JP2014040357A - SiC単結晶の製造方法及びSiC単結晶 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】まず、成長初期から成長中期にかけて、ファセット領域の成長を促進し、前記ファセット領域の拡大抑制を行いつつ、種結晶の表面に単結晶を成長させる(第1成長工程)。次いで、成長後期において、非ファセット領域の成長を促進し、成長高さが均一になるように前記単結晶をさらに成長させる(第2成長工程)。成長速度の制御は、第1成長工程において温度分布及び/または原料ガス濃度分布を不均一化させ、第2成長工程において温度分布及び/又は原料ガス濃度分布を反転又は均一化させることにより行う。
【選択図】図9
Description
また、高品質なSiC単結晶においては、欠陥密度が部分的に異なる領域を生じる(特許文献2)。このようなウェハ特性のバラツキは、最終的なデバイスの歩留まり低下の原因となる。そのため、特性のバラツキが小さく、歩留まりが高いウェハを得るために、ファセット領域をできるだけ大きく、又は、できるだけ小さくする必要がある。
以上の理由から、ファセットは、より小さく、成長面内方向の移動がより小さい、ということが望まれる。
特許文献4と出願人が同一である特許文献1では、
「特許文献4の手法にて{0001}面ファセットをインゴット外周端部付近に誘導するような結晶成長を行うと、坩堝内壁との熱的な相互作用、あるいは側壁を構成する黒鉛が起因となって昇華ガス組成の変動等々が発生しやすく、これらの影響を受けてステップ供給機構が不安定になるため、異種多形が不慮発生するなど、結晶成長不安定性が増加してしまうことが判明した。」
と、その問題が指摘されている。
「ステップ高さに対するステップ奥行きの比率は、中央部において、その他の成長境界面付近のすべての箇所と同じく、1から5までの範囲内にある」
が実現できたとすると、成長面はかなり尖った円錐形状となる。
そして、成長の進行とともに、SiC原料が炭化し、ますます坩堝内の炭素露出面積が過剰になると、より尖った円錐形状になり、最終的に得られる単結晶インゴットの成長端面の高低差が極めて大きくなる。その場合、ウェハの歩留まりが大幅に低下する。
しかしながら、最終的に得られる単結晶インゴットの成長端面の高低差が大きくなってしまい、やはりウェハの歩留まりが大幅に低下する。とりわけ、ファセットをより小さくするには、成長面内において強い成長の不均一を実現しなければならないが、そのまま成長を続けた場合には、その後の成長で成長高さを均一にするのは困難である。
(1)前記SiC単結晶の製造方法は、
成長初期から成長中期にかけて、ファセット領域の成長を促進し、前記ファセット領域の拡大抑制を行いつつ、種結晶の表面に単結晶を成長させる第1成長工程と、
成長後期において、非ファセット領域の成長を促進し、成長高さが均一になるように前記単結晶をさらに成長させる第2成長工程と
を備えている。
(1)前記SiC単結晶は、次の(c)式を満たす。
Hmin≧0.8Hmax ・・・(c)
但し、
Hminは、前記SiC単結晶の成長高さの最小値、
Hmaxは、前記SiC単結晶の成長高さの最大値。
(2)前記SiC単結晶は、底面から0.5Hmaxの位置まで次の(b')式を満たす。
d'≦0.2D' ・・・(b')
但し、
d'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハ中にあるファセット領域の外接円の直径、
D'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハの外接円の直径。
(3)前記SiC単結晶は、c面成長法により得られ、かつ、前記ファセット領域に、非ファセット領域より高密度の螺旋転位を含む。
次に、成長後期において、ファセット領域と非ファセット領域との温度差や原料ガス濃度差を均一化又は反転させると、ファセット領域の成長速度が非ファセット領域に比べて遅くなる。その結果、単結晶の成長高さが均一化され、ウェハ枚数歩留まりが向上する。
[1. SiC単結晶の製造方法]
本発明に係るSiC単結晶の製造方法は、第1成長工程と、第2成長工程とを備えている。
第1成長工程は、成長初期から成長中期にかけて、ファセット領域の成長を促進し、前記ファセット領域の拡大抑制を行いつつ、種結晶の表面に単結晶を成長させる工程である。
「ファセット領域の成長を促進する」とは、ファセット領域及びその近傍にある成長面の曲率半径を相対的に小さく維持したまま成長させることをいう。この場合、成長高さは不均一となるが、ファセット領域の拡大は抑制される。その結果、ウェハ面内歩留まり(ウェハの総面積に対する高品質領域の面積の割合、あるいは、抵抗値が均一な領域の面積の割合)が向上する。また、種結晶に後述する螺旋転位発生領域を形成した場合には、ファセット領域と螺旋転位発生領域とを一致させて成長させることができる。
H1≧0.5H2 ・・・(a)
但し、
H1は、前記第1成長工程終了時の成長高さの最大値、
H2は、前記第2成長工程終了時の成長高さの最大値。
H1は、好ましくはH1≧0.7H2、さらに好ましくはH1≧0.9H2である。
d≦0.2D ・・・(b)
但し、
dは、前記第1成長工程終了時の前記ファセット領域の外接円の直径、
Dは、前記第2成長工程終了時の前記SiC単結晶の外接円の直径。
dは、好ましくはd≦0.15D、さらに好ましくはd≦0.1Dである。
第2成長工程は、成長後期において、非ファセット領域の成長を促進し、成長高さが均一になるように前記単結晶をさらに成長させる工程である。
「非ファセット領域」とは、ファセット領域以外の領域をいう。
「非ファセット領域の成長を促進させる」とは、ファセット領域及びその近傍にある成長面の曲率半径が大きくなるように成長させることをいう。この場合、ファセット領域は拡大するが、成長高さは均一化される。
第1成長工程終了時の成長高さの最大値H1を適正化すると、ウェハ面内歩留まりを低下させることなく、ウェハ枚数歩留まり(単結晶から切り出されたウェハの総枚数に対する、所定の大きさ以上の大きさを有するウェハの枚数の割合)が向上する。
Hmin≧0.8Hmax ・・・(c)
但し、
Hminは、前記第2成長工程終了時の成長高さの最小値、
Hmaxは、前記第2成長工程終了時の成長高さの最大値(=H2)。
Hminは、好ましくはHmin≧0.9Hmax、さらに好ましくはHmin≒Hmaxである。
本発明は、
(1)成長面が{0001}面(c面)又はc面に対して僅かに傾いている面からなる種結晶(c面成長基板)を用いて、<0001>軸(c軸)方向又はc軸から僅かに傾いている方向に結晶を成長させる方法(c面成長法)、及び、
(2)成長面が{1−100}面(m面)又はm面に対して僅かに傾いている面からなる種結晶(m面成長基板)を用いて、<1−100>軸方向又は<1−100>軸から僅かに傾いている方向に結晶を成長させる方法(m面成長法)
のいずれに対しても適用することができる。
m面成長法の場合、「ファセット領域」とは、成長面上に{1−100}面ファセットが形成されている領域をいう。
c面成長法において、「オフセット基板」とは、主成長軸方向に対して{0001}面の法線の傾きが1〜15°の範囲にある種結晶(c面成長基板)をいう。
c面成長法において、「オンセット基板」とは、主成長軸方向に対して{0001}面の法線の傾きが1°未満である種結晶(c面成長基板)をいう。
m面成長法において、「オフセット基板」とは、主成長軸方向に対して{1−100}面の法線の傾きが1〜15°の範囲にある種結晶(m面成長基板)をいう。
m面成長法において、「オンセット基板」とは、主成長軸方向に対して{1−100}面の法線の傾きが1°未満である種結晶(m面成長基板)をいう。
「主成長軸方向」とは、種結晶の底面に対して垂直な方向をいう。
c面成長法を用いて単結晶を成長させる場合、異種多形が発生しやすい。異種多形の生成を抑制するためには、少なくともファセット領域に相対的に高密度の螺旋転位を供給する必要がある。種結晶(c面成長基板)が数百〜千個/cm2程度の相対的に高密度の螺旋転位を含む通常品質の結晶である場合、種結晶中に含まれる螺旋転位が成長結晶中にそのまま引き継がれるので、異種多形は発生しにくい。すなわち、通常品質の結晶からなるc面成長基板は、そのまま結晶成長に用いることができる。
一方、c面成長基板が螺旋転位の少ない(転位密度:100個/cm2以下)高品質の結晶である場合、ファセット領域内の螺旋転位も不足し、異種多形が発生しやすくなる。このような場合には、c面成長基板のオフセット方向上流側には、オフセット方向下流側(ファセットが形成されていない領域)より高密度の螺旋転位を発生可能な螺旋転位発生領域が形成されている。
なお、m面成長法においては、螺旋転位の不足によって生じる異種多形の問題がないので、螺旋転位発生領域を形成する必要はない。
螺旋転位発生領域は、オフセット方向下流側より高密度の螺旋転位を発生可能なものであれば良い。異種多形の発生を抑制するためには、螺旋転位発生領域から生成する螺旋転位の密度は、オフセット方向下流側の10倍以上が好ましく、さらに好ましくは、100倍以上である。また、螺旋転位発生領域から発生する螺旋転位の密度は、100個/cm2以上が好ましい。
「螺旋転位発生領域」とは、c面成長基板の表面の内、意図的に螺旋転位発生源が形成された領域や、ファセット領域外の螺旋転位密度を低減することで相対的に螺旋転位の密度が高くなった領域をいう。
第1成長工程において、成長条件を最適化すると、ファセット領域と螺旋転位発生領域とを一致させて成長させることができる。そのため、螺旋転位発生領域の面積が相対的に小さい場合であっても、ファセット領域内に螺旋転位を確実に供給することができる。
ここで、「ファセット領域と螺旋転位発生領域を一致させる」とは、螺旋転位発生領域から供給される螺旋転位がファセット内に供給されることをいう。
成長初期から中期におけるファセット領域の拡大抑制、及び、成長後期における成長高さの均一化は、以下のようにして行うことができる。
(2)前記第1成長工程は、
(イ)前記ファセット領域の温度が前記非ファセット領域の温度より低くなるように温度分布を形成し、及び/又は、
(ロ)前記ファセット領域の原料ガス濃度が前記非ファセット領域の原料ガス濃度より高くなるように原料ガス濃度分布を形成する
ことによって、前記ファセット領域の成長を促進させるものである。
(3)前記第2成長工程は、前記温度分布及び/又は前記原料ガス濃度分布を反転又は均一化させることによって、前記成長高さを均一にするものである。
ファセット領域の面積及び成長高さを制御するための方法には、以下のような方法がある。
第1の方法は、種結晶がc面成長用(請求項3)のオフセット基板(請求項5)である場合に適用される方法である。種結晶が高品質結晶である場合は、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい(請求項4)。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記成長面近傍の温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
ある程度結晶が成長したところで、非対称化させた温度分布を均一化させ、あるいは、反転させると、成長高さを均一にすることができる。
(a)非対称な形状の断熱材を坩堝の周囲に配置する方法(請求項7、図2)、
(b)台座の裏面に放熱制御部材を挿入する方法(請求項8、図3)、
(c)成長面側に遮蔽板を配置する方法(請求項9、図4)
などがある。各方法の詳細については、後述する。
第2の方法は、種結晶がc面成長用(請求項3)のオフセット基板(請求項5)である場合に適用される方法である。種結晶が高品質結晶である場合、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい(請求項4)。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して非対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記成長面近傍の温度分布が前記坩堝の中心軸に対してより対称となる位置に前記単結晶を移動させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる位置に前記単結晶を移動させた状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
ある程度結晶が成長したところで、温度分布がより対称となる位置、又は、逆転する位置に単結晶を移動させると、成長高さを均一にすることができる。
第3の方法は、種結晶がc面成長用(請求項3)のオフセット基板(請求項5)である場合に適用される方法である。種結晶が高品質結晶である場合、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい(請求項4)。
前記成長面近傍における原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度が前記オフセット方向下流側の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
ある程度結晶が成長したところで、非対称化させた原料ガス濃度分布を対称化させ、あるいは、反転させると、成長高さを均一にすることができる。
ノズルを用いて原料ガス(昇華ガス、昇華ガスに準ずる組成を持つガスなど)を特定箇所に集中させる方法(請求項12、図5)
などがある。この方法の詳細については、後述する。
第4の方法は、種結晶がc面成長用(請求項3)のオンセット基板(請求項13)である場合に適用される方法である。種結晶が高品質結晶である場合、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい(請求項4)。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の中央部の温度が前記種結晶の周辺部の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記中央部と前記周辺部の温度差を小さくし、又は、
前記中央部の温度が前記周辺部の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
(a)放熱制御部材を用いる方法(請求項15、図6)、
(c)遮蔽板を用いる方法(請求項16、図7)
などがある。その他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。また、各方法の詳細については、後述する。
第5の方法は、種結晶がc面成長用(請求項3)のオンセット基板(請求項13)である場合に適用される方法である。種結晶が高品質結晶である場合、オフセット方向上流側端部に螺旋転位発生領域を形成するのが好ましい(請求項4)。
前記種結晶の中央部の原料ガス濃度が前記種結晶の周辺部の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記中央部と前記周辺部の原料ガス濃度の差を小さくし、又は、
前記中央部の原料ガス濃度が前記周辺部の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
ノズルを用いて原料ガス(昇華ガス、昇華ガスに準ずる組成を持つガスなど)を特定箇所に集中させる方法(請求項18、図8)
などがある。その他の点については、第3の方法と同様であるので、説明を省略する。また、この方法の詳細については、後述する。
第6の方法は、種結晶がm面成長用(請求項19)のオフセット基板(請求項20)である場合に適用される方法である。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記成長面近傍の温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
第6の方法のその他の点については、第1の方法と同様であるので、説明を省略する。
第7の方法は、種結晶がm面成長用(請求項19)のオフセット基板(請求項20)である場合に適用される方法である。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して非対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記成長面近傍の温度分布が前記種結晶の中心軸に対して、より対称となる位置に前記単結晶を移動させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる位置に前記単結晶を移動させた状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
第7の方法のその他の点については、第2の方法と同様であるので、説明を省略する。
第8の方法は、種結晶がm面成長用(請求項19)のオフセット基板(請求項20)である場合に適用される方法である。
前記成長面近傍における原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度が前記オフセット方向下流側の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
第8の方法のその他の点については、第3の方法と同様であるので、説明を省略する。
第9の方法は、種結晶がm面成長用(請求項19)のオンセット基板(請求項24)である場合に適用される方法である。
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の中央部の温度が前記種結晶の周辺部の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記中央部と前記周辺部の温度差を小さくし、又は、
前記中央部の温度が前記周辺部の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させる。
第9の方法のその他の点については、第4の方法と同様であるので、説明を省略する。
第10の方法は、種結晶がm面成長用(請求項19)のオンセット基板(請求項24)である場合に適用される方法である。
前記種結晶の中央部の原料ガス濃度が前記種結晶の周辺部の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させる。
次に、第2成長工程において、
前記中央部と前記周辺部の原料ガス濃度の差を小さくし、又は、
前記中央部の原料ガス濃度が前記周辺部の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである。
第10の方法のその他の点については、第5の方法と同様であるので、説明を省略する。
以下に、上述した方法を実施するための単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の具体例について説明する。
[2.1.1. 単結晶製造装置(1)]
図2に、本発明の第1の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図を示す。
図2において、単結晶製造装置10aは、坩堝12と、2つのヒータ(図示せず)と、断熱材(図示せず)とを備えている。
2つのヒータは、それぞれ坩堝12の軸方向に対して上方側及び下方側に配置されており、それぞれ、独立に温度を制御できるようになっている。坩堝12は、ヒータの中心軸に対して対称な位置に配置されている。さらに、坩堝12の周囲には、坩堝12に対して非対称な形状を有する断熱材が設けられている。
非対称な断熱材を設けた場合において、種結晶22を坩堝12の中心軸に対して対称の位置に配置し、かつ、坩堝12をヒータの中心軸に対して対称に配置すると、図2(a)の一点鎖線で示すように、等温面は、坩堝12の中心軸に対して非対称となる。そのため、種結晶22のオフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなるように種結晶22を配置し、この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域(図示せず)を優先的に成長させることができる。
また、断熱材の回転又は交換は、坩堝12を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.2.1. 単結晶製造装置(2)]
図3に、本発明の第2の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:正面断面図、下図:底面図)を示す。
図3において、単結晶製造装置10bは、坩堝(図示せず)と、ヒータ(図示せず)とを備えている。
図3に示す例において、種結晶22は、c面成長用のオフセット基板である。また、種結晶22のオフセット方向上流側には、螺旋転位発生領域22aが形成されている。
さらに、図3に示す例において、種結晶22を固定するための台座12bの裏面には、片側にザグリ30aがある非対称な放熱制御部材30が挿入されている。放熱制御部材30は、台座12bの裏面に挿入されており、台座12bに対して回転可能になっている。
台座12bの裏面に、非対称な形状を有する放熱制御部材30を挿入した場合において、種結晶22を坩堝(図示せず)の中心軸に対して対称の位置に配置し、かつ、坩堝をヒータ(図示せず)の中心軸に対して対称に配置すると、ザグリ30aの部分が局所的に冷却される。
そのため、種結晶22のオフセット方向上流側(螺旋転位発生領域22aが形成されている部分)にザグリ30aが来るように種結晶22を配置し、この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、放熱制御部材30の回転又は取り除きは、坩堝を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.3.1. 単結晶製造装置(3)]
図4に、本発明の第3の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:正面断面図、下図:A−A’線断面図)を示す。
図4において、単結晶製造装置10cは、坩堝12と、ヒータ(図示せず)と、遮蔽板32とを備えている。
坩堝12は、ヒータ(図示せず)の中心軸に対して対称な位置に配置されている。さらに、坩堝12内には、種結晶22とSiC原料粉末(原料ガス供給源)20との間に非対称な遮蔽板32が配置されている。遮蔽板32は、種結晶22の片側のみを遮蔽可能な形状(種結晶22に対して非対称な形状)を有しており、坩堝12内において、180°回転可能になっている。
坩堝12内に、非対称で、かつ、回転可能な遮蔽板32を設けた場合において、種結晶22を坩堝12の中心軸に対して対称の位置に配置し、かつ、坩堝12をヒータの中心軸に対して対称に配置すると、等温面は、坩堝12の中心軸に対して非対称となる。そのため、種結晶22のオフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなるように種結晶22を配置し、この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、遮蔽板32の回転又は交換は、坩堝12を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.4.1. 単結晶製造装置(4)]
図5に、本発明の第4の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:平面図、下図:正面断面図)を示す。
図5において、単結晶製造装置10dは、坩堝(図示せず)と、ヒータ(図示せず)と、ノズル34とを備えている。
坩堝は、ヒータの中心軸に対して対称な位置に配置されている。さらに、坩堝内には、種結晶22とSiC原料粉末との間にノズル34が配置されている。ノズル34は、種結晶22の成長面の一部に、原料ガスを集中的に供給するためのものである。また、ノズル34は、種結晶22の成長面に対して水平方向に移動可能になっている。
ノズル34の先端を種結晶22のオフセット方向上流側に向けると、オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる。この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、ノズル34の回転又は取り外しは、坩堝12を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.5.1. 単結晶製造装置(5)]
図6に、本発明の第5の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:正面断面図、下図:底面図)を示す。
図6において、単結晶製造装置10eは、坩堝(図示せず)と、ヒータ(図示せず)とを備えている。
図6に示す例において、種結晶22は、c面成長用のオンセット基板である。種結晶22の成長面は、錐形状になっており、中央部がオフセット方向上流側となる。また、種結晶22のオフセット方向上流側(中央部)には、螺旋転位発生領域22aが形成されている。
さらに、図6(a)に示す例において、種結晶22を固定するための台座12bの裏面には、中央部にザグリ30aがある放熱制御部材30が挿入されている。放熱制御部材30は、周辺部にザグリ30a’がある放熱制御部材30’に交換可能になっている。
台座12bの裏面に、放熱制御部材30を挿入した場合において、種結晶22を坩堝(図示せず)の中心軸に対して対称の位置に配置し、かつ、坩堝をヒータ(図示せず)の中心軸に対して対称に配置すると、ザグリ30aの部分が局所的に冷却される。
そのため、種結晶22のオフセット方向上流側(螺旋転位発生領域22aが形成されている部分)にザグリ30aが来るように種結晶22を配置し、この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、放熱制御部材30の交換又は取り除きは、坩堝を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.6.1. 単結晶製造装置(6)]
図7に、本発明の第6の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:正面断面図、下図:A−A’線断面図)を示す。
図7において、単結晶製造装置10fは、坩堝12と、ヒータ(図示せず)と、遮蔽板32とを備えている。
坩堝12は、ヒータ(図示せず)の中心軸に対して対称な位置に配置されている。さらに、坩堝12内には、種結晶22とSiC原料粉末20との間に遮蔽板32が配置されている。遮蔽板32は、種結晶22の中央部のみを遮蔽可能な形状を有している。遮蔽板32は、種結晶22の周辺部のみを遮蔽可能な形状を有する遮蔽板32’、32’に交換可能になっている。
坩堝12内に、種結晶22の中央部を覆う遮蔽板32を設けた場合において、種結晶22を坩堝12の中心軸に対して対称の位置に配置し、かつ、坩堝12をヒータ(図示せず)の中心軸に対して対称に配置すると、中央部が局所的に冷却される。そのため、この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、遮蔽板32の交換は、坩堝12を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
[2.7.1. 単結晶製造装置(7)]
図8に、本発明の第7の実施の形態に係る単結晶製造装置及びこれを用いたSiC単結晶の製造方法の工程図(上図:平面図、下図:正面断面図)を示す。
図8において、単結晶製造装置10gは、坩堝(図示せず)と、ヒータ(図示せず)と、ノズル34とを備えている。
坩堝は、ヒータの中心軸に対して対称な位置に配置されている。さらに、坩堝内には、種結晶22とSiC原料粉末との間にノズル34が配置されている。ノズル34は、種結晶22の成長面の中央部に、原料ガスを集中的に供給するためのものである。また、ノズル34は、種結晶22の成長面の周辺部に原料ガスを集中的に供給するためのノズル34’に交換可能になっている。
ノズル34の先端を種結晶22のオフセット方向上流側(すなわち、種結晶22の中央部)に向けると、オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる。この状態で種結晶22の表面に単結晶28を成長させると、ファセット領域を優先的に成長させることができる。
また、ノズル34の交換又は取り外しは、坩堝を室温まで冷却した後に行っても良く、あるいは、冷却することなく行っても良い。
本発明に係るSiC単結晶は、以下の構成を備えている。
(1)前記SiC単結晶は、次の(c)式を満たす。
Hmin≧0.8Hmax ・・・(c)
但し、
Hminは、前記SiC単結晶の成長高さの最小値、
Hmaxは、前記SiC単結晶の成長高さの最大値。
(2)前記SiC単結晶は、底面から0.5Hmaxの位置まで次の(b')式を満たす。
d'≦0.2D' ・・・(b')
但し、
d'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハ中にあるファセット領域の外接円の直径、
D'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハの外接円の直径。
(3)前記SiC単結晶は、c面成長法により得られ、かつ、前記ファセット領域に、非ファセット領域より高密度の螺旋転位を含む。
また、所定の成長高さに達した後、成長後期において、温度分布及び/又は原料ガス濃度を均一化又は反転させると、(c)式を満たす単結晶、すなわち、成長高さが均一な単結晶が得られる。
ファセット領域は、非ファセット領域より高密度の螺旋転位を含んでいれば良い。ファセット領域の螺旋転位の転位密度は、非ファセット領域の10倍以上が好ましく、さらに好ましくは、100倍以上である。ファセット領域の螺旋転位密度は、具体的には、100個/cm2以上が好ましい。
図9に、本発明に係るSiC単結晶の製造方法の模式図を示す。図10に、従来のSiC単結晶の製造方法(1)の模式図を示す。図11に、従来のSiC単結晶の製造方法(2)の模式図を示す。
しかしながら、成長に伴いファセット領域が拡大するため、ウェハ面内歩留まりが低下する。この場合、螺旋転位を多く含む通常品質の種結晶を用いた成長(図10(c))に比べて、螺旋転位のない高品質種結晶に螺旋転位発生領域を設けた成長(図10(d))は、ウェハ面内歩留まりがさらに低下する。これは、異種多形の発生を抑制するには、拡大するファセット領域に螺旋転位を供給し続ける必要があり、そのためには、螺旋転位発生領域の面積を大きくする必要があるためである。
しかしながら、成長高さが不均一となるため、ウエハ枚数歩留まりが低下する。
次に、図9(b)に示すように、成長後期において、局所的な低温化又は原料ガス集中を反転又は解除すると、成長高さが均一化する。そのため、図9(c)及び図9(d)に示すように、ウェハ枚数歩留まりも高くなる。
そして、成長後期において、その過飽和度の局所的上昇を解除するため、成長高さが均一な単結晶が得られる。その結果、ウェハ枚数歩留まりも向上する。
22 種結晶
28 単結晶
Claims (27)
- 以下の構成を備えたSiC単結晶の製造方法。
(1)前記SiC単結晶の製造方法は、
成長初期から成長中期にかけて、ファセット領域の成長を促進し、前記ファセット領域の拡大抑制を行いつつ、種結晶の表面に単結晶を成長させる第1成長工程と、
成長後期において、非ファセット領域の成長を促進し、成長高さが均一になるように前記単結晶をさらに成長させる第2成長工程と
を備えている。 - 以下の構成をさらに備えた請求項1に記載のSiC単結晶の製造方法。
(2)前記第1成長工程は、
(イ)前記ファセット領域の温度が前記非ファセット領域の温度より低くなるように温度分布を形成し、及び/又は、
(ロ)前記ファセット領域の原料ガス濃度が前記非ファセット領域の原料ガス濃度より高くなるように原料ガス濃度分布を形成する
ことによって、前記ファセット領域の成長を促進させるものである。
(3)前記第2成長工程は、前記温度分布及び/又は前記原料ガス濃度分布を反転又は均一化させることによって、前記成長高さを均一にするものである。 - 前記ファセット領域は、{0001}面ファセット領域である請求項2に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記種結晶は、オフセット方向上流側に、オフセット方向下流側より高密度の螺旋転位を発生可能な螺旋転位発生領域を有し、
前記第1成長工程は、前記ファセット領域と前記螺旋転位発生領域とを一致させて成長させるものである
請求項3に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記種結晶は、主成長軸方向に対して{0001}面の法線の傾きが1〜15°の範囲にあるオフセット基板である請求項3又は4に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記成長面近傍の温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項5に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1成長工程において、前記坩堝の周囲に、前記坩堝に対して非対称な形状を有する断熱材を配置し、前記第2成長工程において、前記断熱材を配置したまま、前記坩堝を180°回転させることにより、前記温度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1成長工程において、前記坩堝の周囲に、前記坩堝に対して非対称な形状を有する断熱材(A)を配置し、前記第2成長工程において、前記断熱材(A)を前記坩堝に対して対称な形状を有する断熱材(B)に交換することにより、前記温度分布を均一化させる
請求項6に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1成長工程において、前記種結晶を固定するための台座の裏面に、片側にザグリがある非対称な放熱制御部材を挿入し、前記第2成長工程において、前記放熱制御部材を180°回転させることにより、前記温度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1成長工程において、前記種結晶を固定するための台座の裏面に、片側にザグリがある非対称な放熱制御部材を挿入し、前記第2成長工程において前記放熱制御部材を取り除くことにより、前記温度分布を均一化させる
請求項6に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1工程において、前記種結晶と原料ガス供給源との間に、前記種結晶に対して非対称な形状を有する遮蔽板を配置し、前記第2工程において、前記遮蔽板を180°回転させることにより、前記温度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1工程において、前記種結晶と前記原料ガス供給源との間に、前記種結晶に対して非対称な形状を有する遮蔽板(A)を配置し、前記第2工程において、前記遮蔽板(A)を、前記種結晶に対して対称な形状を有する遮蔽板(B)に交換することにより、前記温度分布を均一化させる
請求項6に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して非対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記成長面近傍の温度分布が前記種結晶の中心軸に対して、より対称となる位置に前記単結晶を移動させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる位置に前記単結晶を移動させた状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項5に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
成長面近傍における原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度が前記オフセット方向下流側の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項5に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1成長工程において、ノズルを用いて前記オフセット方向上流側に原料ガスを集中させ、前記第2成長工程において、前記ノズルを前記オフセット方向下流側に移動させることにより、前記原料ガス濃度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1成長工程において、ノズルを用いて前記オフセット方向上流側に原料ガスを集中させ、前記第2成長工程において、前記ノズルを取り外すことにより、前記原料ガス濃度分布を均一化させる
請求項11に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記種結晶は、主成長軸方向に対して{0001}面の法線の傾きが1°未満であるオンセット基板である請求項3又は4に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の中心部の温度が前記種結晶の周辺部の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記中心部と前記周辺部の温度差を小さくし、又は、
前記中心部の温度が前記周辺部の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項13に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1成長工程において、前記種結晶を固定するための台座の裏面に、中央部にザグリがある放熱制御部材(A)を挿入し、前記第2成長工程において、前記放熱制御部材(A)を周辺部にザグリがある放熱制御部材(B)に交換することにより、前記温度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1成長工程において、前記種結晶を固定するための台座の裏面に、中央部にザグリがある放熱制御部材を挿入し、前記第2成長工程において前記放熱制御部材を取り除くことにより、前記温度分布を均一化させる
請求項14に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1工程において、前記種結晶と原料ガス供給源との間に、前記種結晶の中央部を覆う遮蔽板(A)を配置し、前記第2工程において、前記遮蔽板(A)を前記種結晶の周辺部を覆う遮蔽板(B)に交換することにより、前記温度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1工程において、前記種結晶と前記原料ガス供給源との間に、前記種結晶の中央部を覆う遮蔽板(A)を配置し、前記第2工程において、前記遮蔽板(A)を前記種結晶の全面を覆う遮蔽板(C)に交換することにより、前記温度分布を均一化させる
請求項14に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
前記種結晶の中央部の原料ガス濃度が前記種結晶の周辺部の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記中央部と前記周辺部の原料ガス濃度の差を小さくし、又は、
前記中央部の原料ガス濃度が前記周辺部の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項13に記載のSiC単結晶の製造方法。 - (イ)前記第1成長工程において、前記種結晶の中央部に原料ガスを供給するためのノズル(A)を用いて前記種結晶の中央部に前記原料ガスを集中させ、前記第2成長工程において、前記ノズル(A)を前記種結晶の周辺部に前記原料ガスを供給するためのノズル(B)に交換し、前記ノズル(B)を用いて前記種結晶の周辺部に原料ガスを集中させることにより、前記原料ガス濃度分布を反転させ、又は、
(ロ)前記第1成長工程において、ノズルを用いて前記種結晶の中心部に原料ガスを集中させ、前記第2成長工程において、前記ノズルを取り外すことにより、前記原料ガス濃度分布を均一化させる
請求項17に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記ファセット領域は、{1−100}面ファセット領域である請求項2に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記種結晶は、主成長軸方向に対して{1−100}面の法線の傾きが1〜15°の範囲にあるオフセット基板である請求項19に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記成長面近傍の温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項20に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して非対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の前記オフセット方向上流側の温度がオフセット方向下流側の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記成長面近傍の温度分布が前記種結晶の中心軸に対して、より対称となる位置に前記単結晶を移動させ、又は、
前記オフセット方向上流側の温度が前記オフセット方向下流側の温度より高くなる位置に前記単結晶を移動させた状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項20に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
前記成長面近傍における原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して非対称化させ、かつ、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度がオフセット方向下流側の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記原料ガス濃度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、又は、
前記オフセット方向上流側の原料ガス濃度が前記オフセット方向下流側の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項20に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記種結晶は、主成長軸方向に対して{1−100}面の法線の傾きが1°未満であるオンセット基板である請求項19に記載のSiC単結晶の製造方法。
- 前記第1成長工程は、
前記種結晶を坩堝の中心軸に対して対称の位置に配置し、
成長面近傍の前記温度分布を前記坩堝の中心軸に対して対称化させ、かつ、
前記種結晶の中央部の温度が前記種結晶の周辺部の温度より低くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記中央部と前記周辺部の温度差を小さくし、又は、
前記中央部の温度が前記周辺部の温度より高くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項24に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 前記第1成長工程は、
前記種結晶の中央部の原料ガス濃度が前記種結晶の周辺部の原料ガス濃度より高くなる状態で、前記種結晶の表面に前記単結晶を成長させるものであり、
前記第2成長工程は、
前記中央部と前記周辺部の原料ガス濃度の差を小さくし、又は、
前記中央部の原料ガス濃度が前記周辺部の原料ガス濃度より低くなる状態で、前記単結晶をさらに成長させるものである
請求項24に記載のSiC単結晶の製造方法。 - 以下の構成を備えたSiC単結晶。
(1)前記SiC単結晶は、次の(c)式を満たす。
Hmin≧0.8Hmax ・・・(c)
但し、
Hminは、前記SiC単結晶の成長高さの最小値、
Hmaxは、前記SiC単結晶の成長高さの最大値。
(2)前記SiC単結晶は、底面から0.5Hmaxの位置まで次の(b')式を満たす。
d'≦0.2D' ・・・(b')
但し、
d'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハ中にあるファセット領域の外接円の直径、
D'は、前記SiC単結晶から切り出されたウェハの外接円の直径。
(3)前記SiC単結晶は、c面成長法により得られ、かつ、前記ファセット領域に、非ファセット領域より高密度の螺旋転位を含む。
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