JP2014047756A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料カット後に、吸気ポートの内壁に付着した凝縮水が燃焼室内に流れ込むことを防止できる内燃機関の制御装置を提供する。
【解決手段】エンジン1の制御装置37は、吸気バルブ26の開閉タイミングを変更する吸気側VVT機構38と、排気バルブ27の開閉タイミングを変更する排気側VVT機構39と、ECU40とを有している。ECU40は、通常時には、燃焼・膨張行程の後半で排気バルブ27を開弁し、排気行程の終了時に排気バルブ27を閉弁し、吸入行程の開始時に吸気バルブ26を開弁し、圧縮行程の前半で吸気バルブ26を閉弁するようにVVT機構38,39を制御する。また、ECU40は、エンジン1の燃料カット後には、排気バルブ27の開閉タイミングを進角させることで、ピストン35が排気上死点に達する前に排気バルブ27を閉弁するように排気側VVT機構39を制御する。
【選択図】図2
【解決手段】エンジン1の制御装置37は、吸気バルブ26の開閉タイミングを変更する吸気側VVT機構38と、排気バルブ27の開閉タイミングを変更する排気側VVT機構39と、ECU40とを有している。ECU40は、通常時には、燃焼・膨張行程の後半で排気バルブ27を開弁し、排気行程の終了時に排気バルブ27を閉弁し、吸入行程の開始時に吸気バルブ26を開弁し、圧縮行程の前半で吸気バルブ26を閉弁するようにVVT機構38,39を制御する。また、ECU40は、エンジン1の燃料カット後には、排気バルブ27の開閉タイミングを進角させることで、ピストン35が排気上死点に達する前に排気バルブ27を閉弁するように排気側VVT機構39を制御する。
【選択図】図2
Description
本発明は、排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路へ再循環させる排気再循環装置を備える内燃機関の制御装置に関するものである。
内燃機関の一つであるディーゼルエンジンは、排気通路を流れる排気ガスの一部を排気再循環ガス(EGRガス)として吸気通路へ再循環させる排気再循環装置(EGR装置)を備えている。EGR装置は、排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路と、このEGR通路に設けられ、EGRガスの還流量を調整するEGRバルブと、EGR通路を通るEGRガスを冷却するEGRクーラとを有している。このようなEGR装置を備えたディーゼルエンジンでは、排気ガス中に含まれるSOx(硫黄酸化物)が原因で、EGRガスの冷却により腐食性の凝縮水が発生し、その凝縮水が吸気通路の内壁に付着することがある。特に、凝縮水が吸気マニホールドより吸気ポートまで至ると、エンジン停止時にシリンダの燃焼室内に凝縮水が流れ込み、燃料噴射弁等が凝縮水によって腐食することがある。
EGRガスの冷却によって発生する凝縮水による燃焼室内の腐食を防止する従来技術としては、例えば特許文献1に記載されているものが知られている。特許文献1に記載の技術は、シリンダの吸気ポートを遮断または開通させる吸気ポート弁を設け、エンジンの停止時に、吸気ポート弁を閉弁して吸気ポートを遮断した状態とすることにより、燃焼室内に凝縮水が流入することを抑制するというものである。
しかしながら、上記従来技術においては、吸気ポートにおける吸気ポート弁よりも下流側の内壁に付着した凝縮水が燃焼室内に流入することは抑制できない。従って、エンジン停止時のような燃料カット後に、燃焼室内への凝縮水の流入による燃料噴射弁等の腐食を防止する手段として十分でない。
本発明の目的は、燃料カット後に、吸気ポートの内壁に付着した凝縮水が燃焼室内に流れ込むことを防止できる内燃機関の制御装置を提供することである。
本発明は、吸気ポート及び排気ポートを有するシリンダと、シリンダ内に往復運動可能に収容されたピストンと、シリンダの燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、吸気ポート及び排気ポートにそれぞれ設けられた吸気バルブ及び排気バルブと、吸気ポート及び排気ポートとそれぞれ接続された吸気通路及び排気通路と、排気通路を流れる排気ガスの一部を吸気通路へ再循環させる排気再循環装置とを具備した内燃機関の制御装置において、排気バルブの閉弁時期を変更する閉弁時期変更手段と、燃料噴射弁による燃焼室内への燃料噴射の停止が指示されたときに、ピストンが排気上死点に達する前に排気バルブを閉弁するように、閉弁時期変更手段を制御する排気制御手段とを備えることを特徴とするものである。
このように本発明の内燃機関の制御装置においては、燃料噴射弁による燃焼室内への燃料噴射の停止(燃料カット)が指示されると、ピストンが排気上死点に達する前に排気バルブを閉弁することにより、排気バルブが閉弁されてからピストンが排気上死点に達するまでの間は、燃焼室内の残留ガスが圧縮される。このため、その後に吸気バルブが開弁されたときは、燃焼室内の圧縮された残留ガスが吸気ポートへ吹き返すようになる。このとき、吸気ポートの内壁に付着した凝縮水が残留ガスと一緒に吸気上流側に吹き飛ばされる。これにより、燃料カット後に、吸気ポートの内壁に付着した凝縮水が燃焼室内に流れ込むことが防止される。
好ましくは、閉弁時期変更手段は、排気バルブの開閉タイミングを変更する排気開閉タイミング変更手段であり、排気制御手段は、燃料噴射弁による燃焼室内への燃料噴射の停止が指示されたときに、排気バルブの閉タイミングを進角させることで、ピストンが排気上死点に達する前に排気バルブを閉弁するように、排気開閉タイミング変更手段を制御する。この場合には、多用されている排気開閉タイミング変更手段を利用することで、本発明の容易な実施が可能となる。また、燃焼室内から吹き返されるガスは惰性回転により圧縮された空気であるため、吸気ポートが汚れることが無い。
また、好ましくは、吸気バルブの開閉タイミングを変更する吸気開閉タイミング変更手段と、排気バルブを閉弁した後で且つピストンが排気上死点またはその近傍に達した時点で吸気バルブを開弁するように、吸気開閉タイミング変更手段を制御する吸気制御手段とを更に備える。この場合には、燃焼室内の残留ガスの圧力が高い時期に、吸気バルブが開弁されることで、燃焼室内から吹き返される残留ガスの流速が上がるため、凝縮水を吹き飛ばす効果を確実なものとすることができる。
本発明によれば、燃料カット後に、吸気ポートの内壁に付着した凝縮水が燃焼室内に流れ込むことを防止できる。これにより、凝縮水による燃料噴射弁等の腐食を回避することが可能となる。
以下、本発明に係る内燃機関の制御装置の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施形態を備えた内燃機関としてディーゼルエンジンを示す概略構成図である。同図において、本実施形態のディーゼルエンジン1は、コモンレール式の4気筒直列ディーゼルエンジンである。
ディーゼルエンジン(以下、単にエンジン)1はエンジン本体2を備え、このエンジン本体2には4つのシリンダ3が設けられている。各シリンダ3には、燃焼室4内に燃料を噴射するインジェクタ(燃料噴射弁)5がそれぞれ配設されている。各インジェクタ5はコモンレール6に接続されており、コモンレール6に貯留された高圧燃料が各インジェクタ5に供給される。
エンジン本体2には、燃焼室4内に空気を吸入するための吸気通路7が吸気マニホールド8を介して接続されている。吸気通路7には、上流側から下流側に向けてエアクリーナー9、ターボ過給機10のコンプレッサ11、インタークーラー12及びスロットルバルブ13が設けられている。また、エンジン本体2には、燃焼後の排気ガスを排出するための排気通路14が排気マニホールド15を介して接続されている。排気通路14には、上流側から下流側に向けてターボ過給機10のタービン16及びDPF付きの触媒17が設けられている。
また、エンジン1は、燃焼後の排気ガスの一部を排気再循環ガス(EGRガス)として燃焼室4内に還流する排気再循環装置(EGR装置)18を備えている。EGR装置18は、吸気通路7と排気マニホールド15とを繋ぐように設けられ、EGRガスを還流するためのEGR通路19と、排気マニホールド15から吸気通路7へのEGRガスの還流量を調整するEGRバルブ20と、EGR通路19を通るEGRガスを冷却するEGRクーラ21と、このEGRクーラ21をバイパスするようにEGR通路19に接続されたバイパス通路22と、EGRガスの流路をEGRクーラ21側またはバイパス通路22側に切り換える切換弁23とを有している。
図2は、本発明に係る内燃機関の制御装置の一実施形態を上記シリンダ3と共に示す構成図である。同図において、シリンダ3のシリンダヘッド3aには、吸気マニホールド8と燃焼室4とを連通する吸気ポート24と、排気マニホールド15と燃焼室4とを連通する排気ポート25とが設けられている。吸気ポート24には、燃焼室4への吸入空気の流入及び停止を切り換える吸気バルブ26が配置されている。排気ポート25には、燃焼室4からの排気ガスの排出及び停止を切り換える排気バルブ27が配置されている。
吸気バルブ26の開閉動作は、吸気側カムシャフト28に取り付けられた吸気側カム29により行われる。吸気側カムシャフト28の一端部には、吸気側プーリ30が設けられている。排気バルブ27の開閉動作は、排気側カムシャフト31に取り付けられた排気側カム32により行われる。排気側カムシャフト31の一端部には、排気側プーリ33が設けられている。吸気側カムシャフト28及び排気側カムシャフト31の回転駆動は、クランクシャフト34の一端に固定されたクランクプーリ(図示せず)と、このクランクプーリ及び吸気側プーリ30と排気側プーリ33に掛け渡されたベルト(図示せず)とを介し、クランクシャフト34の回転を吸気側プーリ30と排気側プーリ33に伝達することにて行われる。
シリンダ3の内部には、ピストン35が往復運動可能に収容されている。ピストン35は、クランクシャフト34にコンロッド36を介して連結されている。
さらに、エンジン1は、本実施形態の制御装置37を備えている。制御装置37は、吸気側可変バルブタイミング機構(吸気側VVT機構)38と、排気側可変バルブタイミング機構(排気側VVT機構)39と、電子制御ユニット(ECU)40とを有している。
吸気側VVT機構38は、吸気側カムシャフト28と吸気側プーリ30との相対的な回転位相を変更することで、吸気バルブ26の開閉タイミングを変更する機構(吸気開閉タイミング変更手段)である。排気側VVT機構39は、排気側カムシャフト31と排気側プーリ33との相対的な回転位相を変更することで、排気バルブ27の開閉タイミングを変更する機構(排気開閉タイミング変更手段)である。
VVT機構としては、例えば特開平5−99006号公報に開示された油圧式機構、または特開平10−153104号公報に開示された電磁式機構のように公知の機構が採用可能である。特に図示はしないが、本実施形態のVVT機構38,39は、カムシャフト28,31の一端部にそれぞれ取り付けられた油圧式のVVTコントローラと、このVVTコントローラへの油路を切り換えるオイルコントロールバルブ(OCV)とを有する油圧式機構を採用している。
ECU40には、エンジン1の始動及び停止の指示操作を行うためのイグニッション(IG)スイッチ41が接続されている。ECU40は、IGスイッチ41の操作信号に基づいて吸気側VVT機構38及び排気側VVT機構39を制御することにより、吸気バルブ26及び排気バルブ27の開閉タイミングを制御する。
図3は、ECU40により実行されるバルブ開閉タイミング制御処理の手順を示すフローチャートである。図3において、まずIGスイッチ41がON操作されたかどうかを判断し(手順S101)、IGスイッチ41がON操作されたときは、吸気バルブ26及び排気バルブ27の開閉タイミング(開弁時期及び閉弁時期)が通常タイミングとなるように、吸気側VVT機構38及び排気側VVT機構39のOCV(図示せず)を制御する(手順S102)。
具体的には、図4に示すように、燃焼・膨張行程の後半で排気バルブ27を開弁し、排気行程の終了時に排気バルブ27を閉弁し(破線P参照)、吸入行程の開始時に吸気バルブ26を開弁し、圧縮行程の前半で吸気バルブ26を閉弁する(破線Q参照)。なお、燃焼・膨張行程は、ピストン35が圧縮上死点(圧縮TDC)から下死点(BDC)まで移動する行程である。排気行程は、ピストン35が下死点から排気上死点(排気TDC)まで移動する行程である。吸入行程は、ピストン35が排気上死点から下死点まで移動する行程である。圧縮行程は、ピストン35が下死点から圧縮上死点まで移動する行程である。
図3に戻り、その後IGスイッチ41がOFF操作されたかどうかを判断する(手順S103)。IGスイッチ41がOFF操作されたときは、燃焼室4内への燃料噴射を停止すると共に、排気バルブ27の開閉タイミング(開弁時期及び閉弁時期)を上記通常タイミングに対して進角させることで、ピストン35が排気上死点に達する前に排気バルブ27を閉弁するように、排気側VVT機構39のOCV(図示せず)を制御する(手順S104)。具体的には、図4に示すように、燃焼・膨張行程の中間付近で排気バルブ27を開弁し、排気行程の後半に入った直後に排気バルブ27を閉弁する(実線R参照)。
以上において、ECU40は、燃料噴射弁5による燃焼室4内への燃料噴射の停止が指示されたときに、ピストン35が排気上死点に達する前に排気バルブ27を閉弁するように、排気開閉タイミング変更手段(閉弁時期変更手段)39を制御する排気制御手段と、排気バルブ27を閉弁した後で且つピストン35が排気上死点またはその近傍に達した時点で吸気バルブ26を開弁するように、吸気開閉タイミング変更手段38を制御する吸気制御手段とを構成する。このとき、図3の手順S104は排気制御手段として機能し、図3の手順S102は吸気制御手段として機能する。
このようにIGスイッチ41のOFF操作による燃料カット後のエンジン慣性回転時に、排気バルブ27の開弁時期及び閉弁時期を進角させることにより、図5(a)に示すように、排気行程の後半に入った時点(図4のA点に相当)で排気バルブ27が閉じられると、その後もピストン35は上昇し続ける。このため、図5(b)に示すように、ピストン35が排気上死点に達する前の時点(図4のB点に相当)で、燃焼室4内(筒内)の残留ガスが圧縮される。その後、図5(c)に示すように、吸入行程において吸気バルブ26が開いた瞬間(図4のC点に相当)に、筒内の圧縮された残留ガスが吸気ポート24へ吹き返すようになる。
従って、図6に示すように、クランク角が排気上死点(360°)付近であるときに、筒内圧(シリンダ圧)が上昇する(実線X1参照)。なお、排気バルブ27の開閉タイミングが通常タイミングである場合には、ピストン35が排気上死点に達した時点で排気バルブ27が閉弁されると共に吸気バルブ26が開弁されるため、クランク角が排気上死点付近にあるときに、筒内圧が上昇することは無い(破線Y参照)。
なお、筒内の圧縮された残留ガスが吸気ポート24へ吹き返した後に、新気が筒内に吸入される。そして、その後の圧縮行程において、筒内の残留ガスが十分に圧縮されるため、図6に示すように、クランク角が圧縮上死点(720°つまり0°)付近であるときに、筒内圧が十分に上昇する(実線X2参照)。
ところで、排気ガス及びEGRガスは、水分を含んでいる。EGRガスがEGRクーラ21で過度に冷却され、凝縮水が発生しないように、EGRガスの濃度が低いときには、EGRガスはバイパス通路22を流れるように制御され、凝縮水の発生は抑制される。しかしながら、低温環境下などでは、吸気通路7内において、EGRガスが低温の外気と混合され、冷却されると、吸気通路7内に凝縮水が発生することがある。EGRガスにはSOx(硫黄酸化物)が含まれるため、EGRガスに起因する凝縮水は腐食性を有し、その凝縮水が吸気マニホールド8及びシリンダ3の吸気ポート24の内壁に付着する。エンジン1の稼働中は、仮に凝縮水が燃焼室4内に流れ込んでも、凝縮水は、都度の燃焼にて排出されるため、燃焼室4に長く溜まることは無い。一方、エンジン1の停止後に、吸気マニホールド8及び吸気ポート24の内壁に付着した凝縮水が燃焼室4内に流れ込むと、燃焼室4内のインジェクタ5が腐食してしまうことがある。
凝縮水によるインジェクタの腐食を防止するためには、吸気通路内で発生する凝縮水積算量をコンピュータ上で計算し、燃焼室内に凝縮水が流れ込まないように、発生する凝縮水量が所定量以下となるようにEGRガスの流量を減量することが考えられる。しかし、この場合には、排ガス(OBD)規制により要求されるNOxの抑制に対し、EGRガスの流量を十分に確保することができない場合がある。
また、エンジン停止時に、燃焼室内への凝縮水の流入を抑えるために、吸気ポートの通路を遮断する遮断バルブを吸気ポートに設けることも考えられる。しかし、この場合には、吸気ポートにおける遮断バルブよりも下流側の内壁に付着した凝縮水の流入を防止することはできない。また、吸気バルブにより遮断バルブと同様の効果を得ようとした場合には、吸気バルブを全気筒同時に閉弁する必要があるため、カムと吸気バルブとを切り離すような複雑な機構が必要となる。
これに対し本実施形態では、燃料カット後のエンジン慣性回転時に、排気バルブ27の開弁時期及び閉弁時期を進角させることで、ピストン35が排気上死点に達する前に排気バルブ27を閉じるようにしたので、ピストン35が排気上死点に達するまでの間に、燃焼室内4の残留ガスが圧縮されるようになる。このため、その後にピストン35が排気上死点に達して吸気バルブ26が開いたときには、圧縮された残留ガスが吸気ポート24へ吹き返すようになる。このとき、吸気マニホールド8及び吸気ポート24の内壁に付着した凝縮水は、残留ガスの吹き返しによって吹き飛ばされる。これにより、吸気マニホールド8及び吸気ポート24から燃焼室4内への凝縮水の流入が抑制されるため、燃焼室4内のインジェクタ5の腐食を防止することができる。
また、本実施形態では、EGRガスの流量を減量させること無く、燃焼室4内への凝縮水の流入を抑制することができる。従って、排ガス規制により要求されるNOxの抑制を実現することが可能となる。また、吸気バルブ26と吸気側カム29とを切り離すような複雑な機構を不要とすることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、エンジン1の惰性回転時には、エンジン1の稼働時と同様にピストン35が排気上死点に達した時点で吸気バルブ26を開弁するようにしたが、吸気バルブ26の開弁タイミングとしては、特にその時点には限られず、燃焼室4内で圧縮された残留ガスが吸気ポート24へ吹き返すことが可能となるようなタイミングであれば良い。ただし、排気バルブ27が閉弁された後で且つピストン35が排気上死点またはその近傍に達した時点で、吸気バルブ26を開弁するのが、燃焼室4内と吸気ポート24側との圧力差が最も大きく、吹き返しにおける流速が早くなるので、望ましい。
また、上記実施形態では、IGスイッチ41のOFF操作によるエンジン1の慣性回転時に、排気バルブ27の開弁時期及び閉弁時期を進角させるようにしたが、IGスイッチ41のOFF操作を必須とするものではなく、所定のエンジン停止指示またはエンジン停止制御において、本発明を実施することができる。例えば、いわゆるアイドリングストップ機能を有するエンジンにおいて、アイドリングストップのために燃料カットを行う場合に、排気バルブ27の開弁時期及び閉弁時期を進角させても良い。
さらに、上記実施形態では、吸気バルブ26及び排気バルブ27の開閉タイミングを変更する手段として、可変バルブタイミング機構(VVT機構)38,39を使用したが、特にVVT機構に限定されるものではない。例えば、バルブの開閉タイミングだけでなく、カムによるバルブのリフト量も変更可能なVVTL機構や、バルブの開閉タイミング及びリフト量を連続的に変更可能なバルブマチック機構を使用しても良い。また、カムと排気バルブとの間に介在するタペットが、例えば特開2007−146844号公報に記載されたタペットの如く、リフト量を変更する機能を有する場合には、その機構を制御して排気バルブを閉じても良い。このように、閉弁時期変更手段は、排気行程の途中で排気バルブの閉弁時期を変更するものであるならば、その機構や構造が限定されるものではない。
また、上記実施形態では、燃料噴射の停止後に、排気バルブ27の開弁時期及び閉弁時期を進角させているが、必ずしも燃料噴射の停止後に限定されるものではない。例えば、エンジン1を停止するためにIGスイッチ41がOFFされた後、排気バルブ27の閉弁時期の進角と共に、1回のみ燃焼室4内に燃料噴射を行い、既燃焼ガスにより吸気ポート24への吹き返しを行っても良い。この場合、吹き返し時の流速に加え、既燃焼ガスの熱によって、吸気ポート24より凝縮水を除去する効果が期待できる。
また、本発明は、ディーゼルエンジンに限定されるものではなく、EGR装置を備えたガソリンエンジンにも適用可能である。ガソリンエンジンでは、燃焼室内にインジェクタが配置されることは少ないが、本発明の適用により、点火プラグ等の腐食が抑制される。
1…ディーゼルエンジン、3…シリンダ、4…燃焼室、5…インジェクタ(燃料噴射弁)、7…吸気通路、14…排気通路、18…EGR装置(排気再循環装置)、24…吸気ポート、25…排気ポート、26…吸気バルブ、27…排気バルブ、35…ピストン、37…制御装置、38…吸気側VVT機構(吸気開閉タイミング変更手段)、39…排気側VVT機構(排気開閉タイミング変更手段、閉弁時期変更手段)、40…ECU(吸気制御手段、排気制御手段)。
Claims (3)
- 吸気ポート及び排気ポートを有するシリンダと、前記シリンダ内に往復運動可能に収容されたピストンと、前記シリンダの燃焼室内に燃料を噴射する燃料噴射弁と、前記吸気ポート及び前記排気ポートにそれぞれ設けられた吸気バルブ及び排気バルブと、前記吸気ポート及び前記排気ポートとそれぞれ接続された吸気通路及び排気通路と、前記排気通路を流れる排気ガスの一部を前記吸気通路へ再循環させる排気再循環装置とを具備した内燃機関の制御装置において、
前記排気バルブの閉弁時期を変更する閉弁時期変更手段と、
前記燃料噴射弁による前記燃焼室内への燃料噴射の停止が指示されたときに、前記ピストンが排気上死点に達する前に前記排気バルブを閉弁するように、前記閉弁時期変更手段を制御する排気制御手段とを備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記閉弁時期変更手段は、前記排気バルブの開閉タイミングを変更する排気開閉タイミング変更手段であり、
前記排気制御手段は、前記燃料噴射弁による前記燃焼室内への燃料噴射の停止が指示されたときに、前記排気バルブの閉タイミングを進角させることで、前記ピストンが排気上死点に達する前に前記排気バルブを閉弁するように、前記排気開閉タイミング変更手段を制御することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の制御装置。 - 前記吸気バルブの開閉タイミングを変更する吸気開閉タイミング変更手段と、
前記排気バルブを閉弁した後で且つ前記ピストンが前記排気上死点またはその近傍に達した時点で前記吸気バルブを開弁するように、前記吸気開閉タイミング変更手段を制御する吸気制御手段とを更に備えることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の制御装置。
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