JP2014046396A - 回収方法および回収システム - Google Patents
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Abstract
【課題】システム構成が簡易かつ小型に済み、また、粒径が広範囲にばらついて存在する多数の粒状体を含む液体から、粒径が一定以上で使用可能な粒状体を高い効率で回収すること。
【解決手段】沈降タンク1に研磨廃液を供給し、沈降タンク1内の研磨廃液を重量が軽い粒状体を含む上澄み層Aと重量が重い粒状体を含む沈降層Bとの二層に分離させ、前記二層に分離すると、前記沈降層Bを沈降タンク1の下部から排出し、前記排出した沈降層Bを研磨液として回収する。
【選択図】図1
【解決手段】沈降タンク1に研磨廃液を供給し、沈降タンク1内の研磨廃液を重量が軽い粒状体を含む上澄み層Aと重量が重い粒状体を含む沈降層Bとの二層に分離させ、前記二層に分離すると、前記沈降層Bを沈降タンク1の下部から排出し、前記排出した沈降層Bを研磨液として回収する。
【選択図】図1
Description
本発明は、多数の粒状体を含む液体から、粒径が一定以上の粒状体を高い割合で回収する回収方法および回収システムに関わり、特には、例えば、水晶ウエハ等の研磨に用いた研磨廃液に含まれる研磨砥粒のうち、未使用のものを含め研磨に使用可能な研磨砥粒を高い効率で回収して再使用(リサイクル)できるようにする回収方法および回収システムに関するものである。
水晶ウエハを研磨する研磨機は、上下一対の定盤と、水晶ウエハを保持して下定盤の上面上を遊星運動するキャリア等を備えて構成される。そして、キャリアは、下定盤の上面と上定盤の下面とによって挟持され、この状態でキャリアに保持された水晶ウエハが研磨される。
そして、この研磨には、研磨材である砥粒(以下、研磨砥粒)を含むスラリー状の研磨液を適宜供給する必要がある。こうした研磨液中の研磨砥粒は、水晶ウエハの粗研磨、中間研磨、仕上げ研磨といった研磨手順に対応した平均粒径を有する。
この研磨に用いた研磨廃液中に、水晶ウエハに直接接触しない未使用等で使用可能な粒径が大きい研磨砥粒が多く含まれているものの、研磨廃液に含まれる研磨砥粒全体の平均粒径は前記研磨により小さくなっているので、その研磨手順に対応した研磨には適さない。
そのため、研磨廃液中に使用可能な研磨砥粒が含まれていても、それら研磨砥粒を回収してリサイクルすることがされずに、研磨廃液と共に廃棄されている。
そこで、こうした使用可能な研磨砥粒が廃棄されるのは不経済であるとして、従来、サイクロンによる分流分級原理を利用して、研磨廃液中に含む研磨砥粒を回収してリサイクルできるようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に開示の技術にあっては、原剤器内の研磨廃液をサイクロン式砥粒分流分級装置に供給し、このサイクロン式砥粒分流分級装置においてサイクロン式砥粒分流分級して研磨廃液中の液体成分を飛ばして所望の粒径の研磨砥粒を分別して得る。そして、この分別した研磨砥粒をスラリー液用容器に供給して所要の研磨液を作製する。次いで、作製した研磨液をマトリクスラリー液用容器から研削機に供給する。そして、研削機が研削に用いた研磨液を再度、原剤器に回収するようにしている。
しかしながら、上記従来のものでは、原剤器、サイクロン式砥粒分流分級装置、スラリー液用容器が必要であり、研磨廃液の回収システムの構成が複雑でかつ大掛かりなものである。
また、サイクロン式砥粒分流分級装置により一旦、研磨廃液から研磨砥粒を分別し、分別した研磨砥粒をスラリー液用容器に供給して、研削機で使用できる研磨液を作製する必要があるが、研磨液の作製には、研磨砥粒とそれ以外の各種成分との配合濃度の調整が必要となるなど、研磨液の作製に手間とコストとがかかる。
さらに、サイクロン式砥粒分流分級装置では、研磨廃液から研削に非有用な所定粒径未満の研磨砥粒と同時に、研削に使用可能な粒径が一定以上の研磨砥粒も分級されるため、使用可能な研磨砥粒の回収効率が低い。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、システム構成が簡易かつ小型に済み、また、粒径が広範囲にばらついて存在する多数の粒状体を含む液体から、粒径が一定以上で使用可能な粒状体を高い効率で回収することができる回収方法およびその回収システムを提供することを目的としている。
(1)本発明にかかる回収方法は、多数の粒状体を含む液体を沈降タンクに供給し、前記沈降タンク内に供給した前記液体が、前記粒状体の沈降作用により、上澄み層と沈降層との上下二層に分離すると、前記沈降層を前記沈降タンクから排出して回収する、ことを特徴とする。
前記粒状体は、特に形状、種類、材料等に、何等、限定されず、粒状、粉状、粒子状等、その名称の如何を問わず含むものであり、実施形態の研磨砥粒だけでなく、例えば、ダイヤモンド粉体、金属皮膜付きダイヤモンド粉体、金属粒子等を粒状体として含む。
前記上澄み層とは、粒径が小さい粒状体を含む割合が高い層であり、前記沈降層とは、粒径が大きい粒状体を含む割合が高い層である。
好ましくは、前記上澄み層と前記沈降層との境界から前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出して除去し、前記上澄み層の除去後に、前記沈降層を前記沈降タンクから排出して回収する。
好ましくは、前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収してから、残りの前記上澄み層を前記沈降タンクの下部から排出する。
好ましくは、前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出して除去し、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収する。
好ましくは、前記液体が、研磨廃液である。この研磨廃液は、好ましくは、例えば、水晶ウエハの研磨機で研磨に用いた研磨液のことである。
好ましくは、前記液体が、ダイヤモンド粉体、金属皮膜付きダイヤモンド粉体、金属粒子等の粒状体が分散した液体である。
(2)本発明にかかる回収システムは、沈降タンクと、前記沈降タンクに多数の粒状体を含む液体を供給する供給手段と、前記沈降タンクから液体を排出する第1の排出手段と、前記排出手段から排出された液体を回収する回収手段と、を具備し、前記液体を前記供給手段により前記沈降タンクに供給し、前記沈降タンク内の前記液体が、前記多数の粒状体の沈降作用により、上澄み層と沈降層との上下二層に分離すると、前記第1の排出手段により前記沈降層を排出し、前記排出した沈降層を前記回収手段で回収する、ことを特徴とする。
好ましくは、前記上澄み層と前記沈降層との境界から前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出する第2の排出手段を設け、前記第2の排出手段により前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出して除去した後で、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記第1の排出手段により前記沈降タンク外に排出して回収する。
好ましくは、前記第1の排出手段により前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収した後で、前記第1の排出手段により残りの前記上澄み層を前記沈降タンクの下部から排出して除去する。
好ましくは、前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出する第3の排出手段を設け、前記第3の排出手段により前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出して除去し、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記第1の排出手段により前記沈降タンクの下部から排出して回収する。
本発明によれば、粒径が広範囲に分布して存在する多数の粒状体を含む液体から、未使用を含め粒径が一定以上で使用可能な粒状体を高い効率で回収することができる。
したがって、本発明によれば、前記液体を例えば水晶ウエハ研磨機で用いた研磨廃液に適用すると、その研磨廃液から粒径が大きくて未使用の研磨砥粒あるいは使用可能な研磨砥粒を高効率で回収してリサイクルできると共に、全工程にわたり研磨廃液の状態で扱うことにより、回収した研磨砥粒から研磨液を作製する手間がない安価なシステム構成を提供することができる。
また、従来では使用可能な研磨砥粒を含む研磨廃液が廃棄されていたが、本発明によれば、そうした研磨廃液から未使用の研磨砥粒あるいは使用可能な研磨砥粒を回収して再利用することができるので、産業廃棄物を削減することができる。
以下、添付した図面を参照して、本発明の実施の形態に係る回収方法およびその回収システムを説明する。
まず、図1を参照して実施形態の回収方法および回収システムを説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる回収方法の実施に供する回収システムの概略構成を示す図である。
この回収システムは、沈降タンク1と、供給手段2と、第1の排出手段3と、回収手段4と、第2の排出手段5と、を具備する。
沈降タンク1は、上部開口1aと、下部開口1bと、側部開口1cと、を備えた縦長円筒形のタンクである。沈降タンク1は、縦長方向を鉛直方向にして設置されている。
供給手段2は、沈降タンク1に研磨機で使用済みの研磨廃液を供給するものであり、マグネット2bと、攪拌翼2c、攪拌翼2cに接続された回転軸2dと、回転軸2dに連結された攪拌モータ2eと、研磨廃液吸い上げポンプ2fと、研磨廃液吸い上げポンプ2fに配管2gを介して接続されたフィルタ2hと、フィルタ2hに接続された電磁弁V2付きの供給用配管2iと、この供給用配管2iに接続された電磁弁V1付きの供給/排出用配管2jと、を備える。
マグネット2bは、廃液タンク2aの内壁下面側に複数個適宜に配置され、廃液タンク2a内の研磨廃液6に含む鉄等の磁性異物を磁気吸引により除去する手段を構成する。
研磨廃液6には、水晶ウエハ等を定盤やキャリアを用いて研磨する際に発生する金属屑等が磁性異物として含まれる。マグネット2bは、研磨廃液6から金属屑等を磁性異物として磁気吸引して除去する。
攪拌翼2c、回転軸2d、およびモータ2eは、廃液タンク2a内の研磨廃液6を攪拌する手段を構成する。研磨廃液6には、研磨材である砥粒(研磨砥粒)が研磨の形態に応じて不均一に分散ないしは集合していることが多く、そのため、これら研磨砥粒が、均一に分散されるように攪拌する。
研磨廃液吸い上げポンプ2fは、廃液タンク2a内の研磨廃液6を配管2gへ吸い上げる。フィルタ2hは、廃液タンク2a内で研磨廃液6に含む研磨砥粒の粒径より大きい異物を除去する手段を構成する。
供給用配管2iの電磁弁V2は、沈降タンク1に研磨廃液を供給するときは開かれ、沈降タンク1から研磨廃液を排出するときは閉じられる。
供給/排出用配管2jの電磁弁V1は、沈降タンク1に研磨廃液を供給するとき、および沈降タンク1から研磨廃液を排出するときに開かれ、沈降タンク1内で研磨廃液を沈降させるときに閉じられる。
第1の排出手段3は、沈降タンク1に供給した研磨廃液を沈降タンク1の下部から排出するものであり、電磁弁V1付きの供給/排出用配管2jと、電磁弁V3付きの排出用配管2kとを備える。排出用配管2kの電磁弁V3は、供給/排出用配管2jから沈降タンク1に研磨廃液を供給するときおよび沈降タンク1内で研磨廃液を沈降させているときは閉じられ、沈降タンク1から沈降層を排出するときに開かれる。
回収手段4は、沈降タンク1の下部開口1bから排出された研磨廃液を再利用できる研磨液として回収するものであり、研磨液タンク4aと、攪拌翼4bと、攪拌翼4bに接続された回転軸4cと、回転軸4cに連結された攪拌モータ4dと、研磨機に研磨液を供給する配管4eとを備える。攪拌翼4b、回転軸4c、および攪拌モータ4dは、研磨液タンク4a内の研磨廃液7を攪拌する手段を構成する。
第2の排出手段5は、沈降タンク1内での研磨廃液の沈降作用により、前記研磨廃液が、主に重量が重い研磨砥粒を含む沈降層と、主に重量が軽い研磨砥粒を含む上澄み層との二層に分離すると、上澄み層を沈降タンク1から排出するものであり、沈降タンク1の側部開口1cに接続された電磁弁V4付きの排出用配管5aを備える。この電磁弁V4の開閉動作は、後述する。
以下、本実施形態の回収方法を説明する。なお、実施形態では、前記、沈降タンク1の側部開口1cは1箇所であるが、この側部開口1cは沈降タンク1の高さ方向に複数設け、上澄み層Aと沈降層Bとの分離領域を複数選択することができるようにしてもよい。
まず、電磁弁V1,V2を開き、電磁弁V3,V4を閉じた状態にして、配管8から研磨機で使用された研磨廃液を廃液タンク2aに投入する。廃液タンク2aに投入された研磨廃液は、攪拌モータ2eにより回転駆動される攪拌翼2cで攪拌される一方、研磨廃液中の磁性成分がマグネット2bに磁気吸引されて該研磨廃液中から除去される。この磁性成分は、鉄等で構成される研磨機の定盤とかキャリアがガラスや水晶ウエハを研磨する際に発生した鉄屑等である。
そして、磁性成分が除去された研磨廃液は、廃液吸い上げポンプ2fで吸い上げられる。廃液吸い上げポンプ2fで吸い上げられた研磨廃液は、配管2gを介してフィルタ2fで異物が除去される。この異物は、水晶ウエハを研磨した際の水晶片とか、研磨機内壁に塗装されている塗装片など、研磨廃液中の研磨砥粒の粒径より大きい物であり、これらの物はフィルタ2fを通過することができず、このフィルタ2fで除去される。
次いで、フィルタ2fを通過した研磨廃液は、供給用配管2iおよび供給/排出用配管2jを介して沈降タンク1の下部開口1bを通過して、沈降タンク1内に供給される。そして、研磨廃液が沈降タンク1内に供給されてくるに伴い、沈降タンク1内の空気は、上部開口1aから排気される。沈降タンク1内に研磨廃液が供給されると、電磁弁V1〜V4を閉じた状態にする。
そして、この状態で所要の沈降時間が経過すると、沈降タンク1内では、図1の沈降タンク1内をハッチングで示すように、研磨廃液に含まれる多数の研磨砥粒のうち、重量が軽い研磨砥粒を高い割合で含む上澄み層Aと、重量が重い研磨砥粒を高い割合で含む沈降層Bとの二層に分離されてくる。沈降タンク1内の研磨廃液Cは、上澄み層Aと沈降層Bとを合計した研磨廃液である。
排出用配管5aの電磁弁V4は、上澄み層Aと沈降層Bとの二層の境界Dに対応した部位に接続されており、この排出用配管5aの電磁弁V4を開く。電磁弁V4が開くと、上澄み層Aは、排出用配管5aから沈降タンク1外に排出される。そうすると、沈降タンク1内には沈降層Bのみが残る。
なお、研磨液に分散した研磨砥粒は、一定以上の粒径を有していれば、再利用可能であり、上澄み層Aに含まれる研磨砥粒は、研磨機で水晶ウエハの研磨に使用前から含まれていた一定以下の粒径の研磨砥粒と、使用後に一定以下の粒径になった研磨砥粒とが多く含まれる。
一方、沈降層Bに含まれる研磨砥粒は、研磨機で水晶ウエハの研磨に使用されていない一定以上の粒径の未使用の研磨砥粒と、使用後でも一定以上の粒径に維持した研磨砥粒とが多く含まれる。
このようにして上澄み層Aは、排出用配管5aから沈降タンク1外に排出されると、その後、電磁弁V4を閉じると共に、電磁弁V2の閉じた状態を維持して、電磁弁V1,V3を共に開く。
そうすると、沈降タンク1内の沈降層Bは、沈降タンク1の下部開口1a、供給/排出用配管2j、および排出用配管2kを介して排出され、研磨液タンク4a内に投入される。
研磨液タンク4a内では、攪拌モータ4dの回転により攪拌翼4bが回転駆動されており、研磨液タンク4a内の沈降層Bは、この研磨液タンク4a内で攪拌される。
このようにして沈降層Bは、研磨液タンク4a内に回収される。回収された沈降層Bは、配管4eを介して、不図示の研磨機に送液されて、再利用可能な研磨液としてリサイクルすることができる。
なお、研磨液は、所要の配合濃度で研磨砥粒と、水と、防錆剤とが配合されて構成されているので、研磨液タンク4a内に回収された沈降層Bが前記所要の配合濃度になっていなければ、矢印Eで示すように、所要の配合濃度となるように、研磨砥粒等を含む研磨液を補充するとよい。
次に、上澄み層Aと沈降層Bにどの程度の割合で重量が軽くて粒径が小さい研磨砥粒と、重量が重くて粒径が大きい研磨砥粒とが含まれているかに関して、実際の研磨液を用いて行って検証する。
図2〜図4は、前記検証のため、撮影した倍率1000倍の電子顕微鏡写真(SEM写真)である。図2は、沈降タンク1に供給される研磨廃液の電子顕微鏡写真、図3は沈降タンク1内の上澄み層Aの電子顕微鏡写真、図4は沈降タンク1内の沈降層Bの電子顕微鏡写真である。
この検証に用いた研磨液は、研磨砥粒(緑色炭化珪素)と水と防錆剤とからなるものである。前記研磨液はおよそ25wt%の配合濃度である。
図2の電子顕微鏡写真に示すように、研磨廃液中の研磨砥粒は、粒径が小さい研磨砥粒g1と、粒径が大きい研磨砥粒g2とが、混在している。この電子顕微鏡写真により、全研磨砥粒g1.g2のうち、研磨砥粒g1が含まれる割合は、研磨砥粒g2が含まれる割合よりも少ないことが判る。なお、一定以上の粒径の研磨砥粒g2には、未使用および使用済みの研磨砥粒が含まれる。本発明者の検証によれば、使用済みと考えられる研磨砥粒g1と、未使用と考えられる研磨砥粒g2との混在比率は、ほぼ1:10となっている。
図3は、上澄み層Aの電子顕微鏡写真である。すなわち、図3は、図2の電子顕微鏡写真に示すような粒径分布で研磨砥粒g1,g2を含む研磨廃液を沈降タンクで沈降させて該沈降タンク内で上下二層の上澄み層Aと沈降層Bとに分離した場合の上澄み層Aの電子顕微鏡写真である。図2の電子顕微鏡写真と比較して明らかであるように、図3の電子顕微鏡写真に示す上澄み層Aでは、粒径が小さい研磨砥粒g1が含まれる割合が極めて大きく、粒径が大きい研磨砥粒g2が含まれる割合が極めて小さい。
図4は、沈降層Bの電子顕微鏡写真である。図3は、図2の電子顕微鏡写真に示すような粒径分布で研磨砥粒g1,g2を含む研磨廃液を沈降タンクで沈降させて該沈降タンク内で上下二層の上澄み層Aと沈降層Bとに分離した場合の沈降層Bの電子顕微鏡写真である。図2の電子顕微鏡写真と比較して明らかであるように、図4の電子顕微鏡写真に示す沈降層Bでは、研磨砥粒g1が含まれる割合が極めて小さく、研磨砥粒g2が含まれる割合が極めて大きい。
以上の電子顕微鏡写真から明らかであるように、上澄み層Aには一定以下の粒径の未使用および使用済みの研磨砥粒が含まれ、一方、沈降層Bには、一定以上の粒径の使用済みおよび未使用の研磨砥粒が含まれる。
次に、図5を参照して、研磨機で使用される前の研磨液に含む研磨砥粒の粒径分布と、研磨機で使用された後の研磨廃液に含む研磨砥粒の粒径分布とを説明する。図5の縦軸は研磨砥粒の個数、横軸は研磨砥粒の粒径を示す。水晶ウエハの研磨に使用される前の研磨液は、図5のグラフ1に示すように研磨砥粒が分布する。これに対して、研磨機で水晶ウエハの研磨に使用された後の研磨廃液は、グラフ2に示すように、研磨により平均粒径が小さくなっている。図5のグラフ2に示すように、研磨に使用されると、研磨砥粒全体の平均粒径は小さくなるが、本発明者が検証したところ、使用済みの研磨砥粒と、未使用を含め使用可能な研磨砥粒との混在比率は、ほぼ1:10となっている。図5では、グラフ2のうち、概念的に使用に適さない研磨砥粒領域をG1(特にハッチングで示す領域)とし、それ以外の領域は使用可能な研磨砥粒領域をG2としている。そして、これら両領域G1,G2を、境界線Lで領域分けする。境界線Lは、沈降タンク1内の前記二層の境界Dに対応しており、上澄み層Aは、研磨砥粒領域G1に属し、沈降層Bは、研磨砥粒領域G2に属する。
ただし、研磨砥粒領域G1では粒径が境界Lより小さい研磨砥粒が含む領域であるのに対して、上澄み層Aは粒径が境界Lを越える研磨砥粒も含むものの、粒径が境界L以下の研磨砥粒を高い割合で含む。また、研磨砥粒領域G2では粒径が境界Lより大きい研磨砥粒が含む領域であるのに対して、沈降層Bは粒径が境界Lより小さい研磨砥粒を含むものの、粒径が境界Lを越える粒径が大きい研磨砥粒を高い割合で含む。
以上の検証から判るように、本実施形態の回収方法では、研磨砥粒領域G1に属する上澄み層Aを除去し、研磨砥粒領域G2に属する沈降層Aのみを回収するので、その回収効率は極めて高い。
なお、研磨機での研磨手順には、例えば手順1:粗研磨、手順2:中間研磨、手順3:仕上げ研磨があるが、この手順に従って沈降時間を管理するとよい。なお、粗研磨では研磨砥粒の粒径が大きく、仕上げ研磨では研磨砥粒の粒径が小さいので、沈降タンク内での沈降時間は、粒径の違いにより、研磨砥粒種目や、粒度毎に設定される。
以上説明したように本実施形態によれば、全工程にわたり、未使用の研磨砥粒の回収を研磨廃液の状態で行うことができる。そのため、研磨廃液中から一旦、粒状体を分離し、分離した粒状体を用いて研磨液を作製する必要がある従来のサイクロン式とは異なり、システム構成が、簡単かつ安価に済む。
また、本実施形態によれば、研磨廃液に含む使用可能な研磨砥粒を研磨廃液の状態で高い効率で回収できると共に、回収した研磨砥粒は研磨廃液の状態で含まれるので、そのまま研磨機に送液して研磨液として再利用することができ、研磨液の作製に要するコストを削減することができる。
図6を参照して本発明の他の実施形態にかかる回収方法および回収システムを説明する。図6において、図1と同等ないし同一の物には同一の符号を付し、特に説明を必要とする場合を除いて、その詳細な説明は省略する。この実施形態の回収システムにおいては、沈降タンク1と、供給手段2と、第1の排出手段3と、回収手段4と、を具備する。沈降タンク1の側部に図1の沈降タンク1が備えた開口1cはない。これに伴い、第2の排出手段5もない。
第1の排出手段3は、排出用配管2kに電磁弁V5付き排出用配管2mを連通接続している。
この実施形態では、電磁弁V1,V2を開き、電磁弁V3,V5を閉じた状態として、廃液タンク2aから沈降タンク1に研磨廃液を供給し、沈降タンク1に研磨廃液が投入されると、全電磁弁V1,V2,V3,V5を閉じた状態にする。そして、この状態で沈降タンク1内で、研磨廃液が上澄み層Aと、沈降層Bとの二層に分離されると、電磁弁V2,V5を閉じた状態にして電磁弁V1,V3を開き、沈降層Bを沈降タンク1の下部開口1bから排出し、排出された研磨廃液を研磨液タンク4aに再利用可能な研磨液として回収する。
この実施形態では、図1の実施形態と同様、簡単かつ安価なシステム構成となる。また、この実施形態では、上記実施形態と同様に、研磨廃液から使用可能な研磨砥粒を研磨廃液の状態で高い効率で回収することができると共に、研磨に使用可能な研磨砥粒を研磨廃液の中に含む状態で回収するので、研磨に使用可能な研磨砥粒を含む研磨廃液をそのまま、研磨液として再利用することができ、研磨液の作製に要するコストを削減することができる。
図7を参照して本発明のさらに他の実施形態にかかる回収方法および回収システムを説明する。図7において、図1と同等ないし同一の物には同一の符号を付し、特に説明を必要とする場合を除いて、その詳細な説明は省略する。この実施形態の回収システムにおいては、沈降タンク1の側部に開口1cはなく、供給手段2と、回収手段4は、図1の実施形態と同様である。
そして、供給手段2は、配管2gと、フィルタ2hと、供給用配管2nと,供給/排出用配管2pとを含む。第1の排出手段3は、供給/排出用配管2pと、排出用配管2qと、吸い込みポンプ2rと、排出用配管2qから分岐した排出用配管2tとを含む。
また、この実施形態では、沈降タンク1の上部開口1aに、第3の排出手段9を備える。第3の排出手段9は、沈降タンク1の上部開口1aに対して順次、直列に接続された、排出用配管9aと、定量ポンプ9bと、配管9cと、流量計9dと、配管9eとを具備すると共に、配管9eの排出口から後述する上澄み液が供給される沈殿タンク9fと、この沈殿タンク9f内の上澄み液を廃液タンク2aに供給する供給用配管9gと、を備える。
この実施形態のシステムの動作を説明する。
図1の実施形態と同様にして、供給手段2から沈降タンク1に研磨廃液が供給される。ただし、図3の実施形態では、図1の各配管とは異なり、各配管の全てにおいて電磁弁は装備されていない。供給手段2から沈降タンク1に供給された研磨廃液は、沈降タンク1内を押し上げられて上昇していく。
この上昇速度は遅いので、沈降タンク1内の研磨廃液において、重量が重い研磨砥粒により、沈降タンク1内の下層側には沈降層が形成されてくると共に、上層側には上澄み層が形成されてくる。
そして、沈降タンク1内に研磨廃液が満たされると、沈降タンク1の上部開口1aから上澄み層は、上澄み液排出手段9の配管9aから定量ポンプ9bに投入される。この定量ポンプ9bでは、上澄み層は定量で下流側に送液される。
送液される上澄み層は、流量計9dで計測されつつ、配管9eを介して沈殿タンク9fに排水される。この排水により沈殿タンク9f内の水位が所定水位を超えると、配管9gを介して廃液タンク2aに上澄み層が排水される。こうして、沈降タンク1内では、上澄み層が排出により除去され、沈降層が残る。
なお、各配管2n,2p,2q,2tには電磁弁が無いので、廃液吸い上げポンプ2fにより研磨廃液がタンク2a内を徐々に上昇させられるので、研磨廃液の一部は、供給/排出用配管2p、排出用配管2tを介して廃液タンク2aに戻され、再び、沈降タンク1に供給されて、循環することになる。
沈降タンク1内で前記残った沈降層は、吸い込みポンプ2rの駆動により、沈降タンク1の下部開口1bから各配管2p,2q,2sを介して、研磨液タンク4aに再利用研磨液として排出されて回収される。
この実施形態では、図1の実施形態と同様、簡単かつ安価なシステム構成となる。また、この実施形態では、上記実施形態と同様に、研磨廃液から使用可能な研磨砥粒を研磨廃液の状態で高い効率で回収することができると共に、研磨に使用可能な研磨砥粒を研磨廃液の中に含む状態で回収するので、研磨に使用可能な研磨砥粒を含む研磨廃液をそのまま、研磨液として再利用することができ、研磨液の作製に要するコストを削減することができる。
なお、本発明の粒状体は、前記実施形態の研磨砥粒に限定されるものではなく、例えばダイヤモンド電着ワイヤソーに用いるダイヤモンド粉体、表面にNi等の金属皮膜が形成された金属皮膜付きダイヤモンド粉体、金属粒子、その他を含む。
例えば、ダイヤモンド電着ワイヤソーにおいては、金属皮膜付きダイヤモンド粉体が形成されているが、これらの粒径にばらつきがあったり、金属粒子が混在していたりすると、その性能が低下する。
そこで、例えば、金属粒子が異物として金属皮膜付きダイヤモンド粉体と共に分散した水を本実施形態の沈降タンクに供給すると共に、沈降タンク内でのそれらに対する沈降作用により、粒径が小さい金属粒子は上澄み層となり、粒径が大きい金属皮膜付きダイヤモンド粉体は沈降層となるので、上澄み層を沈降タンクから排出して除去し、沈降層だけを回収し、沈降層から水分を除去することで、金属皮膜付きダイヤモンド粉体を得るようにしても良い。
また、ダイヤモンド粉体それ自体にも粒径にばらつきがあるので、前記同様、ダイヤモンド粉体を分散した水を沈降タンクに供給し、沈降タンク内で沈降させることで、粒径が小さいダイヤモンド粉体は上澄み層として除去する。一方、粒径が大きいダイヤモンド粉体は沈降層として、沈降タンクから排出して回収すると共に、回収した沈降層を乾燥して粒径が大きいダイヤモンド粉体を得るようにしても良い。
1 沈降タンク
2 供給手段
2a 廃液タンク
2b マグネット
2b〜2d 攪拌手段
2f 廃液吸い上げポンプ
3 第1の排出手段
4 回収手段
5 第2の排出手段
5a 電磁弁付き配管
9 第3の排出手段
A 上澄み層
B 沈降層
C 研磨廃液
D 二層境界
2 供給手段
2a 廃液タンク
2b マグネット
2b〜2d 攪拌手段
2f 廃液吸い上げポンプ
3 第1の排出手段
4 回収手段
5 第2の排出手段
5a 電磁弁付き配管
9 第3の排出手段
A 上澄み層
B 沈降層
C 研磨廃液
D 二層境界
Claims (10)
- 多数の粒状体を含む液体を沈降タンクに供給し、前記沈降タンク内に供給した前記液体が、前記粒状体の沈降作用により、上澄み層と沈降層との上下二層に分離すると、前記沈降層を前記沈降タンクから排出して回収する、ことを特徴とする回収方法。
- 前記上澄み層と前記沈降層との境界から前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出して除去し、前記上澄み層の除去後に、前記沈降層を前記沈降タンクから排出して回収する、請求項1に記載の回収方法。
- 前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収してから、残りの前記上澄み層を前記沈降タンクの下部から排出する、請求項1に記載の回収方法。
- 前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出して除去し、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収する、請求項1に記載の回収方法。
- 前記液体が、研磨廃液である、請求項1ないし4のいずれかに記載の回収方法。
- 前記液体が、ダイヤモンド粉体、金属皮膜付きダイヤモンド粉体、金属粒子等の粒状体が分散した液体である請求項1ないし4のいずれかに記載の回収方法。
- 沈降タンクと、
前記沈降タンクに多数の粒状体を含む液体を供給する供給手段と、
前記沈降タンクから液体を排出する第1の排出手段と、
前記排出手段から排出された液体を回収する回収手段と、
を具備し、
前記液体を前記供給手段により前記沈降タンクに供給し、前記沈降タンク内の前記液体が、前記多数の粒状体の沈降作用により、上澄み層と沈降層との上下二層に分離すると、前記第1の排出手段により前記沈降層を排出し、前記排出した沈降層を前記回収手段で回収する、
ことを特徴とする回収システム。 - 前記上澄み層と前記沈降層との境界から前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出する第2の排出手段を設け、前記第2の排出手段により前記上澄み層を前記沈降タンク外に排出して除去した後で、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記第1の排出手段により前記沈降タンク外に排出して回収する、請求項7に記載の回収システム。
- 前記第1の排出手段により前記沈降層を前記沈降タンクの下部から排出して回収した後で、前記第1の排出手段により残りの前記上澄み層を前記沈降タンクの下部から排出して除去する、請求項7に記載の回収システム。
- 前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出する第3の排出手段を設け、前記第3の排出手段により前記上澄み層を前記沈降タンクの上部から排出して除去し、前記沈降タンク内に残る前記沈降層を前記第1の排出手段により前記沈降タンクの下部から排出して回収する、請求項7に記載の回収システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012191206A JP2014046396A (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 回収方法および回収システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012191206A JP2014046396A (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 回収方法および回収システム |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014046396A true JP2014046396A (ja) | 2014-03-17 |
Family
ID=50606603
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2012191206A Pending JP2014046396A (ja) | 2012-08-31 | 2012-08-31 | 回収方法および回収システム |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014046396A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN110339620A (zh) * | 2019-08-14 | 2019-10-18 | 东北大学 | 一种抛光液循环净化处理装置 |
CN113289409A (zh) * | 2021-07-05 | 2021-08-24 | 东莞市柯林奥环保科技有限公司 | 一种抛光液回收的过滤系统 |
CN113510597A (zh) * | 2021-07-06 | 2021-10-19 | 杭州科技职业技术学院 | 一种蓝宝石介电泳抛光机用抛光液添加装置 |
-
2012
- 2012-08-31 JP JP2012191206A patent/JP2014046396A/ja active Pending
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