JP2014034946A - 浸透圧発電システム - Google Patents
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Abstract
【課題】発電効率が高く、淡水資源を必要としない浸透圧発電システムを提供する。
【解決手段】半透膜13と、海水淡水化プラント31で海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画14と、海水が供給される低濃度水区画15とを有する半透膜装置12と、タービン17を回転させて発電する発電機16とを備える。高濃度水区画14に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるための溶質20を添加する。タービン17を回転させた後の濃縮海水中に含まれる溶質20を回収し、高濃度水区画14において再利用可能とする高浸透液再生装置21を備える。
【効果】濃縮海水に浸透圧を更に高めるための溶質20を添加するので、浸透圧エネルギーが飛躍的に高くなる。添加した溶質20は、高浸透液再生装置21によって低エネルギーで回収し、再利用するので、海洋生態系への影響も低減できる。
【選択図】図1
【解決手段】半透膜13と、海水淡水化プラント31で海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画14と、海水が供給される低濃度水区画15とを有する半透膜装置12と、タービン17を回転させて発電する発電機16とを備える。高濃度水区画14に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるための溶質20を添加する。タービン17を回転させた後の濃縮海水中に含まれる溶質20を回収し、高濃度水区画14において再利用可能とする高浸透液再生装置21を備える。
【効果】濃縮海水に浸透圧を更に高めるための溶質20を添加するので、浸透圧エネルギーが飛躍的に高くなる。添加した溶質20は、高浸透液再生装置21によって低エネルギーで回収し、再利用するので、海洋生態系への影響も低減できる。
【選択図】図1
Description
本発明は、発電効率が高く、淡水資源を必要としない浸透圧発電システムに関する。
例えば、特許文献1には、図10に示すような、河川Rと海Sが交わる河口付近に設置される浸透圧発電システム100が開示されている。
この浸透圧発電システム100では、河川Rに設けた取水口101から淡水を取水し、沈殿池102に導き、沈殿及びろ過の後、半透膜装置103内の区画103Aに導水する。他方、海水ポンプ105を用いて取水した海水は、区画103Aと半透膜104によって隔てられた区画103Bに導水する。
このように、半透膜104を介して海水と淡水を接触させると、淡水側の区画103A内の水分子が半透膜104を透過して海水側の区画103Bに移動し、海水側に高圧水流が生じる。浸透圧発電システム100は、このような海水と淡水の間に生じる浸透圧を利用して発電機106のタービン107を回転させて発電するものである。
しかしながら、従来の浸透圧発電システムには、次の(1)〜(3)の課題があった。
(1)設置場所が淡水資源を利用できる地域に限定されること
浸透圧発電では、濃度差の大きい水源の安定的な確保が必要である。上述のような海水と淡水の間に生じる浸透圧を利用した浸透圧発電システムの場合、例えば河川と海の両方からの導水が容易な河口付近が設置に適した場所となる。
浸透圧発電では、濃度差の大きい水源の安定的な確保が必要である。上述のような海水と淡水の間に生じる浸透圧を利用した浸透圧発電システムの場合、例えば河川と海の両方からの導水が容易な河口付近が設置に適した場所となる。
しかし、国内外を問わず、河川水などの淡水資源を豊富に利用できる地域は決して多くはなく、むしろ限られている。そのため、設置場所が淡水資源を利用できる地域に限定されることは、浸透圧発電が普及しない要因の一つとなっていた。
上記課題に対応すべく、海水淡水化装置で海水を淡水化する際に同時に生成される濃縮海水を利用する浸透圧発電システムが提案されている(例えば、特許文献2)。海水淡水化装置から排出される濃縮海水は、塩分濃度が約7%であり、通常の海水と比較すると塩分濃度が約2倍に濃縮されているので、この濃縮海水と海水の間に生じる浸透圧を利用して、淡水資源が不要な浸透圧発電を実現しようとするものである。しかし、単に濃縮海水を利用するのみでは、以下の(2)及び(3)の課題は解決できなかった。
(2)塩の漏出による濃度分極により半透膜の膜透過流量が低下すること
現状、浸透圧発電システムでは、半透膜として、例えば海水淡水化プラントなどで利用されている逆浸透膜(RO膜)が使用されている。このRO膜は、塩の除去率が99.6%程度であるから、これを浸透圧発電で利用する場合、濃縮海水側から海水側へ僅かではあるが塩が漏出する。そのため、RO膜の海水側の表面に塩濃度の高い領域が形成され、この濃度分極によって膜透過流量が低下する。
現状、浸透圧発電システムでは、半透膜として、例えば海水淡水化プラントなどで利用されている逆浸透膜(RO膜)が使用されている。このRO膜は、塩の除去率が99.6%程度であるから、これを浸透圧発電で利用する場合、濃縮海水側から海水側へ僅かではあるが塩が漏出する。そのため、RO膜の海水側の表面に塩濃度の高い領域が形成され、この濃度分極によって膜透過流量が低下する。
上記課題への対応として、半透膜の塩除去率を99.6%よりも高くした専用の半透膜を開発することも考えられる。しかし、半透膜の塩除去率を高くすると、水の透過率が著しく低下し、不純物が吸着するファウリングも生じやすくなって、かえって膜透過流量が低下してしまう。
そこで、半透膜によって隔てられた高濃度水区画と低濃度水区画の間に生じる浸透圧をより高いものとすることで、濃度分極の影響を相対的に小さくすることが考えられる。
しかし、淡水資源が不要な浸透圧発電を実現するために、濃縮海水と海水の間に生じる浸透圧を利用する場合、得られる浸透圧は約3MPaにとどまる。そのため、特許文献2の浸透圧発電システムのように、単に濃縮海水を利用するのみでは、濃度分極による膜透過流量の低下によって実効浸透圧差が次第に小さくなり、発電量が低下してしまうという問題があった。ちなみに、濃縮海水と淡水の間であれば、約6MPaのより高い浸透圧が得られるが、この場合は淡水資源が必要となることは言うまでもない。
(3)濃縮海水が海洋生態系に悪影響を及ぼすこと
また、仮に、濃縮海水の塩分濃度(約7%)を更に高くしようとすると、発電利用後の排水も依然として塩分濃度が相当に高いものとなるため、周辺海域の生態系に悪影響を及ぼすという問題がある。
また、仮に、濃縮海水の塩分濃度(約7%)を更に高くしようとすると、発電利用後の排水も依然として塩分濃度が相当に高いものとなるため、周辺海域の生態系に悪影響を及ぼすという問題がある。
本発明が解決しようとする問題点は、従来の浸透圧発電システムは、1)設置場所が淡水資源を利用できる地域に限定される点、2)濃縮海水と海水の間に生じる浸透圧が小さく、濃度分極による膜透過流量の低下の影響を受けて発電量が低下してしまう点、3)発電利用後の濃縮海水が海洋生態系に悪影響を及ぼすおそれがある点である。
本発明は、濃縮海水と海水の間に生じる浸透圧を利用し、淡水資源を使用しない浸透圧発電システムを提供することを第1の目的としている。また、濃縮海水側の浸透圧を飛躍的に高めて、発電効率を向上することを第2の目的としている。さらに、高濃度水区画の浸透圧を高めるために添加する溶質が周辺の海洋生態系に悪影響を及ぼす懸念がある場合は、これを低エネルギーで回収し、半透膜装置において再利用することで、環境保全対策をより万全にすることを第3の目的としている。
本発明は、上記の目的を達成するためになされたものであって、
半透膜と、前記半透膜の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラントで海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画と、前記半透膜の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画とを有する半透膜装置と、
前記半透膜装置によって得られる浸透圧エネルギーを利用してタービンを回転させて発電する発電機と、
を備えた浸透圧発電システムであって、
前記高濃度水区画に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるための溶質を添加すると共に、
前記タービンを回転させた後の濃縮海水中に含まれる前記溶質を回収し、前記高濃度水区画において再利用可能とする高浸透液再生装置を備えたことを最も主要な特徴としている。
半透膜と、前記半透膜の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラントで海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画と、前記半透膜の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画とを有する半透膜装置と、
前記半透膜装置によって得られる浸透圧エネルギーを利用してタービンを回転させて発電する発電機と、
を備えた浸透圧発電システムであって、
前記高濃度水区画に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるための溶質を添加すると共に、
前記タービンを回転させた後の濃縮海水中に含まれる前記溶質を回収し、前記高濃度水区画において再利用可能とする高浸透液再生装置を備えたことを最も主要な特徴としている。
上記本発明によれば、高濃度水区画に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるために、例えば無機塩、水溶性低沸点気体、磁性ナノ粒子などからなる溶質を添加するので、低濃度水区画に供給される海水との間に生じる浸透圧エネルギーが飛躍的に高まる。
本発明は、高濃度水区画に濃縮海水を用いると共に、低濃度水区画には海水を用いるので、淡水資源を必要としない浸透圧発電システムを構築できる。また、本発明は、濃縮海水に上記溶質を添加し、海水との間に生じる浸透圧エネルギーを飛躍的に高めることができるので、濃度分極の影響を受けずに高い発電効率を維持できる。
特に、上記溶質として、例えば塩化マグネシウム(MgCl2)や塩化カルシウム(CaCl2)のような2価のイオン(Ca2+、Mg2+等)を含む無機塩を用いた場合、この2価の無機塩さえ半透膜を通過しなければ高浸透圧性を維持できる。そのため、仮に2価の無機塩以外の塩が僅かに海水側に漏出して濃度分極が生じても、濃度分極による膜透過流量低下の影響は非常に小さなものとなる。
さらに、本発明の浸透圧発電システムは、タービンを回転させた後の濃縮海水中に含まれる溶質を回収し、高濃度水区画において再利用するための高浸透液再生装置を備えているので、前記溶質が海洋生態系に悪影響を及ぼす懸念がある場合は、これを低エネルギーで回収し、再利用することができる。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図9を用いて詳細に説明する。第1実施例の浸透圧発電システム11は、海水淡水化プラント31と並設されている。
図1は、第1実施例の浸透圧発電システム11の全体構成図である。12は、半透膜13と、この半透膜13の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラント31で海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画14と、半透膜13の他方の膜面側に形成され、前記濃縮海水よりも濃度が低い通常の海水が供給される低濃度水区画15とを有した半透膜装置を示している。浸透圧発電システム11は、低濃度水区画15側の水分子が半透膜13を透過して高濃度水区画14側に移動する浸透圧エネルギーを利用し、発電機16のタービン17を回転させて発電するものである。
31は、蒸発法や逆浸透法による海水淡水化プラントである。海水淡水化プラント31は、海水32を加熱して蒸気を発生させ、その蒸気を凝縮して淡水33を得る方法や、逆浸透膜(RO膜)を利用し、海水32を高圧でRO膜に送り込んで淡水33を抽出する方法等により、海水32を淡水化するものである。
海水淡水化プラント31では、海水32から淡水33を生産する際に、塩分濃度が通常の海水に比べて約2倍に濃縮された濃縮海水が副産物として生成される。この濃縮海水(塩分濃度:約7%)は、ポンプにより送水され、濃縮海水送水管18を介して高濃度水区画14に供給される。
他方、半透膜装置12の低濃度水区画15には、通常の海水32(塩分濃度:約3.5%)が供給される。海水32は、ポンプにより送水され、海水送水管19を介して低濃度水区画15に供給される。
高濃度水区画14に供給される濃縮海水には、浸透圧を更に高めるために、例えば無機塩、水溶性低沸点気体、磁性ナノ粒子などからなる溶質20が添加される。具体的には、高浸透液再生装置21と接続された溶質供給管22が濃縮海水送水管18の途中一箇所と合流しており、高浸透液再生装置21で調整された溶質20を含むドロー溶液が、溶質供給管22を通って濃縮海水中に添加される。
23は、溶質20を含む濃縮海水の持つ圧力エネルギーを無駄に消費することなく、高濃度水区画14に供給される濃縮海水(濃縮海水送水管18内の濃縮海水)の圧力エネルギーとして再利用する圧力変換器を示している。また、25は、半透膜装置12と発電機16の間の配管24の途中一箇所から分岐し、高浸透液再生装置21と接続される第1排水管を示している。圧力変換器23は、この第1排水管25と濃縮海水送水管18との間で圧力エネルギーを回収するものである。
高浸透液再生装置21は、タービン17を回転させた後の濃縮海水中に含まれる溶質20を回収し、高濃度水区画14において再利用可能とするための装置である。発電機16の下流側の第2排水管26は、高浸透液再生装置21の上流側の第1排水管25の途中一箇所と合流しており、発電利用後の溶質20を含む濃縮海水は、高浸透液再生装置21に導水されて、後述するように溶質20の回収又は再生が行われる。
溶質20を回収した後の排水は、配管27を通って系外に排出される。配管27中の排水の塩分濃度は約5%に低減されている。また、28は、低濃度水区画15中の海水を排出するための配管を示している。配管28中の排水は、水分子が高濃度水区画14側に浸透するため、通常の海水よりも濃縮されているが、その塩分濃度は約5%程度である。
図2は、図1の半透膜装置12を模式的に表した図である。図2のように、半透膜13を介して溶質20が添加された濃縮海水14aと海水15aを接触させると、海水15a中の水分子が半透膜13を透過して濃縮海水14a側に移動する。
このとき、半透膜を介して単に濃縮海水と海水を接触させるだけであれば、得られる浸圧は約3MPa程度にとどまるが、本発明は、上述のとおり濃縮海水14aに無機塩、水溶性低沸点気体、磁性ナノ粒子などからなる溶質20を添加するので、浸透圧が飛躍的に高くなる。
溶質20の具体的な一例は、図3のグラフに示す通りである。まず、無機塩としては、例えば、塩化マグネシウム(MgCl2)、塩化カルシウム(CaCl2)、塩化ナトリウム(NaCl)、塩化カリウム(KCl)などが使用できる。また、水溶性低沸点気体としては、例えば炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)などが使用できる。
この内、塩化マグネシウムと塩化カルシウムは、図3に示す通り、他の溶質と比較しても著しく高い浸透圧が得られるので、好適である。例えばモル濃度が5Mの塩化マグネシウム水溶液であれば、約100MPaの極めて高い浸透圧が得られる(1atm=101325Pa)。
また、溶質20として塩化マグネシウムを使用し、高濃度水区画14中の塩化マグネシウムのモル濃度が例えば1Mとなるように添加する場合は、濃縮海水と海水間に生じる約3MPaの浸透圧に、塩化マグネシウムによる約10MPaの浸透圧を加え、約13MPaの浸透圧を利用してタービン17を駆動させることができる。
図4は、ナノ濾過膜(NF膜)を用いた高浸透液再生装置21の一例を説明する図である。溶質20として無機塩を使用する場合、高浸透液再生装置21に半透膜を設け、この半透膜に発電利用後の排水を透過させることにより、排水中の無機塩を回収することが考えられる。しかし、高浸透液再生装置21において、塩除去率の高い半透膜を使用した場合は、溶質回収時の負荷が高くなり、発電効率を低下させてしまう。
そこで、本発明では、溶質20として2価の無機塩を用いると共に、高浸透液再生装置21は、NF膜21aによる膜分離にて溶質20を回収することが望ましい。溶質20として塩化マグネシウム、塩化カルシウムなどの2価のイオン(Ca2+、Mg2+)を含む無機塩を使用する場合、この2価のイオンを回収できれば良いので、高浸透液再生装置21において、例えばRO膜を用いる必要はなく、NF膜21aのようなRO膜よりも膜透過水量が大きい膜を使用することができる。
そして、透過水量が多いほど低エネルギーで溶質20を回収することができるので、高浸透液再生装置21を設けた場合でも発電効率の高いシステムを維持できる。また、NF膜21aを用いた場合は、細孔径が大きいので、不純物の吸着によるファウリングの影響も低減できる。
図5は、溶質20として水溶性低沸点気体を用いる場合における高浸透液再生装置21の一例を説明する図である。この場合、高浸透液再生装置21は、例えば廃熱を利用して40〜70℃程度の低温加熱が可能な加熱装置21bを備えている。
例えば炭酸水素アンモニウムの場合、発電利用後の排水中に含まれる炭酸水素アンモニウムは、高浸透液再生装置21内で、加熱装置21bにより常圧で低温加熱するだけで、下記の式(1)のようにアンモニアと二酸化炭素と水に分解される。よって、排水中から炭酸水素アンモニウムを容易に除去することができる。
NH4HCO3 → NH3+CO2+H2O・・・・(1)
NH4HCO3 → NH3+CO2+H2O・・・・(1)
その後、加熱装置21bから離れた場所で温度が低下すると、下記の式(2)に示すように上記とは逆の反応が進行し、アンモニアと二酸化炭素と水から炭酸水素アンモニウムが生成される。この炭酸水素アンモニウムは、溶質供給管22に送り込むことで、高濃度水区画14に供給される濃縮海水14a中に添加される。よって、低温加熱によって回収した炭酸水素アンモニウムを、浸透圧を高めるための溶質20として再利用することができる。
NH3+CO2+H2O → NH4HCO3・・・・(2)
NH3+CO2+H2O → NH4HCO3・・・・(2)
このように、溶質20として水溶性低沸点気体を用いると共に、高浸透液再生装置21は加熱により溶質20を回収する構成を採用した場合も、低エネルギーで溶質20を回収し、高い発電効率を維持できる。
図6は、高濃度水区画44に苦汁50を添加する第2実施例の浸透圧発電システム41の一例を示す図である。第2実施例の浸透圧発電システム41は、製塩プラント61と並設されている。
42は、半透膜43と、この半透膜43の一方の膜面側に形成され、製塩プラント61の副産物である苦汁50を添加した海水が供給される高濃度水区画44と、半透膜43の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画45とを有した半透膜装置を示している。浸透圧発電システム41は、低濃度水区画45側の水分子が半透膜43を透過して高濃度水区画44側に移動する浸透圧エネルギーを利用し、発電機46のタービン47を回転させて発電するものである。
製塩プラント61は、海水62中に約3.5%含まれる塩分の内、約78%を占める塩63(塩化ナトリウム)を生成するシステムである。このとき、塩化ナトリウム以外に、副産物として、塩分中に約9.6%含まれる塩化マグネシウムを主要成分とする苦汁50が生成される(海水中の塩分組成につき、図7のグラフを参照)。
この苦汁50の主成分である塩化マグネシウムは、既に図3で説明した通り、極めて高い浸透圧が得られるものである。第2実施例の浸透圧発電システム41は、この苦汁50を含む海水をポンプにより送水し、送水管48を介して高濃度水区画44に供給するものである。よって、第2実施例の浸透圧発電システム41は、濃縮海水を必要としないものである。
また、図6の浸透圧発電システム41は、高浸透液再生装置を設けていない。これは、苦汁50は、元々、天然海水中に含まれる塩分であるため、周辺海域の環境に与える影響が小さいという理由による。
53は、苦汁50を含む海水の持つ圧力エネルギーを無駄に消費することなく、高濃度水区画44に供給される苦汁50を含む海水(送水管48内の海水)の圧力エネルギーとして再利用する圧力変換器を示している。また、55は、半透膜装置42と発電機46の間の配管54の途中一箇所から分岐された排水管を示している。圧力変換器53は、この排水管55と送水管48との間で圧力エネルギーを回収するものである。また、49は、海水送水管を、58は、低濃度水区画45中の海水を排出するための配管を示している。
図8は、第2実施例の変形例の説明図である。第2実施例では、前述のとおり苦汁50の添加により高い浸透圧が得られるが、高濃度水区画44の浸透圧を更に高める必要がある場合は、図8に示すように、高濃度水区画44に供給される海水に対し、溶質供給管52から、浸透圧を更に高めるための溶質20を含むドロー溶液を添加しても良い。
51は、タービン47を回転させた後の海水中に含まれる苦汁50及び溶質20を回収し、高濃度水区画44において再利用可能とするための高浸透液再生装置を示している。発電機46の下流側の第2排水管56は、高浸透液再生装置51の上流側の排水管55の途中一箇所と合流しており、発電利用後の苦汁50及び溶質20を含む海水は、高浸透液再生装置51に導水され、苦汁50及び溶質20が回収される。なお、高浸透液再生装置51において、苦汁50及び溶質20を回収する方法は、前述の第1実施例の場合と同じである。
図8の浸透圧発電システム41では、苦汁50及び溶質20を回収し、塩分濃度を十分に低減した排水のみが配管57を通って系外に排出されるので、環境への影響はより一層低減できる。
図9は、第1実施例の浸透圧発電システム11の変形例を示す図である。この浸透圧発電システム11は、海水淡水化プラント31と並設されている。
12は、半透膜13と、この半透膜13の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラント31で海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画14と、半透膜13の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画15とを有した半透膜装置を示している。浸透圧発電システム11は、低濃度水区画15側の水分子が半透膜13を透過して高濃度水区画14側に移動する浸透圧エネルギーを利用し、発電機16のタービン17を回転させて発電するものである。
高濃度水区画14に供給される濃縮海水には、浸透圧を更に高めるために、図7(b)に列挙されている塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウムなどの天然海水中に含まれる無機塩の中から選択される1又は複数の溶質が添加される。溶質供給管22は、濃縮海水送水管18の途中一箇所に合流しており、天然海水中に含まれる無機塩からなる溶質20を含むドロー溶液が、溶質供給管22を通って濃縮海水中に添加される。
この浸透圧発電システム11が図1のシステムと異なる点は、溶質20として天然海水中に含まれる無機塩のみを使用する一方、高浸透液再生装置は設けない点である。これは、天然海水中に含まれる無機塩であれば、環境への影響は小さいと考えられるからである。図9の浸透圧発電システム11は、周辺海域の環境条件に適合することを前提として溶質20は回収せず、そのまま系外に放出するものである。
本発明は、前記の実施例に限るものではなく、各請求項に記載の技術的思想の範疇であれば適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
例えば、前述の実施例では、溶質として無機塩または水溶性低沸点気体を用いる例を開示したが、本発明に用いる溶質はこれらに限らない。例えば、以下の物質から合成される2-Pyrol-MNPs、TREG-MNPs、PAA-MNPsなどの磁性ナノ粒子も、高濃度水区画の浸透圧を高めるための溶質として使用することができる。
2-Pyrol-MNPs: Fe(acac)3 + 2-pyrrolidine
TREG-MNPs: Fe(acac)3 + triethylene glycol
PAA-MNPs: Fe(acac)3 + triethylene glycol + polyacrylic acid
TREG-MNPs: Fe(acac)3 + triethylene glycol
PAA-MNPs: Fe(acac)3 + triethylene glycol + polyacrylic acid
上記の場合、高浸透液再生装置には高磁力のマグネット装置を設ける。発電利用後の排水から回収した磁性ナノ粒子は、マグネット装置から強力な磁力を与えることにより、再生することができる。
11,41 浸透圧発電システム
12,42 半透膜装置
13,43 半透膜
14,44 高濃度水区画
14a 濃縮海水
15,45 低濃度水区画
15a 海水
16,46 発電機
17,47 タービン
20 溶質
21,51 高浸透液再生装置
21a NF膜
21b 加熱装置
31 海水淡水化プラント
50 苦汁
61 製塩プラント
12,42 半透膜装置
13,43 半透膜
14,44 高濃度水区画
14a 濃縮海水
15,45 低濃度水区画
15a 海水
16,46 発電機
17,47 タービン
20 溶質
21,51 高浸透液再生装置
21a NF膜
21b 加熱装置
31 海水淡水化プラント
50 苦汁
61 製塩プラント
Claims (6)
- 半透膜と、前記半透膜の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラントで海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画と、前記半透膜の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画とを有する半透膜装置と、
前記半透膜装置によって得られる浸透圧エネルギーを利用してタービンを回転させて発電する発電機と、
を備えた浸透圧発電システムであって、
前記高濃度水区画に供給される濃縮海水に、浸透圧を更に高めるための溶質を添加すると共に、
前記タービンを回転させた後の濃縮海水中に含まれる前記溶質を回収し、前記高濃度水区画において再利用可能とする高浸透液再生装置を備えたことを特徴とする浸透圧発電システム。 - 前記溶質として2価の無機塩を用いると共に、前記高浸透液再生装置は、NF膜による膜分離にて前記溶質を回収することを特徴とする請求項1に記載の浸透圧発電システム。
- 前記溶質として水溶性低沸点気体を用いると共に、前記高浸透液再生装置は、加熱により前記溶質を回収することを特徴とする請求項1に記載の浸透圧発電システム。
- 半透膜と、前記半透膜の一方の膜面側に形成され、製塩プラントの副産物である苦汁を添加した海水が供給される高濃度水区画と、前記半透膜の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画とを有する半透膜装置と、
前記半透膜装置によって得られる浸透圧エネルギーを利用してタービンを回転させて発電する発電機と、
を備えたことを特徴とする浸透圧発電システム。 - 前記高濃度水区画に供給される海水に、浸透圧を更に高めるための溶質を添加すると共に、
前記タービンを回転させた後の海水中に含まれる前記溶質を回収し、前記高濃度水区画において再利用可能とする高浸透液再生装置を備えたことを特徴とする請求項4に記載の浸透圧発電システム。 - 半透膜と、前記半透膜の一方の膜面側に形成され、海水淡水化プラントで海水を淡水化時に生成された濃縮海水が供給される高濃度水区画と、前記半透膜の他方の膜面側に形成され、海水が供給される低濃度水区画とを有する半透膜装置と、
前記半透膜装置によって得られる浸透圧エネルギーを利用してタービンを回転させて発電する発電機と、
を備えた浸透圧発電システムであって、
前記高濃度水区画に供給される濃縮海水の浸透圧を更に高めるために、天然海水中に含まれる無機塩からなる溶質を添加することを特徴とする浸透圧発電システム。
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