JP2014047332A - 樹脂組成物、及びそれからなるフィルム - Google Patents

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剛平 山村
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Abstract

【課題】汎用樹脂並みの樹脂特性を維持しながら、最終的に微生物により生分解されうる樹脂組成物およびフィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】熱可塑性樹脂(A)と酸化分解促進剤(B)とを含有する、樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、最終的に微生物により生分解されうる樹脂組成物およびフィルムに関する。
近年、環境負荷を低減させるプラスチックとして、ポリ乳酸などの生分解性樹脂が注目されている。しかしながら、一般的に生分解性樹脂は、成形加工性や、耐熱性などの樹脂特性が、従来のポリエステルやポリオレフィンといった汎用樹脂に比べて劣るため、様々な改良検討が行われている。その中でも、生分解性樹脂と汎用樹脂を混合することにより、生分解性樹脂の欠点を補った例が多く報告されている。例えば、特許文献1には、ポリ乳酸とポリオレフィンを分散剤の存在下で混合することで、ポリ乳酸の耐衝撃性、耐熱性、機械特性、防湿性などを改良した樹脂組成物が開示されている。また、特許文献2には、ポリ乳酸とポリオレフィンを積層することで、ポリ乳酸の加工適性、製膜性、ガスバリア性などを改良したフィルムが開示されている。
特開2009−107316号公報 WO2009/084518号パンフレット
前述の特許文献1や特許文献2では、ポリ乳酸の諸物性の改良には成功しているものの、肝心の生分解性が失われる、といった問題があった。
そこで本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、汎用樹脂並みの樹脂特性を維持しながら、最終的に微生物により生分解されうる樹脂組成物およびフィルムを提供せんとするものである。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、次によって解決することを見出し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明は、以下である。
(1) 熱可塑性樹脂(A)と酸化分解促進剤(B)とを含有する、樹脂組成物。
(2) 前記熱可塑性樹脂(A)がポリエステルであることを特徴とする、(1)に記載の樹脂組成物。
(3) 更に前記熱可塑性樹脂(A)とは異なる生分解性樹脂(C)を含有することを特徴とする、(1)または(2)に記載の樹脂組成物。
(4) (1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする、フィルム。
(5) (1)〜(3)のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層と、生分解性樹脂(D)を含有する層とを有することを特徴とする、フィルム。
本発明によれば、汎用樹脂並みの樹脂特性を維持しながら、最終的に微生物により生分解されうる樹脂組成物およびフィルムが提供される。本発明の樹脂組成物は、工業材料用の成形体、フィルム、あるいは、包装材料用、農業材料用および衛生材料用のフィルム、不織布などとして好適に用いることができる。
本発明は、前記課題、つまり汎用樹脂並みの樹脂特性を維持しながら、最終的に微生物により生分解されうる樹脂組成物について鋭意検討した結果、汎用樹脂を含む熱可塑性樹脂に、酸化分解促進剤を含有することにより、かかる課題の解決に初めて成功したものである。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂(A)と酸化分解促進剤(B)とを含有する、樹脂組成物である。
以下、本発明の樹脂組成物について説明する。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂(A)を含有することが重要である。本発明でいう熱可塑性樹脂(A)は、熱可塑性の樹脂であれば特に制限は無いが、その例としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン;ポリスチレン;ポリ塩化ビニルなどのハロゲン含有ポリマー;ポリアセタール;ポリアミド;ポリイミド;ポリ(メタ)アクリレート;ポリカーボネート;ポリフェニレンサルファイド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル;ポリスルホン;ポリフェニレンオキサイド;ポリエーテルイミド;ポリウレタン;ポリビニルアルコール;エチレン-酢酸ビニル共重合体などが挙げられる。また、後述する生分解性樹脂(C)、生分解性樹脂(D)も、この熱可塑性樹脂(A)に含まれる。
これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、これらの熱可塑性樹脂を構成するモノマー類を、別の熱可塑性樹脂に共重合してもよいし、無水マレイン酸やエポキシに代表される変性基を共重合してもよく、それらの共重合の形態はランダム、ブロック、グラフトなどのいずれでも構わない。

(酸化分解促進剤(B))
本発明の樹脂組成物は、酸化分解促進剤(B)を含有することが重要である。本発明でいう酸化分解促進剤(B)は、樹脂組成物を形成するポリマーを光、熱、空気などの作用下で酸化分解して、該ポリマーを微生物による生分解が可能な程度にまで低分子化する物質である。
本発明の酸化分解促進剤(B)は、前記機能を有する物質であれば特に制限されないが、カルボン酸金属塩、ヒドロキシカルボン酸、遷移金属化合物、希土類化合物、芳香族ケトン、キノン、パーオキサイド等が例示される。これらの酸化分解促進剤は1種単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。また、必要に応じ、潤滑剤、ワックスなどの成分や、分解を更に促進するためにアルカリ金属の塩化物塩などを含んでいてもよい。
カルボン酸金属塩の具体例としては、ステアリン酸など、炭素数10〜20の脂肪族カルボン酸の金属塩などが挙げられる。カルボン酸金属塩を構成する金属原子としては、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コバルト、セリウム、鉄、銅などが挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸の具体例としては、クエン酸などのモノヒドロキシトリカルボン酸;トリヒドロキシグルタル酸などのポリヒドロキシジカルボン酸;酒石酸などのジヒドロキシジカルボン酸;タルトロン酸、リンゴ酸などのモノヒドロキシジカルボン酸;ポリヒドロキシモノカルボン酸;グリセリン酸などのジヒドロキシモノカルボン酸などが挙げられる。
遷移金属化合物の具体例としては、鉄、マンガン、コバルト、セリウム、銅などの脂肪族カルボン酸塩が挙げられる。
希土類化合物の具体例としては、希土類の酸化物、希土類の水酸化物、希土類の硫酸塩、希土類の硝酸塩、希土類の酢酸塩、希土類の塩化物、希土類のカルボン酸塩などが例示される。より具体的には、酸化セリウム、硫酸第二セリウム、硫酸第二セリウムアンモニウム、硝酸第二セリウムアンモニウム、酢酸セリウム、硝酸ランタン、塩化セリウム、硝酸セリウム、水酸化セリウム、オクチル酸セリウム、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化スカンジウムなどが挙げられる。
このような酸化分解促進剤の具体例としては、「P−Life」(商品名)(ピーライフ・ジャパン・インク株式会社製)が挙げられる。
本発明の酸化分解促進剤(B)の含有量は、樹脂組成物全体を100質量%としたとき、0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.2〜2質量%がさらに好ましい。
このような酸化分解促進剤(B)を含有した樹脂組成物は、次の2段階を経て分解が進行する。まず第1段階では、酸化分解促進剤の触媒機能によりラジカル反応を伴って熱可塑性樹脂(A)の酸化分解が開始し、主鎖が寸断され分子量が低下する。続いて第2段階では、第1段階で生成した低分子化合物(カルボン酸、アルコール、エステル、ケトン類など)が、土壌中の微生物の代謝活動によって消費され、二酸化炭素及び水等に変化して排泄される。

(生分解性樹脂(C))
本発明の樹脂組成物は、更に前記熱可塑性樹脂(A)とは異なる生分解性樹脂(C)を含有することができる。
例えば生分解性樹脂(C)の諸物性を改良するために、元来生分解性を有さない熱可塑性樹脂(A)を混合する手法を用いる場合でも、本発明によると、熱可塑性樹脂(A)は酸化分解されるため、最終的な樹脂組成物全体の生分解性は維持されることになる点で好ましい。
また本発明者らは、熱可塑性樹脂(A)と生分解性樹脂(C)を混合する際に、酸化分解促進剤(B)が存在すると、熱可塑性樹脂(A)と生分解性樹脂(C)の相溶性が向上することを見出した。そのために、生分解性樹脂(C)を含有した本発明の樹脂組成物およびフィルムは、酸化分解促進剤を添加しない場合に比較して、樹脂組成物およびフィルムの強度、伸度などの諸物性が向上する。
本発明の樹脂組成物に含有される生分解性樹脂(C)は、生分解性を有する樹脂であれば特に制限されないが、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシバリレート)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート・3−ヒドロキシヘキサノエート)、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート・アジペートなどに代表される脂肪族ポリエステル、ポリエチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンサクシネート・テレフタレート、ポリブチレンアジペート・テレフタレートなどに代表される脂肪族芳香族ポリエステル、熱可塑性澱粉、澱粉と脂肪族(芳香族)ポリエステルからなる樹脂、セルロースエステルなどが例示される。

(酸化防止剤)
本発明の樹脂組成物は、成形加工中のポリマーの分解を防止する目的で、酸化防止剤を含有することができる。本発明の樹脂組成物は、酸化分解促進剤を含有しているため、高温で溶融させて成形加工する際などに、樹脂組成物を構成するポリマーの分解を伴いやすい。従って、本発明の樹脂組成物を製造する際は、あらかじめ酸化防止剤を混合してから溶融、成形加工することが好ましい。
酸化防止剤の種類については特に制限は無く、公知のヒンダードフェノール系、ヒンダードアミン系などの酸化防止剤が使用できる。
(添加剤)
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で前述した以外の添加剤を含有してもよい。例えば、公知の結晶核剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、消泡剤、着色顔料、染料、末端封鎖剤、熱安定剤、相溶化剤、可塑剤、滑剤、粒子などが含有できる。
(成形加工)
本発明の樹脂組成物は、公知の各種成形加工法、具体的には、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形などにより、各種成形体、フィルム、繊維などに成形加工することができる。
また本発明では、前記樹脂組成物からなる層と、生分解性樹脂(D)を含有する層とを有するフィルム(積層フィルム)とすることもできる。例えば生分解性樹脂(D)の諸物性を改良するために、元来生分解性を有さない熱可塑性樹脂(A)を積層する手法を用いる場合でも、本発明によると、熱可塑性樹脂(A)は酸化分解されるため、最終的なフィルム(積層フィルム)全体の生分解性は維持されることになる点で好ましい。
また本発明者らは、前記樹脂組成物からなる層と、生分解性樹脂(D)を含有する層とを積層する場合、樹脂組成物からなる層に酸化分解促進剤(B)が含有されない場合に比べて、層間接着性が向上することを見出した。
ここで、生分解性樹脂(D)の具体例としては、前記生分解性樹脂(C)の項で例示した樹脂が挙げられ、生分解性樹脂(C)と同じでもよいし、異なってもよい。
また、前記と同様の考え方で、繊維への成形加工の際、前記樹脂組成物と、生分解性樹脂(D)を用いて、芯鞘繊維とすることも好ましい。
(製造方法)
次に、本発明の樹脂組成物およびフィルムを製造する方法について具体的に説明するがこれに限定されるものではない。
本発明の樹脂組成物を製造するにあたっては、各成分を溶媒に溶かした溶液を均一混合した後、溶媒を除去する方法を用いることも可能であるが、溶媒へ原料の溶解、溶媒除去等の工程が不要で、実用的な製造方法である、各成分を溶融混練する方法を用いることが好ましい。その溶融混練方法については、特に制限はなく、ニーダー、ロールミル、バンバリーミキサー、単軸または2軸押出機等の通常使用されている公知の混合機を用いることができる。中でも本発明の樹脂組成物およびフィルムの性能を最大限に発揮できる点で、2軸押出機の使用が好ましい。
2軸押出機を用いて溶融混練する際は、例えば、熱可塑性樹脂(A)、酸化分解促進剤(B)、およびその他の樹脂、添加剤を一括してメインフィーダーから供給する方法でもよいが、溶融混練中のポリマーの分解を最小限に止める目的から、熱可塑性樹脂(A)と、酸化分解促進剤(B)を除くその他の樹脂、添加剤をメインフィーダーから供給し、酸化分解促進剤(B)をサイドフィーダーから供給する方法が好ましい。その際、サイドフィーダーの位置は、2軸押出機のスクリューの根元位置を0、先端位置を100としたとき、40〜95の位置にあることが好ましく、50〜90の位置にあることがより好ましく、60〜90の位置にあることがさらに好ましく、70〜90の位置にあることが特に好ましい。また、サイドフィーダーの位置からスクリューの先端位置までの間のスクリュー形状は、滞留時間を短くする目的で、混練セグメントや、逆ねじセグメントではなく、通常の順送りセグメントのみであることが好ましい。
また、融混練中のポリマーの分解を最小限に止める目的から、溶融混練時の樹脂温度は、熱可塑性樹脂(A)あるいは生分解性樹脂(C)の融点のうち高い方をTとしたとき、T〜T+30℃が好ましく、T〜T+20℃がより好ましく、T〜T+10℃がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物は、前記した通り、公知の各種成形加工法により成形品とすることができる。その際、前記の溶融混練した樹脂組成物を一旦冷却、ペレット化してから、再度溶融させて成形加工してもよいが、溶融中のポリマーの分解を最小限に止める目的から、前記の溶融混練した樹脂組成物を溶融状態のまま、連続して成形加工することが好ましい。つまり、溶融混練に用いた混合機に成形加工用の口金や金型を直結させて、溶融混練と、成形加工を一貫して行う方法が好ましい。
本発明の樹脂組成物からなる成形品の様態としてフィルムを選択する場合は、フィルムを少なくとも1方向に延伸することが好ましい。延伸によりポリマーを配向させることで、フィルムを各々の用途で使用中に酸化分解することを最小限に抑えることが可能となる。2軸延伸することにより物性の異方性が少なくバランスのとれたフィルムとすることができるので、さらに好ましい。2軸延伸する場合には、1方向に延伸後、直交する方向にさらに延伸する逐次2軸延伸法、および直交する2方向に同時に延伸する同時2軸延伸のいずれも好ましく使用できる。長手方向の延伸および幅方向の延伸をそれぞれ複数回数行っても良い。製膜法としては、テンター法、インフレーション法、およびチューブラー法のいずれも使用できる。
以下に実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
[評価方法]
実施例中に示す評価は次に示すとおりの条件で行った。
(1)強制劣化試験
下記の方法に従って、実施例、比較例で得られたフィルムサンプルを強制劣化させた。
フィルムサンプル:アルミ製フレーム枠に、評価用のフィルムをシワがないように緊張状態で貼り付け、文具用のダブルクリップを複数用いてフィルムをフレームに固定した。
使用機器:熱風オーブン(槽内強制循環機能有り)
オーブン内温度:80℃
強制劣化時間:0hr、24hr、168hr
(2)物性評価
(1)の方法に従って強制劣化させたフィルムサンプルを、JIS K 7127 (1999)に規定された方法に従って、引張伸度を下記の条件で測定しその平均値を用いた。
測定機器:(株)オリエンテック製“TENSILON”(登録商標)UCT-100
測定雰囲気:室温23℃、相対湿度65%
初期引張チャック間距離:50m
測定方向:長手方向
引張速度:200mm/min
測定回数:各サンプル10回
[熱可塑性樹脂(A)]
(A1)
ポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点255℃)
(A2)
ポリ乳酸(質量平均分子量Mw200,000、D体含有量1.4%、融点170℃)
(A3)
ポリプロピレン(住友化学製“ノーブレン”WF836DG3、融点165℃)
[酸化分解促進剤(B)]
(B1)
「P−Life」(商品名)(ピーライフ・ジャパン・インク株式会社製)
[生分解性樹脂(C)]
(C1)
ポリ乳酸(質量平均分子量Mw200,000、D体含有量1.4%、融点166℃)
[生分解性樹脂(D)]
(D1)
ポリ乳酸(質量平均分子量Mw200,000、D体含有量1.4%、融点166℃)
[樹脂組成物およびフィルムの作製]
(比較例1)
熱可塑性樹脂(A1)100質量部を、シリンダー温度270℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度270℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度105℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度100℃で3.5倍延伸した。続いて、定長下、温度220℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(実施例1)
熱可塑性樹脂(A1)99質量部を、シリンダー温度270℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、また、酸化分解促進剤(B)1質量部を、該2軸押出機のスクリューの根元位置を0、先端位置を100としたとき、75の位置にあるサイドフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度270℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度105℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度100℃で3.5倍延伸した。続いて、定長下、温度220℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(比較例2)
熱可塑性樹脂(A2)100質量部を、シリンダー温度190℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度190℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度85℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度80℃で3.5倍延伸した。続いて、定長下、温度150℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(実施例2)
熱可塑性樹脂(A2)99質量部を、シリンダー温度190℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、また、酸化分解促進剤(B)1質量部を、該2軸押出機のスクリューの根元位置を0、先端位置を100としたとき、75の位置にあるサイドフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度190℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度85℃で3.5倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度80℃で3.5倍延伸した。続いて、定長下、温度150℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(比較例3)
熱可塑性樹脂(A2)20質量部と、熱可塑性樹脂(A3)80質量部を、シリンダー温度200℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度200℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度155℃で4倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度160℃で8倍延伸した。続いて、定長下、温度160℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(実施例3)
熱可塑性樹脂(A2)20質量部と、熱可塑性樹脂(A3)79質量部を、シリンダー温度200℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、また、酸化分解促進剤(B)1質量部を、該2軸押出機のスクリューの根元位置を0、先端位置を100としたとき、75の位置にあるサイドフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、押出機に直結させた温度200℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度155℃で4倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度160℃で8倍延伸した。続いて、定長下、温度160℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。
(比較例4)
I層をなす樹脂組成物(I)として、熱可塑性樹脂(A2)100質量部を、シリンダー温度190℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、一方、II層をなす樹脂組成物(II)として、熱可塑性樹脂(A3)100質量部を、シリンダー温度200℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練し、2種3層構成としてII層/I層/II層となるように、2台の押出機に直結させた温度200℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度155℃で4倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度160℃で8倍延伸した。続いて、定長下、温度160℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。該フィルムの積層比はII層/I層/IIC層=1/2/1であった。
(実施例4)
I層をなす樹脂組成物(I)として、熱可塑性樹脂(A2)100質量部を、シリンダー温度190℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練した。一方、II層をなす樹脂組成物(II)として、熱可塑性樹脂(A3)99質量部を、シリンダー温度200℃のスクリュー径45mm、L/D=32の真空ベント付き2軸押出機のスクリューの根元にあるメインフィーダーに供し、また、酸化分解促進剤(B)1質量部を、該2軸押出機のスクリューの根元位置を0、先端位置を100としたとき、75の位置にあるサイドフィーダーに供し、真空ベント部を脱気しながら溶融混練した。それらを2種3層構成としてII層/I層/II層となるように、2台の押出機に直結させた温度200℃のTダイからフィルム状に押し出し、表面温度25℃のキャストドラムに静電荷を印加させながら密着させて冷却固化し、無延伸フィルムを得た。この無延伸フィルムをロール式延伸機にて長手方向に、温度155℃で4倍延伸し、さらに、テンターを用いて、幅方向に温度160℃で8倍延伸した。続いて、定長下、温度160℃で10秒間熱処理後、幅方向に2%の弛緩処理を施し、厚さ20μmの2軸延伸フィルムを得た。該フィルムの積層比はII層/I層/IIC層=1/2/1であった。
上記実施例、比較例得られた2軸延伸フィルムの評価結果を表1に示した。
Figure 2014047332
表1に示される結果より、各実施例のフィルムは24hrあるいは168hrの強制劣化試験後に、主鎖が寸断され分子量が低下する目安とされている引張伸度10%以下、あるいは、フィルムが崩壊して測定不可となっている。
本発明の樹脂組成物は、工業材料用の成形体、フィルム、あるいは、包装材料用、農業材料用および衛生材料用のフィルム、不織布などとして好適に用いることができる。具体的には、各種工業材料用の射出成形体、フィルム状物;各種工業製品の袋、ゴミ袋、堆肥袋、野菜や果物など食料品用袋、成形容器、ショッピングバッグやTシャツバッグなどの手提げ袋、緩衝材;農林業用フィルム;おむつや生理用品を構成するフィルムや不織布、などに好ましく用いることができる。

Claims (5)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と酸化分解促進剤(B)とを含有する、樹脂組成物。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)がポリエステルであることを特徴とする、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 更に前記熱可塑性樹脂(A)とは異なる生分解性樹脂(C)を含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなることを特徴とする、フィルム。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物からなる層と、生分解性樹脂(D)を含有する層とを有することを特徴とする、フィルム。
JP2012193711A 2012-09-04 2012-09-04 樹脂組成物、及びそれからなるフィルム Pending JP2014047332A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020122111A (ja) * 2019-01-31 2020-08-13 株式会社コバヤシ 樹脂組成物

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