JP2014036485A - エンドプレートレスロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】ロータにおいて、積層体コアの積層が開くことを防止してエンドプレートをなくすことである。
【解決手段】エンドプレートレスロータ10は、磁性体薄板14を積層した積層体コア12と、ロータ軸方向に貫通し、外周側の周方向に沿って配置される複数の磁石孔18と、磁石孔18に配置される磁石20と、ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出し、隣接する磁石孔18にまたがって充填されて固化し、各磁石孔18において磁石20を固定する樹脂モールド30,40を含む。ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら、隣接する磁石孔を通り、樹脂モールドで覆われる冷却配管を含むこともできる。
【選択図】図1
【解決手段】エンドプレートレスロータ10は、磁性体薄板14を積層した積層体コア12と、ロータ軸方向に貫通し、外周側の周方向に沿って配置される複数の磁石孔18と、磁石孔18に配置される磁石20と、ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出し、隣接する磁石孔18にまたがって充填されて固化し、各磁石孔18において磁石20を固定する樹脂モールド30,40を含む。ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら、隣接する磁石孔を通り、樹脂モールドで覆われる冷却配管を含むこともできる。
【選択図】図1
Description
本発明は、回転電機のロータであって、磁性体薄板を積層した積層体コアの積層両端にエンドプレートを配置しないエンドプレートレスロータに関する。
回転電機のロータコアとして、電磁鋼板等の磁性体薄板を積層した積層体コアを用いるとき、積層方向に開かないように、積層の両端にエンドプレートが配置される。一方で、ロータコアに磁極となる磁石が埋め込まれる場合に、積層体コアと磁石の固定のために樹脂モールドが用いられる。
例えば、特許文献1には電動機として、電磁鋼板を積層したロータコアにおける永久磁石を挿入する穴のそれぞれを樹脂モールドし、ロータコアの両端部より樹脂モールドを突き出して永久磁石の放熱を促進することが開示されている。ここではエンドプレートの外形が樹脂モールドにかからないように、小型のエンドプレートが用いられる。
特許文献2には、電動機のアウタロータの磁極突出部の間を補助磁石挿入孔とし、補助磁石を配置して、ロータ内周側を樹脂で埋めて接続する構成が開示されている。
特許文献3には、ロータコアのマグネット孔にマグネットを樹脂封止するときにロータコアが変形するのを防ぐため、リング部材の中にロータを入れて外側を拘束し、ロータ軸孔にポール部材を入れて内側を拘束することが開示されている。
特許文献4には、ロータコアの磁石収容孔に磁石を収容し、2つの磁石収容孔について1つのシリンダから溶融樹脂をロータ内径側から加圧注入することで、各磁石収容孔における樹脂充填量を一定とし、各磁石を外径側に寄せて配置できることが述べられている。
エンドプレートを用いると、ロータが大型化し、コストアップにもなる。本発明の目的は、積層体コアの積層が開くことを防止してエンドプレートをなくしたエンドプレートレスロータを提供することである。
本発明に係るエンドプレートレスロータは、磁性体薄板を積層した積層体コアと、ロータ軸方向に貫通し、外周側の周方向に沿って配置される複数の磁石孔と、磁石孔に配置される磁石と、ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出し、隣接する磁石孔にまたがって充填されて固化し、各磁石孔において磁石を固定する樹脂モールドと、を含むことを特徴とする。
また、本発明に係るエンドプレートレスロータにおいて、ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔を通り、樹脂モールドで覆われる冷却配管を含むことが好ましい。
上記構成により、磁石を固定する樹脂モールドが、ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出して隣接する磁石孔にまたがって充填されて固化される。このように、磁石孔を介して樹脂モールドが積層体コアを積層方向の両端部でしっかりと固定するので、積層体コアの積層が開くことを防止し、エンドプレートをなくすことができる。
また、磁石孔に冷却配管を通し、その冷却配管を、ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔を通すようにする。これによって、積層体コアを積層方向にしっかりと固定することができる。また、磁石の冷却効果も向上する。
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき、詳細に説明する。以下で述べる磁石孔の数、配置位置、形状、材質等は例示であって、エンドプレートレスロータの仕様に応じ、適宜変更が可能である。
以下では、全ての図面において、一または対応する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、エンドプレートレスロータ10の構成図である。以下では、特に断らない限り、エンドプレートレスロータ10を単にロータ10として説明を続ける。図1(a)は、ロータ10をロータ軸方向の一方側である左側から見た左側面図、(c)がロータ軸方向の他方側である右側から見た右側面図である。両側面図でA−A線として示す線に沿った断面図が(b)である。
ロータ10は、磁性体薄板を積層した積層体コア12と、積層体コア12の軸孔に固定される回転軸16と、積層体コア12に配置される複数の磁石孔18と、磁石孔18に配置される磁石20と、各磁石孔18において磁石20を固定する樹脂モールド30,40を含む。
積層体コア12は、所定の形状に成形された磁性体薄板14を積層したもので、ロータコアと呼ばれる。磁性体薄板14としては、電磁鋼板を用いることができる。積層方向は、ロータ軸方向に沿った方向である。
回転軸16は、積層体コア12の内径側に設けられる軸孔に固定される軸である。ロータ10が回転電機に用いられるときは、ロータ軸方向の両端を軸受で回転自在に支持され、図示されていないステータと協働して回転する。回転電機において、回転軸16はトルクを出力する出力軸となる。
磁石孔18は、積層体コア12の積層方向であるロータ軸方向に貫通し、ロータ10の外周側の周方向に沿って配置される貫通孔である。図1では、16個の磁石孔18が設けられ、それぞれを区別するため、#1から#16の番号を付した。
磁石20は、磁石孔18にそれぞれ挿入され、ロータ10の磁極を形成する永久磁石である。ここでは、略V字型に配置される1組の磁石で、ロータ10の1つの磁極を形成する。例えば、図1の#1の磁石孔18に挿入される磁石20と、♯2の磁石孔18に挿入される磁石20の1組でロータ10の1つの磁極を形成する。
樹脂モールド30,40は、各磁石孔18においてそこに挿入される磁石20をそれぞれ固定する樹脂である。樹脂モールド30,40としては、耐熱性のある熱硬化性樹脂が用いられる。耐熱性のある熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂を用いることができる。樹脂モールド30,40は、各磁石孔18を埋めながら、ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出すように形成される。図1では、ロータ軸方向の一方側端部、すなわちロータ10の左側端部に張り出した部分を樹脂モールド30として示し、ロータ軸方向の他方側端部、すなわちロータ10の右側端部に張り出した部分を樹脂モールド40として示した。樹脂モールドとしては、磁石孔18に充填した部分を有しており、そのロータ軸方向両端部に張り出して視認できる部分が樹脂モールド30,40として示されている。以下では、樹脂モールド30,40を、磁石孔18に充填される部分に接続しながら、ロータ軸方向両端部に張り出した部分を指すものとして説明を続ける。
樹脂モールド30,40は、隣接する磁石孔18にまたがって充填されて固化される。隣接する磁石孔にまたがってとは、全部の磁石孔18にまたがってということではなく、全部の磁石孔18の中で、隣接するいくつかの磁石孔18にまたがって1つの樹脂体となる。図1において一点鎖線で囲んだ部分が、1つの樹脂体である。
図1(a)の左側面図では、#3,#4,#5,#6の磁石孔18の群が1つにまとめられて、1つの樹脂体となる。同様に、#7,#8,#9,#10の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体となり、#11,#12,#13,#14の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体となり、#15,#16,#1,#2の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体となる。このように、隣接する4つの磁石孔18にまたがって1つの樹脂体が形成される。一方側端部における樹脂モールド30は、これらの4つの樹脂体で構成されることになる。
一方側端部において1つの樹脂体としてまとめられる複数の磁石孔の群と、他方側端部で1つの樹脂体としてまとめられる複数の磁石孔の群とは異なる。例えば、図1(c)の右側面図においては、#4,#5,#6,#7の磁石孔18の群が1つにまとめられて、1つの樹脂体となる。同様に、#8,#9,#10,#11でひとまとめ、#12,#13,#14,#15でひとまとめ、#16,#1,#2,#3でひとまとめである。
他方端側で1つの樹脂体としてまとめられている#4,#5,#6,#7の磁石孔18の群について見ると、一方端側で1つの樹脂体としてまとめられている#3,#4,#5,#6の磁石孔18の群と#3の磁石孔18が共通で、他は異なる磁石孔18である。また、一方端側で1つの樹脂体としてまとめられている#7,#8,#9,#10の磁石孔18の群とは、#7の磁石孔18が共通で、他は異なる磁石孔18である。このように、積層体コア12を挟んで、一方端側の1つの樹脂体と他方端の1つの樹脂体とでは、ひとまとめの端に位置する#4と#7の磁石孔18が共通で、それ以外の磁石孔18が異なる。
その様子について、図2を用いて説明する。図2は、16個の磁石孔18の全部を含むように、積層体コア12を周方向に沿って展開した断面である。
一方側端部では、#3,#4,#5,#6の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体32となる。同様に、#7,#8,#9,#10の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体34となり、#11,#12,#13,#14の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体36となり、#15,#16,#1,#2の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体38となる。樹脂モールド30は、樹脂体32,34,36,38で構成される。
他方側端部では、#4,#5,#6,#7の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体42となる。同様に、#8,#9,#10,#11の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体44となり、#12,#13,#14,#15の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体46となり、#16,#1,#2,#3の磁石孔18の群が1つにまとめられて1つの樹脂体48となる。樹脂モールド40は、樹脂体42,44,46,48で構成される。
このように、積層体コア12を挟んで、一方端側の1つの樹脂体と他方端の1つの樹脂体とでは、ひとまとめの端に位置する磁石孔18を共通とし、それ以外の磁石孔18が異なる。この構成によれば、樹脂モールド30,40は、ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔18を充填してゆくことになるので、積層体コア12を積層方向の両端部でしっかりと固定することができる。
上記では、4つの磁石孔18で1つの樹脂体としたが、これは説明のための例示であって、4以外の数の複数の磁石孔18をまとめて1つの樹脂体とすることができる。
上記では、樹脂モールド30,40が、積層体コア12を挟んでロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔18を充填してゆくが、これに加えて、長手部材を用いて、積層体コア12を挟んでロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔18を通し、樹脂モールドすれば、積層体コア12をさらにしっかりと固定することができる。
図3、図4は、長手部材として冷却配管80を用いたエンドプレートレスロータ50の構成を示す図である。図3は図1に対応する図で、図4は図2に対応する図である。磁石孔18に付した番号は図1、図2と同じにしてある。樹脂モールド60,70は、図1、図2の樹脂モールド30,40に対応するが、冷却配管80を含むので、符号を変えた。樹脂モールド60を構成する樹脂体62,64,66,68は、樹脂モールド30を構成する樹脂体32,34,36,38にそれぞれ対応し、樹脂モールド70を構成する樹脂体72,74,76,78は、樹脂モールド40を構成する樹脂体42,44,46,48にそれぞれ対応する。
ここでは、各磁石孔18に、1本の冷却配管80が積層体コア12を挟んでロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら配置され、これが樹脂モールドで固定される。
冷却配管80は、回転軸52に設けられる2つの冷却路54,56に接続される管部82,98を有する。冷却配管80は、複数の磁石孔18を通る細い管路で、中に冷媒が流され、これによって磁石20、積層体コア12を冷却する。かかる冷却配管80としては、金属製の細いパイプを用いることができる。
図3、図4を用いて冷却配管80の配置を説明する。回転軸52に設けられる冷却路54に管部82が接続される、管部82は、積層体コア12の他方側端部で#3の磁石孔18に入り、一方側端部に抜けて、管部84となる。管部84は一方側端部で#3の磁石孔18と#5の磁石孔18の間を渡り、#5の磁石孔18に入って他方側端部に抜けて管部86となる。管部86は、他方側端部で#5の磁石孔18と#7の磁石孔18の間を渡り、#7の磁石孔18に入って一方端端部に抜けて管部88となる。
これを繰り返し、管部88は一方側端部で#7の磁石孔18と#9の磁石孔18の間を渡り、#9の磁石孔18に入って他方側端部に抜けて管部90となる。管部90は、他方側端部で#9の磁石孔18と#11の磁石孔18の間を渡り、#11の磁石孔18に入って一方端端部に抜けて管部92となる。管部92は一方側端部で#11の磁石孔18と#13の磁石孔18の間を渡り、#13の磁石孔18に入って他方側端部に抜けて管部94となる。管部94は、他方側端部で#13の磁石孔18と#15の磁石孔18の間を渡り、#15の磁石孔18に入って一方端端部に抜けて管部96となる。管部96は一方側端部で#15の磁石孔18と#1の磁石孔18の間を渡り、#1の磁石孔18に入って他方側端部に抜けて管部98となる。管部98は、回転軸52に設けられる冷却路54に接続される。
冷却路54,56は、回転軸52の内部を通る冷媒流路で、図示されていない冷媒源との間で冷媒を循環させるために設けられる。冷媒源は、回転電機のケース内に冷媒溜めとして設けることができる。冷媒源との間に循環ポンプを設けてもよい。冷媒としては、回転電機の軸受等を潤滑する潤滑油を用いることができる。これ以外の冷却水、冷却油を用いてもよい。
上記では冷却配管80を回転軸52の内部を通る冷却路54,56に接続するものとしたが、冷却配管80をそのまま回転軸52の内部を通すようにしてもよい。この構成によれば、冷却配管80が金属製である回転軸52によって冷却されるので、冷却配管80、その中を流れる冷媒の冷却効率が高められる。
このように、冷却配管80は、積層体コア12を挟んでロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔18を通る際に、一方側端部の2つの磁石孔18を渡る渡り部、他方側端部の2つの磁石孔18を渡る渡り部で、積層体コア12のロータ軸方向端部を押さえるので、積層体コア12を積層方向にしっかりと固定することができる。
なお、上記では、冷却配管80は、磁石孔18を1つおきに通るものとしたが、これは説明のための例示であり、全部の磁石孔18に冷却配管80が順次通るものとしてもよく、磁石孔18を2つおき等の他の間隔で通るものとしてもよい。また、樹脂モールドを構成する樹脂体の配置と関連付けて冷却配管80の通り方を設定してもよく、樹脂体の配置を関係なく冷却配管80について独自の配置法としてもよい。
図5は、上記構成と比較するために従来技術を示す図である。図5(a)に示すロータ100は、積層体コア12のロータ軸方向両端にエンドプレート102,104を用いる。この構成では、積層体コア12における積層の開きが生じないが、エンドプレート102,104やこれを取り付ける部材等の部品点数が増加し、またロータ100の製造工程も複雑になる。図5(b)のロータ110は、エンドプレートを廃止したもので、積層体コア12をそのまま用いる。積層体コア12は、磁石20の磁力のために積層体コア12を構成する個々の磁性体薄板14が磁化し、磁力の反発斥力のために、ロータ110の外周部での積層の開きが生じる。これによってロータ110としての寸法外れが生じ、回転電機として損失が増加し、性能が低下する。
図1と図2の構成、図3と図4の構成によれば、エンドプレートが不要になるので、部品点数と製造工程の削減が可能になる、また、樹脂モールドによって積層体コアの外周端における積層の開きを抑制できる。冷却配管80を用いることで、ロータ10の冷却路を形成でき、ロータ10の冷却性能が向上する。ロータ10の冷却を積層体コア12の内部で行うので、ロータとステータの間に冷却油を放出する従来技術に比較して、ロータ回転の際に生じる冷却油引きずり損失が発生しない。また、磁石20の温度上昇を抑制でき、磁石20の使用上限値の抑制が可能となるので、高温保持力確保が容易となる。これによって、高温保持力確保のために用いられる保磁力性能の高いジスプロシウム(Dy)の使用量を低減できる。
10,50,100,110 (エンドプレートレス)ロータ、12 積層体コア、14 磁性体薄板、16,52 回転軸、18 磁石孔、20 磁石、30,40,60,70 樹脂モールド、32,34,36,38,42,44,46,48,62,64,66,68,72,74,76,78 樹脂体、54,56 冷却路、80 冷却配管、82,84,86,88,90,92,94,96,98 管部、102,104 エンドプレート。
Claims (2)
- 磁性体薄板を積層した積層体コアと、
ロータ軸方向に貫通し、外周側の周方向に沿って配置される複数の磁石孔と、
磁石孔に配置される磁石と、
ロータ軸方向両端部にそれぞれ張り出し、隣接する磁石孔にまたがって充填されて固化し、各磁石孔において磁石を固定する樹脂モールドと、
を含むことを特徴とするエンドプレートレスロータ。 - 請求項1に記載のエンドプレートレスロータにおいて、
ロータ軸方向の一方側端部と他方側端部の間を折り返しながら隣接する磁石孔を通り、樹脂モールドで覆われる冷却配管を含むことを特徴とするエンドプレートレスロータ。
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