態について説明する。図3は、無結節網の製網状態の構成を示す図である。本実施形態により製造する伸縮ネットは結節部を設けない構成であるため、無結節による網地1は、図3(a)に示すように、一方向に引き出された網糸2a,2b,2c,2dと、異なる方向に引き出される他の網糸3a,3b,3c,3dとが、一部において交差され、交差部4を形成しつつ製網される。また、その際、各網糸2a〜2d,3a〜3dが撚られることによって、各1本ずつの網地構成糸5,6が形成されるものである。
ところで、図3(a)に示す形態では、各網地構成糸5,6が各4本の網糸(これを4子と呼ぶ)2a〜2d,3a〜3dによって構成されるものである。このように4子で構成することにより、各網糸2a〜2d,3a〜3dが捻転されつつ製網される際、その捻転方向が分散されることとなるから、各網糸2a〜2d,3a〜3dを一体化させた網地構成糸5,6に撚りが生じないのである。そして、製網後に各網糸2a〜2d,3a〜3dが収縮することとなるが、その収縮によって捻転された方向とは反対向きに引っ張られるような力が作用しても、その方向が分散されて、結果的に網地構成糸5,6の歪みを抑制することができるのである。さらに、網地構成糸5,6に歪みが生じないことにより、網地全体の歪みも抑制でき、網地1の形状の崩れを防ぐことができるのである。なお、網地の歪みを抑制するための手法としては、上述のように4子によることが好適であるが、これによることなく、各網糸そのものを軸線回りに捻ることによって対応させてもよく、その場合には、2子または3子によって構成することも可能である。
上記のように、網糸2a〜2dにより一方向に延出される網地構成糸5と、網糸3a〜3dにより他方向に延出される網地構成糸6とが、適宜個所で交差部4を構成することによって、図3(b)に示すように、網地1には、網地構成糸5,6によって当該交差部4を角とする多角形の網目7が形成される。図示の網目7は、四角形であるが、交差部4を設ける位置により六角形や八角形とすることも可能である。これらの網目7を形成することにより、いわゆる狭義の無結節網が製網されることとなるのである。
そして、上記のように構成される無結節部分(交差部4)の周辺(網地構成糸5,6の長手方向両側)には十分に撚られた部分が存在することから、無結節部分自体が十分安定した状態となっており、当該無結節部分(交差部4)位置にズレが生じる(移動する)ことが抑制されるものである。さらに、各交差部4を構成する際には、前述のように、各網糸2a〜2d,3a〜3dはいずれも伸張状態であり、当該伸張状態を維持しつつ、各網糸2a〜2d,3a〜3dによって交差部4が形成されるように製網されるのであることから、製網後において、各網糸2a〜2d,3a〜3dの伸張状態を解除する(収縮させる)ことにより、交差部4においても収縮力が作用することとなる。そして、この交差部4を形成する部分の網糸2a〜2d,3a〜3dが収縮することによって、相互に圧縮される状態となり、当該無結節部分(交差部4)の状態がさらに安定し、交差部4の緩みや位置ズレなどを防止できることとなる。
このように、網地1には無結節部分が設けられるものの、これは各網糸2a〜2d,3a〜3dを交差させることによる交差部4によって構成されているため、交差部4および他の網地構成糸5,6の収縮率が全体的にほぼ均等な状態となり得るものである。従って、製網後において、全体が収縮した状態においても、網目7を構成する網地構成糸5,6が均等に収縮することから、当該網目7の形状に歪みを生じさせないようにすることができるのである。また、無結節部分(交差部4)が安定していることにより、各網糸2a,2b,3a,3bが収縮した状態(伸張可能な状態)から網地1が伸張する際には、上記交差部4を基準として、網地構成糸5,6の伸張・収縮によって、全体が伸縮することとなるため、結節網による伸縮ネットと同等の効果を得ることができるものとなる。
また、ゴム製線材を組紐で被覆した構成の網糸を使用する場合には、伸張状態の組紐が、編組された糸の間隔を広げた状態となるため、製網時に伸張状態で交差する組紐の表面は、編組された糸の間隔が広がっており、上記交差により接触するそれぞれの組紐の繊維が、糸の間隔の内部に侵入することとなり、収縮によって糸の間隔を狭くすることによって、相互に噛み合う状態となり得る。そして、製網後における伸縮ネットは、交差部4を除く網地構成糸5,6が伸縮することから、上記交差部4が伸縮して網目の形状が変化することをさらに抑制し得る効果を期待することができる。
本発明の実施形態は以上のとおりであるが、本発明が上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内において種々の形態とすることができるものである。例えば、上記実施形態では、網糸を構成する際に、伸縮性を得るためにゴム製素材を使用し、かつ、表面の摩擦抵抗を小さくするために組紐で被覆したが、伸縮性を有する材料により網糸全体を構成し、その表面に摩擦抵抗を減少させる処理を施すようにしてもよい。特に、表面の摩擦抵抗が小さい合成ゴムがあれば、それを使用することができるものである。
本発明により製造される伸縮ネットは、種々の用途に利用され得る。前掲の引用文献1および2に記載されているように、車両や航空機などの座席における背もたれの背面に設けられる小物入れとして使用することができるほか、アスレチック用のネットとしても使用できる。アスレチック用のネットとして使用する場合には、自身の体重により網地が伸縮することとなり、単なる網地を登るよりも体力を要する運動ができることとなる。また、収納スペースの内部において、網地の弾性力による押圧作用を付加させる用途に使用することができる。すなわち、特定スペースの内部を仕切るように網地を設け、その網地が壁面に近接して張設されることにより、当該壁面と網地との間の僅かなスペースに押圧力が作用し、当該スペースに収納した物を当該壁面に押圧した状態で収納させることができるのである。従って、車両のダッシュボード内部に収納部や、アタッシュケース等の仕切りとして使用することができる。
1 網地
2a,2b,3a,3b 網糸
4 交差部
5,6 網構成糸
10 ゴム製線材
11,12,13 糸状ゴム
20 組紐
21,22,23,24,25,26,27 組紐を構成する糸

Claims (5)

  1. 伸縮性を有する網糸を使用する伸縮ネットの製造方法であって、前記網糸の伸張限度よりも小さい伸張状態にしつつ該網糸をボビンに巻回する巻回工程と、該ボビンに巻回された網糸を前記伸張限度よりも小さい伸張状態で引き出しつつ無結節に製網する製網工程とを含むことを特徴とする伸縮ネットの製造方法。
  2. 前記巻回工程は、前記ボビンが回転駆動することに伴う前記網糸に作用する引っ張り力と、該網糸の送り速度を制限することによる引っ張り力とにより、該網糸を伸張限度よりも小さい伸張状態にしつつ巻回する工程である請求項1に記載の伸縮ネットの製造方法。
  3. 前記巻回工程における前記網糸の伸張状態は、該網糸の伸張限度の20%以下である請求項1または2に記載の伸縮ネットの製造方法。
  4. 前記巻回工程における前記網糸の伸張状態は、前記製網工程時における該網糸を引き出すことにより作用する引っ張り力に相当する力によって引っ張ったときに生ずる伸張状態に相当するものである請求項1または2に記載の伸縮ネットの製造方法。
  5. 前記網糸は、細線状に形成したゴム材料を非弾性材料により編組してなる組紐で被覆した網糸である請求項1ないし4のいずれかに記載の伸縮ネットの製造方法。
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JPS62104951A (ja) * 1985-10-31 1987-05-15 泰東製綱株式会社 伸縮性無結節網

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JPS62104951A (ja) * 1985-10-31 1987-05-15 泰東製綱株式会社 伸縮性無結節網

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