JP2014045689A - 包埋組織からの核酸抽出方法、核酸抽出用キット、及び核酸抽出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織の表面の少なくとも一部を、当該包埋剤の溶融温度以上で、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液中に接触させて、当該包埋組織中の核酸を前記核酸抽出用水溶液に抽出する工程と、前記包埋組織を接触させた状態の前記核酸抽出用水溶液に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を添加する工程と、前記両工程の後、前記核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層を、前記疎水性成分と溶融した包埋剤とを含む疎水性液層から分離して回収する回収工程とを有する包埋組織からの核酸抽出方法。
【選択図】なし
Description
非特許文献4のように、包埋組織からDNAを抽出した後、フェノール/クロロホルム処理等を行ったり、非特許文献5のように、回収された核酸を解析に供する前にパラフィンを除去することにより、パラフィン混入量が抑えられた核酸が得られる。しかし、これらの方法は、核酸精製に長時間を要する上に、遠心分離処理が必須であり、簡便性に欠ける。
前記包埋組織を接触させた状態の前記核酸抽出用水溶液に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を添加する疎水性成分添加工程と、
前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層を、前記疎水性成分と溶融した包埋剤とを含む疎水性液層から分離して回収する回収工程と、
を有することを特徴とする。
[2]前記[1]の包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記抽出工程後に前記疎水性成分添加工程を行うことが好ましい。
[3]前記[1]又は[2]の包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記核酸抽出用水溶液は、界面活性剤及びタンパク質分解酵素を含むことが好ましい。
[4]前記[3]の包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記タンパク質分解酵素が、プロテイナーゼKであり、前記抽出工程を、前記包埋剤の溶融温度以上かつ65℃以下で行うことが好ましい。
[5]前記[3]又は[4]の包埋組織からの核酸抽出方法においては、さらに、前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記回収工程前に、前記水層を熱処理し、当該水層中に含まれているタンパク質分解酵素を失活させる失活工程を有することが好ましい。
[6]前記[1]又は[2]の包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記抽出工程を90〜100℃で行うことも好ましい。
[7]前記[1]〜[6]のいずれかの包埋組織からの核酸抽出方法においては、さらに、前記回収工程により回収された水層を希釈する希釈工程を有することが好ましい。
[8]前記[1]〜[7]のいずれかの包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記疎水性成分の融点は40℃以下であることが好ましい。
[9]前記[1]〜[7]のいずれかの包埋組織からの核酸抽出方法においては、前記疎水性成分はミネラルオイルであることが好ましい。
[10]本発明の第二の態様に係る核酸抽出用キットは、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液と、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分とを備え、
前記[1]〜[9]のいずれかの包埋組織からの核酸抽出方法によって、水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織から核酸を抽出するために用いられることを特徴とする。
[11]本発明の第三の態様に係る核酸抽出装置は、 水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織が投入された抽出用反応容器が載置される抽出用反応容器収容部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置された抽出用反応容器の温度調節を行う温度調節部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置された抽出用反応容器に、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液を供給する核酸抽出用水溶液供給部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置され、前記核酸抽出用水溶液が供給された抽出用反応容器に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を供給する疎水性成分供給部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置され、前記疎水性成分が供給された抽出用反応容器から、前記包埋組織から抽出された核酸と前記核酸抽出用水溶液を含む核酸抽出液を分取する分取部と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明に係るキットを用いることによって、本発明に係る包埋組織からの核酸抽出方法をより簡便に実施することができる。
さらに、本発明に係る核酸抽出装置を用いることによって、本発明に係る包埋組織からの核酸抽出方法による核酸抽出を自動的に行うことができる。
本発明の第一の態様に係る包埋組織からの核酸抽出方法(以下、「本発明に係る核酸抽出方法」)は、水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織の表面の少なくとも一部を、当該包埋剤の溶融温度以上で、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液中に接触させることにより、当該包埋組織中の核酸を前記核酸抽出用水溶液に抽出する抽出工程と、前記包埋組織を接触させる前又は接触させた状態の前記核酸抽出用水溶液に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を添加する疎水性成分添加工程と、前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層(核酸抽出液)を、前記疎水性成分と溶融した包埋剤を含む疎水性液層から分離して回収する回収工程と、を有する。
また、前記核酸抽出用水溶液に、包埋剤との親和性が高い液状の疎水性成分を添加することにより、包埋組織から抽出された核酸を含む核酸抽出用水溶液から、溶融した包埋剤を効率よく除去することができる。このため、本発明に係る核酸抽出方法により、包埋剤の混入量が顕著に低減された核酸を得ることができる。さらに、核酸抽出用水溶液と核酸を含む水層と、疎水性成分と包埋剤とを含む疎水性液層の二相に分離するため、水層のみを回収することによって簡便に包埋剤から核酸を分離回収することができる。
本発明に係る包埋剤は、水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内のものである。当該性質を満たすものであれば特に限定されるものではなく、パラフィン、セロイジン、樹脂等の当該技術分野で一般的に用いられている包埋剤の中から適宜選択して用いることができる。市販されているものをそのまま用いてもよい。本発明に係る包埋剤としては、パラフィンが好ましく、溶融温度が40〜65℃の範囲内であるパラフィンがより好ましく、溶融温度が40〜50℃の範囲内であるパラフィンがさらに好ましい。ここで、包埋剤として用いるパラフィンは、パラフィンのみからなるものであってもよく、副成分として他の樹脂や各種添加剤を含むものであってもよい。
本発明に係る核酸抽出方法では、まず、抽出工程として、包埋組織の表面の少なくとも一部を、当該包埋組織の作製に用いられた包埋剤の溶融温度以上で核酸抽出用水溶液中に接触させる。核酸抽出用水溶液と接触した表面から、包埋組織中の生体試料に含まれていた核酸が抽出される。この際、核酸抽出用水溶液の温度が包埋剤の溶融温度以上であるため、当該包埋組織の包埋剤も溶融する。包埋剤の溶融を同時に行うため、核酸抽出を効率よく行うことができる。
一方で、包埋組織が核酸抽出用水溶液中に浸漬させた状態で核酸抽出を行う場合には、予め調製した核酸抽出用水溶液を抽出用反応容器に注入してもよく、包埋組織が投入された抽出用反応容器内に核酸抽出用水溶液の原料試薬を個別に添加して、当該容器内で核酸抽出用水溶液を調製してもよい。例えば、包埋組織が投入された抽出用反応容器内に、バッファーと界面活性剤(及び/又はアルカリ性物質)と必要に応じてその他の物質をそれぞれ個別に添加してもよい。また、核酸抽出用水溶液がタンパク質分解酵素を含む場合には、包埋組織が投入された抽出用反応容器内に、タンパク質分解酵素以外の全ての原料試薬を添加した溶液を添加した後、適当量のバッファーに溶解させたタンパク質分解酵素溶液を添加してもよい。
本発明に係る核酸抽出方法では、疎水性成分添加工程として、包埋組織を接触させた状態の核酸抽出用水溶液に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を添加する。これにより、抽出用反応容器内は、核酸抽出用水溶液を含む水層と、疎水性成分を含む疎水性液層の二相に分離する。包埋剤は、核酸抽出用水溶液よりも疎水性成分との親和性が高いため、包埋組織から溶融した包埋剤は疎水性液層に移行する。一方で、抽出された核酸は、水層に存在する。この二相分離により、遠心分離処理等を要することなく、抽出された核酸を、包埋剤から分離した状態で回収することができる。
核酸抽出用水溶液がタンパク質分解酵素を含む場合には、前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記回収工程前に、核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層(核酸抽出液)を熱処理し、当該水層中に含まれているタンパク質分解酵素を失活させることが好ましい。熱処理の温度や加熱時間は、失活させるタンパク質分解酵素の種類を考慮して適宜決定することができる。例えば、当該水層を、70〜100℃、好ましくは80〜100℃で、1〜30分間、好ましくは1〜10分間熱処理することにより、タンパク質分解酵素を失活させることできる。
抽出工程及び疎水性成分添加工程の後、回収工程として、核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層を、疎水性成分と溶融した包埋剤とを含む疎水性液層から分離して回収する。当該回収工程を、用いた包埋組織中の包埋剤の融点以上の温度で行うことにより、溶融した包埋剤を確実に水層から分離できるが、室温で実施することもできる。溶融した包埋剤は、疎水性成分と混合した状態であり、室温程度にまで低下した場合でも、固化し難くなる。このため、当該回収工程を、室温程度の比較的低温で実施した場合でも、包埋剤が固化せず、包埋剤が除去された水層を回収することができる。
本発明に係る包埋組織からの核酸抽出用キット(以下、「本発明に係る核酸抽出用キット」)は、前記核酸抽出用水溶液と、前記疎水性成分とを備え、本発明に係る核酸抽出方法によって、水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織から核酸を抽出するために用いられることを特徴とする。当該核酸抽出用キットを用いることによって、本発明に係る包埋組織からの核酸抽出方法をより簡便に実施することができる。
本発明に係る核酸抽出方法は、遠心処理を必要とせず、少ない工程で、包埋剤の混入が顕著に低減された核酸抽出液を調製できる。このため、当該核酸抽出方法は全自動化が容易である。当該核酸抽出方法を実施する機能としては、反応容器の温度を調節する機能と、反応容器に核酸抽出用水溶液や疎水性成分を供給する機能と、得られた核酸抽出液を分取する機能が挙げられる。
<FFPE組織サンプルからのDNA抽出効率の比較>
マウス大腸FFPE切片(約1cm×1mm×10μm)2枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.5% Tween20及び0.1mg/mL プロテイナーゼKを含むTEバッファー)に浸漬させ、その上にミネラルオイル100μL又は200μLを添加し、56℃で15分間加熱した。次いで、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収した。
対照として、同量のFFPE切片から、市販精製キット(製品名:QIA(登録商標)amp DNA FFPE Tissue Kit、Qiagen社製)又は市販簡便キット(製品名:QuickExtractキット、Epicentre社製)を用いて、それぞれのキットの取扱説明書に基づいて核酸抽出を行った。市販精製キット及び市販簡便キットでは、スピンカラムに吸着させた核酸を100μLで溶出し、これを核酸抽出液とした。
<界面活性剤の種類の影響>
マウス大腸FFPE切片(約1cm×1mm×10μm)2枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.1mg/mL プロテイナーゼKと、0.5%のTriton X100、0.5%のTween20、又は0.5%のNonidet P−40とを含むTEバッファー)に浸漬させ、その上にミネラルオイル200μLを添加し、56℃で15分間加熱した。次いで、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収した。
得られた核酸抽出液のDNA濃度をPicoGreen試薬(Invitrogen社)により測定した。測定結果を図5に示す。図5中、「1」はTriton X100を含む核酸抽出用水溶液を用いた場合の結果であり、「2」はTween20を含む核酸抽出用水溶液を用いた場合の結果であり、「3」はNonidet P−40を含む核酸抽出用水溶液を用いた場合の結果である。図5に示すように、核酸抽出用水溶液に含まれる界面活性剤の種類によってDNA抽出効率は多少影響を受けるものの、いずれも遺伝子検査の検体として充分な量のDNAを回収することができた。これらの結果から、本発明に係る核酸抽出方法により、包埋組織から効率よく核酸を抽出し得ることが明らかである。
<プロテイナーゼKの濃度の影響>
核酸抽出用水溶液として、0.5%のTween20と、0.01〜1mg/mL プロテイナーゼKとを含むTEバッファーを用いた以外は、実施例2と同様にして、マウス大腸FFPE切片(約1cm×1mm×5μm)2枚から核酸抽出液(水溶層)を回収し、それらのDNA濃度を測定した。各プロテイナーゼK濃度について、それぞれ2サンプルずつ行った。測定結果を図6に示す。図6に示すように、プロテイナーゼKの濃度が0.01〜0.1mg/mLの範囲内では、プロテイナーゼKの濃度が高いほど、核酸抽出液中のDNA濃度は高くなり、0.1mg/mL以上では、プロテイナーゼKの濃度にかかわらず、核酸抽出液中のDNA濃度は同程度であった。プロテイナーゼKの濃度が高い場合でも、DNA濃度が低下する傾向は観察されなかったことから、プロテイナーゼKの過剰添加により抽出効率の阻害は生じないことがわかった。よって、これらのデータから、核酸抽出用水溶液がプロテイナーゼKを含む場合、最適プロテイナーゼK濃度は0.1mg/mL以上であると分かった。
<ミネラルオイルの添加時期の影響>
ミネラルオイルを添加せずに得られた核酸抽出液と、ミネラルオイルを核酸抽出前に添加して得られた核酸抽出液と、ミネラルオイルを核酸抽出後に添加して得られた核酸抽出液とにおいて、DNA濃度を比較し、ミネラルオイルの添加時期による影響を調べた。
ヒトのFFPE切片(約1cm×1cm×5μm、US Biomax社製のHUCAT116)1枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.1mg/mL プロテイナーゼK及び0.5%のTriton X100を含むTEバッファー)に浸漬させ、ミネラルオイルを添加せずに56℃で15分間加熱した。次いで、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収し、これを試料1とした。
また、ヒトのFFPE切片(約1cm×1cm×5μm、US Biomax社製のHUCAT116)1枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.1mg/mL プロテイナーゼK及び0.5%のTriton X100を含むTEバッファー)に浸漬させ、その上にミネラルオイル200μLを添加し、56℃で15分間加熱した。次いで、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収し、これを試料2とした。
ヒトのFFPE切片(約1cm×1cm×5μm、US Biomax社製のHUCAT116)1枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.1mg/mL プロテイナーゼK及び0.5%のTriton X100を含むTEバッファー)に浸漬させ、56℃で15分間加熱した後に、ミネラルオイル200μLを添加した。次いで、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収し、これを試料3とした.
<抽出された核酸の遺伝子解析サンプルとしての適性>
FFPE試料より核酸を抽出する方法の評価法として、得られた核酸抽出液の濃度測定の他に、純度や下流の核酸分析の成功率測定が行われている。例えば、非特許文献6では、FFPE試料より核酸を抽出する10手法の比較検証を行った結果、DNA回収率やRNA回収率などとPCR増幅効率は一致せず、目的に応じて抽出法の選択を行うのがよいという結論に至ったと報告されている。
そこで、本発明に係る核酸抽出方法により回収されたDNAが、遺伝子解析サンプルとして適するか、インベーダープラス法を用いてTCF4遺伝子を検出することにより、検証した。
まず、ヒト大腸がん組織のFFPE切片(約5mm×5mm×5μm)1枚を、100μLの核酸抽出用水溶液(0.1mg/mL プロテイナーゼK及び0.5%のTriton X100を含むTEバッファー)に浸漬させ、56℃で15分間加熱した。その後、ミネラルオイル200μLを添加し、98℃で2分間処理してプロテイナーゼKを失活させた後、常温に戻して、核酸抽出液(水層)を回収した。
対照として、同量のFFPE切片から、実施例1で用いた市販精製キット及び市販簡便キットをそれぞれ用いて核酸抽出を行った。市販精製キット及び市販簡便キットでは、スピンカラムに吸着させた核酸を100μLで溶出し、これを核酸抽出液とした。
まず、反応容器に、前記でFFPE切片から抽出した核酸抽出液1μLと、PCR試薬(純水、バッファー、DNAポリメラーゼ、dNTP、プライマー1001及び1002)と、インベーダー試薬(純水、バッファー、クリベース酵素(Hologic社製)、インベイディングオリゴ1003、アレルプローブ1004、及びFRETカセット(Hologic社製))を添加し、10μLの反応液を調製した。反応に用いた合成オリゴDNA(1001〜1004)の塩基配列を表1に示す。
Claims (11)
- 水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織の表面の少なくとも一部を、当該包埋剤の溶融温度以上で、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液中に接触させることにより、当該包埋組織中の核酸を前記核酸抽出用水溶液に抽出する抽出工程と、
前記包埋組織を接触させた状態の前記核酸抽出用水溶液に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を添加する疎水性成分添加工程と、
前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記核酸抽出用水溶液と抽出された核酸とを含む水層を、前記疎水性成分と溶融した包埋剤とを含む疎水性液層から分離して回収する回収工程と、
を有することを特徴とする包埋組織からの核酸抽出方法。 - 前記抽出工程後に前記疎水性成分添加工程を行う、請求項1に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。
- 前記核酸抽出用水溶液が、界面活性剤及びタンパク質分解酵素を含む、請求項1又は2に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。
- 前記タンパク質分解酵素が、プロテイナーゼKであり、
前記抽出工程を、前記包埋剤の溶融温度以上かつ65℃以下で行う、請求項3に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。 - さらに、
前記抽出工程及び前記疎水性成分添加工程の後、前記回収工程前に、前記水層を熱処理し、当該水層中に含まれているタンパク質分解酵素を失活させる失活工程、
を有する、請求項3又は4に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。 - 前記抽出工程を、90〜100℃で行う、請求項1又は2に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。
- さらに、
前記回収工程により回収された水層を希釈する希釈工程、
を有する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。 - 前記疎水性成分の融点が40℃以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。
- 前記疎水性成分が、ミネラルオイルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の包埋組織からの核酸抽出方法。
- 界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液と、
少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分と、
を備え、請求項1〜9のいずれか一項に記載の包埋組織からの核酸抽出方法によって、水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織から核酸を抽出するために用いられることを特徴とする、包埋組織からの核酸抽出用キット。 - 水に不溶であり、かつ溶融温度が40〜90℃の範囲内である包埋剤によって包埋された包埋組織が投入された抽出用反応容器が載置される抽出用反応容器収容部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置された抽出用反応容器の温度調節を行う温度調節部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置された抽出用反応容器に、界面活性剤及びアルカリ性物質からなる群より選択される1種以上を含む核酸抽出用水溶液を供給する核酸抽出用水溶液供給部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置され、前記核酸抽出用水溶液が供給された抽出用反応容器に、少なくとも35〜100℃の範囲内で液状である疎水性成分を供給する疎水性成分供給部と、
前記抽出用反応容器収容部に載置され、前記疎水性成分が供給された抽出用反応容器から、前記包埋組織から抽出された核酸と前記核酸抽出用水溶液を含む核酸抽出液を分取する分取部と、
を備えることを特徴とする、核酸抽出装置。
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