以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(カード発行装置の概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカード発行装置1の、カード供給庫5が取り外された状態の斜視図である。図2は、図1に示すカード発行装置1の、カード回収庫7が取り外された状態を他の方向から示す斜視図である。図3は、図2に示すカード回収庫7を別の角度から示す斜視図である。図4は、図2に示すカード回収庫7の平面図である。
本形態のカード発行装置1は、内部に収容されたカード2を発行する機能と、不要、使用済み、あるいは、エラーとなったカード2(以下、「不要なカード2」とする。)を回収する機能とを備えている。このカード発行装置1は、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカードリーダ3と、収容されたカード2を発行するためのカード発行部4と、発行前のカード2が収容されるとともにカード発行部4に着脱可能に取り付けられるカード供給庫5と、不要なカード2を回収するためのカード回収部6と、回収されたカード2が収容されるとともにカード回収部6に着脱可能に取り付けられるカード回収庫7と、カードリーダ3が搭載されるとともにカード発行装置1の制御基板8が収容される搭載部9とを備えている。
以下の説明では、互いに直交する3方向をX方向、Y方向およびZ方向とする。本形態では、上下方向とZ方向とが一致している。また、Y方向を左右方向とし、X方向を前後方向とするとともに、X1方向側を「前」側、X2方向側を「後(後ろ)」側、Y1方向側を「右」側、Y2方向側を「左」側とする。また、本形態では、Y方向は、カード回収庫7に収容されたカード2の幅方向(短手幅方向)と略一致し、X方向は、カード回収庫7に収容されたカード2の長さ方向(長手幅方向)と略一致している。
図1に示すように、カード発行装置1では、カード回収部6の上側にカード発行部4が配置されている。また、搭載部9に搭載されたカードリーダ3と、カード発行部4およびカード回収部6とが前側からこの順番で互いに接するように配置されている。
本形態のカード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の略長方形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2には、たとえば、磁気情報が記録される磁気ストライプが形成されている。また、カード2には、カード番号等を示すためのエンボス加工が施されている。また、カード2には、ICチップや通信用のアンテナが内蔵されても良いし、感熱方式によって印字が行われる印字部が形成されても良い。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードや、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
カードリーダ3の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路(図示省略)が直線状に形成されている。また、カードリーダ3は、カード搬送路でカード2を搬送するためのカード搬送機構を備えている。また、カードリーダ3は、たとえば、使用されるカード2が磁気ストライプを有する磁気カードである場合には、磁気ヘッドを備え、使用されるカード2がICチップを有する接触式ICカードである場合には、IC接点を備え、使用されるカード2が通信用アンテナを有する非接触式ICカードである場合には、通信用のアンテナを備えている。さらに、カードリーダ3は、使用されるカード2が印字部を有する場合には、感熱方式で印字等を行うサーマルヘッドを備えている。
カード発行部4は、カード発行部4の左右の側面を構成する2枚の側面部11と、カード発行部4の前面を構成する前面部12と、カード発行部4の後面を構成する後面部13とを備えている。2枚の側面部11と前面部12と後面部13とによって、カード供給庫5が収容される収容部本体14が構成されている。また、カード発行部4は、カード供給庫5に上下方向に積層されて収容された複数のカード2の中で一番下に収容されているカード2(最下位のカード2)をカード供給庫5の外部へ送り出すカード送出機構(図示省略)を備えている。このカード送出機構は、カード供給庫5の下側に配置されている。また、このカード送出機構は、たとえば、カード供給庫5に収容された最下位のカード2の後端に係合するとともにカード供給庫5からカード2を1枚ずつ送り出す送出爪と、この送出爪を駆動する駆動機構とを備えている。
カード供給庫5は、略直方体状に形成されるとともに、内部にカード2が収容可能となるように中空の箱状に形成されている。このカード供給庫5は、収容されたカード2が載る底面部(図示省略)と、カード供給庫5の左右の側面を構成する2枚の側面部16と、カード供給庫5の前面を構成する前面部17と、カード供給庫5の後面を構成する後面部18と、カード供給庫5の上面を構成する上面部19とを備えている。カード供給庫5の内部には、複数のカード2が上下方向に積層されて収容されている。カード供給庫5は、収容部本体14に上側から差し込まれて取り付けられる。また、収容部本体14に取り付けられたカード供給庫5は、上側に引き抜かれて収容部本体14から取り外される。
上面部19は、2枚の側面部16の一方に回動可能に取り付けられており、開閉可能となっている。上面部19には、鍵穴20aが形成されるシリンダ20が回動可能に取り付けられている。シリンダ20は、鍵穴20aが上面部19の上面側に配置されるように上面部19に取り付けられている。鍵穴20aには、鍵21(図3参照)が差込み可能となっている。鍵穴20aに差し込まれた鍵21によってシリンダ20を一方向へ回動させると、上面部19が開かないように上面部19がロックされ、シリンダ20を他方向へ回動させると、上面部19のロック状態が解除される。上面部19のロック状態を解除して、上面部19を開くと、カード供給庫5からのカード2の取出しが可能になる。すなわち、本形態のカード供給庫5は、カード供給庫5に収容されるカード2を取り出すための鍵21を必要とする鍵付きのカード供給庫である。
前面部17は、上下方向へ移動可能なシャッタ部材22を備えている。シャッタ部材22は、前面部17の下端側に配置されている。カード供給庫5が収容部本体14から取り外されているときには、シャッタ部材22の下端がカード供給庫5の底面部の下面よりも下側へ下がった状態で、シャッタ部材22がロックされており、カード供給庫5の前側へカード2を取り出すことができないようになっている。一方、カード供給庫5が収容部本体14に取り付けられると、収容部本体14の前面部12に設けられたシャッタ開放部材(図示省略)の作用で、シャッタ部材22が上側へ移動する。シャッタ部材22が上側へ移動すると、カード供給庫5の底面部とシャッタ部材22の下端との間に、カード供給庫5に収容されるカード2がカード供給庫5の外側へ向かって(前側に向かって)通過するゲート(図示省略)が形成される。このゲートの上下方向の隙間は、1枚のカード2は通過できるが、2枚のカード2が重なった状態で通過できないように設定されている。
カード回収部6は、カード回収部6の左右の側面を構成する2枚の側面部23と、カード回収部6の前面を構成する前面部24とを備えている。図2に示すように、カード回収部6の後面および下面は開口しており、2枚の側面部23と前面部24とによって、カード回収庫7が収容される収容空間が形成されている。このカード回収部6の具体的な構成については、後述する。
カード回収庫7は、略直方体状に形成されるとともに、内部にカード2が収容可能となるように箱状に形成されている。このカード回収庫7は、カード回収庫7の底面を構成する底面部25(図5等参照)と、カード回収庫7の左右の側面を構成する2枚の側面部26と、カード回収庫7の前面を構成する前面部27と、カード供給庫5の後面を構成する後面部28と、カード供給庫5の上面を構成する上面部29とを備えている。底面部25と側面部26と前面部27と後面部28と上面部29とは、リベットによって互いに固定されている。本形態では、底面部25と側面部26と前面部27と後面部28と上面部29とによってカード回収庫7のフレームが構成されている。
カード回収庫7は、カード回収部6の後ろ側からカード回収部6に差し込まれて取り付けられる。また、カード回収部6に取り付けられたカード回収庫7は、後ろ側に引き抜かれてカード回収部6から取り外される。すなわち、カード回収庫7は、カード回収部6に対して直線的に抜差可能となっている。本形態では、前方向は、カード回収部6へのカード回収庫7の差込み方向であり、後ろ方向は、カード回収部6からのカード回収庫7の引抜き方向である。
上面部29には、図3に示すように、回収されるカード2をカード回収庫7の内部へ取り込むための開口部29aが形成されている。開口部29aは、前後方向における上面部29の中間位置に形成されている。
また、上面部29には、開口部29aを塞ぐ位置(図2に示す位置)と開口部29aを開放する位置(図3に示す位置)との間で前後方向へスライド可能なシャッタ部材30が取り付けられている。本形態では、シャッタ部材30が前側へ移動すると、シャッタ部材30が開口部29aを塞ぎ、シャッタ部材30が後ろ側へ移動すると、シャッタ部材30が開口部29aを開放する。シャッタ部材30の後端側には、2個の切欠き部30aが形成されている。切欠き部30aは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。また、切欠き部30aは、シャッタ部材30の後端から前側に向かって略長方形状に形成されている。
シャッタ部材30は、図4に示すように、付勢部材としての引張りコイルバネ31によって開口部29aを開放する方向へ付勢されている。すなわち、シャッタ部材30は、引張りコイルバネ31によって後ろ方向へ付勢されている。引張りコイルバネ31の一端は、上面部29の後端側の下面に取り付けられ、引張りコイルバネ31の他端は、シャッタ部材30の前端側の下面に固定されるバネ固定部材32に取り付けられている。また、引張りコイルバネ31は、上面部29の後端側の下面に回動可能に取り付けられるプーリ33の外周面に巻かれている。
シャッタ部材30の左端側には、シャッタ部材30を滑らかにスライドさせるためのガイドローラ34が回転可能に取り付けられている。ガイドローラ34は、前後方向に所定の間隔をあけた状態でシャッタ部材30の2箇所に取り付けられている。ガイドローラ34は、左側に配置される側面部26に形成されるガイド部に係合している。なお、カード回収庫7は、後述のように、開口部29aを塞いだ位置でシャッタ部材30をロックするロック機構63(図9参照)を備えている。
前面部27には、図3に示すように、鍵穴35aが形成されるシリンダ35が回動可能に取り付けられている。シリンダ35は、鍵穴35aが前面部27の前側に配置されるように前面部27に取り付けられている。すなわち、カード回収部6にカード回収庫7が差し込まれた状態では、シリンダ35は、カード回収部6へのカード回収庫7の差込み方向におけるカード回収部6の奥側に配置されている。
本形態では、シャッタ部材30が開口部29aを塞いでいる状態において、カード供給庫5の鍵穴20aに差し込まれる鍵21と共通の鍵21を鍵穴35aに差し込み、鍵21によってシリンダ35を一方向へ回動させると、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除されて、引張りコイルバネ31の付勢力で、シャッタ部材30が開口部29aを開放する方向へスライドする。
また、本形態のカード回収庫7には、開口部29a以外に開口部が形成されていない。そのため、鍵21によって開口部29aを開放することで、カード回収部6から取り出されたカード回収庫7に収容されているカード2の取出しが可能になる。すなわち、本形態のカード回収庫7は、カード回収庫7に収容されるカード2を取り出すための鍵21を必要とする鍵付きのカード回収庫である。このカード回収庫7のより具体的な構成については後述する。
また、カード発行装置1は、カード回収部6に差し込まれたカード回収庫7の引抜きを防止するための引抜き防止部材36と、引抜き防止部材36をロックする鍵付きの引抜きロック機構37とを備えている。引抜き防止部材36は、2枚の側面部11に回動可能に取り付けられている。具体的には、引抜き防止部材36は、左右方向を回動の軸方向にするとともに2枚の側面部11の後端側かつ上端側を支点とする回動が可能となるように2枚の側面部11に取り付けられている。
引抜きロック機構37は、鍵穴(図示省略)が形成されるシリンダ38を備えている。シリンダ38の鍵穴には、鍵39が差込み可能となっている。シリンダ38の鍵穴に差し込まれた鍵39によってシリンダ38を一方向へ回動させると、カード回収部6に差し込まれたカード回収庫7が引き抜かれないように、引抜きロック機構37によって引抜き防止部材36が側面部11にロックされる。このときには、カード回収庫7の後面側は、引抜き防止部材36によって覆われている。
また、このときには、カード発行部4に差し込まれたカード供給庫5がカード発行部4から引き抜かれないように、引抜きロック機構37によってカード供給庫5がロックされる。たとえば、シリンダ38を一方向へ回動させると、カード供給庫5に形成される係合孔に、引抜きロック機構37を構成する係合部材が係合して、カード供給庫5がロックされる。また、シリンダ38を他方向へ回動させると、引抜き防止部材36のロック状態、および、カード供給庫5のロック状態が解除される。
上述のように、本形態では、上面部19を開くためのカード供給庫5の鍵21と、開口部29aを開放する位置へシャッタ部材30を移動させるためのカード回収庫7の鍵21とが共通である。一方、引抜き防止部材36をロックするための引抜きロック機構37の鍵39は、鍵21と異なっている。
(カード回収部の構成)
図5は、図1に示すカード回収部6を側面から説明するための図である。図6は、図5のE−E方向から爪部材48およびその周辺部の構成を説明するための図である。図7は、図5に示す爪部材48の動作を説明するための図である。
カード回収部6は、カード回収部6に差し込まれたカード回収庫7の開口部29aに向かってカード2を案内するための上ガイド部材45および下ガイド部材46を備えている。また、カード回収部6は、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、後述のロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態を解除するためのレバー部材47と、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、シャッタ部材30に係合して開口部29aを塞ぐ方向へシャッタ部材30をスライドさせる爪部材48とを備えている。また、カード回収部6は、前後方向において、カードリーダ3のカード搬送機構を構成する駆動ローラ43およびパッドローラ44の直後に配置されている。本形態では、カードリーダ3のカード搬送機構がカード回収庫7へカード2を搬送する。
上ガイド部材45は、ステンレスの薄鋼板等の板状部材を数回折り曲げることで形成された板バネである。この上ガイド部材45は、開口部29aに向かってカード2の上面を案内している。上ガイド部材45の後端側は、カード発行部4の底面部49の下端側に固定されている。上ガイド部材45の後端は、開口部29aの後端側の縁の近傍まで伸びている。また、上ガイド部材45は、前側に向かうにしたがって高さが高くなるように傾斜しており、上ガイド部材45の前端側部分は、駆動ローラ43の近傍を上下方向へ移動可能となっている。駆動ローラ43の後ろ側には、規制ローラ50が配置されている。規制ローラ50は、側面部11に固定された固定軸(図示省略)に回転可能に取り付けられている。この規制ローラ50は、カード回収部6の前端部の上側に配置されており、上ガイド部材45の前端側部分の上限位置を規制する機能を果たしている。上ガイド部材45は、底面部49に固定された後端側部分を支点として、下側へ若干、撓んだ状態で配置されており、規制ローラ50に所定の当接力で当接している。
下ガイド部材46は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。具体的には、下ガイド部材46は、左右方向から見たときの形状が略三角形状となるように形成されている。この下ガイド部材46は、搭載部9の後面に固定されている。下ガイド部材46の上面は、前側に向かうにしたがって高さが高くなるように傾斜しており、下ガイド部材46は、開口部29aに向かってカード2の下面を案内している。
レバー部材47は、カード回収部6の前端側かつ下端側に配置されている。また、レバー部材47は、カード回収部6の前面部24からカード回収部6の内部に向かって(すなわち、後ろ方向へ)突出している。レバー部材47の上面は、レバー部材47の上面の最後端部分を構成するとともに前側に向かうにしたがって上方向へ傾斜する第1傾斜面47aと、第1傾斜面47aの前端に繋がるとともに水平方向に平行な第1平行面47bと、第1平行面47bの前端に繋がるとともに前側に向かうにしたがって下方向へ傾斜する第2傾斜面47cと、第2傾斜面47cの前端に繋がるとともに水平方向に平行な第2平行面47dと、第2平行面47dの前端に繋がるとともに前側に向かうにしたがって上方向へ傾斜する第3傾斜面47eとを備えている。また、レバー部材47の上端側には、第3傾斜面47eの前端に繋がるとともに鉛直方向に平行な鉛直面47fが形成されている。
爪部材48は、左右方向を軸方向として2枚の側面部11に固定される固定軸52に回動可能に保持されている。すなわち、爪部材48は、左右方向を回動の軸方向として固定軸52に回動可能に保持されている。また、爪部材48は、カード回収庫7の上側に配置されるとともにカード回収部6の後端側に配置されている。この爪部材48は、シャッタ部材30に形成される2個の切欠き部30aの前端面のそれぞれに係合可能な2個の爪部48aを備えている。2個の爪部48aは、左右方向に所定の間隔をあけた状態で配置されている。爪部48aは、切欠き部30aの前端面に係合可能となるように鉤状に形成されている。また、爪部48aは、固定軸52よりも下側に配置されている。爪部48aの後ろ側は、略凸曲面状に形成された曲面部48bとなっている。
爪部材48は、第2付勢部材としての引張りコイルバネ53によって付勢されている。具体的には、爪部材48は、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、図7(B)に示すように、爪部48aがカード回収部6の内側(すなわち、前側)へ移動して爪部48aの前面側が切欠き部30aの前端面に係合するように引張りコイルバネ53によって付勢されている。すなわち、爪部材48は、引張りコイルバネ53によって固定軸52を中心に図5の反時計回りの方向(反時計方向)へ付勢されている。なお、引張りコイルバネ53の一端は、2枚の側面部11に左右方向を軸方向として固定される固定軸54に取り付けられ、引張りコイルバネ53の他端は、爪部材48の上端側に取り付けられている。
また、本形態では、図7(A)に示すように、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、曲面部48bがカード回収庫7の上面部29およびシャッタ部材30に接触して爪部材48が回動するように、爪部材48が形成されるとともに配置されている。具体的には、曲面部48bが上面部29およびシャッタ部材30に接触して爪部48aがカード回収部6の外側へ移動するように(すなわち、図7(A)の時計回りの方向(時計方向)へ爪部材48が回動するように)爪部材48が形成されるとともに配置されている。
なお、本形態では、カードリーダ3のカード搬送機構、カード回収部6およびカード回収庫7等によってカード2を回収するためのカード回収機構が構成されている。
(カード回収庫の構成1−カード収容部およびその関連部分の構成)
図8は、図2に示すカード回収庫7の内部に設置されるカード収容部57の構成を説明するための図である。
カード回収庫7の内部には、カード2が収容されるカード収容部57が設置されている。カード収容部57は、上面が開口する略直方体の箱状に形成されている。カード収容部57は、開口部29aから取り込まれるカード2が収容されるように、前後方向におけるカード回収庫7の中間位置に配置されるとともに、左右方向におけるカード回収庫7の中間位置に配置されている。また、カード収容部57は、カード収容部57の左右の側面を構成する2枚の側面部58と、カード収容部57の前面を構成する前面部59と、カード収容部57の後面を構成する後面部60と、カード収容部57の底面を構成する底面部61とを備えている。
底面部61は、図5に示すように、前側に向かうにしたがって高さが高くなるように傾斜している。また、底面部61は、図8に示すように、右側に向かうにしたがって高さが高くなるように傾斜している。すなわち、カード収容部57の底面は、カード収容部57に収容されるカード2の短手方向が水平方向に対して傾くように傾斜している。2枚の側面部58のそれぞれ、および、カード回収庫7の2枚の側面部26には、側面部26、58を貫通する2個の貫通孔58aおよび貫通孔26aが形成されている。2個の貫通孔58aは、前後方向から見たときに上下方向で重なるように形成され、2個の貫通孔26aは、前後方向から見たときに上下方向で重なるように形成されている。貫通孔58a、26aは、上側に配置される貫通孔58a、26aの中心を通過する線が水平方向と略平行になり、下側に配置される貫通孔58a、26aの中心を通過する線が水平方向と略平行になるように形成されている。
カード回収部6には、カード収容部57に収容されるカード2の枚数がカード収容部57の収容可能枚数に近づいたことを検知するためのセンサ(図示省略)と、カード収容部57に収容されるカード2の枚数がカード収容部57の収容可能枚数になったことを検知するセンサ(図示省略)とが設置されている。これらのセンサは、発光素子と、発光素子からの光を受光する受光素子とから構成された光学式のセンサであり、2個のセンサの発光素子および受光素子は、前後方向から見たときに上下方向で重なるように配置されている。また、これらのセンサは、発光素子から受光素子へ向かう光の光軸Lが水平方向と略平行になるように配置されている。また、上側に配置されるセンサの光軸Lが上側に配置される貫通孔58a、26aの中心を通過し、下側に配置されるセンサの光軸Lが下側に配置される貫通孔58a、26aの中心を通過するように、2個のセンサが配置されている。
(カード回収庫の構成2−ロック機構および解除機構の構成)
図9は、図2に示すシャッタ部材30のロック機構63の構成およびロック機構63によるロック状態を解除するための解除機構64の構成を説明するための図である。図10は、図9に示すロック機構63および解除機構64を構成する部品を説明するための図である。図11は、図9に示すロック機構63によるロック状態を解除するための解除機構65の構成を説明するための図である。
カード回収庫7は、開口部29aを塞いだ位置でシャッタ部材30をロックするロック機構63と、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態を解除するための解除機構64とを備えている。また、カード回収庫7は、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態を解除するための第2解除機構としての解除機構65を備えている。
ロック機構63は、シャッタ部材30に固定されるシャッタ側係合部材としての係合部材66と、カード回収庫7の側面部26に回動可能に保持されるとともに係合部材66に係合可能なフレーム側係合部材としての係合部材67とを備えている。
係合部材66は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。また、係合部材66は、前後方向に細長い細長形状に形成されている。この係合部材66は、シャッタ部材30の左端側の底面に固定されており、左側に配置される側面部26よりも左側に配置されている。係合部材66の前端側は、シャッタ部材30の前端よりも前側に突出している。シャッタ部材30の前端よりも突出する係合部材66の前端側部分の下側には、鉤状に形成された係合部66aが形成されている。係合部66aの前側は、前側に向かうにしたがって上方向へ傾斜する傾斜面66bとなっている。また、係合部材66の前端面66cは、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面と略平行になっている。
係合部材67は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成された本体部68と、本体部68に固定される円柱状の係合ピン69とから構成されている。本体部68は、左側に配置される側面部26に固定される固定軸70に回動可能に保持されている。具体的には、前後方向に細長い細長形状に形成される本体部68の、前後方向の略中心位置が固定軸70に回動可能に保持されている。本体部68は、左側に配置される側面部26よりも左側に配置されている。係合ピン69は、本体部68の前端側に固定されている。具体的には、係合ピン69は、左右方向を軸方向として、かつ、右側へ突出するように本体部68の前端側に固定されている。また、係合ピン69は、係合部材66の係合部66aに係合可能な位置に配置されている。係合ピン69の右端側は、左側に配置される側面部26に形成される貫通孔(図示省略)の中に配置されており、係合ピン69の右端は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。
本体部68は、ネジリコイルバネ71によって、固定軸70を中心に、かつ、係合ピン69が係合部66aの後面側に係合する方向へ付勢されている。すなわち、本体部68は、ネジリコイルバネ71によって、固定軸70を中心に、図9の反時計方向へ付勢されている。ネジリコイルバネ71の一端は、本体部68に係合し、ネジリコイルバネ71の他端は、左側に配置される側面部26に固定される4本の固定軸72のうちの1本の固定軸72に係合している。
ロック機構63は、係合部材66の下側から係合ピン69が係合部66aの後面側に係合すると、開口部29aを塞いだ位置でシャッタ部材30をロックする。すなわち、ロック機構63は、係合部材66と係合部材67とが係合すると開口部29aを塞いだ位置でシャッタ部材30をロックする。また、係合ピン69が下側へ移動して、係合部66aの後面側から外れ、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除されると、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除される。
解除機構64は、レバー部材47に係合すると前後方向へスライドするスライド部材74と、左側に配置される側面部26に回動可能に保持されるとともに係合部材67に係合して係合部材66と係合部材67との係合状態を解除する解除部材75とを備えている。また、解除機構64は、スライド部材74をロックする2個のスライドロック機構76、77を備えている。
スライド部材74は、鋼板等の金属の平板からなる本体部78と、本体部78に固定される円柱状の係合ピン79、80、81とを備えている。本体部78は、前後方向に長い略長方形状に形成されている。本体部78には、前後方向を長手方向とする4個の長孔78aが所定箇所に形成されている。長孔78aには、固定軸72が挿通されている。本体部78は、固定軸72に案内されて前後方向へスライド可能となっている。
本体部78の中心には、略長方形状の貫通孔78bが形成されている。貫通孔78bの前端の縁には、前方向へ伸びる切欠き部78cおよび切欠き部78dが形成されている。切欠き部78c、切欠き部78dは、上側からこの順番に、かつ、上下方向に所定の間隔をあけた状態で形成されている。切欠き部78cと切欠き部78dとの間には、凸部78eが形成されている。貫通孔78bの下端の縁には、上方向へ突出する突出部78fが形成されている。突出部78fは、前後方向における貫通孔78bの中心よりも前側に形成されている。突出部78fの後面は、YZ平面と略平行になっている。突出部78fの前側には、貫通孔78bの下端の縁よりもわずかに下側へ窪む凹部78gが形成されている。貫通孔78bの後端の縁には、後ろ方向へ伸びた後に上下方向へ伸びる略T形状の切欠き部78hが形成されている。
係合ピン79は、左右方向を軸方向として本体部78から左側へ突出するように本体部78に固定されている。また、係合ピン79は、上下方向では、本体部78の上端側に固定され、前後方向では、前後方向における本体部78の中心よりも前側に固定されている。係合ピン80は、左右方向を軸方向として本体部78から左側へ突出するように本体部78に固定されている。また、係合ピン80は、上下方向では、本体部78の略中心に固定され、前後方向では、貫通孔78bの前側に固定されている。係合ピン81は、左右方向を軸方向として本体部78から右側へ突出するように本体部78に固定されている。係合ピン81の右端側は、左側に配置される側面部26に形成される貫通孔(図示省略)の中に配置されており、係合ピン81の右端は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。また、係合ピン81は、上下方向では、本体部78の略中心に固定され、前後方向では、本体部78の前端側に固定されており、係合ピン80よりも前側に配置されている。
スライド部材74は、引張りコイルバネ82によって前方向へ付勢されている。引張りコイルバネ82の一端は、左側に配置される側面部26に固定される固定ピン83に取り付けられ、引張りコイルバネ82の他端は、本体部78に固定される固定ピン84に取り付けられている。
解除部材75は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。また、解除部材75は、前後方向に細長い細長形状に形成されている。この解除部材75は、係合部材67よりも左側に配置されている。解除部材75の後端側は、固定軸70に回動可能に保持されている。解除部材75の前端側には、長孔75aが形成されており、長孔75aには、係合ピン79が挿通されている。すなわち、解除部材75は、スライド部材74に係合している。
解除部材75の上端の前端側には、係合部材67の本体部68の前端側の上面に当接する係合部75bが形成されている。本形態では、スライド部材74が後ろ方向へスライドすると、長孔75aに係合する係合ピン79の作用で、解除部材75が固定軸70を中心に図9の時計方向へ回動して、係合部75bが本体部68の前端側に係合する。この状態でさらに、解除部材75が固定軸70を中心に図9の時計方向へ回動すると、係合部材67が図9の時計方向へ回動して、係合部材66と係合部材67とが係合している場合には、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除される。
また、この状態からスライド部材74が前方向へスライドすると、長孔75aに係合する係合ピン79の作用で、解除部材75が固定軸70を中心に図9の反時計方向へ回動するとともに、ネジリコイルバネ71の付勢力によって係合部材67が固定軸70を中心に図9の反時計方向へ回動する。係合部材67が図9の反時計方向へ回動すると、係合部材66と係合部材67とが係合可能な状態になる。
このように、スライド部材74のスライド動作に伴って解除部材75が回動すると、係合部材67は、係合部材66に係合可能な係合位置と、係合部材66との係合状態が解除される非係合位置との間を移動する。
スライドロック機構76は、鋼板等の金属の平板からなる本体部87と、本体部87に固定される係合ピン88、89とを備えている。本体部87は、略L形状に形成されている。本体部87の後端側は、左側に配置される側面部26に固定される固定軸90に回動可能に保持されている。本体部68は、左右方向において、左側に配置される側面部26とスライド部材74の本体部78との間に配置されている。
係合ピン88は、本体部87の前端側に固定されている。係合ピン89は、係合ピン88よりも下側かつ後ろ側で本体部87に固定されている。係合ピン88、89は、左右方向を軸方向として、かつ、左側へ突出するように本体部87に固定されている。また、係合ピン89は、本体部78の凹部78gに当接可能な位置に配置され、係合ピン88は、係合ピン89が凹部78gに当接しているときに凸部78eの後端に当接する位置に配置されている。
本体部87は、ネジリコイルバネ91によって、固定軸90を中心に、かつ、係合ピン88が凹部78gに当接する方向へ付勢されている。すなわち、本体部87は、ネジリコイルバネ91によって、固定軸90を中心に、図9の時計方向へ付勢されている。ネジリコイルバネ91の一端は、本体部87に固定される固定ピン92に係合し、ネジリコイルバネ71の他端は、左側に配置される側面部26に固定される固定軸93に係合している。
本形態では、ネジリコイルバネ91の付勢力によって本体部87が図9の時計方向へ付勢されているときには、係合ピン89が凹部78gに当接し、かつ、係合ピン88が凸部78eの後端に当接している。そのため、スライド部材74の後ろ側へのスライド動作が阻止される。一方、係合ピン88の高さと切欠き部78cの高さとが一致し、かつ、係合ピン89の高さと切欠き部78dの高さとが一致するまで、ネジリコイルバネ91の付勢力に抗して、本体部87が図9の反時計方向へ回動すると、スライド部材74の後ろ側へのスライド動作が可能になる。
スライドロック機構77は、鋼板等の金属の平板からなる本体部94と、本体部94に固定される係合ピン95、96とを備えている。本体部94は、略L形状に形成されている。前後方向における本体部94の略中心位置は、左側に配置される側面部26に固定される固定軸97に回動可能に保持されている。本体部94は、左右方向において、左側に配置される側面部26とスライド部材74の本体部78との間に配置されている。固定軸97は、固定軸90よりも後ろ側に配置されている。
係合ピン95は、本体部94の前端側に固定されている。係合ピン96は、本体部87の後端側に固定されている。係合ピン95、96は、左右方向を軸方向として、かつ、左側へ突出するように本体部94に固定されている。また、係合ピン95は、本体部78の貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接可能な位置に配置され、係合ピン96は、係合ピン95が貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接しているときに切欠き部78hの上端に当接する位置に配置されている。
本体部94は、ネジリコイルバネ98によって、固定軸97を中心に、かつ、係合ピン95が貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接する方向へ付勢されている。すなわち、本体部94は、ネジリコイルバネ98によって、固定軸97を中心に、図9の時計方向へ付勢されている。ネジリコイルバネ98の一端は、本体部94に固定される固定ピン99に係合し、ネジリコイルバネ98の他端は、固定軸93に係合している。
本形態では、ネジリコイルバネ98の付勢力によって本体部94が図9の時計方向へ付勢されているときには、係合ピン95が貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接し、かつ、係合ピン96が切欠き部78hの上端に当接している。そのため、スライド部材74の後ろ側へのスライド動作が阻止される。一方、係合ピン95の高さが突出部78fを乗り越えられる高さとなり、かつ、係合ピン96の高さが切欠き部78hの前後方向に平行な部分の高さと一致するまで、ネジリコイルバネ98の付勢力に抗して、本体部94が図9の反時計方向へ回動すると、スライド部材74の後ろ側へのスライド動作が可能になる。
なお、ロック機構63および解除機構64の左側は、図示を省略するカバー部材によって覆われており、ロック機構63および解除機構64は、外部に露出していない。このカバー部材は、左側に配置される側面部26にリベット等によって固定されている。
解除機構65は、シリンダ35に固定されるシリンダ固定部材105と、係合部材67の係合ピン69に当接して係合部材66と係合部材67との係合状態を解除する解除部材106とを備えている。また、解除機構65は、係合ピン69に当接する方向へ解除部材106を付勢する引張りコイルバネ107を備えている。シリンダ固定部材105は、鋼板等の金属の平板からなり、略長方形状に形成されている。このシリンダ固定部材105は、シリンダ35の後端側に固定されており、前面部27よりも後ろ側に配置されている。すなわち、シリンダ固定部材105は、カード回収庫7の内部に配置されている。
解除部材106は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。解除部材106の右端側は、前後方向を軸方向として配置される固定軸108に回動可能に保持されている。固定軸108は、右側に配置される側面部26に固定された支持部材109に固定されている。すなわち、解除部材106は、固定軸108および支持部材109を介して右側に配置される側面部26に回転可能に保持されている。解除部材106は、前面部27よりも後ろ側に配置されており、カード回収庫7の内部に配置されている。また、解除部材106は、その下面にシリンダ固定部材105が当接可能な位置に配置されるとともに、解除部材106の左端側の下面が係合ピン69の上端に当接可能な位置に配置されている。
引張りコイルバネ107の一端は、支持部材109に取り付けられ、引張りコイルバネ107の他端は、解除部材106の左端側に取り付けられている。解除部材106は、引張りコイルバネ107の付勢力によって、固定軸108を中心に、図11の反時計方向へ付勢されている。
解除機構65では、鍵穴35aに差し込まれた鍵21によってシリンダ35を図11の反時計方向へ回動させると、シリンダ固定部材105が、図11(A)に示すように、解除部材106の下面に当接して解除部材106を係合ピン69から離れる方向へ回動させる。また、この状態から、鍵穴35aに差し込まれた鍵21によってシリンダ35を図11の時計方向へ回動させると、シリンダ固定部材105は、図11(B)に示すように、解除部材106の下面から離れる。シリンダ固定部材105が解除部材106の下面から離れると、引張りコイルバネ107の付勢力によって解除部材106の下面が係合ピン69の上端に当接して、係合ピン69を押し下げる。係合ピン69が押し下げられると、係合部材66と係合部材67とが係合している場合には、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除される。
このように、解除機構65では、シリンダ35を回動させると、シリンダ固定部材105は、解除部材106に当接して係合部材67から離れる方向へ解除部材106を移動させる当接位置と、解除部材106から離れて引張りコイルバネ107の付勢力によって解除部材106を係合部材67に当接させる非当接位置との間を移動する。
(カード回収庫の構成3−第2ロック機構およびその関連部分の構成)
図12は、図9に示すフレーム側係合部材67をロックする第2ロック機構115およびその関連部分の構成を説明するための図である。図13は、図12に示す第2ロック機構115を構成する部品および第2ロック機構115に関連する部品を説明するための図である。図14は、図13(D)のF−F方向からロック解除部材118の上端側を示す図である。
カード回収庫7は、係合部材66と係合部材67との係合が可能な係合位置(図9に示す位置)にある係合ピン69に係合して、係合部材67をロックする第2ロック機構115を備えている。また、カード回収庫7は、第2ロック機構115による係合部材67のロック状態を解除するロック解除部材116、117、118を備えている。
第2ロック機構115は、係合ピン69に係合して、係合部材67をロックするロック部材119を備えている。ロック部材119は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。また、ロック部材119は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。このロック部材119は、左側に配置される側面部26に、左右方向を軸方向として、かつ、右側へ突出するように固定される固定軸120に回動可能に保持されている。
ロック部材119には、係合位置にある係合ピン69に前下側から当接して、下方向への係合ピン69の移動を阻止する(すなわち、固定軸70を中心とする係合部材67の図9における時計方向への回動を阻止する)係合部119aが形成されている。また、ロック部材119には、ロック解除部材116と相対回動可能に連結される連結部119bと、ロック解除部材117と相対回動可能に連結される連結部119cとが形成されている。
係合部119aは、ロック部材119が係合ピン69に係合している状態において、ロック部材119の、固定軸120の支持部分から上側へ突出している部分に形成されている。連結部119bは、ロック部材119が係合ピン69に係合している状態において、ロック部材119の、固定軸120の支持部分から下側へ突出している部分に形成されている。連結部119cは、ロック部材119が係合ピン69に係合している状態において、ロック部材119の、固定軸120の支持部分から前側へ突出している部分に形成されている。
ロック部材119は、引張りコイルバネ121の付勢力によって、固定軸120を中心に係合位置にある係合ピン69に係合部119aが係合する方向へ付勢されている。すなわち、ロック部材119は、引張りコイルバネ121の付勢力によって、図12の反時計方向へ付勢されている。引張りコイルバネ121の一端は、ロック部材119に取り付けられ、引張りコイルバネ121の他端は、左側に配置される側面部26に固定される固定ピン122に取り付けられている。
本形態では、引張りコイルバネ121の付勢力によって係合ピン69に係合部119aが係合すると、係合部材67の図9における時計方向への回動を阻止される。係合部材66と係合部材67とが係合している状態で、係合ピン69に係合部119aが係合すると、係合部材66の係合部66aからの係合ピン69の外れが防止される。一方、引張りコイルバネ121の付勢力に抗してロック部材119が図12の時計方向へ回動すると、係合ピン69が係合部119aから外れて、係合部材67の図9における時計方向への回動が可能になり、係合部66aから係合ピン69を外すことが可能になる。
ロック解除部材116は、鋼板等の金属の平板によって形成されている。また、ロック解除部材116は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。ロック解除部材116の後端側は、ロック部材119の連結部119bに相対回動可能に連結されている。ロック解除部材116の前端側には、長孔116aが形成されている。長孔116aには、係合ピン81が挿通されている。すなわち、ロック解除部材116は、スライド部材74に係合している。
本形態では、スライド部材74が後ろ側へ移動すると、係合ピン81の作用でロック解除部材116も後ろ側へ移動する。ロック解除部材116が後ろ側へ移動すると、ロック解除部材116の後端側に連結部119bが連結されているロック部材119は、引張りコイルバネ121の付勢力に抗して固定軸120を中心に図12の時計方向へ回動する。
ロック解除部材117は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成された第1部材123と、鋼板等の金属の平板によって形成された第2部材124とによって構成されている。また、ロック解除部材117は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。第1部材123は、左側に配置される側面部26に、左右方向を軸方向として、かつ、右側へ突出するように固定される固定軸125に回動可能に保持されている。固定軸125は、固定軸120よりも前側に配置されている。第1部材123には、第2部材124と相対回動可能に連結される連結部123aが形成されている。連結部123aは、第1部材123の、固定軸125の支持部分から斜め後ろ上側へ突出している部分に形成されている。第2部材124の上端側は、第1部材123の連結部123aに相対回動可能に取り付けられている。第2部材124の下端側は、ロック部材119の連結部119cに相対回動可能に取り付けられている。
図11に示すように、第1部材123および第2部材124は、解除部材106の下側に配置されている。鍵穴35aに差し込まれた鍵21によってシリンダ35を図11の時計方向へ回動させると、解除部材106の下面が第1部材123および第2部材124の上端に当接して、第1部材123および第2部材124を押し下げる。第2部材124が押し下げられると、第2部材124の下端側に連結部119cが連結されているロック部材119は、引張りコイルバネ121の付勢力に抗して固定軸120を中心に図12の時計方向へ回動する。
ロック解除部材118は、鋼板等の金属板を所定形状に折り曲げることで形成されている。また、ロック解除部材118は、左側に配置される側面部26よりも右側に配置されている。ロック解除部材118の下端側は、固定軸125に回動可能に保持されている。ロック解除部材118の上端側には、ロック部材119が係合ピン69に係合している状態におけるロック部材119の上端側に接触可能な接触部118aが形成されている。(図14参照)。接触部118aは、ロック解除部材118の本体から左方向へ突出するように形成されている。接触部118aの左側には、接触部118aよりも下方向へ突出する突出部118bが形成されている。突出部118bは、シャッタ部材30と一緒に前方向へスライドする係合部材66の前端面66cが当接可能な位置に配置されている。
ロック解除部材118は、引張りコイルバネ126の付勢力によって、接触部118aがロック部材119の上端側に接触する方向へ付勢されている。すなわち、ロック解除部材118は、引張りコイルバネ126の付勢力によって、図12の反時計方向へ付勢されている。引張りコイルバネ126の一端は、ロック解除部材118に取り付けられ、引張りコイルバネ126の他端は、固定軸120に取り付けられている。ロック解除部材118の作用については後述する。
(カード回収部へのカード回収庫の差込み時のカード回収庫の動作)
図15〜図17は、図2に示すカード回収部6にカード回収庫7を差し込むときのロック機構63および解除機構64の動作を説明するための図である。図18は、図2に示すカード回収部6にカード回収庫7を差し込むときの第2ロック機構115およびロック解除部材116の動作を説明するための図である。図19は、図2に示すカード回収部6へのカード回収庫7の差込みが完了したときのカード回収庫7の状態を説明するための図である。
カード回収庫7は、カード回収部6の後ろ側からカード回収部6に差し込まれて取り付けられる。カード回収部6に差し込まれる前のカード回収庫7では、図9に示すように、引張りコイルバネ82の付勢力によってスライド部材74は、前側に配置されている。このときには、ネジリコイルバネ91の付勢力によって、スライドロック機構76の係合ピン89は凹部78gに当接し、係合ピン88は凸部78eの後端に当接している。また、ネジリコイルバネ98の付勢力によって、スライドロック機構77の係合ピン95は、貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接し、係合ピン96は、切欠き部78hの上端に当接している。すなわち、スライドロック機構76、77によってスライド部材74の後ろ方向へのスライドは阻止されている。
また、このときには、ネジリコイルバネ71の付勢力によって、係合部材67は、係合部材66と係合可能な係合位置にある。さらに、このときには、シャッタ部材30は、開口部29aを塞ぐ位置でロック機構63にロックされており、係合部材66と係合部材67とが係合している。また、このときには、シリンダ35は、図11の反時計方向へ回動しており、鍵穴35aから鍵21が引き抜かれている。また、このときには、ロック部材119は、図12に示すように、係合ピン69に係合しており、係合部材67をロックしている。
カード回収庫7をカード回収部6に差し込み始めると、まず、図15に示すように、レバー部材47の第1傾斜面47aに係合ピン89が当接して、本体部87が図15の反時計方向へ回動する。カード回収庫7がさらに差し込まれると、図16に示すように、係合ピン89が第1傾斜面47a、第1平行面47bおよび第2傾斜面47cに沿って移動して、第2平行面47dに当接する。このときには、本体部87は、レバー部材47の上面の形状に応じて回動する。係合ピン89が第2平行面47dに当接すると、係合ピン88の高さと切欠き部78cの高さとが一致し、また、係合ピン89の高さと切欠き部78dの高さとが一致する。
また、図16に示すように、係合ピン95が第1傾斜面47aに当接した後、第1傾斜面47aに沿って移動して第1平行面47bに当接する。このときには、本体部94は、図16の反時計方向へ回動する。係合ピン95が第1平行面47bに当接すると、係合ピン95の高さが突出部78fを乗り越えられる高さとなり、また、係合ピン96の高さが切欠き部78hの前後方向に平行な部分の高さと一致する。また、このときには、スライド部材74の係合ピン80がレバー部材47の鉛直面47fに当接する。そのため、カード回収庫7がさらに差し込まれると、スライド部材74は、側面部26等から構成されるカード回収庫7のフレームに対して後ろ側へ相対移動する。
このように、スライドロック機構76の係合ピン89およびスライドロック機構77の係合ピン95は、レバー部材47に係合可能な位置に配置されており、レバー部材47に係合ピン89、95が係合すると、スライドロック機構76、77によるスライド部材74のロック状態が解除される。
スライド部材74が後ろ側へスライドすると、図18に示すように、係合ピン81の作用でロック解除部材116も後ろ側へ移動し、ロック解除部材116が後ろ側へ移動すると、ロック部材119が図18の時計方向へ回動して、ロック部材119による係合部材67のロック状態が解除される。このように、ロック解除部材116は、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際のスライド部材74のスライド動作に伴って、第2ロック機構115による係合部材67のロック状態を解除する。
また、その後、カード回収庫7がさらに差し込まれて、スライド部材74が後ろ側へスライドすると、図17に示すように、係合ピン79の作用で解除部材75が図17の時計方向へ回動して、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除される非係合位置へ係合部材67が回動する。非係合位置へ係合部材67が回動すると、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除される(すなわち、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除される。)。係合部材66と係合部材67との係合状態が解除されると、引張りコイルバネ31の付勢力で、シャッタ部材30が後ろ側へスライドして、開口部29aが開放される。カード回収庫7の差込みが完了すると、カード回収部6に回収されるカード2のカード回収庫7への収容が可能になる。
カード回収庫7の差込みが完了した状態では、図19に示すように、スライド部材74は、後ろ側へ移動しており、係合部材67は、非係合位置にある。また、ロック部材119は、図18の時計方向へ回動しており、係合部材67のロック状態が解除されている。なお、カード回収庫7の差込み時には、図7(A)に示すように、爪部材48の曲面部48bがカード回収庫7の上面部29およびシャッタ部材30に接触して、爪部材48が図7の時計方向へ回動する。そのため、爪部材48がカード回収庫7の差込みの支障となることはない。
(カード回収部からのカード回収庫の引抜き時のカード回収庫の動作)
図20は、図2に示すカード回収部6からカード回収庫7を引き抜くときの第2ロック機構115およびロック解除部材118の動作を説明するための図である。図21は、図20(A)のG部の拡大図である。図22は、図20(B)のH部の拡大図である。図23は、図20(C)のJ部の拡大図である。
カード回収部6に取り付けられたカード回収庫7を引き抜き始めると、引張りコイルバネ82の付勢力でスライド部材74は、側面部26等から構成されるカード回収庫7のフレームに対して前方向へ相対移動する。スライド部材74が前側へスライドすると、解除部材75が図17の反時計方向へ回動するとともに、ネジリコイルバネ71の付勢力によって、係合部材67が図17の反時計方向へ回動して、係合部材66との係合が可能な係合位置へ移動する。
また、スライドロック機構76の本体部87は、レバー部材47の上面の形状に応じて回動しながら、最終的に、係合ピン89が凹部78gに当接し、かつ、係合ピン88が凸部78eの後端に当接する位置まで回動する。また、スライドロック機構77の本体部94は、レバー部材47の上面の形状に応じて回動しながら、最終的に、係合ピン95が、貫通孔78bの、突出部78fよりも後ろ側の下端の縁に当接し、かつ、係合ピン96が切欠き部78hの上端に当接する位置まで回動する。
スライド部材74が前側へスライドすると、係合ピン81の作用でロック解除部材116も前側へ移動し、ロック解除部材116が前側へ移動すると、ロック部材119が図18の反時計方向へ回動して、係合ピン69に係合部119aが係合する。すなわち、ロック部材119によって係合部材67がロックされる。また、ロック部材119が図18の反時計方向へ回動すると、ロック部材119の上端側がロック解除部材118の接触部118aの前面に当接する。
また、カード回収部6に取り付けられたカード回収庫7を引き抜き始めると、爪部材48の爪部48aがシャッタ部材30の切欠き部30aに係合して、側面部26等から構成されるカード回収庫7のフレームに対してシャッタ部材30が前側へ相対移動する。すなわち、シャッタ部材30は、開口部29aを塞ぐ方向へ移動する。シャッタ部材30が前側へスライドすると、図20(A)および図21に示すように、シャッタ部材30と一緒に移動する係合部材66の前端面66cがロック解除部材118の突出部118bに当接する。
この状態で、さらにシャッタ部材30が前側へスライドすると、ロック解除部材118が係合部材66に押されて図20の時計方向に回動する。ロック解除部材118が図20の時計方向へ回動すると、上端側がロック解除部材118の接触部118aの前面に当接するロック部材119も図20の時計方向に回動して、ロック部材119による係合部材67のロック状態が解除される。また、さらに、シャッタ部材30が前側へスライドすると、図20(B)、(C)、図22および図23に示すように、接触部118aからロック部材119の上端側が外れて、ロック部材119は、図20の反時計方向に回動し、再び、ロック部材119によって係合部材67がロックされる。また、係合部材66の前端面66cも突出部118bから外れて、ロック解除部材118が図20の反時計方向へ回動する。
本形態では、接触部118aの前面に当接するロック部材119が図20の時計方向に回動して、ロック部材119による係合部材67のロック状態が解除されたときに、係合部材66の傾斜面66bが係合ピン69に当接して、係合ピン69を押し下げる。そのため、シャッタ部材30が前側へさらにスライドすると、係合ピン69が係合部66aの後面側に係合する。すなわち、係合部材66と係合部材67とが係合して、シャッタ部材30がロックされる。また、本形態では、係合部材66と係合部材67とが係合した後にロック部材119によって係合部材67が再びロックされる。
このように、本形態では、開口部29aを塞ぐ方向へスライドするシャッタ部材30に固定される係合部材66がロック解除部材118に当接すると、ロック部材119による係合部材67のロック状態が一時的に解除される。本形態のロック解除部材118は、係合部材66が当接可能な位置に配置されるとともに第2ロック機構115による係合部材67のロック状態を一時的に解除する第2ロック解除部材である。また、本形態では、爪部材48によって開口部29aを塞ぐ方向へシャッタ部材30がスライドすると、ロック機構63によってシャッタ部材30がロックされる。
なお、本形態では、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、ロック機構63によってロックされた後のシャッタ部材30がカード回収部6の外部に露出するように爪部材48が配置されている。すなわち、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、ロック機構63によってロックされていないシャッタ部材30の一部または全部がカード回収部6の外部に露出しないように、爪部材48が配置されている。
(鍵を使用したときのカード回収庫の動作)
図24は、図11(A)に示す構成の一部を側面から見たときの状態を説明するための図である。図25は、図11(B)に示す構成の一部を側面から見たときの状態を説明するための図である。
カード回収部6から引き抜かれた直後のカード回収庫7では、シリンダ35は、図11の反時計方向へ回動しており、鍵穴35aから鍵21が引き抜かれている。このときには、解除部材106の下面が係合ピン69から離れており、ネジリコイルバネ71の付勢力によって、係合部材67は、図24に示すように、係合部材66と係合可能な係合位置にある。また、このときには、シャッタ部材30は、開口部29aを塞ぐ位置でロック機構63にロックされており、係合部材66と係合部材67とが係合している。さらに、このときには、ロック部材119は、係合ピン69に係合しており、係合部材67をロックしている。
この状態において、鍵穴35aに鍵21を差し込んで、シリンダ35を図11の時計方向へ回動させると、図11(B)に示すように、シリンダ固定部材105が解除部材106の下面から離れる。シリンダ固定部材105が解除部材106の下面から離れると、引張りコイルバネ107の付勢力によって、図11(B)および図25に示すように、解除部材106の下面が第1部材123および第2部材124の上端に当接して(具体的には、第1部材123と第2部材124との連結部分の上端に当接して)、第1部材123および第2部材124を押し下げる。第2部材124が押し下げられると、ロック部材119が図25の時計方向へ回動して、ロック部材119による係合部材67のロック状態が解除される。
また、シリンダ固定部材105が解除部材106の下面から離れると、引張りコイルバネ107の付勢力によって解除部材106の下面が係合ピン69の上端に当接して、係合ピン69を押し下げる。係合ピン69が押し下げられると、係合部材66と係合部材67との係合状態が解除される。係合部材66と係合部材67との係合状態が解除されると、引張りコイルバネ31の付勢力で、シャッタ部材30が後ろ側へスライドして、開口部29aが開放され、カード回収庫7に収容されたカード2の取出しが可能になる。
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード回収庫7がカード回収部6に着脱可能になっている。そのため、本形態では、回収されたカード2をカード回収部6から取り出す際には、カード回収庫7ごとカード回収部6から取り出すことができる。また、本形態では、カード回収庫7は、鍵付きのカード回収庫であり、カード回収部6から取り外されたカード回収庫7に収容されるカード2をカード回収庫7から取り出すためには、鍵21が必要である。したがって、本形態では、鍵21を持っている者のみがカード回収庫7に回収されたカード2を取り出すことが可能になり、カード回収部6からカード回収庫7を取り出す作業者等が回収されたカード2を不正に抜き取るのを防止することが可能になる。その結果、本形態では、カード発行装置1のセキュリティ性を高めることが可能になる。
本形態では、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、爪部材48によって開口部29aを塞ぐ方向へシャッタ部材30がスライドし、ロック機構63によってシャッタ部材30がロックされる。すなわち、本形態では、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、開口部29aを開放する位置にあるシャッタ部材30が開口部29aを塞ぐ方向へ自動的にスライドするとともに、開口部29aを塞ぐ方向へスライドしたシャッタ部材30がロック機構63によって自動的にロックされる。したがって、本形態では、カード回収部6から取り出されたカード回収庫7の開口部29aをシャッタ部材30で確実に塞ぐとともに、開口部29aを塞いだシャッタ部材30を確実にロックすることが可能になる。その結果、本形態では、カード発行装置1のセキュリティ性をより高めることが可能になる。
本形態では、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、ロック機構63によってロックされていないシャッタ部材30の一部または全部がカード回収部6の外部に露出しないように、爪部材48が配置されている。そのため、本形態では、カード回収部6から取り出されるカード回収庫7のシャッタ部材30がロック機構63によってロックされないようにするために、カード回収庫7の外部から行われる何らかの不正操作を防止することが可能になる。したがって、本形態では、カード発行装置1のセキュリティ性をより高めることが可能になる。
本形態では、解除機構64は、スライド部材74をロックするスライドロック機構76、77を備えている。そのため、本形態では、スライドロック機構76、77によるスライド部材74のロック状態を解除しなければ、スライド部材74をスライドさせて、係合部材66と係合部材67との係合状態を解除することができない。すなわち、本形態では、スライドロック機構76、77によるスライド部材74のロック状態を解除しなければ、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態を解除することができない。したがって、本形態では、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が不正操作で解除されるのを防止することが可能になる。特に本形態では、解除機構64が2個のスライドロック機構76、77を備えているため、2個のスライドロック機構76、77によるスライド部材30のロック状態を解除しなければ、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態を解除することができない。したがって、本形態では、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が不正操作で解除されるのを効果的に防止することが可能になる。
なお、本形態では、スライドロック機構76の係合ピン89およびスライドロック機構77の係合ピン95がレバー部材47に係合すると、スライドロック機構76、77によるスライド部材74のロック状態が解除されるため、カード回収部6にカード回収庫7を差し込む際に、スライドロック機構76、77によるスライド部材74のロック状態を容易に解除することが可能になる。
本形態では、カード回収部6は、カード回収部6に差し込まれたカード回収庫7の開口部29aに向かってカード2を案内するための上ガイド部材45および下ガイド部材46を備えている。そのため、本形態では、カード回収庫7に形成される開口部29aの開口面積を狭くしても、上ガイド部材45と下ガイド部材46とによって開口部29aへカード2を適切に案内することが可能になる。すなわち、本形態では、開口部29aの開口面積を狭くすることが可能になる。したがって、本形態では、カード回収庫7に収容されたカード2が不正に取り出されるのを効果的に防止することが可能になる。
本形態では、カード回収部6にカード回収庫7が差し込まれたときに、シリンダ35は、カード回収部6へのカード回収庫7の差込み方向におけるカード回収部6の奥側に配置されている。そのため、本形態では、カード回収部6にカード回収庫7が差し込まれた状態で、鍵21によってカード回収庫7を開けることが困難になる。したがって、本形態では、たとえば、鍵21を犯罪者が不正に取得したとしても、カード回収庫7に収容されるカード2を取得することは困難になり、その結果、カード発行装置1のセキュリティ性をより高めることが可能になる。
本形態では、カード供給庫5およびカード回収庫7の鍵21と引抜きロック機構の鍵39とが異なっている。そのため、鍵21を持っていても、カード発行部4からカード供給庫5を引き抜くことはできず、また、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜くこともできない。また、鍵39を持っていても、カード供給庫5およびカード回収庫7を開けることはできない。すなわち、本形態では、カード発行部4からのカード供給庫5の取出しおよびカード回収部6からのカード回収庫7の取出しができる者と、カード供給庫5およびカード回収庫7を開けることができる者とを分けることが可能になる。したがって、本形態では、カード発行装置1のセキュリティ性をより高めることが可能になる。
本形態では、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、レバー部材47によってロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除されると、引張りコイルバネ31の付勢力で、シャッタ部材30が後ろ側へスライドして、開口部29aが開放される。すなわち、本形態では、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、開口部29aを塞いだ位置でロックされているシャッタ部材30が開口部29aを開放する位置へ自動的にスライドする。したがって、本形態では、簡易な操作で、カード回収部6に差し込まれたカード回収庫7の開口部29aからカード回収庫7の内部へカード2を取り込むことが可能になる。
本形態では、爪部材48は、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、爪部48aがカード回収部6の内側へ移動して爪部48aの前面側が切欠き部30aの前端面に係合するように引張りコイルバネ53によって付勢されている。また、本形態では、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、曲面部48bが上面部29およびシャッタ部材30に接触して爪部48aがカード回収部6の外側へ移動するように爪部材48が形成されるとともに配置されている。そのため、本形態では、比較的簡易な構成で、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に爪部48aをシャッタ部材30に係合させること、および、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際の爪部材48の影響を低減することが可能になる。
本形態では、鍵穴35aに鍵21を差し込んで、シリンダ35を図11の時計方向へ回動させると、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除されて、開口部29aを開放する方向へシャッタ部材30がスライドし、カード回収庫7に収容されたカード2の取出しが可能になる。すなわち、本形態では、カード回収庫7に収容されたカード2を開口部29aから取り出すことができる。そのため、本形態では、カード回収庫7に収容されたカード2を取り出すための扉等を別途、カード回収庫7に設ける必要がない。したがって、本形態では、カード回収庫7の構成を簡素化することが可能になる。
本形態では、カード回収庫7は、係合部材66と係合部材67との係合が可能な係合位置にある係合ピン69に係合して、係合部材67をロックする第2ロック機構115を備えている。そのため、本形態では、たとえば、何らかの衝撃等の影響によって、係合部材67が回動して、ロック機構63によるシャッタ部材30のロック状態が解除されてしまうのを防止することが可能になる。また、本形態では、ロック解除部材116は、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際のスライド部材74のスライド動作に伴って、第2ロック機構115による係合部材67のロック状態を解除するため、カード回収部6へカード回収庫7を差し込む際に、第2ロック機構115による係合部材67のロック状態を容易に解除することが可能になる。
本形態では、開口部29aを塞ぐ方向へスライドするシャッタ部材30に固定される係合部材66がロック解除部材118に当接すると、ロック部材119による係合部材67のロック状態が一時的に解除される。そのため、本形態では、カード回収部6からカード回収庫7を引き抜く際に、係合部材67のロック状態を一時的に解除して、係合部材66と係合部材67とを適切に係合させることが可能になる。したがって、本形態では、係合部材67をロックするロック部材119が設けられていても、開口部29aを塞いだ位置でロック機構63によってシャッタ部材30を適切にロックすることが可能になる。
本形態では、引抜きロック機構37によって引抜き防止部材36が側面部16にロックされると、カード発行部4に差し込まれたカード供給庫5がカード発行部4から引き抜かれないように、引抜きロック機構37によってカード供給庫5がロックされる。そのため、本形態では、共通の引抜きロック機構37を用いて、カード発行部4からのカード供給庫5の引抜きおよびカード回収部6からのカード回収庫7の引抜きを防止することが可能になる。したがって、本形態では、カード発行装置1の構成を簡素化することが可能になる。
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
上述した形態では、開口部29a以外に、カード回収庫7に収容されたカード2を取り出すための開口部がカード回収庫7に形成されていない。この他にもたとえば、開口部29a以外に、カード回収庫7に収容されたカード2を取り出すための開口部がカード回収庫7に形成されても良い。この場合には、この開口部を塞ぐ扉を鍵付きの扉としても良い。
上述した形態では、カード供給庫5の鍵21と、カード回収庫7の鍵21とは、共通の鍵となっている。この他にもたとえば、カード供給庫5の鍵と、カード回収庫7の鍵とが異なっていても良い。また、上述した形態では、カード供給庫5の鍵21およびカード回収庫7の鍵21と、引抜きロック機構37の鍵39とが異なっているが、これらの鍵は、共通であっても良い。
上述した形態では、カード回収庫7は、係合部材66と係合部材67との係合が可能な係合位置にある係合ピン69に係合して、係合部材67をロックする第2ロック機構115を備えているが、カード回収庫7は、第2ロック機構115を備えていなくても良い。この場合には、ロック解除部材116、117、118が不要になる。また、上述した形態では、解除機構64は、2個のスライドロック機構76、77を備えているが、解除機構64が備えるスライドロック機構の数は、1個であっても良いし、3個以上であっても良い。
上述した形態では、カード回収庫7のカード収容部57は、2枚の側面部58と前面部59と後面部60と底面部61とが互いに固定されることで構成されている。この他にもたとえば、底面部61を上下方向へ移動可能に構成するとともに、バネ等の付勢部材によって底面部61を上方向へ付勢することで、収容されるカード2の枚数に応じて底面部61の高さが変わるようにしても良い。この場合には、たとえば、カード回収庫7の高さが図2等に示すカード回収庫7の高さよりも高くなる。
上述した形態では、カード発行装置1は、カードリーダ3を備えている。この他にもたとえば、カード発行装置1は、カードリーダ3に代えて、カード2の搬送方向を切り替える切替装置、カード2の表面に印字を行うプリンタ、カード2の表面の印字等を読み取るイメージセンサ、あるいは、カード2の搬送のみを行う搬送路を備えていても良い。また、上述した形態では、カード発行装置1を例に本発明の実施の形態にかかるカード回収機構を説明したが、本発明が適用されるカード回収機構は、カード発行装置1以外の各種の装置に使用されても良い。