JP2014046420A - 作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法及び作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石 - Google Patents
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Abstract
【課題】肌の仕上がりが良く、且つ短時間で精穀できる精穀用研削砥石を提供する。
【解決手段】F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含む精穀用研削砥石の作用面に、丸、多角形、長孔から選ばれる1種の形状の孔を複数設けた治具を配置し、ショットブラスト加工により前記精穀用研削砥石の作用面に複数のディンプルを形成する工程、を含むことを特徴とする作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
【選択図】図3
【解決手段】F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含む精穀用研削砥石の作用面に、丸、多角形、長孔から選ばれる1種の形状の孔を複数設けた治具を配置し、ショットブラスト加工により前記精穀用研削砥石の作用面に複数のディンプルを形成する工程、を含むことを特徴とする作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、穀類、豆類及び香辛料等の脱皮に使用することのできる精穀用研削砥石であって、特に、被精穀物を研削する作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法及び作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石に関する。
従来の精穀用研削砥石は、切れ刃を有する砥粒として炭化ケイ素(SiC)砥粒が使用され、一般精米(飯米)用であれば粒度の番数がF30、F36、F46といった中目を使用し、酒造米用であれば粒度の番数がF60、F70、F80のような細目を使用し、パーボイル米であれば粒度の番数がF16、F20、F24のような粗目を使用している。
精穀は、研削後の米粒の肌の仕上がりの観点からは、小さな砥粒で研削した方が好ましいが、砥粒が小さいと砥石にできる自然ブリッジによって形成される気孔(空隙)は小さく、糠等ですぐに目詰まりしてしまい、精穀の仕上がりまでに時間がかかりすぎるという問題がある。他方、ブリッジは、砥粒が大きい程、大きな気孔ができる。しかしながら、砥粒を大きくすると研削時間は短縮されるが、研削後の米粒の肌が荒くなり、白米品質の観点から好ましくないという問題がある。
研削性向上を目的とした精米用多孔質砥石としては、砥粒と結合剤と一時性粘結材と気孔剤とを混合攪拌した後、適当な形に成型し、その成型体を乾燥したあと焼成する多孔質砥石の製造方法が知られている。この製造方法では、気孔剤として任意に粒大選別した籾殻粉体を使用することで焼成時に籾殻粉体が燃焼し、気孔と結合剤界面のSiO2濃度が高まり、ボンドブリッジ効果の高い多孔質砥石となり、気孔に研削層が埋設して研削性が低下することを防止でき、結合度弱化により砥粒が容易に離脱して表面部が荒れることがないという作用・効果がある(特許文献1参照)。
また、パーボイル米を精米する場合にあっては、粒度の番数がF16の砥粒を使用すると、砕粒の発生による歩留まりの低下、有効な研削作用の低下、砥石寿命の短命化などの問題が生じ、一方で粒度の番数がF24を使用すると、目詰まりによって搗精が困難となる問題がある。目詰まりを解消するためには、組織内の気孔を大きくすることも考えられるが、砥粒同士の結合力が弱くなって強度が劣り、耐摩耗性も劣るといった新たな問題が生じる。また、特許文献1記載のボンドブリッジ効果を高くした多孔質砥石であっても、形成する気孔の連続化が避けられないため、均一な気孔の形成が極めて困難となり、製品としての砥石の品質(精穀性能)にバラツキが生じるという問題がある。
上記問題を解決する為、本出願人は、第1砥粒と該第1砥粒の粒度と同等以下の第2砥粒とからなる複合砥粒と、結合剤とから形成され、内部には微小気孔を多数有し、前記第1砥粒は前記結合剤との接合強度が弱く形成されており、該第1砥粒を離脱させて砥石表面部に目詰まり防止用の気孔を形成した精穀用研削砥石で精米することで、パーボイル米を精米する場合でも、砕米の発生を低減することができ、さらに、砥石表面には陥没状に目詰まり防止用の気孔が形成されており、切屑による目詰まりを防止できることを見出し、特許出願を行っている(特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許出願の第1砥粒として使用されているF24のSiCは、様々な形状を持つものであり、砥石表面に埋め込まれる向きにより、離脱後に形成される個々の気孔は、形状、大きさ及び深さが異なる。また、離脱せずに砥石に残留するSiCもあることから、形成される気孔の間隔、パターンは、砥粒を混錬して砥石を形成した際に表面部に露出したSiCの配置に依存する。したがって、上記特許出願の製造方法では、気孔の形状、大きさ、間隔、パターン及び深さを任意に設定することができず、その結果、研削後の米粒の肌の仕上がり及びその仕上がりに必要な研削時間の設定が、製造された精穀用研削砥石毎に異なるという問題がある。
本発明者らは、鋭意研究を行ったところ、所望の粒度の砥粒で形成した精穀用研削砥石の作用面に、所望の形状、大きさ、間隔、パターンの孔を設けた治具を配置した状態でショットブラスト加工することで、精穀用研削砥石の作用面に、所望の形状、大きさ、間隔、パターン、深さのディンプル(気孔)を形成することができ、肌の仕上がりが良く、且つ短時間で精穀できる精穀用研削砥石が得られることを新たに見出した。本発明は該新知見に基づいて成されたものである。
すなわち、本発明の目的は、作用面に所望の形状、大きさ、間隔、パターン、深さのディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法、及び作用面に複数のディンプルを有する精穀用研削砥石を提供することである。
本発明は、以下に示す、作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法及び作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石に関する。
(1)F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含む精穀用研削砥石の作用面に、丸、多角形、長孔から選ばれる1種の形状の孔を複数設けた治具を配置し、ショットブラスト加工により前記精穀用研削砥石の作用面に複数のディンプルを形成する工程、
を含むことを特徴とする作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(2)前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする上記(1)に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(3)前記治具に設けられた複数の孔が、チドリ状又は等間隔に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(4)F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含み、作用面に複数のディンプルを有することを特徴とする精穀用研削砥石。
(5)前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする上記(4)に記載の精穀用研削砥石。
(6)前記ディンプルの大きさが、砥粒の平均粒径〜被精穀物の幅×0.8であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の精穀用研削砥石。
(7)前記ディンプルの間隔が、
(使用砥粒の平均粒径(d)×1.1)+2d〜(d×1.1)+15d
であることを特徴とする上記(4)〜(6)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(8)前記ディンプルのパターンが、チドリ状又は等間隔であることを特徴とする上記(4)〜(7)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(9)前記ディンプルの形状が、丸、多角形、長孔から選ばれる1種であることを特徴とする上記(4)〜(8)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(10)前記ディンプルの深さが、2mm以上であることを特徴とする上記(4)〜(9)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(11)前記砥粒が、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ボロン・ナイトライド(BN)、ダイヤモンドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(4)〜(10)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(12)前記精穀用研削砥石が、穀物、豆類又は香辛料の精穀に用いられることを特徴とする上記(4)〜(11)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
を含むことを特徴とする作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(2)前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする上記(1)に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(3)前記治具に設けられた複数の孔が、チドリ状又は等間隔に配置されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
(4)F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含み、作用面に複数のディンプルを有することを特徴とする精穀用研削砥石。
(5)前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする上記(4)に記載の精穀用研削砥石。
(6)前記ディンプルの大きさが、砥粒の平均粒径〜被精穀物の幅×0.8であることを特徴とする上記(4)又は(5)に記載の精穀用研削砥石。
(7)前記ディンプルの間隔が、
(使用砥粒の平均粒径(d)×1.1)+2d〜(d×1.1)+15d
であることを特徴とする上記(4)〜(6)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(8)前記ディンプルのパターンが、チドリ状又は等間隔であることを特徴とする上記(4)〜(7)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(9)前記ディンプルの形状が、丸、多角形、長孔から選ばれる1種であることを特徴とする上記(4)〜(8)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(10)前記ディンプルの深さが、2mm以上であることを特徴とする上記(4)〜(9)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(11)前記砥粒が、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ボロン・ナイトライド(BN)、ダイヤモンドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記(4)〜(10)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
(12)前記精穀用研削砥石が、穀物、豆類又は香辛料の精穀に用いられることを特徴とする上記(4)〜(11)の何れか一に記載の精穀用研削砥石。
本発明の製造方法によれば、所望の形状、大きさ、間隔、パターンの治具を用いてショットブラスト加工することで、所望の形状、大きさ、間隔、パターン、深さのディンプルを作用面に有する精穀用研削砥石を製造することができ、製品毎のバラつきを少なくすることができる。また、原料として用いる砥粒の粒度に依存することなく、任意のサイズ及び深さのディンプルを形成することができる。
更に、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石は、ディンプルを設けることで、被精穀物が同じ場合に従来使用されている砥粒より小さな砥粒を用いることができるので、精穀後の被精穀物の肌の仕上がりを良くすることができる。加えて、ディンプルが形成される孔の開口部上端にエッジが形成されるため、精穀の加工作用が増大するとともに、エッジの形状と被精穀物の流れ方向の組み合わせによっても加工性能が向上する為、小さな砥粒を用いても、短時間で精穀を行うことができる。そして、形成されるディンプルは、自然ブリッジより大きいため、ディンプルに入り込んだ糠等の加工粉は被精穀物の接触による際の衝撃でディンプルの外に排出されるので目詰まりが起こりにくい。
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石と従来の精穀用研削砥石との違いを説明する概略図で、(1)は従来砥石、(2)は従来の気孔砥石、(3)は本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の概略を示している。従来、精穀用研削砥石の表面には、自然気孔又は焼成後に砥粒を離脱させることにより人工気孔を形成しているが、(2)に示すように、形成する人工気孔の連続化が避けられない。一方、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石は、砥石の焼成後に、治具を配置してショットブラスト加工することで、(3)に示すように作用面に、所望の形状、大きさ、間隔、パターン、深さのディンプルを形成することができる。なお、本発明において、「作用面」とは、砥石の表面の内、被精穀物を研削する部分のことを意味する。
図2の(1)〜(3)は、図1の(1)〜(3)の作用面の断面の概略を示す図で、上記の人工気孔の連続化をより分かりやすく説明する図である。従来の気孔砥石は、図2の(2)に示すように、気孔剤の消失によって生じる人工気孔の断面方向の位置によって気孔が連結することがあり、その結果、作用面(砥石表面)での人工気孔の開口部の大きさが変わるため、均一な気孔の形成が極めて困難であった。それに対し、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石は、後述するように気孔剤を用いず、ショットブラスト加工によりディンプルを形成することから、(3)に示すように、均一な間隔のディンプル(気孔)を形成することができる。
図3は、後述する実施例1で作製した作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の写真であり、精穀用研削砥石1は、精穀機の回転軸に取り付けるための孔2を設けたボス部3の円周上に、砥粒を含み作用面にディンプルが形成された砥石層4を含んでいる。なお、本発明においては、砥石層4に形成される作用面の内、精穀用研削砥石1の外周部分5を「外周側面」、孔2の軸方向と直交する面6(外周側面を挟んで、面6と反対側の図示されていない面も含む)のことを「平面」と定義する。
先ず、本発明に用いられる砥粒について説明する。精穀に用いられる砥粒は、通常精米(短粒種)、通常精米(長粒種)、パーボイル精米(長粒種/低水分)、パーボイル精米(長粒種/高水分)、酒米等の米類;小麦、大麦等の麦類;とうもろこし;等を含む穀類、ヒヨコ豆、コーヒー豆等の豆類;又は胡椒等の香辛料等、被精穀物により異なるものの、本発明では、粒度の範囲がF16〜F150の砥粒を用いることができる。また、本発明では、精穀用研削砥石の作用面に、後述するディンプルを設けることで、同種の被精穀物を精穀する場合、従来と比較してより小さい砥粒から作製された精穀用研削砥石を用いることができる。
砥粒の種類としては、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ボロン・ナイトライド(BN)、ダイヤモンド等、本技術分野で一般的に用いられている砥粒を用いることができる。
砥粒は、同じ種類及び粒度の砥粒のみを用いてもよいし、同じ種類で1以上の異なる粒度の砥粒、1以上の種類で同じ粒度の砥粒、又は1以上の種類で異なる粒度の砥粒を組み合わせて用いることもできる。
次に、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造工程について説明する。本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石は、ショットブラスト加工によりディンプルを形成するまでは、一般的な精穀用研削砥石の製造工程により製造されればよい。例えば、先ず、砥粒を、結合剤(長石、陶石、粘土等の粉末)、及び一時粘結剤とともに所定の混合容器内に投入し、混合機によって攪拌混合する。なお、本発明はショットブラストにより気孔を形成するため、後工程の焼成時に消失するスチレン球、くるみ剤、木屑などの気孔剤を混合する必要はない(工程1)。
得られた流動性の砥石原料は、型込機に設置した所定の成形型内に徐々に流し込みながらロール状に搗き固めて成形する(工程2)。出来上がった成形体は乾燥炉により80〜90℃の熱風で2日間程度乾燥し(工程3)、生加工品に仕上げる(工程4)。そして、この生加工品は、焼成炉にて約70時間連続的に焼成される(工程5)。焼成後は、1週間程度自然乾燥させて外周及び必要箇所が切削・研磨され(工程6)、得られた砥石は、孔2を設けたボス部3の円周上に接着される(工程7)。なお、上記工程1〜7は、上記のとおり一般的な精穀用研削砥石の製造工程であって、市販の精穀用研削砥石を以下のディンプル形成工程に用いてもよい。
本発明では、上記工程で得られた精穀用研削砥石の砥石層4の作用面に、所望の形状を施した治具を配置し、ショットブラスト加工を施すことで、治具に設けられた形状に対応した複数のディンプルが精穀用研削砥石の砥石層4の作用面に形成される(工程8)。
図4は、本発明に用いられる治具の一例を示しており、精穀用研削砥石の外周側面用治具11、平面用治具12、及び外周側面用治具11を挟んで、前記平面用治具12と反対側にある図示されていない平面用治具から構成されている。本工程に用いられる治具は、ステンレス等から作製されているが、後述する投射材により削られないものであれば材料に特に制限はない。治具に形成される形状、すなわち、精穀用研削砥石の作用面に形成されるディンプルの形状は、丸、長孔、多角形等が挙げられ、多角形としては、三角形、四角形、五角形、六角形、ひし形等が挙げられる。
なお、図4に示されている治具は、精穀用研削砥石の外周側面、平面にディンプルを形成するためのものであるが、本発明においては、精穀用研削砥石の作用面に少なくともディンプルが形成されれば、本発明の効果が得られる。外周側面のみにディンプルを形成する場合は、平面用治具12及び図示されていない平面用治具に変え、孔が設けられていないステンレス板等を用いればよい。また、平面のみにディンプルを形成する場合は、外周側面用治具11に変え、孔が設けられていないステンレス板等を用いればよく、平面の一方のみにディンプルを形成する場合は、ディンプルを形成する平面のみに治具を配置し、他方は孔が設けられていないステンレス板等を用いればよい。作用面のどの部分にディンプルを形成するのかは、精穀用研削砥石の使い方や、精穀機の構造に応じて適宜決めればよい。
形成されるディンプル形状の大きさ(d)は、ディンプルの形状及び使用する砥粒と被精穀物により異なるが、ディンプル形状が丸の場合、ディンプル大きさ、すなわち直径は、使用砥粒の平均粒径d〜被精穀物の幅×0.8程度の大きさが好ましい。図5は、米(短軸種)と砥粒との関係の概略を示す図で、例えば、F60の砥粒の平均粒径は約0.25mm、米の長さは約5.0mm、幅は約3.0mmであることから、F60の砥粒を用いて短軸種の米を精穀する場合の丸型のディンプル形状の大きさ(d)は、0.25〜2.4mmが好ましい。なお、上記の例は、ディンプル形状が丸の場合であるが、多角形、長孔の場合は、最長となる対角線の長さをディンプル形状の大きさ(d)とすればよい。ディンプル形状の大きさ(d)が、使用砥粒の平均粒径dより小さいと砥石自体に自然に生じている気孔の方が大きくなるため、焼成後にディンプルを形成する意味が無く、また、被精穀物の幅×0.8より大きいとその被精穀物がディンプルに嵌り込んでしまうため好ましくない。
図6は、各ディンプルの間隔の概略を示す図で、ディンプルの間隔(b)は、任意のディンプルと該ディンプルに隣接するディンプルの外周の最短距離を意味する。ディンプルの間隔(b)は、(使用砥粒の平均粒径(d)×1.1)+2d〜(d×1.1)+15d程度の大きさが好ましい。例えば、F60の砥粒を用いた場合、平均粒径は約0.25mmであるので、ディンプルの間隔(b)は、0.75〜4.03mmが好ましい。なお、上記の例はディンプル形状が丸の場合であるが、長孔、多角形の場合は、隣のディンプルとの長さが最短となる間隔をディンプルの間隔(b)とすればよい。ディンプルの間隔(b)が、(使用砥粒の平均粒径d×1.1)+2dより小さいと、ディンプル間の砥石の骨格を形成する砥粒の個数が減少し同骨格の強度が低下してしまい、(d×1.1)+15dより大きいとディンプルの効果が低下してしまい好ましくない。
図7は、ディンプルの配置パターン例を示しており、(1)に示すようにチドリ状、(2)に示すように等間隔等に配置することができる。
ディンプルの孔の深さは、ディンプルを設けていない精穀用研削砥石の表面から、ディンプルの孔の最深部までの距離(h)で定義され、(h)は、2mm以上が好ましい。2mmよりも浅いとディンプルの効果が低下してしまうこと、また、精穀時の作用によって精穀用研削砥石表面が2mm削られた時点で精穀用研削砥石を交換する必要があるため、精穀用研削砥石の利用効率が悪くなる。なお、複数設けられているディンプルの一部は、ショットブラスト加工後に研削ドリル等を用いて、表面から内側に貫通する貫通孔としてもよい。その場合、貫通した孔を通して、精穀用研削砥石の内側から外側に向けて送風することができ、精穀用研削砥石と被精穀物とを冷却することができる。
ショットブラスト加工に用いられる投射材は、白色アルミナ質投射材、炭化ケイ素質系投射材やセラミック系投射材等が挙げられる。ショットブラスト加工は、精穀用研削砥石の表面より約2.0〜50mmの位置から、0.5〜0.8MPaの圧力で投射材が投射される。投射時間は、精穀用研削砥石の外周側面全体にディンプルを形成する場合は約20〜30分間、精穀用研削砥石の両平面にディンプルを形成する場合は、それぞれ約10分程度あればよい。勿論、本発明のディンプルの深さになるのであれば、上記投射条件は適宜変更してもよい。
以下に実施例を掲げ、本発明を具体的に説明するが、この実施例は単に本発明の説明のため、その具体的な態様の参考のために提供されているものである。これらの例示は本発明の特定の具体的な態様を説明するためのものであるが、本願で開示する発明の範囲を限定したり、あるいは制限することを表すものではない。
<実施例1>
直径2.0mm、中心間距離3.5mmの丸孔をチドリ状に設けた厚さ2.0mmのステンレス製の治具を、サタケ社製のテストミル「TM05C」の金剛ロール(F60P、部品コード:TM001106)の外周側面、両平面に配置した。ショットブラスト加工の投射材として白色アルミナ(WA F100)を使用し、表面より50mmの位置から、5kg/cm2(約0.5MPa)で投射した。投射時間は、外周側面は約30分、平面はそれぞれ約10分であった。
直径2.0mm、中心間距離3.5mmの丸孔をチドリ状に設けた厚さ2.0mmのステンレス製の治具を、サタケ社製のテストミル「TM05C」の金剛ロール(F60P、部品コード:TM001106)の外周側面、両平面に配置した。ショットブラスト加工の投射材として白色アルミナ(WA F100)を使用し、表面より50mmの位置から、5kg/cm2(約0.5MPa)で投射した。投射時間は、外周側面は約30分、平面はそれぞれ約10分であった。
図8は、実施例1で得られた精穀用研削砥石のディンプル部分の拡大写真である。得られたディンプルの直径は平均2.0mm、各ディンプルの間隔は平均1.5mm、ディンプルの深さは平均2.5mmであった。
<比較例1>
実施例1記載の金剛ロールにショットブラスト加工を施さず、市販されている状態のものを比較例1とした。
実施例1記載の金剛ロールにショットブラスト加工を施さず、市販されている状態のものを比較例1とした。
<比較例2>
サタケ社製のテストミル「TM05C」の金剛ロール(F36P、部品コード:TM001103)にショットブラスト加工を施さず、市販されている状態のものを比較例2とした。
サタケ社製のテストミル「TM05C」の金剛ロール(F36P、部品コード:TM001103)にショットブラスト加工を施さず、市販されている状態のものを比較例2とした。
<精米時間と白度の関係実験1>
上記実施例1、比較例1及び2の精穀用研削砥石を用い、米(短粒種)を精米する時間と白度の関係を調べた。
精米機(サタケ社製−TM05C)の回転軸に、上記実施例1、比較例1及び2の精穀用研削砥石をセットし、200gの玄米を精米機に投入し、回転数1000rpm(周速度15.7m/s)で精米し、米の白度が40になるのに必要な時間を計測した。白度は、粉体白度計(ケット化学研究所社製、C−100)で測定した。
上記実施例1、比較例1及び2の精穀用研削砥石を用い、米(短粒種)を精米する時間と白度の関係を調べた。
精米機(サタケ社製−TM05C)の回転軸に、上記実施例1、比較例1及び2の精穀用研削砥石をセットし、200gの玄米を精米機に投入し、回転数1000rpm(周速度15.7m/s)で精米し、米の白度が40になるのに必要な時間を計測した。白度は、粉体白度計(ケット化学研究所社製、C−100)で測定した。
図9は、上記実験1の結果を示すグラフで、グラフから明らかなように、本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石を用いると、粒度(F60)が同じであっても、ディンプルを形成しなかった比較例1の精穀用研削砥石と比較して白度が40になるのに要する時間を約40%程度に短縮することができた。また、F60より粗い粒度のF36の精穀用研削砥石とほぼ同程度の時間で目標とする白度に達することができたので、精穀時間が同じであれば、より仕上げ肌のよい精米が得られた。
<精米時間と白度の関係実験2>
上記実施例1及び比較例1の精穀用研削砥石を用い、回転数を800rpm(周速度12.6m/s)とした以外は、<精米時間と白度の関係実験1>と同様の手順で米(短粒種)を精米する時間と白度の関係を調べた。
上記実施例1及び比較例1の精穀用研削砥石を用い、回転数を800rpm(周速度12.6m/s)とした以外は、<精米時間と白度の関係実験1>と同様の手順で米(短粒種)を精米する時間と白度の関係を調べた。
図10は、上記実験2の結果を示すグラフで、グラフから明らかなように、本発明の精穀用研削砥石を用いると、粒度(F60)が同じであっても、ディンプルを形成しなかった比較例1の精穀用研削砥石と比較して、ディンプルを形成した実施例1では、白度が40になるのに要する時間を45%程度に短縮することができた。
本発明の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石は、穀類等を短時間で肌の仕上がりが良く精穀できるので、精米店、酒造メーカー、コーヒーメーカー等の精穀に有用である。
Claims (12)
- F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含む精穀用研削砥石の作用面に、丸、多角形、長孔から選ばれる1種の形状の孔を複数設けた治具を配置し、ショットブラスト加工により前記精穀用研削砥石の作用面に複数のディンプルを形成する工程、
を含むことを特徴とする作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。 - 前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする請求項1に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
- 前記治具に設けられた複数の孔が、チドリ状又は等間隔に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の作用面にディンプルを有する精穀用研削砥石の製造方法。
- F16〜F150の粒度の砥粒を少なくとも1種以上含み、作用面に複数のディンプルを有することを特徴とする精穀用研削砥石。
- 前記作用面が、外周側面及び/又は平面であることを特徴とする請求項4に記載の精穀用研削砥石。
- 前記ディンプルの大きさが、砥粒の平均粒径〜被精穀物の幅×0.8であることを特徴とする請求項4又は5に記載の精穀用研削砥石。
- 前記ディンプルの間隔が、
(使用砥粒の平均粒径(d)×1.1)+2d〜(d×1.1)+15d
であることを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。 - 前記ディンプルのパターンが、チドリ状又は等間隔であることを特徴とする請求項4〜7の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。
- 前記ディンプルの形状が、丸、多角形、長孔から選ばれる1種であることを特徴とする請求項4〜8の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。
- 前記ディンプルの深さが、2mm以上であることを特徴とする請求項4〜9の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。
- 前記砥粒が、炭化ケイ素(SiC)、アルミナ(Al2O3)、ジルコニア(ZrO2)、ボロン・ナイトライド(BN)、ダイヤモンドから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項4〜10の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。
- 前記精穀用研削砥石が、穀物、豆類又は香辛料の精穀に用いられることを特徴とする請求項4〜11の何れか一項に記載の精穀用研削砥石。
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JP2017209608A (ja) * | 2016-05-24 | 2017-11-30 | 株式会社サタケ | 酒造用精米機 |
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- 2012-08-31 JP JP2012192119A patent/JP2014046420A/ja active Pending
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