JP2014044392A - 積層フィルム - Google Patents

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Atsushi Saeki
厚志 佐伯
Shinji Makino
伸治 牧野
Yusuke Nakai
祐介 中井
Takeshi Otani
剛 大谷
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Abstract

【課題】TAC基材またはアクリル基材と微細凹凸構造層との密着性に優れ、十分な反射防止効果をもつ積層フィルムを提供する。
【解決手段】TAC基材またはアクリル基材の一方の面に熱可塑性樹脂からなるプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる微細凹凸構造層を形成する。前記熱可塑性樹脂は、数平均分子量が2万以上5万以下、且つ、酸価が1以下である。前記プライマー層に平均粒径50nm以上120nm以下の微粒子を含むことが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、表面に微細凹凸構造層を有する積層フィルムに関する。
近年、モニター機器、モバイル機器等によるマルチメディア視聴の機会が増加し、その需要も高まっている。そこで液晶表示装置に対する高解像度化、低消費電力化が求められている。特に液晶ディスプレイ(LCD)や、反射防止のためのVDTフィルムなどには光のシャッターの役目をするフィルム状の偏光素子が用いられており、これらは通常、透明保護フィルムによって偏光素子の両面を挟持して偏光板として使用されている。この透明保護フィルムとしては、透明性や偏光素子との接着性が良好なセルロース系の基材、特にTAC(トリアセチルセルロース)基材およびアクリル基材が好適に用いられている。また、LCDは多くの部材により層構造を形成したものであり、光の利用効率が低いため、明るく視認性のよいLCDが求められている。そのため、光の反射防止として可視光の波長以下の周期(間隔)の微細凹凸構造をもつ硬化層を表面に有することにより、該微細凹凸構造における連続的な屈折率の変化によって、反射防止性能を有することで視認性のよいLCDを得られることが知られている。しかしながら、硬化層はTAC基材およびアクリル基材との良好な密着性が得られないという問題があった。
また、特開2010−38945号公報(特許文献1)では、TAC基材の一方の面と最表面に位置するハードコート層との間にプライマー層を備えるハードコートフィルムであって、基材との密着性がよく、耐擦傷性および硬度に優れるとともに、防汚性が高く、かつ防汚性が持続するハードコートフィルムを提供する技術が開示されている。しかしながら、反射を十分に低減する効果がなく、視認性に問題があった。
特開2010−38945号公報
本発明の目的は、TAC基材およびアクリル基材と微細凹凸構造層との密着性に優れ、十分な反射防止効果を有する積層フィルムを提供することにある。
本発明は、TAC基材またはアクリル基材の一方の面に熱可塑性樹脂からなるプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物からなる微細凹凸構造層を有する積層フィルムであり、前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が2万以上5万以下、且つ、酸価が1以下である積層フィルムである。
また、前記熱可塑性樹脂からなるプライマー層に微粒子を含有する積層フィルムである。
また、前記微粒子の平均粒径が50nm以上120nm以下である積層フィルムである。または、前記微粒子の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下である積層フィルムである。
さらに、前記微細凹凸構造層の微細凹凸構造は、平均高さ80nm以上500nm以下の凸部または平均深さ80nm以上500nm以下の凹部を有し、その凸部または凹部が、少なくともある一の方向に対し平均間隔20nm以上400nm以下で存在する積層フィルムである。
本発明の積層フィルムは、TAC基材およびアクリル基材とプライマー層との密着性、並びにプライマー層と微細凹凸構造層との密着性に優れると共に、優れた反射防止性能により、LCDの視認性を向上させることができる。
本発明の積層フィルム示す断面図である。 本発明の積層フィルムを製造するための製造装置の一例を示す構成図である。 表面に陽極酸化アルミナを有するモールドの製造工程を示す断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。
<積層フィルム>
積層フィルム1は、TAC基材またはアクリル基材2と、TAC基材またはアクリル基材2の表面に形成されたプライマー層3と、プライマー層3の表面に形成された微細凹凸構造層4を有する。
微細凹凸構造層4は、後述の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなり、表面に微細凹凸構造(図示略)を有する。
<プライマー層>
プライマー層3は熱可塑性樹脂からなり、熱可塑性樹脂の平均分子量が2万以上5万以下であり、2万5千以上4万以下が好ましい。熱可塑性樹脂の平均分子量が2万以下では熱可塑性樹脂からなるプライマー層3と微細凹凸構造層4との密着性が悪くなり、熱可塑性樹脂の平均分子量が5万より大きいと溶剤への溶解性が低下し、プライマー層が白化し積層フィルムの視認性が低下する。
また、前記熱可塑性樹脂の酸価は1以下である。熱可塑性樹脂の酸価が1未満であれば熱可塑性樹脂からなるプライマー層3と微細凹凸構造層4の密着性が良好である。
熱可塑性樹脂からなるプライマー層3は積層フィルム同士の層間で起こる圧着(ブロッキング)を防止できることから微粒子を含有することが好ましい。圧着(ブロッキング)とは、巻き取りや重ね置きにより積層フィルム同士が密着して滑りにくくなったり剥がれなくなることをいう。
前記微粒子は平均粒径が50nm以上120nm以下であることが好ましく、50nm以上80nm以下であることがより好ましい。前記微粒子の平均粒径が50nm以上であると層間で圧着(ブロッキング)が発生せず、120nm以下であるとプライマー層の白化による積層フィルムの視認性低下が起こらない。平均粒径の測定方法はコールター・カウンター法を使用して測定する。また、前記微粒子の含有量は熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることが好ましく、1.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。前記微粒子の含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上であれば層間で圧着(ブロッキング)が発生せず、15質量部以下であればプライマー層の白化による積層フィルムの視認性低下が起こらない。
<微細凹凸構造層>
微細凹凸構造層は、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させたものである。微細凹凸構造層の微細凹凸構造は、略円錐形状、角錐形状等の凸部(突起)または凹部が可視光の波長以下の間隔で複数並んだ、いわゆるモスアイ構造が好ましい。モスアイ構造は、空気の屈折率から材料の屈折率に連続的に屈折率が増大していくことで有効な反射防止の手段となることが知られている。
凸部の平均高さまたは凹部の平均深さは、80〜500nmが好ましく、120〜400nmがより好ましく、150〜300nmが特に好ましく、160〜190nmが最も好ましい。凸部の高さが80nm以上であれば、反射率が十分低くなり、かつ反射率の波長依存性が少ない。凸部の高さが500nm以下であれば、耐擦傷性が良好であり、また、凹凸同士が接触して合一する現象を抑え易くなる。
凸部の平均高さまたは凹部の平均深さは、電子顕微鏡観察によって倍率30000倍で観察したときにおける、凸部または凹部の最頂部と、凸部間に存在する凹部または凹部間に存在する凸部の最低部との間の距離を測定した値である。
凸部または凹部の平均間隔は、可視光の波長以下、すなわち400nm以下が好ましい。凸部または凹部の平均間隔は、凸部の形成のしやすさの点から、20nm以上が好ましい。凸部または凹部の平均間隔は120〜380nmがより好ましく、140〜260nm以下が特に好ましく、160nm〜200nmが最も好ましい。
凸部または凹部の平均間隔は、電子顕微鏡観察によって隣接する凸部間の間隔(凸部または凹部の中心から隣接する凸部または凹部の中心までの距離)を50点測定し、これらの値を平均したものである。
凸部または凹部のアスペクト比(凸部の高さ/凸部間の間隔、または凹部の深さ/凹部間の間隔、の平均値)は、0.8〜5が好ましく、1.2〜4がより好ましく、1.5〜3が特に好ましい。凸部または凹部のアスペクト比が0.8以上であれば、反射率が十分に低くなる。凸部または凹部のアスペクト比が5以下であれば、凸部の耐擦傷性が良好となる。
微細凹凸構造層4の屈折率とプライマー層3とTAC基材2の屈折率との差は、0.2以下が好ましく、0.1以下がより好ましく、0.05以下が特に好ましい。屈折率差が0.2以下であれば、微細凹凸構造層4とプライマー層3との界面における反射、プライマー層3とTAC基材2との界面における反射を良好に抑えられる。
<活性エネルギー線硬化性組成物>
活性エネルギー線硬化性組成物は、重合性化合物および重合開始剤を含む。
重合性化合物としては、分子中にラジカル重合性結合および/またはカチオン重合性結合を有するモノマー、反応性ポリマー等が挙げられる。
活性エネルギー線硬化性組成物は、非反応性のポリマー、活性エネルギー線反応性ゾルゲル組成物を含んでいてもよい。
ラジカル重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよく、単官能でも多官能でもよい。
カチオン重合性結合を有するモノマーとしては、エポキシ基、オキセタニル基、オキサゾリル基、ビニルオキシ基等を有するモノマーが挙げられる。
反応性ポリマーとしては、不飽和ジカルボン酸と多価アルコールとの縮合物等の不飽和ポリエステル類、カチオン重合型エポキシ化合物、側鎖にラジカル重合性結合を有する上述のモノマーの単独または共重合ポリマー等が挙げられる。
非反応性のポリマーとしては、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリウレタン、セルロース系樹脂、ポリビニルブチラール、ポリエステル、熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
活性エネルギー線ゾルゲル反応性組成物としては、アルコキシシラン化合物、アルキルシリケート化合物等が挙げられる。
重合開始剤としては、ラジカルやカチオンを発生させる、カルボニル化合物、ジカルボニル化合物、アセトフェノン、ベンゾインエーテル、アシルフォスフィンオキシド、アミノカルボニル化合物、ハロゲン化物等の一般に市販されている光重合開始剤等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。重合開始剤の量は、重合性化合物100質量部に対して、0.1〜10質量部が好ましい。重合開始剤の量が0.1質量部以上であれば、重合が進行しやすい。重合開始剤の量が10質量部以下であれば、硬化膜が着色したり機械強度が低下したりしにくい。
活性エネルギー線硬化性組成物は、必要に応じて、帯電防止剤、離型剤、防汚性を向上させるためのフッ素化合物等の添加剤、微粒子、少量の溶剤を含んでいてもよい。
<積層フィルムの製造>
積層フィルム1は、例えば、図2に示す製造装置を用いて、下記のようにして製造される。
表面に微細凹凸構造(図示略)を有するロール状モールド22と、TAC基材またはアクリル基材の表面にプライマー層3を形成した帯状のプライマー層形成フィルム5(図2の18)との間に、タンク24から活性エネルギー線硬化性組成物を供給する。プライマー層形成フィルム5は、ロール状モールド22の表面に沿って移動するように装着されている。
ロール状モールド22と、空気圧シリンダ26によってニップ圧が調整されたニップロール28との間で、プライマー層形成フィルム5(図2の18)および活性エネルギー線硬化性組成物をニップし、活性エネルギー線硬化性組成物を、プライマー層形成フィルム5(図2の18)とロール状モールド22との間に均一に行き渡らせると共に、ロール状モールド22の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド22の下方に設置された活性エネルギー線照射装置30から、プライマー層形成フィルム5(図2の18)を通して活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギー線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させることによって、ロール状モールド22の表面の微細凹凸構造が転写された微細凹凸構造層4(図2の20)を形成する。
剥離ロール32により、表面に微細凹凸構造層4が形成されたプライマー層形成フィルム5(図2の16)を剥離することによって、積層フィルム1を得る。
活性エネルギー線照射装置30としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等が好ましく、この場合の光照射エネルギー量は、積算光量100〜10000mJ/cmが好ましい。
<ロール状モールド>
ロール状モールド22は、表面に陽極酸化アルミナを有するモールドである。表面に陽極酸化アルミナを有するロール状モールドは、大面積化が可能であり、作製が簡便である。
陽極酸化アルミナは、アルミニウムの多孔質の酸化皮膜(アルマイト)であり、表面に複数の細孔(凹部)を有する。
表面に陽極酸化アルミナを有するモールドは、例えば、下記(a)〜(e)工程を経て製造できる。尚、(a)および(b)は省略してもよい。
(a)ロール状のアルミニウムを電解液中、定電圧下で陽極酸化して酸化皮膜を形成する工程。
(b)酸化皮膜を除去し、陽極酸化の細孔発生点を形成する工程。
(c)ロール状のアルミニウムを電解液中、再度陽極酸化し、細孔発生点に細孔を有する酸化皮膜を形成する工程。
(d)細孔の径を拡大させる工程。
(e)前記(c)工程と(d)工程を繰り返し行う工程。
<(a)工程>
図3に示すように、アルミニウム34を陽極酸化すると、細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
アルミニウムの純度は、99%以上が好ましく、99.5%以上がより好ましく、99.8%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が低いと、陽極酸化した時に、不純物の偏析により可視光を散乱する大きさの凹凸構造が形成されたり、陽極酸化で得られる細孔の規則性が低下したりすることがある。
電解液としては、硫酸、シュウ酸、リン酸等が挙げられる。
(シュウ酸を電解液として用いる場合)
シュウ酸の濃度は、0.7M以下が好ましい。シュウ酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて酸化皮膜の表面が粗くなることがある。
化成電圧は30〜60Vとすることが好ましい。化成電圧をこの範囲とすることにより、周期(間隔)が100nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができるためである。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向にある。
電解液の温度は、60℃以下が好ましく、45℃以下がより好ましい。電解液の温度が60℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
(硫酸を電解液として用いる場合)
硫酸の濃度は0.7M以下が好ましい。硫酸の濃度が0.7Mを超えると、電流値が高くなりすぎて定電圧を維持できなくなることがある。
化成電圧は25〜30Vとすることが好ましい。化成電圧をこの範囲とすることにより、周期(間隔)が63nmの規則性の高い細孔を有する陽極酸化アルミナを得ることができる。化成電圧がこの範囲より高くても低くても規則性が低下する傾向がある。
電解液の温度は、30℃以下が好ましく、20℃以下がよりに好ましい。電解液の温度が30℃を超えると、いわゆる「ヤケ」といわれる現象がおこり、細孔が壊れたり、表面が溶けて細孔の規則性が乱れたりすることがある。
<(b)工程>
図3に示すように、酸化皮膜38を一旦除去し、これを陽極酸化の細孔発生点40にすることで細孔の規則性を向上することができる。
酸化皮膜を除去する方法としては、アルミニウムを溶解せず、酸化皮膜を選択的に溶解する溶液に溶解させて除去する方法が挙げられる。このような溶液としては、例えば、クロム酸/リン酸混合液等が挙げられる。
<(c)工程>
図3に示すように、酸化皮膜を除去したアルミニウム34を再度、陽極酸化すると、円柱状の細孔36を有する酸化皮膜38が形成される。
陽極酸化は、(a)工程と同様な条件で行えばよい。陽極酸化の時間を長くするほど深い細孔を得ることができる。
<(d)工程>
図3に示すように、細孔36の径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を行う。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%程度のリン酸水溶液等が挙げられる。
細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。
<(e)工程>
図3に示すように、(c)工程の陽極酸化と、(d)工程の細孔径拡大処理を繰り返すと、直径が開口部から深さ方向に連続的に減少する形状の細孔36を有する陽極酸化アルミナが形成され、表面に陽極酸化アルミナを有するモールド(ロール状モールド22)が得られる。
繰り返し回数は、合計で3回以上が好ましく、5回以上がより好ましい。繰り返し回数が2回以下では、非連続的に細孔の直径が減少するため、このような細孔を有する陽極酸化アルミナを用いて製造された微細凹凸構造層4の反射率低減効果が低下する傾向にある。
陽極酸化アルミナの表面は、微細凹凸構造層4の剥離が容易になるように、離型剤で処理されていてもよい。処理方法としては、例えば、シリコーン樹脂またはフッ素含有ポリマーをコーティングする方法、フッ素含有化合物を蒸着する方法、フッ素含有シランカップリング剤またはフッ素含有シリコーン系シランカップリング剤をコーティングする方法等が挙げられる。
図3に示すような細孔36を転写して形成された微細凹凸構造層4の表面は、いわゆるモスアイ構造となる。
以下、実施例および比較例によって本発明を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[陽極酸化アルミナの細孔]
陽極酸化アルミナの一部を削り、断面にプラチナを1分間蒸着し、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子社製、JSM−7400F)を用いて、加速電圧3.00kVの条件にて、断面を観察し、細孔の間隔、細孔の深さを測定した。各測定は、それぞれ50点について行い、平均値を求めた。
[実施例1]
[ロール状モールドの製造]
純度99.99%のアルミニウムからなるロールを、過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨した。
(a)工程:
該ロールについて、0.5Mシュウ酸水溶液中で、直流40V、温度16℃の条件で6時間陽極酸化を行った。
(b)工程:
酸化皮膜が形成されたロールを、6質量%リン酸/1.8質量%クロム酸混合水溶液に6時間浸漬して、酸化皮膜を除去した。
(c)工程:
該ロールについて、0.3Mシュウ酸水溶液中、直流40V、温度16℃の条件で45秒間陽極酸化を行った。
(d)工程:
酸化皮膜が形成されたロールを、32℃の5質量%リン酸に8分間浸漬して、細孔径拡大処理を行った。
(e)工程:
前記(c)工程および(d)工程を合計で5回繰り返し、平均間隔:100nm、深さ:150nmの略円錐形状の細孔を有する陽極酸化アルミナが表面に形成されたロール状モールドを得た。
得られたロール状モールドを、オプツールDSX(ダイキン工業社製)の0.1質量%希釈溶液に浸漬し、一晩風乾して、酸化皮膜表面の処理を行った。
[プライマー液の調整]
プライマー液として、ウレタン変性型共重合ポリエステル樹脂溶液(東洋紡績社製、固形分濃度30質量%、メチルエチルケトン35質量%、トルエン35質量%、数平均分子量:4万、酸価:0.8)100質量部と、希釈溶剤としてメチルエチルケトン720質量部、トルエン720質量部およびシクロヘキサノン80質量部を均一に混合し、固形分約1.9質量%のコート剤を調整した。
[プライマー液の塗工]
厚さ80μmのTAC基材(富士フィルム社製、FT TD80ULM)の表面に上記調整例で得た塗工液を硬化膜厚が約100nmとなるようにマイヤーバーで塗工後、100℃のオーブンで1分間乾燥させ、TAC基材表面にプライマー層を形成したフィルムを作製した。
[活性エネルギー線硬化性組成物Aの調製]
表1に示す割合(単位は質量部)で各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物Aを調製した。
Figure 2014044392
表中の略号は下記の通りである。
TAS:トリメチロールエタン・アクリル酸・無水コハク酸縮合エステル
C6DA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
X−22−1602:ラジカル重合性シリコーンオイル(信越化学工業社製)
Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184)
Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア819)
前記離型処理ロール状モールドおよび前記活性エネルギー線硬化性組成物Aを用いて
図2に示す製造装置で、積層フィルムを製造した。
表面に微細凹凸構造を有するロール状モールド22と、TAC基材の表面にプライマー層3形成した帯状のプライマー層形成フィルム18との間に、タンク24から活性エネルギー線硬化性組成物Aを供給する。ロール状モールド22と、空気圧シリンダ26によってニップ圧が調整されたニップロール28との間で、プライマー層形成フィルム18および活性エネルギー線硬化性組成物Aをニップし、活性エネルギー線硬化性組成物Aを、プライマー層形成フィルム18とロール状モールド22との間に均一に行き渡らせると共に、ロール状モールド22の微細凹凸構造の凹部内に充填する。
ロール状モールド22の下方に設置された活性エネルギー線照射装置30から、プライマー層形成フィルム18を通して積算光量3200mJ/cmの紫外線を活性エネルギー線硬化性組成物Aの塗膜に照射し、活性エネルギー線硬化性組成物Aを硬化させることによって、ロール状モールド22の表面の微細凹凸構造が転写された微細凹凸構造層20を形成する。
剥離ロール32により、表面に微細凹凸構造層が形成されたプライマー層形成フィルム16を剥離することによって、積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムについて、走査型電子顕微鏡(日立ハイテク社製、S−3400N)を用いて断面観察を行い、凸部間の平均間隔、凸部の平均高さを測定したところ、凸部間の平均間隔は100nm、凸部の平均高さは150nmであった。また、得られた積層フィルムを、2mm間隔100マスとした以外はJIS K5400に準じての碁盤目試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。
[実施例2]
プライマー液として、ウレタン変性共重合ポリエステル樹脂溶液[東洋紡績社製、固形分濃度32質量%、メチルエチルケトン32質量%、トルエン32質量%、数平均分子量:2.5万、酸価:0.8]100質量部と希釈溶剤としてメチルエチルケトン720質量部、トルエン720質量部およびシクロヘキサノン80質量部を均一に混合して調整した固形分約2.0%のコート剤を用いて基材に塗工・硬化したこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。
[実施例3]
プライマー液に易滑剤としてシリカゾル分散液[日産化学社製「MEK−ST−L」、平均粒径50nmのシリカ微粒子30質量%、メチルエチルケトン70質量%]を5質量部含有させたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)も良好であった。
[実施例4]
プライマー液に易滑剤としてシリカゾル分散液[日産化学社製「MEK−ST−L」、平均粒径50nmのシリカ微粒子30質量%、メチルエチルケトン70質量%]を30質量部含有させたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)も良好であった。
[実施例5]
プライマー液に易滑剤としてシリカゾル分散液[日産化学社製「MEK−ST−L」、平均粒径50nmのシリカ微粒子30質量%、メチルエチルケトン70質量%]を45質量部含有させたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)もほとんど見られなかった。
[実施例6]
基材をアクリル基材(三菱レイヨン社製「アクリプレンHBK003」)にしたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、アクリル基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)もほとんど見られなかった。
[実施例7]
活性エネルギー線硬化性組成物を下記に示す活性エネルギー線硬化性組成物Bにしたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、TAC基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)もほとんど見られなかった。
[活性エネルギー線硬化性組成物Bの調製]
表2に示す割合(単位は質量部)で各成分を混合し、活性エネルギー線硬化性組成物Bを調製した。
Figure 2014044392


表中の略号は下記の通りである。
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(新中村化学工業社製)
PET−3:ペンタエリスリトールトリアクリレート(第一工業製薬社製)
DPEA−12:エチレンオキサイド 変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(日本化薬社製)
M260:ポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学工業社製)
Irg184:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア184)
Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド(チバ・スペシャリティケミカルズ社製、イルガキュア819)
[実施例8]
活性エネルギー線硬化性組成物を活性エネルギー線硬化性組成物Bにしたこと以外は実施例6と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が良好であり、アクリル基材との剥がれは発生しなかった。また、層間で起こる圧着(ブロッキング)もほとんど見られなかった。
[比較例1]
プライマー液を塗工せずに、直接フィルム層に活性エネルギー線硬化性組成物Aの塗膜に積算光量3200mJ/cm2の紫外線を照射し、活性エネルギー線硬化性組成物Aの硬化を行ったこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が悪く、TAC基材との剥がれが発生した。
[比較例2]
プライマー液として、ポリエステル樹脂溶液[東洋紡績社製、固形分濃度30質量%、メチルエチルケトン16質量%、トルエン54質量%、数平均分子量:1.7万、酸価:1.9]を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が悪く、TAC基材との剥がれが発生した。
[比較例3]
プライマー液として、ポリエステル樹脂[東洋紡績社製、固形分濃度100質量%、数平均分子量:0.6万、酸価:4.7]100質量部、および希釈溶剤としてメチルエチルケトン2500質量部、トルエン2500質量部、シクロヘキサノン300質量部を均一に混合して調整した固形分約1.9%のコート剤を用いたこと以外は実施例1と同様の方法で積層フィルムを作製し、碁盤目剥離試験を行ったところ、微細凹凸構造層とプライマー層との密着性が悪く、TAC基材との剥がれが発生した。
各実施例および比較例について表3に示す。
Figure 2014044392

1 積層フィルム
2 TAC基材またはアクリル基材
3 プライマー層
4 微細凹凸構造層
5 プライマー層形成フィルム
22 ロール状モールド
24 タンク
26 空気圧シリンダ
28 ニップロール
30 活性エネルギー線照射装置
32 剥離ロール
34 アルミニウム
36 細孔
38 酸化皮膜

Claims (5)

  1. TAC基材またはアクリル基材の一方の面に熱可塑性樹脂からなるプライマー層を有し、前記プライマー層の表面に、活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物からなる微細凹凸構造層を有する積層フィルムであって、前記熱可塑性樹脂の数平均分子量が2万以上5万以下、且つ、酸価が1以下である積層フィルム。
  2. 前記プライマー層に微粒子を含有する、請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記微粒子は、平均粒径が50nm以上120nm以下である、請求項2に記載の積層フィルム。
  4. 前記微粒子は、含有量が熱可塑性樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下である、請求項2または3に記載の積層フィルム。
  5. 前記微細凹凸構造層の微細凹凸は、平均高さ80nm以上500nm以下の凸部または平均深さ80nm以上500nm以下の凹部を有し、その凸部または凹部が、少なくともある一の方向に対し平均間隔20nm以上400nm以下で存在する、請求項1乃至4に記載の積層フィルム。
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