JP2014049416A - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Masanori Suenaga
真規 末永
Tomoaki Yoshikawa
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Abstract

【課題】本発明は、短絡を防止できる非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
【解決手段】負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体を備えた非水電解質二次電池であって、前記隔壁層は、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有する熱膨張部材を含み、前記熱膨張部材のガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、前記熱膨張部材のガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとが、Ex<Eyの関係を満たす、非水電解質二次電池。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、環境保護運動の高まりを背景として、電気自動車(EV)、ハイブリッド電気自動車(HEV)、および燃料電池車(FCV)の開発が進められている。これらのモータ駆動用電源としては繰り返し充放電可能な二次電池が適しており、特に高容量、高出力が期待できるリチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池が注目を集めている。
非水電解質二次電池は、集電体表面に形成された正極活物質(例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiO等)を含む正極活物質層を有する。また、非水電解質二次電池は、集電体表面に形成された負極活物質(例えば、金属リチウム、コークスおよび天然・人造黒鉛等の炭素質材料、Sn、Si等の金属およびその酸化物材料等)を含む負極活物質層を有する。さらに、非水電解質二次電池は、この正極活物質層と負極活物質層との間に設けられ、正極活物質層および負極活物質層を分離する電解質(電解液)を含む電解質層を有している。
このような非水電解質二次電池において、電池のエネルギー密度を上げていくと、異常時信頼性が下がることが知られている。異常時信頼性を向上させる技術としては、正極活物質層または負極活物質層を、無機物(アルミナなど)の耐熱粒子でオーバーコートすることにより、活物質間に耐熱層を設ける技術が知られている。また、特許文献1では、耐熱粒子と低融点ポリマーとを含む耐熱層を、活物質層間に配置した電池が開示されている。当該電池は、電池に異常発熱が生じた場合には、耐熱層中の低融点ポリマーが溶融してリチウムイオンの導通を塞ぐことができるため、シャットダウン機能を発揮することができる。
特開2006−139978号公報
しかしながら、面積(アスペクト比)の大きい電池である場合、発熱部位付近の温度上昇に比べて、発熱部位から遠く離れた場所では温度の上昇が遅れることがある。したがって、特許文献1に記載の方法では、シャットダウン機能が発熱部位付近のみに限られ、電池としてのシャットダウン機能が十分に得られないという課題がある。
そこで、本発明は、短絡を防止するシャットダウン機能に優れた非水電解質二次電池を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた。その結果、活物質層間に配置される隔壁層が、所定の熱膨張部材を含むことにより、上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体を備えた非水電解質二次電池に関する。当該非水電解質二次電池において、隔壁層に含まれる熱膨張部材は、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有し、ガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、前記熱膨張部材のガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとが、Ex<Eyの関係を満たす。
本発明の非水電解質二次電池によれば、活物質層間に配置される隔壁層が所定の熱膨張部材を含むことにより、熱膨張部材のガラス転移温度以上となった際には、熱膨張部材が膨張して極間を広げてリチウムイオンの導通を妨げることできる。よって、本発明の非水電解質二次電池は、異常発熱を抑制することができ、短絡を防止するシャットダウン機能に優れる。
本発明の電池の一実施形態である積層型電池の概要を模式的に表した断面概略図である。 本発明の熱膨張部材の熱膨張係数の変化を表す模式図である。 従来の電池における、耐熱層のシャットダウン機能を模式的に表した断面概略図である。 図4(A)および図4(B)は、本発明の電池の一実施形態における、耐熱層シャットダウン機能を模式的に表した断面概略図である。
本発明は、負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体を備えた非水電解質二次電池であって、前記隔壁層は、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有する熱膨張部材を含み、前記熱膨張部材のガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、前記熱膨張部材のガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとが、Ex<Eyの関係を満たす、非水電解質二次電池に関する。
本実施形態の非水電解質二次電池においては、負極活物質層と正極活物質層との間に、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有する熱膨張部材を含む隔壁層を有する。当該熱膨張部材の熱膨張係数は、ガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、ガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとした場合、Ex<Eyの関係を満たす。当該熱膨張部材は、電池が異常発熱した際には、熱膨張をすることで、極間を広げ、リチウムイオンの導通を妨げる。それにより、異常発熱の連鎖を抑制し、短絡を防止するシャットダウン機能が発揮される。
ここで、熱膨張係数Exとは、熱膨張部材のガラス転移温度未満の所定の温度における熱膨張係数であればよく、温度は特に制限されないが、例えば、5〜65℃の熱膨張係数が好ましく、25〜60℃の熱膨張係数がより好ましい。また、熱膨張係数Eyとは、ガラス転移温度以上の所定の温度における熱膨張係数であればよく、温度は特に制限されないが、70〜300℃の熱膨張係数が好ましく、75〜150℃の熱膨張係数がより好ましい。
本発明において、熱膨張係数の測定は、JIS R2207−010203(2007年版)に準拠して測定することができる。
また、本発明によれば、負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体を備えた非水電解質二次電池であって、前記隔壁層は、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有する熱膨張部材を含み、前記熱膨張部材のガラス転移温度以上の体積が、前記熱膨張部材のガラス転移温度未満の体積の2倍以上である、非水電解質二次電池も提供される。
当該実施形態の非水電解質二次電池においては、隔壁層に含まれる熱膨張部材は、ガラス転移温度以上で、ガラス転移温度未満の体積に対して2倍以上膨張する。これにより、ガラス転移温度以上の温度において、熱膨張部材が極間を広げ、リチウムイオンの導通を妨げる。熱膨張部材のガラス転移温度は電池の使用温度以上であるため、電池の異常発熱が発生したときに、上記のような熱膨張部材の2倍以上の膨張が生じ、シャットダウン機能が発揮される。
以下、本発明の実施形態を説明する。なお、以下では、リチウムイオン二次電池を例に挙げて説明するが、本発明はリチウムイオン二次電池以外の二次電池にも適用可能である。
<非水電解質二次電池の全体構造>
まず、添付した図面を参照しながら、本発明の製造方法により得られるリチウムイオン二次電池の全体構造を説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
図1は、本発明の電池の一実施形態である積層型電池の概要を模式的に表した断面概略図である。なお、本明細書においては、図1に示す積層型のリチウムイオン二次電池を例に挙げて詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はかような形態のみに制限されない。なお、本実施形態のリチウムイオン二次電池の構成部材である耐熱層については、図1では省略する。
図1に示すように、本実施形態の積層型リチウムイオン二次電池10は、電池外装材22を用いて、発電要素17を収納し密封した構成を有している。ここで発電要素17は、負極集電体11の両面(発電要素の最下層および最上層用は片面)に負極活物質層12が形成された負極、電解質層(セパレータ)13、および正極集電体14の両面に正極活物質層15が形成された正極を積層した構成を有している。積層の際、一の負極片面の負極活物質層12と前記一の負極に隣接する一の正極片面の正極活物質層15とが電解質層(隔壁層)13を介して向き合うようにして、負極、電解質層(隔壁層)13、正極の順に複数積層されている。
これにより、隣接する負極活物質層12、電解質層(隔壁層)13、および正極活物質層15は、一つの単電池層16を構成する。従って、本実施形態のリチウムイオン二次電池10は、単電池層16が複数積層されることで、電気的に並列接続されてなる構成を有するともいえる。発電要素17の両最外層に位置する最外層負極集電体11aには、いずれも片面のみに負極活物質層12が形成されている。なお、図1において、負極板および正極板の配置を入れ替えてもよい。その際は、発電要素17の両最外層に最外層正極集電体(図示せず)が位置するようにし、該最外層正極集電体の場合にも片面のみに正極活物質層15が形成されているようにする。
また、前記の各電極(正極および負極)と導通される負極集電板18および正極集電板19が、それぞれ負極端子リード20および正極端子リード21を介して各電極の負極集電体11および正極集電体14に超音波溶接や抵抗溶接等により取り付けられている。これにより、負極集電体11および正極集電体14に電気的に接続された負極集電板18および正極集電板19は、電池外装材22の外部に露出される構造を有している。
次に、本実施形態のリチウム二次電池を構成する各部材について説明する。
[負極]
負極は、負極集電体11の表面に負極活物質層12が形成されてなる構成を有する。
負極活物質層12は負極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダー、電解質などをさらに含みうる。
(負極集電体)
負極集電体11は、導電性材料から構成される。集電体を構成する導電性材料は、導電性を有するものであれば特に制限されず、例えば、金属や導電性高分子など従来公知のものを適宜利用することができる。具体的には、Fe、Cr、Ni、Mn、Ti、Mo、V、Nb、Al、Cu、Ag、Au、Ptおよびカーボンからなる群より選択されてなる少なくとも1種以上、例えば、2種以上の合金からなるステンレスなどその集電体材料が好ましく用いられうる。また本実施形態では、NiとAlのクラッド材、CuとAlのクラッド材、あるいはこれらの集電体材料の組み合わせのめっき材なども好ましく使える。また、上記集電体材料である金属(Alを除く)表面に、他の集電体材料であるAlを被覆させた集電体であってもよい。また、場合によっては、2つ以上の上記集電体材料である金属箔を張り合わせた集電体を用いてもよい。
集電体の厚さは、特に限定されないが、いずれの集電体も通常は1〜100μm、好ましくは1〜50μm程度である。
(負極活物質)
本実施形態で用いられる負極活物質は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵および放出できる、カーボン系の導電性材料(カーボン材料)である。このようなカーボン材料としては、人造黒鉛、ケッチェンブラック、バルカン、アセチレンブラック、ブラックパール、予め高温で熱処理したカーボン担体、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンファイバーなどからなるカーボン粒子が挙げられる。
場合によっては、負極活物質として、リチウム金属等の金属材料、リチウム−チタン複合酸化物(チタン酸リチウム:LiTi12)等のリチウム−遷移金属複合酸化物、およびその他の従来公知の負極活物質が併用されてもよい。
負極活物質層に含まれる負極活物質の平均粒径は特に制限されないが、高出力化の観点からは、好ましくは1〜20μm、さらに好ましくは1〜5μmである。なお、本明細書中において、「粒径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数〜数十視野中に観察される粒子の粒径の平均値として算出される値を採用するものとする。他の構成成分の粒径や平均粒径も同様に定義することができる。
(導電助剤)
導電助剤とは、導電性を向上させるために配合される添加物をいう。本実施形態において用いられうる導電助剤は特に制限されず、従来公知の形態が適宜参照されうる。たとえば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、グラファイト(黒鉛)、炭素繊維などの炭素材料が挙げられる。活物質層が導電助剤を含むと、活物質層の内部における電子ネットワークが効果的に形成され、電池の出力特性の向上に寄与しうる。なお、本実施形態において負極活物質として用いられるカーボン材料はそれ自体が導電性を有することもあるが、かような場合には導電助剤の使用は必ずしも必要ではない。
(バインダー)
バインダーは、活物質同士または活物質と集電体や導電助剤とを結着させて電極構造(3次元ネットワーク)を維持する目的で活物質層に加えられる。
バインダーとしては、特に制限されないが、例えば、以下の材料が挙げられる。セルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの増粘剤;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル、ポリアクリロニトリル、ポリイミド、ポリアミド、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、スチレンブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体およびその水素添加物、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体およびその水素添加物などの熱可塑性樹脂;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂;ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴム;アクリル樹脂;ポリウレタン樹脂;およびユリア樹脂;が挙げられる。これらをそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。なお、これらバインダーは、製造過程では、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)など、バインダーが可溶な有機溶媒に溶解させたものを使用することもできる。
(電解質)
負極活物質層12に含まれうる電解質の具体的な形態については、後述の[電解質層]の欄に記載のものと同様であるため、ここでは詳細な説明を省略する。
(添加剤)
本実施形態の負極活物質層12に含まれうるその他の添加剤としては、たとえば、イオン伝導性ポリマー等が挙げられる。
負極活物質層12中に含まれうる上記の成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水電解質二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。負極活物質層の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、負極活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
[正極]
正極は、正極集電体14の表面に正極活物質層15が形成されてなる構成を有する。
正極集電体14は、導電性材料から構成される。正極集電体を構成する導電性材料の種類やその厚さについては、負極集電体11について上述したのと同様の形態が採用されうるため、ここでは詳細な説明を省略する。
正極活物質層15は正極活物質を含み、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダー、電解質などをさらに含みうる。なお、正極活物質以外の成分については、負極活物質層12について上述したのと同様の形態が採用されうる。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムの吸蔵放出が可能な材料であれば特に限定されず、リチウムイオン二次電池に通常用いられる正極活物質が利用されうる。具体的には、リチウム−遷移金属複合酸化物が好ましく、例えば、LiMnなどのLi−Mn系複合酸化物、LiNiOなどのLi−Ni系複合酸化物、LiNi0.5Mn0.5などのLi−Ni−Mn系複合酸化物、LiCoO等のLi−Co系複合酸化物、LiFeO等のLi−Fe系複合酸化物等のリチウム−遷移金属酸化物;LiMPO(M=Fe、Mn、Co、Ni)等のリチウム−遷移金属リン酸化合物;リチウム−遷移金属硫酸化合物;が挙げられる。また、LiNiO、LiNiOの一部をCoもしくはMnで置換したもの(例えば、LiNiCoO、LiNiMnOなど)、またはCoおよびMnで置換したもの(例えば、LiNiMnCoOなど)、またはCoおよびAlで置換したもの(例えば、LiNiCoAlOなど)、またはその他の遷移金属で置換したもの(例えば、LiNiCoAlMOなど)が挙げられる。また、Ni、Mn、Coの比が1:1:1であるLiNi1/3Mn1/3Co1/3などの3元系のリチウム−遷移金属酸化物が挙げられる。
正極活物質層中に含まれる上記成分の配合比は、特に限定されない。配合比は、非水電解二次電池についての公知の知見を適宜参照することにより、調整されうる。また、正極活物質層の厚さについても特に制限はなく、電池についての従来公知の知見が適宜参照されうる。一例を挙げると、正極活物質層の厚さは、2〜100μm程度である。
[電解質層(隔壁層)]
電解質層(隔壁層)13は、負極活物質層12と正極活物質層15との間の空間的な隔壁(スペーサ)として機能する。また、これと併せて、充放電時における正負極間でのリチウムイオンの移動媒体である電解質を保持する機能をも有する。よって、電解質層とは、隔壁層が電解質を保持した形態である。以下、電解質層(隔壁層)の好ましい形態について述べる。
電解質層(隔壁層)は、熱膨張部材を含む。また、電解質層(隔壁層)は、熱膨張部材を含む層(隔壁層)として形成されるのが好ましい。そのため、熱膨張部材を含む層(隔壁層)としては、必要に応じて、バインダーなどをさらに含みうる。なお、バインダーについては、負極活物質層12について上述したのと同様の形態が採用されうる。
(熱膨張部材)
本実施形態で用いられる熱膨張部材としては、ガラス転移温度を電池の使用温度以上に有し、ガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、ガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとが、Ex<Eyの関係を満たすものである。
なお、本明細書中、ガラス転移温度(Tg)とは、ガラス転移が生じる温度を意味する。ガラス転移とは、低温では堅く流動性がない固体(非晶質固体材料)が、ある温度範囲で急速に剛性と粘度が低下し流動性が増加することをいう。
本明細書中、熱膨張係数とは、1K当たりで、温度の上昇によって変化する体積の割合を示したものであり、単位は「1/K」である。なお、熱膨張係数は、熱膨張率または体積膨張率とも呼ばれる。本実施形態の熱膨張部材は、ガラス転移温度に達した際に、熱膨張係数が大きく変化することに特徴を有する。すなわち、熱膨張部材のガラス転移温度未満の熱膨張係数をExとし、ガラス転移温度以上の熱膨張係数をEyとした場合、Ex<Eyの関係を満たす。図2に、熱膨張係数の変化を模式的に表したグラフを示す。図2に示されるように、ガラス転移温度以上の熱膨張係数は、ガラス転移温度未満の熱膨張係数に比べて、大きい。ガラス転移温度未満では熱膨張部材の体積の変化率は極めて小さいため、ほぼ一定の熱膨張係数を示し、ガラス転移温度以上では、熱膨張部材の体積が大きく変化するため、体積の変化率が大きく変化し、熱膨張係数が大きく変化する。「熱膨張係数ExとEyとがEx<Eyの関係を満たす」とは、上記のことを表したものである。
熱膨張部材のガラス転移温度未満の熱膨張係数Exおよびガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyは、上記関係を満たせば特に制限されない。
ここで、熱膨張係数Exとは、熱膨張部材のガラス転移温度未満の所定の温度における熱膨張係数であればよく、温度は特に制限されないが、例えば、5〜65℃の熱膨張係数が好ましく、25〜60℃の熱膨張係数がより好ましい。また、熱膨張係数Eyとは、ガラス転移温度以上の所定の温度における熱膨張係数であればよく、温度は特に制限されないが、70〜300℃の熱膨張係数が好ましく、75〜150℃の熱膨張係数がより好ましい。また、たとえば、熱膨張部材のガラス転移温度を基準として、±5〜20℃の範囲の熱膨張係数を、それぞれExとEyとして比較することもできる。具体的には、ガラス転移温度よりも5〜20℃(好ましくは10〜20℃、より好ましくは10℃)低い温度での熱膨張係数をExとする。また、ガラス転移温度より5〜20℃(好ましくは10〜20℃、より好ましくは10℃)高い温度での熱膨張係数をEyとする。
また、本発明の熱膨張部材は、ガラス転移温度以上の体積が、ガラス転移温度未満の体積(100%)に対して、2倍(200%)以上であるのが好ましく、4倍(400%)以上であるのがもっとも好ましい。
ここで、「熱膨張部材のガラス転移温度未満の体積」とは、熱膨張部材のガラス転移温度未満の所定の温度における熱膨張部材の体積であればよく、温度は特に制限されないが、25℃での体積が好ましい。また、「熱膨張部材のガラス転移温度以上の体積」とは、ガラス転移温度以上の所定の温度における熱膨張部材の体積であればよく、温度は特に制限されないが、70〜300℃での体積が好ましく、75〜150℃での体積がより好ましい。具体的には、ガラス転移温度より5〜20℃(好ましくは10〜20℃、より好ましくは10℃)高い温度での体積を、「熱膨張部材のガラス転移温度以上の体積」とし、「熱膨張部材のガラス転移温度未満の体積」と比較することができる。
する。
なお、これらの熱膨張部材の体積膨張は、ガラス転移温度未満での変化率は無視できるほど小さく、ガラス転移温度において大きく変化する。
熱膨張部材のガラス転移温度は、電池の使用温度以上であればよい。熱膨張部材のガラス転移温度が電池の使用温度以上であれば、熱膨張部材の熱膨張による、リチウムイオンの導通を妨げる効果がより効果的に発揮される。電池の使用温度とは、具体的には、70℃未満であり、−20℃以上70℃未満であるのが好ましい。熱膨張部材のガラス転移温度は、70℃以上であるのが好ましく、より好ましくは72℃以上、さらに好ましくは75℃以上である。熱膨張部材のガラス転移温度の上限は特に制限されないが、例えば、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下、さらに好ましくは150℃以下、特に好ましくは140℃以下である。
熱膨張部材としては、形状記憶ポリマー(SMP;Shape Memory Polymer)であるのが好ましい。形状記憶ポリマーとは、一定の温度で変形しても、加熱すると元の形に戻る性質をもつ樹脂(高分子)である。熱膨張部材が形状記憶ポリマーであれば、ガラス転移温度以上において形状記憶ポリマーが熱膨張を生じ、このような熱膨張により、極間を広げ、リチウムイオンの導通を妨げる。それにより、異常発熱の連鎖を抑制し、短絡を防止するシャットダウン機能がより効果的に発揮される。形状記憶ポリマーとしては、ポリウレタン、ポリノルボルレン、トランスポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。ポリウレタンとしては、例えば、ポリエステル系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエーテル/エステル系ポリウレタン等が挙げられる。形状記憶ポリマーの分子量(質量平均)は特に制限されず、例えば、1,000〜50,0000である。なお、本明細書中、ポリマーの分子量(質量平均)とは、GPC分析によるポリスチレン換算値として測定される値を意味する。
形状記憶ポリマーとしては、公知の方法で合成してもよいし、市販のものを用いてもよい。形状記憶ポリマーの市販品としては、ポリウレタン系形状記憶ポリマーとして、株式会社SMPテクノロジーズ製;ディアプレックス(ダイアリイ)シリーズ(MM−7520、MM−9020、MS−9010、MS−9020、MS−7015、MS−7050、MS−7060、MS−7520、MS−9030、MS−9031、MS−9032、MS−9033、MS−9034、MS9110、MS9035)より、入手することができる。
本実施形態の非水電解質二次電池は、熱膨張部材を含む層(隔壁層)を極間に有するためにシャットダウン機能に優れる。以下、図面を用いて、本実施形態のシャットダウン機能について説明する。
図3は、従来のリチウムイオン二次電池の積層電極体40のシャットダウン機能を模式的に表した断面概略図である。従来のリチウムイオン二次電池では、耐熱粒子と低融点ポリマーとを含む耐熱層41を、活物質層間に配置している。当該電池は、電池に異常発熱が生じた場合には、耐熱層中の低融点ポリマーが溶融してリチウムイオンの導通を塞ぐため、シャットダウン機能を有する。図3は、当該電池において、内部短絡が生じた場合、すなわち、耐熱層および電解質により構成される電解質層において、短絡部位を有する場合を図示している。この場合、短絡部位41の周辺において温度が上昇し、その結果、負極活物質層12および正極活物質層15における短絡部位付近43の温度が高くなり、その部分においてシャットダウン機能が発揮される。しかし、短絡部位から離れた部位44においては、温度が上がらず、よってシャットダウン機能が発揮されにくい。その結果、リチウムイオンは、シャットダウン効果の発現していない部位(すなわち、短絡部付近から離れた部位)を通過することができ、その結果、短絡電流が流れてしまう(矢印45)ことが考えられる。
これに対し、図4(A)および(B)は、本発明のリチウムイオン二次電池の積層電極体50のシャットダウン機能を模式的に表した断面概略図である。図4(A)に示されるように、本発明のリチウムイオン二次電池は、熱膨張部材を含む隔壁層を、活物質層間に配置している。図4(A)は、当該電池において、内部短絡が生じた場合、すなわち、隔壁層および電解質により構成される電解質層において、短絡部位51を有する場合を図示している。この場合、短絡部位51の周辺において温度が上昇し、その結果、その部分において熱膨張部材が膨張する。そして、図4(B)に示されるように、膨張部材が膨張することにより、活物質層間が拡張され、短絡部位が消失する。すなわち、本発明の電池は、電池に異常発熱が生じた場合には、隔壁層中の熱膨張部材が膨張して、活物質層間を拡張するため、結果として、短絡部位を除去することができる。
熱膨張部材は、熱膨張部材を含む層(隔壁層)の構成成分として形成されるのが好ましい。熱膨張部材は、熱膨張部材を含む層(隔壁層)の固形成分100質量%に対して、好ましくは10〜99.8質量%、より好ましくは25〜99.5質量%、さらに好ましくは30〜99質量%含まれる。また、バインダーは、熱膨張部材を含む層(隔壁層)の固形成分100質量%に対して、好ましくは0.2〜90質量%、より好ましくは0.5〜75質量%、さらに好ましくは1〜70質量%含まれる。
また、熱膨張部材を含む層(隔壁層)の厚さは、特に制限されないが、活物質層間を隔離させるという観点から、1〜100μmであるのが好ましい。より好ましくは2〜75μm、さらに好ましくは3〜50μm、特に好ましくは4〜30μmである。
(電解質)
電解質層を構成する電解質に特に制限はなく、液体電解質、ならびに高分子ゲル電解質および高分子固体電解質等のポリマー電解質を適宜用いることができる。
液体電解質は、溶媒に支持塩であるリチウム塩が溶解したものである。溶媒としては、たとえば、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジプロピルカーボネート(DPC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、プロピオン酸メチル(MP)、酢酸メチル(MA)、ギ酸メチル(MF)、4−メチルジオキソラン(4MeDOL)、ジオキソラン(DOL)、2−メチルテトラヒドロフラン(2MeTHF)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ブチレンカーボネート(BC)、およびγ−ブチロラクトン(GBL)などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせた混合物として使用してもよい。
また、支持塩(リチウム塩)としては、特に制限はないが、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiTaF、LiSbF、LiAlCl、Li10Cl10、LiI、LiBr、LiCl、LiAlCl、LiHF、LiSCN等の無機酸陰イオン塩、LiCFSO、Li(CFSON、LiBOB(リチウムビスオキサイドボレート)、LiBETI(リチウムビス(パーフルオロエチレンスルホニルイミド);Li(CSONとも記載)等の有機酸陰イオン塩などが挙げられる。これらの電解質塩は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
一方、ポリマー電解質は、電解液を含むゲル電解質と、電解液を含まない高分子固体電解質に分類される。ゲル電解質は、リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーに、上記の液体電解質が注入されてなる構成を有する。リチウムイオン伝導性を有するマトリックスポリマーとしては、たとえば、ポリエチレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PEO)、ポリプロピレンオキシドを主鎖または側鎖に持つポリマー(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメタクリル酸エステル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリ(メチルアクリレート)(PMA)、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)などが挙げられる。また、上記のポリマー等の混合物、変成体、誘導体、ランダム共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体なども使用できる。これらのうち、PEO、PPOおよびそれらの共重合体、PVdF、PVdF−HFPを用いることが望ましい。かようなマトリックスポリマーには、リチウム塩等の電解質塩がよく溶解しうる。
なお、電解質層が液体電解質やゲル電解質から構成される場合であっても、熱膨張部材を含む層(隔壁層)がセパレータとして機能するため、電解質層に別途セパレータを用いる必要はないが、電解質層にセパレータを用いてもよい。この際、セパレータは、熱膨張部材を含む層(隔壁層)の一面または両面に形成してもよく、セパレータにより本発明の隔壁層の作用を妨げることはない。セパレータの具体的な形態としては、たとえば、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィンやポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン(PVdF−HFP)等の炭化水素、ガラス繊維などからなる微多孔膜が挙げられる。
高分子固体電解質は、上記のマトリックスポリマーに支持塩(リチウム塩)が溶解してなる構成を有し、可塑剤である有機溶媒を含まない。したがって、電解質層が高分子固体電解質から構成される場合には電池からの液漏れの心配がなく、電池の信頼性が向上しうる。
高分子ゲル電解質や高分子固体電解質のマトリックスポリマーは、架橋構造を形成することによって、優れた機械的強度を発揮しうる。架橋構造を形成させるには、適当な重合開始剤を用いて、高分子電解質形成用の重合性ポリマー(たとえば、PEOやPPO)に対して熱重合、紫外線重合、放射線重合、電子線重合などの重合処理を施せばよい。なお、上記電解質は、電極の活物質層中に含まれていてもよい。
[集電板]
集電板(正極集電板18および負極集電板19)の材質は、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼、これらの合金などを用いることができる。これらは特に制限されず、集電板として従来用いられている公知の材質が用いられうる。なお、正極集電板と負極集電板とでは、同一の材料が用いられてもよいし、異なる材料が用いられてもよい。
[正極端子および負極端子リード]
正極端子リード21および負極端子リード20をそれぞれ介して、集電体は集電板と電気的に接続されている。
正極および負極端子リードの材料は、公知の非水電解質二次電池(リチウムイオン電池)で用いられるリードを用いることができる。なお、電池外装材から取り出された部分は、周辺機器や配線などに接触して漏電したりして製品(例えば、自動車部品、特に電子機器等)に影響を与えないように、耐熱絶縁性の熱収縮チューブなどにより被覆するのが好ましい。
[電池外装材]
本実施形態のリチウムイオン二次電池10では、使用時の外部からの衝撃や環境劣化を防止するために、発電要素17全体が電池外装材22の内部に収容される。電池外装材22としては、ラミネートシートが用いられうる。ラミネートシートは、例えば、ポリプロピレン、アルミニウム、ナイロンがこの順に積層されてなる3層構造として構成されうる。なお、場合によっては、従来公知の金属缶ケースもまた、外装として用いられうる。
また、本実施形態において、負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体は、重ねて倦回して、金属缶へ入れて、倦回型の缶型電池としてもよい。しかしながら、短絡が生じた際の発熱による熱膨張部材の膨張を、缶型では押さえ込み、極間を広げることができない場合もある。そのため、異常時信頼性の観点から、積層電極体をそのままラミネートに入れ、積層のラミネート電池とするのが好ましい。
<非水電解質二次電池の製造方法>
本実施形態のリチウム二次電池の製造方法は、まず、積層電極体を得る。積層電極体は、上述のように、正極活物質層と、負極活物質層と、正極活物質および負極活物質層との間に配置される隔壁層とが積層されて構成される。以下、本実施形態のリチウム二次電池の製造方法について、詳細に説明する。
「積層電極体」
(1)負極および正極を準備する。
負極および正極は、集電体の表面に、活物質層12が形成されてなる。活物質層の形成方法は、公知の方法により形成することができ、特に制限されない。例えば、集電体に活物質用スラリーを塗布、乾燥し、必要によりプレスすることにより、負極または正極を作製することができる。活物質層用スラリーとしては、活物質(負極活物質または正極活物質)と、必要に応じて電気伝導性を高めるための導電助剤、バインダーなどの電極材料を、溶媒に分散して調製する。
溶媒としては、特に制限されないが、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロパノール、水などが用いられうる。水などの水性溶媒を用いる場合は、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを添加するとよい。溶媒の量は、特に制限されないが、スラリーの全質量に対して、好ましくは1〜90質量%、より好ましくは5〜80質量%、さらに好ましくは10〜75質量%である。
(2)隔壁層を、正極活物質層または負極活物質層上に形成する。
隔壁層は、上述のようにして得られた負極または正極の活物質層表面に、隔壁層用スラリーを塗布、乾燥することで形成することができる。隔壁層用スラリーとしては、熱膨張部材と、必要に応じてバインダーなどを、溶媒に分散して調製する。
(3)次に、隔壁層を、活物質間に配置し、積層体を形成する。
隔壁層が形成された後、例えば、当該隔壁層が負極活物質層上に形成された場合は、正極活物質層を隔壁層が形成された上に積層し、積層体を形成する。また、当該隔壁層が正極活物質層上に形成された場合は、負極活物質層を隔壁層が形成された上に積層し、積層体を形成する。そして、当該積層を繰り返し、所望の層数の、活物質層間に隔壁層が挟持された積層体を得る。
活物質層間に隔壁層が挟持された積層体を得た後、必要により、当該積層体を所定の温度で熱圧縮し、さらに必要により、乾燥等を行い、積層電極体を得ることができる。
以上のようにして、隔壁層を有する積層電極体を得た後、各正極と負極とを束ねてリードを溶接して、この積層電極体を正負極のリードを取り出した構造にて、電池外装体(アルミニウムのラミネートフィルムバッグなど)に収めて、注液機により電解液を注液して、減圧下で端部をシールして電池とする。
電池の組み立てについては、公知の方法で行うことができ、特に制限されないが、図1で示すように、上記で得られた積層電極体を、外装体22に収容する。次に、電解液を、外装体に設けられた電解液注入口から注液する。注液後、外装体22の開口部(電解液注入口)を溶接または熱融着等により封口することが好ましい。外装体22の開口部を封口した後、充電工程を行う。以上のようにして、本実施形態の非水電解質二次電池を得ることができる。
上記では積層型電池を例に挙げて説明したが、耐熱層を有する双極型電池の作製についても、公知の技術を参照して実施可能であり、ここでは省略する。
本実施形態の方法により得られた非水電解質二次電池を判別する方法としては、例えば、積層電極体を切断し断面図を顕微鏡で観察する方法が挙げられる。すなわち、断面図において、断面図より、活物質層間に他の層が存在することが確認された場合、当該断面をゆっくり加熱しながら顕微鏡で観察する。活物質層間に存在する層に熱膨張部材が含まれている場合、加熱していくことにより、ある温度で体積を膨張して活物質層間を広げ、さらに冷却していくことにより、活物質層間が狭くなる(元に戻る)ことが観測される。また、当該層に含まれる成分のガラス転移温度を調べる場合は、示差走査熱量測定(DSC)による測定、または顕微鏡による観察により体積の変化が著しく変化した温度を測定することで、熱膨張部材のガラス転移温度を帰属できる。
<電池の用途>
本実施形態の電池は、特にモータ駆動用電源として車両に搭載する電池として好適なものとなる。ここで車両とは例えば車輪をモータによって駆動する自動車、および他の車両(例えば電車)が挙げられる。上記の自動車としては、例えば、ガソリンを用いない完全電気自動車、シリーズハイブリッド自動車やパラレルハイブリッド自動車などのハイブリッド自動車、および燃料電池自動車などがある。
以上説明した実施形態による電池は、上述した積層型電池の構造に限定されるものではない。例えば双極型電池としても同様に、接合点と隔離点とを有する耐熱層が形成され、電池出力を優れたものとすることができる。また、電池自体を複数組み合わせた組電池として提供することもできる。もちろん組電池とした場合に車両に搭載されうるために好適であることはいうまでもない。
さらに、本発明は、上述した実施形態および実施例に限定されるものではなく、当業者においてさまざまな変形が可能であることはいうまでもない。
以下、本発明による効果を、実施例および比較例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されない。
<電池の作製>
(1)正極活物質用スラリーの調製
LiNiMnCo(x=y=z=1/3):HS100(アセチレンブラック):PVdF=84:10:6の組成比で、溶媒はNMPを用いて、スラリーを調製した。
(2)負極活物質用スラリーの調製
MAG−D(人造黒鉛):PVdF=92:8の組成比で、溶媒はNMPを用いて、スラリーを調製した。
(3)隔壁層用のスラリーの調製
表1の組成で、全体の固形分が30質量%となるようにそれぞれ調製した隔壁層用スラリーを、遊星型ボールミルで混練して調製した。なお、スラリー中、バインダーとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)を、隔壁層の固形分100質量%に対して5質量%、カルボキシメチルセルロースを、隔壁層の固形分100質量%に対して2質量%となるよう添加した。また、スラリーの溶媒は水を用いた。
なお、比較例1は、隔壁層を形成しなかった。
(4)電極の作製
ドクターブレードを用いて、正極スラリー、負極スラリーをそれぞれアルミ箔、銅箔上にスラリーを塗布し、80℃のホットプレート上で10分乾燥して電極を作製した。その後プレスを行い、それぞれ正極は3.0g/cc、負極は1.4g/ccになるまで充填させ、電極とした。その後、水分および溶媒を乾燥させるために、130℃で8時間真空乾燥をさらに行った。得られた電極(正極上)に、それぞれ、表1に記載の組成比の隔壁層用のスラリーを塗布し、60℃のホットプレートで20分乾燥し、隔壁層を有する正極(以下、「耐熱層OC正極」と称する。)を作製した。(比較例1は隔壁層のない正極とする。)
なお、耐熱層の厚みは25μmになるように調整した。また、各々の隔壁層の空孔率を各部材の真比重の足し合わせから計算して算出したところ、50%であった。
(5)電池の作製
比較例1:(4)で得られた正極と、ポリプロピレン製多孔質フィルム(セパレータ)と、(4)で得られた負極とを、セパレータが耐熱前駆層により挟持されるように積層し、積層体を得た。
比較例2:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、積層し、積層体を得た。
比較例3:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、積層し、積層体を得た。
比較例4:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、重ねて倦回し、アルミ缶に入れ、缶型のリチウムイオン二次電池を得た。

比較例5:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、積層し、積層体を得た。
実施例1:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、積層し、積層体を得た。
実施例2:(4)で得られた耐熱層OC正極と、(4)で得られた負極とを、重ねて倦回し、アルミ缶に入れ、缶型のリチウムイオン二次電池を得た。
上記の缶型電池および積層体を、ラミネートに入れ、電解液を注液し、封口することにより電池を作製した。
なお、電解液としては、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(40:60(体積比))を溶媒とし、1MのLiPFを支持塩としたものを用いた(なお、「1MのLiPF」とは、当該混合溶媒および支持塩の混合物における支持塩(LiPF)濃度が1Mであるという意味である。)。以下、当該混合溶媒および支持塩の混合物を「1MのLiPF含有の電解液」と称する。
<評価方法>
以上のようにして得られた実施例1および2、ならびに比較例1〜5のリチウムイオン二次電池に対して、電池性能評価を行った。評価の方法として、55℃サイクル試験(300cyc後容量維持率)、釘刺し試験、過充電試験を実施した。
(55℃サイクル試験)
それぞれのリチウムイオン二次電池において、電池温度を55℃に保って、電池の容量に対して、定常電流モードであれば1時間で充電または放電が終わるような電流で、充放電の繰り返しを実施した(以下、この高温での充放電の繰り返しを、1C高温サイクル試験と呼び、充電/放電を1セット行うことを1サイクルと呼ぶ)。それぞれのリチウムイオン二次電池において、300サイクルを行った電池の放電容量を、初期の放電容量と比較し、容量維持率を求めた。
(釘刺し試験)
以上のようにして得られた実施例1〜4および比較例1〜3のリチウムイオン二次電池に対して釘刺し試験を行った。
まず、それぞれのリチウムイオン二次電池を充電した。具体的には、電圧が4.25Vに至るまで1.45Aの電流を流して定電流で充電を行い、4.25Vに達した後に定電圧で電流が50mAになるまで充電を行った。
その後、60℃の環境下で、2.7φの釘をリチウムイオン二次電池の中心部に貫通させた。釘刺しは、5mm/secで釘を刺した。そして、リチウムイオン二次電池からの発煙の有無、すなわち、リチウムイオン二次電池の防暴弁が作動しリチウムイオン二次電池内部より煙が観測されたか否かを調べた。釘刺し試験は、N=20で実施した。
(過充電試験)
1.45Aの一定電流で連続的に充電して、リチウムイオン二次電池の電極温度の変化とリチウムイオン二次電池の外観状態とを観察した。リチウムイオン二次電池に加えられる上限電圧を60Vとした。そして、リチウムイオン二次電池からの発煙が確認されなかった場合にはリチウムイオン二次電池の表面の最高温度を測定した。
(結果)
得られた結果を表2に示す。なお、過充電評価の結果では、温度は発煙しなかった場合の最高温度である。
表2より、実施例1および実施例2の電池は、サイクル特性/異常時信頼性が共に優れていることがわかる。
なお、比較例1は、隔壁層を有していないため、釘刺し試験において、釘を刺す際にセパレータの収縮が生じて、全てのセルで発煙が生じた。比較例2の隔壁層は、アルミナのみの絶縁層である。そのため、シャットダウン機能を有しておらず、過充電試験において発煙が生じた。
比較例4の倦回型の缶型電池の方が、比較例3の積層型の電池より、釘刺し試験の発煙数が少ない。これは、倦回型電池の方が、釘刺しの際のジュール発熱による抵抗増大効果が見込めるためだと考える。これに対し、実施例2は、比較例4と比較して釘刺し試験は優れているものの、実施例1ほどの効果を示さなかった。これは缶型の電池であるため、形状記憶ポリマーの熱膨張が缶により押えられてしまったため、一部において異常時の極板間のセパレートが上手くいかなかったためと考える。
また、実施例1および実施例2と比較すると、電池の使用温度である55℃にガラス転移温度を有する熱膨張部材を用いた比較例5は、サイクル特性が悪かった。
以上の結果より、電池の使用温度以上にガラス転移温度を有する熱膨張部材を含む隔壁層を、活物質層間に有する電池は、短絡のシャットダウン機能に優れた非水電解質二次電池であることがわかる。
10 積層型二次電池、
11 負極集電体、
11a 負極側の最外層集電体、
12 負極活物質層、
13 電解質層、
14 正極集電体、
15 正極活物質層、
16 単電池層、
17 発電要素、
18 負極集電板、
19 正極集電板、
20 負極端子リード、
21 正極端子リード、
22 電池外装体、
30 積層電極体、
31 隔壁層、
40 積層電極体、
41 耐熱層、
42 短絡部位、
43 短絡部位付近、
44 短絡部位から離れた部位、
45 短絡電流、
50積層電極体、
51 隔壁層、
52 短絡部位。

Claims (5)

  1. 負極活物質層と、正極活物質層と、前記負極活物質層と前記正極活物質層との間に配置される隔壁層と、が積層された積層電極体を備えた非水電解質二次電池であって、
    前記隔壁層は、前記熱膨張部材のガラス転移温度未満の熱膨張係数Exと、前記熱膨張部材のガラス転移温度以上の熱膨張係数Eyとが、Ex<Eyの関係を満たす、非水電解質二次電池。
  2. 前記ガラス転移温度は、電池の使用温度以上である、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記ガラス転移温度は、セパレータの融点未満である、請求項1または2に記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記熱膨張部材は、形状記憶ポリマーである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 積層ラミネート電池である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の非水電解質二次電池。
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