JP2014049407A - リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 - Google Patents

リチウム二次電池用正極活物質の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】造孔材を使用することなく、高い電池特性をもたらす開気孔比率の高い空隙を備えた正極活物質を効率的に製造する。
【解決手段】層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法が提供される。この方法は、少なくとも1種の金属化合物からなる原料粉末と、原料粉末又は正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる種粒子とを含む原料スラリーを用意する工程と、 原料スラリーを成形及び乾燥してシート状成形体を得る工程と、シート状成形体を解砕して解砕粉末を得る工程と、解砕粉末にリチウム化合物を混合してリチウム混合粉末を得る工程と、リチウム混合粉末を焼成して解砕粉末をリチウム化合物と反応させ、その際、原料粉末及び種粒子の混在に起因する焼成収縮差によってクラックを生じさせ、それにより開気孔を備えたリチウム二次電池用正極活物質を得る工程とを含んでなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法に関する。
リチウム二次電池(リチウムイオン二次電池と称されることもある)における正極活物質として、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物(リチウム遷移金属酸化物)を用いたものが広く知られている(例えば、特許文献1(特開平5−226004号公報)及び特許文献2(特開2003−132887号公報)を参照)。
この種の正極活物質においては、その内部でのリチウムイオン(Li)の拡散が(003)面の面内方向(すなわち(003)面と平行な平面内の任意の方向)で行われる一方、(003)面以外の結晶面(例えば(101)面や(104)面)でリチウムイオンの出入りが生じることが知られている。
そこで、この種の正極活物質において、リチウムイオンの出入りが良好に行われる結晶面((003)面以外の面、例えば(101)面や(104)面)をより多く電解質と接触する表面に露出させることで、リチウム二次電池の電池特性を向上させる試みがなされている(例えば、特許文献3(国際公開第2010/074304号公報)を参照)。
また、この種の正極活物質において、内部に気孔(空孔あるいは空隙とも称される)を形成したものが知られている(例えば、特許文献4(特開2002−75365号公報)、特許文献5(特開2004−083388号公報)及び特許文献6(特開2009−117241号公報)を参照)。
特開平5−226004号公報 特開2003−132887号公報 国際公開第2010/074304号公報 特開2002−75365号公報 特開2004−083388号公報 特開2009−117241号公報
所望の空隙率及び平均気孔径を実現するための手法の一つとして、原料に対して、添加剤としての造孔材(空隙形成材)を配合することが考えられる。このような造孔材の例としては、仮焼成工程において分解(主に蒸発あるいは炭化)される、有機合成樹脂からなる粒子状又は繊維状物質が考えられる。しかしながら、このような造孔材を使用することなく所望の空隙率及び平均気孔径を実現することができれば、造孔材を分解等によって消失させる仮焼工程を不要にできるため好都合である。
本発明者らは、今般、焼結された粒子を原料粉末に混在させて成形体の調製及び焼成を行うことで、造孔材を使用することなく、高い電池特性をもたらす開気孔比率の高い空隙を備えた正極活物質を効率的に製造できるとの知見を得た。
したがって、本発明の目的は、造孔材を使用することなく、高い電池特性をもたらす開気孔比率の高い空隙を備えた正極活物質を効率的に製造することにある。
本発明の一態様によれば、層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法であって、
少なくとも1種の金属化合物からなる原料粉末と、前記原料粉末又は前記正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる種粒子とを含む原料スラリーを用意する工程と、
前記原料スラリーを成形及び乾燥してシート状成形体を得る工程と、
前記シート状成形体を解砕して解砕粉末を得る工程と、
前記解砕粉末にリチウム化合物を混合してリチウム混合粉末を得る工程と、
前記リチウム混合粉末を焼成して前記解砕粉末を前記リチウム化合物と反応させ、その際、前記原料粉末及び前記種粒子の混在に起因する焼成収縮差によってクラックを生じさせ、それにより開気孔を備えたリチウム二次電池用正極活物質を得る工程と、
を含んでなる、方法が提供される。
本発明の方法における空隙の形成を説明するための模式図である。 本発明の方法により製造される正極活物質粒子の一例を模式的に示す図である。 図2に示される正極活物質粒子におけるリチウムイオン拡散の様子を模式的に示す図である。
リチウム二次電池用正極活物質の製造方法
本発明は、層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法に関するものである。「層状岩塩構造」とは、リチウム層とリチウム以外の遷移金属層とが酸素の層を挟んで交互に積層された結晶構造(典型的にはα−NaFeO型構造:立方晶岩塩型構造の[111]軸方向に遷移金属とリチウムとが規則配列した構造)をいう。本発明の方法は、原料粉末と種粒子とを含む原料スラリーを用意し、原料スラリーをシート状に成形及び乾燥し、シート状成形体を解砕し、解砕粉末にリチウム化合物を混合し、リチウム混合粉末を焼成して解砕粉末をリチウム化合物と反応させることを含んでなる。原料スラリー中に含ませる種粒子は、原料粉末又は正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる。すなわち、原料粉末は未焼成粉末であるのに対し、種粒子は焼成済みの粒子である。
図1に模式的に示されるように、このような種粒子2を原料粉末1に混在させて成形体3を作製し、これを解砕粉末4とし、更にリチウム化合物の共存下で焼成を行うことで、原料粉末1及び種粒子2の混在に起因する焼成収縮差によって、外気と連通する開気孔を形成しやすいクラック5を生じさせ、それにより開気孔5を備えたリチウム二次電池用正極活物質6を得ることができる。すなわち、焼成時に、もともと焼成済みの種粒子2は基本的に収縮しない一方、未焼成であった原料粉末1で構成される成形体マトリックスは焼成によって収縮することから、種粒子2の周りに焼成収縮差に起因するクラック状の空隙が形成される。これにより開気孔比率の高い空隙を形成することができる。その結果、本発明の方法によれば、造孔材を使用することなく、高い電池特性をもたらす開気孔比率の高い空隙を備えた正極活物質を効率的に製造することができる。特に、造孔材を用いた場合、造孔材を分解等によって消失させる仮焼工程が必要となるとともに、空隙率が10%以下という領域では開気孔比率(全気孔に占める外気と連通する開気孔の比率)が小さくなることがあるが、本発明の方法では仮焼工程を省略可能できるとともに、空隙率が10%以下という領域でも好ましくは50%以上という高い開気孔比率を実現することができる。その上、焼成温度等の調整では焼けが不十分となり本来の特性を出しにくい等の問題があるが、そのような問題も本発明の方法によれば解消ないし低減される。
以下、本発明の方法における各工程について具体的に説明する。
(1)原料スラリーの用意
本発明の方法においては、少なくとも1種の金属化合物からなる原料粉末と、原料粉末又は正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる種粒子とを含む原料スラリーが用意される。
本発明に用いる原料粉末は、少なくとも1種の金属化合物からなる粒子を含んでなり、最終的に得ようとする正極活物質の組成がLiMO(Mは任意の金属元素)となるようにLi、Co、Ni、Mn、Al等の化合物の粒子を適宜混合したものを用いることができる。例えば、リチウム化合物を含まない、Co、Ni、Mn、Al等の各化合物の混合粒子((Co,Ni,Mn)O、(Co,Ni,Al)O、(Co,Ni,Mn)OH、(Co,Ni,Al)OH等の組成を有する混合粒子)等を用いることができる。これは、リチウムは後述のリチウム混合工程で添加されれば足りるからである。好ましくは、少なくとも1種の金属化合物が、Co、Ni、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属の、酸化物、水酸化物及び/又は炭酸塩である。これらの混合粒子を成形し、得られた成形体とリチウム化合物とをさらに反応させることで、所定の組成を有する正極活物質粒子を得ることができる。また、これらの粒子は二種以上の金属化合物粒子の混合粉の形態でもよいし、共沈法により合成した複合化合物からなる粒子であってもよい。
配向率を高める目的で、(Co,Ni,Mn)OH、(Co,Ni,Al)OH等の組成を有する水酸化物を原料粉末として用いることが好ましい。すなわち、原料粉末は、少なくとも1種の金属化合物が、Co、Ni、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属の水酸化物を含むのが好ましい。このような水酸化物は、扁平面に(001)面を有する扁平な一次粒子の形状を有するため、後述する成形工程によって当該一次粒子を配向させることが容易となる。かかる(001)面は、リチウム化合物と反応させることで、所定の組成を有する正極活物質における(003)面として方位が継承される面である。このため、かかる板状原料粉末を用いることで、正極活物質粒子内における(003)面を容易に配向させることができる。
なお、粒成長の促進、あるいは、焼成中におけるリチウム揮発を考慮して、リチウムが0.5〜40mol%過剰になるように、原料粉末中にリチウム化合物が多めに投入されていてもよい。また、粒成長を促進する目的で、原料粉末に低融点酸化物(酸化ビスマス等)、低融点ガラス(ホウケイ酸ガラス等)、フッ化リチウム、塩化リチウム等が、0.001〜30質量%添加されてもよい。
原料粉末の一部は、他の原料で置き換えられ得る。例えば(Co,Ni,Mn)OHにおけるMnの一部は、MnCOで置き換えられ得る。これにより、充分な配向性が実現されるとともに、気孔径や空隙率を変化させることができる。
本発明に用いる種粒子は、原料粉末又は正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる。焼結体を得るための製造条件は、後述する焼成工程において焼成収縮をもはや生じないか又はごく僅かにしか生じない程度の焼結を種粒子にもたらすものであればよく、後述する焼成工程と同様の条件であってよい。種粒子の組成は正極活物質の組成LiMOを最終的に与えるような組成を有しており、具体的にはリチウム欠如の原料粉末の組成と実質的に同一か又はリチウム導入後の正極活物質と実質的に同一の組成とされてなる。種粒子の体積基準D50平均粒子径は1〜10μmであるのが好ましく、より好ましくは1〜5μmであり、更に好ましくは3〜5μmである。種粒子の添加量は、原料粉末の合計量に対して、5〜20質量%であるのが好ましく、より好ましくは10〜20質量%である。前述したとおり、種粒子の使用により造孔材が不要となるため、本発明の方法においてシート状成形体及びリチウム混合粉末は造孔材を含まないのが好ましい。
(2)成形及び乾燥工程
原料スラリーは成形及び乾燥されてシート状成形体とされる。これにより、多数の一次粒子が配向された成形体を得ることができる。このシート状成形体が厚さ120μm以下の自立した成形体であるのが好ましい。ここで、「自立した成形体」とは、原則として、それ単体でシート状の成形体の形状を保つことができるものである。但し、ある一時期において、それ単体ではシート状の成形体の形状を保つことができないものであっても、何らかの基板上に貼り付けたり成膜したりして一旦シート状に成形された後であって焼成前又は焼成後にこの基板から剥離されたものは、「自立した成形体」に含まれる。具体的には、押し出し成形されたシートは、成形直後から「自立した成形体」である。これに対し、スラリーの塗布膜は、乾燥前はそれ単体で取り扱うことはできないものの、乾燥されその後基板から剥離された後に「自立した成形体」となる。また、「シート状」の概念には、板状、フレーク状、鱗片状等が含まれる。
成形方法としては、原料粉末が成形体内にて結晶方位を揃えて充填される限り、特に限定はない。例えば、ドクターブレード法を用いて、原料粉末を含むスラリーを成膜(成形)することで、原料粉末が結晶方位を揃えて充填された(自立したシート状の)成形体を得ることができる。具体的には、ドクターブレード法を用いる場合、まず、可撓性を有する基板(例えば、PETフィルム等の有機ポリマー板等)に原料粉末を含むスラリーを塗布し、塗布したスラリーを乾燥固化して乾燥膜とする。次に、この乾燥膜を上述の基板から剥離することにより、原料粉末が配向した(結晶方位を揃えて充填された)成形体が得られる。
また、ドラムドライヤーを用いて、原料粉末を含むスラリーを熱したドラム上に塗布して乾燥させたものをスクレイパーでドラムから掻き取ることで、上述の成形体を得ることができる。さらには、ディスクドライヤーを用いて、原料粉末を含むスラリーを熱した円板面上に塗布して乾燥させたものをスクレイパーで掻き取ることで、上述の成形体を得ることができる。また、原料粉末を含む坏土を用いて押し出し成形することで、上述の成形体を得ることができる。
成形前のスラリーや坏土を調製する段階で、原料粉末を適当な分散媒に分散させたものに対して、バインダーや可塑剤等が適宜加えられてもよい。バインダー等の添加剤の種類や量は、成形時の原料粉末の充填密度や配向度、あるいは後述の成形体解砕工程における解砕物の形状を、所望の状態に制御できるように、適宜調整される。具体的には、例えば、解砕前の成形体の柔軟性が高いと、解砕時に解砕物のアスペクト比が大きくなる傾向にある。このため、解砕前の成形体の柔軟性が高くなりすぎないように、バインダーや可塑剤等の種類や添加量が適宜調整され得る。したがって、例えば、解砕前の成形体の柔軟性を制御するために、バインダーの変性や分解が生じる200〜500℃程度で同成形体が乾燥されてもよい。
原料粉末を含むスラリーを使用する場合は、粘度を0.5〜5Pa・sとなるように調整したり、減圧下で脱泡したりすることが好ましい。さらに、空孔V内に他の化合物を存在させる場合、この化合物と原料粉末とを含むスラリーを調製することが好ましい。
成形体の厚さは、120μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。また、成形体の厚さは、1μm以上であることが好ましい。成形体の厚さが1μm以上であれば、自立したシート状の成形体を作製することが容易となる。なお、成形体の厚さは、正極活物質粒子の平均粒子径を決定する直接的な因子となることから、粒子の用途に合わせて適宜設定される。
(3)成形体解砕工程
シート状成形体は解砕されて解砕粉末とされる。解砕方法の例としては、メッシュにヘラ等で押し付ける方法、ピンミル等の解砕力の弱い解砕機で解砕する方法、気流の中でシート片を互いに衝突させる方法(具体的には、気流分級機に投入する方法)、旋回式ジェットミル、ポット解砕、バレル研磨等が挙げられる。あるいは、ドラムに付着させたシート状の成形体を剥ぎ取る際に所望の大きさを粉末に付与するように解砕が行われてもよく、そのような手法の例としては、ドラムに凹凸を付与する、外部から加熱して表面を乾燥させる等の手法が挙げられる。
解砕粉末は、焼成前に球形化処理及び/又は分級処理に付され、それにより解砕粉末が球形化されてもよい。これにより、最終的に得られる正極活物質粒子が略球体状ないし略回転楕円体状となる。正極活物質粒子が略球体状ないし略回転楕円体状となることで、当該粒子の外表面におけるリチウムイオン出入り面および電子伝導面の露出が増大するとともに、正極活物質層内の正極活物質の充填率が向上し、それにより電池特性が向上する。
球形化処理方法の例としては、気流中で解砕物粒子同士を衝突させることで解砕物粒子の「角」を取る方法(気流分級やハイブリダイゼーション等)、容器中で解砕物粒子同士を衝突させることで解砕物粒子の「角」を取る方法(ハイブリッドミキサーや高速攪拌機・混合機を用いた方法、バレル研磨等)、メカノケミカル法、熱風により解砕物粒子の表面を溶融する方法等が挙げられる。球形化処理と解砕とは、別途行われてもよいが、同時にも行われ得る。すなわち、例えば、気流分級機を用いることで、解砕と球形化処理とが同時に行われ得る。このように、解砕と同時に、球形化処理及び/又は分級処理が行われ、解砕粉末を球形化された粉末として得てもよいし、球形化処理及び分級処理が気流分級により行われてもよい。
なお、解砕や球形化処理を容易にするために、予め成形体を脱脂したり熱処理(焼成あるいは仮焼成)したりしてもよい。例えば、上述のように、解砕前の成形体の柔軟性を制御するために、バインダーの変性や分解が生じるような比較的高い温度で同成形体が乾燥されてもよい。あるいは、原料粉末が板状である場合(例えば原料粉末が水酸化物である場合)、解砕前の成形体は、多数の板状の原料粉末が成形体の板面と平行に配列しつつ凝集したような内部構造となる。このため、かかる成形体は、強度に異方性が生じやすく、よって解砕時に解砕物のアスペクト比が大きくなる(すなわちアスペクト比を2未満にすることが困難になる)傾向にある。したがって、この場合、解砕前に仮焼成したり、後述する焼成工程(リチウム導入工程)後に解砕を行ったりすることが好ましい。もっとも、本発明の方法では造孔材を使用しないため、造孔材を分解除去する目的で仮焼成を行う必要はなく、バインダーや分散剤を添加しない態様とした場合には仮焼成を省略するのが工程の簡素化のためにはむしろ好ましい。あるいは、成形時にアスペクト比が小さい等方性の粒子を添加しても良い。
解砕前の仮焼成により、解砕前且つ焼成前(リチウム導入前)の成形体の内部構造を、等方的な形状の酸化物がネッキングした状態とすることができ、それにより解砕時に解砕物のアスペクト比を2未満にすることが容易となる。仮焼成温度は、400〜1100℃の範囲内であることが好ましい。仮焼成温度が400℃以上であると、上述のネッキングの進行を十分に促し、仮焼成後の成形体が脆くならずに済むため、解砕により解砕物の粒子径が微細化し過ぎるのを回避できる。一方、仮焼成温度が1100℃以下であると、原料の焼結が進行し過ぎるのを回避して、後続するリチウム導入の際の反応を進行させ、所望の組成のリチウム複合酸化物を合成可能となる。かかる解砕前の仮焼成は、仮焼成により分相等の悪影響が生じにくい組成(例えば、ニッケル−コバルト系、ニッケル−コバルト−アルミニウム系、ニッケル−アルミニウム系等の、ニッケルを含む一方でマンガンを含まない系)において行われることが特に好適である。
解砕前に仮焼成が行われない場合は、得られた解砕物である正極活物質前駆体粒子内に、原料粉末(板状原料粉末)が良好に配向した状態が残存している。すなわち、正極活物質前駆体粒子は、板状の原料粉末を多数含有する原料粉末集合体であって、これらの原料粉末が実質的に一様に配向するように形成されている。
これに対し、解砕前に仮焼成が行われた場合は、上述のネッキング(粒成長)が進行するため、得られた解砕物である正極活物質前駆体粒子内には、原料粉末(板状原料粉末)が配向した状態は残存していない。すなわち、正極活物質前駆体粒子は、正極活物質前駆体粒子を熱処理したものに相当するような内部構造を有している。よって、仮焼成を行わずに一旦解砕により正極活物質前駆体粒子を得た後に、これを仮焼成することで、正極活物質前駆体粒子を形成することも可能である。
解砕や球形化処理の際に生じたもののうちの、所望のアスペクト比以外のもの(充分に解砕されずにアスペクト比が大きいままのもの等)や微粉は、原料として再利用され得る。
以上のようにして、正極活物質粒子が所望のアスペクト比及び所望の(003)面の配向状態となるように、アスペクト比が1.0以上2.0未満(好ましくは1.1〜1.5)で所定の内部構造を有する正極活物質前駆体粒子が形成されるのが好ましい。
(4)リチウム混合工程
解砕粉末はリチウム化合物と混合されてリチウム混合粉末とされる。リチウム化合物は正極活物質の組成LiMOを最終的に与えることが可能なあらゆるリチウム含有化合物が使用可能であり、好ましい例としては水酸化リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。反応に先立ち、解砕粉末はリチウム化合物と、乾式混合、湿式混合等の手法により混合されるのが好ましい。リチウム化合物の平均粒子径は特に限定されないが、0.1〜5μmであることが吸湿性の観点からの取扱い容易性及び反応性の観点から好ましい。なお、反応性を高めるために、リチウム量を0.5〜40mol%程度過剰にしてもよい。
(5)焼成工程(リチウム導入及びクラック形成)
リチウム混合粉末は焼成されて解砕粉末をリチウム化合物と反応させ、その際、原料粉末及び種粒子の混在に起因する焼成収縮差によってクラックを生じさせ、それにより開気孔を備えたリチウム二次電池用正極活物質が得られる。このとき、上述の焼成前混合物を適宜の方法で焼成することで、正極活物質前駆体粒子にリチウムが導入され、それにより正極活物質粒子が得られる。例えば、上述の焼成前混合物を収容した鞘を炉中に投入することで、焼成が行われ得る。この焼成により、正極活物質の合成、さらには粒子の焼結及び粒成長が行われると同時に、クラックに起因する開気孔が形成される。このとき、上述したように、成形体(正極活物質前駆体粒子)中で原料粉末の(001)面が配向しているため、その結晶方位が継承されることで、所定の組成を有する正極活物質粒子において(003)面が良好に一軸配向したものを得ることができる。
焼成温度は、600℃〜1100℃が好ましく、この範囲内であると、粒成長が十分となり配向率が高くなるとともに、正極活物質の分解やリチウムの揮発を抑制して所望の組成が実現しやすくなる。焼成時間は1〜50時間とするのが好ましく、この範囲であると、配向率が高くなるとともに、焼成のために消費されるエネルギーの過度の増大を防止できる。
また、昇温過程において混合したリチウムと前駆体との反応性を高める目的で、焼成温度より低温(例えば400〜600℃)で1〜20時間の温度保持が行われてもよい。かかる温度保持工程を経ることで、リチウムが溶融するため、反応性を高めることができる。なお、この焼成(リチウム導入)工程における、ある温度域(例えば400〜600℃)の昇温速度を調整することによっても、同様の効果が得られる。
焼成雰囲気は、焼成中に分解が進まないように適宜設定する必要がある。リチウムの揮発が進むような場合は、炭酸リチウム等を同じ鞘内に配置してリチウム雰囲気とすることが好ましい。焼成中に酸素の放出や、さらには還元が進むような場合、酸素分圧の高い雰囲気で焼成することが好ましい。なお、焼成後に、正極活物質粒子同士の癒着や凝集を解したり、正極活物質粒子の平均粒子径を調整したりする目的で、適宜、解砕や分級(上述の焼成前の解砕や分級の後に行われるため「二次解砕」あるいは「二次分級」とも称され得る)が行われてもよい。
また、焼成後、もしくは解砕や分級工程を経た、正極材活物質において、100〜400℃で後熱処理を行われても良い。かかる後熱処理工程を行うことで、一次粒子の表面層を改質することができ、以てレート特性及び出力特性が改善される。
リチウム二次電池用正極活物質
上述した本発明の製造方法によれば、高い電池特性をもたらす開気孔比率の高い空隙を備えた、層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質が得られる。典型的には、本発明により得られる正極活物質は、多数の一次粒子からなる二次粒子を含んでなり、二次粒子が、3〜30%の空隙率及び50%以上の開気孔比率を有する。空隙率をこの範囲にすることで、容量を損なうことなく充放電特性の改善という効果を得ることができる。正極活物質粒子における開気孔比率は50%以上であるのが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%であり、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。このように開気孔比率は高ければ高いほど好ましいことから上限値は特に設定されない。このような範囲の空隙率で開気孔比率を高くすることで、開気孔を通って二次粒子内に電解液が浸透しやすくなるためイオン伝導性が向上すると同時に、開気孔以外の部分は多数の一次粒子同士の緻密な結合に起因して電子伝導の経路となる一次粒子間の結合部を十分多く確保することができ、空隙形成に伴う電子伝導性の低下を抑制できる。その結果、本来はトレードオフの関係にある電子伝導性とイオン伝導性の両立が可能となり、改善したレート特性が得られるものと考えられる。
本発明の正極活物質を構成する、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物としては、典型的には、コバルト酸リチウム(LiCoO)を用いることができる。もっとも、コバルトの他にニッケルやマンガン等を含有した固溶体を、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として用いることも可能である。具体的には、ニッケル酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル・マンガン酸リチウム、ニッケル・コバルト酸リチウム、コバルト・ニッケル・マンガン酸リチウム、コバルト・マンガン酸リチウム等を、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として用いることが可能である。さらに、これらの材料に、Mg,Al,Si,Ca,Ti,V,Cr,Fe,Cu,Zn,Ga,Ge,Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Ag,Sn,Sb,Te,Ba,Bi等の元素が、1種以上含まれていてもよい。
具体的には、本発明の正極活物質を構成するリチウム複合酸化物として、下記の組成式で表されるものが好ましく利用可能である。
・組成式(1):LiMeO
(上記組成式(1)中、0.9≦p≦1.3である。Meは、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素を示す。)
・組成式(2):xLiMO−(1−x)LiMeO
(上記組成式(2)中、0<x<1であり、0.9≦p≦1.3である。M及びMeは、それぞれ独立的に、Mn、Ti、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Al、Mg、Zr、B、及びMoからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素を示す。)
上記の組成式(1)及び(2)における“Me”は、平均酸化状態が“+3”である少なくとも1種類の金属元素であればよく、Mn、Ni、Co及びFeからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素であることが好ましい。また、上記の組成式(2)における“M”は、平均酸化状態が“+4”である少なくとも1種類の金属元素であればよく、Mn、Zr及びTiからなる群から選択された少なくとも1種類の金属元素であることが好ましい。
特に好ましい正極活物質は、以下の一般式で表される組成を有するニッケル−コバルト−アルミニウム系のものである。
・一般式(3):Li(Ni,Co,Al)O
(上記一般式中、0.9≦p≦1.3,0.6<x≦0.9,0.05≦y≦0.25,0≦z≦0.2,x+y+z=1)
上記一般式(3)中、pの好ましい範囲は0.9≦p≦1.3であり、より好ましい範囲は1.0≦p≦1.1であり、このような範囲内であると、高い放電容量を確保しながら、充電時の電池内部のガス発生を抑制することができる。xの好ましい範囲は0.6<x≦0.9であり、より好ましくは0.7〜0.85であり、このような範囲内であると、高い放電容量及び高い安定性を確保することができる。yの好ましい範囲は0.05≦y≦0.25であり、より好ましくは0.10〜0.20であり、このような範囲内であると、結晶構造が安定になるとともに、高い放電容量を確保できる。zの好ましい範囲は0≦z≦0.2であり、より好ましくは0.01〜0.1であり、このような範囲内であると高い放電容量を確保することができる。
本発明の好ましい態様による正極活物質は、平均一次粒子径が0.01〜5μmである多数の一次粒子(好ましくは層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子)からなる二次粒子を含んでなり、二次粒子が、60%以上、好ましくは75%以上の(003)面の配向率、1〜100μmの体積基準D50平均粒子径、1.0以上2未満のアスペクト比、3〜30%の空隙率、50%以上の開気孔比率、及び0.1〜5μmの平均気孔径を有し、平均気孔径で一次粒子の平均粒子径を除した値が0.1〜5である。かかる構成を有する正極活物質においては、二次粒子中の気孔の周辺に多数の一次粒子が存在するとともに、隣り合う複数の一次粒子同士で電子伝導及びリチウムイオン拡散の方向(特に電子伝導の方向)が良好に揃う。このため、二次粒子中における電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路(特に電子伝導の経路)が良好に確保される。このため、二次粒子中における電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路(特に電子伝導の経路)が良好に確保される。したがって、本発明によれば、従来よりもさらにいっそう電池特性を向上させることが可能となる。特に、ハイレートでの放電電圧(以下、単に「出力特性」と称する)や、ハイレートでの放電容量(以下、単に「レート特性」と称する)を向上させることが可能となる。
ここで、「一次粒子」とは、凝集体を形成せず単独で存在する粒子をいう。特に、「単結晶一次粒子」とは、内部に結晶粒界を含まない一次粒子をいう。これらに対し、一次粒子が凝集したものや、単結晶一次粒子が複数(多数)集合したものを、「二次粒子」という。「平均粒子径」は、粒子の直径の平均値である。かかる「直径」は、典型的には、当該粒子を同体積あるいは同断面積を有する球形と仮定した場合の、当該球形における直径である。なお、「平均値」は、個数基準で算出されたものが適している。一次粒子の平均粒子径は、例えば、二次粒子の表面あるいは断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察することで求めることが可能である。
「(003)面の配向率」とは、二次粒子内の(003)面の配向割合を百分率で表示したものをいう。すなわち、二次粒子における(003)面の配向率が60%であるということは、当該二次粒子内に含まれる多数の(003)面(層状岩塩構造における(003)面)のうちの6割が互いに平行であることに相当する。よって、この値が高いほど、二次粒子における(003)面の配向度が高い(具体的には、当該二次粒子を構成する多数の単結晶の一次粒子が、それぞれの(003)面が可能な限り互いに平行になるように設けられている)ということができる。一方、この値が低いほど、二次粒子における(003)面の配向度が低い(具体的には、当該二次粒子を構成する多数の単結晶の一次粒子が、それぞれの(003)面が「ばらばら」な方向を向くように設けられている)ということができる。なお、二次粒子には、上述のように多数の一次粒子が含まれている。そして、一次粒子は、単結晶であるので、これ自体についての配向率は問題とならない。そこで、二次粒子内の多数の一次粒子の配向状態を、当該二次粒子全体としての(003)面の配向状態として捉える、という観点から、二次粒子における(003)面の配向率は、「二次粒子における一次粒子の(003)面の配向率」と言い換えることも可能である。(003)面の配向率は、例えば、二次粒子の板面あるいは断面(クロスセクションポリッシャや集束イオンビーム等により加工したもの)について、電子後方散乱回折像法(EBSD)や透過電子顕微鏡(TEM)等を用いて当該二次粒子内の各一次粒子における(003)面の方位を特定し、方位の揃った(±10度以内にある)一次粒子数の、全一次粒子数に対する割合を算出することで、求めることができる。
「アスペクト比」は、粒子の長手方向の径(長軸径)と短手方向の径(短軸径)との比である。この値が1に近いほど、粒子は球状に近い形状であるといえる。「空隙率(voidage)」は、本発明の正極活物質における、空隙(気孔:開気孔及び閉気孔を含む)の体積比率である。「空隙率」は、「気孔率(porosity)」と称されることもある。この「空隙率」は、例えば、嵩密度と真密度とから計算上求められる。「平均気孔径」は、二次粒子内の気孔の、直径の平均値である。この「直径」は、典型的には、当該気孔を同体積あるいは同断面積を有する球形と仮定した場合の、当該球形における直径である。なお、「平均値」は、個数基準で算出されたものが適している。また、平均気孔径は、例えば、二次粒子の断面のSEM写真の画像処理や、水銀圧入法等の、周知の方法によって求めることが可能である。「開気孔比率」は、二次粒子中の全気孔に占める外気と連通する開気孔の比率である。
なお、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が上述のように0.1以上5以下のとき、二次粒子におけるリチウムイオン伝導性及び電子伝導性が最大限に引き出される。すなわち、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が0.1以上であると、気孔の周辺に存在する一次粒子の数が多くなり過ぎることによる粒界抵抗の過度の増大を防止して、出力特性やレート特性の低下を防止できる。また、「平均一次粒子径/平均気孔径」の値が5以下であると、気孔の周辺に存在する一次粒子同士の接触点を多くして、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路(特に電子伝導の経路)を十分に確保して、出力特性の低下を防止できる。特に、二次粒子の配向性が高い場合、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が(003)面を横断する頻度が高くなる(このような(003)面を横断する電子伝導やリチウムイオンの拡散は困難である)ため、出力特性の低下が顕著となる。
図2は、本実施形態の正極活物質粒子10の一例を模式的に示す拡大図である。図2に示されているように、正極活物質粒子10は、層状岩塩構造を有するリチウム複合酸化物の単結晶一次粒子10aが複数集合してなる二次粒子である。単結晶一次粒子10aは、平均粒子径が0.01μm以上5μm以下であって、図中「MP」で示されている(003)面が面内配向する(すなわち(003)面が単結晶一次粒子10aの板面と交差するように配向する)ように形成されている。なお、1つの単結晶一次粒子10a内においては、すべての(003)面が互いに平行であることは、いうまでもない。
本実施形態の正極活物質粒子10は、(003)面の高い一軸配向性を有している。すなわち、正極活物質粒子10においては、これを構成する多数の単結晶一次粒子10aが、それぞれの(003)面の方位が互いに揃うように(それぞれの(003)面が可能な限り互いに平行になるように)設けられている。具体的には、(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となるように(正極活物質粒子10中に含まれる複数の単結晶一次粒子10aの全数に対して、(003)面の配向性が同一の単結晶一次粒子10aの割合が、60%以上(好ましくは75%以上)となるように)、正極活物質粒子10が形成されている。
また、正極活物質粒子10は、多数の気孔Vを有している。すなわち、この正極活物質粒子10においては、空隙率が3%以上30%以下であり、平均気孔径が0.1μm以上5μm以下である。さらに、この正極活物質粒子10においては、単結晶一次粒子10aの平均粒子径を平均気孔径で除した値が、0.1以上5以下である。
図3は、図2に示されている本実施形態の正極活物質粒子10におけるリチウムイオン拡散の様子を模式的に示す図であり、図中、矢印は、電子伝導の様子を示すものとする。本実施形態の正極活物質粒子10においては、気孔Vの周辺に多数の単結晶一次粒子10aが(粒界抵抗が大きくなり過ぎない程度に)存在するとともに、隣り合う複数の単結晶一次粒子10a同士で電子伝導及びリチウムイオン拡散の方向が良好に揃う。このため、電子伝導及びリチウムイオン拡散の経路が良好に確保される。よって、単結晶一次粒子10a間での電子伝導及びリチウムイオン拡散の抵抗が低減され、リチウムイオン伝導性や電子伝導性が向上する。したがって、本実施形態の正極活物質粒子10によれば、リチウム二次電池の充放電特性(特にレート特性や出力特性)を顕著に向上させることができる。
より詳細に説明すると、上述のように、本実施形態の正極活物質粒子10においては、(003)面が実質的に一軸配向する、具体的には、(003)面の配向率が60%以上(好ましくは75%以上)となることで、隣り合う単結晶一次粒子10a間での(すなわち粒界での)リチウムイオン拡散抵抗や電子伝導抵抗が低減され、リチウムイオン拡散性や電子伝導性が向上する。これにより、リチウム二次電池の充放電特性(特にレート特性や出力特性)を顕著に向上させることができる。すなわち、図3に示されているように、気孔Vを含む正極活物質粒子10を構成する単結晶一次粒子10aの(003)面(図中“MP”参照)が、ある特定の方向に配向することで、粒界抵抗が低減する。かかる粒界抵抗の低減と、電解液や導電材を内在する気孔Vとにより、気孔Vを含む正極活物質粒子10におけるリチウムイオン拡散性及び電子伝導性が最大限に引き出される。また、充放電の繰り返しに伴う体積膨張収縮によって単結晶一次粒子10a間で(すなわち粒界で)通常発生するマイクロクラックについては、リチウムイオン拡散面及び電子伝導面である(003)面に平行に(すなわちリチウムイオンの拡散抵抗にならず電子伝導性にも影響のない方向に)入る可能性が高くなる。このため、充放電サイクルの繰り返しによる充放電特性(特にレート特性)の劣化を抑制することができる。
(003)面の配向率については、70%以上であることが好ましく、90%であることが特に好ましい。配向率が高いほど、正極活物質粒子10内に含まれる多数の単結晶一次粒子10aにおいて、リチウムイオンの拡散、電子伝導が良好に行われる方向である(003)面の面内方向が互いに平行となる割合が高まるといえる。このため、配向率が高いほど、リチウムイオンの拡散、電子伝導距離が短縮されるとともに上述のようにリチウムイオンの拡散抵抗および電子抵抗が低減され、以てリチウム二次電池の充放電特性がより顕著に向上する。したがって、例えば、液体型のリチウム二次電池の正極材料として正極活物質粒子10を用いた場合であって、耐久性の向上及び高容量化、さらには安全性の向上を目的として、正極活物質粒子10の平均粒子径を大きくしたときであっても、配向率を高くすることによって高いレート特性を維持することが可能になる。
単結晶一次粒子10aの平均粒子径は、0.01μm以上5μm以下であるのが好ましく、0.01μm以上3μm以下であることがより好ましく、0.01μm以上1.5μm以下であることがさらに好ましい。単結晶一次粒子10aの平均粒子径を上記の範囲内とすることで、単結晶一次粒子10aの結晶性が確保される。この点、単結晶一次粒子10aの平均粒子径が0.1μm未満であると、単結晶一次粒子10aの結晶性が低下し、リチウム二次電池の出力特性やレート特性が低下する場合がある。しかしながら、本実施形態の正極活物質粒子10においては、単結晶一次粒子10aの平均粒子径が0.1〜0.01μmであっても、出力特性やレート特性の大きな低下は見られない。
二次粒子としての正極活物質粒子10の平均粒子径は、1μm以上100μm以下であり、2μm以上70μm以下であることが好ましく、3μm以上50μm以下であることがさらに好ましい。正極活物質粒子10の平均粒子径をこの範囲内とすることで、正極活物質粒子10内における正極活物質の充填性が確保される(充填率が向上する)。また、リチウム二次電池の出力特性やレート特性を維持しつつ、平坦な電極表面を形成することができる。一方、正極活物質粒子10の平均粒子径が上記範囲内であると、正極活物質の充填率を高くすることができるとともに、リチウム二次電池の出力特性やレート特性の低下や電極表面の平坦性の低下を防止することができる。正極活物質粒子10の平均粒子径の分布は、シャープであってもよく、ブロードであってもよく、ピークを複数有していてもよい。例えば、正極活物質粒子10の平均粒子径の分布がシャープでない場合は、正極活物質層内の正極活物質の充填密度を高めたり、正極活物質層と正極集電体との密着力を高めたりすることができる。これにより、充放電特性をさらに改善することができる。
正極活物質粒子10のアスペクト比は、1.0以上2.0未満であり、1.1以上1.5未満であることが好ましい。正極活物質粒子10のアスペクト比をこの範囲内とすることで、正極活物質層内の正極活物質の充填密度を高めた場合であっても、正極活物質層22内に含浸された電解液中のリチウムイオンが正極活物質層の厚み方向に拡散する経路を確保することができる程度の適度な隙間を正極活物質粒子10間に形成することが可能になる。これにより、リチウム二次電池の出力特性やレート特性をさらに向上させることができる。すなわち、この範囲内のアスペクト比であると、正極活物質層の形成時に、正極活物質粒子が、正極集電体の板面方向と粒子の長軸方向とが平行になるように並んだ状態で充填されにくくなり、正極活物質層内に含浸された電解液中のリチウムイオンの、正極活物質層の厚み方向の拡散経路が長くなるのを回避できる。このため、リチウム二次電池の出力特性やレート特性の低下を抑制できる。また、単結晶一次粒子10aのアスペクト比も、1.0以上2.0未満であることが好ましく、1.1以上1.5未満であることがさらに好ましい。単結晶一次粒子10aのアスペクト比をこの範囲内とすることで、リチウムイオン伝導性及び電子伝導性が良好に確保される。
正極活物質粒子10における空隙率(気孔Vの体積比率)は、3%以上30%以下であるのが好ましい。空隙率をこの範囲にすることで、容量を損なうことなく充放電特性の改善という効果を得ることができる。正極活物質粒子10における開気孔比率は50%以上であるのが好ましく、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上であり、最も好ましくは90%以上である。正極活物質粒子10における平均気孔径(正極活物質粒子10内の気孔Vの直径の平均値)は、0.1μm以上5μm以下であるのが好ましい。このような範囲であると、比較的大きな気孔Vの生成を防止して、充放電に寄与する正極活物質の体積あたりの量を十分に確保することができる。また、このような大きな気孔Vの局所において、応力集中が発生するのを防止して、内部で応力を均一に開放する効果が得られる。さらに、導電材や電解質を内在させやすくなり、気孔Vによる応力開放効果を十分なものとすることができる。このため、高容量を維持しつつ充放電特性を改善するという効果が期待できる。
本発明を以下の例によってさらに具体的に説明する。また、各種物性値の測定方法、及び諸特性の評価方法は、以下に示す通りである。
<空隙率(%)>
正極材料活物質を樹脂埋めし、クロスセクションポリッシャ(CP)により正極活物質の断面研磨面が観察できるように研磨し、SEM(走査型子顕微鏡、「JSM−6390LA」日本電子社製)により、断面イメージを取得する。このイメージを画像処理により、断面中の空隙部分と正極材料部分を分け、(空隙部分の面積)/(空隙部分の面積+正極材料の面積)を求める。これを、10個の2次粒子に対して行い、その平均値を求め、空隙率とした。
<開気孔比率>
上述の空隙率の評価法において、空隙部分のうち樹脂が含浸されている部分を開気孔、空隙部分のうち樹脂が含浸されていない部分を閉気孔とし(開気孔部分の面積)/(開気孔部分の面積+閉機構部分の面積)によって求める。これを、10個の2次粒子に対して行い、その平均値を求め、開気孔比率とした。なお、樹脂埋めの際には、開気孔中に十分に樹脂が含浸されるよう、真空含浸装置(ストルアス社製 装置名「シトバック」)を用いて気孔中に存在する空気を十分に追い出しながら樹脂埋めを行った。
<一次粒子径(μm)>
FE−SEM(電界放射型走査型電子顕微鏡:日本電子株式会社製、製品名「JSM−7000F」)を用いて、一次粒子が視野内に10個以上入る倍率を選択して、SEM画像を撮影した。このSEM画像において、10個の一次粒子のそれぞれについて、外接円を描いたときの当該外接円の直径を求めた。そして、得られた10個の直径の平均値を、一次粒子径とした。
<出力特性>
電池特性の評価のために、次のようにしてコインセル型電池を作製した。具体的には、得られた二次粒子粉末、アセチレンブラック、及びポリフッ化ビニリデン(PVDF)を、質量比で90:5:5となるように混合し、N−メチル−2−ピロリドンに分散させることで、正極活物質ペーストを作製した。このペーストを正極集電体としての厚さ20μmのアルミニウム箔上に均一な厚さ(乾燥後の厚さ50μm)となるように塗布し、乾燥後のシートから直径14mmの円板状に打ち抜いたものを2000kg/cmの圧力でプレスすることで、正極板を作製した。このようにして作製した正極板を用いてコインセルを作製した。
なお、電解液は、エチレンカーボネート(EC)及びジエチルカーボネート(DEC)を等体積比で混合した有機溶媒に、LiPFを1mol/Lの濃度となるように溶解することで調製した。
上述のように作製した特性評価用電池(コインセル)を用いて、以下のように充放電操作を行うことで、出力特性の評価を行った。具体的には、0.1Cレートの電流値で電池電圧が4.3Vとなるまで定電流充電した。その後、電池電圧を4.3Vに維持する電流条件で、その電流値が1/20に低下するまで定電圧充電した。10分間休止した後、5Cレートの電流値で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電し、その後10分間休止した。これらの充放電操作を1サイクルとし、25℃の条件下で合計2サイクル繰り返した。2サイクル目の放電容量を100%とした際の90%時の放電電圧(SOC10%電圧:SOCは「State Of Charge」の略であって充電状態を意味する)を放電曲線から読み取った。この数値を出力特性の指標とした。この数値が高いほど、出力特性が高く、好ましい。
例1(比較)
(1)原料粉末及びスラリーの調製
最初に、混合物における、Ni、Co、Alのモル比が81:15:4となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びAl・HO(SASOL社製)を秤量した。次に、かかる秤量物に対して、造孔材(球状:エアウォーター株式会社製 商品名「ベルパールR100」)を添加後の粉末総重量に対する割合が2%となるように秤量して添加した。そして、造孔材添加後の混合粉末をボールミルにより24時間粉砕・混合することで、原料粉末の粉末を調製した。
調製した原料粉末の粉末100部と、分散媒としての純水400部と、バインダー(ポリビニルアルコール:品番VP−18、日本酢ビ・ポバール株式会社製)1部と、分散剤(製品名「マリアリムKM−0521」、日油株式会社製)1部と、消泡剤(1−オクタノール:和光純薬工業株式会社製)0.5部と、を混合した。さらに、この混合物を、減圧下で撹拌することで脱泡するとともに、粘度を0.5Pa・s(ブルックフィールド社製LVT型粘度計を用いて測定)に調整することで、スラリーを調製した。
(2)原料粉末の成形
上述のようにして調製したスラリーを、ドクターブレード法によって、PETフィルムの上に、乾燥後の厚さが25μmとなるようにシート状に成形した。乾燥後に成形体をPETフィルムから剥がして、シート状の(Ni0.81Co0.15Al0.04)Oセラミックスシートを得た。
(3)成形体の解砕、球形化処理及び分級
こうして得られた上述のセラミックスシートを、開口径30μmのふるい(メッシュ)に載せ、ヘラで軽く押し付けながらメッシュを通過させて解砕することで、略球形状の(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末を得た。解砕によって得られた(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末を、気流分級機(日清エンジニアリング株式会社製 製品名「ターボクラシファイア」、型式TC−15:排風量1.7m/min、分級ロータ回転数10000rpm)に、20g/minの速度で投入し、得られた粉末のうちの粗粒側のものを回収した。かかる球形化処理(同時に微粉除去による分級も行われる)を、5回繰り返した。
(4)リチウム化合物との混合
微粉除去後の(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末と、LiOH・HO粉末(和光純薬工業株式会社製)とを、mol比率でLi/(Ni0.81Co0.15Al0.04)=1.05となるように混合した。
(5)焼成工程(リチウム導入工程)
上述の混合粉末を、高純度アルミナ製のるつぼ内に投入し、酸素雰囲気中(酸素濃度95%)にて745℃から765℃で24時間加熱処理することで、Li(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末を得た。こうして得られた正極活物質について各種測定を行ったところ、表1及び2に示されるとおりの結果が得られた。
例2〜26
造孔材を添加する代わりに種粒子を表1及び2に示される量(原料粉末の合計量に対する重量%)で添加したこと、成形方法、成形体解砕方法及び球形化方法を表1及び2に示される手法で行ったこと、焼成温度を表1及び2に示される温度としたこと以外は例1と同様にしてLi(Ni0.8Co0.15Al0.05)O粉末の作製及び評価を行った。この種粒子の作製は、造孔材を添加しなかったこと以外は例1と同様にしてLiを含む正極活物質組成を有するLi(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末(例2〜21、25及び26)を作製するか、又は造孔材及びリチウム化合物を添加しなかったこと以外は例1と同様にしてLiを含まない原料粉末組成を有する(Ni0.81Co0.15Al0.04)O粉末(例22〜24)を作製し、得られた粉末を衝撃式粉砕機(ホソカワミクロン製 型番「UPZ-160」)で粉砕して粒子径を調整することにより行った。得られた種粒子の体積基準D50平均粒子径を、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(日機装株式会社製 型番「MT3000−II」)を用いて、水を分散媒として測定したところ、表1及び2に示されるとおりであった。得られた正極活物質について各種測定を行ったところ、表1及び2に示されるとおりの結果が得られた。なお、例26については種粒子が多すぎて上手く焼成することができなかった。
また、例4及び6〜25で得られた正極活物質はいずれも、平均一次粒子径が0.01〜5μmである多数の一次粒子からなる二次粒子を含んでなり、二次粒子が、60%以上の(003)面の配向率、1〜100μmの体積基準D50平均粒子径、1.0以上2未満のアスペクト比、3〜30%の空隙率、50%以上の開気孔比率、及び0.1〜5μmの平均気孔径を有し、平均気孔径で一次粒子の平均粒子径を除した値が0.1〜5であるものであることを確認した。
例27
例1における原料粉末の調製時の秤量条件及び焼成(リチウム導入)条件を下記のように変更することで、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O粉末を作製したこと以外は例1と同様にして粉末の作製及び評価を行った。原料粉末の調製の際に、混合物におけるNi、Co、Mnのモル比が0.5:0.2:0.3となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びMnCO粉末(東ソー株式会社製)を秤量した。また、焼成(リチウム導入)時においては、大気雰囲気中にて850℃で12時間加熱処理した。こうして得られた正極活物質について各種測定を行ったところ、表3に示されるとおりの結果が得られた。
例28〜40
例2における種粒子及び原料粉末の調製時の秤量条件及び焼成(リチウム導入)条件を下記のように変更することで、Li(Ni0.5Co0.2Mn0.3)O粉末を作製したこと、成形方法、成形体解砕方法及び球形化方法を表3に示される手法で行ったこと以外は例2と同様にして粉末の作製及び評価を行った。種粒子及び原料粉末の調製の際に、混合物におけるNi、Co、Mnのモル比が0.5:0.2:0.3となるように、Ni(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、Co(OH)粉末(株式会社高純度化学研究所製)、及びMnCO粉末(東ソー株式会社製)を秤量するとともに、種粒子の体積基準D50平均粒子径及び種粒子添加量は表3に示されるとおりとした。また、焼成(リチウム導入)時においては、大気雰囲気中にて840〜855℃で12時間加熱処理した。こうして得られた正極活物質について各種測定を行ったところ、表3に示されるとおりの結果が得られた。
また、例29〜40で得られた正極活物質はいずれも、平均一次粒子径が0.01〜5μmである多数の一次粒子からなる二次粒子を含んでなり、二次粒子が、60%以上の(003)面の配向率、1〜100μmの体積基準D50平均粒子径、1.0以上2未満のアスペクト比、3〜30%の空隙率、50%以上の開気孔比率、及び0.1〜5μmの平均気孔径を有し、平均気孔径で一次粒子の平均粒子径を除した値が0.1〜5であるものであることを確認した。
1 原料粉末
2 種粒子
3 シート状成形体
4 解砕粉末
5 クラック/開気孔
6 リチウム二次電池用正極活物質
10 正極活物質粒子
10a 単結晶一次粒子

Claims (13)

  1. 層状岩塩構造を有するリチウム二次電池用正極活物質の製造方法であって、
    少なくとも1種の金属化合物からなる原料粉末と、前記原料粉末又は前記正極活物質と同一の組成を有する焼結体からなる種粒子とを含む原料スラリーを用意する工程と、
    前記原料スラリーを成形及び乾燥してシート状成形体を得る工程と、
    前記シート状成形体を解砕して解砕粉末を得る工程と、
    前記解砕粉末にリチウム化合物を混合してリチウム混合粉末を得る工程と、
    前記リチウム混合粉末を焼成して前記解砕粉末を前記リチウム化合物と反応させ、その際、前記原料粉末及び前記種粒子の混在に起因する焼成収縮差によってクラックを生じさせ、それにより開気孔を備えたリチウム二次電池用正極活物質を得る工程と、
    を含んでなる、方法。
  2. 前記少なくとも1種の金属化合物が、Co、Ni、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属の、酸化物、水酸化物及び/又は炭酸塩である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記少なくとも1種の金属化合物が、Co、Ni、Mn及びAlからなる群から選択される少なくとも1種の金属の水酸化物を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記種粒子の体積基準D50平均粒子径が1〜10μmである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記種粒子の添加量が、前記原料粉末の合計量に対して、5〜20質量%である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記シート状成形体が厚さ120μm以下の自立した成形体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記焼成が600〜1100℃で行われる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記シート状成形体及び前記リチウム混合粉末が、造孔剤を含まない、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記解砕粉末が、前記焼成前に球形化処理及び/又は分級処理に付され、それにより前記解砕粉末が球形化される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記解砕と同時に、球形化処理及び/又は分級処理が行われ、前記解砕粉末が球形化された粉末として得られる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記球形化処理及び前記分級処理が気流分級により行われる、請求項9又は10に記載の方法。
  12. 前記リチウム二次電池用正極活物質が、多数の一次粒子からなる二次粒子を含んでなり、前記二次粒子が、3〜30%の空隙率及び50%以上の開気孔比率を有する、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 前記リチウム二次電池用正極活物質が、平均一次粒子径が0.01〜5μmである多数の一次粒子からなる二次粒子を含んでなり、前記二次粒子が、60%以上の(003)面の配向率、1〜100μmの体積基準D50平均粒子径、1.0以上2未満のアスペクト比、3〜30%の空隙率、50%以上の開気孔比率、及び0.1〜5μmの平均気孔径を有し、前記平均気孔径で前記一次粒子の平均粒子径を除した値が0.1〜5である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
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