JP2014040507A - ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体 Download PDF

Info

Publication number
JP2014040507A
JP2014040507A JP2012182621A JP2012182621A JP2014040507A JP 2014040507 A JP2014040507 A JP 2014040507A JP 2012182621 A JP2012182621 A JP 2012182621A JP 2012182621 A JP2012182621 A JP 2012182621A JP 2014040507 A JP2014040507 A JP 2014040507A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
outer layer
particles
foamed
particle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012182621A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6026814B2 (ja
Inventor
Norinaga Nohara
徳修 野原
Masaharu Oikawa
政春 及川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSP Corp
Original Assignee
JSP Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by JSP Corp filed Critical JSP Corp
Priority to JP2012182621A priority Critical patent/JP6026814B2/ja
Publication of JP2014040507A publication Critical patent/JP2014040507A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6026814B2 publication Critical patent/JP6026814B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Manufacture Of Porous Articles, And Recovery And Treatment Of Waste Products (AREA)

Abstract

【課題】連続気泡構造を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子が抱えていた型内成形性や金型形状再現性に劣るという課題を解決したポリオレフィン系樹脂発泡粒子、および該発泡粒子を成型してなる柔軟性、回復性、吸音性等、連続気泡構造の発泡体に要求される優れた性能を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
【解決手段】ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子の隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の外層部を有し、該外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
【選択図】図4

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体に関し、詳しくは、連続気泡構造の発泡体の性能が付加された多層構造の型内成形可能なポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその型内成形体に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は高い独立気泡率を維持していることから、該発泡粒子の型内成形において、発泡粒子加熱時の発泡粒子の膨張力(以下、二次発泡力という。)と発泡粒子表面の融解に起因して良好な型内成形性を有しており、用途に応じた種々の形状に成形することができ、その優れた発泡粒子、あるいは発泡粒子成形体の特性や性能により、包装材料や建築材料、車輌用衝撃吸収材料などに広く使用されている。
ポリオレフィン系樹脂発泡粒子は独立気泡率が低くなるほど型内成形時の二次発泡力が小さく発泡粒子相互の融着性が不十分となりやすい。過度に独立気泡率が低い発泡粒子、即ち、連続気泡構造の発泡粒子では、上記のとおり融着性が不十分になるため、融着性を確保する為に型内成形加熱温度を高めたとしても成形収縮が大きくなり、寸法保持性が良好な発泡粒子成形体を得ることができなくなる。一方、押出発泡法等により得られる連続気泡構造の発泡体は、柔軟性、吸音性、吸着性等の性能を生かした種々の用途に使用されている。そのような状況下、立体形状のものが型内成形により一体成形できる発泡粒子成形体においても、柔軟性、吸音性、吸着性等の性能に優れる連続気泡構造のものが求められている。しかしながら、連続気泡構造の発泡粒子成形体を得るために連続気泡構造の発泡粒子を採用しても、上記のとおり成形性の課題を有するものであり、連続気泡構造の発泡粒子成形体を得ることは困難であった。
従来、連続気泡構造を有する発泡粒子成形体については、種々の検討が為されてきた。
例えば、特許文献1には、合成樹脂発泡成形体の表層部を加熱して連続気泡化させ表層部に連続気泡層を形成し、内層部に独立気泡層が形成された発泡成形体とその製造方法が開示されている。この方法によれば、発泡成形体表層部を連続気泡構造とし内層部は独立気泡構造の発泡成形体を得ることが可能である。しかしながら、独立気泡構造の発泡成形体を加熱により連続気泡化する場合、該加熱により成形体が収縮し寸法保持性に劣る課題があった。
特許文献2には、発泡性熱可塑性樹脂粒子の表面に可塑剤をコーティングした後、加熱発泡させると共にその表面を溶融し表面に陥没部を有する熱可塑性樹脂発泡粒子とし、この発泡粒子を型内成形して発泡成形体とすることが開示されている。この方法では、具体的にはポリスチレン系樹脂発泡粒子を可塑剤により連続気泡化するものであるので耐薬品性や耐油性に優れたものを得ることが困難であり、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子に応用することが難しい技術であった。
特許文献3には、独立気泡率を50%以上70%以下に調整したポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体が開示されている。このポリプロピレン系樹脂発泡成形体は連続気泡化の手段としては、低融点ポリマーや無機物質を混合してなる独立気泡率を50%以上70%以下に調整したポリプロピレン系樹脂発泡粒子を型内成形することによる方法である。この方法では、連続気泡率が50%を超える発泡粒子成形体を得ようとすると、発泡粒子の連続気泡率も高くしなければならないため、型内成形性が劣るものとなってしまう。したがって、この方法で得られる発泡粒子成形体は連続気泡率を更に高くすることが困難なため連続気泡構造に求められる吸音性、柔軟性等の性能向上の効果が小さいものであった。
特許文献4には、気泡オープナーを含む40%より大きい連続気泡率のポリプロピレン系樹脂発泡粒子およびその製造法が開示されているが、このポリプロピレン系樹脂発泡粒子は前記のとおり型内成形性に劣るものであった。
上記特許文献のいずれの技術も連続気泡を有する発泡成形体や発泡粒子の連続気泡化の手段について開示されてはいるものの連続気泡構造を有し型内成形性の優れたポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体を開示するものではない。
特開平7−290080号公報 特開2007−197471号公報 特開2006−297807号公報 特表2006−509051号公報
本発明は、従来の連続気泡構造を有するポリオレフィン系樹脂発泡粒子が抱えていた型内成形性や金型形状再現性に劣るという課題を解決できる特殊な構造のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を提供すること、また、従来のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体が抱えていた、柔軟性、回復性、吸音性等、連続気泡構造の発泡体に要求される性能面の改善効果が不十分であった課題を改善できる特殊な構造のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行い、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を構成する気泡構造に注目し、発泡粒子の外層部に比較的独立気泡率の高い発泡層を形成し、発泡粒子芯部に独立気泡率の低い部分を形成した構造の発泡粒子を見出した。
すなわち、本発明は以下の[1]〜[7]を要旨とするものである。
[1]ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子は、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の外層部を有し、該外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[2]上記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリプロピレン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱量が5〜30(J/g)の吸熱ピークが現れることを特徴とする上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[3]上記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であり、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱量が10〜40(J/g)の吸熱ピークが現れることを特徴とする上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[4]上記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を構成しているポリオレフィン系樹脂が、下記の条件(1)〜(3)の少なくとも一つを満足することを特徴とする上記[1]に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
(1)上記外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークAが現れ、上記発泡粒子全体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークBが現れ、該吸熱ピークBの合計吸熱量が該吸熱ピークAの合計吸熱量よりも3(J/g)以上小さい。
(2)上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点が、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点よりも、3〜25℃高い。
(3)上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトが、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトよりも、10〜50(g/10分)高い。
[5]上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該外層部と該内層部との重量比が20:80〜80:20であることを特徴とする上記[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[6]上記外層部の外側に該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂よりも融点が低いか、または融点を示さない重合体からなる樹脂層を有することを特徴とする上記[1]〜[5]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内成形してなり、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の骨格部と、該骨格部間に存在し、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔している気泡破壊部とを有する、密度が0.02〜0.09g/cm、独立気泡率が60%以下のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造を形成している外層部を有することより、従来の連続気泡構造の発泡粒子では難しかった型内成形を可能にすることができる。また、該外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔した構造であるため、連続気泡構造の発泡体が備える柔軟性、回復性、吸音性等、連続気泡構造の発泡体に要求される性能を、発泡粒子およびその成形体において具備することができる。
本願発明の発泡粒子は、独立気泡構造の発泡粒子が有する型内成形性、金型形状再現性などの型内成形特性と、連続気泡構造の発泡体が有する柔軟性、回復性、吸音性、緩衝性、吸水性、貯水性、フィルタなどの物質選別性などの特性を兼ね備えることができる画期的な発泡粒子である。
また、上記発泡粒子を型内成形して得られる本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体も連続気泡構造の発泡体が有する柔軟性、回復性、吸音性、緩衝性、吸水性、貯水性、フィルタなどの物質選別性などの特性を備えることができるもので、3次元形状の型内成形による一体成形による形状選択の自由度も広く、包装材料、緩衝材料、建築材料、車輌部材、寝具芯材等として好適なものである。
実施例1、2、3の発泡粒子成形体の吸音率の測定結果を示すグラフである。 実施例4、5、6、7の発泡粒子成形体の吸音率の測定結果を示すグラフである。 比較例の発泡粒子成形体の吸音率の測定結果を示すグラフである。 本発明に係る発泡粒子の気泡構造の一例を示す発泡粒子断面であり、(1)〜(7)は、順に実施例1〜7にて得られた発泡粒子断面の拡大顕微鏡写真(倍率30倍)である。発泡粒子の外層部の構造に比べ発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が破壊、破断あるいは穿孔してその構造が連通孔状、繊維状、中空状もしくは空洞状、あるいはこれらが複合した構造を呈することを示す。図4(1)は繊維状と中空状の複合した構成、図4(2)、(3)及び(7)は繊維状の構成、図4(4)、(5)は大部分が中空状あるいは空洞状の構成、図4(6)は連通孔状の構成のものを示す。 比較例に係る発泡粒子の気泡構造を示す発泡粒子断面であり、(1)〜(4)は、順に比較例1〜4にて得られた発泡粒子断面の拡大顕微鏡写真((1)、(3)、(4)倍率30倍、(2)倍率20倍)である。
本発明の発泡粒子は、ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造を形成した外層部と、該外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔してその構造が、(1)連通孔状、(2)繊維状、(3)中空状もしくは空洞状、あるいはこれらを複合した構造の内層部或いは空洞とから形成されている。
すなわち、本発明に係る発泡粒子は、図4に示す発泡粒子断面の拡大顕微鏡写真にて確認できるように、発泡粒子外層部は従来の独立気泡構造の発泡粒子と同様に、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造が形成されており、該気泡膜壁には孔や破れ等は殆ど観察されない。該外層部の気泡構造により、発泡粒子の適度な機械的物性、発泡粒子の型内成形時の発泡粒子の収縮抑制効果や膨張能力維持性能などの型内成形性、発泡粒子成形体の形状保持性能などが発現される。なお、上記本発明の発泡粒子の性能が発現される限り、該外層部の気泡膜壁に孔や破れが稀に僅かに観察されるものでも差し支えない。
一方、本発明の発泡粒子は、外層部より発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、(1)気泡膜壁の一部が溶融することにより形成され、外層部の気泡膜壁に比べて多くの気泡膜が穿孔している多数の連通孔を有する気泡隔壁からなる連通孔状構造の内層部や、(2)気泡膜壁として形を留めない程度に気泡膜が溶融して引き伸ばされて形成された、無数の細い繊維状の樹脂体からなる繊維状構造の内層部や、(3)気泡膜壁が溶融、収縮して形成されることにより、該膜壁の溶融、収縮にて形成された非平坦面の壁にて囲まれた空洞となっている中空状部或いは空洞状部、あるいは該連通孔状、繊維状および中空状或いは空洞状の複合構造の内層部を形成している。
本発明に係る発泡粒子において、発泡粒子の外層部は隣接する気泡膜同士が独立した気泡構造を有しており、発泡粒子外層部より発泡粒子中心側の内側の構造、すなわち発泡粒子内部の構造が上記したごときの特殊な構造であることにより、発泡粒子として種々の特性を発現し得る。内部の構造が主として上記(1)の構造を有する発泡粒子では回復性や型内成形時の寸法保持性に特に優れ、主として(2)の構造を有する発泡粒子では吸音性に特に優れ、また主として(3)の構造を有する発泡粒子では柔軟性に特に優れるほか、本発明の発泡粒子は、連続気泡構造の発泡体が発現する優れた柔軟性、回復性、吸音性、緩衝性、吸水性、保水性、貯水性、フィルタ、担体などの性能を発現することができる。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂発泡粒子を構成する基材樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が挙げられる。
上記ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体が挙げられる。なお、上記プロピレン系共重合体としては、プロピレンとエチレン又は/及び炭素数4〜20の1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ブテンなどのα−オレフィンとのランダム共重合体、ブロック共重合体、ランダムブロック共重合体が例示され、具体的には、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体等の2元共重合体、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等の3元共重合体が好ましく例示される。また、プロピレン系共重合体中のプロピレン以外のコモノマー成分の割合は特に制限されるものではないが、該共重合体中のプロピレンに由来する構造単位が50重量%以上、更に70重量%以上、特に80〜99.5重量%含有するものであることが好ましい。
上記ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体などが挙げられる。また、エチレン系共重合体中のエチレン以外のコモノマー成分の割合は特に制限されるものではないが、該共重合体中のエチレンに由来する構造単位が50重量%以上、更に70重量%以上、特に80〜99.5重量%含有するものであることが好ましい。
また、本発明に使用される前記ポリオレフィン系樹脂のうち、後述する本発明の発泡粒子の製造方法に関連して、発泡粒子外層部に対応するポリオレフィン系樹脂と発泡粒子内部に対応するポリオレフィン系樹脂の少なくとも一方がメタロセン系重合触媒を用いて重合した樹脂とすることが外層部と内部との接着性の観点から好ましい。
本発明に使用される前記ポリオレフィン系樹脂としては、所望に応じてポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、エチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−1−ブテンゴム、プロピレン−1−ブテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエン系ゴム、イソプレンゴム、ネオプレンゴム、ニトリルゴムなどのゴム、スチレン−ジエンブロック共重合体やスチレン−ジエンブロック共重合体の水添物などの熱可塑性エラストマーなどが配合、或いは共重合されたものでもよい。これらの樹脂、ゴム、或いはエラストマーは2種以上を組合せて用いられていてもよい。
また、発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂は無架橋樹脂であっても、架橋された架橋樹脂であってもよいが、本発明の発泡粒子を得る上で、少なくとも後述する多層樹脂粒子の内部を構成するポリオレフィン系樹脂は無架橋ポリオレフィン系樹脂とすることが好ましい。
本発明の特殊な構成からなる発泡粒子は、該発泡粒子を得るための発泡前の多層樹脂粒子の層構成を調整することにより得ることができる。具体的には、発泡粒子外層部に対応する樹脂粒子の外層部を構成するポリオレフィン系樹脂と、発泡粒子内部に対応する樹脂粒子の内層部を構成するポリオレフィン系樹脂との軟化温度、溶融温度、流動性等の熱的特性の差異を利用して、以下の(あ)〜(う)の少なくとも一つの方法にて多層樹脂粒子の外層部および内層部を構成する樹脂を選定し、選定された樹脂を組合わせて構成される多層樹脂粒子を用いて、公知のポリオレフィン系樹脂粒子を密閉容器内の分散媒中に分散させ物理発泡剤の存在下で昇温、昇圧し、所定の保持工程を経て、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、発泡温度で該密閉容器から発泡剤を含有させた樹脂粒子と分散媒とを、密閉容器から低圧域に放出して発泡粒子を得る方法にて本発明の発泡粒子を得ることができる。
(あ)前記多層樹脂粒子の外層部を形成させ得る樹脂のみからなる樹脂粒子について、従来公知のポリオレフィン系樹脂粒子を密閉容器内の分散媒中に分散させ物理発泡剤の存在下で昇温、昇圧し、後述する保持工程にて、発泡粒子の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線にて確かめられる高温側の吸熱ピークを形成させ、その後、発泡温度で該密閉容器から発泡剤を含有する樹脂粒子と分散媒とを低圧域に放出して発泡粒子を得る操作を、発泡温度を1℃刻みに変えた条件(発泡温度以外の条件は同様)にて行い、各発泡温度における発泡粒子を得る。次いで熱流束示差走査熱量測定により得られた各発泡粒子の高温側の吸熱ピークの吸熱量を求め、発泡温度を横軸、高温側の吸熱ピークの吸熱量を縦軸とする発泡温度の上昇に伴い高温側の吸熱ピークの吸熱量aが直線的に減少する関係を示すグラフAを得る。
前記多層樹脂粒子の内部を形成させ得る樹脂のみからなる樹脂粒子についても同様にして発泡温度の上昇に伴い高温側の吸熱ピークの吸熱量cが直線的に減少する関係、或いは発泡温度の上昇に関係なく高温側の吸熱ピークの吸熱量cが一定の値を示すグラフCを得る。
そこで、両者のグラフに基づき、前記多層樹脂粒子から目標倍率の発泡粒子を得るために想定される発泡温度での上記グラフAから読み取れる高温側の吸熱ピークの吸熱量aの値が5J/g以上、該発泡温度での上記グラフCから読み取れる高温側の吸熱ピークの吸熱量cの値が0〜27J/g(0も含む)の条件を満足する多層樹脂粒子の外層部および内層部を構成する樹脂を選定する。なお、前記多層樹脂粒子から目標倍率の発泡粒子を得るために想定される発泡温度での上記グラフA、及びグラフCから読み取れる高温側の吸熱ピークの吸熱量a、cを比較して吸熱量aの値よりも、吸熱量cの値の方が概ね5J/g以上小さい、更に10J/g以上小さい関係を満足する外層部および内層部を構成する樹脂を選定することが好ましい。
(い)前記多層樹脂粒子の外層部と内層部を形成させ得る各々のポリオレフィン系樹脂の融点を比較して、該内層部を形成させ得る樹脂の融点よりも該外層部を形成させ得る樹脂の融点の方が概ね3〜25℃高い、好ましくは5〜20℃高い関係を満足するように、多層樹脂粒子の外層部および内層部を構成する樹脂を選定する。なお、前記多層樹脂粒子の外層部を形成するポリオレフィン系樹脂の融点は120〜160℃が好ましい。上記融点は、JIS K7121(1987)に記載の「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」を採用し(試験片の状態調節における加熱速度及び冷却速度はいずれも10℃/分とする。)、熱流束示差走査熱量測定により加熱速度10℃/分で昇温して得られるDSC曲線上の樹脂の融解に伴う吸熱ピークの頂点温度として求められる値とする。なお、DSC曲線上に複数の吸熱ピークが存在する場合には、最も面積の大きな吸熱ピークの頂点温度を融点とする。測定装置としては、ティー・エイ・インスツルメント社製DSCQ1000等を使用することができる。
(う)前記多層樹脂粒子の外層部と内層部を形成させ得る各々のポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトを比較して、該外層部を形成させ得る樹脂のメルトフローレイトよりも該内層部を形成する樹脂のメルトフローレイトの方が概ね10〜50(g/10分)高い、好ましくは15〜45(g/10分)高い関係を満足するように、多層樹脂粒子の外層部および内層部を構成する樹脂を選定する。なお、前記多層樹脂粒子の内層部を形成するポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトは20〜40(g/10分)が好ましい。上記メルトフローレイトは、ポリプロピレン系樹脂の場合には、JIS K7210(1976年)に準拠して、230℃、荷重21.17Nの条件で測定することとし、ポリエチレン系樹脂の場合には、190℃、荷重21.17Nの条件で測定することとする。
なお、多層樹脂粒子の外層部および内層部を構成する樹脂の選定は、上記(あ)〜(う)の少なくとも一つの方法における条件を満足できさえすれば、必ずしも外層部と内層部とを構成する樹脂を異種原料としなくてもよい。
前記の外層部と内層部とで構成される多層樹脂粒子は、例えば、特公昭41−16125号公報、特公昭43−23858号公報、特公昭44−29522号公報、特開昭60−185816号公報等に記載された共押出法により製造することができる。一般的には、多層樹脂粒子の外層部形成用押出機と内層部形成用押出機を用い、共押出ダイに連結する。外層部形成用押出機で所要の樹脂成分と、必要に応じて添加剤とを溶融混練すると共に、内層部形成用押出機においても所要の樹脂成分と、必要に応じて添加剤とを溶融混練する。それぞれの溶融混練物を前記ダイ内で合流させて円柱状の内層部と、該内層部の外側表面を被覆する外層部とからなる多層構造として、押出機先端のダイ出口に付設された口金の細孔からストランド状に押出し、冷却後、或いは冷却前に、ペレタイザーで樹脂粒子の重量が所定重量にとなるように切断することにより多層樹脂粒子が製造される。
本発明において用いる多層樹脂粒子の形状としては、例えば、円柱状、ラグビーボール状、球状などが挙げられる。かかる多層樹脂粒子を発泡して得られる発泡粒子は、発泡前の樹脂粒子形状に応じて円柱状、ラグビーボール状、球状となる。
発泡粒子の平均重量は、発泡粒子を得るための樹脂粒子の1個当たりの平均重量を目的とする発泡粒子の1個当たりの平均重量に合わせることにより調整することができる。発泡粒子の1個当たりの平均重量が小さすぎると発泡効率が悪くなり、大きすぎると成形時における金型内への充填性に劣ることから、発泡粒子の1個当たりの平均重量も、0.01〜10.0mg、特に0.1〜5.0mgであることが好ましい。
本発明の発泡粒子を形成する多層樹脂粒子は、発泡粒子内部を形成している樹脂と外層部を形成している樹脂とが重量比で好ましくは20:80〜80:20であり、更に好ましくは25:75〜75:25である。多層樹脂粒子の外層部を形成している樹脂の重量比が小さすぎると、該多層樹脂粒子からなる発泡粒子の独立気泡構造の外層部の存在割合が相対的に少なくなり、型内成形時における成形体の収縮が大きくなり、寸法保持性が劣る虞がある。一方、外層部を形成している樹脂の重量比が大きすぎると、得られる発泡粒子において、該発泡粒子の内部に形成される気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔されて形成された前記記載の特有の構造、すなわち繊維状、連通孔状、あるいは中空状もしくは空洞状、及びこれらの複合的な構成を有する内部の構造によって奏される性能が十分に発現されない虞がある。なお、上記重量比は、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子において外層部の重量と、発泡粒子の重量から該外層部の重量を差し引いた重量(内部の重量)との重量比と対応するものである。
前記した特別な構造を有する本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、該ポリオレフィン系樹脂発泡粒子の外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂発泡体を試料として熱流束示差走査熱量測定にて、常温から220℃まで、10℃/分の昇温速度で加熱したときに得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピーク(以下、固有ピークともいう)と共に該固有ピークよりも高温側に、1つ以上の吸熱ピーク(以下、高温ピークともいう)が現れるものであることが、発泡粒子の型内成形性に係る発泡粒子相互の融着性、得られる発泡粒子成形体の寸法安定性などの観点から好ましい。
具体的には、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子における前記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリプロピレン系樹脂の固有ピークと共に吸熱量が5〜30J/g、更に8〜25J/gの高温ピークが現れるものを選択することが好ましい。なお、高温ピークが2つ以上現れる場合には、それらの高温ピークの合計吸熱量が上記範囲内のものであることが好ましい。
また、本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子における前記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の場合、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の固有ピークと共に吸熱量が10〜40J/g、更に15〜35J/gの高温ピークが現れるものを選択することが好ましい。なお、高温ピークが2つ以上現れる場合には、それらの高温ピークの合計吸熱量が上記範囲内のものであることが好ましい。
なお、上記DSC曲線の総吸熱量、すなわち固有ピークの吸熱量と高温ピークの吸熱量との合計吸熱量は、前記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂の場合には50〜120(J/g)、更に60〜100(J/g)であることが好ましく、前記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の場合には80〜150(J/g)、更に100〜130(J/g)であることが好ましい。
上記発泡粒子の外層部を形成している樹脂のDSC曲線の総吸熱量と、高温ピークの吸熱量の測定は、JIS K7122(1987年)に基づく測定方法により次のように行う。まず、発泡粒子の外層部から2〜8mgの試料を採取し、該試料を熱流束示差走査熱量計によって常温(概ね25℃)から220℃まで10℃/分で昇温して測定を行う。なお、外層部からの試料の採取は、発泡粒子の外層部をカッターナイフ、ミクロトーム等を用いてスライスして所定量の外層部を集めて測定に供すればよい。尚、1個の発泡粒子から得られる外層部分が2〜4mgに満たない場合は複数個の発泡粒子を使用して上記操作を繰り返して必要量の試料を集めればよい。また、上記発泡粒子のDSC曲線の総吸熱量と、高温ピークの吸熱量の測定は、発泡粒子2〜8mgを試料とする以外は、前記発泡粒子の外層部のDSC曲線の総吸熱量と、高温ピークの吸熱量の測定と同様にして測定することができる。
上記測定にて得られたDSC曲線には、ポリオレフィン系樹脂に由来する固有ピークと、該固有ピークより高温側に1つ以上の高温ピークが現れ、高温ピークの吸熱量はそのピーク面積に相当するものであり、具体的には次のようにして求めることができる。
まず、DSC曲線上の80℃に相当する点αと、発泡粒子の融解終了温度(T)に相当するDSC曲線上の点βとを結ぶ直線(α−β)を引く。尚、上記融解終了温度(T)は、最も高温側の高温ピークの高温側におけるDSC曲線とベースラインとの交点と対応する温度である。
次に上記の固有ピークと高温ピークとの間の谷部に当るDSC曲線上の点γからグラフの縦軸と平行な直線を引き、上記直線(α−β)と交わる点をδとする。高温ピークの面積は、DSC曲線の高温ピーク部分の曲線と、線分(α−β)と、線分(γ−δ)とによって囲まれる部分の面積であり、これが高温ピークの吸熱量に相当する。また、本明細書におけるDSC曲線の総吸熱量は、DSC曲線と直線(α−β)とによって囲まれる部分の面積にて表わされ、これが吸熱曲線ピークの総吸熱量に相当する。
なお、上記高温ピークは、上記のようにして220℃まで10℃/分で昇温して得られる第1回目のDSC曲線には認められるが、第1回目のDSC曲線が得られた後、続いて220℃から40℃まで10℃/分で降温し、再度220℃まで10℃/分で昇温して得られる第2回目のDSC曲線には認められない。
前記発泡粒子の高温ピークは、公知の発泡方法、すなわち、樹脂粒子を密閉容器内で分散媒体に分散させて加熱する際に、樹脂粒子の融解終了温度(Te)以上に昇温することなく、樹脂粒子の融点(Tm)よりも15℃低い温度以上、融解終了温度(Te)未満の範囲内の任意の温度(Ta)で十分な時間、好ましくは10〜60分程度保持し、その後、例えば樹脂融点(Tm)−10℃〜融解終了温度(Te)+5℃の範囲の任意の温度に調節し、その温度、即ち発泡温度(Tb)にて、樹脂粒子を容器内から低圧域に放出して発泡させる方法により得ることができる。なお、高温ピークを形成するための上記樹脂粒子のTaの温度範囲内における保持は、該温度範囲内にて多段階に設定することもできるし、また、該温度範囲内で十分な時間をかけてゆっくりと昇温することにより該高温ピークを形成することも可能である。
また、発泡粒子における上記高温ピークの形成、および高温ピーク熱量の大小は、発泡粒子を構成する樹脂の選択や、上記温度Taと該温度における保持時間、及び上記温度Tbなどの設定に依存する。例えば、発泡粒子の上記高温ピークの熱量は、上記温度Taでの保持時間が長い程、大きくなる傾向を示す。一方、上記温度Tbが高い程、小さくなる傾向を示す。これらの点を考慮して予備試験を数度繰り返し行なうことにより、所望の高温ピーク熱量を示す発泡粒子の製造条件を知ることができる。なお、上述した高温ピークの形成に係る温度範囲は、発泡剤として無機系物理発泡剤を使用した場合の適切な温度範囲である。従って、発泡剤が有機系物理発泡剤に変更された場合には、その種類や使用量に応じてその適切な温度範囲は上記温度範囲よりもそれぞれ低温側に0〜30℃程度シフトする。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は前記の条件(あ)〜(う)の少なくともいずれかを満足する多層樹脂粒子を使用して以下のとおり製造できる。
本発明におけるポリオレフィン系樹脂粒子の前記外層部形成用押出機と、前記内層部形成用押出機とを用い、必要により外層部の外側に後述する樹脂層形成用押出機を用いて、これらの押出機出口に多層ストランド形成用ダイを付設し、内層部形成用押出機及び外層部形成用押出機、及び樹脂層形成用押出機に、前記内層部を形成するポリオレフィン系樹脂、及び前記外層部を形成するポリオレフィン系樹脂、樹脂層形成用樹脂を、それぞれ所定の割合でそれぞれの押出に供給し、加熱下に溶融混練し溶融混練物を前記多層ストランド形成用ダイに導入しダイ内で合流して押出機出口先端に取付けた口金の小孔から多層ストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷しペレタイザーで、樹脂粒子の重量が略1.3mg〜1.5mgとなる大きさに切断し乾燥して所定の多層樹脂粒子を得る。
本発明の発泡粒子の製造には、前記の方法等により造粒して得られるポリオレフィン系樹脂粒子と発泡剤とを密閉容器内で水等の分散媒体に分散させ、撹拌下に加熱して樹脂粒子を軟化させるとともに樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、樹脂粒子の軟化温度以上の温度で容器内より低圧下(通常大気圧下)に樹脂粒子を放出して発泡させるなど、特公昭49−2183号公報、特公昭56−1344号公報、特公昭62−61227号公報などに記載の公知の発泡方法を適用することができる。また、発泡粒子を得るために密閉容器内の内容物を密閉容器から低圧域に放出する際には、使用した発泡剤あるいは窒素、空気等の無機ガスで密閉容器内に背圧をかけて該容器内の圧力が急激に低下しないようにして、内容物を放出することが好ましい。発泡粒子の製造に際して樹脂粒子を分散させる分散媒体としては、上記した水に限らず、樹脂粒子を溶解させない溶媒であれば使用することができる。水以外の分散媒体としては、例えばエチレングリコール、グリセリン、メタノール、エタノール等が挙げられるが、通常は水を用いる。
上記の方法において、分散媒体中には、必要に応じて、樹脂粒子が分散媒体中に均一に分散するように、酸化アルミニウム、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化亜鉛、カオリンなどの難水溶性無機物質等の分散剤、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウムなどのアニオイン界面活性剤等の分散助剤を分散させることが好ましい。発泡粒子を製造する際に分散媒体中に添加される分散剤の量は、樹脂粒子の重量と分散剤の重量との比率(樹脂粒子の重量/分散剤の重量)を20〜2000、更に30〜1000とすることが好ましい。また、分散剤の重量と分散助剤の重量との比率(分散剤の重量/分散助剤の重量)を1〜500、更に5〜100とすることが好ましい。
上記発泡粒子の製造方法において用いる発泡剤としては、有機系物理発泡剤や無機系物理発泡剤、或いはこれらの混合物等を用いることができる。有機系物理発泡剤としてはプロパン、ブタン、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロブタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類、クロロフロロメタン、トリフロロメタン、1,1−ジフロロエタン、1,1,1,2−テトラフロロエタン、メチルクロライド、エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のジアルキルエーテル等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いることができる。また、無機系物理発泡剤としては、窒素、二酸化炭素、アルゴン、空気、水等が挙げられ、これらは2種以上を混合して用いることができる。有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤とを混合して用いる場合、上記した有機系物理発泡剤と無機系物理発泡剤より任意に選択したものを組み合わせて用いることができる。なお、無機系物理発泡剤と有機系物理発泡剤とを併用する場合には無機系物理発泡剤が少なくとも30重量%以上含有することが好ましい。
上記発泡剤のうち、特に環境対応の点から、無機系物理発泡剤が好ましく、中でも窒素、空気、二酸化炭素、水が好ましい。なお、発泡粒子を得る際に密閉容器内に樹脂粒子と共に分散媒として水を使用する場合には、該樹脂粒子に吸水性樹脂などを混錬したものを使用することにより分散媒である水を効率的に発泡剤として使用することができる。
発泡剤の使用量は、目的とする発泡粒子の見かけ密度、基材樹脂の種類、または発泡剤の種類等を考慮して決定するが、通常、樹脂粒子100重量部当たり有機系物理発泡剤では5〜50重量部、一方、無機系物理発泡剤では0.5〜30重量部を用いることが好ましい。
また、前記した方法によって密閉容器から低圧域に放出されることにより得られたポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、該放出後に通常行われる大気圧下での養生工程を経た後、加圧用の密閉容器に入れられ空気などの加圧気体により加圧処理して発泡粒子内の圧力を0.01〜0.6MPa(G)に調整した後、該発泡粒子を該容器内から取り出して、水蒸気や熱風を用いて加熱することにより、より低い見かけ密度の発泡粒子とする(以下、二段発泡ともいう。)ことが可能である。
上記の方法により得られる本発明の発泡粒子は、前述した本発明特有の断面構造を有するものとなる。
本発明のポリオレフィン系樹脂発泡粒子は、特に発泡粒子を構成しているポリオレフィン系樹脂が、下記の条件(1)〜(3)の少なくとも一つを満足するものであることが好ましい。
(1)前記外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークAが現れ、前記発泡粒子全体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークBが現れ、前記吸熱ピークBの合計吸熱量が前記吸熱ピークAの合計吸熱量よりも3(J/g)以上小さい。
(2)前記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点が、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点よりも、3〜25℃高い。
(3)前記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトが、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトよりも、10〜50(g/10分)高い。
上記条件(1)〜(3)を満足する発泡粒子は、上述した多層樹脂粒子による本発明の発泡粒子の製造方法の条件(あ)〜(う)に各々対応する構成であり、条件(1)を満足する発泡粒子は、吸音性に特に優れるものとなる観点から、条件(2)を満足する発泡粒子は、柔軟性に特に優れるものとなる観点から、条件(3)を満足する発泡粒子は、回復性や成形時における寸法保持性に特に優れるものとなる観点から、それぞれ好ましい。なお、上記条件(1)〜(3)における吸熱ピークの合計吸熱量、融点、およびメルトフローレイトは、条件(あ)〜(う)における吸熱ピークの吸熱量、融点、およびメルトフローレイトと同様にして求められる値である。なお、発泡粒子の内層部が前記図4の(4)に示す中空状あるいは空洞状部を含む構造で形成されているものの場合、気泡膜壁が溶融、収縮して形成されることにより、該膜壁の溶融、収縮にて形成された中空状部を囲う非平坦面の壁から、内層部の融点およびメルトフローレイトを測定するための試料を切り出して測定を行うこととする。
上記観点から条件(1)において吸熱ピークBの合計吸熱量が吸熱ピークAの合計吸熱量よりも4〜15(J/g)以上小さいことが更に好ましく、条件(2)において外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点が、内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点よりも、5〜20℃高いことが更に好ましく、条件(3)において内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトが、外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトよりも、20〜40(g/10分)高いことが更に好ましい。
本発明の発泡粒子を構成する前記外層部の外側に、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂よりも融点が外層部を形成する融点より低いか、融点を示さない重合体からなる厚みの薄い樹脂層を形成することができる。このような樹脂層を最外層とする発泡粒子とすることにより成形性が向上し、低い温度で成形加工することでき発泡粒子相互の融着性に優れた成形体を得ることができる。前記樹脂層の厚みが厚すぎる場合には発泡成形体の重量が重くなる虞がある。該樹脂層の厚みは0.1〜30μm、更に1〜20μmであることが好ましい。
本発明発泡粒子には各種の添加剤が配合されたものでもよい。前記の添加剤としては、気泡調整剤、帯電防止剤、導電性付与剤、滑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、難燃剤、金属不活性剤、顔料、染料、結晶核剤、或いは無機充填材等の各種の添加剤が挙げられ、これらを所望に応じて発泡粒子を構成するポリオレフィン系樹脂に含有させることができる。また、機能性添加剤は上記樹脂層のみ、或いは上記樹脂層に多めに添加することにより発泡粒子全体に添加するよりも少量の使用で十分な機能を発現させることができる。
上記の気泡調整剤としては、タルク、炭酸カルシウム、シリカ、酸化チタン、石膏、ゼオライト、ホウ砂、水酸化アルミニウム、カーボン等の無機物の他、リン酸系核剤、フェノール系核剤、アミン系核剤等の有機系核剤が挙げられる。気泡調整剤は前記外層部形成用樹脂及び内層部形成用樹脂それぞれに100重量ppm以上配合されていることが好ましい。また上記の各種添加剤の配合量はその添加目的により異なるが、基材樹脂100重量部に対して好ましくは0.03〜10重量部、更に好ましくは0.05〜5重量部配合される。
本発明の発泡粒子における前記の外層部と内部との面積比率は、外層部:内部が10:90〜80:20、更に20:80〜60:40であることが好ましい。外層部の比率が大きくなりすぎると、発泡成形体の機械的強度は良好なものとなるが、吸音性能等の連続気泡構造の発泡体に期待される効果が低下する。
前記の外層部と内部との面積比率は、発泡樹脂粒子群から任意の10個を選択し、これらの発泡粒子について発泡粒子を略2等分に切断した発泡粒子断面を顕微鏡にて拡大投影し、この拡大投影図において、画像解析で外層部の面積と、該発泡粒子断面から外層部を差し引いた部分の面積(内部の面積)との面積比率を求めることにより得られる。
本発明の発泡粒子は、通常、10〜500g/Lの見かけ密度を有する。本発明の発泡粒子の見かけ密度の上限は、発泡体としての軽量性、緩衝性等の基本特性向上の観点から300g/Lが好ましく、更に100g/Lが好ましい。一方、見かけ密度の下限は15g/Lとすることが好ましく、更に30g/Lとすることがより好ましい。
本発明における発泡粒子の見かけ密度は、水の入ったメスシリンダー内に、重量:W(g)の発泡粒子群を、金網などを使用して沈めることにより、水位上昇分から求められる該発泡粒子群の体積:V(L)を求め、該発泡粒子群の重量を該発泡粒子群の体積にて除する(W/V)ことにより求められる値である。
本発明の発泡粒子成形体は、公知の型内成形方法により製造することができる。
例えば、従来の発泡粒子を型内成形する一対の成形型を用い、大気圧下又は減圧下で発泡粒子を成形型キャビティ内に充填し、好ましくは、型閉めして成形型キャビティ体積を2〜70%減少するように圧縮し、ついで型内にスチーム等の熱媒を供給して加熱し、発泡粒子を加熱融着させる減圧成形法による方法(例えば、特公昭46−38359号公報)。また、発泡粒子を必要に応じて空気等の加圧気体により予め加圧処理して発泡粒子内の圧力を高めて、発泡粒子内の圧力を0.01から0.2MPa(G)に調整した後、大気圧下又は減圧下で発泡粒子を成形型キャビティ内に充填し型閉めし、ついで型内にスチーム等の加熱媒体を供給して発泡粒子を加熱融着させる加圧成形法(例えば、特公昭51−22951号公報)などにより成形することができる。又、圧縮ガスにより大気圧以上に加圧したキャビティ内に、当該圧力以上に加圧した発泡粒子を充填した後、キャビティ内にスチーム等の加熱媒体を供給して発泡粒子を加熱融着させる圧縮充填成形法(例えば、特公平4−46217号公報)により成形することもできる。その他に、発泡粒子を、大気圧下又は減圧下の一対の成形型のキャビティ内に充填した後、ついでスチーム等の加熱媒体を供給して加熱し発泡粒子を加熱融着させる常圧充填成形法(例えば、特公平6−49795号公報)、または上記の方法を組合せた方法(例えば、特公平6−22919号公報)などによっても成形することができる。
上記発泡粒子の型内成形において、本発明の発泡粒子成形体は、飽和蒸気圧が0.05〜0.45MPa(G)、好ましくは0.10〜0.40MPa(G)の水蒸気を供給して金型内で発泡粒子を加熱して、発泡粒子を相互に融着させ、ついで、得られた発泡粒子成形体を冷却して、キャビティ内から取り出すことにより製造することができる。上記の成形法における蒸気加熱の方法は、一方加熱、逆一方加熱、本加熱の順に発泡粒子を加熱する方法が採用される。特に予備加熱、一方加熱、逆一方加熱、本加熱の順に発泡粒子を加熱する方法が好ましい。
また、本発明の発泡粒子成形体は、発泡粒子供給装置(ホッパー)、加熱領域と冷却領域とを有する通路と該通路内を連続的に移動する無端ベルトとによって形成され成形型(成形領域)を備えた連続成形機により連続的に製造することもできる。
本発明の発泡粒子成形体は、本発明の発泡粒子の外層部に起因して形成されている、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の骨格部と、本発明の発泡粒子の外層部の発泡粒子中心側の発泡粒子内部の構造に起因して形成されている、該骨格部間に存在し、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは骨格部の気泡膜壁に比べて多数穿孔している気泡破壊部とを有する。なお、気泡破壊部は、発泡粒子成形体断面において、該骨格部間に多数点在していることが発泡粒子相互の融着性等の観点から好ましい。また、本発明の発泡粒子成形体は、密度が0.02〜0.09g/cm、好ましくは0.025〜0.06g/cm、独立気泡率が60%以下、好ましくは5〜50%のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体である。
本発明の発泡粒子成形体は、上記骨格部と気泡破壊部とからなる構造と、上記密度および独立気泡率を有するものであることにより、連続気泡構造の発泡体が有する柔軟性、回復性、吸音性、緩衝性、吸水性、貯水性、フィルタなどの物質選別性などの特性を備えることができるもので、包装材料、緩衝材料、建築材料、車輌部材、寝具芯材等として好適なものである。
本発明の発泡粒子成形体の密度は、該成形体から切り出した試験片の重量(g)を該試験片の外形寸法から求められる体積(L)で除すことにより算出される。また、本発明の発泡粒子成形体の独立気泡率は、発泡粒子成形体の中心部より25×25×30mmのサンプルを切出し、測定用サンプルとし(スキンはすべて切り落とす)、次いで、ASTM−D2856−70に記載されている手順Cに準じ、東芝ベックマン株式会社製空気比較式比重計930型により測定される発泡体の真の体積の値Vxを用い、次式により独立気泡率Sを計算し、N=5の平均値で求めた。
(数1)
S(%)=(Vx−W/ρ)×100/(Va−W/ρ) (1)
S:独立気泡率(%)
Vx:上記方法で測定される測定用サンプルの真の体積=発泡体を構成する樹脂の容積と、発泡体内の独立気泡部分の気泡全容積との和(cm3
Va:測定用サンプルの外寸より計算される見かけ上の発泡体の体積(cm3
W:測定用サンプルの重量(g)
ρ:測定用サンプルを構成する樹脂の密度(g/cm3
次に、本発明の実施例、比較例を挙げ具体的に説明する。
実施例および比較例に使用したポリオレフィン樹脂を以下に示す。
[樹脂粒子の製造]
実施例1〜6、比較例1〜4
内径50mmの内層部形成用押出機および内径65mmの外層部形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイを付設した押出機を用いた。内層部形成用押出機および外層部形成用押出機により表1、表2および表3に示す内層部を形成するポリプロピレン系樹脂、および外層部を形成するポリプロピレン系樹脂をそれぞれの押出機に供給し、加熱下に溶融混練し、それぞれの溶融混練物を前記多層ストランド形成用ダイに導入し、ダイ内で両者の溶融物を合流して押出機先端に取付けた口金の小孔から、2層に形成されたストランドとして押出し、押出されたストランドを水冷し、ペレタイザーで重量が略1.5mgとなるように切断し乾燥して円柱状の多層樹脂粒子を得た。
実施例7
前記実施例1と同様の内層部形成用押出機および外層部形成用押出を使用した他に、外層部の外側に樹脂層を形成するための樹脂層形成用押出機を併設した。内層部形成用押出機および外層部形成用押出機ならびに樹脂層形成用押出機の出口側に多層ストランド形成用ダイを付設し表2の実施例7に示される内層部形成用樹脂、外層形成用樹脂および樹脂層形成用樹脂を、表2に示す割合でそれぞれの押出機に供給し、溶融混練し溶融物を前記多層ストランド形成用ダイ内に導入してダイ内で合流して押出機先端に取付けられた口金の小孔から樹脂層を有する3層に形成されたストランドを押出し、前記と同様にして最外層に樹脂層が形成された多層樹脂粒子を得た。
尚、外層部形成用樹脂及び内層部形成用樹脂には気泡調整剤としてホウ酸亜鉛の含有量が1000重量ppmとなるように、調製したマスターバッチにて添加した。
[発泡粒子の製造]
上記のとおり得られたポリオレフィン系樹脂粒子1000gと、分散媒として水3000ml、分散剤としてカオリン3g、分散助剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.04gおよび硫酸アルミニウム0.01gを、撹拌機を備えた5Lのオートクレーブに仕込み、表2、3の発泡条件に示す平衡蒸気圧となるように発泡剤として二酸化炭素(ドライアイス)を仕込んだ。撹拌下に表2、3の発泡条件に示す発泡温度より5℃低い温度まで昇温し、その温度で15分間保持した後、発泡温度まで昇温し、その温度でさらに15分間保持した後、オートクレーブ中の内容物を分散媒とともに大気圧下に放出してポリオレフィン系樹脂発泡粒子を得た。得られた発泡粒子について、発泡粒子の性状等の諸物性を表2、3に示した。
[成形体の製造]
発泡粒子を、縦250mm×200mm×厚さ50mmの分割型平板成形型に充填し、表2、3に示した蒸気圧で加熱した。加熱終了後、放圧、冷却後、成形体を型から取り出し板状発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を80℃のオーブンで12時間養生した。得られた発泡体についてそれぞれ発泡成形体の物性評価を行いその結果を表2に実施例、表3に比較例を示した。
発泡成形体の物性評価は下記により行った。
[成形性(寸法保持性)]
型内成形時の金型寸法に対する発泡成形体の寸法を測定し、
◎:成形体の収縮率が3%未満である。
○:成形体の収縮率が3〜6%である。
×:成形体の収縮率が6%を超える。
[圧縮強度(50%歪圧縮強度)]
発泡成形体から、50×50×25mmの試験片を切り出し、JIS K6767に準じて試験速度10mm/minで測定した。
[吸音率]
発泡成形体から、直径90mm、厚み50mmの試験片を切り出し、垂直入射吸音率測定装置(株式会社 ソーテック社製 TYPE 10041A)を用いてJIS A1405(定在波比法)に準じて吸音率を測定した。
本発明実施例による発泡成形体の吸音率を図1、2に、比較例の発泡成形体の吸音率を図3に示した。
実施例1〜3は、多層樹脂粒子の外層部を形成している樹脂と内層部を形成している樹脂は同様の融点、MFRを示す樹脂を用い、多層樹脂粒子の外層部と内層部との重量比率を変更した。実施例4は実施例3と対比されるもので、内層部を形成している樹脂の融点が実施例3に比べ低い樹脂を使用した。実施例5は外層部を形成している樹脂の融点が実施例4よりも低い樹脂を使用した。実施例6は内層部を形成している樹脂として外層部を形成している樹脂に有機過酸化物(日油社製、商品名:パーヘキサ25B)を0.075重量%添加しMFRを大きく調整した樹脂を用いた。実施例7は外層部の外側に樹脂層を形成した。
実施例1の発泡粒子の内層部は繊維状と中空状の複合した構造を示し、実施例2、3および7は繊維状構造を示し、実施例6は連通孔状と繊維状との複合構造を示すものであった。実施例1〜7にて得られた発泡粒子は型内成形性に優れ、得られた成形体は吸音性能、柔軟性などの連続気泡構造の発泡体の性能を具備する良好なものであった。
比較例1は外層部と内層部の形成樹脂が同一である場合で発泡粒子内層部に連続気泡構造がなく成形性は良いが吸音性能などの連続気泡構造の発泡体の性能が得られないものであった。比較例2は比較例1と同一構成の樹脂粒子を使用して発泡粒子の製造条件を変更して得られた、外層部及び内層部が共に連続気泡構造の発泡粒子であるが、この発泡粒子は型内成形にて良好な成形体が得られないものであった。比較例3は外層部と内層部との高温ピーク熱量差が小さく外層部及び内層部が共に独立気泡構造の発泡粒子であるため型内成形性はよいが連続気泡構造の発泡体の性能が得られないものであった。比較例4は外層部を形成している樹脂のMFRが内層部を形成している樹脂のMFRよりも大きく、外層部が連続気泡構造、内層部が独立気泡構造の発泡粒子であり、吸音性能などの連続気泡構造の発泡体の性能が得られず、大きな収縮も見られ型内成形性も不十分なものであった。
1・・発泡粒子外層部
2・・発泡粒子内部

Claims (7)

  1. ポリオレフィン系樹脂発泡粒子であって、該発泡粒子は、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の外層部を有し、該外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部は、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔していることを特徴とするポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
  2. 上記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂であり、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリプロピレン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱量が5〜30(J/g)の吸熱ピークが現れることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
  3. 上記外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂が直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂であり、該外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に吸熱量が10〜40(J/g)の吸熱ピークが現れることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
  4. 上記ポリオレフィン系樹脂発泡粒子を構成しているポリオレフィン系樹脂が、下記の条件(1)〜(3)の少なくとも一つを満足することを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
    (1)上記外層部を形成している発泡体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークAが現れ、上記発泡粒子全体の熱流束示差走査熱量測定によって得られるDSC曲線に、ポリオレフィン系樹脂固有の吸熱ピークと共に該固有の吸熱ピークよりも高温側に一つ以上の吸熱ピークBが現れ、該吸熱ピークBの合計吸熱量が該吸熱ピークAの合計吸熱量よりも3(J/g)以上小さい。
    (2)上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点が、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂の融点よりも、3〜25℃高い。
    (3)上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該内層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトが、該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂のメルトフローレイトよりも、10〜50(g/10分)高い。
  5. 上記外層部よりも発泡粒子中心側の発泡粒子内部に内層部が形成されており、該外層部と該内層部との重量比が20:80〜80:20であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
  6. 上記外層部の外側に該外層部を形成しているポリオレフィン系樹脂よりも融点が低いか、または融点を示さない重合体からなる樹脂層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子。
  7. 上記請求項1〜6のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂発泡粒子を型内成形してなり、隣接する気泡同士が気泡膜壁で仕切られた気泡構造の骨格部と、該骨格部間に存在し、気泡膜壁が、破壊、破断、あるいは穿孔している気泡破壊部とを有する、密度が0.02〜0.09g/cm、独立気泡率が60%以下のポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体。
JP2012182621A 2012-08-21 2012-08-21 ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体 Active JP6026814B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012182621A JP6026814B2 (ja) 2012-08-21 2012-08-21 ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012182621A JP6026814B2 (ja) 2012-08-21 2012-08-21 ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014040507A true JP2014040507A (ja) 2014-03-06
JP6026814B2 JP6026814B2 (ja) 2016-11-16

Family

ID=50393030

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012182621A Active JP6026814B2 (ja) 2012-08-21 2012-08-21 ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6026814B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017066361A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 積水化成品工業株式会社 オレフィン系エラストマー樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体
WO2022270426A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29 株式会社ジェイエスピー ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製造方法、及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JPWO2022270425A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07138399A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するプロピレン系樹脂発泡成型体の製造方法
JPH07138400A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するプロピレン系樹脂発泡成型体の製造方法
JPH08108441A (ja) * 1994-08-16 1996-04-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するポリオレフィン系樹脂発泡成形体及びその製造方法
JPH11343361A (ja) * 1998-06-01 1999-12-14 Jsp Corp 貫通穴を有する筒状のポリオレフィン系樹脂発泡粒子及び連通した空隙を有するポリオレフィン系樹脂発泡成型体の製造方法
JP2004068016A (ja) * 2002-07-22 2004-03-04 Jsp Corp ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子
JP2006307177A (ja) * 2005-03-29 2006-11-09 Jsp Corp ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JP2012126816A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Jsp Corp ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07138399A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するプロピレン系樹脂発泡成型体の製造方法
JPH07138400A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するプロピレン系樹脂発泡成型体の製造方法
JPH08108441A (ja) * 1994-08-16 1996-04-30 Jsp Corp 連通した空隙を有するポリオレフィン系樹脂発泡成形体及びその製造方法
JPH11343361A (ja) * 1998-06-01 1999-12-14 Jsp Corp 貫通穴を有する筒状のポリオレフィン系樹脂発泡粒子及び連通した空隙を有するポリオレフィン系樹脂発泡成型体の製造方法
JP2004068016A (ja) * 2002-07-22 2004-03-04 Jsp Corp ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子
JP2006307177A (ja) * 2005-03-29 2006-11-09 Jsp Corp ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法およびポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JP2012126816A (ja) * 2010-12-15 2012-07-05 Jsp Corp ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017066361A (ja) * 2015-09-30 2017-04-06 積水化成品工業株式会社 オレフィン系エラストマー樹脂粒子、発泡性粒子、発泡粒子及び発泡成形体
WO2022270426A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29 株式会社ジェイエスピー ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製造方法、及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JPWO2022270426A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29
JPWO2022270425A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29
WO2022270425A1 (ja) * 2021-06-25 2022-12-29 株式会社ジェイエスピー ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法
JP7299555B2 (ja) 2021-06-25 2023-06-28 株式会社ジェイエスピー ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体及びその製造方法
JP7323852B2 (ja) 2021-06-25 2023-08-09 株式会社ジェイエスピー ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、その製造方法、及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体

Also Published As

Publication number Publication date
JP6026814B2 (ja) 2016-11-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5727210B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及びポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体
JP5582586B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子成形体
JP6757668B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、ポリプロピレン系樹脂型内発泡成形体およびその製造方法
JP5498162B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びその成型体
JP5375613B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子及びその製造方法
JP5927343B2 (ja) プロピレン系樹脂発泡粒子及び発泡粒子成形体
US20220235216A1 (en) Thermoplastic elastomer foam particles and molded body of same
JP5314411B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体の製造方法、及び該成形体
WO2016111017A1 (ja) プロピレン系樹脂発泡粒子及び発泡粒子成形体
KR102556267B1 (ko) 열가소성 수지 발포 입자
JP2022127578A (ja) 発泡粒子及びその製造方法
JP6026814B2 (ja) ポリオレフィン系樹脂発泡粒子及びその成形体
JP2021028363A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JP5943826B2 (ja) ポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子、ポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子の製造方法、及びポリフッ化ビニリデン系樹脂発泡粒子成形体
WO2021157369A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子、及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JP6961411B2 (ja) ポリエチレン系無架橋押出発泡体
JPWO2016047526A1 (ja) 発泡性スチレン複合ポリオレフィン系樹脂粒子とその製造方法、予備発泡粒子および発泡成形体
WO2017090432A1 (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子の製造方法、ポリプロピレン系樹脂発泡粒子および型内発泡成形体
JP2018070735A (ja) 発泡粒子及び発泡粒子成形体の製造方法
JP5295730B2 (ja) ポリプロピレン系樹脂予備発泡粒子の製造方法
TWI850522B (zh) 聚丙烯系樹脂發泡粒子及聚丙烯系樹脂發泡粒子成形體
JP2024014407A (ja) ポリプロピレン系樹脂発泡粒子及びポリプロピレン系樹脂発泡粒子成形体
JP2023048463A (ja) 多層発泡粒子
JP2022167218A (ja) 多層発泡粒子
JP4979353B2 (ja) 複合発泡成形体

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160318

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160323

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160421

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161005

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161013

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6026814

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250