JP2014037621A - ジンケート型亜鉛系めっき浴、ジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤および亜鉛系めっき部材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】めっき浴内に不溶性物質が形成されにくいジンケート型亜鉛系めっき浴、ジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤、および上記亜鉛系めっき浴を用いて形成される亜鉛系めっき部材の製造方法を提供する。
【解決手段】浴可溶性亜鉛含有物質および下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴。
ここで、R1およびR2は、鎖式アルキル基および脂環式アルキル基、ならびにそれらの水素の少なくとも一つがアミノ基、ヒドロキシ基、オキシアルキレンエーテル基、アルキルカルボキシアルキル基、アリールカルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、スルホン酸基、ホスホン酸基またはアリール基で置換された基からなる群から選ばれる基。
【選択図】図1
【解決手段】浴可溶性亜鉛含有物質および下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴。
ここで、R1およびR2は、鎖式アルキル基および脂環式アルキル基、ならびにそれらの水素の少なくとも一つがアミノ基、ヒドロキシ基、オキシアルキレンエーテル基、アルキルカルボキシアルキル基、アリールカルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、スルホン酸基、ホスホン酸基またはアリール基で置換された基からなる群から選ばれる基。
【選択図】図1
Description
本発明は、アルカリ性であってシアン化物を含有しない、いわゆるジンケート型亜鉛系めっき浴に関する。
本明細書において、亜鉛系めっきとは、亜鉛および不可避的な不純物からなる亜鉛めっきと、亜鉛および合金成分ならびに不可避的な不純物からなる亜鉛合金めっきとの総称である。ここで、亜鉛合金めっきはめっき中の亜鉛の含有量(質量%)が他の合金元素の含有量(質量%)のいずれよりも高くてもよいし、亜鉛の含有量(質量%)よりも含有量が高い合金元素が含まれていてもよい。
亜鉛系めっきからなる皮膜(本明細書において「亜鉛系めっき皮膜」ともいう。)は、自動車用の鋼板やボルトやナットなどの鋼材からなる機械部品をはじめとして、我々の身の回りの部材に対して、耐食性を向上させるなどの目的で広汎に用いられている。亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−鉄合金、すず−亜鉛合金など、亜鉛合金めっき皮膜も、耐食性に加えて耐熱性や耐塩水性の向上などが求められる場合には、広く利用されている。
亜鉛系めっき皮膜は、亜鉛系めっき皮膜を形成するためのめっき浴(本明細書において「亜鉛系めっき浴」ともいう。)に被めっき部材を浸漬した状態で電解を行う電気めっきにて形成される。この亜鉛系めっき浴は、アルカリ浴と酸性浴とに大別され、アルカリ浴にはシアン化物浴やジンケート型亜鉛系めっき浴、酸性浴には塩化亜鉛浴や硫酸亜鉛浴がある。求める亜鉛系めっき皮膜の硬度や光沢性、被めっき部材の形状や大きさ、作業環境などの様々な条件を勘案して、これらの亜鉛系めっき浴から適切な浴が選択されている。
これらの亜鉛系めっき浴の中でも、ジンケート型亜鉛系めっき浴は、排水処理の負担が大きいシアン化物を使用しない上、浴組成が比較的単純で管理しやすく、プレス小物、ボルト、ナットなどにも適用できる利点があるため、好まれて工業的な実施がなされている。また、めっき皮膜の特性を向上させたり、浴の安定性を向上させたりする観点から、多くの改良型浴が開発されている。
例えば、特許文献1では、亜鉛金属の滑らかで光輝のあるめっき皮膜が得られかつ安定なアルカリ性亜鉛および亜鉛合金めっき浴を提供することを目的として、ニコチン酸と特定の化合物との水溶性反応性生成物をアルカリ性亜鉛および亜鉛合金めっき浴用の光沢剤として用いる技術が開示されている。
しかしながら、特許文献1にて開示された光沢剤はジンケート型亜鉛系めっき浴内での安定性が必ずしも高くなく、めっき浴の使用時間が増加することに伴いめっき浴内に形成される不溶性物質の量が増加し、これが被めっき部材に付着してめっき皮膜の外観不良を引き起こす場合があった。
本発明は、めっき浴の使用時間が増加してもめっき浴内に不溶性物質が形成されにくいジンケート型亜鉛系めっき浴、めっき浴に添加されたときにその浴に不溶性物質が形成されにくいジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤、および上記亜鉛系めっき浴を用いて形成される亜鉛系めっき部材の製造方法を提供することを目的とする。
なお、亜鉛系めっき部材とは、被めっき部材と、この被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた部材をいう。
なお、亜鉛系めっき部材とは、被めっき部材と、この被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた部材をいう。
上記課題を解決するために本発明者らが検討した結果、従来技術に係る添加剤は、アルカリ性加水分解や電気分解によって、4級アミノ基など電荷を有する部分が喪失し、その結果、溶媒に対する溶解度が低下して不溶性物質を形成する可能性が高まることを知得した。この知見に基づきさらに検討を重ねた結果、ピリジニウム基と4級アミノ基とを有するポリカチオン化合物の一種を添加剤として用いることで、めっき浴の使用時間が増加してもめっき浴内に不溶性物質が形成されにくくなるとの新たな知見を得た。本明細書において、「ポリカチオン化合物」とは、一分子内に複数の陽イオンとなる部分(官能基である場合が典型例として挙げられる。)を有する化合物を意味する。上記のようなポリカチオン化合物は、ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩と、N,N−ジメチルアミノアルキルアミンと、有機ハロゲン化合物などの可付加化合物との反応生成物に含まれやすく、かかる反応生成物を用いることで、めっき浴の使用時間が増加してもめっき浴内に不溶性物質が形成されにくくなるとの新たな知見も得た。
かかる知見に基づき完成された本発明は次のとおりである。
(1)浴可溶性亜鉛含有物質および下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を含有することを特徴とするジンケート型亜鉛系めっき浴。
ここで、R1およびR2は、鎖式アルキル基および脂環式アルキル基、ならびにそれらの水素の少なくとも一つがアミノ基、ヒドロキシ基、オキシアルキレンエーテル基、アルキルカルボキシアルキル基、アリールカルボキシアルキル基、カルボキシアルキル基、スルホン酸基、ホスホン酸またはアリール基で置換された基からなる群から選ばれる基であって、同一の基であってもよいし異なる基であってもよい。
(1)浴可溶性亜鉛含有物質および下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を含有することを特徴とするジンケート型亜鉛系めっき浴。
(2)前記化合物(A)を0.0001mol/L以上0.05mol/L以下含有する上記(1)に記載のめっき浴。
(3)ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩と、N,N−ジメチルアミノアルキルアミンと、有機ハロゲン化合物、ヒドロキシスルホン酸の環状エステルおよびヒドロキシカルボン酸の環状エステルからなる群から選ばれる一種または二種以上からなる可付加化合物との反応生成物(α)、ならびに浴可溶性亜鉛含有物質を含有することを特徴とするジンケート型亜鉛系めっき浴。
(4)前記反応生成物(α)はポリカチオン化合物を含む上記(3)に記載のジンケート型亜鉛系めっき浴。
(5)シアン化物を含有しない上記(1)から(4)のいずれか一項に記載のめっき浴。
(6)浴可溶性亜鉛含有物質を亜鉛換算で2g/L以上60g/L含有する上記(1)から(5)のいずれか一項に記載のめっき浴。
(7)浴可溶性金属含有物質をさらに含有し、当該浴可溶性金属含有物質に含まれる金属元素は鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選ばれる一種または二種以上である上記(1)から(6)のいずれか一項に記載のめっき浴。
(8)一次光沢剤をさらに含有する上記(7)に記載のめっき浴。
(9)上記(1)に記載される化合物(A)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤。
(10)上記(3)または(4)に記載される反応生成物(α)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤。
(11)被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた亜鉛系めっき部材の製造方法であって、上記(1)に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴を用い、当該めっき浴に含有される前記化合物(A)の含有量を0.0001mol/L以上0.05mol/L以下の範囲に管理しながらめっきすることを特徴とする亜鉛系めっき部材の製造方法。
(12)被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた亜鉛系めっき部材の製造方法であって、上記(3)または(4)に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴を用い、当該めっき浴に含有される前記反応生成物(α)の含有量を0.01g/L以上50g/L以下の範囲に管理しながらめっきすることを特徴とする亜鉛系めっき部材の製造方法。
(13)被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛合金めっき皮膜とを備えた亜鉛合金めっき部材の製造方法であって、上記(7)または(8)に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴であって浴可溶性ニッケル含有物質を含有するジンケート型亜鉛合金めっき浴を用い、前記ジンケート型亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜におけるニッケルの共析率を12質量%以上20質量%以下とする亜鉛合金めっき部材の製造方法。
上記の発明に係るジンケート型亜鉛系めっき浴は、優れた外観を有する亜鉛系めっき皮膜を形成することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
I 第一の実施形態
1.ジンケート型亜鉛系めっき浴
本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、ジンケート型のめっき浴であるから、液性はアルカリ性である。また、本実施形態の好ましい一例に係る亜鉛系めっき浴はシアン化物を含有せず、有害なシアンガスが発生しないため、作業性に優れ、環境に優しい。
I 第一の実施形態
1.ジンケート型亜鉛系めっき浴
本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、ジンケート型のめっき浴であるから、液性はアルカリ性である。また、本実施形態の好ましい一例に係る亜鉛系めっき浴はシアン化物を含有せず、有害なシアンガスが発生しないため、作業性に優れ、環境に優しい。
(1)金属成分
(1−1)浴可溶性亜鉛含有物質
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、浴可溶性亜鉛含有物質を含有する。本明細書において浴可溶性亜鉛含有物質とは、亜鉛系めっき皮膜として析出する亜鉛の供給源であって、亜鉛の陽イオンおよびこれを含有する浴可溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上の成分をいう。本実施形態に係る亜鉛系めっき浴はジンケート型の浴であるから、めっき浴はアルカリ性である。したがって、浴可溶性亜鉛含有物質の一例はジンケートイオン([Zn(OH)4]2−)である。
浴可溶性亜鉛含有物質をめっき浴に供給する原料物質(本発明において、「亜鉛源」ともいう。)として、酸化亜鉛が例示される。
(1−1)浴可溶性亜鉛含有物質
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、浴可溶性亜鉛含有物質を含有する。本明細書において浴可溶性亜鉛含有物質とは、亜鉛系めっき皮膜として析出する亜鉛の供給源であって、亜鉛の陽イオンおよびこれを含有する浴可溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上の成分をいう。本実施形態に係る亜鉛系めっき浴はジンケート型の浴であるから、めっき浴はアルカリ性である。したがって、浴可溶性亜鉛含有物質の一例はジンケートイオン([Zn(OH)4]2−)である。
浴可溶性亜鉛含有物質をめっき浴に供給する原料物質(本発明において、「亜鉛源」ともいう。)として、酸化亜鉛が例示される。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴における可溶性亜鉛含有物質の亜鉛換算含有量は限定されない。この含有量が過度に少ない場合には亜鉛系めっき皮膜が析出しにくくなることから、上記の亜鉛換算含有量は2g/L以上であることが好ましく、4g/L以上であることがより好ましく、8g/L以上であることが特に好ましい。可溶性亜鉛含有物質の亜鉛換算含有量が過度に多い場合には外観不良やつきまわり性の低下が生じることが懸念されるため、上記の亜鉛換算含有量は60g/L以下であることが好ましく、40g/L以下であることがより好ましく、20g/L以下であることが特に好ましい。
(1−2)浴可溶性金属含有物質
本発明の一実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、当該めっき浴が亜鉛合金めっき浴である場合には、浴可溶性金属含有物質を含有する。本明細書において浴可溶性金属含有物質とは、亜鉛合金めっき皮膜に含有される亜鉛以外の金属の供給源であって、金属元素の陽イオンおよびこれを含有する浴可溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上の成分をいう。浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素として、鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンが例示される。好ましい一例において、金属含有物質に含まれる金属元素は鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選ばれる。
本発明の一実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、当該めっき浴が亜鉛合金めっき浴である場合には、浴可溶性金属含有物質を含有する。本明細書において浴可溶性金属含有物質とは、亜鉛合金めっき皮膜に含有される亜鉛以外の金属の供給源であって、金属元素の陽イオンおよびこれを含有する浴可溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上の成分をいう。浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素として、鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンが例示される。好ましい一例において、金属含有物質に含まれる金属元素は鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選ばれる。
浴可溶性金属含有物質をめっき浴に供給する原料物質(本発明において、「金属源」ともいう。)はその浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素の種類に応じて適宜選択すればよい。例えば、浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素が鉄である場合、すなわち、亜鉛合金めっき浴が浴可溶性鉄含有物質を含有する場合には、Fe2(SO4)3・7H2O、FeSO4・7H2O、Fe(OH)3、FeCl3・6H2O、FeCl2・4H2Oなどが鉄源として例示される。浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素がニッケルである場合、すなわち、亜鉛合金めっき浴が浴可溶性ニッケル含有物質を含有する場合には、NiSO4・6H2O、NiCl2・6H2O,Ni(OH)2などがニッケル源として例示される。浴可溶性金属含有物質に含有される金属元素がマンガンである場合、すなわち、亜鉛合金めっき浴が浴可溶性マンガン含有物質を含有する場合には、MnSO4,MnSO4・H2O,MnCl2・4H2Oなどがマンガン源として例示される。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴における可溶性金属含有物質の金属換算含有量は、目的とする亜鉛合金めっきの組成に応じて適宜設定される。亜鉛系めっき浴が浴可溶性鉄含有物質を含有する場合には、可溶性鉄含有物質の鉄換算含有量を5mg/L以上300mg/L以下程度とすることが例示され、10mg/L以上150mg/L以下程度とすることや、20mg/L以上70mg/L以下程度とすることが好ましい場合もある。亜鉛系めっき浴が浴可溶性ニッケル含有物質を含有する場合には、可溶性ニッケル含有物質のニッケル換算含有量を50mg/L以上10000mg/L以下程度とすることが例示され、100mg/L以上4000mg/L以下程度とすることや、200mg/L以上2000mg/L以下程度とすることが好ましい場合もある。亜鉛系めっき浴が浴可溶性マンガン含有物質を含有する場合には、可溶性マンガン含有物質のマンガン換算含有量を2g/L以上80g/L以下程度とすることが例示され、5g/L以上50g/L以下程度とすることや、10g/L以上20g/L以下程度とすることが好ましい場合もある。
(2)添加剤成分
本実施形態に係るめっき浴は次に説明する化合物(A)を添加剤成分として含有し、必要に応じてさらに他の添加剤成分も含有する。
(2−1)化合物(A)
本実施形態に係るめっき浴は下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を添加剤成分の一つとして含有する。
本実施形態に係るめっき浴は次に説明する化合物(A)を添加剤成分として含有し、必要に応じてさらに他の添加剤成分も含有する。
(2−1)化合物(A)
本実施形態に係るめっき浴は下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を添加剤成分の一つとして含有する。
ここで、R1およびR2は、アルキル基、アルケニル基、ならびにそれらの水素の少なくとも一つがアミノ基、ヒドロキシル基、オキシアルキレンエーテル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、カルボキシル基、カルボキシエステル基またはアリール基で置換された基からなる群から選ばれる基であって、同一の基であってもよいし異なる基であってもよい。このような基の例として、メチル基、エチル基、プロピル基、シクロへキシルメチル基、ヒドロキシエチル基、スルホプロピル基、カルボキシメチル基、メチルカルボキシメチル基、ベンジル基などが挙げられる。
この化合物(A)は、例えば、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンとニコチノイルクロリド塩酸塩とを反応させてアミド結合を形成し、さらに、R1およびR2を与える材料と反応させることで得ることができる。かかる反応材料と得られる化合物A中のR1およびR2との関係を例示すれば、次のとおりである。
反応材料:ヨウ化メチル → 得られる基:メチル基
反応材料:ヨウ化エチル → 得られる基:エチル基
反応材料:臭化プロピル → 得られる基:プロピル基
反応材料:ブロモメチルシクロヘキサン → 得られる基:シクロヘキシルメチル基
反応材料:エチレンクロルヒドリン → 得られる基:ヒドロキシエチル基
反応材料:クロロ酢酸メチル → 得られる基:メチルカルボキシメチル基
反応材料:クロロ酢酸 → 得られる基:カルボキシメチル基
反応材料:プロパンサルトン → 得られる基:スルホプロピル基
反応材料:塩化ベンジル → 得られる基:ベンジル基
反応材料:ヨウ化メチル → 得られる基:メチル基
反応材料:ヨウ化エチル → 得られる基:エチル基
反応材料:臭化プロピル → 得られる基:プロピル基
反応材料:ブロモメチルシクロヘキサン → 得られる基:シクロヘキシルメチル基
反応材料:エチレンクロルヒドリン → 得られる基:ヒドロキシエチル基
反応材料:クロロ酢酸メチル → 得られる基:メチルカルボキシメチル基
反応材料:クロロ酢酸 → 得られる基:カルボキシメチル基
反応材料:プロパンサルトン → 得られる基:スルホプロピル基
反応材料:塩化ベンジル → 得られる基:ベンジル基
この化合物(A)は亜鉛めっき浴においても、亜鉛合金めっき浴においても、優れた添加剤として機能することができる。
化合物(A)は、アルカリ性である亜鉛系めっき浴中で加水分解されたり、めっき析出のための電解によって電気分解されたりしても、化合物(A)の分解生成物やその重合体(本明細書において「分解生成物等」という。)は可溶性を維持することができる。例えば、化合物(A)におけるアミド結合が加水分解されても、アルカリ性であるめっき浴中に形成される分解生成物は、4級アミノ基を有するカチオン化合物とニコチン酸骨格を有するカルボン酸イオンとなる。このため、電解時間の増加に伴いめっき浴に添加剤の分解生成物等に基づく不溶性物質(油状物質であったり、樹脂状の物質であったりする。)が蓄積することに起因する問題が生じにくい。このような不溶性物質が生じる場合には、その性状が油状のものはめっき浴の液面に浮くように存在し、樹脂状のものはめっき浴中に浮遊し、いずれも被めっき部材の表面に吸着され、めっき外観の低下や耐食性などの特性低下をもたらす。また、化合物(A)は不溶性物質を生じにくいため、めっき浴中の添加濃度を高めることができ、結果的に優れた外観(光沢など)を有する亜鉛系めっき皮膜が幅広いめっき条件で得られやすくなる。
亜鉛めっき浴が化合物(A)を含有する場合には化合物(A)は光沢剤として機能し、得られる亜鉛めっき皮膜は光沢を有する。また、この場合には、化合物(A)は得られる亜鉛めっき皮膜の析出速度の電流密度の依存性を緩和し、亜鉛めっき皮膜の均一電着性やつきまわり性を向上させることができる。さらに、これらの機能は、化合物(A)の亜鉛めっき浴中の含有量に対する依存性が低く、0.0001mol/L程度の低含有量から0.05mol/L程度の高含有量の幅広い範囲の電流密度で光沢を有する亜鉛めっき皮膜が得られる。
したがって、亜鉛めっき浴が化合物(A)を含有する場合には、被めっき部材の被めっき面が凹凸を有し電流密度を均一にすることが困難な場合であっても、得られた亜鉛めっき皮膜は均一電着性およびつきまわり性が高く、かつめっき皮膜の光沢度の均一性も高い。その上、亜鉛めっき浴の組成管理、特に添加剤濃度の管理が容易である。それゆえ、化合物(A)を添加剤成分として用いることによって、優れた品質の亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材が生産性高く得られる。
亜鉛合金めっき浴が化合物(A)を含有する場合も、化合物(A)は光沢剤として機能し、幅広い電流密度の範囲で優れた光沢を有する亜鉛合金めっき皮膜が得られる。また、通常光沢剤は、一次光沢剤と二次光沢剤とに分類できるところ、化合物(A)は亜鉛合金めっき浴中では両者の役割を行うため、一次光沢剤や二次光沢剤を追加的に使用しなくとも、優れた外観を有する亜鉛合金めっきを得ることができる。さらに、化合物(A)は浴可溶性金属含有物質に係る金属元素(例えばニッケル)とめっき浴中で化学的な相互作用が生じにくいため、化合物(A)の含有量が変化したことによるめっき浴の液性状(例えば液体の透過率)の変化が少ない。それゆえ、本実施形態に係るめっき浴は、めっき浴の組成管理が容易であり、生産性に優れる。
しかも、亜鉛合金めっき浴が化合物(A)を含有する場合には、当該めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜は、従来技術に係る添加剤を含有する亜鉛合金めっき浴から形成される亜鉛合金めっき皮膜に比べて、耐食性に優れる。その詳細は実施例において示すが、本実施形態に係る化合物(A)を含有する亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜を鉄系部材(本明細書において、「鉄系部材」とは鉄系金属表面を有する部材を意味する。)上に有する部材(亜鉛合金めっき部材)を耐食性試験に供したときに、従来技術に係る光沢剤を含有する亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき部材に比べて、亜鉛合金めっき皮膜が腐食されたことに基づき生じる赤錆の発生の程度が少なく、亜鉛合金めっき皮膜からなる面の性状(表面粗さなど)が劣化しにくい。すなわち、化合物(A)を添加剤成分として用いることによって、耐食性に優れる亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材が生産性高く得られる。
上記の化合物(A)のカウンターアニオンは特に限定されない。塩化物イオンなどハロゲンイオンが例示されるが、フッ化物イオンは取り扱い性が低下し、廃液処理への負荷が増大することから、フッ化物イオンはカウンターアニオンとして用いないことが好ましい。
上記の化合物(A)の亜鉛系めっき浴における含有量は特に限定されない。過度に少ない場合には化合物(A)を含有させたことに基づく効果(優れた外観を有するめっきが得られることなど)が得られにくく、過度に多い場合には電流密度が高い条件で光沢を有するめっきを得られにくくなることが懸念される。したがって、化合物(A)の亜鉛系めっき浴における含有量は、0.0001mol/L以上0.05mol/L以下とすることが好ましく、0.0005mol/L以上0.01mol/L以下とすることがより好ましく、0.001mol/L以上0.006mol/L以下とすることが特に好ましい。
(2−2)その他の添加剤成分
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、上記の化合物(A)以外の添加剤成分を含有してもよい。そのような添加剤成分またはめっき浴中で添加剤成分を与える材料として、次のようなものが例示される。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、上記の化合物(A)以外の添加剤成分を含有してもよい。そのような添加剤成分またはめっき浴中で添加剤成分を与える材料として、次のようなものが例示される。
i)一次光沢剤
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、添加剤成分の一種として一次光沢剤を含有してもよい。かかる一次光沢剤の例として、各種亜鉛めっき浴に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ポリアミン化合物および水溶性カチオン高分子化合物などの水溶性の有機化合物などを挙げることができる。
このポリアミン化合物および水溶性カチオン高分子化合物として、ポリアリルアミン、ポリエポキシポリアミン、ポリアミドポリアミン、およびポリアルキレンポリアミン、などが例示される。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、添加剤成分の一種として一次光沢剤を含有してもよい。かかる一次光沢剤の例として、各種亜鉛めっき浴に使用されるアニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、ポリアミン化合物および水溶性カチオン高分子化合物などの水溶性の有機化合物などを挙げることができる。
このポリアミン化合物および水溶性カチオン高分子化合物として、ポリアリルアミン、ポリエポキシポリアミン、ポリアミドポリアミン、およびポリアルキレンポリアミン、などが例示される。
ポリアリルアミンの具体例として、ジアリルジメチルアンモニウムクロライドと二酸化硫黄の共重合体などが挙げられる。ポリエポキシポリアミンの具体例として、エチレンジアミンとエピクロルヒドリンとの縮合重合体、ジメチルアミノプロピルアミンとエピクロルヒドリンとの縮合重合体、イミダゾールとエピクロルヒドリンとの縮合重合体、1−メチルイミダゾールや2−メチルイミダゾール等のイミダゾール誘導体とエピクロルヒドリンとの縮合重合体、アセトグアナミン、ベンゾグアナミン等のトリアジン誘導体などを含む複素環状アミンとエピクロルヒドリンとの縮合重合体などが挙げられる。ポリアミドポリアミンの具体例として、3−ジメチルアミノプロピル尿素とエピクロルヒドリンとの縮合重合体、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)尿素とエピクロルヒドリンとの縮合重合体等のポリアミンポリ尿素樹脂、N,N−ジメチルアミノプロピルアミンとアルキレンジカルボン酸とエピクロルヒドリンとの縮合重合体等の水溶性ナイロン樹脂などが挙げられる。また、ポリアルキレンポリアミンの具体例として、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ヘキサメチレンペンタミン、ジメチルアミノプロピルアミンと2,2’−ジクロルジエチルエーテルとの縮合重合体、ジメチルアミノプロピルアミンと1,3−ジクロルプロパンとの縮合重合体、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンと2,2’−ジクロルジエチルエーテルとの縮合重合体、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンと1,4−ジクロルブタンとの縮合重合体、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパンと1,3−ジクロルプロパン−2−オールとの縮合重合体などが挙げられる。
なお、上記の化合物(A)は一次光沢剤としての機能を有するため、上記の一次光沢剤の分解生成物が亜鉛系めっき皮膜の外観や特性(耐食性など)を劣化させる可能性がある場合には、本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に上記の一次光沢剤を含有させなくとも優れた外観を有する亜鉛系めっき皮膜を得ることができる。この傾向は、亜鉛系めっき浴が亜鉛合金めっき浴の場合に特に顕著である。通常、一次光沢剤を含有しない亜鉛合金めっき浴から外観に優れる亜鉛合金めっき皮膜を得ることは困難であるが、上記の化合物(A)を含有する場合には、一次光沢剤を含有することなく優れた外観の亜鉛合金めっき皮膜を安定的に得ることができる。なお、本実施形態に係る亜鉛系めっき浴が亜鉛めっき浴の場合には、一次光沢剤を含有させた方が優れた外観の亜鉛めっき皮膜がより安定的に得られることもある。
ii)二次光沢剤
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、添加剤成分の一種として一次光沢剤を含有してもよい。特に、光沢性の向上とつきまわり性の向上の観点からは、二次光沢剤として、芳香族アルデヒドおよびピリジニウム化合物のうち少なくとも一方を含有してもよい。
二次光沢剤として機能することができる芳香族アルデヒドとしては、アニスアルデヒド、ベラトルアルデヒド、サリチルアルデヒド、バニリン、ピペロナール、およびp−ヒドロキシベンズアルデヒドなどを挙げることができる。光沢性の向上と亜鉛系めっき浴に含有される化合物の安定性の観点から、二次光沢剤として含有されることが好ましい芳香族アルデヒドとして、ベラトルアルデヒド、およびバニリンが例示される。
二次光沢剤として機能することができるピリジニウム化合物としては、ベンジルピリジニウムカルボキシレート(塩化3−カルボキシベンジルピリジニウム)、および塩化3−カルバモイルベンジルピリジニウムなどを挙げることができる。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、添加剤成分の一種として一次光沢剤を含有してもよい。特に、光沢性の向上とつきまわり性の向上の観点からは、二次光沢剤として、芳香族アルデヒドおよびピリジニウム化合物のうち少なくとも一方を含有してもよい。
二次光沢剤として機能することができる芳香族アルデヒドとしては、アニスアルデヒド、ベラトルアルデヒド、サリチルアルデヒド、バニリン、ピペロナール、およびp−ヒドロキシベンズアルデヒドなどを挙げることができる。光沢性の向上と亜鉛系めっき浴に含有される化合物の安定性の観点から、二次光沢剤として含有されることが好ましい芳香族アルデヒドとして、ベラトルアルデヒド、およびバニリンが例示される。
二次光沢剤として機能することができるピリジニウム化合物としては、ベンジルピリジニウムカルボキシレート(塩化3−カルボキシベンジルピリジニウム)、および塩化3−カルバモイルベンジルピリジニウムなどを挙げることができる。
iii)めっき促進剤
「めっき促進剤」とは、めっき金属の析出を促進させる機能を有するものであって、被めっき面に吸着してその吸着した領域近傍で金属イオンの還元反応が生じることを促進しているものと推測される。
そのようなめっき促進剤として、チアジアゾール骨格を有する化合物であるチアジアゾール化合物が例示される。チアジアゾール骨格に含まれる3つの硫黄が被めっき面に化学吸着し、この化学吸着した領域での金属イオンの還元反応を促進している可能性がある。チアジアゾール化合物の具体例として、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−チオ酢酸−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジチオ酢酸−1,3,4−チアジアゾール、2−ヒドロキシエチルチオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジヒドロキシエチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、エピクロルヒドリン改質2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ビス(1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル)などが挙げられる。
「めっき促進剤」とは、めっき金属の析出を促進させる機能を有するものであって、被めっき面に吸着してその吸着した領域近傍で金属イオンの還元反応が生じることを促進しているものと推測される。
そのようなめっき促進剤として、チアジアゾール骨格を有する化合物であるチアジアゾール化合物が例示される。チアジアゾール骨格に含まれる3つの硫黄が被めっき面に化学吸着し、この化学吸着した領域での金属イオンの還元反応を促進している可能性がある。チアジアゾール化合物の具体例として、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2−チオ酢酸−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジチオ酢酸−1,3,4−チアジアゾール、2−ヒドロキシエチルチオ−5−メルカプト−1,3,4−チアジアゾール、2,5−ジヒドロキシエチルチオ−1,3,4−チアジアゾール、エピクロルヒドリン改質2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾール、ビス(1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル)などが挙げられる。
iv)キレート剤
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴が亜鉛合金めっき浴である場合には、キレート剤を含有させてもよい。
キレート剤の具体例として、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、エチレンジアミン、ヘキサミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、トリアミノトリエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)などが例示される。このキレート剤は、例えばジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン化合物のように、一次光沢剤としての機能も有するキレート剤であってもよい。なお、キレート剤がカルボン酸など酸の部分構造を有する場合には、キレート剤はフリーの酸の形態として亜鉛合金めっき浴に添加されてもよいし、塩として添加されてもよい。あるいは、アルカリ性である亜鉛合金めっき浴中で加水分解されることにより酸イオンを形成しうる誘導体(例えばエステル)の形態で亜鉛合金めっき浴に添加されてもよい。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴が亜鉛合金めっき浴である場合には、キレート剤を含有させてもよい。
キレート剤の具体例として、酒石酸、クエン酸、グルコン酸、エチレンジアミン、ヘキサミン、1,2−ジアミノプロパン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、トリアミノトリエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミノプロピルアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、1,3−ビス−(3−アミノプロポキシ)エタン、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、トリエチレンテトラミン六酢酸(TTHA)などが例示される。このキレート剤は、例えばジエチレントリアミンやトリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミンなどのポリアミン化合物のように、一次光沢剤としての機能も有するキレート剤であってもよい。なお、キレート剤がカルボン酸など酸の部分構造を有する場合には、キレート剤はフリーの酸の形態として亜鉛合金めっき浴に添加されてもよいし、塩として添加されてもよい。あるいは、アルカリ性である亜鉛合金めっき浴中で加水分解されることにより酸イオンを形成しうる誘導体(例えばエステル)の形態で亜鉛合金めっき浴に添加されてもよい。
v)酸化防止剤、消泡剤等
酸化防止剤として、フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール等のヒドロキシフェニル化合物や、L−アスコルビン酸、ソルビトール等が例示される。なお、上記のキレート剤が還元性物質である場合には、そのキレート剤が酸化防止剤の機能を有しているため、酸化防止剤を含有させなくともよい。
消泡剤として、シリコーン系消泡剤や、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤が例示される。
酸化防止剤として、フェノール、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ピロガロール等のヒドロキシフェニル化合物や、L−アスコルビン酸、ソルビトール等が例示される。なお、上記のキレート剤が還元性物質である場合には、そのキレート剤が酸化防止剤の機能を有しているため、酸化防止剤を含有させなくともよい。
消泡剤として、シリコーン系消泡剤や、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコール等の有機系消泡剤が例示される。
(3)溶媒、液性
本実施形態に係るめっき浴の溶媒は水を主成分とする。水以外の溶媒としてアルコール、エーテル、ケトンなど水への溶解度が高い有機溶媒を混在させてもよい。この場合には、めっき浴全体の安定性および廃液処理への負荷の緩和の観点から、その比率は全溶媒に対して10体積%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るめっき浴の溶媒は水を主成分とする。水以外の溶媒としてアルコール、エーテル、ケトンなど水への溶解度が高い有機溶媒を混在させてもよい。この場合には、めっき浴全体の安定性および廃液処理への負荷の緩和の観点から、その比率は全溶媒に対して10体積%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴はジンケート型のめっき浴であるから、アルカリ性である。めっき浴をアルカリ性とするために用いられる材料(本明細書において「アルカリ成分」ともいう。)の種類は特に限定されない。水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物など公知の材料を用いればよい。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に含まれるアルカリ成分の含有量は特に限定されない。過度に少ない場合には亜鉛系めっき浴の液性をアルカリ性とすることができず、めっき浴中でジンケートイオンを生成することが困難となる。一方、アルカリ成分の含有量が過度に高い場合には、亜鉛系めっき浴の安定性が低下して、得られる亜鉛系めっき皮膜の外観が低下したりつきまわり性が低下したりすることが懸念される。したがって、亜鉛系めっき浴に含まれるアルカリ成分の含有量は、水酸化ナトリウム換算で40g/L以上400g/L以下とすることが好ましく、80g/L以上250g/L以下とすることがより好ましく、100g/L以上200g/L以下とすることが特に好ましい。
(4)調製方法
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴の調製方法は特に限定されない。亜鉛めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源および化合物(A)を与える成分(化合物(A)の塩化物などが例示され、以下、「化合物(A)源」ともいう。)、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述のその他の添加剤成分などを水などの溶媒に溶解させることによって調製することができる。亜鉛合金めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源、金属源および化合物(A)源、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述のその他の添加剤成分などを溶媒に溶解させることによって調製することができる。通常は、溶媒にアルカリ成分を添加し、続いて他の成分を添加することによって、作業性を低下させることなくかつ安全に亜鉛系めっき浴を調製することができる。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴の調製方法は特に限定されない。亜鉛めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源および化合物(A)を与える成分(化合物(A)の塩化物などが例示され、以下、「化合物(A)源」ともいう。)、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述のその他の添加剤成分などを水などの溶媒に溶解させることによって調製することができる。亜鉛合金めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源、金属源および化合物(A)源、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述のその他の添加剤成分などを溶媒に溶解させることによって調製することができる。通常は、溶媒にアルカリ成分を添加し、続いて他の成分を添加することによって、作業性を低下させることなくかつ安全に亜鉛系めっき浴を調製することができる。
2.ジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤
本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は、上記の本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に含有される添加剤成分を含有する。すなわち、本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は化合物(A)を含有し、必要に応じ、さらに、一次光沢剤、二次光沢剤、めっき促進剤などの他の添加剤成分を含有する。
本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は、上記の本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に含有される添加剤成分を含有する。すなわち、本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は化合物(A)を含有し、必要に応じ、さらに、一次光沢剤、二次光沢剤、めっき促進剤などの他の添加剤成分を含有する。
本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤における化合物(A)の含有量は特に限定されない。化合物(A)の塩化物など化合物(A)源は溶解度が高いため、10g/L程度まで含有量を高めることができる。
本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤が化合物(A)以外の成分を含有する場合におけるそれらの含有量は、その添加剤の機能との関係で適宜設定されるべきものである。
本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤が化合物(A)以外の成分を含有する場合におけるそれらの含有量は、その添加剤の機能との関係で適宜設定されるべきものである。
3.亜鉛系めっき部材の製造方法
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に被めっき部材を浸漬させ、被めっき部材をカソード(陰極)として電解を行うことによって、亜鉛系めっき部材を得ることができる。被めっき部材の材質は導電性を有する限り特に限定されない。鉄系材料などの金属系材料、および樹脂系材料やセラミックス系材料などからなる導電性を有さない材料の表面に無電解めっきなどにより導電性材料からなる層が形成されたものが例示される。被めっき部材の形状も特に限定されない。板材や棒材、線材などの一次加工品、ねじ、ボルト、プレス加工品などの二次加工品が挙げられる。
なお、アノード(陽極)を構成する材料は特に限定されない。通常は、安価で入手しやすい鉄系材料が用いられる。
本実施形態に係る亜鉛系めっき浴に被めっき部材を浸漬させ、被めっき部材をカソード(陰極)として電解を行うことによって、亜鉛系めっき部材を得ることができる。被めっき部材の材質は導電性を有する限り特に限定されない。鉄系材料などの金属系材料、および樹脂系材料やセラミックス系材料などからなる導電性を有さない材料の表面に無電解めっきなどにより導電性材料からなる層が形成されたものが例示される。被めっき部材の形状も特に限定されない。板材や棒材、線材などの一次加工品、ねじ、ボルト、プレス加工品などの二次加工品が挙げられる。
なお、アノード(陽極)を構成する材料は特に限定されない。通常は、安価で入手しやすい鉄系材料が用いられる。
電解における電流密度は特に限定されない。電流密度が過度に低い場合には得られる亜鉛系めっき皮膜の析出速度が低く生産性に劣り、電流密度が過度に高い場合には得られる亜鉛めっき皮膜の外観が劣化したり、均一電着性、つきまわり性などが低下したりすることが懸念されることを考慮して、適宜設定すればよい。生産性を高めることとめっき皮膜の品質を高めることとを両立する観点から、0.01A/dm2以上10A/dm2以下とすることが好ましく、0.5A/dm2以上6A/dm2以下とすることがより好ましく、0.5A/dm2以上3A/dm2以下とすることが特に好ましい。
電解におけるめっき浴の温度(めっき浴温度)は室温程度(25℃程度)で行えばよい。めっき浴温度が過度に高い場合には、溶媒や低分子量の有機成分が揮発しやすくなることが懸念される。この揮発が顕著となると、液組成が安定せずめっき皮膜の品質安定性を維持することが困難となる。めっき浴温度が過度に低い場合には、めっき皮膜の析出速度が低下するなど生産性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
電解時間(めっき時間)は、めっき浴の組成、上記の電流密度、めっき浴温度などによって決定されるめっき皮膜の析出速度と求めるめっき皮膜の厚さとから適宜設定される。
めっき設備の構成は特に限定されない。板状または棒状のアノードに対向するようにカソードとしての被めっき部材を亜鉛系めっき浴中に配置し、亜鉛系めっき浴内で液攪拌を適宜行いながら電解して被めっき部材に亜鉛系めっき皮膜を形成してもよいし、ボルトなどの被めっき部材がその内部に入っているバレルを亜鉛系めっき浴中に浸漬させ、バレルを回転させながら電解を行うことで被めっき部材に亜鉛系めっき皮膜を形成してもよい。
II 第二の実施形態
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴も、本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴と同様に、ジンケート型のめっき浴であるから、液性はアルカリ性である。また、本発明の第二の実施形態の好ましい一例に係る亜鉛系めっき浴はシアン化物を含有せず、有害なシアンガスが発生しないため、作業性に優れ、環境に優しい。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴も、本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴と同様に、ジンケート型のめっき浴であるから、液性はアルカリ性である。また、本発明の第二の実施形態の好ましい一例に係る亜鉛系めっき浴はシアン化物を含有せず、有害なシアンガスが発生しないため、作業性に優れ、環境に優しい。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩と、N,N−ジメチルアミノアルキルアミンと、有機ハロゲン化合物、ヒドロキシスルホン酸の環状エステルおよびヒドロキシカルボン酸の環状エステルからなる群から選ばれる一種または二種以上からなる可付加化合物との反応により得られる反応生成物(本明細書において「反応生成物(α)」ともいう。)を含有する。すなわち、反応生成物(α)は、反応生成物(α)を製造するために原料として用いられたハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩、N,N−ジメチルアミノアルキルアミンおよび可付加物質を含まないものとして定義される。
ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩に係るハロゲンの種類は限定されない。具体的には、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが例示される。取り扱い性のしやすさ、入手の容易さなどの理由により、ハロゲンとして塩素を採用する、すなわちニコチノイルクロリド塩酸塩が好ましい。
N,N−ジメチルアミノアルキルアミンの2つのアミノ基の間に位置するアルキレン基は限定されず、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、メチルプロピレン基、ジメチルエチレン基などが例示される。
可付加化合物は、一種類の化合物から構成されていてもよいし、複数種類の化合物から構成されていてもよい。
可付加化合物の一種である有機ハロゲン化合物の具体的な種類は特に限定されない。有機ハロゲン化合物の具体例として、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、臭化プロピル、ブロモメチルシクロヘキサン、エチレンクロルヒドリン、クロロ酢酸メチル、クロロ酢酸、ジクロロエチルエーテルおよび塩化ベンジルなどが挙げられる。
可付加化合物の一種であるヒドロキシスルホン酸の環状エステルはサルトンまたはスルトンとも称され、その具体的な種類は特に限定さない。スルトンの具体例として、1,3−プロパンスルトン、1,4−ブタンスルトン、1,3−ブタンスルトン、1,8−ナフタスルトン、2,4−ブタンスルトン、δ−ヘキサデカンスルトン、3−ヒドロキシ−2−オクタンスルホン酸スルトン、HBPスルトン、4−ヒドロキシ−2−オクタンスルホン酸スルトン、1−ベンジル−4−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸スルトン、1−ベンジル−3−ヒドロキシプロパン−1−スルホン酸スルトン、3−ヒドロキシメチル−p−トルエンスルホン酸スルトン、1,1,2,2−テトラフルオロ−2−ヒドロキシエタンスルホン酸スルトンなどが挙げられる。
可付加化合物の一種であるヒドロキシカルボン酸の環状エステル、すなわちラクトンの具体的な種類は特に限定さない。ラクトンの具体例として、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトンなどが挙げられる。
反応生成物(α)を得るための反応の順番は限定されない。一例を挙げれば、本発明の第一の実施形態に係る化合物(A)を得る場合と同様に、ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩とN,N−ジメチルアミノアルキルアミンとを反応させ、この反応により得られた反応生成物と可付加化合物とを反応させることにより反応生成物(α)を得ることができる。あるいは、ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩と可付加化合物とを反応させ、この反応により得られた反応生成物とN,N−ジメチルアミノアルキルアミンとを反応させることによっても、反応生成物(α)を得ることができる。
反応生成物(α)は、亜鉛めっき浴においても、亜鉛合金めっき浴においても、優れた添加剤として機能することができる。反応生成物(α)は、本発明の第一の実施形態に係る化合物(A)のようなポリカチオン化合物を含みやすい。したがって、反応生成物(α)を含有する本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、めっき浴中に不溶性物質(油状物質であったり、樹脂状の物質であったりする。)が蓄積することに起因する問題が生じにくい。また、反応生成物(α)は不溶性物質を生じにくいため、めっき浴中の添加濃度を高めることができ、結果的に優れた外観(光沢など)を有する亜鉛系めっき皮膜が幅広いめっき条件で得られやすくなる。
反応生成物(α)は、反応生成物(α)を製造するための原料を未反応分として含有する混合物の主成分として得られる場合がある。その場合には、液体クロマトグラフィーなどの分析手段を用いて上記の混合物を測定することにより混合物中の反応生成物(α)の含有比率を求め、その混合比率に基づいて混合物中の反応生成物(α)の質量を求めればよい。
亜鉛めっき浴が反応生成物(α)を含有する場合には反応生成物(α)は光沢剤として機能し、得られる亜鉛めっき皮膜は光沢を有する。また、この場合には、反応生成物(α)は得られる亜鉛めっき皮膜の析出速度の電流密度の依存性を緩和し、亜鉛めっき皮膜の均一電着性やつきまわり性を向上させることができる。さらに、これらの機能は、反応生成物(α)の亜鉛めっき浴中の含有量に対する依存性が低く、0.01g/L程度の低含有量から50g/L程度の高含有量の幅広い範囲の電流密度で光沢を有する亜鉛めっき皮膜が得られる。
したがって、亜鉛めっき浴が化反応生成物(α)を含有する場合には、被めっき部材の被めっき面が凹凸を有し電流密度を均一にすることが困難な場合であっても、得られた亜鉛めっき皮膜は均一電着性およびつきまわり性が高く、かつめっき皮膜の光沢度の均一性も高い。その上、亜鉛めっき浴の組成管理、特に添加剤濃度の管理が容易である。それゆえ、反応生成物(α)を添加剤成分として用いることによって、優れた品質の亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材が生産性高く得られる。
亜鉛合金めっき浴が反応生成物(α)を含有する場合も、反応生成物(α)は光沢剤として機能し、幅広い電流密度の範囲で優れた光沢を有する亜鉛合金めっき皮膜が得られる。また、通常光沢剤は、一次光沢剤と二次光沢剤とに分類できるところ、反応生成物(α)は亜鉛合金めっき浴中では両者の役割を行うため、一次光沢剤や二次光沢剤を追加的に使用しなくとも、優れた外観を有する亜鉛合金めっきを得ることができる。もちろん、反応生成物(α)と一次光沢剤や二次光沢剤とを併用してもよい。さらに、反応生成物(α)は浴可溶性金属含有物質に係る金属元素(例えばニッケル)とめっき浴中で化学的な相互作用が生じにくいため、反応生成物(α)の含有量が変化したことによるめっき浴の液性状(例えば液体の透過率)の変化が少ない。それゆえ、本実施形態に係るめっき浴は、めっき浴の組成管理が容易であり、生産性に優れる。
しかも、亜鉛合金めっき浴が反応生成物(α)を含有する場合には、当該めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜は、従来技術に係る添加剤を含有する亜鉛合金めっき浴から形成される亜鉛合金めっき皮膜に比べて、耐食性に優れる。その詳細は実施例において示すが、本実施形態に係る反応生成物(α)を含有する亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜を鉄系部材上に有する部材(亜鉛合金めっき部材)を耐食性試験に供したときに、従来技術に係る光沢剤を含有する亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき部材に比べて、亜鉛合金めっき皮膜が腐食されたことに基づき生じる赤錆の発生の程度が少なく、亜鉛合金めっき皮膜からなる面の性状(表面粗さなど)が劣化しにくい。すなわち、反応生成物(α)を添加剤成分として用いることによって、耐食性に優れる亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材が生産性高く得られる。
上記の反応生成物(α)の亜鉛系めっき浴における含有量は特に限定されない。過度に少ない場合には反応生成物(α)を含有させたことに基づく効果(優れた外観を有するめっきが得られることなど)が得られにくく、過度に多い場合には電流密度が高い条件で光沢を有するめっきを得られにくくなることが懸念される。したがって、反応生成物(α)の亜鉛系めっき浴における含有量は、0.01g/L以上50g/L以下とすることが好ましく、0.05g/L以上10g/L以下とすることがより好ましく、0.1g/L以上6g/L以下とすることが特に好ましい。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴は、金属成分として浴可溶性亜鉛含有物質を含有する。また、かかる亜鉛系めっき浴は、任意成分として、浴可溶性金属含有物質、一次光沢剤、二次光沢剤、めっき促進剤、キレート剤、酸化防止剤、消泡剤などを含有してもよい。これらの成分の詳細については、本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴の場合と同様であるから、説明を省略する。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴の溶媒および液性は、本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴の場合と同様であるから、説明を省略する。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴の調製方法は特に限定されない。亜鉛めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源および反応生成物(α)、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述の添加剤成分などを水などの溶媒に溶解させることによって調製することができる。亜鉛合金めっき浴の場合には、アルカリ成分、亜鉛源、金属源および反応生成物(α)、ならびに必要に応じ任意添加成分として前述の添加剤成分などを溶媒に溶解させることによって調製することができる。通常は、溶媒にアルカリ成分を添加し、続いて他の成分を添加することによって、作業性を低下させることなくかつ安全に亜鉛系めっき浴を調製することができる。
本発明の第二の実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は、上記の本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴に含有される添加剤成分を含有する。すなわち、本実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤は反応生成物(α)を含有し、必要に応じ、さらに、一次光沢剤、二次光沢剤、めっき促進剤などの他の添加剤成分を含有する。本発明の第二の実施形態に係るジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤における反応生成物(α)の含有量は特に限定されない。その含有量を50g/L程度まで高めることができる。
本発明の第二の実施形態に係る亜鉛系めっき浴に被めっき部材を浸漬させ、被めっき部材をカソード(陰極)として電解を行うことによって、亜鉛系めっき部材を得ることができる。被めっき部材の材質、形状などの詳細、電解条件(電流密度、めっき浴温度、めっき時間など)の詳細、およびめっき設備の構成の詳細は、本発明の第一の実施形態に係る亜鉛系めっき浴の場合と同様であるから、説明を省略する。
以下、本発明の効果を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
1.亜鉛系めっき浴の調製および亜鉛系めっき皮膜を有する部材の作製
[実施例1]
(1)化合物(A1)の塩化物の製造
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン22.5g(0.22mol)を容量が300mlの三つ口フラスコに入れ攪拌し、このフラスコ内にニコチノイルクロリド塩酸塩30g(0.17mol)を徐々に投入した。投入に伴いフラスコ内の液温が上昇するので170℃以上に上がらないように注意して投入した。投入後フラスコ内の液温を150℃に維持して1時間攪拌し、その後、フラスコ内の液を攪拌しながら放冷して液温を100℃まで低下させた後、フラスコ内の液体に水を86.3ml添加し、液攪拌によりフラスコ内の反応物を均一に溶解させた。続いて、フラスコ内の液温を70℃に調整し、エチレンクロルヒドリン33.8g(0.42mol)を徐々にフラスコ内に投入した。投入後、フラスコ内の液温100℃として2時間環流して目的物を、反応生成物(α)を含む組成物として得た。目的物は、収量172.6g、固形分50重量%の橙色液体であった。目的物に含有される主成分は、上記化学式(I)に示される化合物(A)のうちR1およびR2がいずれも2−ヒドロキシエチル基である化合物(実施例において「化合物(A1)」ともいう。)の塩化物であり、化合物(A)源の一種として位置付けられるものであった。
[実施例1]
(1)化合物(A1)の塩化物の製造
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン22.5g(0.22mol)を容量が300mlの三つ口フラスコに入れ攪拌し、このフラスコ内にニコチノイルクロリド塩酸塩30g(0.17mol)を徐々に投入した。投入に伴いフラスコ内の液温が上昇するので170℃以上に上がらないように注意して投入した。投入後フラスコ内の液温を150℃に維持して1時間攪拌し、その後、フラスコ内の液を攪拌しながら放冷して液温を100℃まで低下させた後、フラスコ内の液体に水を86.3ml添加し、液攪拌によりフラスコ内の反応物を均一に溶解させた。続いて、フラスコ内の液温を70℃に調整し、エチレンクロルヒドリン33.8g(0.42mol)を徐々にフラスコ内に投入した。投入後、フラスコ内の液温100℃として2時間環流して目的物を、反応生成物(α)を含む組成物として得た。目的物は、収量172.6g、固形分50重量%の橙色液体であった。目的物に含有される主成分は、上記化学式(I)に示される化合物(A)のうちR1およびR2がいずれも2−ヒドロキシエチル基である化合物(実施例において「化合物(A1)」ともいう。)の塩化物であり、化合物(A)源の一種として位置付けられるものであった。
(2)亜鉛めっき浴の調製
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、化合物(A)源としての化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体(反応生成物(α)を含む組成物)を、化合物(A1)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、およびN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル尿素と1,1’−オキシビス[2−クロロエタン]とのポリマー(ローディア日華社製:MIRAPOL WT、以下、「ポリマー1」という。)を、ポリマー1に基づきめっき浴中に形成されるカチオンポリマー(以下、「カチオンポリマー1」という。)の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質および化合物(A1)を含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛めっき浴を調製した。
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、化合物(A)源としての化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体(反応生成物(α)を含む組成物)を、化合物(A1)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、およびN,N’−ビス[3−(ジメチルアミノ)プロピル尿素と1,1’−オキシビス[2−クロロエタン]とのポリマー(ローディア日華社製:MIRAPOL WT、以下、「ポリマー1」という。)を、ポリマー1に基づきめっき浴中に形成されるカチオンポリマー(以下、「カチオンポリマー1」という。)の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質および化合物(A1)を含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛めっき浴を調製した。
(3)亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材の作製
スターラー回転数1000rpmの液循環型ハルセル試験器(山本めっき試験器社製:スマートハルセルB−53−SM)を用意した。この試験器のめっき槽内の所定の位置に、縦45mm、横45mm、厚さ1mmのアノードとしての鉄板、および縦67mm、横100mm、厚さ0.3mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板を配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が所定の高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流:1A
通電時間:10分
めっき浴温度:25℃
上記の電流では、カソードの電流密度は0.1A/dm2から5A/dm2の範囲であった。
スターラー回転数1000rpmの液循環型ハルセル試験器(山本めっき試験器社製:スマートハルセルB−53−SM)を用意した。この試験器のめっき槽内の所定の位置に、縦45mm、横45mm、厚さ1mmのアノードとしての鉄板、および縦67mm、横100mm、厚さ0.3mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板を配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が所定の高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流:1A
通電時間:10分
めっき浴温度:25℃
上記の電流では、カソードの電流密度は0.1A/dm2から5A/dm2の範囲であった。
[実施例2]
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.004mol/Lとした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.004mol/Lとした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例3]
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.009mol/Lとした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.009mol/Lとした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例1]
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体に代えて、ベンジルピリジニウムカルボキシレート(BPC)の塩酸塩を配合し、その添加量をめっき浴中に形成されるBPCの含有量が0.001mol/Lとなる量とした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例1に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物を含有する上記の橙色液体に代えて、ベンジルピリジニウムカルボキシレート(BPC)の塩酸塩を配合し、その添加量をめっき浴中に形成されるBPCの含有量が0.001mol/Lとなる量とした以外は、実施例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例2]
比較例1に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.004mol/Lとした以外は、比較例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
比較例1に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.004mol/Lとした以外は、比較例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例3]
比較例1に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.009mol/Lとした以外は、比較例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
比較例1に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.009mol/Lとした以外は、比較例1と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例4]
(1)亜鉛合金めっき浴の調製
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、ニッケル源としての硫酸ニッケルを、これに由来する浴可溶性ニッケル含有物質のめっき浴中のニッケル換算含有量が1.5g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、キレート剤としてのテトラエチレンペンタミン(TEPA)を、めっき浴の含有量が15g/Lとなる量、および化合物(A)源として化合物(A1)の塩化物を、化合物(A1)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質、浴可溶性ニッケル含有物質、化合物(A1)およびTEPAを含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛−ニッケル合金めっき浴を調製した。
(1)亜鉛合金めっき浴の調製
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、ニッケル源としての硫酸ニッケルを、これに由来する浴可溶性ニッケル含有物質のめっき浴中のニッケル換算含有量が1.5g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、キレート剤としてのテトラエチレンペンタミン(TEPA)を、めっき浴の含有量が15g/Lとなる量、および化合物(A)源として化合物(A1)の塩化物を、化合物(A1)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質、浴可溶性ニッケル含有物質、化合物(A1)およびTEPAを含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛−ニッケル合金めっき浴を調製した。
(2)亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材の作製
スターラー回転数1000rpmの液循環型ハルセル試験器(山本めっき試験器社製:スマートハルセルB−53−SM)を用意した。この試験器のめっき槽内の所定の位置に、縦45mm、横45mm、厚さ1mmのアノードとしての鉄板、および縦67mm、横100mm、厚さ0.3mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板を配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が所定の高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流:1A
通電時間:10分
めっき浴温度:25℃
上記の電流では、カソードの電流密度は0.1A/dm2から5A/dm2の範囲であった。
スターラー回転数1000rpmの液循環型ハルセル試験器(山本めっき試験器社製:スマートハルセルB−53−SM)を用意した。この試験器のめっき槽内の所定の位置に、縦45mm、横45mm、厚さ1mmのアノードとしての鉄板、および縦67mm、横100mm、厚さ0.3mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板を配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が所定の高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流:1A
通電時間:10分
めっき浴温度:25℃
上記の電流では、カソードの電流密度は0.1A/dm2から5A/dm2の範囲であった。
[実施例5]
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.004mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.004mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例6]
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.009mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.009mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例4]
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物に代えてベンジルピリジニウムカルボキシレート(BPC)の塩酸塩を配合して、めっき浴中に形成されるBPCの含有量が0.001mol/Lとなる量とするとともに、カチオンポリマー1の含有量が0.001mol/Lとなる量のポリマー1をめっき浴に配合した以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物に代えてベンジルピリジニウムカルボキシレート(BPC)の塩酸塩を配合して、めっき浴中に形成されるBPCの含有量が0.001mol/Lとなる量とするとともに、カチオンポリマー1の含有量が0.001mol/Lとなる量のポリマー1をめっき浴に配合した以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例5]
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.004mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.004mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例6]
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.009mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.009mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例7]
(1)亜鉛合金めっき浴の調製
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.0005mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴を調製した。
(2)亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材の作製
スターラー回転数450rpmの縦100mm、横100mm、高さ145mmのめっき槽を用意した。めっき槽内の所定の位置に、縦130mm、横65mm、厚さ1mmのアノードとしてのニッケル板を2枚、および縦50mm、横100mm、厚さ1mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板をアノードの間に配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が130mmの高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流密度:2A/dm2
通電時間:19分
めっき浴温度:25℃
得られためっき皮膜の厚さは6〜7μmの範囲であった。
(1)亜鉛合金めっき浴の調製
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、化合物(A1)の塩化物の配合量を変更して、めっき浴中の化合物(A1)の含有量を0.0005mol/Lとした以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴を調製した。
(2)亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材の作製
スターラー回転数450rpmの縦100mm、横100mm、高さ145mmのめっき槽を用意した。めっき槽内の所定の位置に、縦130mm、横65mm、厚さ1mmのアノードとしてのニッケル板を2枚、および縦50mm、横100mm、厚さ1mmの被めっき部材(カソード)としての鉄板をアノードの間に配置した。めっき槽内に上記のめっき浴を液面が130mmの高さとなるまで入れた。アノードおよびカソードをめっき電源に接続し、次の電解条件で電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
電流密度:2A/dm2
通電時間:19分
めっき浴温度:25℃
得られためっき皮膜の厚さは6〜7μmの範囲であった。
[実施例8]
実施例4に係るめっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
実施例4に係るめっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例9]
(1)化合物(A2)のヨウ化物の製造
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン22.5g(0.22mol)を容量が300mlの三つ口フラスコに入れ攪拌し、このフラスコ内にニコチノイルクロリド塩酸塩30g(0.17mol)を徐々に投入した。投入に伴いフラスコ内の液温が上昇するので170℃以上に上がらないように注意して投入した。投入後フラスコ内の液温を150℃に維持して1時間攪拌し、その後、フラスコ内の液を攪拌しながら放冷して液温を100℃まで低下させた後、フラスコ内の液体に水を109.3ml添加し、液攪拌によりフラスコ内の反応物を均一に溶解させた。続いて、フラスコ内の液温を70℃に調整し、ヨウ化メチル56.8g(0.4mol)を徐々にフラスコ内に投入した。投入後、フラスコ内の液温100℃として2時間環流して目的物を、反応生成物(α)を含む組成物として得た。目的物は、収量218.6g、固形分50重量%の橙色液体であった。目的物に含有される主成分は、上記化学式(I)に示される化合物(A)のうちR1およびR2がいずれもメチル基である化合物(実施例において「化合物(A2)」ともいう。)のヨウ化物であり、化合物(A)源の一種として位置付けられるものであった。
(1)化合物(A2)のヨウ化物の製造
N,N−ジメチルアミノプロピルアミン22.5g(0.22mol)を容量が300mlの三つ口フラスコに入れ攪拌し、このフラスコ内にニコチノイルクロリド塩酸塩30g(0.17mol)を徐々に投入した。投入に伴いフラスコ内の液温が上昇するので170℃以上に上がらないように注意して投入した。投入後フラスコ内の液温を150℃に維持して1時間攪拌し、その後、フラスコ内の液を攪拌しながら放冷して液温を100℃まで低下させた後、フラスコ内の液体に水を109.3ml添加し、液攪拌によりフラスコ内の反応物を均一に溶解させた。続いて、フラスコ内の液温を70℃に調整し、ヨウ化メチル56.8g(0.4mol)を徐々にフラスコ内に投入した。投入後、フラスコ内の液温100℃として2時間環流して目的物を、反応生成物(α)を含む組成物として得た。目的物は、収量218.6g、固形分50重量%の橙色液体であった。目的物に含有される主成分は、上記化学式(I)に示される化合物(A)のうちR1およびR2がいずれもメチル基である化合物(実施例において「化合物(A2)」ともいう。)のヨウ化物であり、化合物(A)源の一種として位置付けられるものであった。
(2)亜鉛合金めっき浴の調製
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、ニッケル源としての硫酸ニッケルを、これに由来する浴可溶性ニッケル含有物質のめっき浴中のニッケル換算含有量が1.5g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、キレート剤としてのテトラエチレンペンタミン(TEPA)を、めっき浴の含有量が15g/Lとなる量、および化合物(A)源として化合物(A2)のヨウ化物を含有する上記の橙色液体(反応生成物(α)を含む組成物)を、化合物(A2)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質、浴可溶性ニッケル含有物質、化合物(A2)およびTEPAを含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛−ニッケル合金めっき浴を調製した。
亜鉛源としての酸化亜鉛を、これに由来する浴可溶性亜鉛含有物質のめっき浴中の亜鉛換算含有量が10g/Lとなる量、ニッケル源としての硫酸ニッケルを、これに由来する浴可溶性ニッケル含有物質のめっき浴中のニッケル換算含有量が1.5g/Lとなる量、アルカリ成分としての水酸化ナトリウムを、めっき浴1Lあたりの溶解量が120gとなる量、キレート剤としてのテトラエチレンペンタミン(TEPA)を、めっき浴の含有量が15g/Lとなる量、および化合物(A)源として化合物(A2)のヨウ化物を含有する上記の橙色液体(反応生成物(α)を含む組成物)を、化合物(A2)のめっき浴中の含有量が0.001mol/Lとなる量、純水からなる溶媒に溶解させて、浴可溶性亜鉛含有物質、浴可溶性ニッケル含有物質、化合物(A2)およびTEPAを含有するアルカリ性のジンケート型亜鉛−ニッケル合金めっき浴を調製した。
(3)亜鉛合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材の作製
上記のめっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
上記のめっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[比較例7]
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.0005mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴を調製した。
得られためっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
比較例4に係るめっき浴の調製にあたり、BPCの塩酸塩の配合量を変更して、BPCの含有量を0.0005mol/Lとした以外は、比較例4と同様の操作によりめっき浴を調製した。
得られためっき浴を用いて、実施例7と同じようにニッケル板に対して電気めっきを行って、厚さが6〜7μmの亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例10]
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として1:2となる量反応させて、反応生成物(x1)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素15g(0.25mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン51g(0.50mol)を300ml三口フラスコに入れ、110℃で1時間、130℃で3時間、150℃で3時間、さらに160℃で1時間加熱環流した。
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として1:2となる量反応させて、反応生成物(x1)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素15g(0.25mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン51g(0.50mol)を300ml三口フラスコに入れ、110℃で1時間、130℃で3時間、150℃で3時間、さらに160℃で1時間加熱環流した。
続いて、得られた反応生成物(x1)およびエピクロロヒドリンをモル比率(ただし、反応生成物(x1)はこれを得るために用いた尿素換算)として1:1となる量反応させて、一次光沢剤として分類される添加剤としての反応生成物(X1)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。反応生成物(x1)57.6g(0.25mol)、水72.8gおよび塩酸26g(0.25mol)を300ml三口フラスコに入れ撹拌し、60℃に加熱した。フラスコ内に、エピクロロヒドリン23.0g(0.25mol)を1時間かけて滴下した後、95℃で3時間加熱環流した。この反応により得られた液体(L1)の組成分析をHPLCにて行い、液体(L1)中の反応生成物(X1)の含有量は500g/Lであることを確認した。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、上記の液体(L1)を、これに含有される反応生成物(X1)のめっき浴中の含有量が1.5g/Lとなる量、めっき浴に配合した以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例11]
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として3:4となる量反応させて、反応生成物(x2)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素18.0g(0.30mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン40.8g(0.40mol)を300ml三口フラスコに入れ、120℃で2時間、さらに130℃で5時間加熱環流した。
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として3:4となる量反応させて、反応生成物(x2)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素18.0g(0.30mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン40.8g(0.40mol)を300ml三口フラスコに入れ、120℃で2時間、さらに130℃で5時間加熱環流した。
続いて、得られた反応生成物(x2)およびエピクロロヒドリンをモル比率(ただし、反応生成物(x2)はこれを得るために用いた尿素換算)として1:1となる量反応させて、一次光沢剤として分類される添加剤としての反応生成物(X2)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。反応生成物(x2)50.0g(0.3mol)、水68.4gおよび塩酸31.3g(0.30mol)を300ml三口フラスコに入れ撹拌し、60℃に加熱した。フラスコ内に、エピクロロヒドリン27.8g(0.30mol)を1時間かけて滴下した後、95℃で3時間加熱環流した。この反応により得られた液体(L2)の組成分析をHPLCにて行い、液体(L2)中の反応生成物(X2)の含有量は500g/Lであることを確認した。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、上記の液体(L2)を、これに含有される反応生成物(X2)のめっき浴中の含有量が1.5g/Lとなる量、めっき浴に配合した以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
[実施例12]
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として3:4となる量反応させて、反応生成物(x3)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素18.0g(0.30mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン40.8g(0.40mol)を300ml三口フラスコに入れ、120℃で2時間、さらに130℃で5時間加熱環流した。
尿素およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミンを、モル比率として3:4となる量反応させて、反応生成物(x3)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。尿素18.0g(0.30mol)およびN,N−ジメチルアミノプロピルアミン40.8g(0.40mol)を300ml三口フラスコに入れ、120℃で2時間、さらに130℃で5時間加熱環流した。
続いて、得られた反応生成物(x3)、ジクロロエチルエーテルおよびエピクロロヒドリンをモル比率(ただし、反応生成物(x3)はこれを得るために用いた尿素換算)として2:1.3:1となる量反応させて、一次光沢剤として分類される添加剤としての反応生成物(X3)を得た。その反応の詳細は次のとおりであった。反応生成物(x3)50.0g(0.30mol)および水92.5gを500ml三口フラスコに入れ撹拌し、40℃に加熱した。フラスコ内に、ジクロロエチルエーテル28.6g(0.20mol)を1時間かけて滴下した後、95℃で3時間加熱環流した。反応物を60℃まで冷却し、フラスコ内に48%水酸化ナトリウムを0.1g添加し、さらに、フラスコ内に、エピクロロヒドリン13.9g(0.15mol)を1時間かけて滴下した後、95℃で3時間加熱環流した。この反応により得られた液体(L3)の組成分析をHPLCにて行い、液体(L3)中の反応生成物(X3)の含有量は500g/Lであることを確認した。
実施例4に係るめっき浴の調製にあたり、上記の液体(L3)を、これに含有される反応生成物(X3)のめっき浴中の含有量が1.5g/Lとなる量、めっき浴に配合した以外は、実施例4と同様の操作によりめっき浴の調製および電気めっきを行って、亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜を有する亜鉛系めっき部材を得た。
2.評価
(1)めっき浴の外観評価
実施例4から6および比較例4から6により作製しためっき浴の外観を目視で観察して、その性状を評価した。評価結果を表1に示す。
(1)めっき浴の外観評価
実施例4から6および比較例4から6により作製しためっき浴の外観を目視で観察して、その性状を評価した。評価結果を表1に示す。
(2)めっき面の外観評価
実施例および比較例により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき面性状を、電気めっきを行った際に高電流密度であった側の端部(以下、「高電流密度側端部」という。)から10mmごとの位置で目視にて観察して、次の基準で評価した。
1:ほぼ鏡面の高光沢
2:光沢
3:半光沢
4:無光沢
5:気泡発生に基づく粗な面
評価結果を表2に示す。
実施例および比較例により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき面性状を、電気めっきを行った際に高電流密度であった側の端部(以下、「高電流密度側端部」という。)から10mmごとの位置で目視にて観察して、次の基準で評価した。
1:ほぼ鏡面の高光沢
2:光沢
3:半光沢
4:無光沢
5:気泡発生に基づく粗な面
評価結果を表2に示す。
(3)めっき膜厚分布
実施例および比較例により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき皮膜の厚さ(単位:μm)を、高電流密度側端部から10mmごとの位置で、蛍光X線膜厚計(SII社製:SFT−9200)により測定した。
測定結果を表3および4ならびに図1に示す。
実施例および比較例により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき皮膜の厚さ(単位:μm)を、高電流密度側端部から10mmごとの位置で、蛍光X線膜厚計(SII社製:SFT−9200)により測定した。
測定結果を表3および4ならびに図1に示す。
(4)ニッケル共析率
実施例4から6および比較例4から6により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき皮膜におけるニッケルの共析率(単位:質量%)を、高電流密度側端部から10mmごとの位置で、蛍光X線膜厚計(SII社製:SFT−9200)により測定した。
測定結果を表5に示す。
実施例4から6および比較例4から6により作製しためっき皮膜を有する部材のめっき皮膜におけるニッケルの共析率(単位:質量%)を、高電流密度側端部から10mmごとの位置で、蛍光X線膜厚計(SII社製:SFT−9200)により測定した。
測定結果を表5に示す。
(5)耐食性試験
実施例7から9および比較例7に係る亜鉛系めっき部材について、JASO M609に規定されるCCT(自動車部品外観腐食試験方法)に基づく耐食性試験を5サイクル行った。
実施例7から9および比較例7に係る亜鉛系めっき部材について、JASO M609に規定されるCCT(自動車部品外観腐食試験方法)に基づく耐食性試験を5サイクル行った。
耐食性試験の条件について以下に示す。
(A)塩水噴霧
温度:35±1℃
塩水濃度:5±0.5%
その他はJIS Z2371:2000(ISO 9227:1990)に準拠した。
(B)乾燥
温度:60±1℃
相対湿度:20〜30%RH
(C)湿潤
温度:50±1℃
相対湿度:95%RH以上
(D)1サイクルの時間および内容
塩水噴霧2時間、乾燥4時間、湿潤2時間
各時間は、それぞれの移行時間(各条件に移行後、その条件の規定の温度および相対湿度に達するまでの時間)を含む。
(E)移行時間
噴霧から乾燥:30分以内
乾燥から湿潤:15分以内
湿潤から噴霧:30分以内(通常はこの移行時間は瞬時である。)
(F)試験片保持角度
原則として、試験片の評価対象面が垂直に対し15〜20°となるように保持する。
(A)塩水噴霧
温度:35±1℃
塩水濃度:5±0.5%
その他はJIS Z2371:2000(ISO 9227:1990)に準拠した。
(B)乾燥
温度:60±1℃
相対湿度:20〜30%RH
(C)湿潤
温度:50±1℃
相対湿度:95%RH以上
(D)1サイクルの時間および内容
塩水噴霧2時間、乾燥4時間、湿潤2時間
各時間は、それぞれの移行時間(各条件に移行後、その条件の規定の温度および相対湿度に達するまでの時間)を含む。
(E)移行時間
噴霧から乾燥:30分以内
乾燥から湿潤:15分以内
湿潤から噴霧:30分以内(通常はこの移行時間は瞬時である。)
(F)試験片保持角度
原則として、試験片の評価対象面が垂直に対し15〜20°となるように保持する。
5サイクル終了後の亜鉛系めっき部材の亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜からなる面を目視にて観察し、赤錆が発生している位置(赤錆発生ポイント)数を計測した。また、耐食性試験を行う前後で亜鉛−ニッケル合金めっき皮膜からなる面の表面粗さを測定した(測定装置:東京精密社製、サーフコム1400G)。なお、表面粗さに関するパラメータとして、中心線平均粗さRa75、十点平均粗さRzおよび最大高さRmax(いずれもJIS B0601:1994に基づく。)を求めた。
測定結果を表6に示す。
測定結果を表6に示す。
実施例10から12について、実施例1などと同様に、めっき面の外観評価(表7)、めっき膜厚分布(表8)およびニッケル共析率(表9)について評価を行った。
Claims (13)
- 浴可溶性亜鉛含有物質および下記化学式(I)で表わされる化合物(A)を含有することを特徴とするジンケート型亜鉛系めっき浴。
- 前記化合物(A)を0.0001mol/L以上0.05mol/L以下含有する請求項1に記載のめっき浴。
- ハロゲン化ニコチノイルハロゲン化水素酸塩と、N,N−ジメチルアミノアルキルアミンと、有機ハロゲン化合物、ヒドロキシスルホン酸の環状エステルおよびヒドロキシカルボン酸の環状エステルからなる群から選ばれる一種または二種以上からなる可付加化合物との反応生成物(α)、ならびに浴可溶性亜鉛含有物質を含有することを特徴とするジンケート型亜鉛系めっき浴。
- 前記反応生成物(α)はポリカチオン化合物を含む請求項3に記載のジンケート型亜鉛系めっき浴。
- シアン化物を含有しない請求項1から4のいずれか一項に記載のめっき浴。
- 浴可溶性亜鉛含有物質を亜鉛換算で2g/L以上60g/L含有する請求項1から5のいずれか一項に記載のめっき浴。
- 浴可溶性金属含有物質をさらに含有し、
当該浴可溶性金属含有物質に含まれる金属元素は鉄、ニッケル、コバルトおよびマンガンからなる群から選ばれる一種または二種以上である請求項1から6のいずれか一項に記載のめっき浴。 - 一次光沢剤をさらに含有する請求項7に記載のめっき浴。
- 請求項1に記載される化合物(A)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤。
- 請求項3または4に記載される反応生成物(α)を含有するジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤。
- 被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた亜鉛系めっき部材の製造方法であって、
請求項1に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴を用い、当該めっき浴に含有される前記化合物(A)の含有量を0.0001mol/L以上0.05mol/L以下の範囲に管理しながらめっきすることを特徴とする亜鉛系めっき部材の製造方法。 - 被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛系めっき皮膜とを備えた亜鉛系めっき部材の製造方法であって、
請求項3または4に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴を用い、当該めっき浴に含有される前記反応生成物(α)の含有量を0.01g/L以上50g/L以下の範囲に管理しながらめっきすることを特徴とする亜鉛系めっき部材の製造方法。 - 被めっき部材と、該被めっき部材の被めっき面上に積層された亜鉛合金めっき皮膜とを備えた亜鉛合金めっき部材の製造方法であって、
請求項7または8に記載されるジンケート型亜鉛系めっき浴であって浴可溶性ニッケル含有物質を含有するジンケート型亜鉛合金めっき浴を用い、
前記ジンケート型亜鉛合金めっき浴から得られた亜鉛合金めっき皮膜におけるニッケルの共析率を12質量%以上20質量%以下とする亜鉛合金めっき部材の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013140189A JP2014037621A (ja) | 2012-07-17 | 2013-07-03 | ジンケート型亜鉛系めっき浴、ジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤および亜鉛系めっき部材の製造方法 |
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JP2012158858 | 2012-07-17 | ||
JP2012158858 | 2012-07-17 | ||
JP2013140189A JP2014037621A (ja) | 2012-07-17 | 2013-07-03 | ジンケート型亜鉛系めっき浴、ジンケート型亜鉛系めっき浴用添加剤および亜鉛系めっき部材の製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5740616B1 (ja) * | 2014-09-25 | 2015-06-24 | ユケン工業株式会社 | 酸性亜鉛合金めっき浴用添加剤、酸性亜鉛合金めっき浴および亜鉛合金めっき部材の製造方法 |
-
2013
- 2013-07-03 JP JP2013140189A patent/JP2014037621A/ja active Pending
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JP5740616B1 (ja) * | 2014-09-25 | 2015-06-24 | ユケン工業株式会社 | 酸性亜鉛合金めっき浴用添加剤、酸性亜鉛合金めっき浴および亜鉛合金めっき部材の製造方法 |
JP2016065295A (ja) * | 2014-09-25 | 2016-04-28 | ユケン工業株式会社 | 酸性亜鉛合金めっき浴用添加剤、酸性亜鉛合金めっき浴および亜鉛合金めっき部材の製造方法 |
US9587320B2 (en) | 2014-09-25 | 2017-03-07 | Yuken Industry Co., Ltd. | Additive for acid zinc alloy plating bath, acid zinc alloy plating bath, and method for producing zinc alloy plated article |
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