JP2014037389A - エステル化合物の製造方法およびアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法 - Google Patents

エステル化合物の製造方法およびアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】目的とするエステル化合物を高純度で製造可能な方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るエステル化合物(7a)の製造方法は、オキセタン化合物(Ia)をイミデート化することによりイミデート化合物(6a)を製造するイミデート化工程と、イミデート化合物(6a)をエステル化することによりエステル化合物(7a)を製造するエステル化工程と、を含む。エステル化工程において用いるイミデート化合物(6a)は、イミデート化工程後の反応溶液を、強酸を含む水溶液と有機溶媒とを用いて分液したときの水層に含まれるものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、エステル化合物の製造方法、およびこれを利用したアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法に関する。
農園芸用病害防除剤および工業用材料保護剤の有効成分として優れた活性を示すアゾリルメチルシクロペンタノール化合物が知られている。例えば、特許文献1には、人畜に対する毒性が低く、広範な植物病害に対する高い防除効果と種々の農園芸植物に対する高い生長効果を示す2−(ハロゲン化炭化水素置換)−5−ベンジル−1−アゾリルメチルシクロペンタノール誘導体が記載されている。
国際公開第2011/070771号 特開平01−93574号公報
本発明は、目的とするエステル化合物を高純度で製造可能な方法を提供することを主な目的とする。
上記課題解決のため、本発明は、下記式(III)で表されるエステル化合物の製造方法であって、下記式(I)で表されるオキセタン化合物をイミデート化することにより下記式(II)で表されるイミデート化合物を製造するイミデート化工程と、前記イミデート化合物をエステル化することにより前記エステル化合物を製造するエステル化工程と、を含み、前記エステル化工程において用いるイミデート化合物は、前記イミデート化工程後の反応溶液を、強酸を含む水溶液と有機溶媒とを用いて分液したときの水層に含まれるものであることを特徴とするエステル化合物の製造方法を提供する。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
Figure 2014037389
(式(I)〜(III)中、Rは、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表す。当該アルキル基における水素原子は、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表す。Arは、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基または5〜10員の芳香族複素環基を表す。)
これによって、本発明に係るエステル化合物の製造方法では、イミデート化合物を反応溶液から分離し、分離したイミデート化合物を用いて目的とするエステル化合物を得ることができる。すなわち、本発明に係るエステル化合物の製造方法では、分液操作を行わない場合と比較して高純度のイミデート化合物をエステル化工程に用いることができるので、目的とするエステル化合物についても高純度で得ることができる。
また、本発明に係るエステル化合物の製造方法では、分液したときの有機溶媒層に含まれるオキセタン化合物を、前記イミデート化工程におけるオキセタン化合物として用いることが好ましい。有機溶媒層に含まれるオキセタン化合物は、イミデート化工程において未反応のものである。すなわち、本発明に係るエステル化合物の製造方法では、イミデート化工程において未反応のオキセタン化合物をイミデート化工程に再利用することができるため、再利用しない場合と比較してイミデート化合物の収率を向上させることができる。これによって、目的とするエステル化合物の収率についても向上させることができる。
本発明に係るエステル化合物の製造方法において、製造されるイミデート化合物は、オキセタン環とArで示される有機基とがシス型であることが好ましい。
本発明に係るエステル化合物の製造方法において、前記エステル化工程では、酸触媒の存在下で亜硝酸化合物を用いて前記イミデート化合物から前記エステル化合物を製造することが好ましい。
前記酸触媒は、分液時に用いられる前記水溶液に含まれる前記強酸であることが好ましい。この場合、エステル化工程において、強酸を含む水層に分配されたイミデート化合物を、強酸をそのまま酸触媒として用いて亜硝酸化合物と反応させることができる。
強酸には、硫酸、硝酸、塩酸、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも一種の酸を用いることが好ましい。
また、本発明には、上記のエステル化合物の製造方法を含む、下記式(11)記載のアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法も包含される。
Figure 2014037389
(式(11)中、RおよびArは、上記式(I)におけるRおよびArと同一である。Xは、ハロゲン原子を表す。A、は窒素原子またはメチン基を表す。)
本発明に係るエステル化合物の製造方法によれば、目的とするエステル化合物を高純度で製造できる。
本発明に係るエステル化合物の製造方法を示す図である。
以下、本発明を実施するための好適な形態について詳細に説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の代表的な実施形態の一例を示したものであり、これにより本発明の範囲が狭く解釈されることはない。
1.エステル化合物の製造方法
エステル化合物の製造方法は、下記式(I)で表されるオキセタン化合物(化合物(I))から下記式(II)で表されるイミデート化合物(化合物(II))を得るイミデート化工程と、イミデート化工程後の反応溶液に含まれる化合物を水層と有機溶媒層に分配する分配工程と、水層に分配される化合物(II)から下記式(III)で表されるエステル化合物(化合物(III))を得るエステル化工程と、を含む。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
Figure 2014037389
(1)化合物(I)、化合物(II)、化合物(III)における置換基
は、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表している。
炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、n−ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1−エチルプロピル基および1,1−ジメチルエチル基を挙げることができる。なかでも炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
で示されるアルキル基における水素原子は、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、具体的には、メトキシ基、エトキシ基およびn−プロポキシ基等を挙げることができる。置換される水素原子の数に制限はなく、1以上であり得る。
は、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表している。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基およびn−ヘキシル基が挙げられる。炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、メチル基およびエチル基であることがより好ましい。
Arは、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、または水素原子が置換されていてもよい5〜10員の芳香族複素環基を表している。
炭素数6〜10の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、インデン基およびアズレン基等を挙げることができる。
また、5〜10員の芳香族複素環基を構成する芳香族複素環としては、例えば、チオフェン、ピリジン、チアゾール、フラン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、トリアゾール、フラサン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、キノキサリン、ベンゾチオフェン、ベンズイミダゾール、ベンズチアゾール、ベンゾフラン、クマリンおよびイソキノリン等を挙げることができる。
Arにおける芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が有し得る置換基としては、ハロゲン原子、フェニル基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のハロアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基および炭素数1〜4のハロアルコキシ等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子および臭素原子等が挙げられる。
炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基等が挙げられる。
炭素数1〜4のハロアルキル基としては、トリフルオロメチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、クロロメチル基、トリクロロメチル基およびブロモメチル基等が挙げられる。炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基およびn−プロポキシ基等が挙げられる。
炭素数1〜4のハロアルコキシ基としては、トリフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基および2,2,2−トリフルオロエトキシ基等が挙げられる。また置換基としてのフェニル基における水素原子は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
Arの芳香族炭化水素基および芳香族複素環基における置換基の数および位置は特に限定されない。また、置換基が複数である場合、それぞれは同じであってもよく、互いに異なるものであってもよい。
Arの一例としては、例えば、以下の式(a)〜(d)を挙げることができるがこれに限定されるものではない。以下の式(a)〜(d)以外のArとしては、例えば、ナフタレンおよびアズレンなどの多環芳香族炭化水素、またはキノリン、ベンゾチオフェンなどの多環芳香族複素環を挙げることができる。
Figure 2014037389
(式(a)〜(d)中、Yは、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基または炭素数1〜3のハロアルコキシ基を表す。mは、0、1または2である。Yは、ハロゲン原子を表す。*はメチレン基との結合を表す。)
Arのより具体的な例としては下記式(e)〜(l)で示される芳香族炭化水素基および芳香族複素環基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 2014037389
(式(e)〜(l)中、*は、メチレン基との結合を表す。式(e)中、Yは、塩素原子、フッ素原子、メチル基、フェニル基またはトリフルオロメトキシ基を表す。)
なお、本明細書等において同一の記号により示される置換基は全て同一のものである。例えばRで示される置換基は、いずれの式においても上述したRを意味する。
(2)イミデート化工程
次に、図1を参照して、本発明に係るエステル化合物の製造方法におけるイミデート化工程、分配工程およびエステル化工程について順に説明する。まず、イミデート化工程では、化合物(I)をアルコキシドと反応させることにより、化合物(II)を得る。
アルコキシドは、有機基としてRの説明において列挙したアルキル基を有する。すなわち、本工程で用いられるアルコキシドは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルコキシドである。具体的には、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウムt−ブトキシドおよびカリウムt−ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドなどが挙げられる。
アルコキシドの量は、化合物(I)に対して、例えば、0.8倍モル〜100倍モルであり、好適には、1倍モル〜50倍モルである。
溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノールおよびブタノール等のアルコール類を用いることができる。特に、アルコキシドにおける炭化水素の構造と同一の炭化水素の構造を有するアルコールを用いることが好ましい。例えば、アルコキシドとしてナトリウムメトキシドを用いる場合には溶媒としてメタノールを用いることが好ましく、アルコキシドとしてナトリウムエトキシドを用いる場合には溶媒としてエタノールを用いることが好ましい。
反応温度および反応時間は、用いられる溶媒、およびアルコキシドの種類等によって適宜設定することができる。例えば、反応温度は、−30℃〜150℃であり、好適には、室温〜70℃である。また、反応時間は、例えば、0.5時間〜10日であり、好適には、15時間〜90時間である。
化合物(I)には、下記式(Ia)、(Ib)で表される幾何異性体(それぞれ、化合物(Ia)、化合物(Ib))が存在する。以下、オキセタン環とArで表される有機基とがシス型である化合物(Ia)を「シス体」と称する。また、オキセタン環とArで表される有機基とがトランス型である化合物(Ib)を「トランス体」と称する。また、「シス体」および「トランス体」の用語は、化合物(I)から生成する化合物についても同様に用いるものとする。
Figure 2014037389
本工程におけるシアノ基に対するアルコキシドの付加反応は、化合物(I)のうちシス体(化合物(Ia))でのみ進行する。従って、本工程により得られる化合物(II)は、下記式(6a)で表される、単一の幾何異性体(化合物(6a))となる。一方、化合物(I)のうちトランス体(化合物(Ib))は、アルコキシドの付加反応が生じず、反応溶液中に未反応のまま残存する。
Figure 2014037389
イミデート化工程後の反応溶液には、生成した化合物(6a)と、反応に寄与しなかった化合物(Ib)が含まれる。また、化合物(Ia)と化合物(6a)との間で平衡が維持されるため、イミデート化工程後の反応溶液には、未反応の化合物(Ia)も少量含まれている。イミデート化工程後の反応溶液に含まれる化合物(I)のうち、未反応の化合物(Ia)は通常10%程度である。
(3)分配工程
分配工程では、イミデート化工程後の反応溶液に有機溶媒と強酸の水溶液を加え、水層と有機溶媒層に分離する。イミデート化工程後の反応溶液に含まれる化合物のうち、化合物(6a)は、強酸性条件下で水層に分配される。一方、イミデート化工程後の反応溶液に含まれる化合物のうち、反応に寄与しなかった化合物(Ib)と、未反応の化合物(Ia)は、有機溶媒層に分配される。なお、本明細書等における「強酸」とは、水溶液中で平衡に達したときにプロトンを近似的に完全に電離する電解質を指す。
化合物(Ia)と化合物(Ib)とを含む有機溶媒層は、再度、イミデート化工程における化合物(I)として利用される。このとき、有機溶媒層は、新たな化合物(I)を含む溶液と混合されてもよい。
強酸としては、酸解離定数(pKa)が0より小さいものを用いることができる。例えば、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などの酸を一種以上用いることができる。これらの中でも、特に硫酸を用いることが好ましい。用いられる強酸は、次に説明するエステル化工程において、そのまま酸触媒として利用することができる。イミデート化工程後の反応溶液への有機溶媒と強酸の水溶液の添加は、まず反応溶液に水と有機溶媒を加えて有機溶媒抽出を行った後、得られた抽出液に強酸水溶液を加えることよって行ってもよい。
有機溶媒には、トルエン、ベンゼン、ヘキサン等の芳香族炭化水素類、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロ炭化水素などを用いることができる。
(4)エステル化工程
エステル化工程では、分配工程において分離された水層中に分配された化合物(6a)を、溶媒中、酸触媒の存在下で亜硝酸化合物と反応させて化合物(III)を得る。イミデート化工程におけるシアノ基に対するアルコキシドの付加反応は、化合物(I)のうちシス体(化合物(Ia))でのみ進行している。従って、本工程により得られる化合物(III)は、単一の幾何異性体(すなわち、化合物(7a))となる。
Figure 2014037389
エステル化工程は、亜硝酸化合物を用いたジアゾ化反応により行われる。亜硝酸化合物としては、亜硝酸塩または亜硝酸エステルを用いることが好ましい。具体的には、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸バリウム、亜硝酸エチル、亜硝酸イソアミル、亜硝酸イソブチル、亜硝酸イソプロピル、亜硝酸t−ブチル、亜硝酸n−ブチル、亜硝酸n−プロピルなどが用いられる。
亜硝酸化合物の量は、化合物(6a)に対して、好適には1倍モル〜10倍モルであり、1倍モル〜5倍モルであることがより好ましい。
酸触媒には、硫酸、塩酸、硝酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などが用いられる。上述の分配工程において用いた強酸は酸触媒として利用することができる。また、本工程は、水を溶媒に用いた水溶液中で行うことができる。
酸触媒の量は、特に限定されないが、化合物(6a)に対して、例えば、0.5倍モル〜100倍モルであり、好適には、1倍モル〜10倍モルである。
反応温度、例えば0℃〜90℃であり、好適には0℃〜50℃である。化合物(6a)のアミド化を抑制するため、反応温度は35℃以下とすることがさらに好適である。また、反応時間は、例えば数時間〜数日であり、好適には1時間〜24時間である。
(本発明の利点)
化合物(7a)の製造では、イミデート化工程における生成物に未反応の化合物(I)(反応に寄与しない化合物(Ib)および反応せずに残された化合物(Ia))が混入している場合、その後の工程において未反応の化合物(I)を除去することが非常に困難である。そのため、後段のエステル化工程の前に未反応の化合物(I)を生成物から除去することが好ましい。
本発明者らは鋭意検討した結果、イミデート化工程後の反応溶液を分液(液液抽出)する際の水溶液として強酸を含む水溶液を用いることで、イミデート化工程において得られた目的とする化合物(6a)のみを水層中に特異的に分離させることができることを見出した。すなわち、本発明は、イミデート化工程後の反応溶液に含まれる化合物(Ia)、化合物(Ib)および化合物(6a)のうち、化合物(6a)のみが強酸性の水層に分配するという新たな知見に基づく発明である。
したがって、本発明に係るエステル化合物の製造方法によれば、分配工程において、イミデート化工程における生成物である化合物(6a)を、未反応の化合物(I)から分離する。これにより、本発明に係るエステル化合物の製造方法では、煩雑な精製操作を行うことなく化合物(6a)を分液操作のみで容易に精製することができる。さらに、続くエステル化工程には未反応の化合物(I)が混入していない高純度の化合物(6a)を用いることができるため、目的とする化合物(7a)についても高純度で得ることができる。
また、分液操作により化合物(6a)を水層に分配させることができるため、有機溶媒層に含まれる未反応の化合物(I)を再度イミデート化工程に用いることができる。これにより、これまでは利用することができなかった未反応の化合物(Ia)を再度イミデート化することができる。すなわち、化合物(I)の利用効率を高めることができる。これを繰り返すことにより、化合物(I)から化合物(6a)(ひいては目的とする化合物(7a))を高収率で得ることができる。
2.アゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法
次に、本発明に係るアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法について説明する。アゾリルメチルシクロペンタノール化合物は、植物病害を引き起こす多くの菌に対して優れた殺菌作用を示す。また、アゾリルメチルシクロペンタノール化合物を有効成分として含む農園芸用病害防除剤は、人畜に対する毒性が低く取扱い安全性に優れ、かつ広範な植物病害に対して高い防除効果を示す。
このアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法は、その一工程に、上述のエステル化合物の製造方法を含む。したがって、エステル化合物の製造方法を用いない製造方法により得られる化合物(7a)よりも高純度の化合物(7a)を用いることができるため、アゾリルメチルシクロペンタノール化合物についても高純度で得ることができる。
以下、下記式(11a)で表されるアゾリルメチルシクロペンタノール化合物(化合物(11a))を例に挙げて、その製造方法を具体的に説明する。化合物(11a)は、1位のヒドロキシ基と2位のハロゲン化メチル基および1位のヒドロキシ基と5位の−CH−Ar基のいずれもがシス型である。
Figure 2014037389
(式(11a)中、Xは、ハロゲン原子を表す。A、は窒素原子またはメチン基を表す。)
化合物(11a)の製造スキームの概略は次の通りである。以下、製造スキームの各工程について順に説明する。なお、本実施形態において説明する各工程において用いられる溶媒の種類および反応条件(反応時間および反応温度など)については、特定する記載のない限り、特に限定されるものではない。これらは、反応に用いられる物質などに基づいて適宜設定すればよい。
(製造スキーム)
Figure 2014037389
(1)工程1:ヒドロキシメチル化
工程1では、化合物(1)をヒドロキシメチル化することにより、化合物(2)を得る(下記反応式(1)参照)。
反応式(1)
Figure 2014037389
化合物(2)を得る具体的な方法としては、溶媒中、塩基存在下で、化合物(1)をホルムアルデヒドまたはホルムアルデヒド誘導体(以下、ホルムアルデヒド等という)と反応させる方法が挙げられる。
ホルムアルデヒド誘導体としては、パラホルムアルデヒド、1,3,5−トリオキサンおよびホルムアルデヒドジアルキルアセタール等を挙げることができる。
化合物(1)に対するホルムアルデヒド等の量は、例えば、0.5倍モル〜20倍モルであり、好適には0.8倍モル〜10倍モルである。
塩基としては、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物、ならびに炭酸水素ナトリウム等の炭酸水素塩等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
化合物(1)に対する塩基の使用量は、例えば、0.1倍モル〜10倍モルであり、好適には0.2倍モル〜5倍モルである。
反応終了後、塩酸水溶液で処理することにより、過剰反応分の一部を目的物(化合物(2))に戻してもよい。
なお、ここで使用される化合物(1)は、特許文献2の記載に準じて製造すればよい。
(2)工程2:脱離基への変換
工程2では、化合物(2)における所定のヒドロキシ基を、脱離基に変換することにより、化合物(3)を得る(下記反応式(2)参照)。
反応式(2)
Figure 2014037389
化合物(3)におけるXは、ハロゲン原子または−OSOを表しており、Rは炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基またはナフチル基を表している。
−OSOとしては、例えば、メタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、ナフタレンスルホニルオキシ基、o−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基およびジメチルアミノナフチルスルホニルオキシ基等を挙げることができる。
における炭素数1〜3のアルキル基は、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基およびイソプロピル基を挙げることができる。
におけるフェニル基およびナフチル基における水素原子はハロゲン原子、メチル基、トリフルオロメチル基、ニトロ基またはアミノ基で置換されていてもよい。置換し得るハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子を挙げることができる。
ヒドロキシ基を脱離基(X)に変換する方法としては、(i)過剰量の塩基の存在下、溶媒中で、化合物(2)をスルホニルクロライド類と反応させる方法、および(ii)化合物(2)をハロゲン化チオニル類と反応させる方法を挙げることができる。
スルホニルクロライド類としては、メタンスルホニルクロライド、プロパンスルホニルクロライド、トリフルオロメタンスルホニルクロライド、ベンゼンスルホニルクロライド、クロロベンゼンスルホニルクロライド、p−トルエンスルホニルクロライド、ナフタレンスルホニルクロライド、o−ニトロベンゼンスルホニルクロライドおよびジメチルアミノナフチルスルホニルクロライド等を挙げることができる。
塩基としては特に限定されないが、例えば、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミン等の脂肪族アミン類、水素化ナトリウム等の無機塩基、ならびにピリジン等の芳香族有機塩基等を挙げることができる。
スルホニルクロライド類としてp−トルエンスルホニルクロライドを用いる場合には、N−メチルイミダゾールおよびジメチルアミノピリジンなどの触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。
スルホニルクロライド類の量は、化合物(2)に対して、例えば、0.8倍モル〜10倍モルであり、好適には0.9倍モル〜5倍モルである。塩基の量は、化合物(2)に対して、例えば、0.9倍モル〜20倍モルであり、好適には1倍モル〜10倍モルである。
ハロゲン化チオニル類としては、チオニルブロマイドおよびチオニルクロライド等を用いることができる。
(3)工程3:加水分解および脱炭酸
工程3では、化合物(3)のメトキシカルボニル基を水素で置換することにより、化合物(4)を得る(下記反応式(3))。
反応式(3)
Figure 2014037389
化合物(4)におけるXは、上述のXと同義であるが、化合物(3)のXと異なり得る。
メトキシカルボニル基を水素で置換する方法としては、酸触媒により化合物(3)のメトキシカルボニル基を加水分解するとともに脱炭酸する方法を挙げることができる。
酸触媒としては、臭化水素、塩化水素、メタンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸等の置換スルホン酸、ならびに硫酸等が挙げられる。酸触媒として臭化水素を用いた場合には、一部の化合物(3)においてXが臭素に置換される。
(4)工程4:オキセタン閉環
工程4では、化合物(4)をシアン化物塩と反応させてオキセタン化することにより、化合物(5)を得る(下記反応式(4)参照)。
反応式(4)
Figure 2014037389
シアン化物塩としては、シアン化ナトリウムおよびシアン化カリウム等のアルカリ金属シアン化物、シアン化カルシウム、ならびにシアン化テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
シアン化物塩の量は、化合物(4)に対して、例えば、0.8倍モル〜20倍モルであり、好適には、1倍モル〜5倍モルである。
本工程における反応では、溶媒に、触媒を添加してもよい。用いられる触媒としては、ヨウ化ナトリウム、臭化ナトリウム、トリエチルアミン、塩化ベンジルトリエチルアンモニウムおよび1,8−ジアザビシクロ−7−[5,4,0]ウンデセン等が好適に用いられる。
本工程において、化合物(5)の幾何異性体としては、シス体が優先して得られることになる。例えばN−メチル−2−ピロリドン溶媒中、室温反応から得られた場合には、シス体:トランス体=約9:1となる。
(5)工程5:イミデート化および分配
工程5では、化合物(5)をアルコキシドと反応させることにより、化合物(6a)を得る。工程5に関する反応は上記において詳述したため、ここでは具体的な説明を省略する。
(6)工程6:エステル化
工程6では、化合物(6a)を、溶媒中、亜硝酸化合物の存在下で酸触媒と反応させることにより、化合物(7a)を得る。工程6に関する反応も上記において詳述したため、ここでは具体的な説明を省略する。
(7)工程7:還元反応
工程7では、化合物(7a)を還元することにより、化合物(8a)を得る(下記反応式(7)参照)。
反応式(7)
Figure 2014037389
化合物(7a)を還元するための還元剤としては、ヒドリド型還元剤を挙げることができる。ヒドリド型還元剤としては、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素リチウムおよび水素化リチウムアルミニウム等を挙げることができる。また、還元剤は必要に応じて系内で調製することも可能である。
還元剤の量は、化合物(7a)に対して、例えば、0.2倍モル〜50倍モルであり、好適には、0.5倍モル〜20倍モルである。
(8)工程8:脱離基への置換
工程8では、化合物(8a)のヒドロキシ基を脱離基に置換することにより、化合物(9a)を得る(下記反応式(8)参照)。
反応式(8)
Figure 2014037389
化合物(9a)におけるXは、脱離基であれば特に制限されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子および臭素原子等のハロゲン原子、ならびにメタンスルホニルオキシ基、プロパンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、ベンゼンスルホニルオキシ基、クロロベンゼンスルホニルオキシ基、p−トルエンスルホニルオキシ基、ナフタレンスルホニルオキシ基、o−ニトロベンゼンスルホニルオキシ基およびジメチルアミノナフチルスルホニルオキシ基等の置換スルホニルオキシ基を挙げることができる。
ヒドロキシ基を脱離基に置換する方法としては、(i)過剰量の塩基の存在下、溶媒中で、化合物(8a)をスルホニルクロライド類と反応させる方法、および(ii)化合物(8a)をハロゲン化チオニル類と反応させる方法を挙げることができる。
本工程において使用可能なスルホニルクロライド類、ハロゲン化チオニル類、塩基および溶媒は、上記工程2において使用可能なものと同じである。
スルホニルクロライド類としてp−トルエンスルホニルクロライドを用いる場合には、N−メチルイミダゾールおよびジメチルアミノピリジンなどの触媒存在下で反応を行うことが好ましい。
スルホニルクロライド類の量は、化合物(8a)に対して、例えば、0.8倍モル〜10倍モルであり、好適には、0.9倍モル〜5倍モルである。塩基の量は、化合物(8a)に対して、例えば、0.9倍モル〜12倍モルであり、好適には、1倍モル〜6倍モルである。
(9)工程9:アゾール付加
工程9では、化合物(9a)をトリアゾール化合物またはイミダゾール化合物と反応させることにより、化合物(10a)を得る(下記反応式(9)参照)。
反応式(9)
Figure 2014037389
化合物(10a)におけるAは、窒素原子またはメチン基を表している。
化合物(10a)を得る方法としては、塩基の存在下、溶媒中で、化合物(9a)をイミダゾール化合物またはトリアゾール化合物と反応させる方法が挙げられる。
イミダゾール化合物およびトリアゾール化合物としては、下記式(VI)で示される1,2,4−トリアゾールの金属塩またはイミダゾールの金属塩が挙げられる。
Figure 2014037389
式(VI)中、Aは窒素原子またはメチン基を表しており、Mは金属を表している。Mとしては、アルカリ金属が好適に用いられ、なかでも、ナトリウムおよびカリウムが特に好ましい。
用いる塩基としては、特に制限されない。また、この塩基については、予めアゾール化合物と処理して塩を形成するのに用いてもよく、系内に共存させて用いてもよい。
イミダゾール化合物およびトリアゾール化合物の量は、化合物(9a)に対して、例えば、0.8倍モル〜20倍モルであり、好適には、1倍モル〜5倍モルである。
(10)工程10:オキセタン開環
工程10では、化合物(10a)の有するオキセタン環を開環することにより、化合物(11a)を得る(下記反応式(10)参照)。
反応式(10)
Figure 2014037389
化合物(11a)におけるXは、ハロゲン原子を表している。
化合物(10a)の有するオキセタン環を開環する方法としては、化合物(10a)とハロゲン酸とを溶媒中で混合し、ハロゲン化メチル基と3級ヒドロキシ基とを生成する方法が好適に用いられる。
ハロゲン酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素およびヨウ化水素を挙げることができる。
ハロゲン酸の量は、化合物(10a)に対して、例えば、0.5倍モル〜50倍モルであり、好適には、1倍モル〜20倍モルである。
オキセタンにハロゲン酸が付加する場合、1位が3級ヒドロキシ基となり、2位がハロゲン化メチル基となる。
[付記事項]
以下に実施例を示し、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることはいうまでもない。さらに、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、それぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。また、本明細書中に記載された文献の全てが参考として援用される。
なお、本明細書において「室温」とは、10℃〜30℃の範囲であることを意図している。
〔製造例1:1−(4−クロロベンジル)−3−ヒドロキシメチル−3−メチル−2−オキソ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(化合物(2−1))の合成〕
Figure 2014037389
既知の化合物である1−(4−クロロベンジル)−3−メチル−2−オキソ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(化合物(1−1))1.12gに、37%ホルムアルデヒド水溶液0.90mlおよび炭酸カリウム276mgを加え、室温で4時間激しく撹拌した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(2−1)の異性体(A)227mgを無色液体として、異性体(B)953mgを無色固体としてそれぞれ得た。
また、本製造例と同様の方法により、表1に示される各化合物を合成した。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
〔製造例2:1−(4−クロロベンジル)−3−メタンスルホニルオキシメチル−3−メチル−2−オキソ−シクロペンタンカルボン酸メチルエステル(化合物(3−1−1))の合成〕
Figure 2014037389
製造例1で得た化合物(2−1)1.00gを塩化メチレン20mlに溶解し、トリエチルアミン0.68mlおよびメタンスルホニルクロライド0.324mlを加え室温で1.5時間撹拌した。反応終了後、水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(3−1−1)1.141gを、2種の異性体を含む無色油状物として得た(収率:91.1%)。
〔製造例3:メタンスルホン酸3−(4−クロロベンジル)−1−メチル−2−オキソ−シクロペンチルメチルエステル(化合物(4−1−1))の合成〕
Figure 2014037389
製造例2で合成した化合物(3−1−1)1.26gにメタンスルホン酸0.255mlおよび水88.3mgを加え、110℃で3.5時間撹拌した。反応終了後、水を加えて酢酸エチルで抽出し、炭酸水素ナトリウム水溶液および飽和食塩水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を留去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(4−1−1)794mgを淡黄色油状物として得た(収率:74.1%)。
〔製造例4:(1RS,5RS)−4−(4−クロロベンジル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン−5−カルボニトリル化合物(5−1)の合成〕
Figure 2014037389
シアン化ナトリウム96.3mgを水0.5mlに溶解した。製造例3で得られた化合物(4−1−1)500mgをトルエン1mlに溶解して、シアン化ナトリウム水溶液に添加した。塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(BTEAC)34.4mgを加え、70℃で20時間撹拌した後、水を加え、トルエンで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し、化合物(5−1)305.9mgを無色液体として得た(収率77.4%)。
また、本製造例と同様の方法により、表2に示される各化合物を合成した。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
〔製造例5A:(1RS,4SR,5RS)−4−(4−クロロベンジル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプタン−5−カルボン酸メチルエステル(化合物7a−1)の合成〕
Figure 2014037389
Figure 2014037389
<反応1回目>
製造例4の方法と同様に製造した化合物(5−1)23.0g(純度:75.7wt%)をメタノール100mlに溶解した。次いで、28%メトキサイド−メタノール溶液20.3gを加え、室温下、47時間攪拌した。反応液に水とトルエンを加え抽出分配した。水層をさらにトルエンで抽出した。トルエン層を合わせて水で洗浄後、2Mの硫酸水溶液で化合物(6a−1−1)を抽出した。
トルエン層を炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、減圧下で溶媒を留去し、未反応の化合物(5−1)を含む油状物5.7gを得て、次のイミデート化反応(反応2回目)に用いた。
化合物(6a−1−1)を含む硫酸水層にトルエン45mlを加えた。この溶液に22gの水に溶解した亜硝酸ナトリウム11.3gの溶液を室温下、100分かけて滴下した後、そのままの温度で2時間撹拌した。反応液に炭酸ナトリウム粉末14.1gを少しずつ加え、中和した。この溶液を分配し、水層をトルエンで抽出した。トルエン層を合わせ、水、飽和食塩水で順次洗浄した。無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去して、化合物(7a−1)の粗反応物(16.96g)を油状物として得た。この粗反応物における化合物(7a−1)の純度は95.8wt%であり、化合物(5−1)からの収率は93.0%であった。
<反応2回目(再利用1回目)>
製造例4の方法と同様に製造した化合物(5−1)23.0g(純度:75.7wt%)と反応1回目において得られたトルエン層から回収した未反応の化合物(5−1)を含む油状物5.7gをメタノール126mlに溶解した。次いで、28%メトキサイド-メタノール溶液21.7gを添加し、室温下、28時間撹拌した。先と同様の方法で分配処理後、硫酸水層に亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム11.3g)を滴下して同様にエステル化を行い、化合物(7a−1)の粗反応物(18.24g)を油状物として得た。この粗反応物における化合物(7a−1)の純度は94.2wt%であり、化合物(5−1)からの収率は98.3%であった。
反応2回目におけるトルエン層から、未反応の化合物(5−1)を含む油状物10.1gを回収し、次のイミデート化反応(反応3回目)に用いた。
<反応3回目(再利用2回目)>
製造例4の方法と同様に製造した化合物(5−1)23.0g(純度:75.7wt%)と反応2回目で得られたトルエン層から回収した未反応化合物(5−1)を含む油状物10.1gをメタノール126mlに溶解した。次いで、28%メトキサイド-メタノール溶液22.0gを添加し、室温下、28時間撹拌した。先と同様の方法で分配処理後、硫酸水層に亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム11.3g)を滴下して同様にエステル化を行い、化合物(7a−1)の粗反応物(18.63g)を油状物として得た。この粗反応物における化合物(7a−1)の純度は95.2wt%であり、化合物(5−1)からの収率は101.5%であった。
化合物(6a−1−1)の分析結果は以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3)δ=
1.10(3H,s),1.39-1.48(1H,m),1.79-2.00(3H,m),2.44-2.58(3H,m),3.64(3H,s),4.22(1H,d,J=5.9Hz),4.27(1H,dd,J=5.9,1.4Hz),7.04(2H,d,J=8.5Hz),7.19(2H,d,J=8.5Hz),7.96(1H,brs).
また、化合物(7a−1)の分析結果は以下の通りである。
1H-NMR(CDCl3)δ=
1.14(3H,s),1.45-1.54(1H,m),1.79-1.85(1H,m),1.95-2.04(2H,m),2.58-2.72(3H,m),3.51(3H,s),4.27(1H,d,J=5.8Hz),4.39(1H,dd,J=5.8,1.4Hz),7.07(2H,d,J=8.4Hz),7.19(2H,d,J=8.4Hz).
〔参考製造例5B:化合物(7a−1)の合成2(比較例)〕
製造例4の方法と同様に製造した化合物(5−1)100.6g(純度:74.3wt%)をメタノール550mlに溶解した。ここに、28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液88.67gを加え、室温で26時間撹拌した。反応終了後、1mol/l硫酸水溶液を加え、中和した後、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を留去し、化合物(6a−1−1)の粗反応物105.1gを得た。この粗反応物における化合物(6a−1−1)の収率は86%であった。
得られた化合物(6a−1−1)の粗反応物96.4g(純度:69%)をトルエン216mlに溶解した。ここに、硫酸水(濃硫酸62.1gと水97.0gで調製した物)を加えた。次いで、亜硝酸ナトリウム水溶液(亜硝酸ナトリウム50.7gを水97.0gに溶解した物)を83分かけ滴下した。滴下完了時の内温は36℃であった。
滴下終了後、炭酸ナトリウム水溶液を加え、中和した。溶液を分配後、水層をトルエンで抽出した。有機層を合せ、水、飽和食塩水で順次洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、減圧下で溶媒を留去して、化合物(7a−1)の粗反応物(94.05g)を油状物として得た。この粗反応物における化合物(7a−1)の純度は68%であり、化合物(5−1)からの収率は82%であった。
このように、製造例5Aに記載の製造方法を用いることにより、煩雑な精製操作を行うことなく、製造例5Bに記載の製造方法を用いた場合と比較して高純度の化合物(7a−1)を得ることができた。
また、製造例5Aおよび参考製造例5Bと同様の方法により、表3に示される各化合物を経て得られる化合物(7a)を合成した。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
〔製造例6:(1RS,4SR,5RS)−4−(4−クロロベンジル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプト−5−イル−メタノール(化合物(8a−1))の合成〕
Figure 2014037389
製造例5Aにおいて得られた化合物(7a−1)53.7g(純度:95.1wt%)をエタノール260mlに溶解した後、0℃に冷却した。ここに、水素化ホウ素ナトリウム14.48gおよび塩化カルシウム(粉末)21.2gを加え、同温度で0.5時間、次いで室温下、6時間撹拌した。反応終了後、1mol/lクエン酸水溶液で反応を停止し、トルエンで抽出した。有機層を炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(8a−1)の粗反応物を油状物として47.7g得た。この粗反応物を次の工程に用いた。
〔製造例7:(1RS,4SR,5RS)−メタンスルホン酸4−(4−クロロベンジル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプト−5−イルメチルエステル(化合物(9a−1−1))の合成〕
Figure 2014037389
化合物(8a−1)の粗反応物47.7gをトルエン400mlに溶解した。ここに、トリエチルアミン26.3gを加え、メタンスルホニルクロライド27.8g滴下した。滴下後、室温で1時間撹拌した。反応終了後、水を加えトルエンで抽出した。有機層を塩酸水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下で溶媒を留去し、化合物(9a−1−1)の粗反応物を粘稠物として61.8g得た。この粗反応物を次の工程に用いた。
〔製造例8:(1RS,4SR,5RS)−1−[4−(4−クロロベンジル)−1−メチル−6−オキサ−ビシクロ[3,2,0]ヘプト−5−イルメチル−1H−[1,2,4]]−トリアゾール(化合物(10a−1))の合成〕
Figure 2014037389
化合物(9a−1−1)の粗反応物61.8gをジメチルホルムアミド(DMF)120mlに溶解した。この溶液をDMF190ml懸濁したトリアゾールナトリウム塩34.7gの溶液に加え、120℃で14時間撹拌した。冷却後、析出塩を濾過、減圧下、溶媒を留去して水を加えた後に、トルエンで抽出した。有機層を水および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去して化合物(10a−1)の粗反応物を淡黄土色固形物として48.2g得た。この粗反応物における化合物(10a−1)の純度は87.6wt%、収率は化合物(7a−1)から76.7%であった。
〔参考製造例9:化合物(10a−1)の合成2(比較例)〕
Figure 2014037389
参考製造例5Bにおいて得られた化合物(7a−1)94g(純度68%)から製造例6〜8と同様の方法を用いて化合物(10a−1)の粗反応物(96.0g)を暗褐色飴状物として得た。この粗反応物における化合物(10a−1)の純度は65.9wt%であった。
このように、製造例5Aに記載の製造方法により得られる化合物(7a)を用いることにより、参考製造例5Bに記載の製造方法により得られる化合物(7a)を用いた場合と比較して化合物(10a−1)を高純度で得ることができた。
また、製造例6〜8と同様の方法により、表4に示される各化合物を合成した。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
〔製造例10:(1RS,2SR,5SR)−5−(4−クロロベンジル)−2−クロロメチル−2−メチル−1−(1H−1,2,4−トリアゾール)−1−イルメチルシクロペンタノール(化合物(11a−1))の合成〕
Figure 2014037389
製造例8において得られた化合物(10a−1)48.2g(純度:87.6wt%)に4モルの塩化水素含有ジメチルホルムアミド溶液100g加え溶解し、83℃で1.5時間加熱した。冷却後、水を加え、炭酸水素ナトリウムで中和後、トルエンで抽出した。有機層を水、および飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下、溶媒を留去し、化合物(11a−1)の粗反応物(52.93g)を黄褐色固形物として得た。
また、本製造例と同様の方法により、表5〜表7に示される各化合物を合成した。
Figure 2014037389
Figure 2014037389
Figure 2014037389
Figure 2014037389
本発明は、農園芸用の殺菌剤、植物生長調節剤および工業用材料保護剤の有効成分として利用することができるアゾリルメチルシクロペンタノール誘導体の製造に好適に利用することができる。

Claims (7)

  1. 下記式(III)で表されるエステル化合物の製造方法であって、
    下記式(I)で表されるオキセタン化合物をイミデート化することにより下記式(II)で表されるイミデート化合物を製造するイミデート化工程と、
    前記イミデート化合物をエステル化することにより前記エステル化合物を製造するエステル化工程と、を含み、
    前記エステル化工程において用いるイミデート化合物は、前記イミデート化工程後の反応溶液を、強酸を含む水溶液と有機溶媒とを用いて分液したときの水層に含まれるものであることを特徴とするエステル化合物の製造方法。
    Figure 2014037389
    Figure 2014037389
    Figure 2014037389
    (式(I)〜(III)中、Rは、水素原子または炭素数1〜6の直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル基を表す。当該アルキル基における水素原子は、炭素数1〜4のアルコキシ基で置換されていてもよい。Rは、炭素数1〜6の直鎖状または分枝鎖状のアルキル基を表す。Arは、水素原子が置換されていてもよい炭素数6〜10の芳香族炭化水素基または5〜10員の芳香族複素環基を表す。)
  2. 分液したときの有機溶媒層に含まれるオキセタン化合物を、前記イミデート化工程におけるオキセタン化合物として用いることを特徴とする請求項1に記載のエステル化合物の製造方法。
  3. 前記イミデート化合物は、オキセタン環とArで示される有機基とがシス型であることを特徴とする請求項1または2に記載のエステル化合物の製造方法。
  4. 前記エステル化工程では、酸触媒の存在下で亜硝酸化合物を用いて前記イミデート化合物から前記エステル化合物を製造することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のエステル化合物の製造方法。
  5. 前記酸触媒が前記水溶液に含まれる前記強酸であることを特徴とする請求項4に記載のエステル化合物の製造方法。
  6. 前記強酸が硫酸、硝酸、塩酸、メタンスルホン酸およびp-トルエンスルホン酸からなる群より選択される少なくとも一種の酸であることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のエステル化合物の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のエステル化合物の製造方法を含む、下記式(11)記載のアゾリルメチルシクロペンタノール化合物の製造方法。
    Figure 2014037389

    (式(11)中、RおよびArは、上記式(I)におけるRおよびArと同一である。Xはハロゲン原子を表す。Aは窒素原子またはメチン基を表す。)
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