JP2014041186A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】給電部材の短寿命化を防止しつつ、従来よりも給電部材と電極との間の接触状態を良好に維持できる構成とした定着装置を提供すること。
【解決手段】抵抗発熱層70を含む定着ベルト50の外周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置において、ベルト幅方向における抵抗発熱層70の両側端部に、フランジ付受電部材68の筒状部68Aの一部を接触する状態で設け、フランジ部68Bに、給電部材58を前記ベルト幅方向に弾性圧接させる構成とした。
【選択図】図3

Description

本発明は、定着装置および画像形成装置に関し、特に、抵抗発熱層を有する定着ベルトを用いた定着装置に関する。
近年、プリンター、複写機等の画像形成装置における定着装置として、ジュール発熱する抵抗発熱層を有するベルトを用いた定着装置が使用されている(特許文献1)。
当該定着装置は、記録シートに接触する定着ベルト自体が熱容量の低い発熱体(抵抗発熱層)を有し、定着ベルトを直接加熱するため、電力の供給開始から定着可能状態に達するまでのウォームアップ時間が短く、消費電力が少ないといった特徴を有している。
このような定着装置は、一般的に、ベルト幅方向における当該抵抗発熱層の両側端部に、一対の筒状をした受電部材である電極を有している。
定着ベルトの内周側には、当該定着ベルトと平行に弾性体ローラーが遊挿されている。一方、定着ベルトの外周側には、当該定着ベルトと平行に、前記弾性体ローラーに対向させて加圧ローラーが設けられている。
加圧ローラーは、前記定着ベルトを介して前記弾性体ローラーを押圧していて、前記定着ベルトの一部が円弧状に凹んで、加圧ローラーとの間で定着ニップが形成されている。
また、前記一対の電極の各々に対し、その外周面に摺接するように給電部材が設けられている。
そして、加圧ローラーを回転させることにより、前記定着ベルトが従動走行し、前記両給電部材を介して給電することにより前記抵抗発熱層が発熱する。この状態で、前記定着ニップに記録シートを通紙することにより、記録シートに形成された未定着のトナー像が定着される。
また、定着ベルトの幅方向両端には、従動する定着ベルトが許容範囲を超えて蛇行するのを防止するための規制部材が設けられている。当該規制部材は、ベルト幅方向に移動しようとする定着ベルト端縁(すなわち、電極の前記非積層部の外縁)が当接して、それ以上の移動を規制するものである。
特開2009−109997号公報 特開平10−247029号公報
しかしながら、上記の構成からなる定着装置では、下記の課題が生じている。
定着ベルトは、原形が円形断面を有しているものが、定着ニップの形成により、その形がくずれた態様で回転走行されるため、走行中に、いわゆるばたつきが生じる。また、走行中に定着ベルトの端縁が蛇行規制部材に当接すると、蛇行規制部材との間で生じる摩擦力によって円滑な走行が妨げられることによってもばたつきが生じる。すなわち、当該定着ベルトをその幅方向側面からみたとき、定形が維持されずに変形してしまう。
これによって、給電部材の摺接位置においても定着ベルトがその径方向に瞬間的に変位し、その結果、給電部材の電極との接触状態が不安定となり、両者間でスパークが発生するという不具合が生じてしまう。
これに対処するため、給電部材をさらに定着ベルト(電極)の径方向内側に押し込み、摺接位置における電極の径方向における変位を抑制することが考えられる。しかし、そうすると、給電部材と電極との間の接触圧が大きくなり、両者間の摩擦力が増大するため、摩耗の進行が早まり、その寿命が短くなってしまう。
本発明は、上記した課題に鑑み、給電部材の短寿命化を防止しつつ、上記従来よりも給電部材と電極との間の接触状態を良好にでき、安定的に給電することができる構成とした定着装置、およびそのような定着装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る定着装置は、抵抗発熱層を含む定着ベルトの外周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、ベルト幅方向における前記抵抗発熱層の両側端部に、フランジ付受電部材の筒状部の一部が接触する状態で設けられ、フランジ部には、少なくとも一つの給電部材が前記ベルト幅方向に弾性圧接されていることを特徴とする。
また、前記給電部材に圧接されるフランジ部を、当該フランジ部を介して前記給電部材と対向する位置で支えるバックアップ部材が設けられていることを特徴とする。
さらに、前記定着ベルト内側に、前記加圧部材と対向させて弾性体ローラーが遊挿されていることを特徴とする。
上記の目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、上記の定着装置を備えていることを特徴とする。
上記の構成からなる定着装置では、筒状部の一部が抵抗発熱層の両端部に接触する状態で設けられているフランジ付受電部材のフランジ部に、給電部材がベルト幅方向に弾性圧接される。定着ベルトは、走行中にそのベルト幅方向に変位するが、その変位は比較的緩やかであるため、弾性圧接される給電部材は、当該変位に追従して前記フランジ部との接触状態を維持しやすい。その結果、給電部材とフランジ部(受電部材)との間で生じるスパークの発生を抑制することができる。
また、定着ベルトのベルト幅方向の変位は、緩やかであるため、給電部材とフランジ部(受電部材)との接触状態を維持するために、給電部材のフランジ部に対する圧接力を大きくする必要がないため、給電部材と受電部材との間の摩擦力に起因する摩耗の進行を可能な限り抑制することができ、両者の短寿命化も抑制することができる。
実施の形態1に係るタンデム型フルカラープリンターの概略構成を示す図である。 上記プリンターにおける定着装置の概略構成を示す図である。 (a)は、上記定着装置における定着ベルトの積層構造を説明するための、フランジ付電極側の端部を含む部分における縦断面図であり、(b)は、フランジ付電極単体を外力が働いていない状態を表した斜視図である。 上記定着ベルトの幅方向における中央位置で、定着ベルト、弾性体ローラー、および加圧ローラーを切断した横断面図である。 実施の形態2における定着ベルトの、フランジ付電極側の端部を含む部分における縦断面図である。 変形例における定着ベルトの一端部およびその近傍を示す斜視図である。
以下、本発明に係る定着装置の実施の形態を、プリンターに用いた例に基づいて図面を参照しながら説明する。なお、各図において、部材間の尺度は統一していない。
<実施の形態1>
図1は、タンデム型フルカラープリンター10(以下、単に「プリンター10」と言う。)の概略構成を示す図である。
プリンター10は、周知の電子写真方式により画像を形成するものであって、転写ベルト12と、転写ベルト12を張架する駆動ローラー14、従動ローラー16、転写ベルト12に対向し転写ベルト12の走行方向に沿って所定間隔で配置されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色の作像ユニット18Y,18M,18C,18Kと、記録シートを給送する給紙装置20と、定着装置22とが、筐体24に収納された構成を有している。
各作像ユニット18Y,…,18Kは、像担持体である感光体ドラム26Y,26M,26C,26Kと当該感光体ドラム表面を露光走査するための露光装置28Y,28M,28C,28Kの他に、帯電器30Y,30M,30C,30K、現像装置32Y,32M,32C,32K、クリーナー34Y,34M、34C,34K、および1次転写ローラー36Y,36M,36C,36Kなどを有している。
給紙装置20は、記録シートを収納する給紙カセット38と、この記録シートを給紙カセット38から繰り出すためのピックアップローラー40、後述する2次転写ローラー42に送り出すタイミングをとるためのレジストローラー44などからなる。
各感光体ドラム26Y,…,26Kは、露光装置28Y,…,28Kによる露光を受ける前にクリーナー34Y,…,34Kで表面の残存トナーが除去された後、帯電器30Y,…,30Kにより一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で上記露光を受けると、感光体ドラム26Y,…,26Kの表面に静電潜像が形成される。
各静電潜像は、それぞれ各色の現像装置32Y,…,32Kにより現像され、これにより感光体ドラム26Y,…,26K表面にY,M,C,Kのトナー像が形成され、各転写位置において転写ベルト12の裏面側に配設された1次転写ローラー36Y,…,36Kの静電的作用により、転写ベルト12の表面上に順次転写されていく。
この際、各色の作像動作は、そのトナー像が、走行する転写ベルト12の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにすべく、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
一方、給紙装置20では、上記した転写ベルト12への作像タイミングに合わせて、給紙カセット38から記録シートが給紙され、2次転写ローラー42と駆動ローラー14とが対向する位置(以下、「2次転写位置」と言う。)へと搬送される。
当該2次転写位置において、2次転写ローラー42の静電的作用により、転写ベルト12上のトナー像が記録シートへ再転写(2次転写)される。
トナー像が転写された記録シートは、さらに、定着装置22にまで搬送される。記録シートは、定着装置22において高熱下で加圧され、その表面のトナー粒子がシート表面に融着して定着(熱定着)された後、排紙ローラー46によって排紙トレイ48上に排出される。
<定着装置>
図2は、定着装置22の概略構成を示す斜視図である。
定着装置22は、抵抗発熱層70(図3(a))を有し細長い略円筒状をした定着ベルト50と、定着ベルト50の内側に定着ベルト50に平行に遊挿された弾性体ローラー52と、定着ベルト50の外側に定着ベルト50と平行に配された加圧部材である加圧ローラー54と、定着ベルト50に電力を供給するための一対の給電部材56,58と、温度センサー60,62などを備えている。
上記部材を有する定着装置22において、加圧ローラー54が、定着ベルト50を介して弾性体ローラー52を押圧していて、これにより定着ベルト50の一部が円弧状に凹んで、定着ベルト50と加圧ローラー54との間で定着ニップN(図4)が形成されている。
また、加圧ローラー54は、不図示のモーターを動力源とし、不図示の動力伝達機構を介して矢印Aの方向に回転駆動される。定着ベルト50と弾性体ローラー52とは、加圧ローラー54の回転に従動して、矢印Bの方向に走行あるいは回転する。
以下、定着装置22における各構成要素について詳しく説明する。
(定着ベルト)
定着ベルト50は、その幅方向(軸心方向)における両端部に、給電部材56,58と接触して、電源64からの電力供給を受ける受電部材である電極としてフランジ付電極66,68を有している。
図3(a)は、定着ベルト50の積層構造を説明するための、フランジ付電極68側の端部を含む部分における縦断面図である。
図3(a)に示すように、フランジ付電極68が設けられていない領域では、内側から抵抗発熱層70、補強層72、弾性層74、および離型層76がこの順で積層された構造をしている。
フランジ付電極68は、抵抗発熱層70の端部周面(本例では、内周面)に幅方向(軸心方向)における一部が重なった接触状態(積層状態)で接合されている(導電状態で積層されている)。この積層部から前記幅方向の外側(図3(a)における左側)に延出された部分は、図3(a)に示すように、フランジ付電極68の単層構造(非積層部)になっている。なお、定着ベルト50のもう一方のフランジ付電極66側の端部も上記と同様の構成である。
抵抗発熱層70は、合成樹脂に導電フィラーを分散させたものであり、所定の電気抵抗率に調整されている。
合成樹脂には、PI(ポリイミド)、PPS(ポリフェニレンスルファイド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)等の耐熱性を有するものを用いることができるが、この中でも最も高い耐熱性を有するPIが好ましい。
導電フィラーには、Ag、Cu、Al、Mg、Ni等の金属粉末や、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素化合物粉末を用いることができる。これらは、1種類単体で用いても構わないし、2種種類以上を混合させて用いても構わない。導電フィラーの形状は、少ない含有量でフィラー同士の接触確率を高くし、パーコレーションしやすくするため、繊維状が好ましい。
合成樹脂中に分散させるフィラーの量は、炭素化合物の場合は、体積分率で40〜50[vol%]が好ましい。これは、分散させるフィラーの量が多すぎると、抵抗値が小さくなり過ぎて、電流・電力が電源の許容範囲を超えてしまい、少なすぎると、抵抗値が大きくなり過ぎて、発熱に必要な所望の電力が得られないからである。
抵抗発熱層70の厚みは、30〜150[μm]が好ましい。
抵抗発熱層70の電気抵抗率は、電圧、電力に応じ、抵抗発熱層70の厚み、径、長さ等で設定されるが、その大きさは、1.0×10-6〜1.0×10-2[Ω・m]程度であり、好ましい範囲は、1.0×10-5〜5.0×10-3[Ω・m]である。
なお、電気抵抗率の調整を目的として、金属合金や金属間化合物などの導電性粒子を適度に混入しても構わないし、機械的強度の向上のためにガラスファイバー、ウィスカ、酸化チタン、チタン酸カリウムなどを混入しても構わないし、熱伝導率の向上のために窒化アルミ、アルミナなどを混入しても構わない。
また、製造安定性を考慮して、イミド化剤、カップリング剤、界面活性剤、消泡剤を入れても構わない。
抵抗発熱層70は、芳香族テトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で重合して得られるポリイミドワニスに導電フィラーを均一に分散させてから、金型に塗布しイミド転化させて製造される。
補強層72は、導電フィラーが分散されている分、強度が低下している抵抗発熱層70を補強する役割を担っている。よって、抵抗発熱層70の強度が十分確保されている場合には、補強層72は必ずしも設ける必要はない。補強層72を構成する材料としては、PI、PPS、PEEK等の耐熱樹脂を用いることができる。この場合に、抵抗発熱層70との接着性を一層確保するため、抵抗発熱層70と同じ合成樹脂の組み合わせとするのが好ましい。補強層72の厚みは、5〜100[μm]程度が好ましい。
弾性層74は、形成されるカラー画像に光沢ムラが生じるのを防止するために設けられている。弾性層74は、シリコーンゴム、フッ素ゴムその他の耐熱性の高いゴム材料で形成されている。弾性層74の厚みは、100〜300[μm]程度が好ましい。
離型層76は、熱定着後における記録シートとの離型性を高めるために設けられており、水との接触角は90度以上、好ましくは110度以上であり、表面粗さは、Ra:0.01〜50[μm]の範囲が好ましい。離型層76は、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)で形成され、フッ素系チューブまたはフッ素系コーティング等で構成される。これらは、絶縁性材料であるが、導電性材料で形成する場合もある。フッ素系チューブには、例えば、三井・デュポン フロロケミカル株式会社製の銘柄:PFA350−J、451HP−J、951HP Plus等を用いることができる。離型層76の厚みは、5〜100[μm]の範囲が好ましい。
フランジ付電極68は、定着ベルト50のベルト幅方向における抵抗発熱層70の端部に、一部が導電状態で積層された積層部と当該積層部からベルト幅方向の外側に延出された非積層部とを含む環状をしている。なお、もう一方のフランジ付電極66もフランジ付電極68と同じ構成であり、抵抗発熱層70との接合態様も同様なので、フランジ付電極68を代表に、さらに図3(b)を参照しながら説明する。図3(b)は、フランジ付電極68単体を外力が働いていない状態を表した斜視図である。
フランジ付電極68は、円筒部68Aと円筒部68Aの一端部において、径方向に張り出したフランジ部68Bとを有する。構成部材的には、フランジ付電極68は、円筒部材78と中空の円板部材80とが組み合わされてなるものである。
円筒部材78および円板部材80は、導電性を有する材料で形成されている。具体的には、銅、アルミ、ニッケル、ステンレス、真鍮、リン青銅などで形成されるが、この中でも、電気抵抗率が低く耐熱性、耐酸化性に優れたニッケル、ステンレス、アルミ等を用いるのが好ましい。
円筒部材78に関し、その外径は20〜40[mm]の範囲で、厚みは60〜80[μm]の範囲で、全長は20〜30[mm]の範囲で、それぞれ設定される。
円板部材80の外径は、円筒部材78の外径よりも14[mm]大きく設定される。よって、円板部材80の外径は、円筒部材78の外径の大きさに応じ、34〜54[mm]の範囲で設定される。
円板部材80は、その内周側の一端部において、厚み方向に突出したボス部80Aを有し、ボス部80Aに円筒部材78の一端部が圧入されて、円筒部材78と円板部材80とが一体的に組み合わされている。ボス部80Aの径方向の厚みは、0.5[mm]である。
なお、上記の例では、二つの部材(円筒部材78、円板部材80)を組み合わせて、フランジ付電極68を構成したが、これに限らず、フランジ付電極68は、単一の部材で構成しても構わない。そのようなフランジ付電極は、例えば、金属円板(材料は、上記に列挙したもの)を深絞り成形することにより得られる。すなわち、金属円板を深絞りして、カップ状の部材を作成し、絞られずに残存するフランジを適当な大きさの円形(円環状)に切断してフランジ部68を形成し、前記カップ状をした部分の底部を切断し、残る側面で円筒部68を構成するのである。
(弾性体ローラー)
図4に、定着ベルト50の幅方向(軸心方向)における中央位置で、定着ベルト50、弾性体ローラー52、および加圧ローラー54を切断した横断面図を示す。
弾性体ローラー52は、芯金82外周に、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどからなる発泡弾性体で形成され耐熱性を有した弾性層84が設けられてなるものである。
芯金82は、例えば、アルミニウム、鉄等の金属からなる。芯金82は、図4では中実の丸棒を例に示しているが、中空の丸棒(パイプ)でも構わない。
(加圧ローラー)
加圧ローラー54は、芯金86の外周に弾性層88、離型層90がこの順で形成されてなるものであり、外径が20〜100[mm]である。
芯金86は、例えば、アルミニウム、鉄等の金属からなる。芯金86は、図4では中実の丸棒を例に示しているが、中空の丸棒(パイプ)でも構わない。パイプで構成する場合には、その厚み(肉厚)が1〜10[mm]のものが用いられる。
弾性層88は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性の高い弾性体で形成され、厚みが1〜20[mm]である。
離型層90は、離型層76は、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などで形成され、フッ素系チューブまたはフッ素系コーティング等で構成される。これらは、絶縁性材料であるが、導電性材料で形成する場合もある。離型層90の厚みは、5〜100[μm]である。
(給電部材)
図2に戻り、給電部材56,58は、例えば、直方体状をしたカーボンブラシであり、摺動性および導電性を有する銅黒鉛質や炭素黒鉛質等の材料からなる。給電部材56,58の各々は、フランジ付電極66,68の各々に摺接している。この摺接の態様は、いずれの給電部材56,58も同様なので、図3(a)を参照しながら、給電部材58を代表に説明する。
給電部材58は、圧縮コイルばね94の付勢力によって、フランジ付電極68のフランジ部68Bの一方の主面に垂直に弾性圧接されている。これにより、給電部材58は、フランジ付電極68に対し定着ベルト50のベルト幅方向に弾性圧接されている。
同様に、もう一方の給電部材56も圧縮コイルばね92の付勢力によって、フランジ付電極66に対し定着ベルト50のベルト幅方向に弾性圧接されている(図2)。
なお、給電部材56,58をフランジ付電極66,68に対して付勢する付勢手段は、圧縮コイルばねに限らず、他の弾性部材、例えば板ばね、スポンジなどを用いても構わない。
給電部材56,58は、リード線96によって電源64に接続されている。
上記の構成からなる定着装置22によれば、前述した従来よりも給電部材と電極との間の接触状態を良好に維持でき、もって、スパークの発生を抑制できる理由について、以下説明する。
従来は、給電部材を電極に対し、定着ベルトの径方向から弾性圧接させている。定着ベルトには、走行中に前述のようにばたつきが生じる。このばたつきによって、電極の給電部材との接触部位が瞬間的に径方向に変位する。給電部材が、電極の瞬間的なに追従できずに、給電部材と電極との間に間隙が生じ、その結果、給電部材と電極との間でスパークが生じる。
これに対し、上記実施の形態では、給電部材をフランジ付電極に対し、定着ベルトの幅方向(回転軸方向)に弾性圧接させている。定着ベルトは、走行中にその幅方向に変位するが、その変位は比較的緩やかであるため、給電部材は、当該変位に追従してフランジ付電極との接触を維持する。その結果、スパークを抑制することができるのである。
また、定着ベルト(フランジ付電極)の定着ベルト幅方向の変位は、緩やかであるため、給電部材とフランジ付電極との接触を維持するために、給電部材をフランジ付電極に強く押し付ける(圧接力を大きくする)必要がない。すなわち、給電部材とフランジ付電極との間の摩擦力を増大させる必要がないため、摩耗の進行を抑制することができ、両者の短寿命も防止することができる。
さらに、上記実施の形態では、定着ベルト50両端部におけるフランジ付電極66,68のフランジ部66B,68Bの定着ベルト50の方向における外側の主面に給電部材56,58を内側に向かって圧接させているため、両給電部材56,58が従来の蛇行規制部材と略同様に機能することとなる。このため、従来のような蛇行規制部材を設ける必要がなくなるため、定着装置を構成するための部品点数を削減することができる。
なお、上記実施の形態では、給電部材56,58をフランジ付電極66,68のフランジ部66B,68Bの定着ベルト50のベルト幅方向における外側の主面に摺接させているが、反対側の主面(すなわち、定着ベルト50のベルト幅方向における内側の主面)に弾性圧接させても構わない。
<実施の形態2>
実施の形態1では、フランジ付受電部材であるフランジ付電極66,68においてフランジ部66B,68Bを、フランジ付電極66,68の長さ方向(定着ベルト50のベルト幅方向)における端部に設けることとしたが、実施の形態2では、略中央部(中程)に設けることとした。
実施の形態2に係る定着装置は、実施の形態1の定着装置とは、フランジ付電極の構成が異なる以外は、実質的に同様の構成である。よって、実質的に同様の部材には、実施の形態1と同じ符号を付して、説明を省略するか簡単に言及するにとどめ、以下異なる部分を中心に説明する。
図5(a)に、実施の形態2における定着ベルト98の、フランジ付電極100側の端部を含む部分における縦断面図を示す。
実施の形態2のフランジ付電極100は、実施の形態1のフランジ付電極68の円板部材80(図3(a))に代えて、フランジ付円筒部材102を備えた構成をしている。
フランジ付円筒部材102の円筒部102Bの外径の大きさは、円筒部材78と同じに設定される。また、円筒部102Bの厚みは、例えば、1[mm]に設定される。
フランジ付電極100の全長L1は、20〜30[mm]の範囲で設定され、フランジ付円筒部材102における円筒部102Bの全長L2は、例えば、15[mm]に設定される。フランジ付円筒部材102におけるフランジ部102Cの厚みは、例えば、2[mm]に設定される。
また、円筒部102Bからは、実施の形態1と同様、ボス部102Aが延出されていて、ボス部102Aに、円筒部材78が圧入されている。
図5(a)から分かるように、フランジ付電極100は、フランジ付円筒部材102の円筒部102Bと円筒部材78とで、全体としての円筒部が構成されている。そして、当該円筒部の長さ方向における中程において、径方向の張り出したフランジ部102Cが、フランジ付電極100の全体におけるフランジ部でもある。
給電部材58は、実施の形態1の場合と同様、定着ベルト98のベルト幅方向における外側のフランジ部102C主面に対し、当該定着ベルト幅方向に弾性圧接されている。ここで、フランジ部102Cにおいて、給電部材58が摺接する主面と反対側主面の、給電部材58と対向する部分を支持するバックアップ部材104を設けることとしても構わない。換言すると、給電部材58に圧接されるフランジ部102Cを、フランジ部102Cを介して給電部材58と対向する位置で支えるバックアップ部材104を設けても構わない。バックアップ部材104は、バー材(角材)からなり、耐摩耗性と低摩擦性を有する材料、例えば、フッ素樹脂で形成することができる。バックアップ部材104は、フランジ部102と摺接する端部部分とは反対側の端部部分が、不図示の筐体に固定されている。
バックアップ部材104は、必須の構成部材ではないが、これを設けることによって、フランジ付電極100の変形を防止することができると共に、定着ベルトの走行を安定させることができる。
なお、上記の例では、給電部材58をフランジ付電極100のフランジ部102Cの定着ベルト98のベルト幅方向における外側の主面に摺接させているが、図5(b)に示すように、反対側の主面(すなわち、定着ベルト98のベルト幅方向における内側の主面)に摺接させても構わない。この場合にも、フランジ部102Cを介して給電部材58と対向させて、バックアップ部材104を設けることとしても構わない。上記の図5(a)に示す例では、設置スペースの関係上、バックアップ部材104の周面をフランジ部102Cに摺接させているが、図5(b)に示す例では、バックアップ部材104の長手方向における端面をフランジ部102Cに摺接させている。このようにすれは、バックアップ部材104を曲げようとする(撓ませようとする)外力が働かないため、より強固に支持することができる。
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は上記した形態に限らないことは勿論であり、例えば、以下のような形態としても構わない。
(1)上記実施の形態では、フランジ付電極1個に対し給電部材を1個設けたが、これに限らず、フランジ付電極1個に対し給電部材を複数個設けても良い。実施の形態1において、フランジ付電極68に対し給電部材58を2個設けた例を図6に示す。
複数個設ける場合、当該複数個の給電部材は、フランジ部68Bの軸心方向から視て、当該軸心を中心とする回転対称に配することが好ましい。このように配置することにより、フランジ付電極が給電部材から受ける力のバランスが良好になるため、定着ベルトの走行性が損なわれず、より安定した給電を行うことができる。なお、実施の形態2において、各フランジ付電極に対し、複数個の給電部材を設けても良いことは言うまでもない。
また、給電部材を複数個設ける場合、図6に示す例では、フランジ付電極のフランジ部の片側主面にのみ当該複数個の給電部材を配置しているが、これに限らず、両側主面に分散させて設けることとしても構わない。
(2)実施の形態2において、バックアップ部材104を設けたが、実施の形態1においても、同様に、バックアップ部材を設けても構わない。
また、上記の例では、バックアップ部材104を、低摩擦性を有する材料で構成したがこれに限らず、バックアップ部材とフランジ部摺接面(主面)との間の摩擦力を低減するため、フランジ部の主面に、例えば、フッ素樹脂コーティングなどの低摩擦化表面処理を施すこととしても構わない。
(3)上記実施の形態では、定着ベルト内側に、加圧ローラーと対向させて、弾性体ローラーを遊挿したが、これに限らず、弾性体ローラーの外径を定着ベルトの内径と略同じ大きさにし、弾性体ローラーの外周面全体が定着ローラー内周面に密接する構成としても構わない。このようにしても、弾性体ローラーが発泡弾性体といった比較的柔軟な材料で構成されているため、定着ベルトは径方向に容易に変位し、その走行中に上述したばたつきは発生する。
(4)上記実施の形態では、プリンターを例に説明したが、本発明に係る画像形成装置は、プリンターに限らず他の画像形成装置、例えば複写機やファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機などに適用可能である。すなわち、電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、ここまで説明した定着装置を備えている画像形成装置に適用できるのである。
本発明に係る定着装置は、プリンター、複写機、ファクシミリ装置、あるいは、これらの機能を有する複合機などの定着装置として好適に利用可能である。
22 定着装置
50 定着ベルト
54 加圧ローラー
56,58 給電部材
66,68,100 フランジ付電極
68A 円筒部
68B,102C フランジ部
70 抵抗発熱層

Claims (4)

  1. 抵抗発熱層を含む定着ベルトの外周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
    ベルト幅方向における前記抵抗発熱層の両側端部に、フランジ付受電部材の筒状部の一部が接触する状態で設けられ、フランジ部には、少なくとも一つの給電部材が前記ベルト幅方向に弾性圧接されていることを特徴とする定着装置。
  2. 前記給電部材に圧接されるフランジ部を、当該フランジ部を介して前記給電部材と対向する位置で支えるバックアップ部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記定着ベルト内側に、前記加圧部材と対向させて弾性体ローラーが遊挿されていることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
  4. 電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
    前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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