JP2014047176A - プロピレンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】エチレンを含む原料混合物を、触媒と接触させてプロピレンの製造する方法において、圧縮工程において負荷がかからず、かつ効率のよいプロピレンの製造方法を提供する。
【解決手段】エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離し、流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させることを特徴とするプロピレンの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、エチレンを含む原料混合物からプロピレンを製造する方法に関するものである。
従来、プロピレンを製造する方法としては、ナフサのスチームクラッキング法や減圧軽油の流動接触分解法が一般的に実施されている。スチームクラッキング法では、プロピレンの他にエチレンも大量に生成し、プロピレンとエチレンの製造割合を大きく変えることは難しいため、プロピレンとエチレンの需給バランスの変化に対応する、具体的にはプロピレンの増産に対応することは困難であった。
そこで、エチレンを原料として高収率でプロピレンを製造することで、プロピレンを増産する技術が望まれている。
例えばエチレンを、ゼオライトを主成分とする触媒と接触させ、プロピレンを直接製造する方法が提案され、エチレンとしてはスチームクラッキング法等で製造したものを用いることができることが記載されている(例えば特許文献1)。またこのような触媒との接触反応を、エタンクラッキング法等と組み合わせる方法等も提案されている(特許文献2)。
特開2007−291076号公報 国際公開2010/032609号
上記特許文献1又は2のように各種クラッキングプロセスから得られたエチレンを原料として、プロピレンを得る反応を行なう際には、通常、クラッキングプロセスの精製工程を経てエチレンを取り出し、利用することが想定される。
具体的には、各種クラッキングプロセスで得られた分解ガスは一般的に、まず脱エタン塔で、炭素数2以下の炭化水素や水素等の分子量の小さい成分を含むいわゆる「粗製エチレン」と、炭素数3以上の炭化水素とに分離される。そして「粗製エチレン」は、脱メタン塔に誘導され、炭素数2の炭化水素と、メタン及び水素とに分離される。そして必要に応じ、さらにエチレン精留塔に誘導し、エタンとエチレンとを分離される。
つまりプロピレン製造に、この「粗製エチレン」、脱メタン塔で得られる炭素数2の炭化水素、及びエチレン精留塔で分離されたエチレン(以下「精製エチレン」と称す)のいずれかが用いられることが考えられる。
精製エチレンは、純度が高い反面、上述のプロセスを経るため、特に、脱メタン塔での水素及びメタンの分離・精製のための手間とコストがかかり、工業生産上不利である。
また脱メタン塔で得られる炭素数2の炭化水素は、エチレンと、触媒との接触反応に影響を与えないエタンの混合物であるため、精製エチレンと同様、反応に使用することができるが、脱メタン塔を経る点で、工業生産上不利である点は、精製エチレンと同様である。
一方、脱エタン塔で得られる粗製エチレンは、目的物であるエチレン以外に、通常メタンや水素を多く含む。一般的に用いる脱エタン塔では、エチレンやエタンの炭素数2の炭
化水素は、通常、水素やメタンとともに脱エタン塔の塔頂から抜き出される。このとき、塔頂から抜き出されたもののうち、比較的沸点の高い炭素数2の成分は、脱エタン塔が通常備えている凝縮器で、凝縮、還流され、脱エタン塔内に回収される。
そのため粗製エチレンは、エチレンを多く含むが、メタン、水素の含有率も依然高いため、そのまま触媒との接触反応に供すると、引き続く精製工程の圧縮機に大きな負荷がかかる。
また一方で、エチレン留分を脱エタン塔の塔底に近い部分から抜き出して、プロピレン製造反応に使用すると、原料中に製品であるプロピレンの含有量が増えるため、最終製品として抜き出せるプロピレンの収量が減少するという問題がある。
上記事情に鑑み、本発明は、エチレンを含む原料混合物を、触媒と接触させてプロピレンを製造する方法であって、圧縮工程において負荷がかからず、かつ効率のよいプロピレンの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、製造工程において、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体と、炭素数2の炭化水素が主成分である流体と、炭素数3以上の炭化水素が主成分である流体とを分離できる蒸留塔、好ましくはサイドカット段を有する蒸留塔を用いて、炭素数2の炭化水素が主成分である流体を抜き出し触媒と反応させることで、プロピレンを効率よく製造するとともに、精製時の装置の圧縮負荷を低減できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明の要旨は、
[1]エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離し、
流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させてプロピレンを含む反応混合物を得、
該反応混合物を、圧縮工程を含む精製工程にて精製することを特徴とするプロピレンの製造方法、
[2]前記流体(A)〜(C)に分離する前に、前記原料混合物を圧縮することを特徴とする、上記[1]に記載のプロピレンの製造方法、
[3]前記流体(A)〜(C)の分離を、サイドカット段を有する蒸留塔にて行い、前記流体(B)をサイドカット段から抜き出すことを特徴とする、上記[1]または[2]に記載のプロピレンの製造方法、
[4]前記原料混合物が、ナフサの熱分解によって得られたものであることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1に記載のプロピレンの製造方法、
[5]前記流体(B)におけるエチレン含有量が40モル%以上であることを特徴とする、上記[1]〜[4]のいずれか1に記載のプロピレンの製造方法、
[6]前記流体(B)におけるメタン/エチレン比率がモル比で0.9以下であることを特徴とする、上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のプロピレンの製造方法、
[7]前記流体(B)におけるメタン含有量が35モル%以下であることを特徴とする、上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のプロピレン製造方法、
[8]前記流体(B)における水素含有量が15モル%以下であることを特徴とする、上記[1]〜[7]のいずれか1に記載のプロピレン製造方法、
[9]前記流体(B)における炭素数3以上の成分の含有量が15モル%以下であることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれか1に記載のプロピレンに製造方法、
[10]下記工程(1)〜(4)を含む、プロピレンの製造方法、
工程(1):エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素
を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
工程(2):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
工程(3):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
工程(4):前記工程(1)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
[11]更に、アルキン類およびジエン類を選択的に水素化する工程を含む、上記[10]に記載のプロピレン製造方法、
[12]前記水素化を液相反応でおこなうことを特徴とする、上記[11]に記載のプロピレン製造方法、
[13]下記工程(0)(1’)(2’)(3’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法、
工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)に分離する工程
工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
工程(3’):前記反応混合物を、前記工程(0)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に圧縮する工程
工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
[14]下記工程(0)、(1’)、(2’)、(3’’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法、
工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
工程(3’’):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1’)に供し、前記圧縮された原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
[15]更に、アルキン類およびジエン類を選択的に水素化する工程を含む、上記[13]〜[14]のいずれか1に記載のプロピレン製造方法、
[16]前記水素化を液相反応でおこなうことを特徴とする、上記[15]に記載のプロピレン製造方法、に存する。
本発明によれば、反応後に得られる反応混合物中のメタン、及び炭素数4以上の炭化水素成分の量を最小化することができる。これにより圧縮機にかかる負荷を低減し、エネルギーコストが削減されるという効果を有する。
本発明の実施例1に対応するプロピレンの製造フローである。 本発明の実施例2に対応するプロピレンの製造フローである。 比較例1に対応するプロピレンの製造フローである。
以下、本発明のプロピレンの製造方法の実施の態様を詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明のプロピレンの製造方法は、エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離し、前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させてプロピレンを含む反応混合物を得、該反応混合物を、圧縮工程を含む精製工程にて精製することを特徴とするものである。
流体(B)のみを反応に使用することにより、反応後に得られる反応混合物中のメタン及び炭素数4以上の炭化水素の量を最小化することができ、該反応混合物の精製工程における圧縮機の負荷を軽減することができる。
以下、まずエチレンを含む原料混合物について説明した後、製造方法に含まれる工程毎に説明する。
本発明において用いられるエチレンを含む原料混合物(以下、単に「原料混合物」と称することがある)は、エチレンを含むものであれば特に限定されるものではないが、例えば、炭化水素を分解することにより得ることができる。
該炭化水素としては、エチレンを製造することができる公知の物質を用いることができ、具体的には例えば、エタン、ナフサ、液化石油ガス(LPG)、常圧軽油(AGO)、減圧軽油(VGO)、天然ガス液(NGL)等を用いることができる。またこれらは単独でも2種類以上を組み合わせて使用することも可能である。
炭化水素の分解は、公知の方法で行なうことができる。例えば、触媒を用いずに高温条件下で炭化水素を分解する熱分解法や、触媒を用いて分解する接触分解法等のいずれを用いることもできる。
熱分解法としては、その形式は限定されるものではないが、例えば管式加熱法、スチームクラッキング法、移動層法等を用いることができる。通常、炭化水素とスチームを混合して加熱管内を大きな速度で通し、管の外側から加熱して分解する管式加熱法や、炭化水素を分解温度少し手前まで加熱し、加熱した蒸気と混合し、その蒸気の熱で分解するスチームクラッキング法等が用いられる。
熱分解における反応温度は特に限定はされないが、いずれの方式においても、通常600℃〜1400℃が好ましい。炭化水素の分解反応は一般に吸熱反応のため、反応温度が前記下限未満では炭化水素の転化率が低くなり、エチレンの収率が下がる傾向がある。
熱分解における反応圧力は特に限定はされないが、通常、絶対圧で0.001MPa以上、好ましくは0.2MPa以上であり、2MPa以下が好ましい。反応圧力が前記上限超過では、炭化水素類の分解反応が進行しにくくなる場合がある。反応圧力が前記下限未満では、低圧を維持するための設備が必要となる場合があり、経済性の観点から前記下限以上が好ましい。
接触分解法の種類としては、その形式は限定されるものではないが、例えば固定床式、移動床式、懸濁床式、流動床式等が挙げられる。
接触分解における反応温度は特に制限はされないが、いずれの方式においても、通常400℃〜1000℃が好ましい。反応温度が前記下限未満では炭化水素の転化率が低くなり、エチレンの収率が下がる傾向がある。反応温度が前記上限超過では、触媒が変質してしまい短時間で失活する場合がある。
接触分解における反応圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0.001〜2MPaが好ましい。反応圧力が前記上限超過では、炭化水素類の分解反応が進行しにくくなる場合がある。反応圧力が前記下限未満では、低圧を維持するための設備が必要となる場合があり、経済性の観点から前記下限以上が好ましい。
上記の炭化水素を分解する反応圧力を制御する方法としては、例えば、該工程に供給する炭化水素及び/又は水蒸気の圧力を制御する方法が挙げられる。圧力を上げる方法としては、公知の圧縮機を用いる方法が一般的である。なおここでいう圧縮機とは、流体の圧力を上昇させることができる装置、すなわち圧縮比(吐出圧力/吸引圧力)を1より大きくすることができるものをいう。圧縮機としては、既知の圧縮機を用いることができ、例えば、渦巻きポンプ等の遠心式ポンプ、プランジャーポンプ等の容積式ポンプ等のポンプや、遠心圧縮機等のターボ圧縮機、往復圧縮機やスクリュー圧縮機等の容積圧縮機、などの圧縮機が挙げられる。
また圧力を下げる方法としては、例えば減圧弁を用いる方法などが挙げられる。
本発明において最も好ましくは、原料混合物としてナフサの熱分解にて得られたものを使用する場合である。ナフサの熱分解で得られる原料混合物は、通常水素、メタン、炭素数2の炭化水素、炭素数3以上の炭化水素が含まれることから、本発明の製造方法を用いることにより、効率よくプロピレンを製造できるためである。
原料混合物中に含まれるエチレン以外の成分は、使用する原料や分解方法によって異なり、特に限定されるものではないが、通常エチレン以外の各種炭化水素や水素及び水などが含まれ、各種炭化水素としては例えばメタン、エタン、プロパン等のアルカン類、プロピレン、ブテン等のアルケン類、アセチレン等のアルキン類、ブタジエン等のジエン類、ベンゼン・トルエン・キシレンを含む炭素数5〜11の炭化水素類(ガソリン成分)、炭素数10〜11以上の炭化水素類(分解燃料油分)などが含まれる。
また本発明における原料混合物中には、メタノール、ジメチルエーテル、エタノールが含まれていてもよい。後述する本発明の触媒に存在する酸点により、反応混合物中に含まれるメタノール、ジメチルエーテル、エタノールは容易にエチレンに変換される。
本発明における原料混合物中には、アルカリ金属、硫黄化合物、重金属等が含まれていてもよいが、これらの成分の含有量が少ない方が好ましく、含有していないものがより好ましい。
アルカリ金属の含有量は、特に限定はされないが、通常1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下である。アルカリ金属は触媒の被毒物質として働くので、含有の少ない原料を用いる方が、触媒寿命が長く、生産性がよいためである。
硫黄化合物の含有量は、特に限定はされないが、化学発光法によって測定される全硫黄分として、通常20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは0.5ppm以下である。硫黄化合物は、原料に含まれる形態または反応によって変化した形態で製品のプロピレンに混入することがあり、ポリプロピレン製造触媒等に悪影響を与える場合があるので、含有量の少ない原料がより好ましい。
重金属等の含有量は、特に限定はされないが、通常1ppm以下である。重金属等は、触媒性能の変化および触媒劣化の原因になることがあるため、含有量の少ない原料が好ま
しい。なお、上記物質の含有量(ppm)は質量基準である。
本発明の製造方法において、上記の原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離し、前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させる。原料混合物は、直接前記流体(A)〜(C)の分離をおこなってもよく、予め圧縮した後に分離をおこなってもよい。製造方法や由来によって、原料混合物の圧力は異なり、流体(A)〜(C)の分離に適した圧力に到達していない場合があるため、原料混合物を圧縮し、圧縮された原料混合物を分離することが好ましい。
なお本発明における、「主成分」とは、対象流体中の、「水素」「メタン」「エタン」「エチレン」「炭素数3以上の炭化水素の物質量の合計」の5成分を比較して決定され、対象流体中に、モル百分率で最も多く含有される成分をいう。
また本発明において「炭素数2の炭化水素が主成分である」とは、「エタン」及び「エチレン」の合計が主成分であることを示す。
エチレンを含む原料混合物、又は圧縮された原料混合物の分離方法は、特に限定されないが、例えばサイドカットが可能な蒸留塔を用いて蒸留することができ、具体的には、いわゆるサイドカット段を有する蒸留塔に導入し、前記(A)〜(C)の各流体に分離する方法が挙げられる。サイドカットとは、一般に3成分以上からなる系を軽質留分、中間留分、重質留分に蒸留分離するために、蒸留塔の中間部から通常中間留分を抜き出す操作をいう。また中間留分を抜き出す部分を「サイドカット段」といい、側流ともいわれる。
該分離工程に使用される蒸留塔は、それ以外の特性としては通常のものを用いることができる。
また、別の方法としてサイドカット段を有さない蒸留塔を用いることもできる。エチレンを含む原料混合物、又は圧縮された原料混合物を塔頂部に凝縮器を備えた蒸留塔に導入し、前記流体(C)をその塔底から抜き出し、それ以外をその1段目(塔頂部分)から塔頂蒸気として抜き出す。そして塔頂部分と蒸留塔が有する凝縮器の間から、その塔頂蒸気の一部を、前記流体(B)として抜き出し、残りを凝縮器に誘導する。凝縮器を経て得られた蒸気(留出蒸気という)を前記流体(A)として抜き出す。また凝縮器を経て得られた液を蒸留塔に還流させる(以下、還流液という)。このような方法を取ることにより、サイドカット段を有する蒸留塔で、サイドカットをおこなったことと同様の効果が得られる。
さらに別の方法として、前記サイドカット段を有さない蒸留塔において、凝縮器から蒸留塔に向かう還流液の一部を、前記流体(B)として抜き出すこともできる。
蒸留塔の段数は、特に制限されないが、通常、20段以上、好ましくは30段以上、通常100段以下、好ましくは80段以下である。なお、本発明において、蒸留塔の段数とは、塔頂を1段目として上から数えた段数のことである。
本発明の製造方法では、好ましくは流体(B)を中間留分、すなわちサイドカット段から得る。サイドカット段の位置は、得られる留分のうちの主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)よりも高ければ特に制限されず、エチレンが主成分である成分が得られる位置が好ましい。サイドカット段には気相あるいは液相の流体が存在するが、サイドカットにより抜き出す相は、主成分が炭素数2の炭化水素であれば特に制限されず、液相、気相、あるいはそれらの混相でもよい。
メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)は、好ましくはその成分中にメタン及び水素の含有量(モル百分率)の合計が最も高い。
流体(A)中のメタンの含有量(モル百分率)は特に限定はされないが、通常10モル%以上、50モル%以下であり、水素のモル百分率は、通常10モル%以上、50モル%以下である。
流体(A)中には、炭素数2の炭化水素(エタン、エチレン)等を含む。流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率は、流体(B)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率を下回る限り特に限定はされないが、通常80モル%以下であり、好ましくは50モル%以下であり、通常1モル%以上である。
なお流体(A)は気相、液相、またはそれらの混相のいずれでもよく、好ましくは気相である。
主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)は、その流体中に炭素数2の炭化水素を最も多く含む。流体(B)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)は、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)より高い。流体(B)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)と、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%) との差は、特に限定されないが、流体(B)中の炭素数2の炭化
水素のモル百分率(モル%)は、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率(モル%)よりも通常1モル%以上高く、好ましくは5モル%以上高く、より好ましくは10モル%以上高い。流体(B)中の炭素数2の炭化水素を高濃度とすることにより、後述するプロピレン以外の成分のリサイクル量を少なくすることができる点で望ましい。
また流体(B)には少なくともエチレンが含まれる。炭素数2の炭化水素としては、エタンとエチレンのいずれが多く含まれていてもよいが、通常はエチレンが最も多く、エチレンが最も多く含まれていることが好ましい。流体(B)中のエチレン含有量としては限定はされないが40モル%以上が好ましい。後述する触媒との接触反応において、プロピレンの収率が向上するためである。なおエタンは後述する触媒との接触において不活性であるため、エチレンと混在していてもよく、エチレンとエタンの存在比率は特に限定はされないが、通常はエチレン/エタンのモル比で、0.8以上である。前記下限値未満では、プロピレンが十分に得られない場合がある。
また流体(B)中には、炭素数2の炭化水素以外の成分として、特に限定はされないが、通常、メタン、炭素数3又は4の炭化水素、水素等が含まれる。各成分の含有量は、通常、炭素数2の炭化水素よりも少なく、エチレンの含有量よりも少ないことが好ましい。
メタンの含有量は、そのモル百分率 がエチレンのモル百分率 よりも少ないことが好ましく、好ましくは、メタン/エチレンのモル比で0.9以下であり、より好ましくは0.8以下であり、また流体(B)中のメタン含有量としては、特に限定されるものではないが、35モル%以下であることが好ましい。
流体(B)中の水素の含有量は、そのモル百分率 がエチレンのモル百分率よりも少な
いことが好ましく、その含有量は特に限定はされないが、通常15モル%以下である。
メタン及び水素の含有量がエチレンの含有量よりも多いと、反応器で十分な量のプロピレンを得ることができない場合や、プロセス全体の効率が悪くなる場合や、また、反応混合物の精製工程における圧縮機に、軽沸成分のメタンが大量に入ることで圧縮機の負荷が増し、エネルギー消費量が増えることがある。
流体(B)中の炭素数3以上の炭化水素は、エチレンの含有量よりも少ないことが好ましく、15モル%以下であることが好ましい。炭素数3以上の炭化水素がエチレンよりも
多いと、後述する反応混合物中のプロピレンが少なくなり、プロセス全体の効率が悪くなることがある。
主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)は、その成分中に炭素数3以上の炭化水素のモル百分率が最も高い。通常、炭素数3の炭化水素が最も多く、プロピレンのモル百分率が最も多いことが好ましい。
流体(C)中には、炭素数3以上の炭化水素以外の成分として、特に限定はされないが、炭素数1又は2の炭化水素、水等が含まれる。
流体(C)の相は特に限定されず、気相、液相あるいはそれらの混相でもよく、好ましくは液相である。
上述した流体(A)〜(C)の分離工程に続き、前記流体(B)を触媒と接触させ、反応させることにより、プロピレンを含む反応混合物を得る。該反応混合物を得る反応については、〔第1の実施態様〕における<工程(2)>の項で詳述する。
得られた反応混合物は、圧縮工程を含む精製工程にて精製し、目的物であるプロピレンを得る。この圧縮工程を含む精製工程は公知のプロセスを採用すればよく、例えばHYDROCARBON PROCESSING, p.112-114,3,1999などに記載の方法で行うことができる。また後述の第1〜第3の実施態様に示すように、反応混合物を圧縮した後、反応プロセス中にリサイクルして分離精製してもよい。
なお、この精製工程における圧縮工程にて用いられる圧縮機としては、炭化水素の分解反応における圧力制御の項で述べたものと同様のものが挙げられる。
このように本発明は、原料混合物から流体(A)および流体(C)を予め除去し、流体(B)を用いてプロピレンの製造を行うことにより、反応生成物の精製工程における圧縮工程にて、圧縮機に過剰な負荷を生じない点が好ましい。
<プロピレンの製造プロセス>
次に本発明のプロピレンの製造方法につき、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
〔第1の実施態様〕
本発明の第1の実施態様として、下記工程(1)〜(4)を含む、プロピレンの製造方法が挙げられる。
工程(1):エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
工程(2):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
工程(3):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
工程(4):前記工程(1)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
なお本実施態様において、工程(2)で得られた反応混合物に着目すると、工程(3)及び(4)の全体が「反応混合物の精製工程」に相当し、工程(3)にて反応混合物を圧縮することから、工程(3)及び(4)の全体が「圧縮工程を含む精製工程」に相当する。
<工程(1)>
工程(1)では、エチレンを含む原料混合物を、主成分がメタン又は水素である流体(
A)、主成分が炭素数2の炭化水素である流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する。
該原料混合物、流体(A)〜(C)、及び分離方法については前述の通りである。
<工程(2)>
前記炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)を、反応器に導入し、触媒と接触させ、プロピレンを含む反応混合物(以下単に「反応混合物」ということがある)を得る。この工程を工程(2)という。
触媒としては、既知の触媒が用いることができ、本発明の目的を満たす範囲において特に限定されるものではないが、通常ブレンステッド酸点を有する固体状の触媒(以下、「固体酸触媒」ということがある)が用いられる。例えば、カオリン等の粘土鉱物;粘土鉱物等の担体に硫酸、燐酸等の酸を含浸・担持させたもの;酸性型イオン交換樹脂;ゼオライト類;Al−MCM41等のメソポーラスシリカアルミナ;ITQ−2等の層状ゼオライト、等の固体酸触媒が挙げられ、より具体的には、例えば特開2007−291076号公報や、国際公開2010/128644号公報に開示された触媒等が挙げられる。
中でも好ましくは国際公開2010/128644号公報に開示された触媒が好ましく、具体的には、細孔径が0.5nm未満のゼオライトが好ましく、さらに好ましくは8員環又は9員環構造を有するゼオライトが好ましい。またゼオライトとしてはアルミノシリケートが好ましい。最も好ましくはCHA構造を有するアルミノシリケートに対してシリル化処理をして得た触媒である。
本発明の製造方法において、用いる反応器の形態に特に制限はないが、通常連続式の固定床反応器や流動床反応器が選ばれる。好ましくは流動床反応器である。単一の反応器を用いた方法でもよいし、直列、又は並列に配置された複数の反応器を用いた方法でもよい。
なお、流動床反応器に前述の触媒を充填する際、触媒層の温度分布を小さく抑えるために、石英砂、アルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ等の反応に不活性な粒状物を、触媒と混合して充填しても良い。この場合、石英砂等の反応に不活性な粒状物の使用量は特に制限はない。なお、この粒状物は、触媒との均一混合性の面から、触媒と同程度の粒径であることが好ましい。
反応器には、反応に伴う発熱を分散させることを目的に、工程(1)で得られた炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)を分割して供給しても良い。
流動床反応器を選択する場合、反応器に対して触媒の再生器を付設し、反応器から抜き出した触媒を連続的に再生器に送り、再生器において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら反応を行うことが好ましい。
ここで、触媒の再生器とは、反応器から抜き出された触媒を、触媒の再生方法の項で述べる方法により、再生する装置である。
(基質濃度)
反応器に供給する流体(B)中のエチレンの濃度(即ち、基質濃度)に関して特に制限はないが、エチレンは全供給成分中、90モル%以下が好ましい。さらに好ましくは5モル%以上70モル%以下である。この基質濃度が高すぎると芳香族化合物やパラフィン類の生成が顕著になり、プロピレンの収率が低下する傾向がある。基質濃度が低すぎると、反応速度が遅くなるため、多量の触媒が必要となり、反応器が大きくなりすぎる傾向がある。
従って、このような基質濃度となるように、必要に応じて希釈剤でエチレンを希釈することが好ましい。
希釈剤としてはヘリウム、アルゴン、窒素、一酸化炭素、二酸化炭素、水素、水、パラフィン類、メタン等の炭化水素類、芳香族化合物類、および、それらの混合物など、反応に不活性な気体が挙げられる。この中でも水(水蒸気)が共存しているのが好ましい。
このような希釈剤としては、原料混合物中に由来する不純物をそのまま使用しても良いし、別途調製した希釈剤を流体(B)と混合して用いても良い。
また、希釈剤は反応器に入れる前に流体(B)と混合しても良いし、流体(B)とは別に反応器に供給しても良い。
(空間速度)
ここで言う空間速度とは、触媒(触媒活性成分)の重量当たりの反応原料であるエチレンの流量(重量/時間)であり、ここで触媒の重量とは触媒の造粒・成型に使用する不活性成分やバインダーを含まない触媒活性成分の重量である。
空間速度は、0.01Hr−1から500Hr−1の間が好ましく、0.1Hr−1から100Hr−1の間がさらに好ましい。空間速度が高すぎると後述する反応混合物中のエチレンが多くなり、プロピレン収率が低くなる傾向がある。また、空間速度が低すぎると、パラフィン類等の好ましくない副生成物が生成し、プロピレン収率が低下する傾向がある。
(反応温度)
反応温度の下限としては、通常約200℃以上、好ましくは300℃以上であり、反応温度の上限としては、通常700℃以下、好ましくは600℃以下である。反応温度が前記下限未満では、反応速度が低く、未反応原料が多く残る傾向となり、さらにプロピレンの収率も低下する場合がある。一方で反応温度が前記上限超過では、プロピレンの収率が低下する場合がある。
(反応圧力)
反応圧力の上限は通常2MPa(絶対圧、以下同様)以下好ましくは1MPa以下であり、より好ましくは0.7MPa以下である。また、反応圧力の下限は特に制限されないが、通常1kPa以上、好ましくは50kPa以上である。反応圧力が高すぎるとパラフィン類等の好ましくない副生成物の生成量が増え、プロピレンの収率が低下する傾向がある。反応圧力が低すぎると反応速度が遅くなる傾向がある。
(反応混合物)
反応器出口ガスとしては、プロピレンを含む反応混合物が得られる。該反応混合物中には、プロピレン、エチレン、副生成物および任意に希釈剤等が含まれる。該反応混合物中のプロピレン濃度は通常1〜95重量%、好ましくは2〜80重量%である。
この中には通常エチレンが含まれるが、このエチレンはその少なくとも一部を反応器にリサイクルして反応原料として再利用することが好ましい。
なお、副生成物としては炭素数が4以上のオレフィン類、パラフィン類、芳香族化合物および水が挙げられる。
(触媒の再生方法)
触媒の再生方法としては、触媒に付着したコークを除去できる方法であれば、その条件に特に制限はないが、水素を含むガスに触媒を接触させて再生することが好ましい。水素を含むガスで再生することにより、高いプロピレン選択率を維持した状態での触媒の再生が可能となる。水素を用いた再生方法については、例えば特開2010−205579号公報に記載の方法、再生条件を適用することができる。
再生器の形態は特に制限されず、通常連続式の固定床再生器や流動床再生器が選ばれる。好ましくは流動床再生器である。
固定床で再生する場合は、触媒を抜き出さずに反応器に入れたまま再生ガスを流すことによって、再生することが好ましい。また、触媒を一度抜きだして、反応器とは別の再生器に充填してから再生ガスに接触させて再生してもよい。移動床、流動床の場合は、反応器に対して触媒の再生器を付設し、反応器から抜き出した触媒を連続的に再生器に送り、再生器において再生された触媒を連続的に反応器に戻しながら反応を行うことが好ましい。また、触媒を系内に補充あるいは系内から一部をパージしながら反応、再生を行ってもよい。
<工程(3)>
前記工程(2)で得られたプロピレンを含む反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に、前記流体(A)〜(C)に分離する。この工程を工程(3)という。
なお反応混合物は、予め原料混合物と混合して、蒸留塔に導入してもよく、原料混合物とは別に蒸留塔に導入してもよい。
本工程(3)の圧縮操作に使用する圧縮機としては、炭化水素の分解反応における圧力制御の項で挙げたものと同様の装置が使用できる。
<工程(4)>
工程(1)にて分離された、前記流体(A)〜(C)のうち前記流体(C)を精製し、目的物であるプロピレンを分離する。この工程を工程(4)という。
該流体(C)は、原料混合物由来の成分と工程(2)にて得られた反応混合物由来の成分を含む。
精製方法は特に限定されないが、各種公知の分離精製方法を用いることができる。
通常は、前記流体(C)における、より重質の成分から除去される。以下、一般的な分離精製プロセスを用いて説明する。
前記流体(C)は、必要に応じ、ガソリン塔に導入され、冷却されることで、重質油(通常炭素数10〜11以上の炭化水素成分)と、重質油成分以外のガス(通常、炭素数9〜10の炭化水素成分及びそれより軽質のもの)に分離される。
次に重質油成分以外のガスは、通常、クエンチ塔を通過し、次いで、水分、ガソリン成分(通常炭素数5〜10の炭化水素成分)、及び軽質の成分(通常炭素数4以下の炭化水素)に分離される。
なお前記流体(C)に含まれる重質油およびガソリン成分が低濃度であれば、前記流体(C)をガソリン塔および/またはクエンチ塔に通さずに、以降の工程に直接供給してもよい。
上記軽質成分から目的とするプロピレンを単離するには、例えば、ナフサの熱分解プロセスにあるような脱エタン塔、脱プロパン塔等の分離、精製設備に導入し、それぞれの成分に応じ、回収、精製、リサイクル、排出等の処理をすればよい。一般的なプロセスでは、軽質成分を脱メタン塔に導入し、メタンとそれ以外の成分に分離し、メタン以外の成分を脱エタン塔に導く。脱エタン塔で、主として炭素数2の成分と、炭素数3以上の成分に分離する。そして脱プロパン塔で炭素数3以上の成分と、炭素数4以上の成分に分離し、更に得られた炭素数3以上の成分を蒸留し、プロピレンを分離する。
プロピレン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)の一部または全て、特にエタン及びエチレンは、プロセス中にリサイクルするのが望ましい。
具体的には、エタン及び/又はエチレンを含有する成分を、
予め原料混合物中に混合し、工程(1)における分離工程に供する、
原料混合物とは別に、工程(1)における分離工程に供する、
予め流体(B)中に混合し、工程(2)における反応器に供給する、
流体(B)とは別に、工程(2)における反応器に供給する、
などが考えられる。
なお、原料混合物を炭化水素の分解により得る場合、エタンのリサイクル効率の観点からは、工程(1)の前、すなわち炭化水素の分解工程に当該成分を供することが好ましい。エタンは炭化水素の分解工程で容易にエチレンに転化するため、プロピレン製造における反応原料の増加に繋がるため好ましい。
エチレンのリサイクル効率の観点からは、予め流体(B)中に混合して工程(2)における反応器に供給するか、流体(B)とは別に工程(2)における反応器に供給することが好ましい。
〔第2の実施態様〕
本発明の第2の実施態様として、下記工程(0)、(1’)、(2’)、(3’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法が挙げられる。
工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
工程(3’):前記反応混合物を、前記工程(0)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に圧縮する工程
工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
なお本実施態様において、工程(2’)で得られた反応混合物に着目すると、以降のすべての工程、すなわち工程(3’)、工程(0)、工程(1’)及び工程(4’)の全体が「反応混合物の精製工程」に相当し、工程(0)にて反応混合物を圧縮することから、これら工程の全体が、前述の「圧縮工程を含む精製工程」に相当する。
<工程(0)>
工程(0)は、前記原料混合物を圧縮する工程である。
工程(1’)における分離工程は、通常は前述の様に蒸留により行われるが、該工程(1’)に導入する原料混合物の圧力を蒸留プロセスに適した圧力まで昇圧するため、工程(0)を設けることが好ましい。
工程(0)にて得られる圧縮された原料混合物の圧力は、通常0.5MPa以上、好ましくは2MPa以上であり、また通常5MPa以下、好ましく4MPa以下程度である。
圧力が高すぎると、以降の工程(2’)における反応時の圧力も高くなり、副生物の割合が増加する傾向がある。逆に低すぎると、工程(1’)の分離工程や、工程(3’)以降の精製工程における蒸留の際に、適切な圧力に調整することが困難になる場合がある。
具体的には、例えば工程(4’)にて蒸留操作を行う場合は、精製する流体(流体(C))の圧力を蒸留に適した範囲に調整するため、圧縮操作を行う場合があるが、当該操作を行う圧縮機への負荷が過剰になるおそれがある。
なお、本工程(0)の圧縮操作により、原料混合物中の水分が液化し析出する場合があるため、必要に応じて当該水分の除去を行ってもよい。原料混合物中の水分量は、通常、原料混合物中のエチレンに対し、モル比で0.025以上であり、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.5以上であり、また通常15以下、好ましくは10以下、より好ま
しくは5以下程度である。水分量が多すぎると、以降の工程(2’)における反応速度が低下し、目的生成物(プロピレン)の収量が低下する場合があり、また触媒が水と反応し変質する等の問題が生じる可能性がある。
<工程(1’)>
工程(1’)は、前記工程(0)で得られた圧縮後の原料混合物を使用する点以外は、〔第1の実施態様〕における工程(1)と同様である。
<工程(2’)>
工程(2’)は、前記工程(1’)で得られた流体(B)を使用する以外は、〔第1の実施態様〕における工程(2)と同様である。
<工程(3’)>
工程(3’)は、前記工程(2’)で得られた反応混合物を前記工程(0)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に圧縮する工程である。なお反応混合物は、予め原料混合物と混合して圧縮機に導入してもよく、原料混合物とは別に圧縮機に導入してもよい。
<工程(4’)>
工程(4’)は、前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を精製し、目的物であるプロピレンを分離する工程である。該流体(C)は、原料混合物由来の成分と、工程(2’)にて得られた反応混合物由来の成分を含む。
該流体(C)からのプロピレンの分離精製方法は、〔第1の実施態様〕における工程(4)と同様である。
工程(4’)で得られたプロピレン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)の一部または全て、特にエタン及びエチレンはプロセス中にリサイクルすることが好ましい。
具体的には、エタン及び/又はエチレンを含む成分を、
予め原料混合物中に混合し、工程(0)における圧縮工程に供する、
原料混合物とは別に、工程(0)における圧縮工程に供する、
予め圧縮された原料混合物中に混合し、工程(1’)における分離工程に供する、
圧縮された原料混合物とは別に、工程(1’)における分離工程に供する、
予め流体(B)中に混合した後、工程(2’)における反応器に供給する、
流体(B)とは別に、工程(2’)における反応器に供給する、
などが考えられる。
なお、原料混合物を炭化水素の分解により得る場合、エタンのリサイクル効率の観点からは、工程(0)の前、すなわち炭化水素の分解工程に当該成分を供することが好ましい。エタンは炭化水素の分解工程で容易にエチレンに転化するため、プロピレン製造における反応原料の増加に繋がるため好ましい。
エチレンのリサイクル効率の観点からは、予め流体(B)中に混合した後で工程(2’)における反応器に供給するか、流体(B)とは別に工程(2’)における反応器に供給することが好ましい。
〔第3の実施態様〕
本発明の第3の実施態様として、下記工程(0)、(1’)、(2’)、(3’’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法が挙げられる。
工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のよりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含
む反応混合物を得る工程、
工程(3’’):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1’)に供し、前記圧縮された原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を、精製し、プロピレンを分離する工程
なお本実施態様において、工程(2’)で得られた反応混合物に着目すると、以降のすべての工程、すなわち工程(3’’)、工程(1’)及び工程(4’)の全体が「反応混合物の精製工程」に相当し、工程(3’’)にて反応混合物を圧縮することから、これらの工程の全体が、前述の「圧縮工程を含む精製工程」に相当する。
本実施態様は、工程(3’’)以外は前記第2の実施態様と同じである。すなわち工程(2’)にて得られた反応混合物を予め圧縮した後、工程(0)ではなく工程(1’)に供する点が異なる。圧縮された反応混合物は、予め原料混合物と混合して、工程(1’)に供してもよく、原料混合物とは別に工程(1’)に供してもよい。工程(3’’)における圧縮操作に使用する圧縮機としては、炭化水素の分解反応における圧力制御の項で挙げたものと同様の装置が使用できる。圧縮後の該反応混合物の圧力は、工程(1’)に供給される「圧縮された原料混合物」と同程度とすることが好ましい。
本実施態様においても、工程(4’)で得られたプロピレン以外の成分(オレフィン、パラフィン等)の一部または全て、特にエタン及びエチレンはプロセス中にリサイクルすることが好ましい。
具体的には、エタン及び/又はエチレンを含む成分を、
予め原料混合物中に混合した後、工程(0)における圧縮工程に供する、
原料混合物とは別に、工程(0)における圧縮工程に供給する、
予め圧縮された原料混合物中に混合した後、工程(1’)における分離工程に供する、
圧縮された原料混合物とは別に、工程(1’)における分離工程に供する、
予め流体(B)中に混合した後、工程(2’)における反応器に供給する、
流体(B)とは別に、工程(2’)における反応器に供給する、
などが考えられる。
なお、原料混合物を炭化水素の分解により得る場合、エタンのリサイクル効率の観点からは、工程(0)の前、すなわち炭化水素の分解工程に当該成分を供することが好ましい。エタンは炭化水素の分解工程で容易にエチレンに転化するため、プロピレン製造における反応原料の増加に繋がるため好ましい。
エチレンのリサイクル効率の観点からは、予め流体(B)中に混合した後で工程(2’)における反応器に供給するか、流体(B)とは別に工程(2’)における反応器に供給することが好ましい。
〔その他の工程〕
流体(B)と触媒とを接触させる反応工程(上述の各実施態様における工程(2)及び工程(2’)に相当)において、反応に供される流体(B)中にアセチレン等のアルキン類や、ブタジエン等のジエン類が含まれる場合、これらが触媒と接触してコークの発生原因となり、触媒の活性が低下する場合がある。これを防ぐ目的で、更にアルキン類及びジエン類を還元する工程、より好ましくはこれらを選択的に水素化する工程を含むことが好ましい。
この還元工程は、反応工程に供される流体(B)におけるアルキン類およびジエン類の含有量を低減できれば、本発明のプロセスにおけるどの工程中で、或いはどの工程前後に行われても良い。例えば、上述の各実施態様において、工程(2)または工程(2’)(
反応工程)の前、工程(1)または工程(1’)(流体(A)〜(C)への分離工程)の前、工程(0)(原料混合物の圧縮工程)の前、或いは工程(2)または工程(2’)にて得られた反応混合物を、工程(2)や工程(2’)より前のプロセス中に供する前、などが挙げられる。中でも、工程(2)または工程(2’)(反応工程)の前が特に好ましい。
還元工程(好ましくは選択的な水素化)は、従来既知の方法を適宜選択して行なうことができる。還元処理の対象となる成分が液体で得られる場合は、前記水素化を液相で行なうことが好ましい。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。
本発明における実施例を、ASPEN PLUSによってシミュレートした。シミュレーションはRSTOICモードを用いた。実施例の検討に用いた工程を図1及び図2に示す。
シミュレーションに際し、原料混合物としてガソリン塔、クエンチ塔を通じて炭素数5以上の成分が除去されたナフサクラッカー分解ガス101の組成を表1に示す通り規定した。
Figure 2014047176
(実施例1)
以下、図1に従って説明する。
分解ガス101(163T/H、35℃、0.15MPa)を、後述するプロピレンに富んだ流体106(反応混合物に相当。41.7T/H)と混合し、5段からなる分解ガス圧縮機1で圧縮し、熱交換を経て、14℃、3.5MPaとした。分解ガス圧縮機1で圧縮する過程で生じた凝縮成分(炭素数5以上の炭化水素成分、プロピレン4.7T/Hを含む)は除去し、後述する炭素数3以上の炭化水素を主成分とする流体(C)である103に混合させた(図示はしていない)。得られた圧縮ガス102(圧縮された原料混合物に相当)を、39段を有し、サイドカット段を有する脱エタン塔2の、上から16段目に導入し、メタンを主成分とする流体(A)(104)、炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)(105)、炭素数3以上の炭化水素を主成分とする流体(C)(103)に分離し、流体(B)を脱エタン塔の7段目から抜き出した。
各成分102〜105の組成を表2に記載した。
脱エタン塔2の7段目からは、炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)である1
05を抜き出し、図示はしないが水添反応器でアセチレンを水素添加によりエタン又はエチレンに変換したのち、反応器5に導入した。反応器5では、国際公開2010/128644の調製例1に開示された触媒を用いることを想定し、反応器5の入口と出口におけるストリームの組成が表3に記載された組成となるよう、RSTOICモードでシミュレーションをおこなった。得られたプロピレンに富んだ流体106(41.7T/H)は、前述したようにナフサクラッカー分解ガス101と混合され、分解ガス圧縮機1に導入した。分解ガス圧縮機1における消費電力は25.4MWであった。
脱エタン塔2の塔頂、すなわち1段目からは気相成分を得て、凝縮器で部分的に凝縮し、得られた液相成分を脱エタン塔2の1段目に還流させた。凝縮器内のメタンを主成分とする流体(A)である104を抜き出し、C2以下精製系4を経て製品エチレンを回収した。回収されたエチレンは37.4T/Hであった。
脱エタン塔2の塔底からは、炭素数3以上の炭化水素を主成分とする流体(C)である103を抜き出した。103は、前記分解ガス圧縮機1で圧縮された際に除去した凝縮成分とともに、炭素数3以上の成分をC3以上成分精製系3に導き、製品プロピレンを回収した。回収されたプロピレンは37.3T/Hであった。
Figure 2014047176
Figure 2014047176
(実施例2)
以下、図2に従って説明する。
分解ガス101(163T/H、35℃、0.15MPa)を、後述するプロピレンを含む流体106(31.6T/H)と混合し、5段からなる分解ガス圧縮機1で圧縮し、熱交換を経て、14℃、3.5MPaとした。
分解ガス圧縮機1で圧縮する過程で生じた凝縮成分(炭素数5以上の炭化水素成分、プロピレン3.8T/Hを含む)は除去した(図示していない)。得られた圧縮ガス102
の組成を表2に示す。得られた圧縮ガス102を39段からなる脱エタン塔2の上から16段目に導入し、実施例1と同様に(A)〜(C)の各流体に分離した。各流体の組成を表4に記載した。
流体(B)として、脱エタン塔2の塔頂すなわち1段目に存在する気相成分107のうち32.4T/Hを炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)である105として抜き出した。残りの気相成分を凝縮器6で部分的に凝縮し、得られた液相成分を脱エタン塔2の1段目に還流させた(108)。なお凝縮器6を経て得られる留出蒸気104が、本発明の流体(A)に相当する。前記のとおり脱エタン塔2の塔頂から抜き出された表4に示す組成の流体(B)105を、図示はしないが水添反応器で水素添加し、アセチレンをエタン又はエチレンに変換したのち、反応器5に導入した。反応器5では、国際公開2010/128644号パンフレットの調製例1に準じて得られた触媒を用いることを想定し、反応器5の入口と出口におけるストリームの組成が表5となるようRSTOICモードでシミュレーションした。得られたプロピレンに富んだ流体106(31.6T/H)は、前述したようにナフサクラッカー分解ガス101と混合され、分解ガス圧縮機1に導入された。分解ガス圧縮機1における消費電力は25.3MWであった。
凝縮器内のメタン又は水素を主成分とする流体(A)を留出蒸気104として抜き出し、C2以下成分精製系4を経て製品エチレンを回収した。回収されたエチレンは37.7T/Hであった。
脱エタン塔2の塔底から103を抜き出し、分解ガス圧縮機1で生じた上記凝縮成分とともに、炭素数3以上の成分をC3以上成分精製系3を経て製品プロピレンを回収した。回収されたプロピレンは37.7T/Hであった。
Figure 2014047176
Figure 2014047176
(比較例1)
以下図3に従って説明する。
脱エタン塔2の塔頂から得られた塔頂蒸気107の全量を、凝縮器6に導入し、これを部分的に凝縮し、得られた液相成分を脱エタン塔の1段目に還流させた(108)以外は実施例2と同様に実施し、凝縮器内のメタンに富む留出蒸気(流体(A))104(組成を表6に示す)として抜き出し、そのうち77.7T/Hを、C2以下成分精製系4を経て製品エチレンを回収した。回収されたエチレンは37.7T/Hであった。
メタンに富む気相流体(A)104のうち36.9T/Hを、図示はしないが水添反応器で水素添加後アセチレンをエタン/エチレンに変換したのち、反応器5に導入した。分解ガス圧縮機1における消費電力は27.3MWであった。
Figure 2014047176
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比較例1では、通常想定されるとおり、脱エタン塔2の凝縮器6から得られる気相成分107の一部を反応器5に供し、得られた反応混合物を分解ガス圧縮機1にて圧縮した。この場合、反応混合物106中に含まれるメタンや水素が多すぎるために分解ガス圧縮機1に多大な負荷がかかり、その電力消費量は27.3MWとなった。
実施例1では、脱エタン塔2の7段目から主成分が炭素数2の炭化水素である留分105を抜き出し、反応器5に供した。この場合、反応混合物106中のメタンや水素は主成分ではないため、分解ガス圧縮機1の負荷は減少し、その電力消費量は25.4MWとなった。
実施例2では、脱エタン塔2の1段目から主成分が炭素数2の炭化水素である留分105を抜き出し、反応器5に供した。この場合、反応混合物106中のメタンや水素は主成分ではないため、分解ガス圧縮機1の負荷は減少し、その電力消費量は25.3MWとな
った。
本発明の製造方法により、エチレンを含む混合物を原料とするプロピレンの製造方法において、反応後に得られる反応混合物中のメタン、及び炭素数4以上の炭化水素成分の量を最小化することができる。これにより圧縮機にかかる負荷を低減し、エネルギーコストが削減され、効率のよい製造方法を提供できる。
1 分解ガス圧縮機
2 脱エタン塔
3 C3以上成分精製系
4 C2以下成分精製系
5 反応器
6 凝縮器
101 ナフサクラッカー分解ガス
102 圧縮ガス
103 炭素数3以上の炭化水素を主成分とする流体(C)
104 メタン又は水素を主成分とする流体(A)
105 炭素数2の炭化水素を主成分とする流体(B)
106 プロピレンに富んだ流体
107 塔頂蒸気
108 還流液

Claims (16)

  1. エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離し、
    流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させてプロピレンを含む反応混合物を得、
    該反応混合物を、圧縮工程を含む精製工程にて精製することを特徴とするプロピレンの製造方法。
  2. 前記流体(A)〜(C)に分離する前に、前記原料混合物を圧縮することを特徴とする、請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
  3. 前記流体(A)〜(C)の分離を、サイドカット段を有する蒸留塔にて行い、前記流体(B)をサイドカット段から抜き出すことを特徴とする、請求項1または2に記載のプロピレンの製造方法。
  4. 前記原料混合物が、ナフサの熱分解によって得られたものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  5. 前記流体(B)におけるエチレン含有量が40モル%以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  6. 前記流体(B)におけるメタン/エチレン比率がモル比で0.9以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  7. 前記流体(B)におけるメタン含有量が35モル%以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  8. 前記流体(B)における水素含有量が15モル%以下であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  9. 前記流体(B)における炭素数3以上の成分の含有量が15モル%以下であることを特徴とする。請求項1〜8のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  10. 下記工程(1)〜(4)を含む、プロピレンの製造方法。
    工程(1):エチレンを含む原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
    工程(2):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
    工程(3):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
    工程(4):前記工程(1)にて分離された前記流体(C)を精製し、プロピレンを分離する工程
  11. 更に、アルキン類およびジエン類を選択的に水素化する工程を含む、請求項10に記載のプロピレンの製造方法。
  12. 前記水素化を液相反応でおこなうことを特徴とする、請求項11に記載のプロピレンの製造方法。
  13. 下記工程(0)、(1’)、(2’)、(3’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法。
    工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
    工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
    工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
    工程(3’):前記反応混合物を、前記工程(0)に供し、前記エチレンを含む原料混合物と共に圧縮する工程
    工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を、精製し、プロピレンを分離する工程
  14. 下記工程(0)、(1’)、(2’)、(3’’)及び(4’)を含む、プロピレンの製造方法。
    工程(0):エチレンを含む原料混合物を、圧縮する工程
    工程(1’):前記工程(0)にて得られた、圧縮された原料混合物を、メタン、水素、および炭素数2の炭化水素を含む流体(A)、主成分が炭素数2の炭化水素であり、かつ炭素数2の炭化水素のモル百分率が、流体(A)中の炭素数2の炭化水素のモル百分率よりも高い流体(B)、及び主成分が炭素数3以上の炭化水素である流体(C)、に分離する工程
    工程(2’):前記流体(B)を反応器に導入し、触媒と接触させて、プロピレンを含む反応混合物を得る工程、
    工程(3’’):前記反応混合物を圧縮した後に、前記工程(1’)に供し、前記圧縮された原料混合物と共に流体(A)〜(C)に分離する工程
    工程(4’):前記工程(1’)にて分離された前記流体(C)を、精製し、プロピレンを分離する工程
  15. 更に、アルキン類およびジエン類を選択的に水素化する工程を含む、請求項13〜14のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
  16. 前記水素化を液相反応でおこなうことを特徴とする、請求項15に記載のプロピレンの製造方法。
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