本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
媒体に液体を噴射するヘッドと、
前記液体を収容し、液体を補充可能なタンクと、
前記タンク内の液体が無いことを物理的に検出する検出器と、
前記タンク内の液体量をカウントする制御部と、
を備える液体噴射装置であって、
前記液体量に基づいて、前記液体噴射装置の動作を停止する液体噴射装置。
かかる液体噴射装置によれば、ユーザーの利便性を向上させることが可能となる。
また、前記液体量が所定の値となったときに、前記検出器が検出していない場合に前記液体噴射装置の動作を停止することとしてもよい。
かかる場合には、ユーザーの利便性をより向上させることが可能となる。
また、前記液体量が所定の値となる前に、前記検出器が検出した場合は、前記検出器の検出結果により前記液体噴射装置の動作を停止することとしてもよい。
かかる場合には、ユーザーの利便性をより向上させることが可能となる。
また、前記所定の値は、前記タンクの容量より少なく、前記タンクに補充される液体容量より多い量に相当することとしてもよい。
かかる場合には、ユーザーの利便性をより一層向上させることが可能となる。
===プリンター100の構成例について===
図1は、液体噴射装置の一例としてのインクジェットプリンター100(以下プリンター100と呼ぶ)の外観構成例を示した模式図である。このプリンター100は、略箱形の外観形状をしており、前面のほぼ中央には、前面カバー103が設けられ、背面側には、媒体の一例としての印刷用紙1をセットする給紙トレイ101が設けられている。また、プリンター100の前面側で、前面カバー103の隣には、複数の操作ボタン105が、また、プリンター100の上面側で、操作ボタン105の隣には、各種の情報を表示する表示パネル107が、それぞれ設けられている。前面カバー103は下端側で軸支されており、上端側を手前に倒すと、印刷用紙1が排出される細長い排紙口102が現れる。給紙トレイ101に印刷用紙1をセットして、操作ボタン105を操作すると、給紙トレイ101から印刷用紙1が給紙される。そしてプリンター100の内部で、印刷用紙1の表面にヘッドの一例としての噴射ヘッド112(図2)によって液体の一例としてのインクが噴射されて画像が形成された後、排紙口102から印刷用紙1が排出されるようになっている。
また、プリンター100の側面には、箱形形状のタンクケース150が設けられている。詳細には後述するが、タンクケース150の内部には、インクを収容するためのタンク151(図2参照)が複数設けられており、印刷に用いるインクは、このタンク151からインクチューブ117(図2参照。すなわち、導管)を介して噴射ヘッド112に供給されるようになっている。なお、当該タンク151は、一般的なインクカートリッジとは異なり、プリンター100に対して着脱不可能となっている。したがって、インクを充填する際には、タンク151に(当該タンク151の蓋153を開けて)直接インクを注入することになる。つまり、タンク151は、インクカートリッジとは異なり、インクを補充可能なものである。なお、インクが消費されて少なくなってインクを充填する必要がある状態に達したかどうかは、表示パネル107(インク補充を促す表示が成される)により、判断できるようになっている。なお、タンク151の蓋153は、インクを充填できればよく、タンク151の上側にあってもよい。
図2は、本実施の形態に係るプリンター100の内部構造を示した説明模式図である。図示されるように、プリンター100の内部には、印刷用紙1の上で往復動するキャリッジ110が設けられており、キャリッジ110には、インクを噴射する噴射ヘッド112が設けられている。本実施の形態のプリンター100では、シアン(以下C)色、イエロー(以下Y)色、マゼンタ(以下M)色、黒(以下BK)色の4色のインクを用いて画像を印刷可能であり、インクの色毎に噴射ヘッド112が設けられている。
キャリッジ110は、駆動機構114(図5)に駆動されて、ガイドレール130によってガイドされながら印刷用紙1の上で往復動を繰り返す。また、プリンター100には紙送り機構116(図5)が設けられており、キャリッジ110が往復動する動きに合わせて印刷用紙1が少しずつ紙送りされていく。そして、キャリッジ110が往復動する動きと、印刷用紙1が紙送りされる動きとに合わせて、噴射ヘッド112から、C色のインク(以下、Cインク)、Y色のインク(以下、Yインク)、M色のインク(以下、Mインク)、あるいはBK色のインク(以下、BKインク)を噴射することによって、印刷用紙1に画像が印刷される。
噴射ヘッド112から噴射されるインクは、タンクケース150内に設けられたタンク151に収容されている。本実施の形態に係るプリンター100では、Cインク、Yインク、Mインク、BKインクの4色のインクを使用することから、タンク151もインクの色毎に、Cインク用のタンク151C、Yインク用のタンク151Y、Mインク用のタンク151M、およびBKインク用のタンク151BKの4つのタンク151が設けられている。これらタンク151内のインクは、インクの色毎に設けられたインクチューブ117を介して、インクの色毎の噴射ヘッド112に供給される。
図3は、本実施の形態に係るタンクケース150を示した説明模式図である。図示されているように、タンクケース150の側面には大きな確認窓(開口)152が形成されており、タンクケース150内に収容されたCインク用のタンク151C、Yインク用のタンク151Y、Mインク用のタンク151M、BKインク用のタンク151BKをそれぞれ目視できるようになっている。また、それぞれのタンク151は、透明あるいは半透明な樹脂材料で形成されている。このため、それぞれのタンク151に残ったインクの液面Lvの位置(すなわちインクの残量)を目視によって確認することが可能である。
また、タンクケース150の各タンク151の上側には、読み書き可能な記憶部材の一例としてのチップユニット180を装着するためのチップユニット装着部154が設けられている。すなわち、チップユニット180は、インクジェットプリンター本体に対して着脱可能となっている。本実施の形態に係るプリンター100では、Cインク、Yインク、Mインク、BKインクの4色のインクを使用することから、チップユニット180もインクの色毎に、Cインク用のチップユニット180、Yインク用のチップユニット180、Mインク用のチップユニット180、およびBKインク用のチップユニット180の4つのチップユニット180が備えられ、さらに、チップユニット装着部154もインクの色毎に、Cインク用のチップユニット装着部154C、Yインク用のチップユニット装着部154Y、Mインク用のチップユニット装着部154M、およびBKインク用のチップユニット装着部154BKの4つのチップユニット装着部154が設けられている。
そして、チップユニット180がチップユニット装着部154に装着された際には、チップユニット装着部154に備えられているチップユニット読み書き部156(本実施の形態においては、このチップユニット読み書き部156もインクの色毎に、Cインク用のチップユニット読み書き部156C、Yインク用のチップユニット読み書き部156Y、Mインク用のチップユニット読み書き部156M、およびBKインク用のチップユニット読み書き部156BKが備えられている。図5参照)とチップユニット180との間でデータ通信が実行され、チップユニット180からインクジェットプリンター本体へインクの色情報、インクの種類情報、インクの容量情報等が読み込まれ、また、チップユニット180にインクジェットプリンター本体からタンク151のインク量情報等が書き込まれるようになっている。
図4は、充填用インク200の販売形態を説明するための説明模式図である。前述したとおり、タンク151内のインクがなくなってきたら、当該タンク151にインクを充填する必要があるが、充填用インク200は、充填用インク容器202がパッケージ204に入れられた形態で、代理店等の販売店でユーザーに対して販売されている(なお、本実施の形態に係るプリンター100においては、当該プリンター100を購入した際にも、タンク151は空であるため、充填用インク200を別途購入してタンク151にインクを入れる必要がある)。そして、チップユニット180は、充填用インク容器202に同梱され、当該充填用インク容器202とセットでユーザーに提供されることとなる。チップユニット180は、記憶するチップ片とチップ片を保持する保持部を有する。しかし、この形態に限らず、チップ片と保持部は一体であってもよいし、販売する際にチップ片だけを充填用インク容器202と同梱してもよい。
そして、ユーザーは、インク充填作業の際には、先ず、同梱されているチップユニット180をチップユニット装着部154に装着する(チップユニット装着部154に別の(古い)チップユニット180が装着されている場合には、これを抜いてから同梱されているチップユニット180を装着する)。そして、チップユニット180の装着完了後に、充填用インク容器202からタンク151へインクを注入する。なお、タンク151へインクを注入する際には、充填用インク容器202のインクを一度に全部入れる。なお、これらの事項は、プリンター100や充填用インク200の説明書に記載されている。
なお、図4には、Cインクに係る充填用インク200のみを示したが、他の色の充填用インク200についても同様である。
図5は、本実施の形態に係るプリンター100の電気的構成例を示した模式図である。
外部装置であるコンピューター3から印刷データを受信したプリンター100は、コントローラー140によって前述した各ユニット(駆動機構114、紙送り機構116、噴射ヘッド112)を制御する。コントローラー140は、コンピューター3から受信した印刷データに基づいて、各ユニットを制御し、紙に画像を印刷する。プリンター100内の状況は検出器群158によって監視されており、検出器群158は、検出結果をコントローラー140に出力する。コントローラー140は、検出器群158から出力された検出結果に基づいて、各ユニットを制御する。なお、コンピューター3は無くてもよい。プリンター100に印刷データを保存した記憶媒体を装着して印刷データを得てもよいし、スキャナーと接続してスキャンした印刷データを得てもよい。
なお、本実施の形態に係るプリンター100においては、検出器群158の一つとして、タンク151内のインクが無いことを物理的に検出する検出器の一例としてのインクエンド検出器159が、4つのタンク151毎に設けられている。このインクエンド検出器159は、本実施の形態においては、インクチューブ117内のインク有無を、圧力検出や電気抵抗検出やフォト検出やプリズムによる反射の違いを利用した検出により判断することにより、タンク151内のインクが無いことを物理的に検出する。なお、「タンク151内のインクが無いこと」とは、タンク151内にインクが全く無いことに限定されるものではなく、タンク151内にインクが僅かに残っていることも含む概念である(したがって、例えば、インクチューブ117の代わりにタンク151の底部に、インクエンド検出器159が設けられていることとしてもよい)。
コントローラー140は、プリンター100の制御を行うための制御ユニット(制御部)である。コントローラー140は、インターフェイス部141と、CPU142と、メモリー144と、ユニット制御部143とを有する。インターフェイス部141は、外部装置であるコンピューター3とプリンター100との間でデータの送受信を行う。CPU142は、インクジェットプリンター全体の制御を行うための演算処理装置である。メモリー144は、CPU142のプログラムを格納する領域や作業領域等を確保するためのものであり、揮発性のメモリーであるRAM、不揮発性のメモリーであるEEPROM等の記憶素子を有する。CPU142は、メモリー144に格納されているプログラムに従って、ユニット制御部143を介して各ユニットを制御する。
また、コントローラー140は、チップユニット読み書き部156を制御して、チップユニット180からデータを読み込み、また、チップユニット180へデータを書き込む。また、コントローラー140は、情報のユーザーへの提示を、表示パネル107を制御することにより行い、また、操作ボタン105及び表示パネル107を介してユーザーからの指示を受け取る。
===インク残量の管理例について===
上述したとおり、本実施の形態に係るプリンター100においては、タンク151内のインクがなくなってきたら、当該タンク151にインクを充填する必要がある。そして、インクを充填する必要があることを、表示パネル107に表示するようになっている。そして、このことを実現するためには、タンク151内のインク残量の管理を行う必要がある。以下では、当該インク残量の管理例について、図6を用いて説明する。なお、インク残量の管理は、4色のインクの各々毎に行われるが、その方法については同様なので、以下では、主として、Cインクについて説明する。
また、以下で説明する動作は、主として、コントローラー140により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー144に格納されたプログラムをCPU142が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
<<<印刷前の前準備について>>>
プリンター100と充填用インク200を購入したユーザーは、先ず、充填用インク200のパッケージ204を開けて充填用インク容器202とチップユニット180を取り出し、前述したとおり、最初にチップユニット180をチップユニット装着部154に装着する。すると、コントローラー140は、チップユニット読み書き部156を制御して、以下の動作を行う。
コントローラー140は、チップユニット180から色情報を読み取り、メモリー144に予め設定された色情報と照合する。予め設定された色情報とはインクの色情報やインクの種類情報などである。例えば、チップユニット180がCインク用のチップユニット装着部154Cに装着された場合に、インクの色情報がCインクを示していることを確認する。
また、インクの種類情報として例えば、水系のインクであるか溶剤系のインクであるか等がプリンター100に適合していることを確認する。
そして、双方の確認結果が良好であれば、コントローラー140は、さらにチップユニット180からその他の情報を読み取る。その他の情報とは、充填用インク容器202に入っているインクの容量情報や、インクの使用期限などである。コントローラー140はチップユニット180から読み込み後、後述するメモリー144に保存されている消費量を0に更新したり、インクの容量情報を更新する。本実施の形態においては、説明の便宜上、充填用インク容器202には1000グラムのインクが入っており、インクの容量情報が示す容量(インク容量と呼ぶ)は1000グラムとする。
そして、チップユニット180の装着完了後に、充填用インク容器202からタンク151へ1000グラムのインクが注がれると、プリンター100は印刷可能な状態となる。
<<<インク使用量の推定方法について>>>
本実施の形態に係るプリンター100においては、インクの使用量(プリンター100により消費される消費量)は、実測されるのではなく、以下のような公知の方法により推定される。
すなわち、コントローラー140は、前述した印刷データを解析して、ドットの数をカウントする。そして、ドットあたりのインク使用量とカウント数との乗算により、インク使用量を推定する。他に、インクを噴射するときの駆動回数と噴射重量との乗算によってもよい。
ここで、当然のことながら、ドットあたりのインク使用量には公差が存在する。例えば、プリンター100の個体差によって、当該ドットあたりのインク使用量が微小に変化する。また、同じプリンター100であっても、プリンター100が置かれる環境によって、当該ドットあたりのインク使用量が微小に変化する(例えば、高温度低湿度環境においてはインク使用量がより大きくなる傾向にあり、逆に、低温度高湿度環境においてはインク使用量がより少なくなる傾向にある)。そこで、本実施の形態においては、公差範囲内で最大の(ドットあたりの)インク使用量を用いて、前記乗算を行う。例えば、公差aが6パーセントであり、公差範囲内で最大のインク使用量がQmaxグラム、最小のインク使用量がQminグラムとすると、Qmax/Qmin−1=0.06が成り立ち、実際のインク使用量はQminとQmaxとの間でばらつくが、インク使用量の推定はQmaxを用いて行う。
なお、画像を形成するためのインク使用以外のインクの使用(例えば、フラッシングやクリーニングなどのメンテナンス)についても、どの程度のインクが使用されるかが同様に推定される。そして、かかる際にも、公差範囲内で最大のインク使用量を用いて推定が行われる。このため、インク使用量は画像を形成するために使用するインク量とメンテナンスに使用するインク量の合計である。
また、以下では、便宜上、公差範囲内で最も多くインクを消費する(インク消費スピードが速い)仮想的なプリンターのことをMaxプリンターと呼び、最も少なくインクを消費する(インク消費スピードが遅い)プリンターのことをMinプリンターと呼ぶ。
<<<消費カウンターが100パーセントに達した際の動作について>>>
プリンター100において印刷が行われると、徐々にインクが消費されることとなる。そして、コントローラー140は、これに伴い前述した推定インク使用量を加算していく(加算され累積された推定のインク量を消費量と呼ぶ)。
なお、本実施の形態においては、消費量が変化する毎に、前述したメモリー144に消費量が保存され、管理される。また、コントローラー140は、消費量/インク容量×100の計算を行い、インクの使用量をパーセントで管理する。これを、本実施の形態では、消費カウンターと呼ぶ。消費カウンターは、計算が行われる毎に、チップユニット180に書き込まれる。チップユニット180の消費カウンターは、装着するときは0パーセントであり、インクを使用し、書き込まれるに従い増えていく。
印刷が繰り返し行われると、やがて、消費量がインク容量(すなわち、1000グラム)に達する(換言すれば、消費カウンターが100パーセントに達する)。そして、かかる際には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、表示パネル107に、タンク151へのインクの再充填の必要性を示唆する表示を行う。具体的には、「チップユニット交換時期、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(便宜上、交換時期メッセージと呼ぶ。図6のB1欄(すなわち、2行目のB行と1列目の1列のB行1列のセル))と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図8参照)を表示する。なお、図8において、Cのみに上記マークが表されているのは、Cインクについて再充填が必要となったのであり他のインクの再充填は必要ないことを意味している。また、通常の(すなわち、消費カウンターが100パーセントに達する前の)表示パネル107の表示は、「印刷可能」とのメッセージ(図6のA1欄)と共に図7に示したマークが表示されたものとなっており、前記交換時期メッセージ及び図8のマークは、ここからの変更となる。
ここで、図7から図8への変更について、Cインクのマークを例に挙げて(他の色についても同様である)、さらに説明する。図7及び図8に示されているように、当該マークは、上段側四角部と下段側四角部とを備えている。下段側四角部の中央には、シアン色を示す表示、すなわち、「C」が、シアン色に塗られた背景にシアン色以外の色(本実施の形態では、白)で書かれている。一方、図7に示されているように、上段側四角部の右端部には、シアン色で塗られた縦長の帯状部が存在し、当該帯状部内において、90度回転された「C」がシアン色に塗られた背景にシアン色以外の色(本実施の形態では、白)で書かれている。
そして、図7から図8への変更においては、図8から明らかなように、下段側四角部は変わらないが、上段側四角部は変わることとなる。すなわち、上段側四角部は、色(シアン色)を示す表示から色(シアン色)を示さない表示へ変わることとなる(つまり、マークの一部が、色を示さない表示へ変わる)。
なお、色(シアン色)を示す表示から色(シアン色)を示さない表示への変更は、背景の色のみが無くなる場合と、「C」のみがなくなる場合と、両方がなくなる場合(本実施形態は、これに相当)が有り得る。また、上段側四角部の変形例として、帯状部を雫状の部分としてもよく、当該部分をシアン色に塗るようにしてもよい(また、「C」はなくてもよい)。これらは、インクが無くなったことをイメージさせるような図や記載であってもよいし、チップユニット180が交換必要であることをイメージさせるような図や記載であってもよい。
また、コントローラー140は、消費カウンターが100パーセントに達した際に、チップユニット180へのタンク151の消費カウンターの書き込みを止める(より具体的には、消費カウンターが100パーセントに達すると、最後のチップユニット180への書き込みを行いチップ無効フラグの書き込みを行ってから、その後の書き込みを止める。図6のB2欄、C2欄、D2欄)。すなわち、チップユニット180が記憶する消費カウンターが更新される状態から更新されない状態への移行がなされることとなる。
本実施の形態に係るコントローラー140は、前記インク量をインクジェットプリンター本体内のメモリー144とインクジェットプリンター本体外のチップユニット180とで共有すべく、消費量が変化する毎に、メモリー144へのインク量情報の書き込みを行うだけでなく、チップユニット180への消費カウンターの書き込み(ただし、チップユニット180への書き込みインターバルは、メモリー144への書き込みインターバルよりも大きくなっている(例えば、消費量が2グラム変化する毎にチップユニット180への書き込みを行う))も行うようになっている(図6のA2欄)。すなわち、チップユニット180が記憶する消費カウンターが更新されるようになっている。しかしながら、消費カウンターが100パーセントに達した際には、チップユニット180への書き込み情報も100パーセントを越えることとなるため、もはや書き込みの必要がなくなり、当該書き込みを止めることとなる(一方で、メモリー144への書き込みは継続される)。
なお、本実施の形態においては、前述したとおり、チップユニット180へは、タンク151のインク量(請求項のタンクの液体量に相当)として、インクの使用量(消費量)をパーセントで表した消費カウンター情報を書き込むこととしている。その一方で、メモリー144へは、当該インク量(請求項の制御部が記憶した液体量に相当)として、消費カウンター情報ではなく、消費量情報を書き込むこととしている。すなわち、本実施の形態においては、チップユニット180に係る前記インク量として、消費カウンターを例に挙げたが、これに限定されるものでなく、消費量であってもよいし、インク容量から消費量を引いた推定インク残量であってもよいし、推定インク残量をパーセントで表したものであってもよい。また、メモリー144に係る前記インク量として、消費量を挙げたが、これに限定されるものでなく、推定インク残量であってもよいし、消費量や推定インク残量をパーセントで表したものであってもよい。
ところで、通常は、印刷が実行されている際(換言すれば、噴射ヘッド112によるインクの噴射が行われている際)に、消費カウンターが100パーセントに達する(つまり、消費量がインク容量に達する)こととなるが、かかる状態となっても印刷処理は継続される(図6のA3欄とB3欄)。すなわち、消費カウンターが100パーセントに達したからといって、実行されていた印刷処理が停止することはない。
また、前述のとおり、タンク151へのインクの再充填の必要性を示唆する表示が、表示パネル107に成されると、ユーザーは、インクの再充填作業を実施する。つまり、ユーザーは、先ず、チップユニット装着部154からチップユニット180を抜いてから、新しい充填用インク容器202に同梱されている新しいチップユニット180をチップユニット装着部154に装着し、チップユニット180の装着完了後に、当該充填用インク容器202からタンク151へインクを注入する。そして、かかる再充填作業の実施の際にも、同様に、印刷処理は継続される。
その理由について、説明する。前述したとおり、本実施の形態においては、公差範囲内で最大のインク使用量であるQmaxを用いてインク使用量の推定をおこなっている。最大のインク使用量である確率は小さいため、多くの場合において消費量は、実際のインク使用累積量を上回って推移することとなる。したがって、消費量がインク容量に達した場合(消費カウンターが100パーセントに達した場合)でも、実際のインク使用累積量はインク容量に達しておらず、インクは未だ残存していることとなる。
具体的な数値例を示すと、プリンター100が仮に前述したMaxプリンターであった場合には、消費量がインク容量(1000グラム)に達した場合に、実際のインク使用累積量もインク容量(1000グラム)に達し、残存インク量は0となる。一方で、プリンター100が仮に前述したMinプリンターであった場合には、消費量がインク容量(1000グラム)に達した場合に、実際のインク使用累積量は943グラム(=1000/(1+0.06))となり、残存インク量は57グラムとなる。したがって、少なくとも0≦残存インク量≦57グラムの間で、インクが残存していることとなる。
また、本実施の形態に係るプリンター100においては、チップユニットがインクカートリッジと一体化されているインクカートリッジ式のプリンターとは異なり、チップユニット180がタンク151と一体化されているわけではないので、チップユニット180が抜かれてもタンク151は本体側に存在したままとなる。すなわち、本実施の形態に係るプリンター100においては、再充填作業の実施の際に、タンク151がインクジェットプリンター本体から取り外される状況が生じない。
このように、消費カウンターが100パーセントに達した際及び再充填作業の実施の際には、インクが残存したタンク151が本体側に存在したままとなっているので、実行されていた印刷処理が停止されず、印刷処理は継続されることとなる。
なお、上記においては、消費カウンターが100パーセントに達した場合に、チップユニット180が抜かれてもプリンター100は動作を停止しない点を説明したが(図6のB4欄)、一方で、消費カウンターが100パーセントに達する前に、チップユニット180が抜かれた場合には、プリンター100は動作を停止するようになっている(印刷が行われている場合、印刷処理の停止。図6のA4欄)。これは、消費カウンターが100パーセントに達する前にインクを充填するとタンク151からインクがあふれる可能性がある。そのため、インクを再充填すべきではなく、したがって、チップユニット180が抜かれるタイミングではないため、このことを警告するためである。なお、本実施の形態に係るコントローラー140は、印刷処理の停止を行うと共に、表示パネル107に、チップユニット180の再装着を促す表示を行う。具体的には、「チップユニットなし、チップユニットを装着してください。」とのメッセージと共に、白背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマーク(図9参照)を表示する。
<<<消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達した際の動作について>>>
前述したとおり、消費カウンターが100パーセントに達すると、タンク151へのインクの再充填の必要性を示唆する表示が表示パネル107に成されるが、ユーザーがすぐにインクの再充填作業を実施しない場合も有り得る。そして、かかる状態で、印刷が繰り返し行われると、やがて、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達する。そして、かかる際には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、表示パネル107に、印刷の停止を予告する表示を行う。具体的には、「チップユニットを交換しないと、印刷が一次停止します。」とのメッセージ(便宜上、印刷停止予告メッセージと呼ぶ。図6のC1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれた前記マーク(図8参照)を点灯状態から点滅状態へ変える。そして、かかる状態となっても印刷処理は継続される(図6のC3欄)。
また、印刷の停止を予告する表示が表示パネル107に成された結果、ユーザーが前述したインクの再充填作業を実施した場合にも、同様に、印刷処理は継続される(図6のC4欄)。
なお、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達するタイミングとは、プリンター100がMinプリンターであった場合でも、実際のインク累積使用量がインク容量(1000グラム)に達し、残存インク量が0となるタイミングである。したがって、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達した際には、印刷停止予告でなく、印刷停止を行う必要があるようにも思えるが、以下の理由から(以下の状況が生じ得ることを考慮して)そのようにはしていない。
当該生じ得る状況について説明する。インクジェットプリンターが、仮にMinプリンターである場合に、消費カウンターが100パーセントに達した際には、インクは残存しており、その量は57グラムとなる(つまり、実際のインク使用累積量は943グラム)。そして、かかる際に、ユーザーが、タンク151へのインクの再充填の必要性を示唆する表示に基づいて、直ちにインクの再充填作業を実施するとした場合には、実際のインク量は1057グラムとなる。
コントローラー140は、実際のインク量が1057グラムであることを認識できず、新たに取り付けられたチップユニット180のインクの容量情報が示すインク容量(つまり、1000グラム)に基づいて、消費カウンターを算出する。そのため、実際のインク使用累積量が943グラムになった際に、消費カウンターが100パーセントに達し、このときの残存インク量は、114グラム(=1056−943=57×2)となる。このように、ユーザーがインクの再充填作業を行う毎に、57グラムの残存インクがタンク151に溜まっていく現象が生ずることになる。
そして、かかる状況で、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達した際に印刷停止を行うようにした場合には、以下の不都合が生じ得る。
例えば、再充填作業が1回行われた後に、消費カウンターが100パーセントに達した際には、タンク151には、114グラム(=(1000−943)×1+1000−943)のインクが存在することになる。そして、かかる際にも(すなわち、かなりの量のインクが残っているのに)、タンク151へのインクの再充填の必要性を示唆する表示が成されることとなる。そして、かかる場合には、ユーザーは、今までとは異なり、このタイミングでは、インクの再充填作業を行わない可能性がある(前述したとおり、確認窓(開口)152からの目視もできるようになっている)。
そして、インクの再充填作業をしないまま暫くすると、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達し、印刷が停止される。この場合には、印刷が停止されたことを受け、殆どのユーザーがインクの再充填作業を行うことが予想できる。そして、このときのタンク151には、57グラム(=(1000−943)×1+1000−1000)のインクが存在することになり、インクが再充填されると、実際のインク量は1057グラム(=(1000−943)×1+(1000−1000)+1000)となる。
そして、次に、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達し、印刷が停止された際に、ユーザーはインクの再充填作業を再度行うが、このときのタンク151には、前回と同様、57グラム(=(1000−943)×1+(1000−1000)+1000−1000)のインクが存在することとなる。すなわち、最初に溜まった57グラム(=(1000−943)×1)分のインクは、以降の再充填作業を何回繰り返しても減らず、ユーザーは、インクが残っている状態で、再充填作業をし続けることとなる。
これに対し、本実施の形態においては、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達した際に、印刷停止ではなく、印刷停止予告としている。そのため、ユーザーが、目視等でインクが残っていることを確認できた場合に、印刷処理の実行を維持しながら自らの判断で再充填作業の実施時期を少し先延ばしにでき、このことにより、最初に溜まった57グラム(=(1000−943)×1)分のインクを減らすことが可能となる。
なお、再充填を1回も行っていない状況においては、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達した際には、インクは残っていない状態となる。したがって、かかる状態においては、印刷停止予告では不都合に思えるが、本実施の形態においては、この場合に、前述した物理的なインクエンド検出器159が働くようになっている(当該不都合が生じないようになっている)。
すなわち、本実施の形態においては、インクエンド検出器159がタンク151内のインクが無いことを検出し、コントローラー140が当該検出結果を受け取った際には、消費カウンターの値にかかわらず(消費カウンターの値がどの値であっても)、印刷処理を停止させるようになっている。そして、インクが無くインクの再充填が必要であることを表示パネル107に表示する。具体的には、「インク残量、限界値以下。インクを補充してください。インクを補充しおわったらOKを押してください。」とのメッセージを表示する。
<<<消費カウンターが112(100+公差2a)パーセントに達した際の動作について>>>
前述したとおり、消費カウンターが106(100+公差a)パーセントに達しても、ユーザーは、印刷処理の実行を維持しながら自らの判断で再充填作業の実施時期を少し先延ばしにできる。そして、かかる状態で、印刷が繰り返し行われると、やがて、消費カウンターが112(100+公差2a)パーセントに達する。そして、かかる際には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、印刷処理を停止し(図6のD3欄)、チップユニット180の交換時期超過の旨を表示パネル107に表示する。具体的には、「チップユニット交換時期超過、チップユニットを交換して下さい」とのメッセージ(便宜上、交換時期超過メッセージと呼ぶ。図6のD1欄)と共に、白背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマーク(図9参照)を表示する。
なお、本実施の形態においては、印刷が停止される当該タイミングを、タンク151の容積に基づいて定めている。
すなわち、本実施の形態においては、タンク151の容積を、インク1057グラム分の容積としている。そのため、これより多い量のインクがタンク151に存在することはない。したがって、公差範囲内でどんなにインク消費スピードが遅いプリンター(Minプリンター)であっても、消費カウンターが112(100+公差2a)パーセントに達した際には、タンク151は空になっていることとなる。
このように、本実施の形態では、MaxプリンターからMinプリンターまでのどのプリンター100においてもタンク151の容積分のインクを使い切ってしまうタイミング(インク量)を、印刷が停止されるタイミング(消費カウンター)としている。これは、当該消費カウンターよりも多い実インク量(例えば、150パーセント)を、印刷を停止するタイミングとなる消費カウンターとしても、容積より多くのインクが存在することはありえないので、無意味となるからである。かかる観点に基づいた場合には、MaxプリンターからMinプリンターまでのどのプリンター100においてもタンク151の容積分のインクを使い切ってしまう消費カウンターに相当するインク量を、印刷が停止するタイミングとするのが好ましいこととなる。なお、以上の動作は、物理的なインクエンド検出器でインク無しを検出されなかった場合である。物理的なインクエンド検出器でインク無しを検出した場合は、その検出結果に基づきインクエンドと判断して、プリンター100の動作を停止する。
<<<変形例について>>>
上記実施の形態においては、タンク151の容積を、インク1057グラム分の容積とした。すなわち、タンク151の容積を、プリンター100がMinプリンターであった場合に消費カウンターが112(100+公差2a)パーセントに達した際に、タンク151が空になる容積とした。しかしながら、これに限定されるものではなく、例えば、これよりも多い容積としてもよい。
また、上記実施の形態においては、充填用インク容器202に入っているインクの量を、チップユニット180に記憶されたインクの容量情報が示す容量と丁度同じ(いずれも1000グラム)としたが、これに限定されるものではない。例えば、当該容量よりも充填用インク容器202に入っているインクの量が少し多いこととしてもよい。
===チップユニット180装着の際の異常処理例について===
上述したとおり、本実施の形態に係るプリンター100においては、タンク151にインクを再充填する際に(これらの作業の一環として)、チップユニット180をチップユニット装着部154に装着する。しかしながら、かかる際に、何らかの異常が発生する可能性がある。以下では、当該異常が発生したときのコントローラー140の処理例(異常処理とも呼ぶ)について、図10乃至図12を用いて説明する。
図10は、使用済みチップユニット180が装着されたときの処理について説明するための説明模式図である。図11は、チップユニット180にリードライトエラーが生じたときの処理について説明するための説明模式図である。図12は、チップユニット装着部154に不適合チップユニット180が装着されたときの処理を、表示パネル107における表示の遷移で表した遷移模式図である。
なお、当該異常処理は、4色のインクに対応したチップユニット180の各々毎に行われるが、その処理については同様なので、以下では、主として、Cインクに対応したチップユニット180について説明する。
また、以下で説明する動作は、主として、コントローラー140により実現される。特に、本実施の形態においては、メモリー144に格納されたプログラムをCPU142が処理することにより実現される。そして、このプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
<<<使用済みチップユニット180が装着されたときの処理について>>>
前述したとおり、消費カウンターが100パーセントに達した際には、チップユニット180にチップ無効フラグが書き込まれ、当該チップユニット180は使用済みチップユニットとなる。そして、使えなくなった当該使用済みチップユニット180は、インクの再充填作業の実施の際に、新しいチップユニット180との交換のためにチップユニット装着部154から抜かれるが、その後適切に廃棄されず、ユーザーにより誤って再装着される場合がある。そして、かかる場合には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。
なお、コントローラー140は、消費カウンターが100パーセントに達する前と達した後とで、異なる処理を実行する。そのため、以下では、双方を分けて説明する。
<消費カウンターが100パーセントに達する前の処理>
消費カウンターが100パーセントに達する前に、コントローラー140が、使用済みチップユニット180の読み込みを行い、前記チップ無効フラグを認識すると、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、表示パネル107に、交換時期が超過した(すなわち、使用済みの)チップユニット180が装着された旨の表示を行う。具体的には、「チップユニット交換時期超過、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(便宜上、交換時期超過メッセージと呼ぶ。図10のA1欄)と共に、白背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマーク(図9参照)を表示する。
なお、前述したとおり、消費カウンターが100パーセントに達する前に、印刷処理が実行されている場合には、チップユニット180が抜かれると、コントローラー140は当該印刷処理を停止する。そのため、使用済みチップユニット180を装着する際には、印刷処理は既に停止していることとなる(図10のA2欄)。
<消費カウンターが100パーセントに達した後の処理>
消費カウンターが100パーセントに達した後に、表示パネルの表示に基づいて、ユーザーが前述したインクの再充填作業を実施する際に、ユーザーは、先ず、チップユニット装着部154からチップユニット180を抜いてから、新しい充填用インク容器202に同梱されている新しいチップユニット180をチップユニット装着部154に装着する。しかしながら、ユーザーが、誤って、新しいチップユニット180ではなく、使用済みチップユニット180を装着してしまう場合がある。かかる場合に、コントローラー140が、使用済みチップユニット180の読み込みを行い、前記チップ無効フラグを認識すると、以下の処理を実行する。
コントローラー140は、使用済みチップユニット180ではなく新しいチップユニット180(正規のチップユニット180)を認識した場合(チップ無効フラグを認識しなかった場合)には、表示パネルの表示を消去する。例えば、「チップユニット交換時期、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(図6のB1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図8参照)が表示(点灯)されていた場合には、これらを消去し、「チップユニットを交換しないと、印刷が一次停止します。」とのメッセージ(図6のC1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれた前記マーク(図8参照)が表示(点滅)されていた場合には、これらを消去する。
しかしながら、コントローラー140が使用済みチップユニット180(チップ無効フラグ)を認識した場合には、これらのメッセージやマークの表示を維持する(の表示を消去しない)処理を実行する(図10のB1欄)。すなわち、「チップユニット交換時期、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(図6のB1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図8参照)が表示(点灯)されていた場合には、これらを維持し、「チップユニットを交換しないと、印刷が一次停止します。」とのメッセージ(図6のC1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれた前記マーク(図8参照)が表示(点滅)されていた場合には、これらを維持する。
さらに、コントローラー140は、印刷処理が行われている場合には、この印刷処理を停止させることはしない。すなわち、印刷処理も、同様に維持されることとなる(図10のB2欄)。
なお、このようにした理由は、以下の通りである。すなわち、使用済みチップユニット180を装着しただけで、印刷を停止させてしまうのは、ユーザーへ与える損失が大きすぎる。また、「チップユニット交換時期超過、チップユニットを交換してください。」とのメッセージや図9のマークへ表示を変えずに、既に出ている表示を維持したのは(消去しないのみとしたのは)、表示を変えるとユーザーが驚いて(インパクトを受けて)印刷を停止させてしまう可能性が高くなるからである(既に出ている表示が変わらないことに気付いたユーザーが、印刷を停止させることなく、使用済みチップユニット180を正規のチップユニット180に交換することを、期待したものである)。
<<<チップユニット180にリードライトエラーが生じたときの処理について>>>
チップユニット180がチップユニット装着部154に装着された際に、リードライトエラー(すなわち、読み書き不良)が生じる場合がある。そして、かかる場合には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。
なお、コントローラー140は、消費カウンターが100パーセントに達する前と達した後とで、異なる処理を実行する。そのため、以下では、双方を分けて説明する。
<消費カウンターが100パーセントに達する前の処理>
消費カウンターが100パーセントに達する前に、コントローラー140が、リードライトエラーを認識すると、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、表示パネル107に、リードライトエラーが生じた旨の表示を行う。具体的には、「チップユニットエラー、正しく認識できません。チップユニットをセットし直すか、交換してください。」とのメッセージ(便宜上、チップユニットエラーメッセージと呼ぶ。図11のA1欄)と共に、市松模様の背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマーク(図13参照)を表示する。
なお、「チップユニットをセットし直すか」をメッセージの文言の中に含ませた理由は、リードライトエラーは一時的なもの(例えば、ゴミがチップユニット180とチップユニット装着部154との間に挟まれていることが原因となっている場合等)であり、セットし直せば問題なく直るケースもあるからである。また、背景として市松模様を採用したのは、背景の模様を無地から変えてリードライトエラーであることを強調するためである。
なお、前述したとおり、消費カウンターが100パーセントに達する前に、印刷処理が実行されている場合には、チップユニット180が抜かれると、コントローラー140は当該印刷処理を停止する。そのため、使用済みチップユニット180を装着する際には、印刷処理は既に停止していることとなる(図11のA2欄)。
<消費カウンターが100パーセントに達した後の処理>
消費カウンターが100パーセントに達した後に、表示パネルの表示に基づいて、ユーザーが前述したインクの再充填作業を実施する際に、ユーザーは、先ず、チップユニット装着部154からチップユニット180を抜いてから、新しい充填用インク容器202に同梱されている新しいチップユニット180をチップユニット装着部154に装着する。そして、かかる際に、コントローラー140が、リードライトエラーを認識すると、以下の処理を実行する。
コントローラー140は、新しいチップユニット180を正しく認識した場合(リードライトエラーを認識しなかった場合)には、表示パネルの表示を消去する。例えば、「チップユニット交換時期、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(図6のB1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図8参照)が表示(点灯)されていた場合には、これらを消去し、「チップユニットを交換しないと、印刷が一次停止します。」とのメッセージ(図6のC1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれた前記マーク(図8参照)が表示(点滅)されていた場合には、これらを消去する。
しかしながら、コントローラー140がリードライトエラーを認識した場合には、これらのメッセージやマークの表示を微修正した表示を行う(図11のB1欄)。すなわち、「チップユニット交換時期、チップユニットを交換してください。」とのメッセージ(図6のB1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図8参照)が表示(点灯)されていた場合には、当該メッセージを微修正した「チップユニット交換時期、セットし直すか、交換してください。」とのメッセージと共に、当該マークを微修正した市松模様の背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図14参照)を表示(点灯)する。
また、「チップユニットを交換しないと、印刷が一次停止します。」とのメッセージ(図6のC1欄)と共に、白背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれた前記マーク(図8参照)が表示(点滅)されていた場合には、当該メッセージを微修正した「チップユニットをセットし直すか、交換しないと、一次停止します。」とのメッセージと共に、当該マークを微修正した市松模様の背景に描かれた黄色の三角内に感嘆符が書かれたマーク(図14参照)を表示(点滅)する。
さらに、コントローラー140は、印刷処理が行われている場合には、この印刷処理を停止させることはしない。すなわち、印刷処理も、同様に維持されることとなる(図11のB2欄)。
なお、このようにした理由は、以下の通りである。すなわち、リードライトエラーとなっただけで、印刷を停止させてしまうのは、ユーザーへ与える損失が大きすぎる。また、「チップユニットエラー、正しく認識できません。チップユニットをセットし直すか、交換してください。」とのメッセージや図13のマークへ表示を大きく変えることとせずに、既に出ている表示を微修正することとしたのは、表示を大きく変えるとユーザーが驚いて(インパクトを受けて)印刷を停止させてしまう可能性が高くなるからである(既に出ている表示が微修正されるだけで消去されないことに気付いたユーザーが、印刷を停止させることなく、チップユニット180をセットし直すか、交換することを、期待したものである)。
<<<チップユニット装着部154に不適合チップユニット180が装着されたときの処理について>>>
前述したとおり、コントローラー140は、チップユニット装着部154にチップユニット180が装着されると、当該チップユニット装着部154に適合したチップユニット180が適切に装着されたか否かを確認する。
例えば、チップユニット180がCインク用のチップユニット装着部154Cに装着された際に、チップユニット180からインクの色情報を読み込んで、当該チップユニット180がCインク用のチップユニットであり、他色インク用のチップユニットでないことを確認する。
また、水系のインクを用いるプリンター100に備えられたチップユニット装着部154にチップユニット180が装着された際に、チップユニット180からインクの種類情報を読み込んで、当該チップユニット180が水系インク用のチップユニットであり、他系インク用のチップユニットでないことを確認する。
そして、かかる際に、チップユニット装着部154に不適合チップユニット180が装着されたことが確認された場合(前記他色インク用のチップユニットであることが確認された場合や前記他系インク用のチップユニットであることが確認された場合)には、コントローラー140は、以下の処理を実行する。すなわち、チップユニット180が所定の場所(正しい場所)に装着されなかったときに、以下の処理を実行する。
すなわち、コントローラー140は、表示パネル107に、誤装着の旨の表示を行う。具体的には、「チップユニットエラー、正しく認識できません。」とのメッセージを表示する(図12のF1)。
また、コントローラー140は、このメッセージに加えて、確認してインクをタンク151に注入したか否かについての第一選択肢を表示する。具体的には、「インク容器と本機のラベルを照合して注入しましたか?」とのメッセージを表示する(図12のF1)。
図示はしていないが、本実施の形態に係る充填用インク容器202には、ラベルが貼付されており、当該ラベルには、対応するインクジェットプリンターの型番(インクの種類を表す情報に相当する)とインクの色とが記載されている。一方で、本実施の形態に係るプリンター100においては、4色のタンク151の各々毎に4つのラベルが貼付され、当該ラベルには、インクの色とプリンター100の型番が記載されている。そして、コントローラー140は、充填用インク容器202のラベル上の記載とプリンター100本体のラベル上の記載とを照合してインクの注入を行ったか否かをユーザーに質問する。
ここで、ユーザーが、照合を行った上で、チップユニット180装着の次作業としてインクのタンク151への注入を実施した(実施済みである)場合には、当該ユーザーは、「はい」(肯定に相当)を選択する。具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「はい」を選択し(但し、本実施の形態においては、「はい」がデフォルトになっているので、必ずしも「はい」を選択する必要はない)、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF1)。なお、本実施の形態に係るプリンター100においては、同様の操作が、操作ボタン105を押すことによっても、できるようになっている。
第一選択肢に対し肯定の旨の回答が入力された際、すなわち、「はい」が選択された際には、コントローラー140は、当該肯定の旨の回答を示す情報を受信する。そして、当該情報を受信したコントローラー140は、表示パネル107に、チップユニット180の交換を促す表示を行う。具体的には、「チップユニットエラー、正しく認識できません。チップユニットを交換してください。」とのメッセージと共に、市松模様の背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマークを表示する(図12のF2)。
これは、ユーザーが、照合を行った上で、チップユニット180装着の次作業としてインクのタンク151への注入を実施した場合には、タンク151には正規のインクが注入されている(インクの注入については問題ない)と考えられ、チップユニット180の装着のみに問題(誤装着)があるので、このような表示をさせることとしたものである。
一方で、ユーザーが、照合を行わないで、チップユニット180装着の次作業としてインクのタンク151への注入を実施した(実施済みである)場合(以下、第一ケースと呼ぶ)には、当該ユーザーは、「いいえ」(否定に相当)を選択する。また、チップユニット180の装着を行ったのみで、未だインクの注入を実施していない場合(以下、第二ケースと呼ぶ)にも、ユーザーは「いいえ」(否定に相当)を選択することとなる。
具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「いいえ」を選択し、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF1)。
第一選択肢に対し否定の旨の回答が入力された際、すなわち、「いいえ」が選択された際には、コントローラー140は、当該否定の旨の回答を示す情報を受信する。そして、当該情報を受信したコントローラー140は、表示パネル107に、誤装着の旨と照合の必要性の旨の表示を行う。具体的には、「チップユニットエラー、インク容器と本機のラベルを照合して下さい。」とのメッセージを表示する(図12のF3)。
また、コントローラー140は、このメッセージに加えて、タンク151内に間違ったインクが入っているか否かについての第二選択肢を表示する。具体的には、「指定外のインクがタンクに入っていますか?」とのメッセージを表示する(図12のF3)。なお、タンク151内に間違ったインクが入っているか否かについての第二選択肢として、「指定外のインクをタンクに入れましたか?」とのメッセージを表示することとしてもよいが、この表現方法は、慌てたユーザーが指定外のインクをタンク151に入れてしまうことを誘発する表現なので、図12のF3のメッセージの方がより好ましい。
ここで、前記第二ケースの場合、すなわち、ユーザーが、チップユニット180の装着を行ったのみで、未だインクの注入を実施していない場合には、当該ユーザーは、「いいえ」(否定に相当)を選択する。具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「いいえ」を選択し(但し、本実施の形態においては、「いいえ」がデフォルトになっているので、必ずしも「いいえ」を選択する必要はない)、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF3)。
第二選択肢に対し否定の旨の回答が入力された際、すなわち、「いいえ」が選択された際には、コントローラー140は、当該否定の旨の回答を示す情報を受信する。そして、当該情報を受信したコントローラー140は、表示パネル107に、チップユニット180の交換を促す表示を行う。具体的には、「チップユニットエラー、正しく認識できません。チップユニットを交換してください。」とのメッセージと共に、市松模様の背景に描かれた赤色の円内に×が書かれたマークを表示する(図12のF2)。
これは、タンク151には未だインクが注入されていないので、インクの注入についての問題は存在しないと考えられ、チップユニット180の装着のみに問題(誤装着)があるので、このような表示をさせることとしたものである。
一方、前記第一ケースの場合、すなわち、ユーザーが、照合を行わないで、チップユニット180装着の次作業としてインクのタンク151への注入を実施した(実施済みである)場合には、当該ユーザーは、「はい」(肯定に相当)を選択する。具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「はい」を選択し、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF3)。
第二選択肢に対し肯定の旨の回答が入力された際、すなわち、「はい」が選択された際には、コントローラー140は、当該肯定の旨の回答を示す情報を受信する。そして、当該情報を受信したコントローラー140は、表示パネル107に、プリンター100の製造会社への連絡を促す表示を行う。具体的には、「サービスコール、インクシステム系エラー2136(なお、左記番号はエラー番号である)、上記番号をサービスコールセンターに連絡して下さい」とのメッセージを表示する(図12のF4)。なお、センターの電話番号やメールアドレスや修理申し込みのためのホームページを表示することとしてもよいし、当該メールアドレスやホームページに向けてエラー番号等を自動送信するようにしてもよく、本願ではこれらを含めて、連絡を促す表示とする。
これは、ユーザーが、照合を行わないで、チップユニット180装着の次作業としてインクのタンク151への注入を実施した場合には、タンク151には非正規のインクが注入されている(インクの注入について問題がある)と考えられ、プリンター100の破損(互いに異なるインクがタンク151内で混ざり合ってしまい、実質的にプリンター100が使用不能となってしまうこと)の可能性があるので、このような表示(例えば、サービスエンジニアを呼ぶための表示)をさせることとしたものである。
また、かかる際には、問題の解決までに(例えば、サービスエンジニアが到着するまでに)、プリンター100の使用を禁じるために、電源を切るためのボタンが表示パネル107に表示される(図12のF4)。ユーザーは、表示パネル107にタッチして、当該ボタンを選択し、プリンター100の電源を切ることとなる。
ところで、ユーザーは、電源を切った後にサービスエンジニアの到着を待つが、急ぎの用事のために、破損覚悟でプリンター100を使用しなければならない状況に陥る場合がある。そして、本実施の形態に係るプリンター100は、ユーザーの利便性を重視する目的で、このような状況に対応することができるようになっている。
ユーザーが、プリンター100を使用するために、電源をONすると、コントローラー140は、表示パネル107に、「インク混合エラー、インクシステム系エラー2136」とのメッセージを表示するが、このメッセージに加えて、修理を行ったか否かについての第三選択肢を表示する。具体的には、「弊社または弊社指定のサービスエンジニアが修理しましたか?」とのメッセージを表示する(図12のF5)。
ここで、ユーザーが、前記状況にある場合には、当該ユーザーは、「はい」(肯定に相当)を選択することができる。具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「はい」を選択し、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF5)。本来、プリンター100が修理後に正常な状態に復帰した際に、「はい」が選択されることを想定しているが、このように、未修理状態でもユーザーの判断で「はい」を選択できるようになっている。
そして、第三選択肢に対し肯定の旨の回答が入力された際、すなわち、「はい」が選択された際には、コントローラー140は、ユーザーがプリンター100を使用できるようにプリンター100を待機状態とする。
なお、本実施の形態においては、「はい」が選択された際に、コントローラー140がログを取る様になっているため、後にサービスエンジニアが修理に来た際に、上記操作が行われたことが分かるようになっている。
一方で、ユーザーが修理を待つ場合には、当該ユーザーは、「いいえ」(否定に相当)を選択する。具体的には、ユーザーは、表示パネル107にタッチして、「いいえ」を選択し(但し、本実施の形態においては、「いいえ」がデフォルトになっているので、必ずしも「いいえ」を選択する必要はない)、その後「[OK]決定」を選択する(図12のF5)。
そして、第三選択肢に対し否定の旨の回答が入力された際、すなわち、「いいえ」が選択された際には、コントローラー140は、再度、表示パネル107に、図12のF4の表示を行う。
===本実施の形態に係る液体噴射装置の有効性について===
上述した通り、本実施の形態に係る液体噴射装置は、印刷用紙1にインクを噴射する噴射ヘッド112と、インクを収容し、インクを補充可能なタンク151と、タンク151内のインクが無いことを物理的に検出するインクエンド検出器159と、タンク151内のインク量をカウントする制御部(コントローラー140が、これに相当する)と、を備えている。そして、当該インク量に基づいて、液体噴射装置の動作(具体的には、印刷処理)を停止するようになっている(図6のD3欄)。
すなわち、本実施の形態においては、物理的なインクエンド検出器159の他にソフト的な検出部を備えており、液体噴射装置の動作の停止を、物理的なインクエンド検出器159のみに頼らずに済むようになっている。
そのため、何らかの要因でインクエンド検出器159が故障した場合であっても、制御部によりカウントされたインク量に基づいて、液体噴射装置の動作が適切に停止されるので、かかる場合であっても、インクが無い状態で印刷が行われるという問題の発生を抑止することができる。
また、噴射ヘッド112に目詰まりが生じて、インクが噴射されない問題が発生する場合がある。そして、当該問題が続いても、物理的にはインクは減少しないため、インクエンド検出器159では当該問題を検知することができない。しかしながら、当該問題が続くことにより、制御部によるカウントは進むため、本実施の形態においては、制御部によりカウントされたインク量に基づいて、当該問題を検知することができ、適切に液体噴射装置の動作を停止することができる。
このように、本実施の形態に係る液体噴射装置によれば、ユーザーの不利益となる問題が適切に抑止され、ユーザーの利便性が向上することとなる。
また、本実施の形態においては、インク量が所定の値となったときに、インクエンド検出器159が検出していない場合に液体噴射装置の動作を停止することとしたため、当該所定の値を適切な量に設定することのみで、ユーザーの不利益となる問題が適切に抑止され、ユーザーの利便性がより向上することとなる。
また、本実施の形態においては、インク量が所定の値となる前に、インクエンド検出器159が検出した場合は、インクエンド検出器159の検出結果により液体噴射装置の動作を停止することとしたため、ユーザーの利便性がより向上することとなる。
===その他の実施の形態===
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
上記実施の形態においては、液体吐出装置(液体噴射装置)をインクジェット式プリンターに具体化したが、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体噴射装置を採用してもよく、微小量の液滴を吐出させる液体噴射ヘッド等を備える各種の液体噴射装置に流用可能である。なお、液滴とは、上記液体噴射装置から吐出される液体の状態をいい、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。また、ここでいう液体とは、液体噴射装置が噴射させることができるような材料であればよい。例えば、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状態、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属(金属融液)のような流状態、また物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなどを含む。また、液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体噴射装置の具体例としては、例えば液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置、捺染装置やマイクロディスペンサ等であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置を採用してもよい。そして、これらのうち何れか一種の噴射装置に本発明を適用することができる。
また、上記実施の形態においては、各種の表示をプリンター100に設けられた表示パネル107に行うこととしたが、これに限定されるものではなく、例えば、プリンタードライバーがインストールされたコンピューターの表示装置(ディスプレイ)に行うこととしてもよい。そして、この場合には、表示に係る制御は、プリンタードライバーやプリンタードライバーとコントローラー140との協働により行われる。すなわち、上記実施の形態においては、表示制御部として、コントローラー140を例に挙げたが、これに限定されるものではなく、プリンタードライバーであってもよいし。プリンタードライバー及びコントローラー140であってもよい。
また、上記実施の形態においては、インク量が所定の値となったときに、インクエンド検出器159が検出していない場合に液体噴射装置の動作を停止することとしたが、当該所定の値は、タンク151の容量(例えば、タンク151の容積)より少なく、タンク151に補充される液体容量(例えば、充填用インク容器202に入っているインクの量)より多い量に相当することとしてもよい(ここで、「相当する」とは、ばらつきも含めて換算した値も含める意味である)。
このようにした場合には、インクがフル充填されているタンク151内のインクが無くなってインクエンド検出器159が作動する前に、ソフト的な検出部が働く状況となり得るため、ユーザーの不利益となる問題がより適切に抑止され、ユーザーの利便性がより一層向上することとなる。