JP6031853B2 - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Description
当該定着装置は、記録シートに接触する定着ベルト自体に熱容量の低い発熱体(抵抗発熱層)を持たせているため、電力の供給開始から定着可能状態に達するまでのウォームアップ時間が短く、消費電力が少ないといった特徴を有している。
定着ベルトは、抵抗発熱層を含み、ベルト幅方向における当該抵抗発熱層の両側端部に、一部が導電状態で積層された積層部と当該積層部からベルト幅方向の外側に延出された非積層部とを含む一対の筒状をした受電部材である電極を有している。
定着ベルトの内周側には、当該定着ベルトと平行に弾性体ローラーが挿入されている。一方、定着ベルトの外周側には、当該定着ベルトと平行に、前記弾性体ローラーに対向させて加圧ローラーが設けられている。
そして、加圧ローラーを回転させることにより、前記定着ベルトが従動走行し、前記一対の電極に、これに摺接する給電部材を介して給電することにより前記抵抗発熱層が発熱する。この状態で、前記定着ニップに記録シートを通紙することにより、記録シートに形成された未定着のトナー像が定着される。
定着ベルトの定着ニップにおいて、装置の累積稼動時間が長くなると、電極が形成されている部分と無い部分との境界で定着ベルトが破断してしまう。これは、電極が形成されている部分と無い部分とで、定着ベルトを構成する層構造が異なるため、両部分の剛性に差が生じるためである。すなわち、電極が形成されている部分は無い部分よりも剛性が高いため、電極が形成されている部分は、無い部分よりも変形し難い。このため、両部分間に変形量の差が生じ、両部分の境界で定着ベルトの1回転を1周期とする繰り返し応力が発生し、これが原因でやがて破断してしまうのである。これにより、定着ベルトの寿命が短くなってしまう。
上記の目的を達成するため、本発明に係る画像形成装置は、電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、上記の定着装置を備えていることを特徴とする。
<実施の形態1>
図1は、タンデム型フルカラープリンター10(以下、単に「プリンター10」と言う。)の概略構成を示す図である。
各感光体ドラム26Y,…,26Kは、露光装置28Y,…,28Kによる露光を受ける前にクリーナー34Y,…,34Kで表面の残存トナーが除去された後、帯電器30Y,…,30Kにより一様に帯電されており、このように一様に帯電した状態で上記露光を受けると、感光体ドラム26Y,…,26Kの表面に静電潜像が形成される。
この際、各色の作像動作は、そのトナー像が、走行する転写ベルト12の同じ位置に重ね合わせて転写されるようにすべく、上流側から下流側に向けてタイミングをずらして実行される。
当該2次転写位置において、2次転写ローラー42の静電的作用により、転写ベルト12上のトナー像が記録シートへ再転写(2次転写)される。
<定着装置>
図2は、定着装置22の概略構成を示す斜視図である。
また、加圧ローラー54は、不図示のモーターを動力源とし、不図示の動力伝達機構を介して矢印Aの方向に回転駆動される。定着ベルト50と弾性体ローラー52とは、加圧ローラー54の回転に従動して、矢印Bの方向に走行あるいは回転する。
(定着ベルト)
定着ベルト50は、その幅方向(軸心方向)における両端部に、給電部材56,58と接触して、電源64からの電力供給を受ける受電部材である筒状電極66,68を有している。
図3に示すように、筒状電極68が設けられていない領域では、内側から抵抗発熱層70、補強層72、弾性層74、および離型層76がこの順で積層された構造をしている。
筒状電極68は、抵抗発熱層70の端部周面(本例では、内周面)に幅方向(軸心方向)における一部が重なった状態(積層状態)で接合されている(導電状態で積層されている)。この積層部から前記幅方向の外側(図3における左側)に延出された部分は、図3に示すように、筒状電極68の単層構造(非積層部)になっている。なお、定着ベルト50の筒状電極66側の端部も上記と同様の構成である。
抵抗発熱層70は、合成樹脂に導電フィラーを分散させたものであり、所定の電気抵抗率に調整されている。
導電フィラーには、Ag、Cu、Al、Mg、Ni等の金属粉末や、グラファイト、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素化合物粉末を用いることができる。これらは、1種類単体で用いても構わないし、2種種類以上を混合させて用いても構わない。導電フィラーの形状は、少ない含有量でフィラー同士の接触確率を高くし、パーコレーションしやすくするため、繊維状が好ましい。
抵抗発熱層70の厚みは、30〜150[μm]が好ましい。
なお、電気抵抗率の調整を目的として、金属合金や金属間化合物などの導電性粒子を適度に混入しても構わないし、機械的強度の向上のためにガラスファイバー、ウィスカ、酸化チタン、チタン酸カリウムなどを混入しても構わないし、熱伝導率の向上のために窒化アルミ、アルミナなどを混入しても構わない。
抵抗発熱層70は、芳香族テトラカルボン酸ニ無水物と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で重合して得られるポリイミドワニスに導電フィラーを均一に分散させてから、金型に塗布しイミド転化させて製造される。
離型層76は、熱定着後における記録シートとの離型性を高めるために設けられており、水との接触角は90度以上、好ましくは110度以上であり、表面粗さは、Ra:0.01〜50[μm]の範囲が好ましい。離型層76は、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、ETFE(エチレン・四フッ化エチレン共重合体)で形成され、フッ素系チューブまたはフッ素系コーティング等で構成される。これらは、絶縁性材料であるが、導電性材料で形成する場合もある。フッ素系チューブには、例えば、三井・デュポン フロロケミカル(株)製の銘柄:P
FA350−J、451HP−J、951HP Plus等を用いることができる。離型層76の厚みは、5〜100[μm]の範囲が好ましい。
筒状電極68は、導電性を有する材料で形成されている。具体的には、銅、アルミ、ニッケル、ステンレス、真鍮、リン青銅などで形成されるが、この中でも、電気抵抗率が低く耐熱性、耐酸化性に優れたニッケル、ステンレス、アルミ等を用いるのが好ましい。
筒状電極68は、内周面にその幅方向に延びる凹条部68Aが周方向に所定の間隔で(本例では、等間隔で)で列設されてなる形状を有している。凹条部68Aの形成により、隣接する凹条部68A間には、幅方向に延びる凸条部68Bが形成されている。
円筒状をした金型に筒状電極66を外挿し、筒状電極66の抵抗発熱層70との接合予定領域以外の領域をマスキングした状態で、抵抗発熱層70となる材料を、前記接合予定領域および金型の外周面に塗布し、これを乾燥させて固化させることにより接合させる。
あるいは、先ず、抵抗発熱層70、補強層72、弾性層74、および離型層76が内側からこの順で積層されてなる筒状体を形成した後、筒状電極66を当該筒状体に挿入して、導電性接着剤により接合することとしても構わない。
(弾性体ローラー)
図5に、定着ベルト50の幅方向(軸心方向)における中央位置で、定着ベルト50、弾性体ローラー52、および加圧ローラー54を切断した横断面図を示す。
芯金78は、例えば、アルミニウム、鉄等の金属からなる。芯金78は、図5では中実の丸棒を例に示しているが、中空の丸棒(パイプ)でも構わない。
(加圧ローラー)
加圧ローラー54は、芯金82の外周に弾性層84、離型層86がこの順で形成されてなるものであり、外径が20〜100[mm]である。
弾性層84は、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどの耐熱性の高い弾性体で形成され、厚みが1〜20[mm]である。
(給電部材)
図2に戻り、給電部材56,58は、例えば、直方体状をしたカーボンブラシであり、摺動性および導電性を有する銅黒鉛質や炭素黒鉛質等の材料からなる。給電部材56,58の各々は、圧縮コイルばね88,90の付勢力によって、筒状電極66,68の外周面に押圧されている。また、給電部材56,58は、リード線92によって電源64に接続されている。
(蛇行規制部材)
蛇行規制部材94,100は、定着ベルト50の幅方向(軸心方向)における両端部に設けられていて(図2では、一方の蛇行規制部材94のみを図示)、従動する定着ベルト50が許容範囲を超えて蛇行する(その幅方向に移動する)のを防止するために設けられている。
蛇行規制部材94,100は、それぞれ、リング部材96,102と案内板98,104を有している。
リング部材96,102は、径方向に所定の幅を有する円環状をしている。当該所定の幅の部分が、筒状電極66,68の走行経路と対向する位置になるように、案内板98,104に支持されている。
上記の構成からなる蛇行規制部材94,100によれば、定着ベルト50がその幅方向(軸心方向)に移動しても、当該移動方向側の筒状電極66または筒状電極68の端縁が、リング部材96またはリング部材102に当接して、それ以上の移動が規制される。
図2に戻り、上記の構成からなる定着装置22において、定着の実行中、加圧ローラー54が回転駆動され、定着ベルト50がこれに従動して周回走行する。定着ベルト50の外周面に加圧ローラー54を押圧して形成された定着ニップN(図5)に、未定着画像の形成された記録シートが通紙されて熱定着される。
以上説明したように、実施の形態1における筒状電極66,68は、外周面にベルト幅方向に延びた凹条部68Aが周方向に列設されてなるものとしたことにより、換言すると、その縦断面における面積が第1の大きさとなる凸条部68Bと、当該面積が第1の大きさよりも小さな第2の大きさとなる凹条部68Aとが、周方向において交互に形成したことにより、構造的に、幅方向における外力に対する剛性が、径方向における外力に対する剛性よりも相対的に増加する形状となっているため、上述した破断や変形を可能な限り抑制することができる。
<実施の形態2>
実施の形態2に係る定着装置は、実施の形態1の定着装置とは、筒状電極の形状が異なる以外は、同じ構成である。よって、異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1の筒状電極68は、その内周面に凹条部68Aと凸条部68Bを形成したが、実施の形態2の筒状電極106では、外周面に凹条部106Aと凸条部106Bを形成している。
なお、給電部材56,58(図2)が摺接する外周面に凹凸が形成されているが、凹凸差が数十μm、周方向の間隔が500〜2000[μm]程度なので、当該凹凸を設けたことに起因し、給電部材56,58が筒状電極106外周面から離間してスパークが生じる等の不具合は発生しない。
<実施の形態3>
実施の形態3に係る定着装置も、実施の形態1,2の定着装置とは、筒状電極の形状が異なる以外は、同じ構成である。よって、異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1,2では、構造的に、幅方向における外力に対する剛性が、径方向における外力に対する剛性よりも相対的に増加する形状とするため、その縦断面における面積が第1の大きさとなる第1の部分(凸条部)と、当該面積が第1の大きさよりも小さな第2の大きさとなる第2の部分(凹条部)とを、周方向において交互に形成した。すなわち、厚みの厚い部分と薄い部分とを設けることとしたが、実施の形態3では、厚みを一様とし、複数の穴108Hを、幅方向に列状に開設することにより、上記第2の部分を創設することとした。
なお、幅方向において、穴108Hは、少なくとも、筒状電極108が、抵抗発熱層70(図3)と重なる領域に設けられるが、給電部材56,58(図2)が摺接する領域には、給電の安定性を確保する観点から、設けない方が好ましい。
<実施の形態4>
実施の形態4に係る定着装置も、実施の形態1、2の定着装置とは、筒状電極の形状が異なる以外は、同じ構成である。よって、異なる部分を中心に説明する。
実施の形態1、2の筒状電極は、外周面と内周面のいずれか一方に、凹条部を形成して、上記所定の効果を得ることとした。換言すると、実施の形態1、2の筒状電極は、厚みが異なる領域を設けることによって、上記所定の効果を得ることとした。
なお、この場合の厚みとは、外周面または内周面における法線方向の厚みである。
なお、給電部材56,58(図2)が摺接する外周面に凹凸が形成されているが、凹凸差が上記の程度なので、実施の形態2の場合と同様、当該凹凸を設けたことに起因し、給電部材56,58が筒状電極110外周面から離間してスパークが生じる等の不具合は発生しない。
(1)上記実施の形態1,2(図4、図7)では、凹条部の横断面を、弧状をした滑らかな曲線形状としたが、これに限らず、矩形状としても構わない。
(2)上記実施の形態3(図8)では、筒状電極108に開設した穴108Hは貫通穴としたが、これに限らず、非貫通穴(有底穴)としても構わない。これによっても、厚みの薄い部分が形成されるため、同様の効果が得られるからである。
(4)上記実施の形態では、給電部材を筒状電極の外周面に摺接させたが、これに限らず、内周面側に設けて当該内周面に摺接させても構わない。
(5)上記実施の形態では、加圧ローラーは定着ベルトをその全長に渡って押圧したが、押圧範囲は、必ずしも全長に渡る必要はない。通紙領域に適切な定着ニップが形成できる範囲を押圧すれば良いのである。
(7)上記実施の形態では、プリンターを例に説明したが、本発明に係る画像形成装置は、プリンターに限らず他の画像形成装置、例えば複写機やファクシミリ、あるいはこれらの機能を有する複合機などに適用可能である。すなわち、電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、ここまで説明した定着装置を備えている画像形成装置に適用できるのである。
22 定着装置
50 定着ベルト
54 加圧ローラー
66,68,106,108,110 筒状電極
70 抵抗発熱層
94,100 蛇行規制部材
Claims (4)
- 抵抗発熱層を含む定着ベルトの外周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
ベルト幅方向における前記抵抗発熱層の両側端部に、一部が導電状態で積層された積層部と当該積層部からベルト幅方向の外側に延出された非積層部とを含む一対の筒状をした受電部材と、
各受電部材の前記非積層部に対応する外周面部分もしくは内周面部分に摺接する給電部材と、
各受電部材の前記非積層部の外縁に当接して、定着ベルトの幅方向の移動を規制する蛇行規制部材と、
を備え、
前記受電部材は、
その外周面と内周面の両方に、前記ベルト幅方向に延びた凹条部が周方向に列設されており、当該受電部材の横断面において、周方向に隣接する前記外周面の凹条部部分と前記内周面の凹条部部分とで1周期分の波形状となるよう、当該外周面の凹条部と当該内周面の凹条部とが、前記周方向にずらして設けられていることを特徴とする定着装置。 - 抵抗発熱層を含む定着ベルトの外周面に加圧部材を押圧して定着ニップを形成し、未定着画像の形成されたシートを当該定着ニップに通紙して熱定着する定着装置であって、
ベルト幅方向における前記抵抗発熱層の両側端部に、一部が導電状態で積層された積層部と当該積層部からベルト幅方向の外側に延出された非積層部とを含む一対の筒状をした受電部材と、
各受電部材の前記非積層部に対応する外周面部分もしくは内周面部分に摺接する給電部材と、
各受電部材の前記非積層部の外縁に当接して、定着ベルトの幅方向の移動を規制する蛇行規制部材と、
を備え、
前記受電部材は、その縦断面における面積が第1の大きさとなる第1の部分と、当該面積が第1の大きさよりも小さな第2の大きさとなる第2の部分とが、周方向において交互に形成されてなり、
前記受電部材の前記第2の部分は、受光部材の厚み方向における、貫通穴もしくは非貫通穴が、前記ベルト幅方向に列状に複数開設された部分であることを特徴とする定着装置。 - 前記複数の貫通穴もしくは非貫通穴は、前記積層部に開設されていることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
- 電子写真方式によって記録シートに画像を形成する画像形成装置であって、
前記記録シートに形成されたトナー像の定着装置として、請求項1〜3のいずれか1項に記載の定着装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。
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