JP2014051252A - 作業車両 - Google Patents

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昌輝 日暮
Satoshi Sekino
聡 関野
Toru Kikuchi
徹 菊地
Masaru Kaneko
勝 金子
Yuichi Kunitomo
裕一 國友
Noritaka Ito
徳孝 伊藤
Kazuo Ishida
一雄 石田
Satoru Kaneko
金子  悟
Shuichi Moriki
秀一 森木
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Abstract

【課題】操作性の低下を防止できる作用車両の提供。
【解決手段】本発明は、車体1aとフロント作業機9とを備えた作業車両であり、エンジン3と、エンジン3から出力される発電電力Bをコントロールする統括コントローラ17と、統括コントローラ17にて走行電力Mの供給が制御されて駆動が制御される走行装置2と、統合コントローラ17にて動力Dの供給が制御されこの供給される動力Dを消費する冷却装置16と、を有し、統合コントローラ17は、エンジン3から供給される走行電力Mを走行装置2に供給して駆動させるのに際し、冷却装置16に電力Dを供給して消費させ、走行装置2に供給される走行電力Mが不足した場合に冷却装置16への電力Dの供給を低下または停止して、エンジン3から出力される発電動力Bを走行装置2に供給する構成にしてある。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばホイールローダ等の車体に作業機が取り付けられた作業車両に関する。
この種の従来の作業車両が特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された作業車両は、エンジンにて駆動される発電機により発電した電力を蓄電器に充電し、この蓄電器に充電した電力により旋回用の電動機を駆動するハイブリッド式作業機械である。そして、このハイブリッド式作業機械は、発電機による発電にて得られた電力にて油圧ポンプを駆動させて、作業機械の種々のアクチュエータや、走行用の各油圧モータを駆動させている。さらに、断線によって蓄電器からの電力供給が得られない場合に、発電機により発電した電力を電動機に供給して電動機を駆動する構成とされている。
特開2010−178508号公報
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来技術においては、蓄電器からの電力供給が得られない場合に、この蓄電池から供給される電力の代わりに、エンジンにて駆動される発電機による発電にて電動機を駆動させている。このため、この電動機の駆動により、発電機にて発電された電力の一部が消費されてしまい、この発電機を共通の駆動源とする油圧ポンプの駆動が制約等され、この油圧ポンプにて駆動される作業機械や走行等の出力が低下し操作性が低下してしまうおそれがある。
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、例えば蓄電器の出力の低下や停止が生じた場合であっても各アクチュエータ等の、操作性の低下を防止できる作用車両を提供することにある。
この目的を達成するために、本発明は、車体と、この車体に取り付けられた作業機とを備えた作業車両であって、動力源と、この動力源から出力される動力をコントロールするコントローラと、このコントローラにて前記動力の供給が制御されて駆動が制御される駆動部と、前記コントローラにて前記動力の供給が制御されこの供給される動力を消費する動力消費部と、を有し、前記コントローラは、前記動力源から供給される動力を前記駆動部に供給して駆動させるのに際し、前記動力消費部に前記動力を供給して消費させ、前記駆動部に供給される動力が不足した場合に前記動力消費部への動力の供給を低下または停止して、前記動力源から出力される動力を前記駆動部に供給することを特徴としている。
このように構成した本発明は、動力源から供給される動力を駆動部に供給して駆動させるのに際しては、この駆動部とともに動力消費部へコントローラにて動力を供給して、この駆動部の駆動とともに動力消費部にて動力を消費させる。そして、動力源から供給される動力が不足した場合には、コントローラにて動力消費部への動力の供給を低下または停止させ、動力源から出力される動力を駆動部に供給させて駆動させる。この結果、駆動部へ供給される動力が不足した場合においても、この駆動部を駆動させるのに際し動力消費部へ供給していた動力を、瞬時に駆動部に供給できるため、この駆動部へ供給される動力が不足した場合における駆動部の操作性の低下を防止できる。
また本発明は、上記発明において、前記動力源とは異なる第2動力源を有し、前記駆動部は、前記動力源および第2動力源の少なくとも一方から供給される動力にて駆動され、前記動力消費部は、前記動力源および第2動力源の少なくとも一方から供給される動力を消費し、前記コントローラは、前記動力源および第2動力源のいずれか一方からの前記駆動部への動力供給が低下または停止した場合に、これら動力源および第2動力源のいずれか他方からの前記動力消費部への動力供給を低下または停止させることを特徴としている。
このように構成した本発明は、動力源および第2動力源のいずれか一方からの駆動部への動力供給が低下または停止した場合に、これら動力源および第2動力源のいずれか他方からの動力消費部への動力供給をコントローラにて低下または停止させて、これら動力源および第2動力源のいずれか他方にて出力される動力を駆動部に供給させる。この結果、これら動力源および第2動力源のいずれか一方からの駆動部への動力供給が低下または停止した場合であっても、駆動部を駆動させるのに際し動力消費部へ供給していた動力を、瞬時に駆動部に供給できる。よって、これら動力源および第2動力源のいずれか一方からの動力供給が低下または停止した場合における駆動部の操作性の低下を防止できる。
また本発明は、上記発明において、前記動力源は、エンジンと、このエンジンにて駆動される発電機と、を含み、前記第2動力源は、蓄電器であって、これら発電機および蓄電器から供給される電力を所定の値に保つバスラインと、このバスラインにて保たれている電力をインバータ制御するインバータと、を有し、前記コントローラは、前記バスラインに保たれている電力を前記インバータにてインバータ制御して前記駆動部および動力消費部を制御することを特徴としている。
このように構成した本発明は、発電機および蓄電器から供給される電力をバスラインにて所定の値に保ち、このバスラインにて保たれている電力をインバータ制御するインバータをコントローラにて制御して駆動部および電力消費部を制御する。よって、動力消費部への電力の供給を低下または停止させ、この電力消費部へ供給していた電力を駆動部に供給する際の制御を、インバータによるインバータ制御にて適切かつ瞬時にできるため、例えば蓄電器からの電力供給が低下または停止した場合における駆動部の操作性の低下をより適切に防止できる。
また本発明は、前記動力源は、エンジンを含み、前記第2動力源は、蓄電器であって、前記動力消費部は、前記エンジンを冷却するための冷却機であることを特徴としている。
このように構成した本発明は、エンジンを冷却するための冷却機を動力消費部とすることにより、例えば蓄電器からの電力供給が停止した場合に、冷却機への電力供給を一時的に停止させた場合であっても、この冷却機を停止させることに伴うエンジンの支障等がほとんどないため、既存の補機である冷却機を有効に活用できる。
本発明は、動力源から供給されるエネルギを駆動部に供給して駆動させるのに際し、この駆動部とともに動力消費部に動力をコントローラにて供給し、この駆動部の駆動とともに動力消費部にて動力を消費させる。そして、動力源から供給される動力が不足した場合に、コントローラにて動力消費部への動力の供給を低下または停止させ、動力源から出力される動力を駆動部に供給させて駆動させる構成にしてある。この構成により本発明は、駆動部へ供給される動力が不足した場合においても、この駆動部を駆動させるのに際し動力消費部へ供給していた動力を、瞬時に駆動部に供給できるため、この駆動部へ供給される動力が不足した場合における駆動部の操作性の低下を防止できる。そして、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明より明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るハイブリッドホイールローダの蓄電器に故障が発生した場合の電力制御を示す説明図である。 上記ハイブリッドホイールローダの駆動制御を示す概略構成図である。 上記ハイブリッドホイールローダを示す側面図である。
以下、本発明に係る作業車両の一実施形態として、ハイブリッドホイールローダ1を例に挙げて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るハイブリッドホイールローダの蓄電器に故障が発生した場合の電力制御を示す説明図である。図2は、ハイブリッドホイールローダの駆動制御を示す概略構成図である。図3は、ハイブリッドホイールローダを示す側面図である。
<構成>
図1ないし図3に示すように、ハイブリッドホイールローダ1は、このハイブリッドホイールローダ1の車体1aに搭載された可動部のうちの走行装置2を電動化した電力システム制御を備え、シリーズ型のハイブリッドシステムが搭載されたハイブリッド建設車両である。ここで、本発明に係るハイブリッド式の作業車両としては、油圧駆動を電力でアシストするものの他、電力駆動を電力でアシストするものも含まれるものとする。
具体的に、ハイブリッドホイールローダ1は、動力源であるエンジン3の出力軸に、発電機もしくは電動機としてのMG(モータ・ジェネレータ)である発電電動機4が取り付けられている。この発電電動機4は、エンジン3の動力Aを発電電力Bに変換する発電電動機であって、コントローラとしてのインバータ4aにてインバータ制御される構成とされている。
また、走行装置2は、いわゆる駆動装置であって、図2に示すように、この走行装置2の車両走行軸であるプロペラシャフト2aに、一対の前輪2bを駆動させる走行モータ5aと、一対の後輪2cを駆動させる走行モータ5bとがそれぞれ取り付けられている。これら走行モータ5a,5bは、発電電動機4にて変換された発電電力Bをプロペラシャフト2aを介して前輪2bまたは後輪2cを駆動させる出力に変換する走行電動機であり、インバータ6a,6bにて別個にインバータ制御される。ここで、この図2においては、前輪2bを駆動させる走行モータ5aと、後輪2cを駆動させる走行モータ5bとが別個とされているが、図1においては、一つのインバータ6にて一つの走行モータ5を制御してプロペラシャフト2aを駆動させ、このプロペラシャフト2aを介して各前輪2bおよび後輪2cを駆動させる構成とされている。
そして、走行装置2は、エンジン3の動力Aを発電電動機4にて変換した発電電力Bにてプロペラシャフト2aを介して各走行モータ5a,5bを回転させ、これら走行モータ5a,5bの回転により前輪2bおよび後輪2cを回転駆動させて車体1aを走行させる。さらに、発電電動機4を制御するインバータ4a、および各走行モータ5a,5bを制御するインバータ6a,6bは、これらインバータ6a,6bにてインバータ制御する電圧を、例えば600V等の所定の電圧に保つDCバスライン7に接続されている。このDCバスライン7は、発電電動機4にて変換された発電電力Bが供給され、この発電電力Bが各インバータ4a,6a,6bにてインバータ制御される構成とされている。
さらに、発電電動機4には、油圧ポンプ8が取り付けられている。この油圧ポンプ8は、土砂などの掘削作業を行うフロント作業機9を動作させるバケットシリンダ9aおよびアームシリンダ9bへ油を送るメインポンプ8aと、走行装置2の駆動を停止させるブレーキペダル11aおよびパーキングブレーキ11bへ油を送るブレーキポンプ8bと、ステアリング11cへ油を送るステアリングポンプ8cとで構成された3ポンプ式とされている。そして、これら油圧ポンプ8には、これら油圧ポンプ8からの油の供給を制御するコントロールバルブ12が取り付けられている。
このコントロールバルブ12は、フロント制御部12a、ブレーキ制御部12b、およびステアリング制御部12cを備えている。具体的に、フロント制御部12aは、メインポンプ8aからフロント作業機9のバケットシリンダ9aおよびアームシリンダ9bへの油の供給を制御する。また、ブレーキ制御部12bは、ブレーキポンプ8bからブレーキペダル11aおよびバーキングブレーキ11bの油圧シリンダ(図示せず)への油の供給を制御する。さらに、ステアリング制御部12cは、ステアリングポンプ8cからステアリング11cの油圧シリンダ(図示せず)への油の供給を制御する構成とされている。
さらに、DCバスライン7には、図1に示すように、蓄電器としてのキャパシタ15が取り付けられている。このキャパシタ15は、高応答に電力バランスを調整できる構成とされており、発電電動機4にて変換した発電電力Bの過不足を調整、すなわちDCバスライン7へ電力の過不足を供給するための第2動力源とされている。そして、このキャパシタ15は、DCDCコンバータである制御コントローラ15aにてキャパシタ15の蓄電電圧が昇降圧制御されDCバスライン7に供給される。この制御コントローラ15aは、DCバスライン7のバス電圧を常に一定に保つことによって、このDCバスライン7の電力の過不足を高応答に調整する。
そして、キャパシタ15は、エンジン3の駆動により発電電動機4にて発電された発電電力BがDCバスライン7を介して供給され、この発電電力Bを蓄電するとともに、このキャパシタ15に蓄電した蓄電電力Cを、DCバスライン7を介してインバータ6にてインバータ制御されて走行モータ5に供給する。よって、ハイブリッドホイールローダ1には、動力源としてエンジン3とキャパシタ15とが搭載されている。
エンジン3には、このエンジン3の駆動時に生じる熱を冷却するためにラジエータおよびオイルクーラ(いずれも図示せず)に冷却風をあてて冷却する冷却機としての冷却装置16が設けられている。この冷却装置16は、発電電動機4にて変換された発電電力Bを強制的に消費するための電力消費部であって、エンジン3を稼働させるために必要な付属部品、すなわち補機類である。具体的に、この冷却装置16は、冷却ファン16aを備えている。この冷却ファン16aには、この冷却ファン16aを駆動させるための油圧回路16bおよび電動油圧ポンプ16cが取り付けられている。この電動油圧ポンプ16cは、発電電動機4より早い電力応答性を有する構成とされている。さらに、この電動油圧ポンプ16cには、この電動油圧ポンプ16cへ供給する電力Dをインバータ制御するためのコントローラであるインバータ16dが取り付けられており、このインバータ16dはDCバスライン7に電気的に接続されている。
さらに、各インバータ4a,6,16dは、これらインバータ4a,6,16dによるインバータ制御が統合コントローラ17にて制御される構成とされている。これら統合コントローラ17および各インバータ4a,6,16dは、CAN(Controller Area Network)通信等を用いて結線されており、相互に指令値および状態量を送受信できる構成とされている。さらに、この統合コントローラ17には、ブレーキペダル11aに加え、アクセルペダル11dが接続されており、これらアクセルペダル11aおよびブレーキペダルの11b操作に基づいて各インバータ4a,6,16dのインバータ制御を制御する構成とされている。すなわち、この統合コントローラ17は、いわゆるハイブリッド統合コントローラであって、各インバータ4a,6,16dに接続され、これら各インバータ4a,6,16dに対して指令を与える。
具体的に、統合コントローラ17には、発電電動機4を制御するインバータ4aに与える発電トルク指令Eを演算する発電トルク演算部17aと、冷却装置16の電動油圧ポンプ16cを制御するインバータ16dに与える冷却トルク指令Fを演算する冷却トルク演算部17bと、走行装置2の走行モータ5を制御するインバータ6に与える走行トルク指令Gを演算する走行トルク演算部17cとが設けられている。さらに、これら発電トルク演算部17a、冷却トルク演算部17bおよび走行トルク演算部17cは、電力バランス制御部17dに接続されている。
この電力バランス制御部17dは、この電力バランス制御部17dでの演算結果に基づく要求発電電力指令Hを発電トルク演算部17aへ与え、この電力バランス制御部17dでの演算結果に基づく要求電力指令Jを冷却トルク演算部17bへ与える。また、この電力バランス制御部17dは、アクセルペダル11dのペダル踏込量に応じた走行要求指令Kに基づいて走行トルク演算部17cにて演算された推定走行電力指令Lを受信する構成とされている。
<作用効果>
次に、上記一実施形態のハイブリッドホイールローダ1の統合コントローラ17による制御方法を、図1を参照して説明する。
まず、統合コントローラ17の発電トルク演算部17aにて演算された発電トルク指令Eがインバータ4aへ与えられた場合には、この発電トルク指令Eに基づいてインバータ4aによる発電電動機4のインバータ制御が調整される。そして、この調整されたインバータ4aによるインバータ制御に基づいて、発電電動機4にて変換した発電電力BがDCバスライン7に供給される。
また、統合コントローラ17の走行トルク演算部17cにて演算された走行トルク指令Gがインバータ6へ与えられた場合には、この走行トルク指令Gに基づいてインバータ6による走行モータ5のインバータ制御が調整される。そして、この調整されたインバータ6によるインバータ制御に基づいて、DCバスライン7から走行モータ5へ供給される走行電力Mが調整され、この供給された走行電力Mにて走行モータ5が駆動されて走行動力Nを生じさせ、この走行動力Nにてプロペラシャフト2aを回転駆動させて、各前輪2bおよび後輪2cが適宜駆動される。
さらに、アクセルペダル11dがオペレータにて踏み込まれ、所定のペダル踏込量が入力され、オペレータの走行要求がなされた場合には、この走行要求に応じた走行要求指令Kに基づいて、統合コントローラ17の走行トルク演算部17cにて走行トルクが演算される。そして、この走行トルク演算部17cにて演算された走行トルクに基づく走行トルク指令Gがインバータ6へ与えられる。
このとき、統合コントローラ17の走行トルク演算部17cにて走行モータ5が必要とする推定電力が演算され、この演算された推定電力に基づく推定走行電力指令Lが電力バランス制御部17dへ与えられる。そして、この電力バランス制御部17dにて、DCバスライン7から供給される電力不足にてシステムダウンが生じないように電力バランス制御が行われて要求発電電力が演算される。この後、この電力バランス制御部17dにて演算された要求発電電力に基づく要求発電電力指令Hが発電トルク演算部17aへ与えられ、この要求発電電力指令Hを加算しつつ発電トルク演算部17aにて演算した発電トルク指令Eがインバータ4aへ与えられる。
次いで、上記キャパシタ15に不具合が生じた場合の制御について説明する。
すなわち、故障等によりキャパシタ15に何等かの不具合が生じ、このキャパシタ15に蓄電させた蓄電電力CによるDCバスライン7への電力供給が低下または停止して、この蓄電電力CをDCバスライン7に供給できなくなると、このキャパシタ15の蓄電電力Cにて、走行装置2の走行モータ5へ供給される走行電力Mの過不足分を高応答に調整できなくなる。
この場合に、統合コントローラ17の走行トルク演算部17cにて、オペレータからの走行要求指令Kに従い走行モータ5へ供給する推定走行電力指令Lが演算されて電力バランス制御部17dへ出力される。
そして、この電力バランス制御部17dにおいては、オペレータからの走行要求指令Kが入力された際に、発電電動機4の応答遅れとして予想される、例えば10kW程度の推定不足電力Pが算出され、この算出した推定不足電力Pが要求発電電力指令Hに加算される。
同時に、この要求発電電力指令Hに加算した推定予測電力Pを、冷却トルク演算部17bに与える要求電力指令Jに加算し、この推定不足電力Pを加えた要求電力指令Jに基づいて冷却トルク演算部17bにて冷却トルク指令Fが演算されてインバータ16dに与えられる。そして、この冷却トルク指令Fに基づく電力Dがインバータ16dを介してDCバスライン7から電動油圧ポンプ16cへ供給され、この電動油圧ポンプ16cによる冷却ファン16aの駆動により、推定不足電力P分の余剰電力を加算した電力Dを消費させておく。
この状態で、オペレータにてアクセルペダル11dが強く踏み込まれ、より大きな走行要求があった場合には、この走行要求指令Kに基づいて統合コントローラ17の走行トルク演算部17cにて推定走行電力指令Lが演算される。そして、この推定走行電力指令Lに基づく要求発電電力指令Hが電力バランス制御部17dにて演算されて発電トルク演算部17aへ出力される。同時に、DCバスライン7からの電力不足によるシステムダウンの防止を目的として電動油圧ポンプ16cの消費電力に予め加算しておいた推定不足電力Pを減算した要求電力指令Jが電力バランス制御部17dにて演算されて冷却トルク演算部17bへ出力される。
以上から、本発明の一実施形態においては、キャパシタ15に不具合が生じ、このキャパシタ15に蓄電させた電力による走行アシストができなくなった状態で、アクセルペダル11dが強く踏み込まれ、より大きな走行要求指令Kが発信された場合に、冷却装置16の電動油圧ポンプ16cの電力Dに予め加算して消費させた推定不足電力Pを、走行モータ5を駆動させるための走行電力Mに加算できる。
したがって、キャパシタ15に不具合が生じた際に生じ得る、DCバスライン7から走行モータ5へ供給される走行電力Mの電力不足を補うことができる。よって、走行装置2の走行モータ5へ供給される走行電力Mが不足する前に、冷却装置16の電動油圧ポンプ16cに供給していた動力Dを、瞬時に走行モータ5へ供給できる。このため、この走行モータ5へ供給される走行動力Mが不足することなく、この走行モータ5を備えた走行装置2の走行操作性の低下を防止できる。
よって、走行モータ5の走行トルクを制限することなく、かつ電力不足によるシステムダウンが生じないように電力制御して、通常時と同様の走行動作が可能となる。このため、キャパシタ15に蓄電した蓄電電力Cで走行モータ5への走行電力Mの過不足を高応答に調整できなくなった場合においても、オペレータが意図したとおりに走行モータ5の駆動を高応答に調整でき、走行動作させることができる。
したがって、推定不足電力P分を余剰電力として強制的に消費させず、電力不足が生じる場合にエンジン3の回転数を上げ発電電動機4にて変換される発電電力Bを上げて、走行装置2の走行モータ4へ供給される走行電力Mの不足分を補う場合に比べ、走行装置2の駆動力(トルク)を抑えることなく、オペレータがアクセルペダル11dを踏み込んでから所望する速度に達するまでの時間を短縮でき、所望する加速を得ることができる。
また、冷却ファン16aを駆動させる電動油圧ポンプ16cが、発電電動機4より早い電力応答性を有するため、この電動油圧ポンプ16cに予め消費させていた推定不足電力Pをより速い電力応答性で走行電力Mとして用いることができるから、DCバスライン7からの電力不足によるシステムダウンをより確実に防止できる。
さらに、発電電動機4にて変換された発電電力Bとキャパシタ15からの蓄電電力Cとから、DCバスライン7の電圧を所定の値に保ち、このDCバスライン7にて保たれている電力を、各インバータ6,16dにてインバータ制御して走行装置2の走行モータ5、冷却装置16の電動油圧ポンプ16c等へ供給する。このため、この冷却装置16の電動油圧ポンプ16cへの電力供給を低下または停止させ、この電動油圧ポンプ16cへ供給していた電力Dを走行装置2の走行モータ5へ供給する際の切り換え制御を、各インバータ6,16dによるインバータ制御にて適切かつ瞬時にできる。よって、キャパシタ15に不具合が生じ、このキャパシタ15からの電力供給が低下または停止した場合における、走行装置2の操作性の低下をより適切に防止できる。
また、キャパシタ15に不具合が生じた際に生じ得る、DCバスライン7から走行モータ5へ供給される走行電力Mの不足を補うことを目的として、この走行モータ5の駆動に不足すると推定される推定走行電力P分を加算した電力Dを、エンジン3を冷却するための冷却装置16の電動油圧ポンプ16cに供給して消費させている。この結果、キャパシタ15に不具合が生じた場合に、冷却装置16の電動油圧ポンプ16cへの電力供給を一時的に低下または停止させて冷却ファン16aによるエンジン3の冷却が低下または停止したとしても、このエンジン3の駆動に対する支障や破損等がほとんどないため、既存の補器類である冷却装置16を有効に活用できる。
<その他>
なお、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形態様が含まれる。例えば、前述した実施形態は、本発明を分りやすく説明するために説明したものであり、本発明は、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
さらに、上記一実施形態においては、可動部のうちの走行装置2を電動化したハイブリッドホイールローダ1を例とし、その態様を説明した。しかしながら本発明はこれに限定されず、例えば、ホイール式の油圧ショベルや、可動部のうちの旋回モータを電動化したハイブリッド油圧ショベル、およびハイブリッドクレーン、その他の一部または全部の可動部を電動化した種々の作業車両においても、対応させて用いることができる。
また、キャパシタ15に不具合が生じた場合に、発電電動機4の応答遅れとして予想される推定不足電力Pを算出し、この推定不足電力Pを要求発電電力指令Hとともに要求電力指令Jに加算し、この推定不足電力P分の電力が加算された電力Dを冷却装置16の電動油圧ポンプ16cに供給して消費させたが、本発明はこれに限定されず、例えば、次のように構成することもできる。すなわち、キャパシタ15の不具合等とは無関係に、発電電動機4にて変換される発電電力Bを走行装置2の走行モータ5に供給して駆動させるのに際し、この走行モータ5の走行に必要な走行電力Mより多くの発電電力Bを生じさせ、この発電電力Bの一部を冷却装置16に供給して消費させておく。この結果、アクセルペダル11dの踏込量が多くなり、オペレータからの走行要求指令Kに応じた走行電力Mが不足する場合に、冷却装置16での電力供給を低下または停止させ、発電電動機4にて変換される発電電力Mを走行装置2の走行モータ5により多く供給させることができる。
さらに、エンジン3の動力Aを発電電動機4にて変換した発電電力Bを、キャパシタ15に蓄電させた蓄電電力Cで補うハイブリッド作業車両とし、キャパシタ15に不具合が生じた場合にのみ、推定不足電力P分の電力を加算した電力Dを冷却装置16に供給して消費させる構成とした。しかしながら本発明はこれに限定されず、例えば、複数のキャパシタ15を搭載させ、これらキャパシタ15のいずれか一つに不具合が生じ供給電力が低下または停止した場合に、この不具合が生じたキャパシタ15以外のキャパシタ15から冷却装置16への電力供給を低下または停止させて走行装置2へ供給する構成とすることもできる。したがって、油圧駆動を電力で補うハイブリッド作業車両のみならず、電力駆動を電力で補う電動作業車両であっても、対応させて用いることができる。
また、キャパシタ15に不具合が生じた際に推定される推定不足電力Pを電動油圧ポンプ16cに供給して冷却ファン16aを油圧駆動させる構成としたが、この冷却ファン16aを電動式とし、この冷却ファン16aに電力Dを直接供給するダイレクトドライブ式としても良い。また、エンジン3を冷却する冷却装置16以外の補機類や、エアコン、ヒータ、アシスト系のモータ等のように、供給される電力Dが一時的に低下または停止してもエンジン3等の可動部の駆動に問題を生じさせない様々な電力消費部に、推定不足電力Pを消費させる構成とすることもできる。
さらに、キャパシタ15に不具合が生じた場合には、統合コントローラ17からの各インバータ4a,6,16dへの指令を停止させ、走行装置2の走行駆動を停止させる構成とすることもできる。この場合には、所定のスイッチ等をオンして統合コントローラ17を再度駆動させた場合に、この統合コントローラ17にて走行モータ5の推定不足電力Pを演算し、この推定不足電力P分の電力を加算した電力Dを冷却装置16に供給して消費させる。そして、アクセルペダル11dを介して大きな走行要求指令Kが入力された場合に、冷却装置16にて消費させた推定不足電力Pを、走行モータ5の走行電力Mに加算させる。
1 ハイブリッドホイールローダ
1a 車体
2 走行装置
2a プロペラシャフト
2b 前輪
2c 後輪
3 エンジン
4 発電電動機
4a インバータ
5 走行モータ
5a 走行モータ
5b 走行モータ
6 インバータ
6a インバータ
6b インバータ
7 DCバスライン
8 油圧ポンプ
8a メインポンプ
8b ブレーキポンプ
8c ステアリングポンプ
9 フロント作業機
9a バケットシリンダ
9b アームシリンダ
11a ブレーキペダル
11b パーキングブレーキ
11c ステアリング
11d アクセルペダル
12 コントロールバルブ
12a フロント制御部
12b ブレーキ制御部
12c ステアリング制御部
15 キャパシタ
15a 制御コントローラ
16 冷却装置
16a 冷却ファン
16b 油圧回路
16c 電動油圧ポンプ
16d インバータ
17 統合コントローラ
17a 発電トルク演算部
17b 冷却トルク演算部
17c 走行トルク演算部
17d 電力バランス制御部
A 動力
B 発電電力
C 蓄電電力
D 電力
E 発電トルク指令
F 冷却トルク指令
G 走行トルク指令
H 要求発電電力指令
J 要求電力指令
K 走行要求指令
L 推定走行電力指令
M 走行電力
N 走行動力
P 推定不足電力

Claims (4)

  1. 車体と、この車体に取り付けられた作業機とを備えた作業車両であって、
    動力源と、
    この動力源から出力される動力をコントロールするコントローラと、
    このコントローラにて前記動力の供給が制御されて駆動が制御される駆動部と、
    前記コントローラにて前記動力の供給が制御されこの供給される動力を消費する動力消費部と、を有し、
    前記コントローラは、前記動力源から供給される動力を前記駆動部に供給して駆動させるのに際し、前記動力消費部に前記動力を供給して消費させ、前記駆動部に供給される動力が不足した場合に前記動力消費部への動力の供給を低下または停止して、前記動力源から出力される動力を前記駆動部に供給する
    ことを特徴とする作業車両。
  2. 請求項1に記載の作業車両において、
    前記動力源とは異なる第2動力源を有し、
    前記駆動部は、前記動力源および第2動力源の少なくとも一方から供給される動力にて駆動され、
    前記動力消費部は、前記動力源および第2動力源の少なくとも一方から供給される動力を消費し、
    前記コントローラは、前記動力源および第2動力源のいずれか一方からの前記駆動部への動力供給が低下または停止した場合に、これら動力源および第2動力源のいずれか他方からの前記動力消費部への動力供給を低下または停止させる
    ことを特徴とする作業車両。
  3. 請求項2に記載の作業車両において、
    前記動力源は、エンジンと、このエンジンにて駆動される発電機と、を含み、
    前記第2動力源は、蓄電器であって、
    これら発電機および蓄電器から供給される電力を所定の値に保つバスラインと、
    このバスラインにて保たれている電力をインバータ制御するインバータと、を有し、
    前記コントローラは、前記バスラインに保たれている電力を前記インバータにてインバータ制御して前記駆動部および動力消費部を制御する
    ことを特徴とする作業車両。
  4. 請求項2または3に記載の作業車両において、
    前記動力源は、エンジンを含み、
    前記第2動力源は、蓄電器であって、
    前記動力消費部は、前記エンジンを冷却するための冷却機である
    ことを特徴とする作業車両。
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